説明

マイクロキャリアのためのコーティング

本発明は少なくとも1つの層の高分子電解質および一層の磁性物質により被覆される担体に関する。これらの担体は磁場中で操作し得る。蛍光核を含んでなるマイクロキャリア上の本発明のコーティングの塗布は均一な発光を伴う担体をもたらす。加えて、該核に符号が提供される場合、これはその改良された読み取りを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の交差引用
本出願は2006年9月20日に出願された欧州特許出願第06 019 661.5号(その開示はそっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)の優先権を主張する。
【0002】
技術分野
本発明はマイクロキャリアのためのコーティングに関し、それに際し該コーティングは例えば符号の読み取りおよび/若しくは書き込みのための磁場内での該マイクロキャリアの方向付け(orientation)を可能にし、ならびにそれへの試薬の最適の結合を可能にする。さらに、本発明のコーティイングはマイクロキャリア上の符号の読み取りを妨害しない。
【背景技術】
【0003】
薬物発見および薬物スクリーニングは、非常に多数の化合物若しくは分子でアッセイを実施することを一般に必要とする。これらのアッセイは、典型的に、目的の化合物について化学物質ライブラリーをスクリーニングすること、試験サンプル中の特定の標的分子についてスクリーニングすること、および分子間の目的の化学的および生物学的相互作用について全般的に試験することを包含する。それらは従って何千もの個別の化学若しくは生物学的反応を実施することをしばしば意味する。マイクロタイタープレートの空間的制限を回避しかつ試薬のより効率的な使用を可能にするために、支持体としてのマイクロキャリア上でのハイスループットアッセイおよび反応の実施方法が開発された。各マイクロキャリアは、反応体として作用するためのその表面に結合された1種の特定のリガンドを含有することができ、そして、各マイクロキャリアの反応は、該マイクロキャリアを識別しかつ従ってその表面に結合された特定のリガンドを識別する「符号」のマイクロキャリア上の存在により追跡される。こうした符号化は、それぞれ特定の1リガンドをそれらの表面に結合させた何千個もの独特に符号化されたマイクロキャリアを全部混合しかつ同時にアッセイにかけうることを意味する「ランダム処理」を見込む。結合されたリガンドと標的被検体の間の目的の反応を示すマイクロキャリアをそれらの符号に基づき識別してそれにより目的の反応を生じるリガンドに関する情報を提供し得る。
【0004】
多様な型の符号化されたマイクロキャリアが長い年月に出現した(非特許文献1に総説されている)。符号の暗号化および識別に関する重要な一問題は、マイクロキャリアのランダムな位置決めならびにマイクロキャリアの符号化および識別の効率の結果としての欠如である。この問題は、磁場中のマイクロキャリアの操作を可能にするマイクロキャリアのコーティング中への磁性物質の取り込みにより特許文献1で扱われている。特許文献1に記述される金属被覆ビーズは、しかしながら符号化されたマイクロキャリアの適正な読み取りを妨げ得るまだらの外見を提供する。主としてあるアッセイ段階で粒子を固定化するという目的を伴い、若しくは該粒子の試薬からの迅速な分離を可能にするため、多様な型の磁性マイクロキャリアが従来技術に記述されている。特許文献2はポリマーおよび金属粒子の混合物で被覆されたビーズを記述する。特許文献3は磁性ビーズで架橋された粒子を記述する。特許文献4は、中心核の除去後に高分子電解質分子およびナノ粒子の複数の交互の層の殻よりなる、layer−by−layer技術を使用して被覆されるビーズを記述する。該ナノ粒子はFeのような磁性粒子の層の使用により場合によっては着磁される。これらのビーズのいずれも符号化されることが記述されず、そしてこれらの開示は、マイクロキャリアの表面上に書かれた符号の読み取りのコーティングの妨害を考慮に入れていない。磁場中の方向付けおよび符号検出の制限された妨害のため磁性の特
性を組合せる交互コーティングが必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO第0233419号
【特許文献2】WO第9109141号
【特許文献3】US第6,773,812号
【特許文献4】US第6,479,146号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Braeckmansら(2002)Nat.Rev.Drug Discov.1(6)、447−456
【発明の概要】
【0007】
これゆえに、磁場中で方向付けし得かつ符号化に適する被覆されたマイクロキャリアを提供することがとりわけ有利でありかつ本発明の全般的一目的である。
【0008】
本発明の第一の局面は、高分子電解質物質を含んでなる少なくとも1つの層、および磁性物質、より具体的には500ナノメートル未満の磁性粒子を含んでなる常磁性物質を含んでなる少なくとも1つの層で被覆された核を有するマイクロキャリアに関し、磁性物質を含んでなる少なくとも1つの層が高分子電解質物質を含んでなる少なくとも1つの層の1つの上に塗布される。
【0009】
一態様によれば、マイクロキャリアは磁性粒子の1つの単一層を含んでなる。
【0010】
本発明の特定の態様において、マイクロキャリアの核は漂白可能な物質を含んでなる。
【0011】
特定の態様において、マイクロキャリアは複数の層の高分子電解質物質、具体的には高分子電解質物質を含んでなる2と10の間の層を含んでなる。これらの態様において、磁性物質を含んでなる1つの単一層が存在しうるか、若しくは1以上のこうした層が存在しうる。通常は、しかしながら、大部分の応用について磁性粒子を含んでなる1つの単一層が十分である。
【0012】
特定の一態様によれば、マイクロキャリアの外層は負に荷電した高分子電解質物質を含んでなる層である。
【0013】
特定の一態様によれば、磁性物質は強磁性物質である。
【0014】
特定の態様によれば、本発明のマイクロキャリア上の磁性物質の層に存在する磁性粒子は200と400ナノメートルの間の大きさを有する。
【0015】
特定の態様によれば、本発明のマイクロキャリアは1と500μmの間、例えば10と100μmの間の直径を有する。
【0016】
さらなる特定の態様によれば、マイクロキャリアは符号化される。
【0017】
一態様によれば、マイクロキャリアはマイクロキャリアの中央面で符号化される。
【0018】
本発明のマイクロキャリアの特定の態様は、高分子電解質物質の外層に結合された1種若しくはそれ以上のプローブをさらに含んでなる。
【0019】
本発明の第二の局面は、微小粒子を提供する段階、該微小粒子上に高分子電解質物質を含んでなる層を塗布する段階、および500ナノメートル未満の粒子を含んでなる磁性物質を含んでなる層を高分子電解質物質の層の上に塗布する段階を含んでなる、磁性マイクロキャリアの製造方法を提供する。特定の態様において、高分子電解質物質および磁性物質の複数の交互の層は前の段階を反復することにより連続的に塗布される。特定の態様において、該方法は付加的に高分子電解質物質の1つの外層を付加することを含んでなる。
【0020】
本発明の方法のさらなる特定の態様は、
a)微小粒子を提供する段階、
b)正に荷電した高分子電解質を含んでなる一層を塗布する段階、若しくは交互の電荷をもつ電解質を含んでなる複数の層を塗布する段階(ここで外層は正の電荷を有する)、
c)段階(b)で得られた粒子上に磁性粒子の一層を塗布する段階、
d)場合によっては、段階b)およびc)を1回若しくはそれ以上反復して、それにより正に荷電した高分子電解質を含んでなる一層を前の段階(c)で得られた磁性粒子の層の上に繰り返し塗布する段階、ならびに
e)正に荷電した高分子電解質を含んでなる一層を塗布する段階、若しくは交互の電荷を含んでなる交互の電荷をもつ電解質を含んでなる複数の層を塗布する段階(ここで内層は正の電荷を有する)
を含んでなる。
【0021】
本発明のさらなる一局面は、磁場中でマイクロキャリアを操作するための上述されたところのマイクロキャリアの使用に関する。
【0022】
本発明のさらなる一局面は、符号化されたマイクロキャリア上の金属物質の均一な分布を改善するためのlayer−by−layerの技術の使用に関する。
【0023】
本発明のさらなる一局面は、マイクロキャリアの外層へのプローブの結合のための上述されたところのマイクロキャリアの使用に関する。
【0024】
本発明は、少なくとも1つの層の高分子電解質上に少なくとも1つの層の磁性粒子で被覆された核を含んでなり、それにより表面へのプローブの結合が最適化されかつマイクロキャリア上の符号の視覚的検出すなわち読み取りを妨害しないことを該コーティングが確実にするために該コーティングが該マイクロキャリアをハイスループットアッセイでの使用にとりわけ適するようにする、マイクロキャリアを提供する。
【0025】
本発明は、従って、a)マイクロキャリアの操作のための磁気特性、b)マイクロキャリアへの捕捉プローブの結合効率の最適化、およびc)暗号化された符号の最適の可視化をマイクロキャリアのコーティング中で組み合わせることを可能にする。これは、layer−by−layer(LbL)技術のような方法を使用して高分子電解質物質および磁性粒子の交互の層(1つ若しくは複数)を塗布することにより達成される。
【0026】
本発明は、それらの符号の適切かつ高められた読み出しを可能にするように磁場中で位置決めされ得るマイクロキャリアを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は、記述される特定の態様に本発明を制限することを意図していない以下の記述を考慮する場合により良好に理解されることができかつ上で示されたもの以外の目的が明らかになるであろう。こうした記述は引用することにより本明細書に組み込まれる付属する図面を参照し、ここで
【図1】マイクロキャリアのLbL修飾の一態様の図解を示す。反対の電荷をもつ荷電したポリマーを該担体に連続的に負荷する(PAH=ポリアリルアミン塩酸塩;PSS=ポリスチレンスルホン酸;PAA=ポリアクリル酸)。二酸化クロム粒子(CrO、大きさ<0.45μm)の一層を、正に荷電した電解質の二層の間に形成する。
【図2】a)LbL技術による39μmの担体の表面での二酸化クロム粒子(大きさ<0.45μm)の取り込み(上行)。b)WO第0233419号に記述されるところの商業的磁性粒子(中行)およびc)被覆されない非磁性担体(行3)を示す。画像はBioRad mrc1064共焦点レーザー走査装置で撮影する。左列:該担体の上面(表面)の共焦点蛍光画像;中列:該担体の中央面の共焦点蛍光画像;右列:該担体の蛍光概要画像。
【図3】LbL技術による39μmのマイクロキャリアの表面の異なる大きさ(<0.1μm、<0.22μmおよび<0.45μm)をもつ二酸化クロム粒子の取り込みの例を示す(それぞれ行1、2および3)。比較として、商業的磁性担体(行4)および被覆されないマイクロキャリア(行5)を描く。画像はBioRad mrc1064共焦点レーザー走査装置で撮影する。左列:マイクロキャリアの中央面の共焦点蛍光画像;中列:マイクロキャリアの上面(表面)の共焦点蛍光画像;右列:マイクロキャリアの蛍光概要画像。励起波長=488nm。
【図4】Cy5標識プローブの結合効率に対する多様な型の商業的に入手可能なマイクロキャリアのLbL修飾の効果を示す(アミノ標識20−merオリゴヌクレオチドを、カルボジイミドを介してPAAのカルボキシル基に結合する)。左部分:被覆されないマイクロキャリア;右部分:LbL修飾したマイクロキャリア。第一列:10μmの大きさにされたマイクロキャリア;第二列:39μmの大きさにされたマイクロキャリア;第三列:48μmの大きさにされたマイクロキャリア。マイクロキャリアは488nmのレーザー波長で励起し(列1および4);Cy5標識プローブは647nmの波長で励起する(列2および3)。
【発明を実施するための形態】
【0028】
第一の局面において、本発明は、マイクロキャリアの核若しくはその上に提供された符号の可視性に影響を及ぼすことなく磁場中のマイクロキャリアの位置決めおよび方向付けを可能にするコーティングをマイクロキャリアに提供する。
【0029】
「マイクロスフェア」、「ビーズ」ともまた称される、本明細書で使用されるところの「マイクロキャリア」は、1種若しくはそれ以上のプローブを運搬するのに適する1μmないし500μmの範囲の大きさの粒子に関する。
【0030】
本明細書で使用されるところの「磁性の」という用語は、限定されるものでないが強磁性、常磁性および超磁性物質を挙げることができる、磁場に応答する全部の型の物質を包含する。
【0031】
本明細書で使用されるところの「高分子電解質」という用語は合成および天然双方の高分子電解質を包含する。
【0032】
本発明の情況において、「外」層に参照がなされる場合、核からほとんど除去されかつそれ自体が本発明のコーティングの層の1つにより覆われない層を指すことを意図している。
【0033】
本発明は被覆されたマイクロキャリアに関する。典型的には、コーティングの下に、該
マイクロキャリアは、反応容量若しくは支持体として機能する「核」若しくは「中心部」を含有する。この核はハイスループットスクリーニング技術および診断薬で慣例に使用されるいかなる物質から製造してもよい。例えば、マイクロキャリアの核は、固体、半固体若しくは固体および半固体の組合せから作成することができ、そして化学的および生物学的アッセイおよび合成で使用されるもののような支持体であり得る。これらの物質の制限しない例は、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、寒天、細孔ガラス、シリカゲル、ポリスチレン、臭化ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアクロレイン、ポリブタジエン、ポリカプロラクトン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリジメチルシロキサン、ポリイソプレン、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピリジン、ポリ塩化ビニルベンジル、ポリビニルトルエン、ポリ塩化ビニリデン、ポリジビニルベンゼン、ポリメチルメタクリレート、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリホソファーゼ(polyphosophaze)、ポリスルホン、ポリエチレングリコール/ポリスチレンのようなグラフトコポリマー、架橋デキストラン、メチルスチレン、ポリプロピレン、アクリル酸ポリマー、カーボン、グラファイト、ポリカーボネート、ポリペプチド、ヒドロゲル、リポソーム、タンパク質性ポリマー、二酸化チタン、ラテックス、樹脂、脂質、セラミック、石炭、金属、ベントナイト、カオリナイト、ゴム、ポリアクリルアミド、ラテックス、シリコーン、例えばポリジメチルジフェニルシロキサン、ジメチルアクリルアミドなどを包含するか、若しくはそれらの組合せが同様に許容できる。特定の一態様によれば、マイクロキャリアの核はそれ自体微小粒子すなわち固体若しくは半固体の粒子である。最も具体的には、本発明のマイクロキャリアの生成に使用される核は、ラテックス、ポリスチレン若しくは架橋デキストランから作成される微小粒子である。
【0034】
マイクロキャリアの大きさおよび形状は本発明に決定的に重要でない。最も具体的には、本発明のマイクロキャリアはその符号化、位置決めおよび方向付けに適する形状および大きさのものである。例えばマイクロキャリアは球状、または例えば筒状若しくは卵形の形態にあってよい。形状が球状の場合、マイクロキャリアは典型的に1ないし300μmの直径を有する。本発明の特定の態様は1ないし200μmの直径を有するマイクロキャリアに関する。最も具体的には、本発明のマイクロキャリアの平均大きさは10から100μmまでの範囲にわたる。
【0035】
本発明によれば、本発明のマイクロキャリアのコーティングは少なくとも1つの層の磁性粒子を含んでなる。これは磁場中でのそれらの操作を可能にする。
【0036】
本発明の特定の一態様によれば、磁性ナノ粒子は超常磁性若しくは常磁性粒子であるとは言え、強磁性金属酸化物もまた使用し得る。
【0037】
典型的には、磁性粒子は、限定されるものでないが酸化クロム若しくは酸化鉄(III)粒子を挙げることができる金属酸化物粒子である。磁性粒子の特定の例は、Cr、Fe、Fe、NiおよびCo金属、他の金属の酸化物および金属の粒子を包含する。磁性物質はマイクロキャリアの0.1から50重量%までの範囲にわたる比に相当し得るか、または0.5から40%までの範囲にわたるか若しくは例えば1から30%までの範囲にわたる濃度のマイクロキャリアの重量比に相当し得る。特定の態様において、コーティング溶液中の粒子の密度は0.5と20%の間である。
【0038】
本発明は少なくとも1つの層の磁性粒子を含んでなるマイクロキャリアのコーティングに関し、このコーティングは該マイクロキャリアの核上または中に提供される符号の読み取りをそれらが妨害しないという特徴を特徴とする。マイクロキャリアの内核の可視性は
コーティング中で使用される磁性粒子の大きさにより影響される。本発明によればコ―ティング中の磁性粒子の大きさは500nm(最大寸法で測定される)未満、より具体的には400nm未満である。通常、該粒子は磁気特性を確保するために約40nmより小さくないことができる。特定の一態様によれば、磁性粒子の大きさは50と400nmの間、より具体的には100と400nmの間である。本発明のコーティングでの使用に適する磁性粒子は商業的に入手可能である(例えばSIGMA−ALDRICH、FLUKA)。場合によってはこうしたストック溶液を超音波処理する。磁性粒子は500nm未満の平均大きさをもつ金属酸化物ストック溶液を製造することにより得ることができる。これは、0.5から2.0まで変動する二価対三価金属塩の比の二価および三価金属塩の水性混合物を強塩基の存在下で加熱しかつ沈殿させることにより行い得る。磁性粒子の溶液は、場合によっては0.1μm、0.22μm若しくは0.45μm孔フィルターを通して濾過し得る。
【0039】
本発明により、高分子電解質の層上に堆積された少なくとも1つの層の磁性粒子を含んでなるコーティングが提供される。
【0040】
本発明の情況で予見される高分子電解質は合成および天然双方の高分子電解質を包含する。本出願の情況内で予見される合成高分子電解質は、限定されるものでないが、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSS)、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)、ポリ塩化ジアリルジメチルアンモニウム(PDDA)、ポリ塩化アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウム、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアネトールスルホン酸、ポリビニル硫酸(PVS)およびポリビニルスルホン酸を挙げることができる。こうした物質は、しかしながらそれらが潜在的に抗原性若しくは毒性であるためにある種の生物医学の応用に一般に有用でない。応用の型に依存して、ヒアルロナン、キトサン若しくは荷電ポリペプチドのような生物適合性の高分子電解質を使用し得る。
【0041】
高分子電解質はその反復単位が電解質基をもつポリマーである。これらの基は水性溶液(水)中で解離してポリマーを荷電させることができる。
【0042】
陽イオン基をもつ(正に荷電した、例えばポリL−リシン(PLL)、ポリ(エチレンイミン)(PEI)、ポリ(塩化ジメチルジアリルアンモニウム)(PDDA)、ポリ(アリルアミン)(PAH)、ポリリシン、キトサン)高分子電解質はポリカチオンと称され;陰イオン基をもつ(負に荷電した、例えばサクシニル化PLL(SPLL)、ポリ(スチレンスルホン酸)(PSS)、ポリ(ビニル硫酸)、ポリ(アクリル酸)、ヘパリン、DNA)高分子電解質はポリアニオンと称される。
【0043】
本発明により、1若しくはそれ以上の層の高分子電解質および少なくとも1つの層の磁性粒子を含んでなるコーティングが提供される。場合によっては、複数の層の高分子電解質がコーティング内で高分子電解質多層(PEM)を形成する。
【0044】
特定の一態様によれば、高分子電解質および磁性粒子の1若しくはそれ以上の連続層を含んでなる本発明のコーティングが、layer−by−layer(LbL)堆積技術を使用してマイクロキャリアの核上に提供される。LbL堆積の間に、適する成長基質(通常荷電した)を、正および負に荷電した高分子電解質溶液の希釈浴の間で相互に浸漬する。各浸積の間に少量の高分子電解物が吸着され、そして表面電荷が逆転されて、静電気で結合されるポリカチオン−ポリアニオンの層の薄膜の徐々のかつ制御された蓄積を可能にする。本発明により、LbLコーティング中の少なくとも1つの層の高分子電解質が一層の荷電した磁性ナノ粒子により置換される。LbL技術による高分子電解質の堆積は、例えばPeyratoutとDahne(2004)Angew Chem Int Ed Engl.43、3762−3783の総説に記述されている。金属層がマイクロキャリア上に堆積されるLbL技術はUS第6479146号に記述されている。LbL堆積は静電気の代わりに水素結合を使用してもまた実施し得る。
【0045】
本発明のコーティングの特定の一態様によれば、前記コーティングは、高分子電解質、最も具体的には限定されるものでないがPAH若しくはPEIを挙げることができる正に荷電した高分子電解質の第一層、次いで一層の磁性粒子を含んでなる。さらなる特定の一態様によれば、該コーティングは、磁性粒子の層の上に高分子電解質および/若しくは磁性粒子の1若しくはそれ以上の付加的な層(電荷が交替する)をさらに含んでなる。最も具体的には、磁性粒子の第一層は2層の正に荷電した高分子電解質の間に提供され、そして反対に荷電した高分子電解質(および場合によっては磁性粒子)のさらなる層が交互になる。本発明の特定の一態様によれば、コーティング中の層の総数は2ないし10の間を含んでなる。1層の磁性粒子が本発明の方向付けの目的上十分であり得る一方、数層の金属粒子が、こうしたマイクロキャリア上の符号の読み取りを妨げるレベルまでマイクロキャリアの核により発射される光に大きく影響を及ぼさずにマイクロキャリアのコーティング中に存在し得ることもまた予見される。本発明の特定の一態様によれば、LbL被覆
されたマイクロキャリアはその外表面上に1層のポリマーをさらに含んでなる。しかしながら、一般に、本発明のLbL被覆されたマイクロキャリアは外層として高分子電解質層を有する。外層の電荷の選択はマイクロキャリアの所望の応用に依存して選択し得る。高分子電解質層はマイクロキャリアの表面への1種若しくはそれ以上のプローブの効率的な付着を可能にする。
【0046】
本発明によれば、提供されるコーティング中に存在する1若しくはそれ以上の高分子電解質層は、マイクロキャリアの表面へのプローブの最適な結合を可能にする。本明細書で使用されるところの「プローブ」という用語は、マイクロキャリア上で起こり得る反応にて有用ないかなる生物学的若しくは化学的分子も指す。典型的なプローブは、タンパク質(抗体、受容体若しくは受容体リガンド)、DNA(例えばオリゴヌクレオチド)、RNA、炭水化物、小分子、酵素阻害剤、酵素基質、ライブラリーからの製薬学的化合物などを包含する。本発明の特定の一態様によれば、プローブはコーティングの高分子電解質層に結合される。この結合は、反対の電荷を介して直接、若しくは高分子電解質層上の官能基および標的上の官能基と反応するリンカーを介してのいずれでもあり得る。プローブはマイクロキャリア上への電解質層のコーティング後に別個の段階で電解質層に塗布し得る。あるいは、1種若しくはそれ以上のプローブを、マイクロキャリアのLbLコーティングの間にコーティングの電解質層に組み込み得る。プローブはコーティング中の電解質の1若しくはそれ以上の内若しくは外層上に付加し得るか若しくはそれ中に組み込み得る。特定の一態様によれば、プローブは本発明のコーティングの外電解質層に結合される。
【0047】
従って、本発明のさらなる一局面は、少なくとも1つの層の500nm未満の磁性粒子および少なくとも1つの層の高分子電解質、ならびに、場合によっては、その上に存在する生物学的若しくは化学的反応での使用のための1種若しくはそれ以上のプローブを含んでなるLbL被覆されたマイクロスフェアを提供する。
【0048】
LbLで層状にされたマイクロキャリアは、限定されるものでないが、マイクロキャリアのコーティングに結合されているプローブによりサンプル中の標的が検出されるアッセイを挙げることができる広範なアッセイで使用し得る。プローブとその標的の間の反応はプローブと標的の間の結合であり得る(例えばアビジン/ビオチン、抗体/抗原、抗体/ハプテン、受容体/リガンド、糖/レクチン、相補核酸(RNA若しくはDNA、またはそれらの組合せ))が、しかしプローブと標的あるいはその逆の間の化学反応(例えば酵素/基質、酵素/補助因子、酵素/阻害剤)かつ/あるいは免疫グロブリン/ブドウ球菌プロテインA相互作用でもまたあり得る。
【0049】
本発明により、その上の符号を読み取りかつ/若しくは書き込むのに最適に適するコーティングがマイクロキャリアに提供される。本発明の情況において、予見される符号はマイクロキャリアの内側若しくはその外表面上に創製されるいかなる空間調節も包含する。この空間調節は、マイクロキャリアの内側若しくはその表面上に配置される有限数の個別の体積要素の既知の配置と定義しうる。個別の体積要素の既知の配置は、(i)個々の体積要素中の物質の1種若しくはそれ以上の特性を変えること、または(ii)個々の体積要素から物質を除去すること、または(iii)個々の体積要素上に物質を堆積させること、または(iv)個々の体積要素を変化されないままにすること、あるいは上の可能性の組合せにより生成し得る。この既知の配置は、例えば、これらの体積要素が線配置上に若しくは1面にのような1若しくはそれ以上の次元に頼るようでありうる。マイクロキャリア「上」に書き込まれる符号への本出願でのいかなる言及も、従ってマイクロキャリアの表面に書き込まれる符号ならびにマイクロキャリアの内部深度に書き込まれる符号を包含する。
【0050】
本発明の特定の一態様によれば、被覆されたマイクロキャリアは、該マイクロキャリアの内部深度に、より具体的には該マイクロキャリアの中央面に符号を提供される。マイクロキャリアの形状に依存して、中央面に符号を書き込むことは、それが書き込みに利用可能な最大表面積を提供するために有利であり得る。さらに、湾曲表面を有するマイクロキャリアについて、中央面に符号を書き込むことは、該平坦面が湾曲表面と比較して読み取りおよび若しくは書き込みを容易にするために有利でもまたありうる。
【0051】
本発明の符号は、マイクロキャリア上で書き込みかつ読み取り得るいかなる形状、設計若しくは記号のものであってもよい。例えば、符号は数字若しくは文字として、または記号、絵、バーコード、リングコード(ring code)若しくは三次元符号の形態の符号として書き込みうる。リングコードは直線よりむしろ同心円を使用することを除きバーコードに類似である。1個の輪は例えば1本のバーと同一の情報を含有しうる。
【0052】
本発明の特定の一態様によれば、マイクロキャリアはWO第063695号に記述される方法を使用して符号化する。本態様により、マイクロキャリアは漂白可能な物質を含有し、および、マイクロキャリア上の符号はマイクロキャリアの漂白可能な部分内の漂白されるパターンの形態にある。マイクロキャリアは、マイクロキャリアの核の表面上若しくはまたマイクロキャリアの核内のいずれにも漂白可能な物質を含有しうる。漂白可能な物質は、マイクロキャリアの核粒子の生成に際して核物質と混合され得るか、若しくは、場合によっては核物質の表面に漂白可能な分子を特異的に結合することにより別個の層としてマイクロキャリアの核に塗布し得る。あるいは、漂白可能な物質を含有し得る外側の付加的なポリマーコーティングを有するLbL被覆した粒子もまた予見される。本発明の情況内でとりわけ予見される漂白可能な物質は、漂白可能な蛍光若しくは電磁放射吸収物質を包含する。マイクロキャリアは漂白可能な発光団を含有しうる。使用し得る発光団の例は蛍光体(fluorescer)、リン光体(phosphorescer)若しくはシンチレーターを包含する。漂白可能な化学発光、生物発光若しくは着色物質を使用しうる。漂白可能な物質は、より具体的には、フルオレセインイソチオシアネート(「FITC」)、フィコエリトリン、クマリン、ルシファーイエローおよびローダミンでありうる。漂白可能な物質の代替の態様は、3−ヒドロキシピレン5,8,10−トリスルホン酸、5−ヒドロキシトリプタミン、5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)、アシッドフーシン(Acid Fuhsin)、アクリジンオレンジ、アクリジンレッド、アクリジンイエロー、アクリフラビン、AFA(アクリフラビンフュールゲン(Acriflavin Feulgen)SITSA)、アリザリンコンプレクソン、アリザリンレッド、アロフィコシアニン、ACMA、アミノアクチノマイシンD、アミノクマリン、ステアリン酸アントロイル(Anthroyl Stearate)、アリール若しくはヘテロアリール置換ポリオレフィン、アストラゾンブリリアントレッド4G、アストラゾンオレンジR、アストラゾンレッド6B、アストラゾンイエロー7 GLL、アタブリン、オーラミン、オーロホスフィン(Aurophosphine)、オーロホスフィンG(Aurophosphine G)、BAO 9(ビスアミノフェニルオキサジアゾール)、BCECF、硫酸ベルベリン、ビスベンズアミド、BOBO 1、ブランコフォア(Blancophor)FFG溶液、ブランコフォア(Blancophor)SV、ボディピ(Bodipy)Fl、BOPRO1、ブリリアントスルホフラビンFF、カルシエン(Calcien)ブルー、カルシウムグリーン、99.7%を包含する。漂白可能な物質は、漂白が起こる場合に、符号がマイクロキャリアの使用および該符号のいかなる必要な読み取りにも望ましい時間マイクロキャリア上に留まるように選ぶべきである。従って、漂白された領域への漂白されない分子のある量の拡散は符号の有用な寿命が保存される限り許容できる。
【0053】
マイクロキャリア上の漂白される符号は、マイクロキャリアの漂白される領域内に異なる強度の蛍光若しくは色を有するようにもまた書き込みうる。例えば、漂白される符号は、数種の異なる程度の漂白を含有してそれにより漂白される領域内で全体として数種の異なる強度の蛍光を有しうる。従って、マイクロキャリアは、マイクロキャリア上で漂白されるパターンの形状によるのみならず、しかしまた該パターン内の異なる蛍光強度の使用によっても符号化しうる。
【0054】
本発明により、符号は例えばレーザー、ランプ、またはX線、αおよびβ線、イオンビーム若しくはいずれかの形態の電磁放射を発射する源のような高空間分解能光源を使用することにより、マイクロキャリア上に書き込み得る。あるいは、符号はフォトクローミング(photochroming)若しくは化学エッチングによりマイクロキャリア上に書き込み得る。特定の一態様によれば、本発明のマイクロキャリアの該マイクロキャリアは、高空間分解能光源およびとりわけWO第0063695号に記述されるところの共焦点顕微鏡と組合せのレーザー若しくはランプを使用して符号化する。
【0055】
本発明のなお別の態様によれば、マイクロキャリアは、マイクロキャリアの表面、より具体的にはマイクロキャリアの核への物質の堆積により符号化する。符号の堆積方法の例は、限定されるものでないがレーザー堆積および電気化学的堆積を挙げることができる。こうした堆積に使用し得る物質の例は、いずれかの有機化合物若しくは物質;いずれかの無機化合物若しくは物質;物質若しくは混成材料の微粒子層;ポリマー物質;結晶若しくは非結晶性物質;無定形物質若しくはガラス;例えばグラファイト粒子若しくは炭素ナノチューブのような炭素物質;例えば金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ロジウム、イリジウムのような金属物質;いずれかの金属カルコグナイド(metalchalcognide);例えば酸化銅、二酸化チタンのような金属酸化物;金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、金属合金、金属窒化物、金属リン化物、金属アンチモン化物、半導体、半金属を包含する。前記物質は微小若しくはナノ粒子のような粒子の形態で堆積し得る。例えば該粒子は典型的には10nmないし1000nmの大きさ範囲の粒子であるナノ粒子である。
【0056】
本発明のさらなる一局面は、従って、各マイクロキャリアが差別的に符号化されている被覆されたマイクロキャリアを提供する。本発明の符号化された被覆されたマイクロキャリアは、磁性コーティングがマイクロキャリアの位置決め/および若しくは方向付け、ならびにマイクロキャリア上の符号の改良された識別を可能にするという利点を提供する。本発明のマイクロキャリアのコーティングはその上に存在する符号の可視性に影響を及ぼさない。さらに、本発明の特定の一態様によれば、符号化されたマイクロキャリアのコーティングはLbL技術を使用して塗布され、それにより1若しくはそれ以上の高分子電解質層がマイクロキャリア上に堆積されて、マイクロキャリアの表面へのプローブの最適の
結合をもたらす。
【0057】
本発明は、磁場中のマイクロキャリアの位置決めおよび/若しくは方向付けを可能にするコーティングをマイクロキャリアに提供する。これは、マイクロキャリア上の磁性符号の読み取りおよび書き込みのためにとりわけ興味深い。
【0058】
従って、本発明のさらなる一局面は、本発明により被覆されたマイクロキャリアの位置決めおよび/若しくは方向付け後に改良された読み取りが達成される、マイクロキャリアの操作方法を提供する。従って、本発明は、以下の段階(a)マイクロキャリアの識別目的段階;ならびに(b)識別目的段階の前若しくは間に起こる位置決めおよび/若しくは方向付け段階を含んでなる、磁性被覆されたマイクロキャリアの識別目的上の操作方法を提供する。本発明の一態様によれば、位置決めおよび/若しくは方向付け段階は、該マイクロキャリアに課される磁場の結果としてのマイクロキャリアの回転の動きを制限する。あるいは、位置決めおよび/若しくは方向付け段階は、該マイクロキャリアに課される電場の結果としての該マイクロキャリアの回転の動きを制限する。
【0059】
本発明のなおさらなる一態様によれば、位置決めおよび/若しくは方向付け段階は、マイクロキャリアの集団の一層系への分布および該マイクロキャリアの回転の動きを制限することを含んでなる。本発明の方法の別の態様において、位置決めおよび/若しくは方向付け段階は、2次元を有する面配置(configuration)へのマイクロキャリアの集団の分布を含んでなる。本発明の方法のなお別の態様において、位置決めおよび/若しくは方向付け段階は線配置をもたらす分布を含んでなる。一次元配置はより迅速な検出をもたらす。
【0060】
本発明の別の態様によれば、磁場は方向付けのみの目的上であり、また、分布段階は、限定されるものでないが液体、気体若しくは半固体環境での層流パターンを挙げることができる他の手段を使用するマイクロキャリアの輸送により引き起こされる。マイクロキャリアの輸送は、検出手段が固定された位置を有してそれにより検出速度をさらに向上しかつ検出手段のいかなる較正も捨て得る可能性をもたらす。液体環境での層流パターンは毛細管中で提供され得るか、若しくは液体およびその中の粒子の動きを確保する微小大きさにされた(micro−sized)繊毛により確実にし得る。層流パターンのほかに他の流れパターンもまた予見される。本発明の別の態様は、半固体若しくは液体支持体中のマイクロキャリアの位置決めにより分布段階が確実にされる方法であり、前記半固体若しくは液体支持体は差別的粘度若しくは密度を有しうるか、または異なる粘度若しくは密度をもつ2種若しくはそれ以上の半固体若しくは液体層から構成され得る。マイクロキャリアはその場合、支持体上若しくは中の粘度若しくは密度変化の界面で浮遊若しくは配置されうる。該位置はマイクロキャリアの密度により変動しうる。マイクロキャリアの前記分布中の流れの非存在は検出手段が可動性であり得る可能性をもたらす。
【0061】
本発明によれば、磁性被覆されたマイクロキャリアは、書き込み装置および読み取り装置を参照して位置決めかつ/若しくは方向付けされ、その結果、マイクロキャリアの位置および方向に関する知識が書き込み装置が符号を生成することを可能にし、その符号は、該符号が書き込まれるマイクロキャリアの位置および方向に関する前記知識を使用して読み取り装置によりその後確実に解読され得る。方向付けは符号の対称性に依存して1、2若しくは全3個の軸を参照して行いうる。符号が1個若しくはそれ以上の軸の周囲で対称であるよう設計される場合、マイクロキャリアはこれらの軸の周囲の回転に関して方向付けされる必要はない。マイクロキャリアの位置および/若しくは方向に関する知識は、とりわけ識別目的段階(1個若しくは複数)がハイスループットの応用で実施される場合にマイクロキャリア上の符号の書き込みおよび/若しくは読み取りを容易にするのに不可欠である。
【0062】
本発明はさらにマイクロキャリアの製造方法に関し、その方法は、核粒子を提供すること、ならびに、高分子電解質を含んでなる第一層および500nm未満の大きさの磁性粒子を含んでなる第二層を含んでなるコーティングで核粒子を被覆することを含んでなる。該製造方法はさらに、電解質を含んでなる第二層のようなさらなる層がマイクロキャリア上に被覆される付加的な段階を場合によっては含んでなる。本発明の特定の一態様によれば、電解質を含んでなる第一および第二層は正に荷電した電解質を含んでなる。該方法は、さらに、電解質の付加的な層がマイクロキャリアに付加され、最も具体的には反対に荷電した電解質の層が交互にされる付加的な段階を場合によっては含み得る。本発明のさらなる一態様は、それにより付加的な段階がマイクロキャリアへの1種若しくはそれ以上の生物学的プローブの取り込み/結合のため提供される、上述された方法の1つを含んでなる。本発明のなおさらなる特定の一態様によれば、該方法は漂白可能な物質を含んでなる核粒子を提供することを含んでなる。
【0063】
本発明のさらなる一局面は本発明の被覆されたマイクロキャリアの符号化方法に関し、その方法は、a)該被覆されたマイクロキャリアを磁場中で位置決めかつ/若しくは方向付けする段階、およびb)符号をマイクロキャリアに塗布する段階を含んでなる。本発明の特定の一態様によれば、マイクロキャリアは漂白可能な物質を含有し、そして、符号化はマイクロキャリアの漂白可能な部分内に漂白されるパターンをもたらす高空間分解能光線により確実にされる。
【0064】
なお、本発明のさらなる一局面は符号化された磁性マイクロキャリアの提供方法に関し、その方法は、上述されたところのマイクロキャリアを提供する段階、および上述されたところのマイクロキャリアを符号化する段階を含んでなる。
【0065】
なお、本発明のさらなる一局面はプローブと標的の間の相互作用を測定するためのアッセイに関し、その方法は、必ずしも提供された順序ではない以下の段階、すなわちa)本発明の被覆された符号化された磁性マイクロキャリアを提供する段階(そのマイクロキャリアはプローブを含んでなる);b)標的を含んでなる溶液とマイクロキャリアを接触させる段階;c)磁場中で該マイクロキャリアを位置決めかつ/若しくは方向付けする段階e)プローブと標的の間で相互作用が起こったかどうかを評価する段階、およびe)その符号に基づきマイクロキャリアを識別する段階を含んでなる。本発明の方法は、限定されるものでないが、マイクロキャリアへのさらなる試薬の結合を可能にする段階(例えば標的とプローブの間の相互作用の可視化のため)、洗浄段階、選択段階などを挙げることができる付加的な段階をさらに含み得る。
【0066】
従って、本発明は、限定されるものでないが検出および/若しくは定量方法を挙げることができる、本明細書に記述されるマイクロキャリアの多様な応用を提供する。典型的には、こうした用途は、マイクロキャリアの表面上のサンプル中の検出かつ/若しくは定量されるべき被検体に特異的なプローブの存在を必要とする。本発明のマイクロキャリアを使用し得る検出方法は、限定されるものでないが多様な免疫学的アッセイ(抗体−抗原相互作用に基づく)、化学的アッセイ(酵素−基質相互作用に基づく)および他の結合アッセイ(例えば受容体/リガンド相互作用に基づく)を挙げることができる。
【0067】
なお、本発明のさらなる一局面は、本明細書に記述される磁性マイクロキャリアの製造および/若しくは符号化でならびに/またはそれらの使用のために必要とされる試薬の2種若しくはそれ以上の組合せを提供する。該試薬は水分を含まないか若しくは溶液中のいずれかである、個別に包装された成分を伴うキットの形態で提供し得る。キットは、さらに、本発明の方法を実施するための特別の説明書を含み得る。とりわけ、こうしたキットは、マイクロキャリアの核粒子、被覆された磁性マイクロキャリア、符号化された磁性マ
イクロキャリア、および/または1種若しくはそれ以上のプローブを含んでなる符号化された磁性マイクロキャリアを含み得る。
【実施例】
【0068】
実施例1:強磁性物質でのマイクロキャリアのlayer−by−layer(LbL)コーティング手順。
200nmの平均長さをもつ磁性粒子(二酸化クロム)を、15分間の超音波処理およびその後の遠心分離により商業的に入手可能な磁性粒子ストック(SIGMA−ALDRICH)から収集するか、若しくは1%二酸化クロムストック溶液から直接調製し得る(粒子径100ないし400nm)。磁性粒子を含む溶液は0.45μm孔をもつフィルターを通し濾過する。
【0069】
6層の高分子電解質でのマイクロキャリアのLbL被覆を、以下のストック溶液、すなわち
−PAH:ポリ(アリルアミン塩酸塩);0.5M NaCl中2mg/ml。
−PSS:ポリ(スチレンスルホン酸);70kDa;0.5M NaCl中2mg/ml。
−PAA:ポリ(アクリル酸);0.5M NaCl中1mg/ml
を用いて実施した。
【0070】
全ポリマーはSigma Aldrich、独国シュタインハイムから購入した。
【0071】
約300,000個の非磁性微小粒子の溶液を微小遠心機(Eppendorf 型式5415 D)中4000rpmで30秒間遠心分離した。(39μmの直径をもつポリスチレン製SpheroTM Green蛍光カルボキシル担体の懸濁液(励起=488nm)(Spherotech イリノイ州リバティビル)。
【0072】
1mLのPAH(ポリアリルアミン塩酸塩)をペレットにしたマイクロキャリアに添加し、そしてマイクロキャリアを懸濁液中に維持するよう混合した。該懸濁液をボルテックス上1500rpmで15分間さらにインキュベートした(層1)。
【0073】
該担体を1mlの蒸留水中0.05% Tween20で2回洗浄した。二酸化クロム粒子を含んでなる1mlの濾過した懸濁液を該マイクロキャリアに添加し、そして該マイクロキャリアが懸濁されるまで混合した。該懸濁液をボルテックス上1500rpmで15分間さらにインキュベートした(層2)。
【0074】
該マイクロキャリアを1mlの蒸留水中0.05% Tween20で2回洗浄した。1mlのPAH(ポリアリルアミン塩酸塩)を該マイクロキャリアに添加し、そして該担体を懸濁液中に維持するよう混合した。該懸濁液をボルテックス上1500rpmで15分間さらにインキュベートした(層3)。該担体を1mlの蒸留水中0.05% Tween20で2回洗浄した。
【0075】
1mlのPSS(ポリ(スチレンスルホン酸))を該担体に添加し、そして該担体を懸濁液中に維持するよう混合した。該懸濁液をボルテックス上1500rpmで15分間さらにインキュベートした(層4)。該担体を1mlの蒸留水中0.05% Tween20で2回洗浄した。1mlのPAH((ポリアリルアミン塩酸塩))を該担体に添加し、そして該担体を懸濁液中に維持するよう混合した。該懸濁液をボルテックス上1500rpmで15分間さらにインキュベートした(層5)。
【0076】
1mlのPAA(ポリ(アクリル酸))を該担体に添加し、そして該担体を懸濁液中に
維持するよう混合した。該懸濁液をボルテックス上1500rpmで15分間さらにインキュベートした(層6)。該担体を1mlの蒸留水中0.05% Tween20で2回洗浄した。該ペレットを1mlの蒸留水中0.05% Tween20に再懸濁した。これらの粒子は最低6か月間安定である。
【0077】
任意の付加的一段階として、LbLコーティングの長期安定性を達成するため層を架橋し得る。これは、例えばマイクロキャリアを1mlの新たに作成したEDC架橋溶液中1500rpmで21℃で15分間インキュベートすることにより行い得る。この架橋溶液は、0.4M MES緩衝液pH5.0中100mg/ml EDCを含有する(EDC=1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドHCl;MW:191.7g/mol);MES:2−[N−モルホリノ]エタンスルホン酸(Sigma Aldrich、独国シュタインハイム)。架橋されたLbLをもつビーズは光から保護しかつ4℃で保存する。
【0078】
実施例2:金属粒子の分布および濃度。
本発明のLbL技術を介し得られるところの磁性粒子の分布は、ポリマー担体への金属取り込みの慣習的方法より有意に均一である(図2、列2、行1および2を参照されたい)。
【0079】
商業的に入手可能な担体の金属斑点による陰影は中央面で光漂白された符号の正確な読み出しを妨げる。LbL技術を使用して磁性粒子を一層として塗布する場合、磁性粒子の陰影なしが観察される。これは符号の正確な解読を容易にする。
【0080】
加えて、本発明の金属粒子の負荷は各担体について等しいようである。全部の担体が図2(中行)でほぼ同一の蛍光強度を示すためである。これは、存在している磁性粒子の異なる量のため異なる担体間で強度の大きな変動が存在する図2(行2、列3)で見ることができるとおり、従来技術の担体について真実でない。
【0081】
実施例3:担体の蛍光に対する金属粒子径の影響。
異なる大きさの二酸化クロム粒子(大きさ<0.10μm、<0.22μmおよび<0.45μmを伴う粒子)を、実施例1に記述されたところの方法論を使用して39μmのマイクロキャリアに負荷した。図3は、全部の異なる大きさを伴う粒子の使用が均一なコーティングをもたらすことを示す。さらに、各場合で担体は着磁後に位置決めし得た。0.22μm未満の直径をもつ金属粒子で粒子を被覆する場合、金属コーティングを伴わない担体と比較して蛍光のいかなる差違もほとんど存在しない。
【0082】
実施例4:生体分子の結合能力に対するLDL層コーティングの影響。
LbL技術でのマイクロキャリアの修飾はそれらの表面への生体分子の捕捉効率に大きな影響を有する。LbL修飾を伴いおよび伴わない多様な型の商業的に入手可能な担体を比較した。
【0083】
本実験で、Cy5標識プローブすなわちPAAのカルボキシル基にカルボジイミドを介して結合するアミノ標識20−merオリゴヌクレオチドの結合効率を検討した。1pmolのCy5標識アミノ修飾20−merオリゴを、それ自体若しくはLbL被覆後のいずれかで約1,000個の10μm、39μmおよび44μmの大きさにされたマイクロキャリアの表面に結合した。表面での捕捉されたプローブの強度は、LbL修飾されない磁性担体に比較してLbL修飾された担体で約40ないし50倍より高いことが見出された(図4を参照されたい)。
【0084】
10fmolの同一プローブを1000個のLbL修飾した担体の表面に結合した後、
強度は、1pmol(100倍より多い)の同一プローブと結合したLbL被覆されない担体のものよりなお1.5倍より高かった。
【0085】
実施例5:強磁性マイクロキャリアの方向付けおよび位置決め。
本発明のマイクロキャリアは外的磁場中で着磁および方向付けされる。これらの実験で、前記マイクロキャリアを外部磁場に曝露しかつそれにより方向付けする間に、着磁した磁性マイクロキャリアの中央面でパターンを漂白した。その後、移動する外的磁場に該担体を曝露しつつパターンを画像化する。マイクロキャリアを再度元の磁場にさらした場合に前記マイクロキャリアの無作為の動きの後に元の方向付け(漂白されたパターンから既知)を再度見出し得るかどうかを試験する。
【0086】
0.5cm直径のプラスチック製筒を顕微鏡カバーガラスに接着することによりリザーバを作成する。該リザーバを実施例1で調製したところのマイクロキャリア懸濁液80μlで満たし、そしてマイクロキャリアをカバーガラス上に沈降させた。リザーバをその後強永久磁石の上に1分間置いてマイクロキャリアを着磁させた。次に、底のカバーガラスを通して担体を見るためにNikon 60倍浸水レンズを使用することが可能であるように、倒立顕微鏡に接続されているBio−RadMRC1024共焦点顕微鏡上にリザーバを置く。
【0087】
担体の磁気分極を変えることなくそれらを方向付けするために強永久磁石をリザーバから20cmの距離に置く。第一の強磁石からの外的磁場により方向付けた磁性マイクロキャリアの中央面で矢印を漂白して、かようにその元の方向を示す。次に、各画像間1.2秒間隔で一連の50の画像を撮影するように共焦点顕微鏡を設定する。この一連の画像を撮影しながら第二の磁石を使用してリザーバの周囲を動かす。すなわち、最初に一側に90、次に第一の磁石をなお正しい位置に伴い反対方向に180。最後に第二の磁石を取り去り、そしてマイクロキャリアからその元の方向への戻りを観察する。
【0088】
次の実験で、前の実験でと同一のマイクロキャリアを使用する。マイクロキャリアを最初に第一の磁石の磁場で方向付ける。この磁石の位置に慎重に印を付けた後、該磁石をリザーバの周囲を360動かすこと、そして最後にそれをその元の位置に戻すことによりマイクロキャリアを回転させるのにそれを使用する。マイクロキャリアは、ポリマー担体とガラス製カバーガラスの間の相対的に強い相互作用によりその元の方向に戻らない。第二の磁石を使用して、それをリザーバの近くで短時間1回動かすことによりマイクロキャリアを解放する。マイクロキャリアがその正確な元の方向に即座に戻ったことが観察される。
【0089】
本発明の被覆された粒子は強磁石を使用して容易に着磁し得る。該マイクロキャリアは外的磁場中で方向付けし得る。ある外的磁場中のマイクロキャリアの方向付けは、該担体の無作為の動きの後に最初の場が再度適用される場合に正確に再現可能である。方向の差違はピクセルの正確さ(0.7μm/ピクセル)内で観察し得ない。
【0090】
実施例6:識別目的すなわちフローセル中の符号化および読み取りのための単一対称軸をもつ球状マイクロキャリアの使用。
識別目的上の方向付けおよび位置決めの必要性を下で解明する。前記球状マイクロキャリア上の符号を対称軸に沿って書き込み、それにより該符号は高空間分解能光源によって、より具体的には蛍光漂白を使用することにより符号化(書き込み)若しくは識別(読み取り)される。
【0091】
球状マイクロキャリアは流れに沿ってそれらの対称軸で方向付けられる。蛍光漂白のためのレーザービームは共焦点顕微鏡中で静止位置を有し、そして前記マイクロキャリア上
の符号を該対称軸に沿って書き込む。流れそれ自身は該対称軸に沿った走査の動きとしてはたらく。(対称軸に沿って)上述されたとおり書き込まれた符号は、静止位置を有するレーザービームにより読み込まれうる。
【0092】
静止書き込み/読み取りレーザービームおよびマイクロキャリアの正確な流れの場合、符号はマイクロキャリアの対称軸によって書き込み/読み取りされうる。しかしながら、流れが顕微鏡の焦点に関して十分に再現可能でない場合、対称軸の下で書き込み/読み取りされる符号は正確に読み込まれないことがある。
【0093】
通過するマイクロキャリアを照らすのに補助レーザービームを使用しうる。この場合、マイクロキャリアによる光の部分的吸収若しくは反射による陰影効果を前記マイクロキャリアの後ろで観察することができる。2個の分離されたセルからなるフォトダイオード(2セル光検出器)を、陰影効果を測定するためフローセルの反対側に配置する。球状マイクロキャリアの中央が顕微鏡の光学軸を横断する場合、同一量の光が該2セルにより収集され、そして該2セル光検出器は0に等しい差シグナルを測定し、該担体が正しい高さにより通過することを示す。球状マイクロキャリアの中央が顕微鏡の光学軸を横断しない場合、該2セル光検出器は0と異なる差シグナルを測定し、該マイクロキャリアが高すぎて流れることを示す。
【0094】
結果、光ダイオードの使用は、流れ中のマイクロキャリアの誤った位置決めの検出を可能にし、そして前記マイクロキャリアが光学軸から高過ぎて流れるか若しくは低過ぎて流れるかを示す。
【0095】
このフォトダイオード系は、レーザービームを読み取ること/書き込むことの焦点にマイクロキャリアが到着する前に前記マイクロキャリアの位置を測定するのに使用しうる。この場合、生成される位置の誤りのシグナルを使用して読み取り/書き込みビームの焦点を調節し得る。測定される位置の誤りのシグナルが0である場合、ビーム焦点の位置は変わらなかった。誤りのシグナルがこの場合測定され、そしてビーム焦点位置が上に動かされる。レーザービームの焦点を調節することは、顕微鏡対物レンズ上の書き込み/読み取りビームの出現範囲の方向を変えることにより行い得る。音響光学ビーム偏向装置をレーザービームの方向を迅速に適応し得る装置として使用し得る。同一の技術を使用してZ軸すなわち顕微鏡の光学軸について位置の誤りのシグナルを生成し得る。2セル光検出器で差シグナルのみが存在することができるため、該差シグナルは、マイクロキャリアの到着を検出するのに使用し得、ならびに読み取りおよび書き込みの誘因としてもまた使用し得る。
【0096】
本発明の現在好ましい態様を示しかつ記述する一方、本発明がそれらに制限されず、しかし以下の請求の範囲の範囲内で別の方法で多様に例示かつ実施しうることが明確に理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−高分子電解質物質を含んでなる少なくとも1つの層;および
−500nm未満の粒子を含んでなる磁性物質を含んでなる少なくとも1つの層
で被覆された核を含んでなるマイクロキャリアであって、
磁性物質を含んでなる各前記少なくとも1つの層は、高分子電解質物質を含んでなる前記少なくとも1つの層の1つの上に塗布される、上記マイクロキャリア。
【請求項2】
磁性粒子の1つの単一層を含んでなる、請求項1に記載のマイクロキャリア。
【請求項3】
1層以上の磁性粒子を含んでなる、請求項1に記載のマイクロキャリア。
【請求項4】
前記核が漂白可能な物質を含んでなる、先行する請求項のいずれか1つに記載のマイクロキャリア。
【請求項5】
2と10層の間の高分子電解質物質を含んでなる、先行する請求項のいずれか1つに記載のマイクロキャリア。
【請求項6】
前記マイクロキャリアの外層が負に荷電した高分子電解質物質を含んでなる層である、先行する請求項のいずれか1つに記載のマイクロキャリア。
【請求項7】
前記磁性物質が強磁性物質である、先行する請求項のいずれか1つに記載のマイクロキャリア。
【請求項8】
磁性粒子が100と400ナノメートルの間の大きさを有する、先行する請求項のいずれか1つに記載のマイクロキャリア。
【請求項9】
前記マイクロキャリアが10と100μmの間の直径を有する、先行する請求項のいずれか1つに記載のマイクロキャリア。
【請求項10】
マイクロキャリアが符号化される、先行する請求項のいずれか1つに記載のマイクロキャリア。
【請求項11】
マイクロキャリアが該マイクロキャリアの中央面で符号化される、先行する請求項のいずれか1つに記載のマイクロキャリア。
【請求項12】
高分子電解質物質の外層に結合された1種若しくはそれ以上のプローブをさらに含んでなる、先行する請求項のいずれかに記載のマイクロキャリア。
【請求項13】
(a)微小粒子を提供する段階、
(b)高分子電解質物質を含んでなる少なくとも1つの層を塗布する段階、
(c)前記少なくとも1つの層の高分子電解質物質の上に、500ナノメートル未満の粒子を含んでなる磁性物質を含んでなる層を塗布する段階;ならびに
(d)場合によっては段階(b)および(c)を1回若しくはそれ以上反復する段階
を含んでなる、磁性マイクロキャリアの製造方法。
【請求項14】
(a)微小粒子を提供する段階、
(b)正に荷電した高分子電解質を含んでなる一層を塗布する段階、若しくは、交互の電荷をもつ電解質を含んでなる複数の層を塗布する段階(ここで外層は正の電荷を有し)、(c)500nm未満の磁性粒子の一層を塗布する段階、
(d)場合によっては、段階(b)および(c)を1回若しくはそれ以上反復する段階
を含んでなる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(a)微小粒子を提供する段階、
(b)高分子電解質物質を含んでなる1つの単一層を塗布する段階、
(c)高分子電解質物質の前記少なくとも1つの層の上に、500ナノメートル未満の粒子を含んでなる磁性物質を含んでなる層を塗布する段階;ならびに
(d)場合によっては、段階(b)および(c)を1回若しくはそれ以上反復する段階
を含んでなる、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
段階(c)若しくは任意の段階(d)後にさらなる段階(e)を含んでなる、請求項13ないし15のいずれか1つに記載の方法であって、前記段階(e)が、
正に荷電した高分子電解質を含んでなる一層を塗布する段階、若しくは交互の電荷を含んでなる交互の電荷をもつ高分子電解質を含んでなる複数の層を塗布する段階(ここで内層は正の電荷を有する)
である、上記方法。
【請求項17】
−十分に強い磁場中で請求項1ないし12のいずれか1つに記載のマイクロキャリアを着磁すること、
−強磁場、若しくはマイクロキャリアの方向付けを可能にするのに十分に強いより弱い磁場のいずれか中で前記マイクロキャリア上に識別標識を書き込むことにより前記マイクロキャリアを符号化すること
を含んでなる、方向付け可能な符号化されたマイクロキャリアの製造方法。
【請求項18】
−前記マイクロキャリアを、該マイクロキャリアの方向付けを可能にするのに十分に強い磁場にもたらす段階、および
−識別標識を読み取る段階
を含んでなる、請求項1ないし12のいずれか1つに記載のマイクロキャリアの読み取り方法。
【請求項19】
磁場中での被検体検出のための請求項1ないし12のいずれかに記載のマイクロキャリアの使用。
【請求項20】
符号化されたマイクロキャリア上の金属物質の均一な分布を向上させるためのlayer−by−layer技術の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−504187(P2010−504187A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528570(P2009−528570)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000457
【国際公開番号】WO2008/034275
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(508332047)バイオカルテイス・エス・エイ (2)
【Fターム(参考)】