説明

マイクロサテライトマーカーを用いるバーミューダグラス品種判別法

【課題】対照バーミューダグラスのゲノムDNAにおける特定のマイクロサテライト座位の遺伝子型であって、対照バーミューダグラス品種に特異的な遺伝子型を指標とする被検バーミューダグラスの品種判別法などを提供することを課題とする。
【解決手段】バーミューダグラスの地上部由来のESTからマイクロサテライトを抽出し、それらを含む90〜300bpのPCR断片が得られるようにプライマーを設計した。多品種のバーミューダグラスそれぞれについて、ゲノムDNAを鋳型として、設計したプライマーペアを用いてPCRを行ない、それらのPCR産物を10%ポリアクリルアミドゲルによる電気泳動で分離した。その結果、品種特異的なPCR断片長を検出することができ、品種特異的なPCR断片長を指標に被検バーミューダグラスの品種判定を行えることが判明した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロサテライトマーカーを用いるバーミューダグラス品種判別法に関する。
【背景技術】
【0002】
バーミューダグラス/ギョウギシバ(Cynodon dactylon)は、熱帯から亜熱帯にかけて広く分布するイネ科の多年生草本である。バーミューダグラスは、飼料用の他、ゴルフ場や緑地などの園芸・芝生用に広く利用されている。
【0003】
バーミューダグラスの品種・系統識別や分類には、主に形態の違いが指標とされてきた。形態観察以外の識別法として、DNAマーカーの利用が挙げられる。バーミューダグラスにおいては、AFLPマーカーやRAPDマーカーなどが開発されている。
【非特許文献1】Ludovic et al. (2005) Dinitroaniline-Induced Genetic Changes in Bermudagrass. Crop Sci., 45: 1504-1510
【非特許文献2】Yerramsetty et al. (2005) DNA Fingerprinting of Seeded Bermudagrass Cultivars. Crop Sci., 45: 772-777
【非特許文献3】Karaca et al. (2002) Genetic Diversity among Forage Bermudagrass (Cynodon spp.): Evidence from Chloroplast and Nuclear DNA Fingerprinting. Crop Sci., 42: 2118-2127
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バーミューダグラス利用の多様化に伴い、今後も新たな登録品種の増加が予想される。そのため、従来の形態的特徴による品種識別に加えて、DNAマーカーによる品種識別もまた併用することが望ましい。DNAマーカーによる品種識別としてはAFLPマーカーやRAPDマーカーによる品種識別がある。しかし、AFLPマーカーによる品種識別は、作業が煩雑であり、さらに特定のマーカー座位のアリルを特定するにはその座位領域を増幅するプライマーを再設計(STS化)することが必要である。また、RAPDマーカーは再現性が低いため、品種判別マーカーとして利用しにくい。どちらのマーカーも、ある特定のマーカー座位のアリルを特定することができない点で、汎用性に乏しい。また、DNAマーカーによる品種識別としてはマイクロサテライトマーカーによる品種識別がある。ゲノムDNA内のmRNAに転写されない領域に存在するマイクロサテライトは、そのマイクロサテライトが単離された生物と遠縁の生物には存在しない可能性があるので、そのようなマイクロサテライトをマーカーとした品種識別は汎用性に乏しい。
【0005】
本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、対照バーミューダグラスのゲノムDNAにおける特定のマイクロサテライト座位の遺伝子型であって、対照バーミューダグラス品種に特異的な遺伝子型を指標とする被検バーミューダグラスの品種判別法、該方法に用いるための試薬やキット、該方法に使用できるオリゴヌクレオチド、該方法に使用できるオリゴヌクレオチドのセットなどを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った。本発明者らは、バーミューダグラスの地上部由来のEST(Expressed Sequence Tag)からマイクロサテライトを抽出し、それらを含む90〜300bpのPCR断片が得られるようにプライマーを設計した。多品種のバーミューダグラスそれぞれについて、ゲノムDNAを鋳型として、設計したプライマーペアを用いてPCRを行ない、それらのPCR産物を10%ポリアクリルアミドゲルによる電気泳動で分離した。その結果、品種特異的なPCR断片長を検出することができ、品種特異的なPCR断片長を指標に被検バーミューダグラスの品種判定を行えることが判明した。本発明は、この知見に基づくものであり、より詳細には、以下の〔1〕から〔10〕に記載の発明に関する。
〔1〕下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検バーミューダグラスの品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検バーミューダグラスの品種が、対照バーミューダグラスと同一の品種であると判別される方法;
(a)対照バーミューダグラスのゲノムDNAにおける下記(1)から(10)からなる群より選択される少なくとも1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型であって、対照バーミューダグラスに特異的な遺伝子型、
(b)被検バーミューダグラスのゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型、
(1)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(2)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(3)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(4)配列番号:7に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:8に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(5)配列番号:9に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:10に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(6)配列番号:11に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:12に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(7)配列番号:13に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:14に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(8)配列番号:15に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:16に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(9)配列番号:17に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:18に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、並びに、
(10)配列番号:19に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:20に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位。
〔2〕対照バーミューダグラスが、ティフウェイ、フェニックスターフ、又は、ティフドワーフ若しくはティフグリーンである、〔1〕に記載の方法。
〔3〕下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検バーミューダグラスの品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検バーミューダグラスの品種が、対照バーミューダグラスと同一の品種であると判別される方法;
(a)ティフウェイ、フェニックスターフ、又は、ティフドワーフ若しくはティフグリーンのゲノムDNAにおける下記(1)から(8)からなる群より選択される少なくとも1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検バーミューダグラスのゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型、
(1)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(2)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(3)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(4)配列番号:7に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:8に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(5)配列番号:9に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:10に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(6)配列番号:11に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:12に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(7)配列番号:13に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:14に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、並びに、
(8)配列番号:15に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:16に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位。
〔4〕〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の方法に用いるためのバーミューダグラスの品種判別用試薬。
〔5〕〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の方法に用いるためのバーミューダグラスの品種判別用キット。
〔6〕配列番号:1から20のいずれかに記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
〔7〕下記(A)から(J)からなる群より選択される少なくとも1組のセット;
(A)配列番号:1に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:2に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(B)配列番号:3に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:4に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(C)配列番号:5に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:6に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(D)配列番号:7に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(E)配列番号:9に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:10に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(F)配列番号:11に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:12に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(G)配列番号:13に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:14に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(H)配列番号:15に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:16に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(I)配列番号:17に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:18に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、並びに、
(J)配列番号:19に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:20に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット。
〔8〕〔7〕に記載のセットを含有するバーミューダグラスの品種判別用試薬。
〔9〕〔7〕に記載のセットを含有するバーミューダグラスの品種判別用キット。
〔10〕ティフウェイ、フェニックスターフ、ティフドワーフ、及び、ティフグリーンからなる群より選択されるいずれかのバーミューダグラスのゲノムDNAを鋳型とし、下記(A)から(J)からなる群より選択されるいずれかのセットをプライマーセットとするPCRによって増幅されるPCR産物;
(A)配列番号:1に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:2に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(B)配列番号:3に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:4に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(C)配列番号:5に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:6に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(D)配列番号:7に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(E)配列番号:9に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:10に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(F)配列番号:11に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:12に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(G)配列番号:13に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:14に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(H)配列番号:15に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:16に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(I)配列番号:17に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:18に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、並びに、
(J)配列番号:19に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:20に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット。
【発明の効果】
【0007】
本発明によって、形態が類似するバーミューダグラス種内において、DNAレベルでの品種の識別、品種の雑種性や遺伝的背景の同定などが可能となる。また、本発明のマイクロサテライトは、EST由来のマイクロサテライト、すなわちゲノムDNA内のmRNAに転写される領域に存在するマイクロサテライトであるので、そのマイクロサテライトが単離されたバーミューダグラスと遠縁のバーミューダグラスにも存在する可能性が高い。よって、本発明は、マイクロサテライトが単離されたバーミューダグラスだけでなく、該バーミューダグラスと類縁のバーミューダグラスや遠縁のバーミューダグラスにも応用可能である。さらに、本発明において、複数のマイクロサテライト座位の遺伝子型を品種識別の指標とする場合は、品種判別法によって得られる結果の信頼性が高くなる。
【0008】
〔発明の実施の形態〕
本発明者らは、バーミューダグラスのゲノムDNAにおいて、下記(1)から(10)に記載のマイクロサテライト座位を解析したところ、該マイクロサテライト座位が多型性を示すことを見出した。また、本発明者らは、該マイクロサテライト座位の遺伝子型を解析したところ、特定のバーミューダグラス品種に特異的な遺伝子型が存在すること、及び、該遺伝子型を指標とすることにより、被検バーミューダグラスの品種判別を行えることを見出した。本発明は、このような知見に基づき、以下の発明を提供する。
【0009】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検バーミューダグラスの品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検バーミューダグラスの品種が、対照バーミューダグラスと同一の品種であると判別される方法;
(a)対照バーミューダグラスのゲノムDNAにおける下記(1)から(10)からなる群より選択される少なくとも1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型であって、対照バーミューダグラスに特異的な遺伝子型、
(b)被検バーミューダグラスのゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型、
(1)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(2)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(3)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(4)配列番号:7に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:8に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(5)配列番号:9に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:10に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(6)配列番号:11に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:12に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(7)配列番号:13に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:14に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(8)配列番号:15に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:16に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(9)配列番号:17に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:18に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、並びに、
(10)配列番号:19に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:20に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位。
【0010】
なお、この方法では、遺伝子型が一致しなかったときに、被検バーミューダグラスの品種が、対照バーミューダグラスと同一の品種ではないと判定される。
【0011】
本発明において、「マイクロサテライト」とは、1つまたは複数の塩基を1反復単位とする反復配列を意味する。1つまたは複数の塩基としては、1から5の塩基が例示できるが、これに制限されるものではない。本発明の「マイクロサテライト」は、「SSR(Simple Sequence Repeat)」と表現することもできる。
【0012】
本発明において、「マイクロサテライト座位」とは、染色体又は遺伝地図上におけるマイクロサテライトの位置を意味する。本発明の「マイクロサテライト座位」は、「マイクロサテライト座」と表現することもできる。
【0013】
本発明において、「遺伝子型」とは、アリルの種類(パターン)を意味する。よって、本発明の「遺伝子型」は「アリルパターン」と表現することもできる。また、本発明の「アリル」は「アレル」や「対立遺伝子」と表現することもできる。また、本発明において、「マイクロサテライト座位の遺伝子型」とは、マイクロサテライト座位におけるアリルの種類を意味する。マイクロサテライト座位におけるアリルは、当該するマイクロサテライトの反復単位の繰り返し回数の違いによって種類わけされ、PCR産物中のマイクロサテライトの長さ、すなわち分子量サイズが異なるためにその違いを検出することができる。
【0014】
本発明において、「少なくとも1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型」には、1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型、及び、複数のマイクロサテライト座位それぞれの遺伝子型の組み合わせが含まれる。
【0015】
本発明における「対照バーミューダグラスに特異的な遺伝子型」は「対照バーミューダグラス品種に特異的な遺伝子型」と表現することもできる。
【0016】
本発明における対照バーミューダグラスは、そのバーミューダグラスのゲノムDNAにおける上記(1)から(10)からなる群より選択される少なくとも1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型であって、そのバーミューダグラスに特異的な遺伝子型が検出されるバーミューダグラスである。対照バーミューダグラスとしては、例えば、以下の1から4からなる群より選択される少なくとも1つのバーミューダグラスが挙げられるが、バーミューダグラスである限り、これらに制限されるものではない。以下の1から4のバーミューダグラスと類縁のバーミューダグラスや遠縁のバーミューダグラスもまた本発明の対照バーミューダグラスに含まれる。
1.ティフドワーフ(Tifdwarf)(販売元:雪印種苗)
2.ティフグリーン(Tifgreen)(別名:ティフトン328(Tifton328))(販売元:雪印種苗)
3.ティフウェイ(Tifway)(別名:ティフトン419(Tifton419))(販売元:雪印種苗)
4.フェニックスターフ(Phoenix Turf)(市販されており、容易に入手できる)
【0017】
本発明において、被検バーミューダグラスとしては、バーミューダグラスの特徴を有する植物、バーミューダグラスの可能性がある植物、遺伝的にバーミューダグラスに近縁な植物種等が例示できるが、これらに制限されない。
【0018】
またバーミューダグラスの特徴としては、茎は細く地下茎を有するとともに、匍匐茎があり各節から発根し、直立する稈を出して広がることが例示できるが、これらに限定されない。
【0019】
また、本発明における「品種」は、品種登録制度がある国においては「品種又は育成系統」と表現することもできる。「品種又は育成系統」における「品種」は品種登録制度における登録品種を意味し、「品種又は育成系統」における「育成系統」は品種登録制度における未登録品種(例えば、品種として確立される前の育成段階のもの、広く流通している系統などが例示できる)を意味する。
【0020】
本発明における「判別」は、「識別」、「同定」、「特定」、「鑑定」、又は「判定」と表現することもできる。
【0021】
本発明の具体的な態様としては、以下の発明が例示できるが、これらに限定されるものではなく、本発明には実施例の結果に基づき特定可能な全ての発明が含まれる。
【0022】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検バーミューダグラスの品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検バーミューダグラスの品種が、対照バーミューダグラスと同一の品種であると判別される方法;
(a)ティフウェイ、フェニックスターフ、又は、ティフドワーフ若しくはティフグリーンのゲノムDNAにおける下記(1)から(8)からなる群より選択される少なくとも1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検バーミューダグラスのゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型、
(1)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(2)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(3)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(4)配列番号:7に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:8に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(5)配列番号:9に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:10に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(6)配列番号:11に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:12に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(7)配列番号:13に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:14に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、並びに、
(8)配列番号:15に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:16に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位。
【0023】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検バーミューダグラスの品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検バーミューダグラスの品種が、ティフドワーフ又はティフグリーンと同一の品種であると判別される方法;
(a)ティフドワーフ又はティフグリーンのゲノムDNAにおける上記(1)から(8)からなる群より選択される少なくとも1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検バーミューダグラスのゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0024】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検バーミューダグラスの品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検バーミューダグラスの品種が、ティフウェイと同一の品種であると判別される方法;
(a)ティフウェイのゲノムDNAにおける上記(1)から(8)からなる群より選択される少なくとも1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検バーミューダグラスのゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0025】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検バーミューダグラスの品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検バーミューダグラスの品種が、フェニックスターフと同一の品種であると判別される方法;
(a)フェニックスターフのゲノムDNAにおける上記(1)から(10)からなる群より選択される少なくとも1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検バーミューダグラスのゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0026】
また、本発明は、下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検バーミューダグラスの品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検バーミューダグラスの品種が、下記(a)で選択されるバーミューダグラスと同一の品種であると判別される方法に関する。この方法には、被検バーミューダグラスの品種が、ティフウェイ、フェニックスターフ、又は、ティフドワーフ若しくはティフグリーンのいずれかであるのか、又は、それ以外であるのかを判別する方法も含まれる。
(a)ティフウェイ、フェニックスターフ、又は、ティフドワーフ若しくはティフグリーンのゲノムDNAにおける上記(1)から(8)からなる群より選択される少なくとも1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検バーミューダグラスのゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0027】
また、本発明は、下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検バーミューダグラスの品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検バーミューダグラスの品種が、下記(a)で選択されるバーミューダグラスと同一の品種であると判別される方法に関する。この方法には、被検バーミューダグラスの品種が、ティフウェイ、フェニックスターフ、又は、ティフドワーフ若しくはティフグリーンのいずれかであるのか、又は、それ以外であるのかを判別する方法も含まれる。
(a)ティフウェイ、フェニックスターフ、又は、ティフドワーフ若しくはティフグリーンのゲノムDNAにおける上記(1)から(10)からなる群より選択される全てのマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検バーミューダグラスのゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。
【0028】
本発明は、以下のように別の形式で表現することができる。また、本発明の具体的な態様として例示した上記発明も以下の形式で表現することができる。
【0029】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む、下記(b)に記載の遺伝子型が下記(a)に記載の遺伝子型と一致するか否かを判定する方法;
(a)対照バーミューダグラスのゲノムDNAにおける下記(1)から(10)からなる群より選択される少なくとも1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型であって、対照バーミューダグラスに特異的な遺伝子型、
(b)被検バーミューダグラスのゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型。遺伝子型同士が一致すると判定された場合、対照バーミューダグラスの品種が被検バーミューダグラスの品種の候補であると判断される。
【0030】
本発明は、以下のように別の形式で表現することができる。また、本発明の具体的な態様として例示した上記発明も以下の形式で表現することができる。
【0031】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検バーミューダグラスの品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検バーミューダグラスの品種が、対照バーミューダグラスと同一の品種であると判別される方法;
(a)対照バーミューダグラスのゲノムDNAにおける下記(11)から(20)からなる群より選択される少なくとも1つの領域の遺伝子型であって、対照バーミューダグラスに特異的な遺伝子型、
(b)被検バーミューダグラスのゲノムDNAにおける(a)と同じ領域の遺伝子型、
(11)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域、
(12)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域、
(13)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域、
(14)配列番号:7に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:8に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域、
(15)配列番号:9に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:10に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域、
(16)配列番号:11に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:12に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域、
(17)配列番号:13に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:14に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域、
(18)配列番号:15に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:16に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域、
(19)配列番号:17に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:18に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域、並びに、
(20)配列番号:19に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:20に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれる領域であって、マイクロサテライトを含む領域。
【0032】
本発明は、以下のように別の形式で表現することができる。また、本発明の具体的な態様として例示した上記発明も以下の形式で表現することができる。
【0033】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検バーミューダグラスの品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検バーミューダグラスの品種が、対照バーミューダグラスと同一の品種であると判別される方法;
(a)下記(A)から(J)からなる群より選択される少なくとも1つのセットをプライマーセットとするPCRの増幅対象となる対照バーミューダグラスのゲノムDNAにおける領域の遺伝子型であって、対照バーミューダグラスに特異的な遺伝子型、
(b)被検バーミューダグラスのゲノムDNAにおける(a)と同じ領域の遺伝子型、
(A)配列番号:1に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:2に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(B)配列番号:3に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:4に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(C)配列番号:5に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:6に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(D)配列番号:7に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(E)配列番号:9に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:10に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(F)配列番号:11に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:12に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(G)配列番号:13に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:14に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(H)配列番号:15に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:16に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(I)配列番号:17に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:18に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、並びに、
(J)配列番号:19に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:20に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット。
【0034】
本発明において「含む」という文言の代わりに、「からなる」という文言を使用できる。
【0035】
本発明は、以下のように別の形式で表現することができる。また、本発明の具体的な態様として例示した上記発明も以下の形式で表現することができる。
【0036】
下記(a)に記載のPCR産物の種類、及び、下記(b)に記載のPCR産物の種類を比較する工程を含む被検バーミューダグラスの品種判別法であって、前記工程において比較したPCR産物の種類が一致したときに、被検バーミューダグラスの品種が、対照バーミューダグラスと同一の品種であると判別される方法;
(a)対照バーミューダグラスのゲノムDNAを鋳型とし、上記(A)から(J)からなる群より選択される少なくとも1つのセットをプライマーセットとするPCRによって増幅されるPCR産物の種類であって、対照バーミューダグラスに特異的なPCR産物の種類、
(b)被検バーミューダグラスのゲノムDNAを鋳型とし、(a)と同じセットをプライマーセットとするPCRによって増幅されるPCR産物の種類。
【0037】
本発明において、「PCR産物の種類」とは、分子サイズによって分類されたPCR産物の種類(パターン)を意味し、「PCR産物の種類」は「PCRパターン」と表現することができる。「PCR産物の種類(PCRパターン)」は「遺伝子型(アリルパターン)」に相当する。
【0038】
本発明は、以下のように別の形式で表現することができる。また、本発明の具体的な態様として例示した上記発明も以下の形式で表現することができる。
【0039】
下記(a)に記載のPCR産物、及び、下記(b)に記載のPCR産物の同一性を決定する工程を含む被検バーミューダグラスの品種判別法であって、前記工程においてPCR産物が同一であったときに、被検バーミューダグラスの品種が、対照バーミューダグラスと同一の品種であると判別される方法;
(a)対照バーミューダグラスのゲノムDNAを鋳型とし、上記(A)から(J)からなる群より選択される少なくとも1つのセットをプライマーセットとするPCRによって増幅されるPCR産物であって、対照バーミューダグラスに特異的なPCR産物、
(b)被検バーミューダグラスのゲノムDNAを鋳型とし、(a)と同じセットをプライマーセットとするPCRによって増幅されるPCR産物。
【0040】
以下に本発明の方法を例示するが、これに限定されるものではない。
本発明においては、まず、多品種のバーミューダグラスそれぞれについて、ゲノムDNAにおける上記(1)から(10)からなる群より選択される少なくとも1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型を検出する。次いで、多品種のバーミューダグラスうち特定又は1つの品種のバーミューダグラスに特異的な遺伝子型(以下、遺伝子型Xと称する)、及び、該遺伝子型Xを示すマイクロサテライト座位(以下、マイクロサテライト座位Yと称する)を同定する。また、該特定又は1つの品種のバーミューダグラスを対照バーミューダグラスとする。次いで、被検バーミューダグラスのゲノムDNAにおいて、マイクロサテライト座位Yと同じ座位の遺伝子型(以下、遺伝子型Zと称する)を同定する。次いで、遺伝子型X、及び、遺伝子型Zを比較する。比較した遺伝子型が一致したときに、被検バーミューダグラスの品種が、対照バーミューダグラスと同一の品種であると判別される。
【0041】
具体的には、まず、上記(1)から(10)からなる群より選択されるいずれかのマイクロサテライト座位におけるDNA領域をPCRにより増幅するためのプライマーを設計する。プライマーを設計する際には、プライマーの長さが20bp前後、Tm値が55〜60℃程度になることが好ましいが、これに制限されるものではない。プライマーはPrimer3 (Rozen and Skaletsky, 2000, In: Krawets and Misener (eds.) Bioinfomatics Methods and Protocols: Methods in Molecular Biology, Totowa, NJ, USA: Humana Press, 365-386)によって設計できる。上記(1)から(10)からなる群より選択されるいずれかのマイクロサテライト座位におけるDNA領域としては、上記(A)から(J)からなる群より選択されるいずれかのセットをプライマーセットとするPCRの増幅対象となるバーミューダグラスのゲノムDNAにおける領域である。
【0042】
次いで、設計したプライマーを合成する。プライマーは、その塩基配列情報に従って化学的に合成することができる。任意の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを合成する方法が公知である。たとえば、オリゴヌクレオチドは、DNA合成装置(DNA synthesizer)によって合成することができる。具体的には、現在、ホスホロアミダイト法やホスホン酸エステル法などの原理に基づく、DNA合成装置が実用化されている。これらのDNA合成装置は、与えられた塩基配列にしたがって、固相上に、ヌクレオチドモノマーをひとつずつ化学的に連結する。全ての反応工程は自動化されていて、目的とする塩基配列情報を入力することで合成が開始される。したがって、このようなDNA合成装置に対して、設計したプライマーの塩基配列を与えることによって、目的とするDNAを合成することができる。
【0043】
次いで、多品種からなる対照バーミューダグラスそれぞれについて、ゲノムDNAを鋳型とし、合成したプライマーセットを用いてPCRを行う。本発明においては、好ましくは、まず対照バーミューダグラスのゲノムDNAの調製(ゲノムDNAの抽出)を行う。ゲノムDNAの調製は、例えば、対照バーミューダグラスの葉、根、種子、カルス、葉鞘、培養細胞等を用いて行うことができるが、これらに特に限定されない。これらの植物体もしくは植物細胞からのゲノムDNAの抽出は、当業者においては一般的に公知の方法、例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)法(Murray and Thompson, Nucleic Acids Research 8, p.4321−4325, 1980)等によって行うことができる。また、DNeasy(登録商標) Plant Mini Kit(QIAGEN)等を利用してゲノムDNAを抽出することができる。また、ゲノムDNAの抽出処理を行わず、例えば、直接細胞破砕液等を用いてPCRを実施することも可能である。
【0044】
PCR法としては、例えば、タッチダウンPCR法(Sato et al. 2005, DNA Res. 12, 301-364)が挙げられるが、これに限定されるものではなく、当業者においては、その反応条件等について実験または経験によって最適な条件を適宜選択して実施することが可能である。
【0045】
通常、PCRは、反応液および耐熱性ポリメラーゼを含む市販の試薬キット(rTaq, ExTaq, Takara; BIOTAQ, BIOLINEなど) 、および市販のPCR装置(GeneAmp(登録商標) PCR System 9700, ABIなど)等を利用して、簡便に実施することができる。
【0046】
次いで、PCRによって増幅されたPCR産物の分子サイズを測定する。PCRによって増幅されたPCR産物の分子サイズの測定方法としては、当業者に周知の方法が挙げられる。ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いる方法、アガロースゲル電気泳動を用いる方法、フラグメントアナライザーを用いる方法、マイクロチップ電気泳動装置(Multina, 島津)が例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
具体的には、PCR産物を蛍光ラベルした後にキャピラリー電気泳動で分離し、分離された各々のPCR産物の分子サイズを測定する。あるいは、PCR産物をポリアクリルアミドゲル/アガロースゲル電気泳動で分離し、分離された各々のPCR産物の分子サイズを測定する。通常、予めサイズが既知のDNA断片(例えば、サイズマーカー)を対照として、分離された各々のPCR産物の分子サイズ(例えば、分子量や長さ)を測定する。次いで、分子サイズによってPCR産物を分類し、PCR産物の種類を特定する。特定されたPCR産物の種類は、マイクロサテライト座位の遺伝子型に相当する。
【0048】
次いで、多品種からなる対照バーミューダグラスのうち特定又は1つの対照バーミューダグラスに特異的な遺伝子型を示すマイクロサテライト座位を同定する。
【0049】
次いで、被検バーミューダグラスのゲノムDNAにおいて、多品種からなる対照バーミューダグラスのうち特定又は1つの対照バーミューダグラスに特異的な遺伝子型を示すマイクロサテライト座位と同じ座位の遺伝子型(以下、「被検バーミューダグラスにおける遺伝子型」と称する)を同定する。被検バーミューダグラスにおける遺伝子型の同定は、対照バーミューダグラスと同一の実験方法及び実験条件で行われることが好ましい。次いで、例えばBioNumerics (販売元:インフォコム、作製者:Applied Maths社)によって、対照バーミューダグラスに特異的な遺伝子型と被検バーミューダグラスにおける遺伝子型を比較する。
【0050】
本発明において、ティフウェイ、フェニックスターフ、又は、ティフドワーフ若しくはティフグリーンに特異的な遺伝子型としては、本実施例に記載された遺伝子型が例示できるが、これに限定されない。例えば、これら対照バーミューダグラスに特異的な遺伝子型としては、本実施例と異なるPCR条件によって増幅されたPCR産物を本実施例と同じ分離方法及び分離条件で分離したときに検出されるPCR産物の種類に相当する遺伝子型でもよいし、本実施例と同じPCR条件又は異なるPCR条件によって増幅されたPCR産物を本実施例と異なる分離方法及び分離条件で分離したときに検出されるPCR産物の種類に相当する遺伝子型でもよい。
【0051】
また、本発明は、本発明の方法に用いるためのバーミューダグラスの品種判別用試薬やバーミューダグラスの品種判別用キットを提供する。このような試薬やキットには、少なくとも次の構成要素i)が含まれる。
i)上記(1)から(10)からなる群より選択されるいずれかのマイクロサテライト座位におけるDNA領域をPCRにより増幅するためのオリゴヌクレオチドのセット
【0052】
上記キットには、前記構成要素i)に加え、次のような付加的な要素を含むことができる。
ii)DNAポリメラーゼ:本発明のキットは、鋳型依存性の相補鎖合成反応を触媒するDNAポリメラーゼを含むことができる。PCRなどの公知の核酸合成反応に利用されている種々のDNAポリメラーゼは、本発明に利用することができる。
iii)ヌクレオチド基質:本発明のキットは、核酸の相補鎖合成反応の基質として利用されるヌクレオチド類を含むことができる。具体的には、dCTP、dGTP、dTPT、およびdATPの少なくとも一つ、通常はこれらの全て(dNTP)をキットに含むことができる。これらのヌクレオチド類は、天然の構造のみならず、誘導体を利用することもできる。蛍光物資や結合性リガンドで修飾したヌクレオチド類が公知である。上記キットには、PCRにより増幅されたPCR産物のサイズが記載された書類を添付することができる。また、PCRにより増幅されたPCR産物のサイズ情報を機械読み取り可能なデータとし、それを格納した記録媒体としてキットに加えることもできる。
【0053】
本発明は、配列番号:1から20のいずれかに記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドを提供する。本発明は、さらに、上記(A)から(J)からなる群より選択される少なくとも1組のセットを提供する。このようなセットは、上記(1)から(10)からなる群より選択されるいずれかのマイクロサテライト座位におけるDNA領域をPCRにより増幅するためのオリゴヌクレオチドのセットの一例である。
【0054】
例えば、被検バーミューダグラスの品種が、ティフドワーフ又はティフグリーンと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(H)からなる群より選択される少なくとも1つのセットが例示できる。
【0055】
被検バーミューダグラスの品種が、ティフウェイと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(H)からなる群より選択される少なくとも1つのセットが例示できる。
【0056】
被検バーミューダグラスの品種が、フェニックスターフと同一の品種であるか否かを判別するために用いられるプライマーセットとしては、上記(A)から(J)からなる群より選択される少なくとも1つのセットが例示できる。
【0057】
さらに、本発明は、ティフウェイ、フェニックスターフ、ティフドワーフ、及び、ティフグリーンからなる群より選択されるいずれかのバーミューダグラスのゲノムDNAを鋳型とし、上記(A)から(J)からなる群より選択されるいずれかのセットをプライマーセットとするPCRによって増幅されるPCR産物を提供する。該PCR産物の製造方法や利用方法は上述の通りである。
なお、本明細書において引用されたすべての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
本発明者らは、バーミューダグラスの地上部由来のESTからマイクロサテライトを抽出し、それらを含む90〜300bpのPCR断片が得られるようにプライマーを設計した。DNeasy(登録商標) Plant Mini Kit (QIAGEN)を用いて抽出したバーミューダグラスのゲノムDNAを鋳型として、設計したプライマーペアを用いてPCRを行なった。それらのPCR産物を10%ポリアクリルアミドゲルによる電気泳動で分離し、品種特異的なPCR断片長を検出することにより品種判定を行なった。以下に主な実施例を記述する。
【0059】
1-1)反応液組成
1-1-1)384穴プレートでPCRを行なう場合の1検体あたりの反応液組成
鋳型DNA (~0.25 ng/μl) 2 μl
10xPCR緩衝液 [160 mM (NH4) 2SO4、67 mM Tris-HCl (pH8.8)、0.1% Tween20] 0.5 μl
2.5 mM each dNTP 0.4 μl
50 mM MgCl2 0.6 μl
25 μM each プライマー混合液 0.08 μl
耐熱性DNAポリメラーゼ (5 unit/μl、BIOTAQTM、BIOLINE社) 0.008 μl
水 1.412 μl
全量 5 μl
【0060】
1-1-2)96穴プレートでPCRを行なう場合の1検体あたりの反応液組成
鋳型DNA (~0.25 ng/μl) 4 μl
10xPCR緩衝液 [160 mM (NH4) 2SO4、67 mM Tris-HCl (pH8.8)、0.1% Tween20] 1 μl
2.5 mM each dNTP 0.8 μl
50 mM MgCl2 1.2 μl
25 μM each プライマー混合液 0.16 μl
耐熱性DNAポリメラーゼ (5 unit/μl、BIOTAQTM、BIOLINE社) 0.016 μl
水 2.824 μl
全量 10 μl
【0061】
1-2)反応条件
Biometra社製あるいはABI社製のサーマルサイクラーを用いて、以下のプログラムでPCRを行なった。
94℃ 3分
[94℃ 30秒、 68℃ 30秒] 3サイクル
[94℃ 30秒、 66℃ 30秒] 3サイクル
[94℃ 30秒、 64℃ 30秒] 3サイクル
[94℃ 30秒、 62℃ 30秒、72℃ 30秒] 3サイクル
[94℃ 30秒、 60℃ 30秒、72℃ 30秒] 3サイクル
[94℃ 30秒、 58℃ 30秒、72℃ 30秒] 3サイクル
[94℃ 30秒、 55℃ 30秒、72℃ 30秒] 30サイクル
72℃ 10分
【0062】
1-3)電気泳動
タッチダウンPCR 法によるPCR後、各サンプル5 μlの反応液に対して、10 μl BPB Dye [1 mM Tris-HCl (pH7.5)、0.1 mM EDTA、0.025% BPB、 5% グリセロール]を添加した。
10%ポリアクリルアミドゲルならびに1xTBE緩衝液を用いて電気泳動することにより、PCR産物を分離した。各サンプルについて4 μlずつアプライした。DNA分子量マーカーには20 bpラダーマーカーを用いた。電気泳動の電圧と時間は、200Vで4時間または55Vで16時間に設定した。電気泳動後は、ポリアクリルアミドゲルをエチジウムブロマイド(EtBr)添加した1xTBE緩衝液に5〜10分浸し(振盪させ)、UVトランスイルミネーターで分離の様子を観察した。
【0063】
1-4)結果
表1に示したプライマーペアを用いて、表2に示したバーミューダグラス4品種の判別を行なった。表3及び表4に示すとおり、これらのプライマーペアにおける供試4品種間での推定対立遺伝子数は2〜5であった。図1にアクリルアミドゲル電気泳動像の結果を示す。表3、表4及び図1が示すように、供試4品種間で多型が認められた。これらの結果、1あるいは複数のプライマーペアを組み合わせることにより、供試した4品種・系統の識別が可能であった。
【0064】
【表1】

バーミューダグラス品種判別マーカーのプライマー配列
【0065】
【表2】

バーミューダグラスの判別対象品種
【0066】
【表3】

PCR産物のサイズ
【0067】
【表4】

アリルパターン
(サイズの小さいものからA, B…と表示した)
【0068】
1-5)考察
表3、表4に示す結果より、表2に示した品種群の中で、1品種を識別可能な最小マーカー数は1であることが言える。また、BGS0008、BGS0025、BGS0095、BGS0117、BGS0140、BGS0247、BGS0248、BGS0283、BGS0300、又は、BGS0387によって「フェニックスターフ」を、BGS0008、BGS0025、BGS0095、BGS0117、BGS0140、BGS0247、BGS0248、又は、BGS0283によって「ティフウェイ」をそれぞれ識別する事が出来る。
また、表3、表4に示す結果より、最もアリル数の多いマーカーはBGS0140であり(6アリル)、最もアリルが少ないマーカーはBGS0387である(2アリル)。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】表1(1〜6)に示すマーカーに対応するプライマーセットを用いて増幅したPCR産物の10%ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分離を示す写真である。
【図2】表1(7〜10)に示すマーカーに対応するプライマーセットを用いて増幅したPCR産物の10%ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分離を示す写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検バーミューダグラスの品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検バーミューダグラスの品種が、対照バーミューダグラスと同一の品種であると判別される方法;
(a)対照バーミューダグラスのゲノムDNAにおける下記(1)から(10)からなる群より選択される少なくとも1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型であって、対照バーミューダグラスに特異的な遺伝子型、
(b)被検バーミューダグラスのゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型、
(1)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(2)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(3)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(4)配列番号:7に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:8に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(5)配列番号:9に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:10に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(6)配列番号:11に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:12に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(7)配列番号:13に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:14に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(8)配列番号:15に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:16に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(9)配列番号:17に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:18に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、並びに、
(10)配列番号:19に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:20に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位。
【請求項2】
対照バーミューダグラスが、ティフウェイ、フェニックスターフ、又は、ティフドワーフ若しくはティフグリーンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
下記(a)に記載の遺伝子型、及び、下記(b)に記載の遺伝子型を比較する工程を含む被検バーミューダグラスの品種判別法であって、前記工程において比較した遺伝子型が一致したときに、被検バーミューダグラスの品種が、対照バーミューダグラスと同一の品種であると判別される方法;
(a)ティフウェイ、フェニックスターフ、又は、ティフドワーフ若しくはティフグリーンのゲノムDNAにおける下記(1)から(8)からなる群より選択される少なくとも1つのマイクロサテライト座位の遺伝子型、
(b)被検バーミューダグラスのゲノムDNAにおける(a)と同じ座位の遺伝子型、
(1)配列番号:1に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(2)配列番号:3に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:4に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(3)配列番号:5に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:6に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(4)配列番号:7に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:8に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(5)配列番号:9に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:10に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(6)配列番号:11に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:12に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、
(7)配列番号:13に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:14に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位、並びに、
(8)配列番号:15に記載の塩基配列と相補的な塩基配列、及び、配列番号:16に記載の塩基配列と相補的な塩基配列によって挟まれるマイクロサテライト座位。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の方法に用いるためのバーミューダグラスの品種判別用試薬。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の方法に用いるためのバーミューダグラスの品種判別用キット。
【請求項6】
配列番号:1から20のいずれかに記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
【請求項7】
下記(A)から(J)からなる群より選択される少なくとも1組のセット;
(A)配列番号:1に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:2に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(B)配列番号:3に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:4に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(C)配列番号:5に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:6に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(D)配列番号:7に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(E)配列番号:9に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:10に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(F)配列番号:11に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:12に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(G)配列番号:13に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:14に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(H)配列番号:15に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:16に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(I)配列番号:17に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:18に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、並びに、
(J)配列番号:19に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:20に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット。
【請求項8】
請求項7に記載のセットを含有するバーミューダグラスの品種判別用試薬。
【請求項9】
請求項7に記載のセットを含有するバーミューダグラスの品種判別用キット。
【請求項10】
ティフウェイ、フェニックスターフ、ティフドワーフ、及び、ティフグリーンからなる群より選択されるいずれかのバーミューダグラスのゲノムDNAを鋳型とし、下記(A)から(J)からなる群より選択されるいずれかのセットをプライマーセットとするPCRによって増幅されるPCR産物;
(A)配列番号:1に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:2に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(B)配列番号:3に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:4に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(C)配列番号:5に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:6に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(D)配列番号:7に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:8に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(E)配列番号:9に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:10に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(F)配列番号:11に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:12に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(G)配列番号:13に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:14に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(H)配列番号:15に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:16に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、
(I)配列番号:17に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:18に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット、並びに、
(J)配列番号:19に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び、配列番号:20に記載の塩基配列を含むオリゴヌクレオチドのセット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−240269(P2009−240269A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93039(P2008−93039)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(504224153)国立大学法人 宮崎大学 (239)
【出願人】(596175810)財団法人かずさディー・エヌ・エー研究所 (40)
【Fターム(参考)】