説明

ポン酢調味料

【課題】 カプサイシン独特のシャープで強烈な辛さを得ることができるポン酢調味料を提供すること。
【解決手段】 この発明のポン酢調味料は、カプシカムフルテッセンス種の唐辛子の辛味成分であるカプサイシノイドを含むポン酢調味料であって、カプサイシノイドの含有濃度が10ppm以上100ppm以下であるものとしている。また、唐辛子の粉砕片が含まれていないものとすることができる。さらに、唐辛子は東南アジア産の青唐辛子とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ポン酢に醤油等をあわせたポン酢調味料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ゆず、すだち等の柑橘類の果汁であるポン酢に、醤油、液糖、だし汁をあわせたポン酢調味料があり、「ポン酢醤油」等と称して販売されていた(例えば、特許文献1参照)。また、タカノツメ等の唐辛子(分類学的学名カプシカムアナム Capsicum annuum)を細かく粉砕したものと、ニンニクや味噌等を混ぜた辛味成分入りのポン酢調味料があった。
【0003】
しかし、カプシカムアナム種の唐辛子は、辛味成分であるカプサイシノイドの大部分を占めるカプサイシンとジヒドロカプサイシンのうち、ジヒドロカプサイシンの含有比率が比較的高いため、この辛味成分入りのポン酢調味料は、カプサイシン独特のシャープで強烈な辛さを得ることができていなかった。
【特許文献1】特開2004−49104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、この発明は、カプサイシン独特のシャープで強烈な辛さを得ることができるポン酢調味料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明のポン酢調味料は、カプシカムフルテッセンス種の唐辛子の辛味成分であるカプサイシノイドを含むポン酢調味料であって、カプサイシノイドの含有濃度が10ppm以上100ppm以下であるものとしている。
【0006】
また、唐辛子の粉砕片が含まれていないものとすることができる。
【0007】
さらに、唐辛子は東南アジア産の青唐辛子とすることができる。
【発明の効果】
【0008】
この発明のポン酢調味料は、カプシカムフルテッセンス種の唐辛子の辛味成分の含有濃度を10ppm以上100ppm以下としたことにより、カプサイシン独特のシャープで強烈な辛さを味わうことが可能となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の好適な実施形態を説明する。
【0010】
このポン酢調味料は、カプシカムフルテッセンス種の唐辛子の辛味成分であるカプサイシノイドを含むポン酢調味料であって、カプサイシノイドの含有濃度が10ppm以上100ppm以下としたものである。
【0011】
カプシカムフルテッセンス(Capsicum frutescens)種は、日本ではキダチトウガラシと呼ばれる種で、多年生で、熱帯・亜熱帯地域に分布しており、その辛味成分であるカプサイシノイドの含有量は、タカノツメ等のカプシカムアナム種よりも1.5〜2倍程度多く、しかも、ジヒドロカプサイシンの含有比率が比較的低く、カプサイシン特有のシャープで強烈な辛さがある。
【0012】
このポン酢調味料に使用するカプシカムフルテッセンス種の唐辛子は、東南アジア、主にタイで生産される青唐辛子とすることができる。特にタイ産の唐辛子(PRIK−KHEE−NHU)で、緑熟色、長さが4cm以下で、乾燥や加熱等していない生のものを使用するとよい。
【0013】
このポン酢調味料は、唐辛子のカプサイシノイド、酢、ゆず果汁・醤油・液糖・だし汁などを調合することにより製造することができる。
【0014】
カプサイシノイドは、適宜の方法により唐辛子から抽出して調合することが望ましい。従来の辛味成分入りのポン酢調味料は、粉砕した唐辛子を混ぜているため、唐辛子の粉砕片が含まれていたが、唐辛子からカプサイシノイドを抽出して調合することにより、ポン酢調味料に唐辛子の粉砕片が含まれないようにすれば見た目や口当たりがよい。
【0015】
酢は醸造酢を使用することができる。ゆず果汁の代わりにすだちやレモン等の柑橘類の果汁を使用してもよい。液糖には果糖ぶどう糖液糖、だし汁には昆布だし及びカツオだしを使用することができる。
【0016】
また、これら以外の酸味料や食塩その他の調味料等の材料を加えてもよい。各材料の分量は適宜でよいが、ポン酢調味料のカプサイシノイドの含有濃度(重量の割合)が10ppm以上100ppm以下となるようにする。
【0017】
このポン酢調味料は、上記のようにカプシカムフルテッセンス種の唐辛子の辛味成分を含有することにより、独特の辛味と風味を有するものとなっており、焼肉、唐揚げ、餃子、サラダ、しゃぶしゃぶ、鍋物、冷奴、つけめん、焼き魚、焼きそば、スパゲッティー、炒め物、カレー煮物等、適宜の料理に、そのまま、あるいは他の調味料と組み合わせて使用することができる。
【0018】
このポン酢調味料を使用すると、食欲が増進するとともに、新陳代謝が盛んになり、体温上昇がおこり発汗作用が促される。このポン酢調味料を試食者120名に1cc試食してもらったところ、103名が発汗したと答えた。
【0019】
さらに、このポン酢調味料の試食者120名中の104名から、従来の辛味成分入りのポン酢調味料よりも後味が良くなったという回答が得られた。すなわち、従来の辛味成分入りのポン酢調味料は、カプシカムアナム種の唐辛子の辛味成分に加えてニンニクや味噌などが含まれており、ポン酢本来のすっきりとした後味が損なわれていたが、本願のポン酢調味料は、カプシカムフルテッセンス種の唐辛子の辛味成分のみを抽出し、ゆず・醤油・液糖・だし汁などと調合しているので、辛味成分と他の成分とのバランスが良くなっている。
【0020】
また、カプサイシノイドの含有濃度(重量の割合)は、20ppm以上40ppm以下とすることが好適である。カプサイシノイドの含有濃度の異なる複数種類のポン酢調味料を試食してもらったところ、120名中70名から、カプサイシノイドの含有量を20ppm以上40ppm以下としたものがちょうど良い辛さであるとの回答が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプシカムフルテッセンス種の唐辛子の辛味成分であるカプサイシノイドを含むポン酢調味料であって、カプサイシノイドの含有濃度が10ppm以上100ppm以下であることを特徴とするポン酢調味料。
【請求項2】
唐辛子の粉砕片が含まれていない請求項1記載のポン酢調味料。
【請求項3】
唐辛子が東南アジア産の青唐辛子である請求項1又は2記載のポン酢調味料。