説明

ポンポン及びその製造方法

【課題】製造作業の時間と労力が節約でき、しわがよりにくく見栄えの良いポンポンを提供する。
【解決手段】細長いテープ1の中央をこの長手方向を軸とした軸回りに捻る(図2(A))。そして、この捻ったもの複数を、前記長手方向を同じ方向にして結束する(図2(B))。この結束したもの3本を、前記結束の軸方向を互いに略90度変えることで、さらに立体的に結束する(図1)。テープ1を捻るのは、結束が未だされていないテープ1を一枚ずつ捻ればよく、楽にできる。また、二つの結束工程も、捻ったり引っ張ったりする必要がない。このため、製造作業の時間と労力が節約できる。また、テープ1を捻るのは、結束が未だされていないテープ1の中央のみを一枚ずつ捻ればよく、テープ1の両端には、捻ったり引っ張ったりする必要がないので、テープ1にしわがよりにくい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スポーツの応援などで使用するポンポンの構造及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンポンは、チアガールや各スポーツの応援、またバトントワリング競技のポンポン編成の種目の手具として使う用具である。その構造は、布やテープを束ね略球状にしたもの(図5参照)である。
【0003】
従来のポンポンの製造方法は、図4に示すように、一定の長さのテープ11を真ん中で三つ折13にし(図4(A))、それを例えば100枚前後重ねて紐15などで結束(図4(B))する。その後、その両端部を一枚一枚広げていく(図4(C))。
【0004】
この作業は、2人がかりで行い、一人が、結束したテープ11束を押さえ、もう一人がテープ11を一枚ずつ捻りながら強く引っ張り広げていく。捻ることで、広げたテープ11が元に戻ることを防ぐ。そして、略球状にしたもの(図5(A))がポンポンとして完成する。
【0005】
なお、ポンポンに関する文献には、下記の特許文献1、2が存在する。
【特許文献1】実用新案公告昭61−24291
【特許文献2】実開平5−337988
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のポンポンの製造方法では、結束したテープ11を捻りながら引っ張り広げていくときに、引っ張り方が弱かったりすると、中心部17の束になって広げられない部分が大きくなる。そうなると完成したときの球状の直径も小さくなってしまう(図5(A))。どれだけ中心部17が小さくなるかで、仕上がりの球状がきれいになるかが決まる。作業の途中で、広げられない中心部17が大きくなれば、再度はじめからのやり直しになる。
【0007】
そのため、大きな球状のきれいなものを作ろうとすると、広げる作業だけでかなりの時間と労力がかかかる。
また、捻りながら強く引っ張り広げていく必要があるため、テープ11もしわがより、仕上がりの見栄えもよくない。
この発明は、以上の問題点を解決するために、製造作業の時間と労力が節約でき、しわがよりにくく見栄えの良いポンポン及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するために、第一発明は、 細長いテープの中央をこの長手方向を軸とした軸回りに捻る捻り、この捻ったもの複数を、前記長手方向を同じ方向にして結束し、この結束したもの複数を、前記結束の軸方向を変えることで立体的に結束した構造を有することを特徴とするポンポンである。
【0009】
第二発明は、細長いテープの中央をこの長手方向を軸とした軸回りに捻る捻り、この捻ったもの複数を、前記長手方向を同じ方向にして結束し、この結束したもの3本を、前記結束の軸方向を互いに略90度変えることで立体的に結束した構造を有することを特徴とするポンポンである。
【0010】
第三発明は、細長いテープの中央をこの長手方向を軸とした軸回りに捻る捻り工程と、この捻ったもの複数を、前記長手方向を同じ方向にして結束する第1結束工程と、この結束したもの複数を、前記結束の軸方向を変えることで立体的に結束する第2結束工程と、を有することを特徴とするポンポン製造方法である。
第四発明は、細長いテープの中央をこの長手方向を軸とした軸回りに捻る捻り工程と、この捻ったもの複数を、前記長手方向を同じ方向にして結束する第1結束工程と、この結束したもの3本を、前記結束の軸方向を互いに略90度変えることで立体的に結束する第2結束工程と、を有することを特徴とするポンポン製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
第一、第二、第三、又は第四発明によれば、テープを捻るのは、結束が未だされていないテープを一枚ずつ捻ればよく、楽にできる。また、二つの結束工程も、捻ったり引っ張ったりする必要がない。このため、製造作業の時間と労力が節約できる。
また、テープを捻るのは、結束が未だされていないテープの中央のみを一枚ずつ捻ればよく、テープの両端には、捻ったり引っ張ったりする必要がないので、テープにしわがよりにくく見栄えの良いポンポンが提供できる。
【0012】
第二、又は第四発明によれば、さらに、結束したもの3本をこの結束の軸方向を互いに略90度変えることで立体的に結束したので、少ない本数で、球状のポンポンを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の実施形態を、図1〜図3に示す。
細長いテープ1は、幅5cm、長さ21cmで、材質はPET(ポリエチレンテレフタレート)である。枚数は一例として100枚用意する。そして、まず、テープ1の中央を、テープ1の長手方向を軸とした軸回りに、2回から5回くらい捻る(図2(A))。この捻り工程を各テープ1に行う。そして、この捻ったものを、全枚数の1/3枚数分、すなわち33枚を、結束する(図2(B))。この第1結束工程では、テープ1の長手方向を同じ方向にして、紐3で結束する。紐3は1箇所留め、2箇所留め、あるいは3箇所留めにする。紐3は仮止めとして最終的には撤去することも可能である。
【0014】
このように第1結束工程で結束した束Bを3本、用意し、結束の軸方向を互いに略90度変えることで立体的に配置し(図1(A)(B))、その配置により略球状を得る。この立体的な配置のまま、各結束の中心を、紐4で結束する(図1(C))。この紐3は、複数本を用いることで、長時間の使用などにより1本が切れても、ポンポンの球状が維持できる。
この第2結束工程の後に、全体の形を簡単に整えて、略球状のポンポン5が得られる(図3、図5(B))。
「実施形態の効果」
この実施形態によれば、テープ1を捻るのは、結束が未だされていない各テープ1を一枚ずつ捻ればよく(図2(A))、楽に作業ができる。また、二つの結束工程(図2(B)、図1)も、捻ったり引っ張ったりする必要がない。このため、製造作業の時間と労力が節約できる。
【0015】
また、テープ1を捻るのは、結束が未だされていないテープ1の中央のみを一枚ずつ捻ればよく、テープ1の両端には、捻ったり引っ張ったりする必要がない(図2(A))ので、テープの見える部分にしわがよりにくく、見栄えの良いポンポン5が提供できる。
さらに、結束した束Bの3本を、この結束の軸方向を互いに略90度変えることで立体的に結束した(図1(A)(B)(C))ので、少ない本数で、美しい略球状のポンポン5(図3、図5(B))を提供できる。
【0016】
(従来との比較)
この実施形態と同じ材質、同じ寸法、同じ枚数ののテープ1により、従来の方法で製造したポンポン7との比較を行った。図5の小さなポンポン7が従来のもので直径はおおよそ15cmである。大きなポンポン5がこの実施形態のもので直径はおおよそ21センチである。この実施形態のものの方が、テープ1のしわも少なく、見た目も美しい。
【0017】
「他の実施形態」
以上の実施形態では、第1結束したもの3本を第1結束の軸方向を互いに略90度変えた配置で第2結束を行い、略球状のポンポン5を得たが、他の実施形態では、第1結束したもの4本以上、あるいは2本用いるものでもよい。第1結束したもの複数を第1結束の軸方向を変えることで立体的に結束した構造により、美しいポンポンが得られる。
【0018】
以上の実施形態では、テープ1の材質は、PET(ポリエチレンテレフタレート)であったが、他の実施形態では、布、ビニール、ポリエステル、グラスファイバーなどであってもかまわない。要は、束ねることができるものであれば構わない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(A)この発明の一実施形態を示すポンポンの製造で、第2結束工程を示す分解斜視図、(B)は(A)の中心部分の結束前の斜視図、(C)は(B)の中心の中心部分の結束後の斜視図である。
【図2】(A)はこの発明の一実施形態を示すポンポンの製造で、細長いテープの中央を捻る捻り工程を示す斜視図、(B)は(A)のテープを複数枚結束する第1結束工程を示す斜視図である。
【図3】この発明の一実施形態を示す略球状のポンポンの全体斜視図である。
【図4】従来のポンポンの製造方法を示すもので、(A)は一定の長さのテープを真ん中で三つ折にした斜視図、(B)は(A)のテープ複数を重ねて紐などで結束した斜視図、(C)は(B)の両端部を一枚一枚広げていく状態を示す斜視図である。
【図5】従来のポンポン(A)と、この発明の一実施形態を示すポンポン(B)と、を比較して示す全体図である。
【符号の説明】
【0020】
1…テープ、3、4…紐、B・・束、5…ポンポン、7・・従来のポンポン、11…テープ、13…折、15…紐。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長いテープの中央をこの長手方向を軸とした軸回りに捻る捻り、この捻ったもの複数を、前記長手方向を同じ方向にして結束し、この結束したもの複数を、前記結束の軸方向を変えることで立体的に結束した構造を有することを特徴とするポンポン。
【請求項2】
細長いテープの中央をこの長手方向を軸とした軸回りに捻る捻り、この捻ったもの複数を、前記長手方向を同じ方向にして結束し、この結束したもの3本を、前記結束の軸方向を互いに略90度変えることで立体的に結束した構造を有することを特徴とするポンポン。
【請求項3】
細長いテープの中央をこの長手方向を軸とした軸回りに捻る捻り工程と、この捻ったもの複数を、前記長手方向を同じ方向にして結束する第1結束工程と、この結束したもの複数を、前記結束の軸方向を変えることで立体的に結束する第2結束工程と、を有することを特徴とするポンポン製造方法。
【請求項4】
細長いテープの中央をこの長手方向を軸とした軸回りに捻る捻り工程と、この捻ったもの複数を、前記長手方向を同じ方向にして結束する第1結束工程と、この結束したもの3本を、前記結束の軸方向を互いに略90度変えることで立体的に結束する第2結束工程と、を有することを特徴とするポンポン製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−77520(P2007−77520A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−264701(P2005−264701)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(505345875)
【Fターム(参考)】