説明

マイクロニードルアレイ装置

【課題】 マイクロニードルを容易に皮膚に対して斜めに突き刺すことができ、それによって、マイクロニードルによる注射の際、患者に対する痛みの軽減と薬液漏れの防止を両立できるマイクロニードルアレイ装置を提供すること。
【解決手段】 貫通孔が設けられた底板とその両側端から垂直に立設された一対の側板とからなるマイクロニードルアレイ用ガイドと、マイクロニードルアレイ本体とその底面から傾斜した状態で突出されるマイクロニードルとからなるマイクロニードルアレイと、マイクロニードルアレイ本体の両側面に傾斜された状態で突出・形成された一対の被ガイド部と、一対の側板に一対の被ガイド部と平行な状態で突出・形成された一対のガイド部と、を具備し、マイクロニードルアレイは押圧されて一対のガイド部と一対の被ガイド部とによるガイド作用によりマイクロニードルが貫通孔を貫通するようにガイドされて移動せられるマイクロニードルアレイ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、マイクロニードルを皮膚に突き刺すマイクロニードルアレイ装置に係り、特に、マイクロニードルが傾斜した状態で突出されたマイクロニードルアレイをそのマイクロニードルが傾斜した方向にガイドすることで、マイクロニードルを皮膚表面に対して傾斜した状態で突き刺し、これにより、患者に対する痛みの軽減と皮膚表面への薬液漏れの防止を実現できるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されたような、基板に対して垂直に形成されたマイクロニードルを皮膚に対して略垂直に突き刺すことは比較的容易であり、手技によっても行うことは可能である。
しかし、マイクロニードルによる注射の際に皮膚表面への薬液の漏れを防止し、且つ、患者に対して痛みを与えないようにするためには、マイクロニードルを皮膚表面に対して斜めに突き刺すのが良いとされる。そうすることにより、マイクロニードルのより多くの部分が皮膚内に入り込み、且つ、マイクロニードル先端が到達する皮膚表面からの垂直深さはそれほど深くならないからである。そのようにするため、マイクロニードルを基板に対して傾斜された状態で形成することが考えられる。
また、マイクロニードルを皮膚表面に対して垂直に突き刺すと、マイクロニードルにより皮膚表面が押圧されて変形してしまい、マイクロニードルを十分な深さまで突き刺すことが困難となる。このような場合も、マイクロニードルを皮膚表面に対して傾斜させ、その傾斜させた方向にマイクロニードルを前進させて皮膚に突き刺せば、皮膚表面の変形を防ぎ、マイクロニードルを容易に皮膚に突き刺すことができる。
また、特許文献2には、ミクロ注射器において針を斜めに傾斜させて取り付けたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−296037号公報
【特許文献2】昭56−95058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構成によると、次のような問題があった。
すなわち、斜めに形成されたマイクロニードルを皮膚表面に対して突き刺す際、マイクロニードルをその斜めに形成された突出方向に沿って移動させていく必要がある。そうしなければ、マイクロニードルが皮膚との相互作用により破損してしまう可能性があるからである。しかし、マイクロニードルの移動方向を皮膚に対して傾斜した方向に維持することは困難である。
また、特許文献2に開示されているミクロ注射器は針を、その傾斜させた方向に移動させるものではない。そのため、傾斜されたマイクロニードルを特許文献2に記載されたミクロ注射器に適用しても、マイクロニードルは皮膚表面に対して垂直に押圧されることになり、マイクロニードルが突出する方向と異なる向きの力がマイクロニードルに加わり、マイクロニードルが破損してしまう可能性がある。
【0005】
本願発明は、このような点に基づいてなされたもので、その目的とするところは、マイクロニードルを容易に皮膚に対して斜めに突き刺すことができ、それによって、マイクロニードルによる注射の際、患者に対する痛みの軽減と薬液漏れの防止を両立できるマイクロニードルアレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するべく請求項1に記載されたマイクロニードルアレイ装置は、貫通孔が設けられた平板状の底板と該底板の両側端から垂直に立設された一対の側板とからなるマイクロニードルアレイ用ガイドと、マイクロニードルアレイ本体と該マイクロニードルアレイ本体の底面から傾斜した状態で突出されるマイクロニードルとからなるマイクロニードルアレイと、上記マイクロニードルアレイ本体の両側面に上記マイクロニードルの傾斜角度と同じ傾斜角度で突出・形成された一対の被ガイド部と、上記一対の側板に上記一対の被ガイド部と平行な状態で摺接可能に突出・形成された一対のガイド部と、を具備し、上記マイクロニードルアレイは、押圧されることにより、上記一対のガイド部と上記一対の被ガイド部とによるガイド作用により、上記マイクロニードルが上記貫通孔を貫通するようにガイドされて移動せられることを特徴とするものである。
又、請求項2に記載されたマイクロニードルアレイ装置は、請求項1記載のマイクロニードルアレイ装置において、上記マイクロニードルアレイ用ガイドには、上記マイクロニードルアレイを押圧する押出手段が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項3に記載されたマイクロニードルアレイ装置は、請求項1又は請求項2記載のマイクロニードルアレイ装置において、上記ガイド部の上記マイクロニードルアレイの反押出側の端部が上記底板と平行に延長・形成されていることを特徴とするものである。
又、請求項4に記載されたマイクロニードルアレイ装置は、請求項1〜請求項3の何れかに記載のマイクロニードルアレイ装置において、上記ガイド部には上記被ガイド部を弾性・付勢し係合凸部を備えた弾性部材が設けられており、一方、上記被ガイド部には上記係合凸部に係合する複数の係合凹部が設けられおり、上記マイクロニードルアレイを上記押出手段により押し出す際上記複数の係合凹部の内の任意の係合凹部に上記係合凸部が係合することにより押出位置がロックされるように構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項5に記載されたマイクロニードルアレイ装置は、請求項1〜請求項4の何れかに記載のマイクロニードルアレイ装置において、上記側板には上記マイクロニードルアレイの押出位置を確認するための位置確認用窓が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項6に記載されたマイクロニードルアレイ装置は、請求項1〜請求項5の何れかに記載のマイクロニードルアレイ装置において、上記マイクロニードルアレイ用ガイドの底板には上記マイクロニードルアレイの押出方向に直交する方向へのぶれを補償するためのぶれ防止用ガイド部が設けられており、上記マイクロニードルアレイの底面には、上記ぶれ防止用ガイド部に対応するぶれ防止用被ガイド部が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
以上述べたように、請求項1記載のマイクロニードルアレイ装置によると、マイクロニードルアレイ本体から所定の角度で傾斜した状態でマイクロニードルが突出・形成されており、マイクロニードルアレイ本体に上記マイクロニードルの傾斜角度と同じ傾斜角度で突出・形成された一対の被ガイド部があり、マイクロニードルアレイ用ガイドの側板に上記一対の被ガイド部と平行なガイド部が設けられているため、上記マイクロニードルアレイを上記マイクロニードルの傾斜に沿った方向へ移動させることができ、これにより、上記マイクロニードルを皮膚表面に対して正確に傾斜させて突き刺すことができる。
又、請求項2記載のマイクロニードルアレイ装置は、上記マイクロニードルアレイを押圧する押圧手段が設けられているため、上記マイクロニードルアレイを容易に移動させることができる。
又、請求項3記載のマイクロニードルアレイ装置は、上記ガイド部の上記マイクロニードルアレイの反押出側の端部が上記底板と平行に延長・形成されているため、上記ガイド部の上記底板と平行な部分に上記マイクロニードルアレイの被ガイド部を設置させることで、上記マイクロニードルアレイが上記ガイド部の傾斜部分によって滑り、不用意に移動することを防止できる。
又、請求項4記載のマイクロニードルアレイ装置は、上記ガイド部には上記被ガイド部を弾性・付勢し係合凸部を備えた弾性部材が設けられているため、マイクロニードルアレイを正確にガイドすることができる。また、上記被ガイド部には上記係合凸部に係合する複数の係合凹部が設けられおり、上記マイクロニードルアレイを上記押出手段により押し出す際上記複数の係合凹部の内の任意の係合凹部に上記係合凸部が係合するようになっているため、上記マイクロニードルアレイを任意の押出位置でロックすることができる。
又、請求項5記載のマイクロニードルアレイ装置は、上記側板には上記マイクロニードルアレイの押出位置を確認するための位置確認用窓が設けられているため、直接視認することができないマイクロニードルの皮膚に対する位置を確認することができる。
又、請求項6記載のマイクロニードルアレイ装置は、上記マイクロニードルアレイ用ガイドの底板にぶれ防止用ガイド部が設けられており、上記マイクロニードルアレイの底面には、上記ぶれ防止用ガイド部に対応するぶれ防止用被ガイド部が設けられているため、上記マイクロニードルアレイの押出方向に直交する方向へのぶれを防ぐことができ、上記マイクロニードルをより正確に皮膚に突き刺すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置を示す斜視図である。
【図2】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置を示す分解斜視図である。
【図3】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置に用いられるマイクロニードルアレイ用ガイドを示す正面図である。
【図4】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置に用いられるマイクロニードルアレイ用ガイドの貫通孔周辺の底面側を示す拡大図である。
【図5】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、図5(a)は本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置に用いられるマイクロニードルアレイ用ガイドのガイド部周辺を示す拡大図であり、図5(b)は図5(a)のb−b断面図である。
【図6】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置に用いる押出手段を示す平面図である。
【図7】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置に用いられるマイクロニードルアレイ用ガイドの押出手段の操作つまみとその周辺を示す拡大図である。
【図8】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置に用いられるマイクロニードルアレイを示す斜視図である。
【図9】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、図8におけるIX−IX断面図である。
【図10】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置に用いられるマイクロニードルアレイを示す正面図である。
【図11】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置に用いられるマイクロニードルアレイを示す分解斜視図である。
【図12】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置に用いられるマイクロニードルアレイのマイクロニードルユニットを示す分解斜視図である。
【図13】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、図13(a)は本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置をマイクロニードルアレイ設置状態とした上面図であり、図13(b)は図13(a)のb−b断面図である。
【図14】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、図14(a)は本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置のマイクロニードルアレイを穿孔準備状態とした場合の断面図であり、図14(b)は本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置のマイクロニードルアレイを穿孔完了状態とした場合の断面図である。
【図15】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、図15(a)は本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置のマイクロニードルアレイを設置しマイクロニードルアレイ設置状態とした場合のガイド部の拡大図であり、図15(b)は本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置のマイクロニードルアレイを穿孔準備状態とした場合のガイド部の拡大図であり、図15(c)は本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置のマイクロニードルアレイを穿孔完了状態とした場合のガイド部の拡大図である。
【図16】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、図16(a)は本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置のマイクロニードルアレイ設置状態とした場合のマイクロニードルアレイのぶれ防止用被ガイド部とマイクロニードルアレイ用ガイドのぶれ防止用ガイド部との位置関係を表した図であり、図16(b)は本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置のマイクロニードルアレイを穿孔完了状態とした場合のマイクロニードルアレイのぶれ防止用被ガイド部とマイクロニードルアレイ用ガイドのぶれ防止用ガイド部との位置関係を表した図である。
【図17】本願発明の第1の実施の形態を示す図で、本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置のマイクロニードルアレイ設置状態から穿孔準備状態を経て穿孔完了状態とした場合のマイクロニードルの移動軌跡を表した図である。
【図18】本願発明の第2の実施の形態を示す図で、本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1乃至図17を参照して、本願発明の第1の実施の形態を説明する。
【0010】
本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置1は、図1及び図2に示すように、まず、マイクロニードルアレイ用ガイド3がある。上記マイクロニードルアレイ用ガイド3は、図2及び図3に示すように、平板状の底板5と、この底板5の幅方向両端から図3中上側へ垂直に延長・形成された側板7、7とからなる。
【0011】
上記底板5には、貫通孔9、9、9、9、9、9が穿孔されている。上記底板5の底面(図3中下側の面)の上記貫通孔9それぞれの周辺には、図4に示すように突起10、10が設けられている。上記突起10は、上記マイクロニードルアレイ装置1を皮膚表面に設置し後述するマイクロニードルを皮膚に突き刺す際、上記マイクロニードルアレイ装置1が不用意に滑らないようにするのと同時に皮膚表面を固定しマイクロニードルが突き刺さりやすいようにするためのものである。
又、上記底板5の図3中上側の面の中央から上記側板7に平行な略直方体形状のぶれ防止用ガイド部11が突出・形成されている。
【0012】
又、図2及び図3に示すように、上記側板7には、上記側板7、7が向かい合う内側に向けて下ガイド部13、13が突出・形成されている。上記下ガイド部13は、上記底板5に対して所定の角度(θ°)だけ傾斜された傾斜部13aと、その上端(図2中左上端)から延長・形成された水平部13bとからなる。
又、図2及び図5に示すように、上記側板7の個々の上記下ガイド部13の下端(図2中右下側端)のやや斜め上方(図2中右上)には上ガイド部15が突出・形成されている。上記上ガイド部15も、上記下ガイド部13の傾斜部13aと同様に上記底板5に対して所定の角度(θ°)だけ傾斜されており、両者は平行になっている。
【0013】
又、図2及び図5に示すように、上記側板7の個々の上記下ガイド部13の傾斜部13aのやや上方(図5中上方)には、ロック部材17が設けられている。上記ロック部材17の上端(図5中左上側端)は、上記側板7から突出・形成された円柱状のロック部材用基部17aとなっており、このロック部材用基部17aから上記下ガイド部13の傾斜部13aと平行に図5中右下へと延長された板状の部分が弾性部材としての板ばね部17bとなっている。そして、上記板ばね部17bの先端から上記下ガイド部13側(図5中左下側)へと突出・形成された部分が係合凸部としてのロック部材側係合凸部17cである。
【0014】
また、上記側板7の、上記ロック部材用基部17aと上記上ガイド部15と上記下ガイド部13の傾斜部13aに囲まれた部分が、略長方形にくり貫かれて、位置確認用窓19が形成されている。そのため、上記ロック部材17は上記側板7の外側から視認することができるようになっている。
また、上記底板5の前端(図2中右側端)には凸部21が設けられており、上記底板5の後端(図2中左側端)には凸部23が設けられている。
また、上記底板5の後端側(図2中左端側)には、円形の凹部である軸受部24が形成されている。
【0015】
図1に示すように、上記マイクロニードルアレイ用ガイド3の後端(図1中左端)には、押出手段25が設置されている。図2に示すように、上記押出手段25は、まず、L字形に屈曲した取付板27がある。上記取付板27の図2中上側の平板状部分には図示しない貫通孔があり、この貫通孔を貫通する軸29がある。上記軸29の上端(図2中上側端)には操作つまみ31が取り付けられている。図7に示すように、上記操作つまみ31には後述する穿孔準備状態の位置を示す穿孔準備マーク32aと穿孔完了状態の位置を示す穿孔完了マーク32bがされており、上記取付板27には基準マーク32cが表示されている。上記操作つまみ31を図7中時計回り方向に回動操作し上記取付板27に表示された基準マーク32cと上記穿孔準備マーク32aをあわせると穿孔準備状態となり、更に上記操作つまみ31を図7中時計回り方向に回動操作し上記基準マーク32cと上記穿孔準備完了マーク32bをあわせると穿孔完了状態となる。また、図2及び図6に示すように、上記軸29にはカム33が取り付けられている。このカム33が上記操作つまみ31の回動操作により上記軸29と共に回転して、後述するマイクロニードルアレイ35を押圧する。
【0016】
図1に示すように、上記マイクロニードルアレイ用ガイド3には、マイクロニードルアレイ35が設置される。上記マイクロニードルアレイ35には、図8乃至図11に示すように、まずマイクロニードルアレイ本体としてのケース37がある。上記ケース37は、ケース本体37aと蓋37bとからなる。上記ケース本体37aには、図11中上側に開口した中空部39があり、この中空部39の底面(図11中下側の面)には、薬液注入口41が形成されている。
【0017】
また、図8乃至図11に示すように、上記ケース本体37aのそれぞれの両側面には、被ガイド部43が2つずつ突出・形成されている。上記被ガイド部43は、上記ケース37の底面(図9中下側の面)に対してθ°傾斜している。上記被ガイド部43には、ガイド用凸部側係合部としての係合凹部45a、45b、45cが形成されている。この係合凹部45a、45b、45cは、上記マイクロニードルアレイ用ガイド3のロック部材側係合凸部17と対応する形状となっている。
また、上記ケース本体37aの上記蓋37b側の面の四隅には、蓋固定用係合凹部47、47、47、47が形成されている。
【0018】
また、図9及び図11に示すように、上記蓋37bにはマイクロニードルユニット取付部48、48が形成されている。上記マイクロニードルユニット取付部48は、上記蓋37bの裏面(図9中下側の面)に設けられたマイクロニードルユニット取付用凹部48aと、上記蓋37bの表面(図9中上側の面)に設けられたマイクロニードル収納用凹部48bとからなる。上記マイクロニードルユニット取付用凹部48aの図9中左側の面48cは、上記蓋37bの水平な面に対してθ°傾斜している。また、上記マイクロニードルユニット取付用凹部48aの図9中右側の面48dは、上記面48cに対して直交している。上記面48dには、貫通孔49、49、49が設けられている。また、図11に示すように、上記蓋37bのケース本体37a側の面から、蓋固定用係合凸部51、51、51、51が突出・形成されている。上記ケース本体37aと上記蓋37bは、上記蓋固定用係合凹部47、47、47、47に上記蓋固定用係合凸部51、51、51、51を係合されることで組み合わさってケース37となる。
また、上記蓋37bの中央付近には、上記マイクロニードルアレイ用ガイドのぶれ防止用ガイド部11と同じ向きに指向した略直方体形状の凹部である、ぶれ防止用被ガイド部53が形成されている。
【0019】
また、図11に示すように、上記マイクロニードルアレイ35にはマイクロニードルユニット55、55が設置されている。上記マイクロニードルユニット55は、略直方体形状のマイクロニードルユニット本体57と、このマイクロニードルユニット本体57の図11中右上側の面から突出・形成された略円柱形状の基部59、59、59と、この基部59、59、59のそれぞれの先端側の面(図11中右上側の面)に垂直に突出・形成された略四角錘形状のマイクロニードル61、61、61とから構成される。
【0020】
また、図12に示すように、上記マイクロニードルユニット55は、これを長さ方向に2つ割にした分割要素63a、63bとから構成されている。上記分割要素63aの接合面65aには溝67a、67a、67aが形成されており、上記分割要素63bの接合面65bには溝67b、67b、67bが形成されている。上記溝67a、溝67bは、上記マイクロニードル61の先端付近から上記マイクロニードルユニット本体57の反マイクロニードル61側の面(図12中左下側の面)まで形成されている。
【0021】
上記分割要素63aと上記分割要素63bが貼り合わされて上記マイクロニードルユニット55となるが、このとき、上記溝67aと上記溝67bが組み合わさって、流路69となる。
上記流路69は、上記マイクロニードル61の先端付近から形成されており、上記マイクロニードルユニット本体57の反マイクロニードル61側の面(図11中左下側の面)に開口している。上記分割要素63aと分割要素63bが貼り合わされる際、上記マイクロニードル61の先端部分は非接着となる。そのため、上記マイクロニードル61の先端には隙間が存在することになる。上記マイクロニードル61先端部分の隙間は上記流路69と外部を連通させており、この隙間が流出口70となっている。
【0022】
上記マイクロニードルユニット55は、上記蓋37bの裏側(図9中下側)から、上記基部59、59、59を上記蓋37bに設けられた上記マイクロニードルユニット取付部48の貫通孔49、49、49内に圧入させることで取り付けられている。上記マイクロニードルユニット55のマイクロニードル61、61、61は、上記蓋37bのマイクロニードル収納用凹部48b内に設置されており、その先端側を上記蓋37bの図9中上方に僅かに突出させている。上記マイクロニードルユニット55のマイクロニードルユニット本体57は上記マイクロニードルユニット取付部48のマイクロニードルユニット取付用凹部48aに係合された状態で、上記ケース37の中空部39内に設置されている。
また、上記薬液注入口41には、図示しない薬液注入パイプを介して、図示しないポンプが接続されている。
【0023】
次に、マイクロニードル装置1の使用とその作用について説明する。
まず、マイクロニードルアレイ用ガイド3の後端部に、押出手段25を設置する。このとき、上記押出手段25の取付板27の図2中上側の水平部分が上記マイクロニードルアレイ用ガイド3の側板7、7の上端(図2中上側端)に当接し、上記押出手段25の軸29の下端(図2中下側端)は上記マイクロニードルアレイ用ガイド3の軸受部24内に挿入・係合されている。次に、マイクロニードルアレイ35を、その被ガイド部43の下端(図2中右下端)と上記マイクロニードルアレイ用ガイド3の下ガイド部13の水平部13bと当接し、上記マイクロニードルアレイ用ガイド3のぶれ防止用ガイド部11の上端部分(図2中上端側部分)が上記マイクロニードルアレイ35のぶれ防止用被ガイド部53内に挿入されるように設置する。これが上記マイクロニードルアレイ装置1のマイクロニードルアレイ設置状態であり、上記マイクロニードルアレイ装置1は図13(a)及び図13(b)に示す状態となる。また、上記マイクロニードルアレイ35の被ガイド部43と上記マイクロニードルアレイ用ガイド3の下ガイド部13は、図15(a)に示すような状態となっている。このとき、図13(a)に示すように、上記マイクロニードルアレイ35のケース37の側面(図13(a)中上側及び下側の面)と、この側面と向かい合っている上記マイクロニードルアレイ用ガイド3の下ガイド部13、上ガイド部15及びロック部材17との間には、隙間dが存在している。また、このときの上記マイクロニードルアレイ35のぶれ防止用被ガイド部53と上記マイクロニードルアレイ用ガイド3のぶれ防止用ガイド部11との位置関係は、図16(a)に示すとおりである。
【0024】
次に、上記押出手段25の操作つまみ31を図7中時計回り方向に回転させる。そうすると、カム33によって上記マイクロニードルアレイ35が押圧されて、前方(図1中右側)へ押出される。このとき、上記マイクロニードルアレイ35の被ガイド部43の下端(図15(a)中右下端)と上記マイクロニードルアレイ用ガイド3の下ガイド部13の水平部13bとが摺接して上下方向(図13(b)中上下方向)にガイドされ、上記マイクロニードルアレイ用ガイド3のぶれ防止用ガイド部11と上記マイクロニードルアレイ35のぶれ防止用被ガイド部53の相互作用によって左右方向(図13(a)中上下方向)にガイドされて、上記マイクロニードルアレイ35が水平に前進(図13(a)及び図13(b)中右方向へ移動)する。そして、上記マイクロニードルアレイ35の被ガイド部43の下端(図15(a)中右下端)が上記水平部13bの図15(a)中右端を通過すると、上記マイクロニードルアレイ35の被ガイド部43の底面(図15(a)中左下側の面)が上記下ガイド部13の傾斜部13aと摺接し、上記マイクロニードルアレイ35は上記ガイド部13の傾斜部13aによって上下方向(図13(b)中上下方向)にガイドされるとともに、上記マイクロニードルアレイ用ガイド3のぶれ防止用ガイド部11と上記マイクロニードルアレイ35のぶれ防止用被ガイド部53の相互作用によって左右方向(図13(a)中上下方向)にガイドされて、図13(b)中右下へと斜め右下に前進していく。
【0025】
すると、上記マイクロニードルアレイ35の被ガイド部43によって上記マイクロニードルアレイ用ガイド3のロック部材17のロック部材側係合凸部17cが付勢される。このとき、上記ロック部材側係合凸部17cが上記被ガイド部43の図15(a)中右上の面に乗り上げ、上記ロック部材17の板ばね部17bの弾性力により上記被ガイド部43を上記下ガイド部13側へと付勢する。そして、上記操作つまみ31を穿孔準備マーク32aと基準マーク32cが合わさるまで図7中時計回り方向に回動させると、上記マイクロニードルアレイ35が更に図15(a)中斜め右下に前進して、上記ロック部材側係合凸部17cが上記被ガイド部43の係合凹部45aと係合し、上記マイクロニードルアレイ35の前進が停止する。この状態が上記マイクロニードルアレイ装置1の穿孔準備状態であり、上記マイクロニードルアレイ装置1は図14(a)に示す状態となる。また、上記マイクロニードルアレイ35の被ガイド部43と、上記マイクロニードルアレイ用ガイド3の下ガイド部13及び上記ロック部材17は、図15(b)に示すような状態となっている。
【0026】
この穿孔準備状態の上記マイクロニードルアレイ装置1の上記貫通孔9、9、9、9、9、9が下側に開口している側の面(図14(a)中下側の面)を皮膚と当接させて、上記マイクロニードルアレイ装置1を皮膚上に設置する。このとき、個々の上記貫通孔9の皮膚側(図14(a)中下側の面)の開口部周辺に設けられた突起10が皮膚表面に食い込み、上記マイクロニードルアレイ装置1が不用意に滑らないようにするのと同時に、皮膚表面が滑らないように固定されているため、マイクロニードル61を突き刺す際の皮膚表面の変形を防ぎ、上記マイクロニードル61が皮膚に突き刺さりやすいようにしている。
また、ここで上記マイクロニードルアレイ装置1を図示しないベルトや粘着テープなどで固定することも考えられる。これによって、上記マイクロニードルアレイ装置1がより安定して皮膚表面に固定されるのと同時に、皮膚表面もより安定して固定される。
【0027】
そして、上記操作つまみ31を更に図7中時計回り方向に回転させていくと、上記マイクロニードルアレイ35の前進に伴う上記被ガイド部43の移動によりロック部材17が湾曲・変形し、上記被ガイド部43の係合凹部45aと上記ロック部材側係合凸部17cとの係合が解除され、上記ロック部材側係合凸部17cは上記被ガイド部43の図15(b)中右上の面に乗り上げる。そして、上記マイクロニードルアレイ35が上記カム33によって押圧され更に図14(a)中右下方向へと前進していくと、上記マイクロニードルアレイ35の図14(a)中下側の面から突出しているマイクロニードル61の先端が皮膚71に突き刺さり、皮膚内に進入していく。また、上記被ガイド部43の先端側(図15(b)中右下側)が上ガイド部15と上記下ガイド部13の間に入り込み、この上ガイド部15によっても上記マイクロニードルアレイ35がガイドされることになる。さらに、上記マイクロニードルアレイ35が前進すると、上記マイクロニードル61は更に皮膚内に進入し、上記ロック部材側係合凸部17cが被ガイド部43の係合凹部45bと係合して、上記マイクロニードルアレイ35の前進が停止する。
【0028】
そして、上記操作つまみ31を更に図7中時計回り方向に回転させていくと、上記マイクロニードルアレイ35が上記カム33によって押圧されて、さらに図15(b)中右下に前進し、上記マイクロニードル61は、さらに皮膚内に進入していく。この時も、上記マイクロニードルアレイ35の前進に伴う上記被ガイド部43の移動によりロック部材17が湾曲・変形し、上記被ガイド部43の係合凹部45bと上記ロック部材側係合凸部17cとの係合が解除される。
【0029】
そして、上記操作つまみ31を穿孔完了マーク32aと基準マーク32cが合わさるまで図7中時計回り方向に回動させると、上記カム33により、更に上記マイクロニードルアレイ35が前進して上記マイクロニードル61が皮膚内に進入していき、上記被ガイド部43の係合凹部45cと上記ロック部材側係合凸部17cが係合して、上記マイクロニードルアレイ35の前進が停止する。また、このとき、上記マイクロニードルアレイ35の前端(図14(a)中右端)が上記マイクロニードルアレイ用ガイド3の凸部21に当接し、上記マイクロニードルアレイ用ガイド3のぶれ防止用ガイド部11の後端(図14(a)中左端)が上記マイクロニードルアレイ35のぶれ防止用被ガイド部53の後端(図14(a)中左端)に当接し、それ以上上記マイクロニードルアレイ35が前進しないようにしている。これが上記マイクロニードルアレイ装置1の穿孔完了状態であり、上記マイクロニードルアレイ装置1は図14(b)に示す状態となる。また、上記マイクロニードルアレイ35の被ガイド部43と、上記マイクロニードルアレイ用ガイド3の下ガイド部13、上ガイド部15及びロック部材17は、図15(c)に示すような状態となっている。また、上記マイクロニードルアレイ35のぶれ防止用被ガイド部53と、上記マイクロニードルアレイ用ガイド3のぶれ防止用ガイド部11との位置関係は、図16(b)に示すとおりである。
【0030】
この一連の動作による、上記マイクロニードル61の移動軌跡は図17に示すようになる。すなわち、上記マイクロニードルアレイ35が上記マイクロニードルアレイ用ガイド3の下ガイド部13の水平部13bによってガイドされている間は水平方向に移動し、下ガイド部13の傾斜部13aによってガイドされている間は上記マイクロニードル61の傾斜方向に前進して皮膚に突き刺さることになる。
【0031】
そして、上記マイクロニードルアレイ35の薬液注入口41に接続された図示しない薬液注入パイプを介して、図示しないポンプにより薬液を送り込む。上記薬液は、上記マイクロニードルアレイ35の中空部39に流入し、上記マイクロニードルユニット55の流路69を経て、上記マイクロニードル61先端の流出口70から皮膚71内へと放出される。
【0032】
本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置1の効果について説明する。
本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置1は、マイクロニードルアレイ35にはマイクロニードル61及び被ガイド部43が水平面に対してθ°傾斜された状態で取り付けられており、マイクロニードルアレイ用ガイド3の下ガイド部13の傾斜部13a及び上ガイド部15が水平面に対してθ°傾斜しているため、上記マイクロニードルアレイ35を上記マイクロニードル61の傾斜方向に向けてガイドすることができ、上記マイクロニードル61をその傾斜方向へと前進させ皮膚に対してθ°傾斜させた状態で突き刺すことができる。そのため、上記マイクロニードル61を皮膚表面に対して垂直に本実施の形態の場合と同様の深さまで突き刺した場合に比べ、上記マイクロニードル61の多くの部分が皮膚内に入り込むことになり、上記マイクロニードル61先端の流出口70から放出される薬液の皮膚表面への流出を防ぐことができる。また、上記マイクロニードル61の多くの部分が皮膚内に入り込んでいる割には、上記マイクロニードル61の先端が到達した皮膚表面からの垂直深さが浅いため、患者に与える痛みを軽減することができる。
【0033】
また、上記マイクロニードル61が皮膚表面に対してθ°傾斜した状態で、その傾斜方向に前進して皮膚に突き刺さるので、皮膚表面に対して垂直に突き刺す場合に比べて皮膚表面の変形が少なく、容易に上記マイクロニードル61を皮膚に突き刺すことができる。
また、上記マイクロニードルアレイ用ガイド3の貫通孔9の周辺に設けられた突起10によって上記マイクロニードルアレイ装置1が滑らないように固定されているため、上記マイクロニードル61を安定させて皮膚に突き刺すことができる。
また、上記突起10によって皮膚表面が滑らないように固定されているため、上記マイクロニードル61を突き刺す際の皮膚表面の変形を防ぎ、上記マイクロニードル61を容易に皮膚に突き刺すことができる。
また、上記マイクロニードルアレイ35は、上記被ガイド部43と下ガイド部13に加え、上記マイクロニードルアレイ35のぶれ防止用被ガイド部53と上記マイクロニードルアレイ用ガイド3のぶれ防止用ガイド部11との相互作用により上記マイクロニードルアレイ35の押出方向に直交する向きにもガイドされるため、上記マイクロニードル61がより正確に上記貫通孔9を貫通し、皮膚に突き刺さるようにガイドされる。
また、上記マイクロニードルアレイ用ガイド3に設けられたロック部材17のロック部材側係合凸部17cは板ばね部17bの弾性力によって上記被ガイド部43を上記下ガイド部13側へ付勢しているため、このことによっても上記マイクロニードルアレイ35が確実に上記下ガイド部13によってガイドされることとなる。また、上記マイクロニードルアレイ35が特定の位置に到達すると、上記ロック部材側係合凸部17cが上記被ガイド部43に形成された係合凹部45a、45b、45cの何れかに係合するようになっている。そのため、前進させた上記マイクロニードルアレイ35をその特定の位置で正確に停止させることができる。
また、押出手段25の操作つまみ31には穿孔準備マーク32aと穿孔完了マーク32bが表示され、取付板27には基準マーク32cが表示されているため、上記操作つまみ31をどの程度回転させれば穿孔準備状態や穿孔完了状態にすることができるのかの目安とすることができる。
また、本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置1は、上記マクロニードルアレイ用ガイド3の側板7に位置確認用窓19が形成されているため、上記被ガイド部43の係合凹部45a、45b、45cの内の何れかに上記ロック部材側係合凸部17cが係合しているのか外部から確認することができ、上記マイクロニードルアレイ装置1が、マイクロニードルアレイ設置状態、穿孔準備状態、及び、穿孔完了状態の何れの状態にあるのかを判別することができる。また、これにより、上記マイクロニードルアレイ装置1を皮膚表面に取り付けた状態では直接視認することができない上記マイクロニードル61の位置を確認することができることにもなる。
【0034】
次に、図18を用いて、本願発明の第2の実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置72について説明する。
本実施の形態に使用するマイクロニードルアレイ、マイクロニードルアレイ用ガイドは、前述した第1の実施の形態で使用したものと同様のものであり、同一の符号を付して説明する。
マイクロニードルアレイ用ガイド3の後端側(図18中左側)には、押出手段73が設置されている。上記押出手段73は、図18に示すように、L字形に屈曲した取付板75と送りねじ77とから構成されている。上記取付板75には、図18に示すように、貫通孔79が穿孔されており、この貫通孔79の内周面には雌ねじ部81が形成されている。上記送りねじ77は頭部83と軸部85とからなり、この軸部85の外周面に雄ねじ部87が形成されている。又、上記軸部85の先端は略半球状に形成された押出部89となっている。
【0035】
本願発明の第2の実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置72を使用する場合は、上記押出手段73の送りねじ77を回転させて前進(図18中右下方向へ移動)させて、上記送りねじ77先端の押出部89によってマイクロニードルアレイ35を押圧させることで、このマイクロニードルアレイ35を前進させる。本実施の形態による上記マイクロニードルアレイ35も、前述した第1の実施の形態の場合と同様に移動する。また、本実施の形態によるマイクロニードルアレイ装置72の効果も、前述した第1の実施の形態のマイクロニードルアレイ装置1と同様である。
【0036】
なお、本願発明は、前記各実施の形態に限定されない。
例えば、マイクロニードルの数やマイクロニードルユニットの数は、上記の実施の形態のものに限られない。
また、マイクロニードルの形状も上記の実施の形態のものに限られず、例えば、その他の多角形錘形状のものや略円錐形状のものなどが考えられる。
また、上記実施の形態においては、マイクロニードルがマイクロニードルユニット本体に対して垂直に突出・形成されているマイクロニードルユニットをマイクロニードルアレイ本体に対して斜めに取り付けたが、マイクロニードルがマイクロニードルユニット本体から傾斜して突出・形成されているマイクロニードルユニットをマイクロニードルアレイ本体に取り付ける場合も考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、例えば、マイクロニードルアレイを皮膚に突き刺すマイクロニードルアレイ装置に係り、特に、マイクロニードルとガイド用凸部が同じ角度で傾斜された状態で設けられたマイクロニードルアレイと、このマイクロニードルアレイのマイクロニードルと同じ向きに傾斜するガイド部が設けられたマイクロニードルアレイ用ガイドによって、マイクロニードルを皮膚表面に対して傾斜させて突き刺すことができ、患者に対する痛みの軽減と皮膚表面への薬液漏れの防止を実現できるように工夫したものに係り、例えば、インシュリンの経皮投与などに用いられるマイクロニードルアレイ装置に好適である。
【符号の説明】
【0038】
1 マイクロニードルアレイ装置
3 マイクロニードルアレイ用ガイド
5 底板
7 側板
9 貫通孔
11 ぶれ防止用ガイド部
13 下ガイド部
13a 傾斜部
13b 水平部
15 上ガイド部
17 ロック部材
17b 板ばね部
17c ロック部材側係合凸部
19 位置確認用窓
25 押出手段
35 マイクロニードルアレイ
37 ケース(マイクロニードルアレイ本体)
43 被ガイド凸部(ガイド用凸部)
45a 係合凹部
45b 係合凹部
45c 係合凹部
53 ぶれ防止用被ガイド部
61 マイクロニードル
73 押出手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔が設けられた平板状の底板と該底板の両側端から垂直に立設された一対の側板とからなるマイクロニードルアレイ用ガイドと、
マイクロニードルアレイ本体と該マイクロニードルアレイ本体の底面から所定の角度で傾斜した状態で突出されるマイクロニードルとからなるマイクロニードルアレイと、
上記マイクロニードルアレイ本体の両側面に上記マイクロニードルの傾斜角度と同じ傾斜角度で突出・形成された一対の被ガイド部と、
上記一対の側板に上記一対の被ガイド部と平行な状態で摺接可能に突出・形成された一対のガイド部と、を具備し、
上記マイクロニードルアレイは、押圧されることにより、上記一対のガイド部と上記一対の被ガイド部とによるガイド作用により、上記マイクロニードルが上記貫通孔を貫通するようにガイドされて移動せられることを特徴とするマイクロニードルアレイ装置
【請求項2】
請求項1記載のマイクロニードルアレイ装置において、
上記マイクロニードルアレイ用ガイドには、上記マイクロニードルアレイを押圧する押出手段が設けられていることを特徴とするマイクロニードルアレイ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のマイクロニードルアレイ装置において、
上記ガイド部の上記マイクロニードルアレイの反押出側の端部が上記底板と平行に延長・形成されていることを特徴とするマイクロニードルアレイ装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載のマイクロニードルアレイ装置において、
上記ガイド部には上記被ガイド部を弾性・付勢し係合凸部を備えた弾性部材が設けられており、
一方、上記被ガイド部には上記係合凸部に係合する複数の係合凹部が設けられおり、
上記マイクロニードルアレイを上記押出手段により押し出す際上記複数の係合凹部の内の任意の係合凹部に上記係合凸部が係合することにより押出位置がロックされるように構成されていることを特徴とするマイクロニードルアレイ装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れかに記載のマイクロニードルアレイ装置において、
上記側板には上記マイクロニードルアレイの押出位置を確認するための位置確認用窓が設けられていることを特徴とするマイクロニードルアレイ装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れかに記載のマイクロニードルアレイ装置において、
上記マイクロニードルアレイ用ガイドの底板には上記マイクロニードルアレイの押出方向に直交する方向へのぶれを補償するためのぶれ防止用ガイド部が設けられており、
上記マイクロニードルアレイの底面には、上記ぶれ防止用ガイド部に対応するぶれ防止用被ガイド部が設けられていることを特徴とするマイクロニードルアレイ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−95736(P2012−95736A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244331(P2010−244331)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(391008537)ASTI株式会社 (73)
【Fターム(参考)】