説明

マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン

【課題】マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホンの提供。
【解決手段】マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン(20、30)は、応力残留問題を解決しマイクロホン感度をアップする。該マイクロホンは支持部(27)と振動膜(22)を包含する。該支持部(27)は該振動膜(22)の中心部分を支持し、これにより振動膜(22)が熱工程中に発生する応力を排除、放出し、該振動膜(22)を平坦に維持し、静電容量検出の精度をアップする。該マイクロホンはまた剛性振動膜(32)と弾性部品(33)を包含し得て、該剛性振動膜(32)は該弾性部品(33)上に設置され、これにより該剛性振動膜(32)が該弾性部品(33)の弾性作用により、背面電極(34)の方向に平行に移動し、該剛性振動膜(32)と該背面電極(34)間の静電容量変化を獲得し、比較的高い検出感度を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種のマイクロホンに係り、特に一種のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホンに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は周知のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン1の構造表示図である。それは背面電極2(back−plate)、振動膜3(membrane or diaphragm)及びスペーサ4を包含する。そのうち、該スペーサ4は該背面電極2と振動膜3の間に設置され、該振動膜3と背面電極2は相互に絶縁隔離され並びに平行に設置され、それぞれが平行板コンデンサの上電極と下電極を成している。
【0003】
背面電極2において振動膜3に対応する位置には複数の放音孔5(air hole)が開孔され、これら放音孔5は背面電極2を貫通し、並びにシリコン基板6に設置された背面チャンバ7(back chamber)に通ずる。
【0004】
該背面電極2と該振動膜3に電圧を印加し、その電気性質を異なるものとして並びに電荷を付帯させ、コンデンサを形成する。平行電極板の静電容量公式、すなわち、C=εA/d(そのうちεは誘電率、Aは二つの電極板の重なり合った面積、dは二つの電極板のギャップ)より、二つの電極の間のギャップ変化により静電容量値が変化することがわかる。これにより、音波が振動膜3に作用して該振動膜3を振動させ、ひずませる時、振動膜3と背面電極2の間のギャップが変化することにより、静電容量が変化し、電気信号に変換されて出力される。
【0005】
振動膜3と背面電極2の間の、攪乱、圧縮を受けた空気は、これら放音孔5より該背面チャンバ7へと放たれ、気圧変動過大により撓んだ振動膜3と背面電極2の構造の損壊が防止される。
【0006】
図2を参照されたい。それは、マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン1のパッケージ表示図である。該マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン1は基板8に設置され、並びに金属カバー9が形成する収容空間内にパッケージされる。
【0007】
そのうち、マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン1の振動膜3と背面電極2はそれぞれ変換チップ10に電気的に接続され、これにより背面電極2と振動膜3の間の静電容量変化が、該変換チップ10により電気信号に変換されて出力される。
【0008】
周知のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホンは音圧によりフレキシブル振動膜3がひずみを形成する特性により、フレキシブル振動膜と背面電極間の静電容量を変化させる。
【0009】
しかし、薄膜堆積によるフレキシブル振動膜の製造工程温度は極めて高く、且つ材料相互間の熱膨張係数は相互に差異があり、このため振動膜の製造の過程中に程度の異なる張応力或いは圧応力が累積し得る。振動膜に残存する応力は、振動膜の湾曲をもたらすか、或いはしわを形成し、このため振動膜表面が平坦でなくなり、よってその検出時の精度が下がる。さらに、マイクロホンの感度と振動膜の残留応力は反比例の関係を表し、このため過高の応力残留は感度の低下をもたらし得る。
【0010】
このため、特許文献1の「Solid state condenser and microphone devices」は、固定境界のないサスペンション振動膜を提出し、サスペンションアームにより振動膜を支持することで、振動膜を浮かせて温度効果が形成する応力を放出させている。
【0011】
特許文献2の「Miniature silicon condenser microphone」は、大型平板振動膜の一辺のみ固定する構造である。
【0012】
特許文献3の「Silicon microphone」は振動膜周縁の特殊構造設計、たとえば振動膜周縁に接線式の支持スプリングを設計することで、応力残留の問題を改善している。
【0013】
ただし、サスペンションアームによる支持を利用して浮かせるか、或いは周縁構造を改良する方式で応力残留問題を解決しても、その製造工程と設計はいずれも比較的複雑であり、且つ完全には応力残留の問題を解決できない。
【0014】
また、上述の従来の技術において、フレキシブル振動膜はひずむ時に背面電極と平行を保持できず、このため、振動膜と背面電極の間のギャップの変化の計算は容易でなく、精度が不足する。さらにマイクロホンの感度は駆動電圧に正比例し、このため、感度を上げるために駆動電圧を上げる時、周知のフレキシブル振動膜は崩壊(collapse)効果を発生しやすく、背面電極に貼り付き、マイクロホンの失効をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第US5490220号明細書
【特許文献2】米国特許第US5870482号明細書
【特許文献3】米国特許第US7023066号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、上述の周知のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホンの熱応力残留の問題、及び精度が比較的低い問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述の目的を達成するため、本発明は一種のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホンを提供し、それはベース、背面電極、固定部品及び振動膜を包含する。該ベースに背面チャンバが設置され、該背面電極は該ベースに設置され、該背面電極に複数の放音孔が開孔され、これら放音孔は該背面チャンバに通ずる。該固定部品は該ベース上に設置され、並びに支持部を包含する。該振動膜の中心部分は該支持部に支持され、これにより該振動膜が該背面電極に平行に且つ対向するように設置され、これにより該振動膜上の応力は該支持部より外に向けて放たれる。
【0018】
上述の目的を達成するため、本発明はまた一種のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホンを提供し、それはベース、背面電極、弾性部品及び剛性振動膜を包含する。該ベースに背面チャンバが設置され、該背面電極は該ベースに設置され並びに複数の放音孔が開孔され、且つこれら放音孔は該背面チャンバに連通する。該弾性部品は該ベースに設置される。該剛性振動膜において該背面電極に平行に且つ該背面電極に対応する位置に該弾性部品が設置される。これにより音波が該剛性振動膜に作用する時、該剛性振動膜は該弾性部品の弾性作用により該背面電極の方向に平行に移動する。
【発明の効果】
【0019】
以上の説明からわかるように、本発明のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホンにおいて、該振動膜は中心部分が支持され、これにより該振動膜に残留する応力は内から外に釈放され、これにより該振動膜の応力によりもたらされる変形、しわ、破裂などの問題が克服される。
【0020】
或いは、該剛性振動膜及び該弾性部品の組合せにより該剛性振動膜が垂直方向に移動させられ、並びに移動時に該剛性振動膜と該背面電極との間の平行関係が保持されることにより、該剛性振動膜と該背面電極の間の静電容量変化が両者の間のギャップにのみ関係し、コンデンサマイクロホンの感度、精度及び使用寿命を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】周知のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホンチップの構造表示図である。
【図2】周知のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホンのパッケージ表示図である。
【図3A】本発明の第1実施例の立体構造図である。
【図3B】本発明の第1実施例の立体断面図である。
【図4】本発明の第1実施例の動作表示図である。
【図5A】本発明の第2実施例の立体構造図である。
【図5B】本発明の第2実施例の立体断面図である。
【図6】本発明の第2実施例の動作表示図である。
【図7A】本発明の第2実施例の製造フロー表示図である。
【図7B】本発明の第2実施例の製造フロー表示図である。
【図7C】本発明の第2実施例の製造フロー表示図である。
【図7D】本発明の第2実施例の製造フロー表示図である。
【図7E】本発明の第2実施例の製造フロー表示図である。
【図7F】本発明の第2実施例の製造フロー表示図である。
【図7G】本発明の第2実施例の製造フロー表示図である。
【図7H】本発明の第2実施例の製造フロー表示図である。
【図7I】本発明の第2実施例の製造フロー表示図である。
【図8】本発明の実施例の異なる周波数下での出力結果図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の技術内容、構造特徴、達成する目的を詳細に説明するため、以下に実施例を挙げ並びに図面を組み合わせて説明する。
【0023】
図3A及び図3Bを参照されたい。これらは本発明の第1実施例の立体構造図及び立体断面図である。図示されるように、本発明は一種の中心支持型のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン20を提供し、それは、ベース21、背面電極24、固定部品23及び振動膜22を包含する。
【0024】
該ベース21に背面チャンバ26が開設され、該背面電極24は該ベース21に設置され、該背面電極24に複数の放音孔25が開設され、且つ該放音孔25は該背面チャンバ26に連通する。
【0025】
該固定部品23は該ベース21に設置され該背面チャンバ26を横に跨ぎ、並びに支持部27を包含する。該振動膜22は中心部分が該支持部27に支持されて固定端221を形成し、該振動膜22の周縁に、それに対して自由端222が形成される。
【0026】
該振動膜22は該背面電極24に平行且つ対向するように設置され、これにより振動膜22上の応力は該固定端221より該自由端222に向けて放たれる。
【0027】
該振動膜22に残存する応力は、通常、該振動膜22の中心より該振動膜22の外縁に向けて放射状の方式で釈放され、これにより良好な応力釈放効果を達成する。該振動膜22は該支持部27により該振動膜22の中心部分近くが支持される。
【0028】
そのうち、該支持部27により安定して振動膜22を支持する効果を考慮し、該支持部27が支持する該振動膜22の中心部分は、該振動膜22の重心とされるか、或いは該振動膜22の辺縁でない対称軸線上に位置するものとされ、たとえば、円形の振動膜22の円の中心を支持するものとされるが、これに限定されるわけではない。説明に便利であるように、以後は中心部分を代表として説明する。このほか、該支持部27は該固定部品23に固定された柱体とされ得る。
【0029】
上述の実施例中、該振動膜22はフレキシブル振動膜とされ、音波作用に伴い揺動或いは変形する。これにより該振動膜22に残留する応力は、上述の固定端221より該自由端222に向けて放たれ、応力により該振動膜22に皺或いは不平坦が形成されるのを防止する。
【0030】
このほか、上述の実施例中、該ベース21はシリコン基板とされ、該振動膜22と該背面電極24の材料はポリシリコンとされ、その上に円形の背面チャンバ26が設置されている。
【0031】
該固定部品23は交差態様とされ、端縁は該ベース21の背面チャンバ26の辺縁に固定される。
【0032】
該背面電極24は該ベース21の背面チャンバ26の一側に固定され、複数の放音孔25が開孔され並びに該固定部品23の設置空間が保留される。
【0033】
これにより、該振動膜22は平行に該背面電極24の上方に設置され、両者が平行板コンデンサの構造を形成する。
【0034】
図4を参照されたい。該マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン20は動作時に、該振動膜22と該背面電極24がそれぞれ正負の電圧を入力し、それが電気的に異なる電荷を付帯させられて平行板コンデンサとなる。
【0035】
該振動膜22の一表面が音声作用を受ける時、音声由来の圧力が該振動膜22の自由端222を揺動させ変形させ、該振動膜22と該背面電極24の間の静電容量を変化させる。これにより、外部回路の分析と演算により、音声信号が電気信号に変換されて出力される。同時に、該振動膜22の振動により攪乱された空気は該背面電極24の放音孔25より該背面チャンバ26に放出される。
【0036】
上述の実施例中、該マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホンはさらに少なくとも一つの絶縁部品28を包含し得る(図4において表示されている)。該絶縁部品28は該振動膜22と該背面電極24の間に設置され、たとえば、該振動膜22の該背面電極24に対向する側、或いは該背面電極24の該振動膜22に対向する側に設置され、図4には、該背面電極24に位置する二つの絶縁部品28が表示され、それぞれ該背面電極24の互いに異なる両端に設置されている。
【0037】
該振動膜22が過大な音圧を受けて該振動膜22の変形量が過大となる時、該絶縁部品28は緩衝効果を提供し、並びに該振動膜22と該背面電極24の間の電気的スペーサとされ、該振動膜22と該背面電極24が電気的接触を形成して損壊するのを防止する。
【0038】
このほか、該背面電極24はさらに複数の強化部(図示せず)を包含し得て、それは該背面電極24の一側に設置されて、該背面電極24全体の構造強度をアップする。
【0039】
図5Aと図5Bを参照されたい。これらは本発明の第2実施例の立体構造図及び立体断面図である。図示されるように、本発明はさらに、垂直方向移動型のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン30を提供し、それは、ベース31、背面電極34、弾性部品33及び剛性振動膜32を包含する。該ベース31に背面チャンバ36が開設され、該背面電極34は該ベース31に設置され、並びに複数の放音孔35が開設され、これら放音孔35は該背面チャンバ36に通ずる。
【0040】
該弾性部品33は該ベース31に設置され、該剛性振動膜32において該背面電極34に平行で且つ対向する位置に、該弾性部品33が設置される。
【0041】
これにより、音波が該剛性振動膜32に作用する時、該剛性振動膜32は該弾性部品33の弾性作用により該背面電極34の方向(すなわちZ軸方向)に平行に移動する。これにより、前述の該背面電極34に平行電極板静電容量公式に基づき、該剛性振動膜32と該背面電極34の間の静電容量変化は、△C=εA/(d−△x)に改められる。そのうち、△xは該剛性振動膜32が音圧(acoustic pressure)作用を受けた後の移動量であり、dは該剛性振動膜32が音圧作用を受ける前の該背面電極34とのオリジナルギャップである。
【0042】
ゆえに、周知のフレキシブル振動膜上の各点の該背面電極34との間のギャップ変化量が異なるのと比較して、本発明の静電容量変化は△xと関係があり、これによりさらに大きな静電容量変化量の出力ができ、効果的にマイクロホンの感度をアップできる。
【0043】
図5Bを参照されたい。該ベース31はシリコン基板とされ、その上に円形の該背面チャンバ36が設置されている。該弾性部品33は十字形の平板交差態様を呈し、4端が該ベース31の背面チャンバ36の辺縁に固定されている。
【0044】
該剛性振動膜32は円形状を呈し、並びに支持部品37(anchor)により該弾性部品33の十字交差部分に固定され、これにより該剛性振動膜32が該弾性部品33が構成する平面に平行とされる。
【0045】
該支持部品37の該弾性部品33と反対の端は該剛性振動膜32の円の中心に固定される。これにより該支持部品37が該剛性振動膜32を支持する時に、該剛性振動膜32の物理平衡を保持でき、並びに該剛性振動膜32が熱工程時に応力を放出するのを補助する。
【0046】
該背面電極34は該ベース31の背面チャンバ36の一側に固定され、複数の放音孔35が開孔され、並びに弾性部品33の設置空間が保留される。これにより該剛性振動膜32が背面電極34の上方に平行に設置され、両者が平行板コンデンサの構造を形成する。
【0047】
図6を参照されたい。がマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン30が動作する時、該剛性振動膜32と該背面電極34はそれぞれ正負の電圧を入力でき、電気性質の異なる電荷を付帯して平行板コンデンサとなる。
【0048】
該剛性振動膜32の一表面が音声作用を受ける時、音声由来の圧力は該弾性部品33に伝えられてそれを変形させ、該剛性振動膜32を該背面電極34に向けて移動させ(Z軸方向)、両者間の静電容量を変化させる。これにより、外部回路の分析と演算により、音声信号が電気信号に変換されて出力される。
【0049】
このほか、該マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン30は、少なくとも一つの絶縁部品38を包含し得る(図6参照)。該絶縁部品38は該剛性振動膜32と該背面電極34の間に設置され、たとえば、該剛性振動膜32の該背面電極34に対向する側、或いは該背面電極34の該剛性振動膜32に対向する側に設置され、図6には、該背面電極34に位置する二つの絶縁部品38が表示され、それぞれ該背面電極34の互いに異なる両端に設置されている。
【0050】
該剛性振動膜32が過大な音圧を受けて該剛性振動膜32の該背面電極34に向けての移動量が過大となる時、該絶縁部品38は緩衝効果を提供し、並びに該剛性振動膜32と該背面電極34の間の電気的隔離を形成し、該剛性振動膜32と該背面電極34が電気的接触を形成して損壊するのを防止する。
【0051】
さらに、該剛性振動膜32は複数の構造強化部を包含し得て(図示せず)、これらの構造強化部は強化リブとされて、該剛性振動膜32の一側に設置されて、剛性振動膜32全体の構造強度をアップし、並びに剛性振動膜32の剛性を保持する。
【0052】
この第2実施例中、該背面電極34にも複数の構造強化部39を設置可能で、これらの構造強化部39はたとえば強化リブとされ、該背面電極34の該剛性振動膜32に背向する一側に設置されて、背面電極34全体の構造強度をアップし、並びに背面電極34の剛性を保持する。
【0053】
図7Aから図7Iを参照されたい。これは本発明の第2実施例の製造フロー表示図である。これらの図面は図5A中の線分K−K’の断面表示図であり、且つ本発明の実施と理解に影響を与えずに、異なる部品中の電気的レイアウトフローは省略されている。
【0054】
まず、図7Aに示されるように、ベース31製造のための基材、たとえばシリコン基板40を準備する。
【0055】
続いて、図7Bに示されるように、該シリコン基板40に該背面電極34の設置位置を規定し、並びにその上にエッチングにより前述の構造強化部39を形成するための溝41を形成する。
【0056】
続いて、図7Cに示されるように、該シリコン基板40上にポリシリコン層42を堆積させる。該ポリシリコン層42はこれらの溝41にも充填されて、該背面電極34の構造強化部39構造を形成する。
【0057】
続いて、図7Dに示されるように、該ポリシリコン層42の該弾性部品33と該放音孔35の位置をエッチングし、並びに同時に該背面電極34のサイズ範囲を規定する。
【0058】
該背面電極34はこれらの構造強化部39によりその表面の平坦と構造剛性を保持でき、該弾性部品33はポリシリコン層の厚さの変更或いは材料選択により、自身の弾性を調整できる。
【0059】
その後、図7Eに示されるように、該背面電極34上に前述の絶縁部品38を形成する。これらの絶縁部品38の材質は窒化シリコンとされる。
【0060】
続いて、図7F及び図7Gに示されるように、該背面電極34の上方に中間層43を形成し、並びに同時に該支持部品37の形成位置を規定し、該支持部品37の形成位置は該弾性部品33の上方に位置し、該中間層43はたとえば二酸化シリコンとされる。
【0061】
その後、該中間層43上にさらにポリシリコン層44を堆積させる。該ポリシリコン層44は該剛性振動膜32と該支持部品37を規定するのに用いられる。
【0062】
続いて、図7Hのように、該シリコン基板40の底側をエッチングして背面チャンバ36を形成する。
【0063】
最後に図7Iのように、該中間層43をエッチングして除去し、該剛性振動膜32を該支持部品37により該弾性部品33の上に設置し、並びに該背面電極34に平行とする。
【0064】
図8は上述の実施例の周波数反応試験結果を示す。それは前述のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン30を静電容量読み出しチップ(capacitance
readout IC)(MS3110)に電気的に接続し、並びに半音波暗室(semi−anechoic chamber)においてラウドスピーカ(loudspeaker)の信号を収集した結果である。図からわかるように、サウンドレベルが94dB以下の時、上述のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン30の実施例の周波数検出範囲は10〜20,000Hzの間であった。
【0065】
マイクロエレクトロマシン工程により製造されたマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン30は、感度が高いほか、体積が小さく、低コスト等の長所を有する。周知のフレキシブル振動膜が残留応力処理が難しい問題を有するのに較べ、本発明の剛性振動膜32には応力が残留しにくく、比較的良好な検出感度を獲得できる。
【0066】
総合すると、本発明の提供するコンデンサマイクロホンは、該振動膜が中心部分を以て支持され、振動膜に残留する応力が内から外に放出される。
【0067】
或いは、該剛性振動膜及び弾性部品の組合せにより該剛性振動膜の垂直方向の移動可能とされ、並びに移動時に該背面電極との間の静電容量変化が僅かに両者間のギャップに関係し、これにより、振動膜の応力によりもたらされる変形、しわ、破裂などの問題を克服でき、並びにコンデンサマイクロホンの感度、精度及び使用寿命を改善する。
【符号の説明】
【0068】
20 マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン
21 ベース
22 振動膜
221 固定端
222 自由端
23 固定部品
24 背面電極
25 放音孔
26 背面チャンバ
27 支持部
28 絶縁部品
30 マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン
31 ベース
32 剛性振動膜
33 弾性部品
34 背面電極
35 放音孔
37 支持部品
38 絶縁部品
39 構造強化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン(20)において、
背面チャンバ(26)が設置されたベース(21)と、
該ベース(21)に設置され、該背面チャンバ(26)に連通する複数の放音孔(25)が開孔された背面電極(24)と、
該ベース(21)に設置されて、一つの支持部(27)を包含する固定部品(23)と、
中心部分が該支持部(27)に支持されて、該背面電極(24)に平行且つ対向するように設置される振動膜(22)とを包含し、これにより該振動膜(22)上の応力が該支持部(27)より外向きに釈放されることを特徴とする、マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン。
【請求項2】
請求項1記載のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン(20)において、該振動膜(22)は円形振動膜(22)とされ、且つ該支持部(27)が該振動膜(22)の中心を支持することを特徴とする、マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン。
【請求項3】
請求項1記載のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン(20)において、該振動膜(22)はフレキシブル振動膜(22)とされるか、剛性振動膜(32)とされることを特徴とする、マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン。
【請求項4】
請求項1記載のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン(20)において、該背面電極(24)はさらに該背面電極(24)の一側に設置された複数の構造強化部を包含することを特徴とする、マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン。
【請求項5】
請求項1記載のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン(20)において、該ベース(21)の材料はシリコンとされ、該振動膜(22)の該背面電極(24)の材料はポリシリコンであることを特徴とする、マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン。
【請求項6】
請求項1記載のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン(20)において、少なくとも一つの絶縁部品(28)をさらに包含し、該絶縁部品(28)は該振動膜(22)と該背面電極(24)の間に設置されて、該振動膜(22)が該背面電極(24)に接触するのを防止し、該絶縁部品(28)の材料は窒化シリコンとされることを特徴とする、マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン。
【請求項7】
マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン(20)において、振動膜(22)を包含し、該振動膜(22)の中心部分は支持部品(37)により支持されて固定端(221)を形成し、該振動膜(22)の周縁にそれに対して自由端(222)が形成され、該振動膜(22)上の応力が該固定端(221)より該自由端(222)に向けて釈放されることを特徴とする、マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン。
【請求項8】
マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン(30)において、
背面チャンバ(36)が設置されたベース(31)と、
該ベース(31)に設置され、該背面チャンバ(36)に連通する複数の放音孔(35)が開孔された背面電極(34)と、
該ベース(31)に設置された弾性部品(33)と、
該背面電極(34)に平行に設置され且つ該背面電極(34)に対応する位置に上記弾性部品(33)が設置された剛性振動膜(32)とを包含し、音波が該剛性振動膜(32)に作用する時、該剛性振動膜(32)は該弾性部品(33)の弾性作用により、該背面電極(34)に平行に該背面電極(34)の方向に移動することを特徴とする、マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン。
【請求項9】
請求項8記載のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン(30)において、支持部品(37)をさらに包含し、該支持部品(37)は該弾性部品(33)と該剛性振動膜(32)の間に設置され、これにより該剛性振動膜(32)が該弾性部品(33)に支持されることを特徴とする、マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン。
【請求項10】
請求項9記載のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン(30)において、該剛性振動膜(32)は円形状とされ、且つ該支持部品(37)は該剛性振動膜(32)の円の中心を支持することを特徴とする、マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン。
【請求項11】
請求項8記載のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン(30)において、該剛性振動膜(32)及び該背面電極(34)は複数の構造強化部(39)を包含し、それぞれ該剛性振動膜(32)と該背面電極(34)の一側に設置されたことを特徴とする、マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン。
【請求項12】
請求項8記載のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン(30)において、該ベース(31)の材料はシリコンとされ、該剛性振動膜(32)と該背面電極(34)の材料はポリシリコンとされることを特徴とする、マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン。
【請求項13】
請求項8記載のマイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン(30)において、少なくとも一つの絶縁部品(38)をさらに包含し、該絶縁部品(38)は該剛性振動膜(32)と該背面電極(34)の間に設置されて、該剛性振動膜(32)が該背面電極(34)に電気的に接触するのを防止し、該絶縁部品(38)の材料は窒化シリコンとされることを特徴とする、マイクロエレクトロマシンコンデンサマイクロホン。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図7H】
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【図7I】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−244448(P2011−244448A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106244(P2011−106244)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(595064050)國立清華大學 (6)
【Fターム(参考)】