説明

ポーラス電子スプレーエミッター

作用電極(108)を提供するポーラス導電材料(204)を含むフローセル(102)と、検体を含む溶剤(140)を提供するためにフローセルに接続された入口(106)と、溶剤をフローセルから排出するための、フローセルに接続された出口(110)と、出口の直前に配置された対向電極(122)と、作用電極(108)および対向電極(122)に結合された電圧源(130)とを含む、システムおよび方法が開示される。方法は、フローセル(102)へ入口(106)を介して、検体を含む溶剤(140)を提供することであって、フローセルが作用電極(108)を提供するポーラス導電材料(204)を含む、ことと、フローセルを、溶剤をフローセルから排出させるために出口(110)へ接続することと、出口の直前に対向電極を配置することと、電圧源から作用電極および/または対向電極(122)へ電圧を提供することとを含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2003年6月6日に出願され、「ポーラス電子エミッター」と題された、シリアル番号第60/476,544号の米国仮出願に関連し、その利益を請求する。
(技術分野)
公開された方法およびシステムは、一般に静電スプレーデバイスに関し、より詳しくは、ポーラス電気化学フローセルを使用する電子スプレーイオン源の組立部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子スプレー(ES)プロセスは、一般に界面近くに関連する絶対評価期間において高電圧に維持されている小さなチューブまたは細孔を備える電子スプレーイオン源の中にサンプル液を流すことを含む。チューブまたは細孔の中に導入された液体は、チューブと界面との間の電界によって、細かい電気的にチャージされた飛沫(プルーム)として分散および噴出される。イオン化メカニズムは、一般に細かい電気的にチャージされた粒子からのイオンの大気圧での脱着を含む。電子スプレープロセスによって作成されたイオンは、次いで、質量分光計の質量分析などのような応用のために使用される。
【0003】
電子スプレーイオン源は、二電極制御電流(two−electrode controlled current)(CCE)フローセルと類似した仕方で電気分解的に作用し、直列回路において電気化学セルを効果的に形成する。チャージされたES飛沫プルームが生成される(ESエミッター)場所に、またはその近くに置かれる、金属細孔またはその他の導電性接触部は、システムにおいて、作用電極のように作動する。
【0004】
従来の電子スプレーシステムにおける一つの問題は、ESにて起こる電気化学反応(たとえば、電気分解反応)が形成され、質量分析計によって最終的に分析された気相イオンに影響を与え得ることである。なぜなら、気相ガスイオンは、イオン源に、初期に流入することから、溶剤の構成を変化させ得、結果的に、不必要なイオン化された化合物(検体)を含んでしまう。これらの変化は、検体電気分解の中性の検体のイオン化または、溶剤にもともと存在する検体の質量またはチャージの変化となること、電解質のHまたはOHが生成/エリミネーション、および/または溶剤へ/から特定の核種の導入/エリミネーションを介しての溶剤pHにおける変化(例えば、ステンレススチールエミッターの侵食からのFe2+イオンの導入)、を含むが、それらに限定されるものではない。
【0005】
従来の電子スプレーシステムにおける他の問題は、電子スプレープロセスを介したイオン化の影響を最も受けやすい(したがって、ESプロセスを介した分析に影響を最も受けやすい)化合物(例えば、検体)が、イオン化合物、および/または酸/塩基相互作用を経てイオン化する化合物であることである。中性および非分極化合物のような他の化合物は、ESプロセスによってすぐにイオン化され得ず、したがってイオン化および電子スプレーされたものを分析するための化合物を必要とする装置および技術を使って、容易に処理および分析が出来得ない。
【0006】
従来のESシステムに関係するさらなる他の関心事は、エミッター電極の電位の制御に関する。システムがCCEプロセスである時、エミッター電位は、溶剤の組成、フローレート、および印加電圧によって規定される。これらの要因が変化すると、エミッター電位も変化し、システムでの様々な電気化学反応の制御を困難にしている。ESプロセスに作用する他の要因は、従来のエミッター電極デザインの使用から結果として生じている低検体電解効率である。多くの実例において、低エミッター検体の電解効率は、最適状態に及ばない信号強度および/または生成の分配量の結果として生じる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
作用電極を提供するポーラス導電材料を含むフローセルと、検体を含む溶剤を提供するためにフローセルに接続された入口と、溶剤をフローセルから排出するための、フローセルに接続された出口と、出口の直前に(proximate to)配置された対向電極と、作用電極および対向電極に結合された電圧源とを含む、システムおよび方法が開示される。
【0008】
一部の実施形態において、電圧源は、フローセルにおいて溶剤の電解を引き起こし得る。他の実施形態では、電圧源は出口と対向電極との間に電界を生じさせ得る。そのように生じた電界は、対向電極に向かって溶剤の静電スプレーを助長し得る。一実施形態において、電圧源は、作用電極に結合された第1の電圧源、および対向電極に結合された別個の第2の電圧源を含む。
【0009】
対向電極は、ギャップによってフローセルの出口から分離される。一部の実施形態において、対向電極はスプレーされた溶剤中の構成要素の少なくとも一部を識別し得る質量分光計への入口を備える。一部の実施形態では、例えば、対向電極はエミッターの一部であり得、および/または一部の実施形態でのスプレーは、対向電極からおよび/または空間中へ去って行き得る。
【0010】
一部の実施形態にとって、ポーラス導電材料は、ポーラスグラファイト、ポーラスカーボン、ポーラスガラスカーボン、ポーラス導電ダイヤモンド、および/またはポーラス貴金属電極を含み得る。出口は、電気的に非伝導性または伝導性であり、および/または作用電極と通信し得る。
【0011】
作用電極の特性は、溶剤の電気分解に作用(affect)し得る。このような特性は、材料、形状、サイズ、および/またはフローセル内部の位置を含み得る。一部の実施形態では、溶剤での電気分解効果は、吸着作用(surface adsorption)選択度(selectivity)、および/または効率を含み得る。
【0012】
開示されたシステムおよび方法の実施形態は、また、作用電極の電流を測定するためのデバイスを含む。
【0013】
開示されたシステムおよび方法は、また、基準電極と、作用電極を提供するポーラス導電材料とを含むフローセルと、検体を含む溶剤をフローセルに提供するための、フローセルに接続された入口と、溶剤がフローセルから排出されるための、フローセルに接続された出口と、出口の直前に配置された対向電極と、作用電極に結合された第1の電圧源とを含む。
【0014】
第1の電圧源は、バッテリー、分圧器、ガルバノスタット、および/またはポテンショスタットデバイスを含み得る。第1の電圧源は、フローセルにおいて溶剤の電気分解を引き起こさせ得る。
【0015】
一部の実施形態は、出口、および/または対向電極に電気的に結合された第2の電圧源を含み得る。第2の電圧源は、出口と対向電極との間に電界を生じさせ得る。発生した電界は、対向電極の方へ溶剤の静電スプレーを助長し得る。
【0016】
一部の実施形態では、作用電極および基準電極は第1の電圧源に電気的に結合し得、出口は第2の電圧源に電気的に結合し得、および作用電極は、出口から電気的に分断し(decoupled)得る。フローセルは、また、第1の電圧源に結合し得る補助電極を含み得る。
【0017】
開示されたシステムに関連する方法もまた、開示される。ここで方法は、フローセルへ入口を介して、検体を含む溶剤を提供することであって、フローセルが作用電極を提供するポーラス導電材料を含む、ことと、フローセルを、溶剤をフローセルから排出させるために出口へ接続することと、出口の直前に対向電極を配置することと、少なくとも1つの電圧源から作用電極および/または対向電極へ電圧を提供することとを含む。
【0018】
フローセルへ入口を介して検体を含む溶剤を提供することであって、フローセルが、基準電極と、作用電極を提供するポーラス導電材料とを含む、ことと、フローセルを、溶剤をフローセルから排出させるために出口へ接続することと、出口の直前に対向電極を配置することと、第1の電圧源から作用電極へ電圧を提供することとを包含する、方法が、また開示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
全体的な理解を提供するために、所定の例示的な実施形態をここで説明する。しかしながら、ここに記載したシステムおよび方法は、他の適当な応用のためのシステムおよび方法を提供するために適応され、修正され、また、他の追加および修正が、ここに記載したシステムおよび方法の範囲から外れることなくなされることで、通常の当業者によって理解されるであろう。
【0020】
別な方法で特定されない限り、例示された実施形態は、所定の実施形態の変更している項目の例示的な特徴を提供しているとして理解される。その結果、特徴、構成要素、モジュール、および/または、実例またはプロセスの局面は、開示されたシステムまたは方法から離れることなく結合、分離、交換、および/または、再配列される。
【0021】
図1は、ポーラス電気化学フローセル102を使用している電子スプレーシステム100の例示的な実施形態を示している。少なくとも1つの検体および/または少なくとも1つの溶剤を含んでいる検体溶剤140は、システム100の入口106に導入される。溶剤140は、溶剤ポンプ101を使用して入口106の中に注入され得る。代替的に、溶剤140は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含めた、溶剤140に関するさまざまな化学的または物理的プロセスを行なう他のタイプの処理装置から提供され得る。
【0022】
入口106によって受け取られた検体溶剤140は、そこに形成されたチャンネルを介して流れ、ポーラスセル102によって受け取られる。以下により詳しく記載されるように、溶剤140はポーラスセル102に入って通り抜け、および/または、少なくとも1つの作用電極108を提供するポーラス導電材料204に相互作用する(図2,3参照)。ここで提供したように、導電材料204は、ポーラスフローセル102のフロースルーチャンネルの交わっている部分に実質的に及び得、それによって、ポーラスセル102のポーラス導電性材料に相互作用するために全ての溶剤140を与えている。図1から示されるように、作用電極108は、電圧源130と電気的に結合され得る。電圧源130は、作用電極に界面電位を伝える。電圧は、出口110(そこを介して検体溶剤が102を出る)と対向電極122を分離しているエアギャップ120の高抵抗を介して、ポーラスセル102と対向電極122との間で降下し、出口110と対向電極122との間で電子スプレー作用を確立させるための電界を生成する。例えば一実施形態として、ポーラスセル102の電圧は4000Vで保たれており、かつ、対向電極122の電圧は1000Vで保たれている。結果として生じる3000Vの電圧降下は、所定の検体の静電スプレーを行なうのに十分である。
【0023】
作用電極108での界面電位は、電子スプレープロセス(例えば、中性および無極の化合物)を経て通常イオン化され得ないような検体を含んでいる、少なくとも一部の検体に電気分解作用を受けさせる、検体溶剤140に与えられ、それによって検体の量、または電荷、またはその両方を変化し、電子スプレープロセスによってエミッターから運び出され得る核種の生成をしている。異なった界面電圧において、異なった検体が、電気分解(例えば、電気化学的に酸化または還元した)されるため、作用電極108での特定の界面電圧は、溶剤140の所定の検体が電気分解およびイオン化され得るかどうかを決定する。溶剤140に対する作用電極の適用によって行われた電気分解プロセスを介してイオン化した検体は、出口110に提供され、出口の開口部112に導かれる。以下により詳しく記載されるように、溶剤が開口部112に達する時に、開口部112と対向電極122との間に存在する電界は、開口部112と対向電極122との間のエアギャップ120中に、少なくとも一部の検体をチャージされた飛沫としてスプレーさせる。
【0024】
スプレーされた検体は、典型的な電子スプレープロセス(例えば、化合物のイオン化、特に、溶剤または気相酸/塩基反応によってすぐにイオン化された化合物のイオン化)によってイオン化された検体、および、通常、電子スプレープロセスによってイオン化されず、しかしながら、ポーラスフローセル102の作用電極108において行なわれる電気分解プロセスを介してイオン化される、少なくとも一部の検体を含む。スプレーされた飛沫が対向電極122に向かって拡散するとき、溶剤の溶媒の一部は蒸着し、飛沫は、より小さな飛沫となる、クーロン力分裂(fission)プロセスを受ける。このプロセスは、分裂した飛沫が脱溶媒和された気相イオンの対向電極に達するまで続けられる。
【0025】
対向電極122には、矩形、円形などの様々な形状の金属極板がなり得、電子スプレープロセスを容易にするために、開口部112と対向電極122との間の電界を確定させるための対向電極122における電圧レベルを容易にするために、電圧源に接続されるか、電気的に接地され得る。図1に示すように、例示した対向電極122は、対向電極122に達する一部の電子スプレー飛沫を通し得る開口部124を有する。図1から認識されるように、エアギャップ120中に電子スプレーされた検体溶剤140のチャージされたプルームの一部のみが、開口部124を通り抜ける。
【0026】
ここで記載されたように、一部の実施形態において、先細になった先端部を有する融解シリカ毛細管(capillary)のようなエミッタースプレー302(図3参照)が、電子スプレープロセスを容易にするために、出口110に取り付けられ得る。さらに、図1に示すように、不活性ガスを溶剤140のスプレーした飛沫中に導入するネブライザーガス源114が、随意に付けられた出口110、および/または、エミッタースプレー302に接続される。それによって、電子スプレーを容易にしている。理解されたように、気体のネブライザーは、電子スプレーされる溶剤の液体表面を機械的に分裂するために高速ガス供給で注入し、飛沫凝固を防ぐためのガスによって続いて分散される小さな飛沫を形成する。その結果、例えば、高流量レートの溶剤の電子スプレーを容易にしている。ネブライザーガス源114は、出口112および/またはエミッタースプレー302の縦軸と隣接および平行しているチューブ116中に、不活性ガス、例えば窒素(N)を、直接注入し得るが、別な方法で、チューブ116は、出口110および/またはエミッタースプレー302から隔離され得る。その結果、ネブライザー114によって供給された不活性ガスが、出口110および/またはエミッタースプレー302によって規定された溶剤の流れの経路中に入らない。代替的に、チューブ116は、出口110および/またはエミッター116を同軸的に包む。その結果、出口110および/またはエミッター112は、実質的にチューブ116の縦軸に沿ってチューブ116の内側に配置され得る。確認されるように、チューブ114の内側における出口110および/またはエミッタースプレー112の同軸の配置は、チューブ114の開口部から、開口部112および/またはエミッタースプレー302に存在している検体溶剤のスプレーされた混合物に注入されるガス気体の、実質的に一様な適用を可能にする。その結果、エアギャップ120中の飛沫の分散を高め、電子スプレープロセスを改善する。ガス気体を提供しているチューブ116のための他の構成、および/または、チューブ116と関連性のある出口110および/またはエミッタースプレー302の位置決めのための他の構造および配置が可能であることが、確認される。
【0027】
対向電極122の開口部124から出てくる、チャージされた飛沫の試料の分析および検出は、オリフィス板126、スキマー電極(見えない)、質量分析および検出装置128を備える質量分光計128によって実行される。対向電極122に達した、電子スプレーされた検体飛沫は、開口部および他のタイプの装置および設備によってもたらされ得ること、また、質量分析装置の参照は、例示であり制限されないことは、認識される。図1の例示的な装置100内の電気化学フローセル102のスプレー源への近接は、フローセル102内で電気化学反応を受ける、短命なイオン化検体が、電子スプレー装置に接続された検出および分析装置によって検出されることを許すことも、確認される。
【0028】
図2は、図1に従うシステム100とともに使われ得る、ポーラス電気化学セルの例示的な実施形態の断面側面図を提供しており、図3は、ESA,Incによって作製された、ポーラス電気化学セル(それは、図1および/または図2において示されるそれらのポーラスフローセルと同一または異なり得る)の例示的な実施形態の拡大正面図を示している。一貫性のために、図2および図3のそれぞれにおける、図1に示すフローセル102の部品および構成要素と同一または類似している、ポーラスフローセル200および300の部品および構成要素は、ポーラスフローセル102と関連する部品/構成要素に使われるのと同一の参照数字が記されている。ポーラス電気化学セルの付加的な例は、「Electrochemical System」と題された米国特許第4,552,013号に開示され、その内容の全体は、ここで援用される。
【0029】
図1および図2に示すように、ポーラス電気化学セル102の一実施形態は、例えばポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)のような適当な材料から作られた、伸張したチューブ状の物体202を備え、金属分子、ポーラスグラファイトまたはカーボン、ポーラスガラスカーボン、ポーラス導電ダイヤモンド分子および/または他のタイプの導電材料のようなポーラス導電材料204を詰める。物体202の他の断面部分は、開示された方法およびシステムの範囲から外れることなく使われ得る。ここで提供されるように、導電材料204はポーラスセル102のために作用電極を提供する。例示されたボディ202は、試料溶剤140が通り抜けるフローチャンネルを規定している。図3を参照すると、作用電極108は、電気的コンタクト107によって適当な位置に保持されたポーラス導電材料204を備える。電気的コンタクト107は、図3の例示的な実施形態において電気的コンタクト107の中心のまわりに円形の開口を有する円形板をして形成され、その中に、ポーラス導電材料204が、はめ込まれる。導電材料204は、本体202によって規定されたフロースルーチャンネルの断面領域と実質的にマッチする表面を有し得、それによって、実質的に大部分の検体溶剤がポーラス導電材料204と接触および/または相互作用することが保証される。同様に、図3のポーラスフローセルの例示的な実施形態において、ポーラス導電材料204がフィットされ得る電気的コンタクト107の円形状の開口部の直径は、実質的に検体溶剤が通り抜ける、例示された本体202によって規定されたチャンネルの直径と同じである。電気的コンタクト107の、他の形状、配置、直径が可能であることが確認される。ポーラス導電材料204が、他の装置、部品を使用するのに適当であることも確認され、様々な導電材料204は、広範囲の、形状、配置、直径を想定し得、1つ以上の別々の位置において電気的コンタクト107と電気的に結合し得る。さらに、1つ以上の作用電極が導電性材料204によって形成または提供され得、1つ以上の導電材料204がそのような作用電極を形成するために、使用され得る。そのうえ、導電材料204に加えて、作用電極108もまた、様々な誘電材料で構成され得る。その上、導電材料204から形成された複数の作用電極は、ポーラスセル102の内部において多くの可能な配置で設置され得る。例えば、複数の作用電極が、ポーラスセル102の内部にカスケード配置で設置され得、その結果、作用電極は互いに隣接し、そのため、検体溶剤と相互作用しているポーラス導電材料の量を増加させる。したがって、ポーラスセル102によって実行される電気化学的プロセスを容易にしている。このような実施形態は、各々の作用電極において異なった界面電位を含み得る。
【0030】
また図2において、電気的コンタクト211および213を介して、それぞれ電圧源または電圧制御装置(図2に示されず)と電気的に結合された基準電極210および補助電極212が、確認される。ここで明らかなように、基準電極210および補助電極212は、基準電極210と作用電極108との間の電位差を制御するために使用でき、そのため、作用電極108の界面電位を制御するために使用できる。しかしながら、基準および補助電極210,212の使用は、ポーラスセル102の動作に対して随意である。また、作用電極108の電流を計測するための電流計測装置が、随意に、作用電極108および/または基準電極210および/または補助電極212に結合される。
【0031】
検体溶剤140は、入口106を介してポーラスセル102に入り込み得、一部の実施形態において、その入口106は、ポーラスセル102の一部分を形成し得る。その一方、他の実施形態において、入り口106は、ポーラスセル102に固定され得る独立した構成要素または付属品であり得る。例えば、図3で示されるように、入口106は、ねじ山を備えるシャフトに結合される円筒形のチューブからなり得、そのねじ山を備えるシャフトは、ポーラスセル102の側面に形成されるそれに対応するねじ山をそなえる開口部およびチャンネルに支えられる。それによって、入口106はポーラスフローセル102に取り付けられおよび固定される。入口106はそこを通り抜けるチャンネルを有し得、そのチャンネルを介し、検体溶剤140は、ポーラスセル102へと供給される。入口106は、伝導性または非伝導性材料で構成され得る。
【0032】
入口106と同様に、出口110は、ポーラスフローセル102から出て行く検体140を受け入れ、ポーラスセル102の一部も形成し得、またはフローセル102に取り付けることができる別々の構成要素または付属品であり得る。したがって、図3において示されるように、出口110は、ねじ山(thread)を備えるシャフトに固定される円筒形のチューブを備える。そのねじ山を備えるシャフトは、出口のチャンネルの壁上において規定される対応するねじ山を用いてフローセル102上に固定される。その出口のチャンネルの壁は、ポーラスフローセル102の本体202によって規定される。出口110もまた、出口110の縦軸に沿って延び得る内径および開口部を含み得、例えば、検体溶剤が出口110に入り込む場合、または出て行く場合に介する出口開口部112のような開口部を含む。出口110においてのねじ山を有する内径、および検体溶液が出口110を出て行く際に介する開口部112の両方は、電子スプレー操作を可能にする直径および長さなどを含んだ形状および寸法を有し得る。例えば、出口110の内径の形状は、開口部112に近い内径の直径が開口部112の内部に向かって円錐形に先鋭され得る開口部112に近い円錐形を有する内径の提供は、検体溶剤を開口部112の外へ噴出させ、スプレーさせることを可能にし、それによって、電子スプレー技術を容易にしている。
【0033】
随意に、先細の先端を有する融解シリカ毛細管のようなスプレイエミッター302(図3に示す)は、溶剤がポーラスセル102および/または出口110を出る間の検体溶剤140の飛沫のスプレーを容易にするようにデザインされた形をしているチャンネルを介して、溶液を導くために、直接出口110に結合され得る。上記の随意のスプレーエミッターは、例えば、開口部112の形状、および/または出口110の内径の形状が電子スプレーによって無効になり得る場合、使用され得る。
【0034】
操作において、検体溶剤140は、ポンプ101によって入口106の内部に注入され得、その後、ポーラスセル102に提供される。電圧源130によって生じる電圧は、電気的コンタクト107を介し、作用電極108に印加される。電圧は、出口110(またはエミッタースプレー302)と対向電極122との間において電界を生じさせ、それによって、電子スプレー電流が生じる。電圧はまた、ポーラスセル102の作用電極108の電位を生じさせる。電位値は、エミッター電極の構成および溶剤の構成のような要因に依存する。作用電極108の電位によって、検体溶剤140はその電位に対応する電気化学反応(例えば、電気分解反応)を受け得る。例えば、作用電極108において電圧レベルによる電位セットにおいて酸化され得る検体は、従って、酸化され得る。ポーラスフローセル102によって処理された検体溶剤140は、出口110および/またはエミッタースプレー302に提供される。出口110の開口部112(またはエミッタースプレー302の先端)において形成される電界は、ポーラスセル102においての電気化学反応によってイオン化されない少なくとも溶剤140の検体の一部をイオン化し、さらに、溶剤をスプレーさせる。ここで提供したように、一部のチャージされた検体は、ポーラスセル102において電気化学反応を介してイオン化された一部の検体を含むエアギャップにスプレーされる一部の帯電した検体は、対向電極122の開口部124に達し、その後、それらの検体は、質量分光計128および/または装置および/または設備の他のタイプによって処理される。
【0035】
ここで提供したように、実施例の装置100に印加した電圧は、作用電極108と対向電極122との間に存在する複数の負荷に分配される。これらの負荷は、検体溶剤140の電気的抵抗および、開口部112(または、もしひとつ使用されるなら、エミッタースプレーの先端)と対向電極122との間のエアギャップ120の電気的抵抗を含む。飛沫発生レート掛ける一飛沫あたりの平均電荷と規定された電子スプレー電流IESは、溶剤の組成および粘性率を含む様々な要因に依存している複素関数であり、従ってIESの値は変動する傾向がある。IESの値におけるこの変動は、電圧源130と対向電極122との間に形成される電気回路の電圧分配においての変動を結果として招き、それは、作用電極108において測定される界面電位の値の変動を引き起こす。よって、作用電極108においての界面電位の制御が存在しない場合、作用電極108においての所定の時間内において発生する反応で発生している反応(例えば、電気分解反応)の、制御および/または測定が困難である。従って、どの検体が電子スプレープロセス、および/または、電子スプレー装置と繋がれている装置および設備(例えば、質量分析器)によるさらなるプロセスおよび分析を受けるか否かのコントロールおよび/または決定を困難にし得る。
【0036】
図4は、ポーラス電気化学フローセル102を用いる電気スプレーエミッターの実施形態を示す。その実施形態において、作用電極における界面電位は、制御され得、従ってそれによって、作用電極108において発生している電気化学的反応の性質を効果的にする。図4の例示的な実施形態例において示される部品および構成要素は、図1、2、および3で示した部品および構成要素と同類または類似し、図1、図2、および図3の部品/構成要素に関して使用した同じ参照数字が記されている。理解されるように、図4の実施形態において電気コンタクト107を介して電圧源130に基準されるポテンションスタットに電気的に結合される作用電極108に加えて、図示されるポーラスフローセル102は、ポテンシャルスタット402に電気的に結合される基準電極210および補助電極212(図2においても図示される)をも含む。コンタクト107から延びる破線によって示されるように、作用電極は、ポテンショスタット402に代替的に結合され得る。
【0037】
理解されるように、基準電極210の特徴の1つは、作用電極108での電位制御のために、基準電圧/接点を提供している。同様に、補助電極212は、ポーラスフローセル102と対向電極122との間の電圧降下に依存しない作用電極108での電圧降下の制御を容易にするために使用され得る。基準電極210と補助電極212の両方は、例えば、パラジウム(Pd)、プラチナ、および/またはこれらの材料の1つ以上を備える合金、および/または他の適する材料のような、適する導電材料から構成され得る。電極210および212は、作用電極108に対して流れをさかのぼって配置されると図4(および図2のポーラスセル200の典型的な例示)に示される一方、基準電極210および補助電極212は、ポーラスセル102の異なる位置に配置され得ることは、認識される。例えば、基準電極210および補助電極212は、一部の実施形態において、作用電極108のいずれかの片側に位置され得る。さらに、基準電極210および補助電極212は、例えば、平行配置、傾斜した配置などを含んだ、作用電極108に対する様々な方法において配置される。そのうえ、基準電極210および/または補助電極212は、適当な導電材料またはリング電極からなる多数の電線として構成される。例えば図3に示されるように、基準電極310および補助電極312は、作用電極108の両側で対線(wire−pair)電極配置される。
【0038】
例えば、ポーラスフローセル102での補助電極212の寸法および/または位置および方向の決定時における一考慮は、検体の不必要な電気分解の結果生じる「逆反応」と呼ばれる制御の必要性である。電気化学セルの作用電極電位の制御において、補助電極での電位の比例変化が生じる。例えば、特定の検体の酸化を防ぐために作用電極電位を減少させることは、補助電極の電位を増加させ得、その結果として、作用電極において防がれた電気化学反応は、やはり補助電極212において発生し得る。補助電極の表面領域が、補助電極の表面と溶剤の大部分が接触する程度の大きな表面を有し、それに伴って検体の一部分が電気化学反応を受ける場合、逆反応の程度は、特に重要になる。例えば、補助電極が広範囲の表面領域を有する薄膜電気化学セルにおいて、逆反応の程度は重要であり、例えば、質量分光計による分析に対して、不必要な電界処理をされた検体を導く。よって、補助電極212および/または基準電極210は、結果的に逆反応を減少させるために狭い表面領域を有し、および/または流れる溶剤140との直接の接触から外される。
【0039】
図4でさらに示されるように、ポテンショスタット402は、ポテンショスタット402が結合された電極において電圧制御を提供できる。理解されるように、ポテンショスタット402は、補助電極の出力電圧を発生するために使用することができ、作用電極108に提供される。作用電極108の最終的な界面電位は、作用電極108の接点電位を維持するために、基準電極210と比較され、代償作用として補助電極108にフィードバックされる。全システムは、外部の電圧、概して接地に基準する。しかしながら、図4に示されるように、外部電圧源(例えば、電圧源130)もまた、使われる。例えば、システム電圧が外部電圧源130である場合、作用電極108の電位(例えば、界面電位)は、間接的に設定され得、作用電極108と基準電極210との間の電位差によって実現される。確認されるように、コントロールされる点の電位を設定するための他の配置は使われ得る。ユーザーがコントロールするダイヤル、ノブおよび/または他の構成要素/装置は、ポーラスフローセル102(例えば、作用電極)の電位の制御を可能にするためのポテンショスタットの設定を調整するために使用することができる。ポテンショスタット402および/またはポーラスフローセル102においての電圧を制御するための電圧コントローラーの他のタイプは、演算増幅器またはプロセッサに基づく装置を用いて実施され得、そのプロセッサに基く装置は、メモリー素子(揮発性および不揮発性の)、外部との通信を可能にする周辺機器、そのプロセッサに基く装置とポーラスセル102との間の制御部、および/またはポーラスセル102においての電位を決定、調整および/または制御のための他の制御電気回路を備える。例えば、バッテリー、分圧器およびガルバノスタットを含む他の装置は、作用電極108の電圧を制御するために使用し得る。
【0040】
図4に示された電圧源130は、作用電極108およびポテンショスタット402と電気的に結合され得る。ポテンショスタット402は、個々に電気コンタクト211および213を介し、基準電極210および補助電極212と電気的に結合され得、作用電極108と基準電極210との間の電位差の制御を可能にしている。従って、作用電極108での界面電位の制御を提供している。作用電極108は、ポテンショスタット装置402と電気的に結合され得、電圧源130に直接、結合される必要はない。電圧源130は対向電極122と電気的に接続されていることを示され、それによって、電圧源130、ポテンショスタット402、ポーラスフローセル102、エアギャップ120および対向電極122を含む電気回路を規定している一方で、対向電極122は、1つ以上の電圧源と電気的に結合され得、電圧源130と電気的に結合される必要はない。
【0041】
図1に示される電子スプレー装置100のように、ポーラス電気化学セル102の出口110は、ここで記載された電子スプレーを介して、エアギャップ120へイオン化された溶剤140を噴出し得る。ネブライズガス源114もまた、電子スプレープロセスを容易にするために使用され得る。対向電極122の開口部124に到達しているチャージされた検体はその後、質量分光計128およびそれに関連した装置、および/または他のタイプの装置および設備によって処理され得る。
【0042】
操作において、検体溶剤140は、電子スプレー装置100に関連し、ここで記載されたように、ポンプ101によって、入口106の中に注入される。注入された検体溶剤140は、その後はポーラスセル102に提供され得る。例えば、電圧1Vは、ポテンショスタット402によって、補助電極212に供給され得、特定の電位が、基準電極210を参照して、作用電極108にて、実現され得る。ポテンショスタット402は、例えば4000Vの外部電圧電源130に基準とされる。例えばダイヤルおよびノブのような制御装置を使用し、基準電極210と作用電極108との間の電位レベルは、調整およびセットされ得る。作用電極108と基準電極210との間の電位のセットに依存し、検体溶剤140は、その電位に対応する電気化学反応(例えば、電気分解反応)を起こす。例えば、作用電極108でセットされた電位で酸化され得る検体は、それに応じて、酸化型になる。確認されるように、電圧源130によって供給された電圧は、電子スプレーを供給するために、ポーラスフローセル102と対向電極122との間に、電界を生成するために使用される。ポーラスフローセル102によって処理された検体溶剤140は、出口110および/またはエミッタースプレー302に提供される。出口110(またはエミッタースプレー302の先端)の開口部112で形成された電界は、ポーラスセル102における電気化学反応によってイオン化されなかった溶剤140中の少なくとも一部の検体をイオン化させ、さらに、その溶剤をスプレーさせる。ここで提供されるように、エアギャップ120の内部にスプレーされた、チャージされた一部の検体(ポーラスセル102の電気化学反応を経てイオン化された検体の一部を含む)は、対向電極122の開口部124に達し、するとすぐに、これらの検体は、質量分光計128、または装置および装備の他のタイプによって処理される。
【0043】
図5は、電子スプレー装置500の実施形態を示す。ポーラスセルが出口および/またはエミッタースプレー装置と電気的に結合されていた図4の電子スプレー装置400とは異なり、図5の配置500において、ポーラスセル102は、エアギャップ120へ処理された検体溶剤を噴出するために使用されたエミッタースプレー302から電気的に分断される。電気的分断は、例えば、作用電極108と出口110との間を電気的に分断することを含め、電子スプレー装置500における様々な箇所で確立され得ることは理解されたい。図5の配置は、エミッタースプレー302での電圧レベル変動によって影響されない作用電極電位の制御を提供することが可能である(それは、ここで提供されたように、電位変動は、例えば、スプレーされる検体溶剤の構成物および粘性を含んだ多数の要因によって影響される)。さらに、エミッタースプレー302および/または他の電子スプレー装置500の一部から、ポーラスセル102を電気的に分断することによって、作用電極108と結合されるポテンショスタット402および/または他の電圧源によって提供された電圧レベルは、接地に基準され得(そのような電圧源は、エアギャップ120を介した広範な電解を確立するために使用される必要がないからである)、従って、ポーラスセル102がエミッタスプレー302から電気的に分断されていない場合、ユーザがさもなければ晒され得る、感電事故に晒されることはない。
【0044】
操作中、検体溶剤140は、ポーラスセル102を溶剤に提供する、入り口106に注入され得る。ポテンショスタット装置402は、ポーラスセル102(例えば、実質上およそ±100V間の範囲)、分圧器、非線形装置からなる制御回路構成(例えば、トランジスターおよび演算増幅器、および/または電圧コントローラーの他のタイプ)を動作させるために電圧レベルを生成する電圧源の1つであり得、作用電極108、および/または、必要に応じて、基準電極および/または補助電極(図5に示されてない)に結合される。しかしながら、1つ以上のポテンショスタット、および/または他の電圧源は、ポーラスセル102に結合され得ることは、理解されたい。ポテンショスタット402による電圧出力は、作用電極108の電位を確立するためのレベルに調整され得る。作用電極108において確立された電位は、その後、ポーラスセル102において生じ得る電気化学反応のタイプおよび性質を決定し得る。
【0045】
従って、作用電極108にて確立された電位は、溶剤140における少なくとも一部の検体に、電気化学反応(例えば、電気分解)を起こさせることができ、その結果、検体の一部が、酸化型になり、および/または、そうでなければ、イオン化される。処理した検体溶剤140は、出口110を介してポーラスセル102から出ることができる。出口110は、電気的に接地され、それによって、エミッター302に機械的に接続される装置からポーラスセル102を、電気的に分離し、または分断する。
【0046】
例えば、4000Vの電圧を生成する高電圧源130は、エミッタースプレー302に結合され得、それによって、エミッタ−スプレー302の先端と対向電極122との間に電界を形成させる。補助電圧源はエミッタースプレー302に電気的に結合され得ることは理解される。エミッタースプレー302の入力口は、開口部112を介して、出口110に機械的に結合され得、ポーラスフローセル102によって電気化学的に処理された、投与溶剤140に結合され得る。投与溶剤140は、エミッタースプレー302の排出口に向けられ、エミッタースプレー302の先端と対向電極122との間に形成される電界のために、検体溶剤140は電子スプレーされる。電子スプレーのプロセスを介して、ポーラスフローセル102によって酸化および/または他のイオン化された検体を含む、溶剤140におけるチャージされた検体の少なくとも一部は、対向電極122に向かって移動する。ネブライザーガス源114は、ここで提供されるように、電子スプレープロセスを容易にし得る。スプレーされた検体の一部は対向電極122の開口部124を通り抜け、その後、サンプルは、例えば、質量分光計128および/または他の設備および装置によって、処理および分析される。
【0047】
ポーラスフローセルにおける電気化学反応の性質および程度を制御することによって、電子スプレー動作を容易にするため、ポーラスセルを使用することの効力を調べるために、水と5.0mMのアンモニウムアセテート(NHOAc)および0.75%の酢酸からなるアセトニトリルを1:1の割合で混合したものとして整えられたレセルピン溶剤のため、ポーラス電気化学セルの性能が試験された。レセルピンは、電子スプレーのイオン化に影響を受けやすく、結果として、対応する質量電荷比(m/z)609を有する、プロトン化されたレセルピンの核種(すなわち、(M+H))になる。付け加えて、レセルピンはまた、電気化学セルにおいて生じる電気分解反応を介してイオン化され得、イオン化の結果、質量電荷比607を有する一つの種、および/または質量電荷比625を有するイオン化された種となる。
【0048】
これらの試験で使用されたレセルピン試料検体は、シリンジポンプを使い、ポーラス電気化学セルの中に供給される。電子スプレー性能テストを行なう際、使用されたポーラスセルは、PEEK本体を有するESA株式会社のプロトタイプセルであり、直径1.6mmおよび厚さ0.38mm、2つのPalladium擬基準電極のセット、および、2つのPalladium補助電極のセットを有する、ポーラスカーボン作用電極(全体の40%が有効性で、そのうちの99%が平均0.8μmの孔が開いている)からなる。2つの電極のセット(補助および基準)は、作用電極の片側に配置され、つなぎ合わされる。ポーラス電気化学セルは、融解シリカの毛細管状のエミッターの先細の先端が外径3.5cm360μm、内径50μmを有するSCIEX API 365 TurbolonSpray Sourceに結合され、さらにネブライズガス源に接続される。ポーラス電気化学セル(例えば、作用電極において)の電圧レベルは、ポテンショスタットによって制御される。
【0049】
図6は、ポーラスフローセルについて、2つの異なったフローレート(2.5μL/分および30μL/分)および界面電位において、それぞれの電子スプレー質量スペクトルを提供する。界面電位の範囲にわたり、フローレート2.5μL/分において、ポーラスフローセルを使用して得られた質量スペクトルを表す図6の質量スペクトルの頂点に示されるように、ポーラスセルは、制御された電気分解反応を示した。すなわち、低電位では、酸化が殆どなく、より高電位では、レセルピンの酸化はほとんど完全に近い。これは、低電位において、m/z609のみ(これは、陽子を得た親核の化合物、すなわち、M+H)、および、高電位において、酸化した核種m/z607およびm/z625の混合物によって、証明される。
【0050】
さらに、図6の質量スペクトルのボトムから示されるように、フローレート30μL/分において、電気化学セルの電極へ流れる溶剤の短い露出時間にために、低電圧における反応と比較し、作用電極においては、一般に、低減された電気化学反応という結果になった。レセルピンの酸化(初めはm/z625の種)もまた、完全に制御された。すなわち、低電位では無酸化が維持され、高電位でほとんど完全に酸化が維持される。ここで提供されたように、相対的に補助電極の狭い表面領域であるために、低界面電位および高フローレートにて、ポーラスセルにおいて、レセルピンの酸化は生じず、その結果、その電極での電気分解の逆反応が生じるのを防いだ。
【0051】
図7は、適用された界面電界にチャージするためのポーラスセルの応答時間反応を示し、ポーラスセルの電気化学制御能力を証明している。この試験のために使用された試料溶剤は、レセルピン20μM、水とアセトニトリル(アンモニウム・アセテート(NHOAc)5.0mMおよび酢酸0.75%)を1:1で調合した混合物であり、フローレート30μL/分でポーラスセルを通ってポンプされる。示されるように、レセルピンは、m/z625核種に酸化している大部分のレセルピン(706の曲線)およびm/z607核種に酸化しているわずかな部分(702の曲線)を伴い、作用電極の電位が−1.7Vから1.3Vにステップされる場合、レセルピンは酸化型になる。作用電極の電位が−1.7Vにリセットされたとき、酸化(m/z607およびm/z625核種に対応して)は殆ど生じない。さらに、図7から観察されるように、電位ステップの適用とその対応する記録された酸化との間の酸化応答時間は、2秒より少ない。したがって、図7によって表示されるように、ポーラスフローセルの作用電極電位の制御は、ポーラスセルにおいて生じる酸化の程度を実質的に制御するために使用され得、したがって、さもなければ、質量分光測定法分析、および/またはイオン源を必要とする分析の他のタイプのために利用可能であり得ない、化合物の分析および/またはイオン化したそれの核種を容易にする。さらに、異なる作用電極電位の適用に対応する応答時間は、相対的に速い。
【0052】
図8は、ドーパミンについて作用電極電位の範囲以上の酸化生成物強度を示し、溶剤中の検体の酸化の制御に対するポーラスセルの性能の他の実施例を提供している(その後は、例えば質量分光装置を使用し、分析および研究され得る)。図8に関係する試験の実施で、5mMのアンモニウム・アセテート(NHOAc)50%メタノール水(およそ7のpHレベルを有する)中のドーパミン20μMを含む溶剤は、図6から図8に関係する試験に使用されたポーラスセルと同様に、ポーラスフローセルを介してポンプされ(すなわち、図5の例示的な実施形態に示す電子スプレー装置の配置に類似する)、上流にあり、電子スプレー源から分断された(すなわち、図5の例示的な実施形態において示された電子スプレー源装置の配置と同様に)。認識されるように、作用電極電位がプラス方向にスキャンされた場合、質量電荷比154(806の曲線)を有するドーパミンの強度レベルにおける減少は、質量電荷比150を有するドーパミンの強度レベルにおける増加と同時に発生(曲線802、質量電荷比154を有するドーパミンの4つの電子および4つの陽子を損失したドーパミンの核種と一致する)し、ドーパミンが、示された作用電極電位の範囲において酸化されたことを示している。
【0053】
追加として、異なったフローレートでの検体の酸化を制御するため、ポーラスセルの能力を確かめるために、2.5μL/分から160μL/分の範囲のフローレートでドーパミンを酸化するためのポーラスセルの性能は、試験された。図9において、+500mVで電気的に流れているポーラスセルでのフローレートに基づく、ドーパミンの酸化(Palladium基準電極およびAg/AgCl基準電極電位値の数値を調整することなく関連する)は、フローレートが増加される場合、質量電荷比150(曲線902、4つの電子および4つの陽子を失ったドーパミン核種と一致する)を有するドーパミンの酸化した核種の存在量は減少することを示している。存在度m/z150である酸化したドーパミンの核種の減少は、ドーパミン(906曲線、質量電荷比154に対応する)の電気化学的に還元された形におけるわずかな増加と同程度である。図9でさらに示されたように、40μL/分よりも多いフローレートにおいて、m/z152の酸化したドーパミンの核種(曲線904、2つの電子および2つの陽子を失ったドーパミン核種に対応する)が観察され得る。しかしながら、高フローレートにおける存在度m/z152のドーパミンは、存在度m/z154のおよそ10%であり、おそらくその還元運動を伴う電極におけるドーパミン作用性の持続時間の競合の結果である。したがって、図9に示すように、ポーラスセルでの高フローレートの電気化学相互作用は、電気化学プロセスに関係する電極に対する検体溶剤の短時間の露出のために減少され、その結果、作用電極電位および/または溶剤フローレートを調節することによって、化合物(例えば、ドーパミン)の電気化学相互作用の程度は、制御され得、および/または完全に抑制される。
【0054】
図6〜図9が示すように、電子スプレープロセスにおいてポーラスセルを使用することは、電気化学セル内で起こっている電気化学反応の、性質および程度の制御を可能にする。この制御には、例えば動作している電極の電位を制御したり、ポーラスセルを介する溶剤のフローレートを制御すること等によって、例えば、所望しない電気化学反応を抑制すること(例えば、所望しない酸化という逆反応であり、この反応は、所望しない、検体化合物の酸化された核種を生じる。)が含まれる。電子スプレープロセスにおいて使用されるポーラスセル内で起こり得る電気化学反応の性質に対し、このような制御を行うことによって、質量分光計装置および/または他のタイプの装置および設備に供給され得る化合物(例えば、検体)のタイプに対し、より良い制御が得られる。
【0055】
以上のように、本明細書において開示されたものは、作用電極を提供するポーラス導電材料を含むフローセルと、フローセルに接続されており検体を含む溶剤を供給する入口と、フローセルに接続されており検体がフローセルを出ることを可能にする出口と、出口の直前に配置された対向電極と、作用電極および対向電極へ結合された電圧源とを有する、システムおよび方法である。本方法は、検体を含む溶剤を、作用電極を提供するポーラス導電材料を含むフローセルへ入口を介して供給することと、溶剤がフローセルを出ることを可能にする出口にフローセルを接続することと、出口の付近に対向電極を配置することと、作用電極および/または対向電極へ電圧源から電圧を供給することとを包含し得る。
【0056】
本明細書中に記載された方法およびシステムは、特定のハードウェアまたはソフトウェアの構成に制限されず、多数の計算または処理の動作環境において適用され得る。本方法およびシステムは、ハードウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせにおいて実行され、かつ/または、市販で入手可能なモジュールアプリケーションやデバイスから実行され得る。
【0057】
他に指定しない限り、「実質的に」という単語の使用は、正確な関係、性能、配置、向き、および/またはその他の特徴、さらに、当技術において一般的な知識を有する者であれば理解できるように、開示された方法およびシステムに実質的に影響を及ぼさない程度のこれらの変更を含むものと解釈できる。
【0058】
本明細書の全体を通じて、名詞を修飾する冠詞「a」または「an」の使用は、便宜上のものであると解釈でき、他に特に指定しない限り、修飾された名詞の単数形または複数形を含むものと解釈できる。
【0059】
特定の実施形態に関連して本方法およびシステムを説明したが、本方法およびシステムはこれに限定されるものではない。上記の教示に鑑みて、明らかに、多数の修正および変更が明白となり得る。例えば、本明細書中で先に述べたように、図は単一の電圧源の使用を示しているが、作用電極、出口、対向電極、および/または、本明細書中に記載した電子スプレー装置の例示的な実施形態のその他の部品や構成要素に、2つ以上の電圧源が電気的に結合され得る。同様に、使用されたポテンショスタットのような2つ以上のポテンショスタットは、作用電極および/または基準電極および/または補助電極のうち、少なくとも1つに結合され得る。さらに、2つ以上の作用電極および/または基準電極および/または補助電極がポーラスセルに提供され得、このような電極全ては、他の名称および/または用語で呼ばれ、または表記され得る。また、同じく本明細書中で先に述べたが、本明細書中に記載された、様々な非制限的な例示の実施形態を通じて実行された電子スプレープロセスを介して提供される、イオン源は、質量分光計装置および設備以外の様々なタイプの装置や設備へ提示され得る。
【0060】
本明細書中に記載および図示された、細部、材料、部品の配置において、多数のさらなる変更が当業者によってなされ得る。したがって、以下の請求項は本明細書中で開示された実施形態に制限されず、特に説明した以外の方法による実行を含むことができ、法律の下で認められる限り広く解釈されるということが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】ポーラス電気化学フローセルを用いた電子スプレーシステムの一実施形態である。
【図2】図1のポーラス電気化学セルの一実施形態の側断面図である。
【図3】ポーラス電気化学フローセルの一実施形態の分解組立図である。
【図4】ポーラス電気化学フローセルを用いた電子スプレーシステムの第2の実施形態である。
【図5】ポーラス電気化学フローセルを用いた電子スプレーシステムの第3の実施形態である。
【図6】電子スプレー質量分光測定法によってレセルピンを分析した場合の、2つの異なるフローレートおよび異なる界面電位における、ポーラス電気化学フローセルの電子スプレー質量スペクトルを示す。
【図7】電子スプレー質量分光測定法によってレセルピンを分析した場合の、印加された界面電位に対するポーラス電気化学フローセルの応答時間反応を示す。
【図8】ポーラス電気化学フローセルを用いた場合の、作用電極電位の範囲を通じたドーパミンに対する酸化生成物強度を示す。
【図9】ポーラス電気化学フローセルを用いた場合の、フローレートに基づくドーパミンの酸化を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの作用電極を提供する少なくとも1つのポーラス導電材料を含むフローセルと、
少なくとも1つの検体を包む溶剤を供給するための、該フローセルに接続された入口と、
該溶剤を該フローセルから排出するための、該フローセルに接続された出口と、
該出口の直前に配置された対向電極と、
該少なくとも1つの作用電極および該対向電極に結合された少なくとも1つの電圧源と、
を備える、装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの電圧源が、前記少なくとも1つの作用電極に結合された第1の電圧源、および前記対向電極に結合された別個の第2の電圧源を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記対向電極が、ギャップによって前記フローセルの前記出口から分離されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの電圧源が、前記フローセルにおける前記溶剤の電気分解を引き起こす、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの電圧源が、前記出口と前記対向電極との間に電界を生成し、該電界が、該対向電極の方へ前記溶剤の静電スプレーを助長している、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記対向電極が、質量分光計への入口を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記質量分光計が、スプレーされた溶剤における少なくとも構成要素の一部を識別する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのポーラス導電材料が、ポーラスグラファイト、ポーラスカーボン、ポーラスガラスカーボン、ポーラス導電ダイヤモンド、およびポーラス金属電極のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記出口が、電気的に非伝導性である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記出口が、伝導性である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記出口が、前記少なくとも1つの作用電極と電気的に通信する、請求項1の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの作用電極の特性が、前記溶剤の電気分解に作用する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの作用電極の特性が、材料、形状、サイズ、および前記フローセル内の位置のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記溶剤への電気分解の効果が、吸着作用、選択度、および効率のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの作用電極における電流を測定するための、少なくとも1つのデバイスをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
少なくとも1つのポーラス導電材料を含むフローセルであって、該少なくとも1つのポーラス導電材料が少なくとも1つの作用電極を提供し、該フローセルが、少なくとも1つの基準電極をさらに含む、フローセルと、
少なくとも1つの検体を含む溶剤を該フローセルに提供するための、該フローセルに接続された入口と、
該溶剤を該フローセルから排出するための、該フローセルに接続された出口と、
該出口の直前に配置された対向電極と、
該少なくとも1つの作用電極に結合された少なくとも1つの第1の電圧源と、
を備える、装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの第1の電圧源が、バッテリー、分圧器、ガルバノスタット、およびポテンショスタットデバイスのうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの第1の電圧源が、前記フローセルにおける前記溶剤の電気分解を引き起こす、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記出口および前記対向電極のうちの少なくとも1つに電気的に接続された少なくとも1つの第2の電圧源をさらに備えている、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記少なくとも第2の電圧源が、前記出口と前記対向電極との間に電界を生成し、該電界が該対向電極の方へ前記溶剤の静電スプレーを助長している、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つの作用電極および前記少なくとも1つの基準電極が、前記少なくとも1つの第1の電圧源に電気的に結合され、前記出口が、前記少なくとも1つの第2の電圧源に電気的に結合され、前記作用電極が該出口から電気的に分断されている、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記フローセルが、少なくとも1つの補助電極をさらに備え、該少なくとも1つの補助電極が前記少なくとも1つの第1の電圧源に電気的に結合されている、請求項16に記載の装置。
【請求項23】
前記対向電極が、質量分光計への入口を備える、請求項16に記載の装置。
【請求項24】
前記質量分光計が、スプレーした溶剤における少なくとも構成要素の一部を識別する、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つのポーラス導電材料が、ポーラスグラファイト、ポーラスカーボン、ポーラスガラスカーボン、ポーラス導電ダイヤモンド、およびポーラス金属電極のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項26】
前記出口が、電気的に非伝導性である、請求項16に記載の装置。
【請求項27】
前記出口が、伝導性である、請求項16に記載の装置。
【請求項28】
前記出口が、前記少なくとも1つの作用電極と電気的に通信する、請求項16の装置。
【請求項29】
前記少なくとも1つの作用電極の特性が前記溶剤の電気分解に作用する、請求項16に記載の装置。
【請求項30】
前記少なくとも1つの作用電極の特性が、材料、形状、サイズ、および前記フローセル内の位置のうちの少なくとも1つを含む、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記溶剤への電気分解の効果が、吸着作用、選択度、および効率のうちの少なくとも1つを含む、請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記少なくとも1つの作用電極における電流を測定するための、少なくとも1つのデバイスをさらに備える、請求項16に記載の装置。
【請求項33】
フローセルへ入口を介して溶剤を提供することであって、該溶剤が少なくとも1つの検体を含み、該フローセルが少なくとも1つの作用電極を提供する少なくとも1つのポーラス導電材料を含む、ことと、
該フローセルを、該溶剤を該フローセルから排出させるために出口へ接続することと、
該出口の直前に対向電極を配置することと、
少なくとも1つの電圧源から該少なくとも1つの作用電極および該対向電極のうちの少なくとも1つへ電圧を提供することと
を包含する、方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つの電圧源が、前記少なくとも1つの作用電極に結合された第1の電圧源、および前記対向電極に結合された別個の第2の電圧源を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記対向電極が、ギャップによって前記フローセルの前記出口から分離されている、請求33に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1つの電圧源が、前記フローセルにおける前記溶剤の電気分解を引き起こす、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1つの電圧源が、前記出口と前記対向電極との間に電界を生成し、該電界が、該対向電極の方へ前記溶剤の静電スプレーを助長している、請求33に記載の方法。
【請求項38】
前記対向電極が、質量分光計への入口を備える、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記質量分光計が、スプレーした溶剤における少なくとも構成要素の一部を識別する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つのポーラス導電材料が、ポーラスグラファイト、ポーラスカーボン、ポーラスガラスカーボン、ポーラス導電ダイヤモンド、およびポーラス貴金属電極のうちの少なくとも1つを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記出口が、電気的に非伝導性である、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記出口が、伝導性である、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
前記出口が、前記少なくとも1つの作用電極と電気的に通信する、請求項33の方法。
【請求項44】
前記少なくとも1つの作用電極の特性が、前記溶剤の電気分解に作用する、請求項33に記載の方法。
【請求項45】
前記少なくとも1つの作用電極の特性が、材料、形状、サイズ、および前記フローセル内の位置のうちの少なくとも1つを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記溶剤への電気分解の効果が、吸着作用、選択度、および効率のうちの少なくとも1つを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記少なくとも1つの作用電極における電流を測定するための少なくとも1つのデバイスを、前記少なくとも1つの作用電極に結合することをさらに包含する、請求項33に記載の方法。
【請求項48】
フローセルへ入口を介して溶剤を提供することであって、該溶剤が少なくとも1つの検体を含み、該フローセルが少なくとも1つの作用電極を提供する少なくとも1つのポーラス導電材料を含み、該フローセルが少なくとも1つの基準電極をさらに備える、ことと、
該フローセルを、該溶剤を該フローセルから排出させるために出口へ接続することと、
該出口の直前に対向電極を配置することと、
少なくとも1つの第1の電圧源から該少なくとも1つの作用電極へ電圧を提供することと
を包含する、方法。
【請求項49】
前記少なくとも1つの第1の電圧源が、バッテリー、分圧器、ガルバノスタット、およびポテンショスタットデバイスのうちの少なくとも1つを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記少なくとも1つの第1の電圧源が、前記フローセルにおける前記溶剤の電気分解を引き起こす、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記出口および前記対向電極のうちの少なくとも1つに電気的に結合された少なくとも1つの第2の電圧源をさらに備えている、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記少なくとも第2の電圧源が、前記出口と前記対向電極との間に電界を生じ、該電界が、該対向電極の方へ前記溶剤の静電スプレーを助長している、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記少なくとも1つの作用電極および前記少なくとも1つの基準電極が、前記少なくとも1つの第1の電圧源に電気的に結合され、前記出口が、前記少なくとも1つの第2の電圧源に電気的に結合され、前記作用電極が該出口から電気的に分断されている、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記フローセルが、少なくとも1つの補助電極をさらに備え、該少なくとも1つの補助電極が前記少なくとも1つの第1の電圧源に電気的に結合されている、請求項48に記載の方法。
【請求項55】
前記対向電極が、質量分光計への入口を備える、請求項48に記載の方法。
【請求項56】
前記質量分光計が、スプレーした溶剤における少なくとも構成要素の一部を識別する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記少なくとも1つのポーラス導電材料が、ポーラスグラファイト、ポーラスカーボン、ポーラスガラスカーボン、ポーラス導電ダイヤモンド、およびポーラス金属電極のうちの少なくとも1つを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項58】
前記出口が、電気的に非伝導性である、請求項48に記載の方法。
【請求項59】
前記出口が、伝導性である、請求項48に記載の方法。
【請求項60】
前記出口が、前記少なくとも1つの作用電極と電気的に通信する、請求項48の方法。
【請求項61】
前記少なくとも1つの作用電極の特性が、前記溶剤の電気分解に作用する、請求項48に記載の方法。
【請求項62】
前記少なくとも1つの作用電極の特性が、材料、形状、ザイズ、および前記フローセル内の位置のうちの少なくとも1つを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記溶剤への電気分解の効果が、吸着作用、選択度、および効率のうちの少なくとも1つを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記少なくとも1つの作用電極における電流を測定するための少なくとも1つのデバイスを、前記少なくとも1つの作用電極に結合することをさらに包含する、請求項48に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−527465(P2006−527465A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515255(P2006−515255)
【出願日】平成16年6月4日(2004.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/018008
【国際公開番号】WO2004/108299
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(505449748)イーエスエー, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】