説明

マイクロニードル穿刺用のアプリケータ

【課題】皮膚へのマイクロニードルの穿刺が容易になり、しかも、短時間で手を触れることなくマイクロニードルを皮膚に密着固定できるアプリケータの提供。
【解決手段】インゴット状のマイクロニードル保持部材とバネ式のアプリケータを使用することにより、瞬時にマイクロニードルを皮膚に穿刺し、テープで密着固定できる。この結果、携帯が容易で、簡便に皮膚への薬物投与が可能になった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚にマイクロニードルを的確に穿刺すると共に、皮膚にマイクロニードルを貼付できるアプリケータに関するものである。特にばね等の力でマイクロニードルを加圧するアプリケータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロニードルを皮膚に穿刺するためのアプリケータ(挿入器具)が色々開発されており、指で加圧するだけで、簡便に皮膚を穿刺するもの(特許文献1)や、バネを使用してマイクロニードルを加圧するアプリケータ(特許文献2〜4)が開発されるようになった。
しかし、皮膚にマイクロニードルをうまく穿刺できたとしても、マイクロニードルを皮膚に充分接着固定させることが困難であることが明らかになった。
以上のように、マイクロニードルの貼付剤化を行うためには、アプリケータの構造とマイクロニードルの保持部材の検討が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2009/107806
【特許文献2】特表2008−535587号公報
【特許文献3】特表2008−520367号公報
【特許文献4】特表2005−533625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、マイクロニードルを皮膚に的確に穿刺固定できるアプリケータを提供する。また、本発明のアプリケータでは、マイクロニードルを貼付剤として貼付するために適切なマイクロニードルの保持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、鋭意検討の結果、マイクロニードルの保持部材を図1〜2で示されるようなインゴット型構造にして(PCT/JP2011/000282を参照。)、バネの力を利用して、マイクロニードルに一定の圧力を掛けることにより、安定した皮膚の穿刺とマイクロニードルの貼付が達成できることを見出した。
これまでマイクロニードルを皮膚に穿刺するためのアプリケータとして、バネを利用したものは、いくつか知られている。例えば、図3や図4に示されるバネ式アプリケータが報告されている。そこで、本発明者らは、図5に示されるインゴット状のマイクロニードル保持部材を使用し、マイクロニードルを貼付用のテープに担持させ、そのテープを両面テープで保持部材に設置した。
図5の(a)に示されるように、バネにストッパーが掛かった状態から、指でストッパーを押してバネを開放することにより、(b)のように、一定のバネの力でインゴット状の保持部材がマイクロニードルと共に皮膚に押し付けられる。その結果、マイクロニードルが効果的に皮膚を穿刺し、また、インゴット状の保持部材により貼付用のテープが皮膚に適切に貼り付けられる。本発明者らは以上のことを見出し、本発明を完成した。
【0006】
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)マイクロニードルを皮膚に穿刺し、貼付するためのバネ式アプリケータであって、
マイクロニードルを設置するための支持台としてインゴット状の保持部材を有し、
バネが保持部材を押し出すように設置されていることを特徴とする、バネ式アプリケータ。
(2)ストッパーが設置され、バネが圧縮された状態で固定されることを特徴とする、上記(1)に記載のバネ式アプリケータ。
(3)上記インゴット状の保持部材の断面の伏角が130〜175°であることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載のバネ式アプリケータ。
(4)上記インゴット状の保持部材の断面の伏角が145〜175°であることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載のバネ式アプリケータ。
(5)上記バネが伸展して皮膚をマイクロニードルが押圧する時の圧力が、マイクロニードル1本あたり0.01N以上であることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のバネ式アプリケータ。
(6)上記バネが伸展して皮膚をマイクロニードルが押圧する時の圧力が、マイクロニードル1本あたり0.03N以上であることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のバネ式アプリケータ。
(7)マイクロニードルとテープが設置されている、上記(1)〜(6)のいずれかに記載のバネ式アプリケータ。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、剣山型マイクロニードルを保持するためのインゴット状の保持部材(支持台)とそれが設置されたバネ式アプリケータに関するものである。本発明のインゴット状の保持部材の上にマイクロニードルとテープを設置することにより、マイクロニードルを皮膚表面に密着して貼付できるようになっている。アプリケータに設置したマイクロニードル付きテープ剤を皮膚に移行するには,テープ剤とアプリケータとの接続部分を切断するなど複雑な工程が必要とされるが,インゴット状部材にマイクロニードル付き貼付剤を設置することで,皮膚への移行が複雑な工程を必要とせず,簡単に行うことができる。また、バネの伸展する圧力を調整し、マイクロニードルが皮膚に接触するときの圧力が4ニュートン(N)以上(マイクロニードルの本数が約100本であるので、一本当たり0.04N以上となる)になっているので、マイクロニードルのほとんどが皮膚を穿刺できるようになっている。更に、本発明は、皮膚の盛り上がりを利用してテープ剤をアプリケータから皮膚へ移行されるものである(PCT/JP2011/000282参照)。即ち、皮膚の盛り上がりは、押し込み応力に比例する。つまり、針が皮膚へ穿刺されるのに必要な押し込み応力が不足した場合、皮膚はテープが設定されている部分には盛り上がらない。その為、アプリケータに設置された貼付剤(テープ)は皮膚へ移行することはない。従って、テープが皮膚に貼付されない場合には、アプリケータの不具合による穿刺不足を逆に確認することができる。このように、本発明のバネ式アプリケータは、一定の圧力で皮膚を穿刺できるため、安定したマイクロニードルの穿刺が達成できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のインゴット状保持部材が設置された下駄型アプリケータの一例を示した斜視図である。
【図2】本発明のインゴット状保持部材(断面の台形伏角145°)が設置された下駄型アプリケータの一例を示した斜視図である。
【図3】バネ式アプリケータの一例を表わした断面図である。特許文献4に記載のアプリケータである。
【図4】バネ式アプリケータの一例を表わした断面図である。特許文献2に記載のアプリケータである。
【図5】本発明のインゴット状の保持部材を持ち、その上にマイクロニードルが設置された貼付剤を収納したアプリケータの一例を表わした断面図である。バネのストッパーの掛かった状態(a)から、ストッパーが外れて、バネが伸展し、マイクロニードルが皮膚に穿刺した状態(b)への変化を表わしている。
【図6】本発明のバネ式アプリケータを用いて、インゴット状の保持部材に設置したマイクロニードルを包含する貼付剤が皮膚表面に貼付して行くプロセスを表した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を、添付図面に示された好ましい態様を参照して更に詳細に説明する。
図5は、本発明で使用するアプリケータの一例を示す断面図である。本発明のアプリケータは、マイクロニードルを設置するための支持台としてのインゴット状の保持部材を有し、その保持部材を押し出すようにバネが設置されている。また、マイクロニードルを皮膚に穿刺する時にだけ作動するように、バネを固定する部材(ストッパー)がアプリケータに設置されている。
ストッパーを解除し、バネの伸展を解放した時に、マイクロニードルを担持する担持部材が、バネの持つ一定の弾力で皮膚を圧迫する。その結果、マイクロニードルが皮膚に穿刺し、テープと共にマイクロニードルを皮膚に密着固定することになる。
【0010】
図6で示されるように、インゴッド状の保持部材の上に、両面テープ等の接着剤でテープの粘着層が表面を向くように設置する。このテープ剤の上に、(A)で示されるように、マイクロニードルを設置する。バネの弾力で、インゴッド状の保持部材が(B)に示すように皮膚に押し付けられる。押し付けられた皮膚は,インゴッドの側面に添って付着し、テープが皮膚に密着する。バネ式アプリケータを(D)、(E)のように取り除いていくと、テープ剤は両面テープなどによりインゴット状部材に設置されているが,最端は,固定されていないため,皮膚に密着したテープがインゴッド状の保持部材から離れていくときに,テープ剤は,インゴット状部材からめくれるように剥離していく。そして(E)に示されるように皮膚に密着して、めくれるように剥離されることにより効率的にマイクロニードルが貼付できることになる。
【0011】
本発明の[バネ式アプリケータ]とは、バネの弾力でマイクロニードルを皮膚に押圧して穿刺する器具のことを言う。公知のバネ式アプリケータ(例えば、特許文献2〜3)も、目的に合わせて適宜使用することができる。バネとは、一般に汎用される鉄製のスプリング等のものを言い、コイル状、板状のバネを、アプリケータの形状に合わせて使用することができる。また、バネの弾性は、バネが伸展して、マイクロニードルを皮膚に押圧する時の圧力として、一本当たり0.01ニュートン(N)以上力が発生するものを使用する。より好ましいバネとしては、一本当たり0.03ニュートン(N)以上を示すものを挙げることができる。なお、バネの圧力の上限としては、皮膚の痛み等を考慮すれば、一本当たり5ニュートン(N)以下が望ましい。より好ましいバネの上限圧力としては、2.5ニュートン(N)以下を上げることができる。もっとも好ましくは1ニュートン(N)以下を上げることができる。
本発明の「ストッパー」とは、バネを収縮させて、バネの伸展を止めるための部材のことを言う。ストッパーとして、一般的に汎用されている手段を適宜使用することができる。
本発明の「アプリケータの保持部材」とは、図1や図2のアプリケータに設置されているインゴット状の部材のことを言い、マイクロニードルの支持台として使用される。この保持部材の材質としては、硬質樹脂を挙げることができる。
硬質樹脂平板と同じ材質のものを使用することができる。保持部材(マイクロニードルの支持台)の高さは、マイクロニードルの穿刺性に影響すると共に、マイクロニードルを皮膚に貼付させるテープの付着性にも大きく影響をしている。本発明の保持部材の好ましい高さは、0.5〜10mmであり、より好ましくは2〜7mmである。
【0012】
本発明の「テープ」とは、インゴッド状の保持部材の上に両面テープ等の粘着剤で本発明の補助具の上に設置されるテープ状の貼付部材である。インゴッド状の保持部材の水平部分に設置されたテープの粘着面の上に、図5や図6に示されるようにマイクロニードルを設置する。図6(A)〜(B)のようにアプリケータが皮膚に押圧されるに伴い、皮膚が盛り上がってインゴッド状の保持部材に押し付けられてくる。その結果、図6(C)に示されるように、テープの粘着層が皮膚に付着することになる。その後、図6(D)に示すように、アプリケータにかかる力が緩和された際には、テープの両端から自然と剥離して、図6(E)に示すように皮膚に密着留置される。テープ剤は両面テープなどによりインゴット状部材に設置されているが,最端は,固定されていないため,皮膚に密着したテープがインゴッド状の保持部材から離れていくときに,テープ剤は,インゴット状部材からめくれるように剥離していくことにより性能が発揮される.本発明のテープは、市販のテープを使用することができ、特に限定されるものではない。例えば、サージカルテープを使用することもできる。また、テープの形状も、通常のテープの形状だけでなく、円形のテープを使用することができる。なお、円形のテープを用いても、短冊状のテープと同様に使用でき、皮膚に密着させることができる。
【0013】
本発明の「マイクロニードル」とは、100μm〜800μmの高さの微小針が10〜500本設置された平板状のものである。特に試験例1と2では、約500μmのものを使用した。マイクロニードルの基盤の厚さは、0.2〜2mmのものを挙げることができる。また、マイクロニードルの本数は、10×10本前後のものを挙げることができる。マイクロニードルの材質としては、公知の材質のものを使用することができ、例えばポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸・グリコール酸共重合体等の脂肪族ポリエステル樹脂、例えばマルトース、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール等の多糖類等の生体内分解性樹脂を使用することが好適である。また、これらのマイクロニードルは公知の製造方法(例えば、WO2008/093679)を用いて、適宜製造することができる。
【0014】
本発明の「粘着剤」とは、マイクロニードルを接着保持すると共に、マイクロニードルを皮膚に貼付するためのものである。また、このテープを補助具に接着固定するため、より弱い粘着剤が使用される。この時、上記粘着テープの粘着剤とテープを粘着固定するための弱い粘着剤の関係は、特願2009−202328に記載したものを準用することができる。これらの粘着剤は公知汎用のものを適宜選択して使用することができ、また粘着剤を使用する粘着剤面積の大小により、その強弱を調節することができる。例えば、医療用の粘着剤であれば特に制限はない。
なお、本発明で使用するマイクロニードルには、薬剤が塗布されていてもよい。塗布される薬剤は、治療のためにこれまで使用されてきたものであれば特に限定されることはない。薬剤が蛋白質や抗原、抗体等の生体高分子である場合には水に対する溶解性が高いため、水溶液としてマイクロニードルに塗布することができる。抗生物質や抗精神病薬のような低分子化合物である場合には、溶解性に応じて水溶液でもよく、有機溶媒溶液を使用して塗布することができる。
なお、効果を示すために必要な量の薬剤が必要な場合、薬剤の水溶液等にマイクロニードルの微小針を浸漬し、乾燥することを繰り返して必要量を担持することが出来る。
【0015】
本発明の「伏角」とは、インゴット状(屋根型状)の断面である台形の上辺と斜辺で形成される交角のことである。アプリケータの樹脂平板が一定のサイズであり、補助具の高さが高くなるほど、本発明の伏角は小さくなる。補助具の高さにも好適な範囲があり、同様に伏角もマイクロニードルを含有する貼付剤として使用する場合には,130〜175°の範囲が好適である。より好ましい角度としては、145〜175°を挙げることができる。なお、単にマイクロニードルを挿入する場合には補助具の高さにも好適な範囲があり、同様に伏角も貼付剤として使用する場合には,175°以下の範囲が好適である。より好ましい角度としては、90〜175°を挙げることができる。
また、円錐台の直径断面や多角錐の中心断面に見られる台形においても、上記と同様の角度に関する好ましい範囲を挙げることができる。
【0016】
本発明のインゴッド状の保持部材を持ったバネ式アプリケータは、従来の平板的な保持部材を持ったアプリケータ(特許文献2〜4)と異なり、マイクロニードルを皮膚に穿刺するために好適なものとなっている。即ち、これまでの平板的な保持部材の場合には、皮膚への押圧が解除された時に、保持部材とテープが一気に皮膚から離れることになり、テープがよく保持部材に残ることが起きる。しかし,本発明のインゴッド状の保持部材の場合には、図6に示されるように、皮膚への押圧が解除されると、皮膚から保持部材が離れるに伴い、テープが末端から剥離していく様になる。このように、本発明のインゴッド状の保持部材を用いることにより、保持部材とテープの剥離応力を低くできるので、本発明のバネ式アプリケータでは、マイクロニードルを包含する貼付剤を効果的に皮膚に密着留置することができる。
なお、本発明のマイクロニードルに塗布される薬剤としては、高分子量で経皮吸収が困難な薬剤が相応しく、例えばタンパク質、ペプチド、ヌクレオチド配列、モノクローナル抗体、DNAワクチン、ヘパリンのようなポリサッカライド、セフトリアキソンのような抗体を挙げることできる。
本発明のバネ式アプリケータには、いくつかの実施形態があるが、公知のバネ式アプリケータも含めて、目的に合わせて適宜選択して使用することが可能である。
【実施例】
【0017】
以下、実施例、試験例を示して本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例、試験例に何等限定されるものではない。
【0018】
(試験例1)剣山型マイクロニードルによる皮膚への穿刺試験
(1)ヒト前腕皮膚モデル(A)
SIS30%と流動パラフィン70%を加熱溶解させて成形した6mm厚のシートを設置し、更にSIS15%と流動パラフィン85%を加熱溶解させて成形した9mm厚のシートを重ねて2層とする。この基盤の上に、ウィスターラット(雄性、5週)の腹部皮膚を設置して、ヒト前腕皮膚モデルとした。
(2)機材
島津製作所製小型卓上試験機(Eztest)を使用し、そのロードセルにプランジャー(φ5mm)を設置し、更にその先端にφ12mmのポリプロピレン(PP)板(0.8mm厚)を取り付けた。そのPP板の先端にマイクロニードルを設置した。
(3)剣山型マイクロニードル
ポリ乳酸(PLA)やポリグリコール酸(PGA)の樹脂シート円板(φ10mm、2mm厚)を使用し、公知方法(WO2008/093679等)に準じて剣山型マイクロニードルを作製した。
(4)評価方法
島津製作所製小型卓上試験機(Eztest)のロードセルにプランジャー(φ5mm)を設置し、その先端にφ12mmPP板(0.8mm厚)を取り付ける。更にその先にPGA製マイクロニードル(φ10mm、2mm厚、98本)を設置した。上記ヒト前腕皮膚モデル(A)の皮膚表面に上記マイクロニードルの先端を接触させる。小型卓上試験機で一定の距離だけ上記マイクロニードルを押し込み穿刺する。その際の上記マイクロニードルに掛かる応力を測定した。
また、穿刺後、ヒト前腕皮膚モデル(A)表面のラット皮膚(wister 5w ♂ 腹部)を取り出し、1%ゲンチアナバイオレットで染色した。穿刺されている個所は紫色で着色されるので、着色の個数を計算し、マイクロニードルの穿刺率を評価した。
(5)評価結果
上記マイクロニードルを押し込み、穿刺した際の応力と穿刺率を以下の表1に示した。
【0019】
【表1】

[注記]
N:ニュートン
【0020】
上記表1に示されるように、穿刺率とマイクロニードルへの応力は相関関係があることが分かった。また、マイクロニードルへの応力は押し込む距離によって調節可能であることが分かった。
穿刺率を50%以上にするためには、マイクロニードルへの応力が3N以上(一本当たり0.03N以上)であることが必要であり、穿刺率を100%とするためには、マイクロニードルへの応力が4N以上(一本当たり0.04N以上)であることが必要であることが分かった。
【0021】
(実施例1)インゴッド状のマイクロニードル保持部材を持ったバネ状アプリケータ
四角柱状の容器(内部3cm×3cm)の中に、図5に示されるような円柱状の支柱(内径1.5cm)の先に、図1に示されるようなインゴッド状の保持部材を設置する。支柱は、支柱保持部材と組合せ、インゴッド状の保持部材と支柱の保持部材との間に、ステンレス製のバネを設置する。インゴッド状の保持部材には伸縮可能なストッパーを有し、指で押せば、ストッパーが収縮して容器から外れるようになっている。また、インゴッド状の保持部材の表面には、両面テープで貼付用のテープを貼付する。更にそのテープの粘着層の表面に(a)で示されるように、マイクロニードルを設置する。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明のバネ式アプリケータには、インゴット状のマイクロニードル保持部材が設置されており、インゴット状の峰の上にマイクロニードルを設置することにより、マイクロニードルの効率的な穿刺が可能となっており、しかもマイクロニードルを保持している同じテープで、マイクロニードルを皮膚表面に密着して貼付できるようになっている。また、バネ式アプリケータであるため、一瞬の内に、マイクロニードルを皮膚に貼付することができる。そのため、利便性の高いアプリケータとなっている。このように、本発明のバネ式アプリケータを用いることにより、簡便に皮膚への薬物投与が可能なマイクロニードルパッチ剤の実用化が可能となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロニードルを皮膚に穿刺し、貼付するためのバネ式アプリケータであって、
マイクロニードルを設置するための支持台としてインゴット状の保持部材を有し、
バネが保持部材を押し出すように設置されている、
ことを特徴とする、バネ式アプリケータ。
【請求項2】
上記インゴット状の保持部材の断面の伏角が130〜175°であることを特徴とする、請求項1に記載のバネ状アプリケータ。
【請求項3】
上記インゴット状の保持部材の断面の伏角が145〜175°であることを特徴とする、請求項1に記載のバネ状アプリケータ。
【請求項4】
上記バネが伸展して皮膚をマイクロニードルが押圧する時の圧力が、0.01N以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のバネ式アプリケータ。
【請求項5】
上記バネが伸展して皮膚をマイクロニードルが押圧する時の圧力が、0.03N以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のバネ式アプリケータ。
【請求項6】
ストッパーが設置され、バネが圧縮された状態で固定されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のバネ式アプリケータ。
【請求項7】
マイクロニードルとテープが設置されている、請求項1〜6のいずれかに記載のバネ式アプリケータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−27492(P2013−27492A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164843(P2011−164843)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(302005628)株式会社 メドレックス (35)
【Fターム(参考)】