説明

マイクロストリップ線路から導波路への変換器及びその使用方法

【課題】 マイクロストリップ線路と導波路の間の変換器。
【解決手段】 マイクロストリップ線路のグラウンド面が、開口を有し、導波路の壁の少なくとも一部分を形成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、独立請求項の種類の、マイクロストリップ線路から導波路への変換器及びその使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】DE 1 96 14 286は、特に超高周波に使用するのに適した、共振器を接続リード線へ結合するカップリング機器を開示している。それによれば、平坦な誘電体基板が共振器の壁面と垂直な基板面と整列している。マイクロストリップ技術に基づいたプレーナ導波路が基板上に延長され、壁面と対面した基板端部へ立ち上げられる。導波路は、例えば極高周波回路機器へ接続される。導波路の2つの導体の間で形成される導波路の電波界は、開口部で共振器の電界へ直接に結合される。さらに、従来技術から、マイクロストリップ線路をアンテナへ結合することが知られている。マイクロストリップ線路は基板上に支持され、エネルギーは開口を介して放射アンテナへ結合される。アンテナは導波路として設計され、蒸着された誘電膜によって調整される。エネルギーは、基板へ機械加工された開口を介してアンテナへ結合される。
【0003】さらに、カップリング・ロッドを使用した導波路との同軸接続が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】すべての場合に、マイクロストリップ線路を導波路へ結合するとき、調整が最大の問題となる。特に、超高周波の分野では、コンポーネントの機械的寸法は小さく、例えば、カップリング・ロッドを使用する場合に、調整ネジによって必要な調節を行うことはコストがかかる。さらに、導波路内で固定された誘電面を使用して調整することもコストがかかるプロセスである。
【0005】JP 09246816(要約書)は、開口を介してマイクロストリップ線路から導波路へエネルギーを伝搬する変換器を開示している。導波路のデザインは通常型のものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】独立請求項の特徴を有する本発明の変換器は、対照してみると、モノリシックであることに利点がある。すなわち、マイクロストリップ線路のグラウンド面は、少なくとも部分的に導波路の壁を形成する。金属本体にはカットアウト及びカバーが設けられる。そのようなデザインによって、大量生産される製品の場合でも、安定したロバストな構造が実現される。
【0007】従属請求項で表現された手段は、独立請求項で規定された変換器を更に発展及び改善する利点を有する。
【0008】もし金属本体がマイクロストリップ線路の基板の背面クラッドによって形成されるならば、特に利点がある。それによって、変換器の特に簡単で安価なデザインが実現される。
【0009】導波路内のマイクロ波の伝搬方向と垂直及び平行に開口を配置し、それによって調整を最適化することは、特に利点がある。
【0010】本発明に従った変換器は、調整実効化手段を導波路内に簡単に設けることを可能にする。例えば、突起、溝その他類似の幾何学的形状を壁の中に適当に設けることができる。
【0011】さらに、調整はマイクロストリップ線路の静電誘導によって実効化することができる。コンポーネントを微調整するためには、接続可能な導体器、例えば、マイクロストリップ線路へ接続されたタブを使用することができる。
【0012】そのようなコンポーネントは非常にロバストである利点を有するので、高周波信号を伝送する光ファイバ無線ハイブリッド方式(HFR)ネットワークで使用することができる。
【0013】本発明の実施例は図面に示され、以下で詳細に説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】マイクロストリップ線路1のグラウンド面には、モノリシック集積マイクロ波回路7が接続されている。マイクロストリップ線路1は誘電体の上に付着され、また、誘電体はグラウンド面3の上に付着されている。金属ブロック6には、例えば金属ブロック内に機械加工された中空スペース2が設けられ、カバー4及びグラウンド面3によって導波路を形成するように封止されている。スリット形開口5がグラウンド面3内に形成されている。
【0015】基板の背面に非常に厚い金属クラッドを有する基板を用いることによって、中空スペース2(カットアウト)を直接基板内に形成することが可能である。この場合、上部壁はカバー4によって形成される。マイクロストリップ線路1の中を伝搬する電磁界は、グラウンド面3(基板の金属クラッド)内に形成されたスリット形開口5を介して中空スペース2へ結合される。
【0016】導波路又はマイクロストリップ線路1の端部に対するスリットの幅及び位置は、最良の可能な変換を達成するように選択されるべきである。
【0017】最良の可能な変換は、マイクロストリップ線路が開放端を有するか、あるいは短絡されるかに依存する。変換は、開放端の場合、λ/2調整によって実効化され、マイクロストリップ線路の短絡の場合、λ/4調整によって実効化される。
【0018】残余の調整ミスは、例えば、異なった導体器をマイクロストリップ線路へ付加するか、あるいは導波路内で処置を講じるか、または両者を併用することによって、減少させることができる。例えば、調整用の配線によって、調整タブ8をマイクロストリップ線路1へ接続することができる。これらのタブ及び配線は、前もって製造過程で設けることができ、コンポーネントの微調整の段階でマイクロストリップ線路1へ接続される。
【0019】変換器を調整するためには、例えば射出成形されたアルミニウムから作られる導波路に特別の形状を与えることができる。調整の最適条件を作り出すために、プラットフォーム又はステップを挿入することができる。さらに、調整用ロッドを中空スペースに設けることができる。変換はE界又はH界又はこれら2つの組み合わせを介して実効化することができる。
【0020】グラウンド面3(マイクロ波印刷回路板)及び金属ブロック6は、例えば導電性接着剤によって接続することができる。
【0021】本発明に従った変換器は、例えば、極高周波範囲の信号が送受信される場合に、加入者線の分野で使用することができる。このコンポーネントは、配電網用の基地局及び加入者のところで使用され、例えばコンポーネント(モノリシック集積マイクロ波回路)7の中に集積されていてもよい増幅器の信号を、導波路に、続いてアンテナに再ルーチングする費用効率の高い手段である。その応用例としては、ホーンアンテナの使用が特に有利である。そのような小さくてロバストなコンポーネントを使用することによって、例えば千軒までの世帯のセル範囲の基地局の信号を再ルーチングする最後のステップが可能となる。導波路への再ルーチングによって、経済的に魅力的なアンテナを使用することができる。中空スペース2内の調整器及びマイクロストリップ線路1上の調整器を組み合わせることによって、信号の所望の帯域幅及び周波数に合わせて、コンポーネントを良好に調整することができる。このコンポーネントの簡単な構造及びそのモノリシックな設計は、製造及び機械加工による調整をロバストかつ容易にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従った変換器の断面図である。
【図2】本発明に従った変換器の平面図である。
【符号の説明】
1 マイクロストリップ線路
2 導波路
3 グラウンド面
4 カバー
5 スリット形開口
6 金属体
7 モノリシック集積マイクロ波回路
8 導体セグメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】 マイクロストリップ線路(1)のグラウンド面(3)がスリット形開口(5)を有する、マイクロ波用のマイクロストリップ線路(1)から導波路(2)への変換器であって、前記マイクロストリップ線路の前記グラウンド面(3)が、金属体(6)内にカットアウトを作りカバー(4)を付加することによって形成された前記導波路(2)の壁の少なくとも一部分を形成することを特徴とする、変換器。
【請求項2】 前記金属体(6)が、グラウンド面(3)として働く基板背面の金属クラッドであることを特徴とする、請求項1に記載の変換器。
【請求項3】 前記スリット形開口(5)が、前記導波路(2)内で前記マイクロ波の伝搬方向と垂直又は平行なスリットによって形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の変換器。
【請求項4】 前記変換器が前記導波路(2)内に設けられた手段によって調節されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項5】 節部、溝、又は突起のような幾何学的形状が前記導波路(2)の壁に形成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項6】 前記変換器の前記調節が前記マイクロストリップ線路(1)上に設けられた特別の手段によって実効化されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項7】 前記調節が前記マイクロストリップ線路へ接続可能な導体セグメント(8)によって実効化されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項8】 請求項1から7のいずれか一項に従った前記変換器が、テレビジョン配電網で高周波信号を伝送するためのアンテナへの変換器として使用されることを特徴とする、変換器の使用方法。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【公開番号】特開平11−284412
【公開日】平成11年(1999)10月15日
【国際特許分類】
【外国語出願】有
【出願番号】特願平11−31764
【出願日】平成11年(1999)2月9日
【出願人】(391030332)アルカテル (1,149)