説明

マイクロニードルパッチ収納容器

【課題】マイクロニードルパッチ製造後使用までの間、効果を損なわずかつ衛生的にマイクロニードルパッチを保持するためのマイクロニードルパッチ収納容器を提供する。
【解決手段】本収納容器は、中央に周辺部より窪んだ底面と、該底面と該周辺部をつなぐ側面と、該底面から突出した底面凸部を有し、柔軟性あるマイクロニードルパッチの離型シート部分を該底面凸部により保持する。本収納容器には、底面凸部上に保持されるマイクロニードルパッチを前記底面凸部の一部に対応する位置で押さえつける窪み部を有する蓋と共に用いることができる。無菌状態でマイクロニードルパッチを保持するためには、減菌紙または減菌フィルムシートにより形成した袋の中に格納することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロニードルパッチを収納する収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚表層や皮膚角質層に修飾効果や機能効果を付与するため、薬効成分を含む液状物質、軟膏剤、クリーム製剤、テープ製剤、パッチ製剤、パップ製剤等がこれまで使用されてきた。これらは皮膚表面に塗布又は貼付することにより、薬効成分を皮膚内に浸透させ効果を発揮させようとするものである。しかし、皮膚に塗布するのみでは皮膚の発汗作用や皮膚と外部との接触等により薬効成分は容易に消失・脱落するため、上記従来製剤は十分な効果を上げることができない。さらに、皮膚は体内に異物が侵入するのを阻止するバリアー機能を有しており、薬効成分を皮膚に塗布又は貼付するのみで皮膚内に吸収させることは困難である。
【0003】
最近、これらの問題を解決し、皮膚内に薬効成分を確実に供給する方法としてマイクロニードルが開発され、その研究が進んでいる。マイクロニードルとは、長さが1mmに満たない微小な針である(特許文献1)。マイクロニードルを生体内で容易に溶解消失する物質により作成すると、刺入されたマイクロニードルは皮膚内で溶解し、吸収されて消失する(特許文献2)。従って、予めマイクロニードルに薬効成分を含有させておけば、薬効成分を皮膚内の特定の場所に供給できる。このようなマイクロニードルを基板上に多数配列すればマイクロニードルアレイとなり、ニードル数に比例して送達量を増加させることができるため実用上大きな期待が持たれている(特許文献2−4、非特許文献1)。マイクロニードルアレイに、マイクロニードルアレイを皮膚に付着させるための粘着テープ等を付加して使用しやすい製品としたものがマイクロニードルパッチである。
【0004】
マイクロニードルは概して長さが1mmより短く、直径は0.1mm程度であるため、刺入に際し痛みを感じることはなく、また出血もない。刺入箇所は速やかに閉鎖されて痕跡を残さない。その結果マイクロニードルは皮膚の特定の箇所に特定の薬効成分を送達する優れた方法と認知されている。マイクロニードルにはワクチンの送達などの医学的な用途のほか、ヒアルロン酸等の皮膚有効成分の皮膚表面への送達やほくろやあざ隠し等化粧品としての用途もあり注目されている。
【0005】
初期のマイクロニードルは1cm程度の大きさの堅い基板上に100本程度のマイクロニードルを備えたものであった。しかし、最近顔面の広い部分を一度に改善したいとの要望が高まり、平面でない顔面にフィットさせるため、基板を柔らかくしてその上にマイクロニードルを備えたマイクロニードルアレイが開発されてきた。
【0006】
マイクロニードルアレイを市場にて消費者に届けるためには、適切な容器が必要である。マイクロニードルアレイは針部分を有し、輸送あるいは販売・保存のさい針部分を保護する必要があるため、従来広く使用されているテープ剤などの貼付剤の容器(特許文献5、6)をそのまま流用することはできない。また、柔らかい基板を有するマイクロニードルアレイに堅い基板用の容器(特許文献7−9)を流用することもできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2002−517300号公報
【特許文献2】特開2003−238347号公報
【特許文献3】特開2006−346126号公報
【特許文献4】特開2008−284318号公報
【特許文献5】特開2006−056543号公報
【特許文献6】特表2008−518042号公報
【特許文献7】登録実用新案3152532号公報
【特許文献8】特開2010−75485号公報
【特許文献9】特開2010−75486号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】権英淑、神山文男、「マイクロニードル製品化への道程」薬剤学、社団法人日本薬剤学会、平成21年4月、第69巻、第4号、p.272−276
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
マイクロニードルパッチは皮膚に貼付して薬効成分を送達するものであるため、その製造後流通過程を経て使用されるまでの間、衛生的でかつその薬効を損なわないように保持される必要がある。本発明が解決しようとする課題は、この目的のため、基板が柔軟なマイクロニードルアレイに粘着テープを付加し、さらにその粘着面に離型シートを付したマイクロニードルパッチを保持するに適切なマイクロニードルパッチ収納容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた本発明に係るマイクロニードルパッチ収納容器は、周辺部より窪んだ1個若しくは複数個の底面と、該底面と該周辺部をつなぐ側面と、該底面から突出した底面凸部を有し、柔軟性あるマイクロニードルパッチの離型シート部分を該底面凸部により保持することを特徴とする。
【0011】
1個のマイクロニードル収納容器は、底面の数だけのマイクロニードルパッチを収納することができる。通常、1つのマイクロニードルパッチ収納容器には1個のマイクロニードルパッチを収納する。しかし例えば、目の下に貼付するマイクロニードルパッチの場合、通常左右の目の下に貼付するので、2枚を1組として収納することが取引上好ましい。
また1個のマイクロニードルパッチに2個以上のマイクロニードルアレイを保持させることもできる。この場合1つの容器に2個以上のマイクロニードルアレイを収納できる。
【0012】
本発明に係るマイクロニードルパッチ収納容器は、前記底面凸部上に保持されるマイクロニードルパッチを前記底面凸部の一部に対応する位置で押さえつける窪み部を有し、前記底面凸部の他の一部に対応する位置には窪み部を有しない蓋を備える構成とすることが好ましい。マイクロニードルパッチの離型シート部分は底面凸部上に保持されているが、それを全面的に押しつけるように蓋の窪み部を構成すると静電気の作用によりマイクロニードルパッチが蓋に密着する。静電気によりマイクロニードルパッチが蓋に吸着すると、マイクロニードルパッチは蓋を取り外す際不意に飛び出すこととなり、また収納容器に吸着して取り出し難くなるためである。蓋の窪み部による押しつけを部分的とすると、静電気の影響を弱めて取扱が容易となり好ましい。静電気の影響をより少なくしマイクロニードルパッチが蓋に吸着するのを防ぐには、底面凸部の面積が蓋の窪み部の面積よりも大きくすることが有効であり望ましい。
【0013】
前記底面凸部をほぼ長方形の形状とすると、マイクロニードルの離型シートを押さえつけて保持することが容易となり好ましい。また、この長方形の形状をいくつかに分割し、複数個の凸部が離型シートの四辺を保持するようにしてもよい。
【0014】
マイクロニードルパッチ収納容器は、複数個の該容器を互いに勘合させてスタックできることが望ましい。そのためには、マイクロニードルパッチの底面外側により他のマイクロニードルパッチ収納容器に収納されているマイクロニードルパッチを部分的に押しつけられるようにしておくことが好ましい。
顔面にマイクロニードルパッチを貼付してヒアルロン酸及び薬効成分を補給し、しわを除去する等の美容効果を上げるためには、通常数日にわたって貼り替えしつつ貼付する必要がある。そのため、一連の使用に必要な枚数を、ひとまとめにして包装できるのが取引上望ましいからである。
【0015】
マイクロニードルアレイに収納容器の収納容器と蓋部の対応する位置には切り込みと耳を設け、使用に際し容易に蓋を収納容器から取り外せるようにすることが好ましい。マイクロニードルパッチ収納容器は、製造時から使用直前までは密閉しておく必要があるが、使用に際しては容易に取り出せる必要があるためである。
【0016】
マイクロニードルパッチ収納容器の前記底面には、マイクロニードルパッチをつまんで取り出しやすくするためのふくらんだ部分を設けることが好ましい。静電気で収納容器に密着している場合にも、マイクロニードルパッチをつまみ出しやすくするためである。
【0017】
本発明に係るマイクロニードルパッチ収納容器は、その表面には帯電防止処理が付されていることが好ましい。収納容器が帯電すると、マイクロニードルパッチが収納容器に吸着し、取り扱いにくくなるためである。
【0018】
本マイクロニードル収納容器は、マイクロニードルを密閉状態で保持できるが、必ずしも無菌状態で保持できるわけではない。マイクロニードルを無菌状態で保持するためには、容器とマイクロニードルを無菌処理した後、容器を減菌紙または減菌フィルムシートにより形成した袋の中に格納して密閉することが望ましい。減菌フィルムシートとしては、プラスチック製シートやアルミニウム製シートを好適に用いることができる。アルミニウムシートは密閉性が高く、特に好ましい。
【0019】
貼付剤、つまり有効薬剤成分と接着剤を混ぜ樹脂フィルム上に展開したいわゆる貼り薬では、通常有効成分の上に離型シートをおき、皮膚に貼付する前に離型シートを剥ぎ取って有効薬剤成分を直接皮膚に接触させるように貼付するのが通常である。この場合、皮膚の角質層の上に貼るので清潔なことは望ましいが、角質層のバリア効果の存在のため無菌とまでは要求されない。
【0020】
この点で、マイクロニードルパッチ収納容器に必要な条件は、貼付剤収納容器に必要な要件より厳しい。マイクロニードルは、皮膚内に刺入されるため衛生的に保存されなければならない。また、ニードルは鋭利でなければ皮膚内に刺入できないので、ニードル先端を破損しうるような堅いものを当てることはできない。また、ニードルは皮膚内に刺入されるので、粘着剤のような体内に入って安全かどうかわからないものを付着させてはならない。すなわち、マイクロニードルは、減菌状態でかつ容器のいかなる部分にも接触させない状態で離型シートの部分のみで保持され保存されなければならない。このため、マイクロニードル収納容器は、必然的に、貼付剤収納容器とは構造的にも異なるものとなり、貼付剤収納容器から類推して設計することはできない。
【0021】
また、マイクロニードルアレイが柔軟なとき、堅いマイクロニードルアレイを保存する方法をそのまま用いることもできない。堅いものと柔軟なものとでは、保持方法が異なるためである。
【0022】
マイクロニードルパッチ収納容器の材質は特に限定しないが、射出成形加工若しくはプレス加工が容易な樹脂が好ましい。特に透明若しくは半透明であれば中身の状況を外から目視できるので好ましい。また、空気や水蒸気の透過性が小さく、長期にわたってマイクロニードルパッチを安定に保護できることが望ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)が好ましいが、なかでもPETはγ線、電子線照射滅菌による劣化や発臭が少ないので特に好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明のマイクロニードルパッチ収納容器によれば、マイクロニードルパッチは離型シートの部分で保持され、マイクロニードル部分は容器のいかなる部分とも接触しない。マイクロニードルパッチが柔軟なシートであるとしても、開封するときまで衛生的に保持できる。
本収納容器を用いれば、マイクロニードルパッチは必要なときに容易に取り出すことができる。さらに、収納容器は互いにスタックでき、一連の使用に必要な数個のマイクロニードルパッチを簡便に包装することができる。
【0024】
本発明のマイクロニードルパッチ収納容器は、静電気の影響を避けるように設計されている。もし静電気の影響があると、蓋を取り外す際マイクロニードルパッチが蓋に吸着して急に飛び出したり、収納容器に吸着して取り出しにくくなったりするためである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1−3で用いたマイクロニードルパッチの図
【図2】マイクロニードルパッチ収納容器の第1実施例の図
【図3】第1実施例のマイクロニードルパッチ収納容器の蓋の図
【図4】マイクロニードルパッチ収納容器の第2実施例の図
【図5】第2実施例のマイクロニードルパッチ収納容器の蓋の図
【図6】マイクロニードルパッチ収納容器の第3実施例の図
【図7】マイクロニードルパッチ収納容器の第4実施例の図
【図8】マイクロニードルパッチ収納容器の第4実施例の他の図
【図9】実施例5で用いたマイクロニードルアレイの図
【図10】マイクロニードルパッチ収納容器の第5実施例の図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。本実施例は目の下に貼付することを想定して設計されたマイクロニードルパッチを収納するため設計されたものであるが、他の形状のマイクロニードルアレイパッチであればそれに応じて適宜設計変更すればよいのであって、本発明は実施例の形状に限定されるわけではない。
【0027】
本実施例に用いたマイクロニードルパッチ10を図1に示す。マイクロニードルアレイ11は、図1に示すように、かまぼこ形の断面の底を窪ませた平面形状をしており、横幅約35mm、縦幅約15mmである。これは目の下に貼付することを想定して設計された形状である。このマイクロニードルは柔軟なシート上に設けられており、マイクロニードルアレイ全体として顔面の凹凸に合わせて変形させることができる。
マイクロニードルのサイズは限定ではないが、長さ30〜1000μmのニードルが50〜500本/cm程度備えられている。主成分はヒアルロン酸であるが、皮膚のしわ取りや若返り活性化に有効な成分を含んでいる。
【0028】
マイクロニードルアレイ部分とほぼ同じ形で、周辺が2〜10mm広い形の粘着シート12が、マイクロニードルアレイ面の反対側の面に粘着されている。なお、粘着面はアレイ面と同じ方向である。また、マイクロニードルアレイ面側には、マイクロニードルアレイ部分を除いた、ほぼ長方形の離型シート13(70×45mm)が粘着面を覆うように貼り付けられている。
粘着シート12の底の部分が幅狭くしてあるのは、マイクロニードルアレイ11をなるべく目に近づけて貼付するためである。
【0029】
このマイクロニードルパッチを使用する際は、離型シート13中央に切断線を設けているので、離型シートの両端を持ち、離型シートを開くように広げながら貼付部位(目の下)に接触させれば、粘着シート12により粘着する。その後、マイクロニードルアレイ11面を軽くたたくことにより、マイクロニードルが皮膚角質内に刺入される。皮膚の痛みを感じる部分は皮膚表面から1mm程度内部といわれているので、この刺入により痛みを感じることは殆どない。
【実施例1】
【0030】
上記のマイクロニードルパッチに適した、マイクロニードルパッチ収納容器の一例を図2に示す。材質はポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate:PET)である。
マイクロニードルパッチ収納容器30は、蓋をかぶせて閉じた収納容器とすることができる。蓋20の一例を図3に示す。マイクロニードルパッチ収納容器30や蓋20の表面は帯電防止処理が施されている。
【0031】
本実施例のマイクロニードル収納容器30は外寸約88×63mmのほぼ長方形状であり、中央に周辺部31より窪んだ深さ約5mm、大きさ約72×49mmのほぼ長方形の底面32を有している。底面32は平面で深さはほぼ一様であり、側面33により周辺部31とつながっている。底面32からほぼ矩形の底面凸部34が設けられている。底面凸部34の高さは約2mmで、上部は丸められている。側面33の内側には4個の側面凸部35が設けられており、その高さは底部凸部34と同じである。
【0032】
この収納容器30は、その中にマイクロニードルパッチ10がぴったり入る大きさである。マイクロニードルパッチ10は、マイクロニードル11面を下向けにして収納容器内部にぴったり収容される。図2において二重の2点鎖線で示されている38は、この収納容器30にマイクロニードルパッチ10を収納したときのマイクロニードル部分11が存在する部位を示しており、収納容器30の構造を示すものではない。この時、マイクロニードルパッチ10は底面凸部34と側面凸部35に支えられ、マイクロニードル部分11は収納容器30のいかなる部分にも接触していない。
収納容器の窪みの図上右上と左下のふくらんだ部分は、収納容器からマイクロニードルパッチを取り出すとき、マイクロニードルパッチをつまんで取り出しやすくするため設けられている。マイクロニードルパッチは収納容器にぴったり入り込んではいるが、このふくらみ部分に指を差し込むことにより、容易につまみ出すことができる。
【0033】
上記の収納容器用の蓋20は収納容器30とほぼ同一サイズの長方形である。蓋20は、周辺部21から窪んだ、収納容器30の窪み32に整合する窪み部22を有している。蓋20と収納容器30を係合したとき、この窪み部22と収納容器の底面凸部34及び側面凸部35によりマイクロニードルパッチを挿み,保持する。
蓋30の外側に耳26があり、収納容器30外側の対応する位置に切り込み36がある。これらは収納容器から蓋を外しやすいよう設けられたものである。
【0034】
本実施例のマイクロニードル収納容器30は、底面凸部34と蓋の窪み部22とでマイクロニードルパッチを完全に押さえつけているわけではない。もしマイクロニードルパッチを完全に押さえつけると、静電気のため、蓋を取り外す際蓋20に吸着して急に飛び出したり、収納容器30に吸着して取り出しにくくなったりする。
【0035】
図2と図3に示すように、収納容器の底面凸部34の位置と蓋の窪み部22の位置は互いにずれていて、マイクロニードルパッチを完全には押さえつけないように設計されている。本実施例の場合、蓋の窪み部22は側面凸部35の上から底面凸部34の縁に向かって配置されている。
また、蓋の窪み部22は、図の上下には設けられているが左右には設けられていない。つまりマイクロニードルパッチは、図2の底面凸部34の左右部分では上から押さえつけられてはいない。上からマイクロニードルパッチを押さえつけない部分を設け、静電気の影響を避け、マイクロニードルパッチを取り出しやすくした。
【0036】
本実施例のマイクロニードルパッチ収納容器30は蓋をすることなく、マイクロニードルパッチを収容後他の収納容器を上からかぶせ、他の収納容器に蓋の代わりをさせることもできる。
また、マイクロニードルパッチを収容したマイクロニードルパッチ収納容器を、蓋をすることなく、無菌処理後減菌アルミニウムフィルムシート製袋に収納し、密閉して保持することもできる。
また、マイクロニードルパッチを収容したマイクロニードルパッチ収納容器を、蓋をすることなくヒートシール可能なフィルム又はポリエチレンとラミした滅菌紙をかぶせ、収納容器周辺部とフィルムとをヒートシールにより融着することにより密封することもできる。
【実施例2】
【0037】
マイクロニードルパッチ収納容器の他の例を図4に示す。マイクロニードルパッチ収納容器50は、蓋をかぶせて閉じた収納容器とすることができる。蓋40の一例を図5に示す。マイクロニードルパッチ収納容器50や蓋40の材質はポリエチレンテレフタレート(PET)であり、それらの表面は帯電防止処理が施されている。
【0038】
本実施例のマイクロニードル収納容器50は外寸約88×63mmのほぼ長方形状であり、中央に周辺部51より窪んだ深さ約5mm、大きさ約72×49mmのほぼ長方形の底面52を有している。底面52は平面で深さはほぼ一様であり、側面53により周辺部51とつながっている。底面52から12個の底面凸部54が設けられている。このうち図の上下の各5個はほぼ一直線上にある。底面凸部54の上部は丸められており、高さは全部同じで約2.5mmである。
【0039】
側面53の内側には6個の側面凸部55が設けられており、その中にちょうどマイクロニードルパッチ10がすっぽり入る大きさとなっている。この収納容器にマイクロニードルパッチを入れると、6個の側面突起55に離型シート13がぴったりはまり込んで前後左右に動かず、底面凸部54は離型シート13を支持しマイクロニードルアレイ11とは接触しない。
図4に二重の2点鎖線で示されている58は、この収納容器30にマイクロニードルパッチ10を収納したときのマイクロニードル部分11が存在する部位を示しており、収納容器50の構造を示すものではない。この時、マイクロニードルパッチ10は底面凸部54と側面凸部55に支えられ、マイクロニードル部分11は収納容器50のいかなる部分にも接触していない。
【0040】
本実施例の収納容器の蓋40は収納容器50とほぼ同一サイズの長方形である。蓋40は、周辺部41から窪んだ、収納容器の窪みに整合する窪み部42を有する。蓋40と収納容器50を係合したとき、窪み部42は収納容器の底面凸部54と呼応し、全体としてマイクロニードルパッチ10を上下から保持している。
蓋40の外側に耳46があり、収納容器50外側の対応する位置に切り込み56がある。これらは収納容器から蓋を外しやすいよう設けられたものである。
【0041】
本実施のマイクロニードル収納容器は、実施例1の場合と異なり、マイクロニードル収納容器50と蓋40が密着するのは側面突起の上だけである。すなわちマイクロニードルパッチはやや余裕をもって収納容器の底面凸部と蓋の窪み部の間に挟まれており、強く押しつけられてはいない。
また、蓋の窪み部は、図の上下には設けられているが左右には設けられていない。マイクロニードルパッチは、図4の左右にある底面凸部に乗っかってはいるが、この部分では上から挟まれていない。
【実施例3】
【0042】
2個のマイクロニードルパッチを収納できるマイクロニードルパッチ収納容器の例を図6に示す。マイクロニードルパッチ収納容器60は、蓋をかぶせて閉じた収納容器とすることができる。マイクロニードルパッチ収納容器60の材質はポリエチレンテレフタレート(PET)であり、その表面は帯電防止処理が施されている。
【0043】
マイクロニードルパッチ収納容器60は、周辺部に2個の底部を設けたもので、各底部の構成は収納容器50と同様であるので詳細を省略する。収納容器60の蓋は、図6と蓋40を元に容易に推定できると思われるので図示を省略する。マイクロニードルパッチは、実施例2の場合と同様に保持される。
【実施例4】
【0044】
2個のマイクロニードルアレイを保持するマイクロニードルパッチを収納できるマイクロニードルパッチ収納容器の例を図7及び図8に示す。このマイクロニードルパッチは1枚の離形シート紙に2個のマイクロニードルアレイ68を保持している。また本実施例の場合、粘着テープ69はマイクロニードルアレイの一部分にのみ付されている。
このようにすれば、図6の場合より簡便に2個のマイクロニードルアレイを収納できる。
【0045】
図7には2個の細長いマイクロニードルアレイを保持するマイクロニードル収納容器60を示す。外寸は図2の場合よりやや大きい。中央に周辺部61より窪んだ深さ約5mmの底面62を有している。底面からはほぼ矩形の底面凸部64が設けられている。底面凸部64は2個のマイクロニードルアレイを収納するため図2の底面凸部34より相対的に大きくしてもよい。また中央部の2個のマイクロニードルアレイの間に横向きの底面凸部を増設してもよい。その他の部分の構成は図2と同様であるので、説明を省略する。
図7において破線で示されているのはマイクロニードルアレイの例68と粘着テープの例69である。これらはマイクロニードルパッチが収納容器に収納されたときの例示であって、収納容器の構造を示しているものではない。
【0046】
図8には2個の太めのマイクロニードルアレイを保持するマイクロニードル収納容器70を示す。外寸は図4の場合よりやや大きい。中央に周辺部71より窪んだ深さ約5mmほぼ長方形の底面72を有している。底面72は平面で深さはほぼ一様であり、側面により周辺部71とつながっている。底面72から12個の底面凸部74が設けられている。このうち図の上下の各5個はほぼ一直線上にある。底面凸部74の上部は丸められており、高さは全部同じで約2.5mmである。図4と比較すると、2個のマイクロニードルアレイを保持するため、図8の底面凸部74は図4の底面凸部54より容器全体に対して相対的に広がっている。これは狭いスペースに2個のマイクロニードルアレイを保持するためである。
図8において破線で示されているのはマイクロニードルアレイの例68と粘着テープの例69である。これらはマイクロニードルパッチが収納容器に収納されたときの例示であって、収納容器の構造を示しているものではない。
【実施例5】
【0047】
4個のマイクロニードルアレイを1つのマイクロニードルパッチ収納容器に収納する例を示す。
マイクロニードルアレイの周辺部にのみ粘着シートを設けたマイクロニードルアレイを図9に示す。粘着シートは当然マイクのニードルアレイのマイクロニードルを設けていない側の面に備えられており、マイクロニードルが存在する部分の裏面には粘着シートは存在しないのが好都合である。
このようなマイクロニードルアレイ4個を1枚の離型シート上に保持したマイクロニードルパッチは、一度に4個のマイクロニードルパッチを使用するような場合には好都合である。
【0048】
実施例5のマイクロニードルパッチ収納容器80は、図10に示されるように、実施例4のものと同じ形としてよいが、4個のマイクロニードルアレイを収納するため全体的に大きい方が使いやすい。中央に周辺部81より窪んだ深さ約5mmの底面82を有している。底面からはほぼ矩形の底面凸部84が設けられている。底面凸部84は4個のマイクロニードルアレイを収納するため図2の底面凸部34より相対的に大きい方が好都合である。また中央部の4個のマイクロニードルアレイの間に十字形あるいは柱状の底面凸部を増設してもよい。その他の部分の構成は図2と同様であるので、説明を省略する。
図10において破線で示されているのは図9に示すマイクロニードルアレイ4個である。これらはマイクロニードルパッチが収納容器に収納されたときの例示であって、収納容器の構造を示しているものではない。
【符号の説明】
【0049】
10 マイクロニードルパッチ
11 マイクロニードルアレイ
12 粘着シート
13 離型シート
20、40 マイクロニードルパッチ収納容器蓋
21、41 蓋の周辺部
22、42 蓋の窪み部
26、46 収納容器と蓋との嵌合を解除するための耳
30、50 マイクロニードルパッチ収納容器
31、52、61、71、81 収納容器の周辺部
32、52、62、72,82 収納容器の周辺部より窪んだ底面
34、54、64、74、84 底面の窪みに設けられた底面凸部
35、55 側面凸部
38、58 収納容器内に保持されたマイクロニードルパッチのマイクロニードル部分の存在位置
60、70 2個のマイクロニードルアレイを収納できるマイクロニードルパッチ収納容器
80 4個のマイクロニードルアレイを収納できるマイクロニードルパッチ収納容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺部より窪んだ1個若しくは複数個の底面と、該底面と該周辺部をつなぐ側面と、該底面から突出した底面凸部を有し、柔軟性あるマイクロニードルパッチの離型シート部分を該各底面の該底面凸部により保持するマイクロニードルパッチ収納容器。
【請求項2】
前記底面凸部上に保持されるマイクロニードルパッチを前記底面凸部の一部に対応する位置で押さえつける窪み部を有し、前記底面凸部の他の一部に対応する位置には窪み部を有しない蓋を備える請求項1に記載のマイクロニードルパッチ収納容器。
【請求項3】
収納容器の底面凸部の面積が蓋部窪み部の面積よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載のマイクロニードルパッチ収納容器。
【請求項4】
前記底面凸部は長方形の形状を有することを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のマイクロニードルパッチ収納容器。
【請求項5】
前記底面凸部は複数個の凸部がマイクロニードルの離型シートの四辺を支持するよう配置されていることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のマイクロニードルパッチ収納容器。
【請求項6】
2個以上のマイクロニードルアレイを保持するマイクロニードルパッチを収納する請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のマイクロニードルパッチ収納容器。
【請求項7】
前記蓋の代わりに他のマイクロニードル収納容器の底部でマイクロニードルパッチの離型シートを部分的に押さえ、マイクロニードル収納容器は互いに積層できることを特徴とする請求項2に記載のマイクロニードル収納容器。
【請求項8】
マイクロニードル収納容器と前記蓋の対応する位置に、切り込み及び耳を備えることを特徴とする請求項2に記載のマイクロニードルパッチ収納容器。
【請求項9】
前記底面には、マイクロニードルパッチをつまんで取り出しやすくするためのふくらんだ部分を設けていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のマイクロニードルパッチ収納容器。
【請求項10】
表面に帯電防止処理が付されていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のマイクロニードルパッチ収納容器。
【請求項11】
収納容器周辺部をヒートシール可能なフィルム又はフィルムとラミした紙とでヒートシールにより融着密閉することを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のマイクロニードルパッチ収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−213586(P2012−213586A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225328(P2011−225328)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(501296380)コスメディ製薬株式会社 (42)
【Fターム(参考)】