説明

マイクロバブル発生機における自動圧力制御装置

【課題】マイクロバブルの出力の圧力を一々調節しなくても目的とするマイクロバブルを発生させることができるようにする。
【解決手段】気体を吸引する吸気系路20における圧力を設定する吸気弁25及び吸気系路を開閉する電磁弁26を当該吸気系路に設置し、上記気体と液体の混合した混合流体を排出する排出系路27にて、混合流体の圧力を検出するとともに電圧変換し、得られた電圧を信号として出力する圧力センサー30を当該排出系路に通じた圧力取り出し系路に設置し、上記圧力センサーから出力された電圧を基準電圧と比較し、得られた第1比較信号を電磁弁に出力する第1比較器31と、上記電圧を警報電圧と比較し、得られた第2比較信号を警報部に出力する第2比較器32とを圧力センサーに接続し、警報部34を経て出力される警報信号によりモーターの作動を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーター駆動されたポンプによって導入した気体と液体を混合し、マイクロバブル発生用ノズルへ送り、マイクロバブルを発生させるようにしたマイクロバブル発生機における自動圧力制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
いわゆるマイクロバブルと呼ばれる、直径が50μm以下の泡は上昇速度が小さく、内部圧力が大きいために、より大きい直径の泡のように液面に浮上して破裂することなく、液中に存在しながら徐々に縮小し、やがて消失するという性質を示す。つまりマイクロバブルは、泡が消失する結果、泡を形成していた気体は液体中に溶け込むことになる。その特異な性質によって、マイクロバブルには化学物質を分解したり、特定の気体を特定の液体に溶解させたりすることができる。また、その用途はきわめて広範である。
【0003】
マイクバブルを発生させるには幾つかの方法があるが、本発明では気体と液体を攪拌することでマイクロバブルを発生させる方法が前提になる。この方法では例えば、モーター駆動されたポンプによって、吸気系路から気体を吸引し、吸液系路から液体を吸引し、かつまた、吸引した気体と液体の混合した混合流体を排出系路からマイクロバブル発生用ノズルへ送り、液中にマイクロバブルを充満させる構成を取る。しかし、気体圧力と液体圧力及び気体と液体の混合した流体圧力は一定ではなく変動しており、そのため、従来はそれらの外部環境等の変化に応じてマイクロバブルの出力の圧力を調整する必要があった。出力の圧力の変化を放置した場合、例えば、得られるマイクロバブルの生成量が変化したり、或いはマイクロバブル自体の直径が変化したりするというような問題があり、好ましくない。
【0004】
なお、この種の技術によりマイクロバブルを発生させる本出願人の技術には、例えば、特開2008−296183号、特開2009−78140号などがある。
【0005】
【特許文献1】特開2008−296183号
【特許文献2】特開2009−78140号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は、マイクロバブル発生装置において、マイクロバブルの出力の圧力を一々調節しなくても目的とするマイクロバブルを発生させることができるようにすることである。また、本発明の他の課題は、均質なマイクロバブルを得るとともに、その発生量を設定可能なマイクロバブル発生機における自動圧力制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するため、本発明は、モーター駆動されたポンプによって導入した気体と液体を混合し、マイクロバブル発生用ノズルへ送り、マイクロバブルを発生させるようにしたマイクロバブル発生機において、気体を導入する吸気系路における圧力を設定する吸気弁及び吸気系路を開閉する電磁弁を当該吸気系路に設置し、上記気体と液体の混合した混合流体を排出する排出系路にて、混合流体の圧力を検出するとともに電圧変換し、得られた電圧を信号として出力する圧力センサーを当該排出系路に通じた圧力取り出し系路に設置し、上記圧力センサーから出力された電圧を基準電圧と比較し、得られた第1比較信号を電磁弁に出力する第1比較器と、上記電圧を警報電圧と比較し、得られた第2比較信号を警報器に出力する第2比較器とを圧力センサーに接続し、警報器を経て出力される警報信号によりモーターの作動を停止させるという手段を講じたものである。
【0008】
本発明におけるマイクロバブル発生機は、基本的には気体と液体を攪拌してマイクロバブルを発生させる方式である。液体の代表は水、気体の代表は空気であるが、例えば、液体としては気体を溶け込ませるべき溶媒になるもの、或いは液体燃料などが対象となり、また、気体としては酸素、二酸化炭素その他任意のものが対象になる。なお、一例であるが、マイクロバブル発生機により、水中に酸素を高濃度で溶存させた場合には、水質改善に使用可能であるほか、水性生物への酸素供給を格段に効率良く行える等の効果を期待することができる。
【0009】
本発明の装置では、気体を導入する吸気系路における圧力を設定する吸気弁と、吸気系路を開閉する電磁弁とを吸気系路に設置する。吸気弁は、例えば手動調整により空気導入量を増減可能として、マイクロバブルの発生量の定量化と安定化を図ることができる。本発明では、気体と液体の取り入れ及び混合を、主としてポンプによる吸引で行う実施形態を想定しているため吸気系路或いは吸液系路などと記載している。しかし、吸液系路は、例えば、加圧されている上水道などに接続することも可能であり、吸引ないしは吸入を必ずしも要しない場合があるので、気体や液体の取り入れ、導入或いは供給などと同等の手段として把握することが適切な場合もある。
【0010】
上記気体と液体の混合した混合流体を排出する排出系路にて、混合流体の圧力を検出するとともに電圧変換し、得られた電圧を信号として出力する圧力センサーを当該排出系路に通じた圧力取り出し系路に設置する。圧力センサーは気体圧力を電圧変換する空電変換機能を有しており、圧力センサーの出力レベルが許容範囲に保たれている限り、排出系路には混合流体が流れ、管理された均質なマイクロバブルの生成が続く構成とする。
【0011】
圧力取り出し系路は一端にて排出系路に通じるとともに、他端にて圧力センサーに通じており、圧力取り出し系路には混合流体の圧力を監視する圧力計が設置されていることが望ましい。圧力計によって監視することで、マイクロバブルがほぼ一定の定量状態を維持して生成されていることが視覚によって分かる。
【0012】
上記圧力センサーから出力された電圧を基準電圧と比較し、得られた第1比較信号を電磁弁に出力する第1比較器と、上記電圧を警報電圧と比較し、得られた第2比較信号を警報器に出力する第2比較器とを圧力センサーに接続する。圧力センサーの出力したレベルが基準電圧よりも高ければ電磁弁を閉じ、基準電圧を下回れば電磁弁を開く、この動作が繰り返されて、ほぼ一定圧力の混合流体を得る構成である。
【0013】
そして、警報部を経て出力されるストップ信号によりモーターの作動を停止させる構成を備えている。警報部分とモーターとの間に接続したモーター作動制御部によって、例えば、三相誘導モーターに対するインバーター制御の一部として作動を制御することが可能になる。なお、圧力センサーは電磁弁の作動電圧レベルを設定する基準電圧設定機能を備えていることが望まれる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以上のように構成されかつ作用するものであるから、マイクロバブル発生機において、マイクロバブルの出力圧力を手動で一々調節しなくても、均質なマイクロバブルをほぼ一定の量を保って発生させることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、均質なマイクロバブルの発生量を、任意に設定可能な、マイクロバブル発生機における自動圧力制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図示の実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。図1は本発明に係るマイクロバブル発生機における自動圧力制御装置10の一例を示すもので、各図中、11はマイクロバブル発生機本体を示しており、内部に駆動用モーター12、ポンプ13等を装備している(図3参照)。
【0016】
実施形態として示す本発明の例において、モーター12はポンプ13を駆動し、ポンプ13は吸気系路から気体を吸引し、吸液系路から液体を吸引し、吸引によって導入した気体と液体の混合した混合流体をマイクロバブル発生用ノズルへ圧送するように機能する。しかし、状況によっては気体と液体をそれぞれ導入する専用のポンプ又は手段を使用し、また、混合して圧送する手段を個別的に設けても良い。
【0017】
マイクロバブル発生機本体11の正面には、ドア部14が開閉可能に設けられており、そのドア部14の内部には自動圧力制御装置10の主要部15が設置されている。また、ドア部14の正面には、電源のオンオフ表示灯16、自動運転表示灯17、非常停止表示灯18、そしてドア開閉レバー19が設置されている。
【0018】
さらに、各図において、20は気体である空気Aを導入する吸気系路、21は液体である水Wを導入する吸液系路、22は吸引ヘッドを示しており、吸液系路21を構成するホースの先端に設けられている。吸液系路21は、その先端の吸引ヘッド22を水槽23に投じて水Wを導入する構成である(圧縮エア源や圧縮機に吸気系路20を接続したり、上水道などを給水機構に利用して吸液系路21を接続したりしても良い)。
【0019】
実施形態として示す例において、吸気系路20は、マイクロバブル発生機本体11の側面に開口した吸気口24から機内に導入される、空気Aを吸引する開口端を本体内部に有している。上記の吸気系路20において、吸引する気体である空気Aの圧力を設定する吸気弁25及び吸気系路20を開閉する電磁弁26が当該吸気系路20に設置されている。
【0020】
また、27は上記気体(A)と液体(W)の混合した混合流体を排出する排出系路を示しており、ポンプ13から水槽23に達し、先端にマイクロバブル発生用ノズル28を備えている。マイクロバブル発生用ノズル28は、水中に混合流体を噴射してマイクロバブルを発生させるもので、ノズル孔38aを側面に有している。
【0021】
29は気液混合流体の圧力を取り出す圧力取り出し系路を示しており、その一端にて上記の排出系路27に接続され、他端にて圧力センサー30に接続されている。圧力センサー30は、混合流体の圧力を検出して電圧に変換する手段である。また、圧力取り出し系路29には上記混合流体の圧力を監視する圧力計33が設置されている。圧力取り出し系路29は上記気液混合流体の圧力を検出するとともに電圧変換する手段の一部として重要な役割を担う。
【0022】
このような圧力センサー30には、そこから出力された電圧と基準電圧とを比較し、得られた第1比較信号を電磁弁26に出力する第1比較器31と、上記出力電圧と警報電圧とを比較し、得られた第2比較信号を警報部34に出力する第2比較器32とが接続されている。警報部34は警報信号を出力する手段であり、非常灯35(18)に接続するとともに、モーター作動制御部36にも接続している。
【0023】
図2は本発明に係る装置10の主要部15がまとめられたアセンブリーを示しており、その具体的構成は図4に例示されている。各図において、37は基準電圧発生部であり、摘み38の操作によって圧力センサー30の電圧出力値を調節する。39は警報電圧設定部であり、基準電圧の設定値に応じて変更することができる。また、40は電源コードであり、ACアダプター付きプラグ40aを有している。
【0024】
このように構成されている本発明の装置10において、これを使用するには必要な各部の設定を行い、また、図3に図示されている如く水槽23に水を張り、かつ、水中に水Wを吸引する吸引ヘッド22を配置するとともに、マイクロバブル発生用ノズル28を配置し、スイッチを操作して装置10の電源を投入する。これによりモーター12が始動し、ポンプ13が作動して吸気系路20から空気が吸引され、吸液系路21から水槽23内の浄水が吸引され、それらは混合され、気液混合流体となってマイクロバブル発生ノズル28に圧送され、そのノズル孔28aから、例えば、直径が50μm以下のマイクロバブルMBとして浄水中に噴射される。
【0025】
マイクロバブルMBの発生状態が適正であるかどうかは、圧力計33の支持値を目視して監視することで、容易に確認することができる。その際、吸気弁25は手動調整が可能であるから、必要があれば、空気の吸引量を増減して、定量が安定に維持されるように図ることができる。
【0026】
ここで、定常運転中に異常な要因が発生し、例えば、水槽内の汚濁物質によって吸液系路21の液流通に異常が発生すると、排出系路27を流れる混合流体の圧力値に変動が生ずる。圧力変動が発生すると、圧力計33に分岐接続されている圧力センサー30において空電変換される信号電圧が変化し、変化した電圧値は第1比較器31において基準電圧と比較され、第1の比較信号を電磁弁26に送信する。よって、高圧側への圧力変動で、圧力レベルが基準電圧を超えれば電磁弁26は暫時開いて、空気流通量を増すように作用する。このように圧力センサー30の出力レベルが許容範囲に保たれている限り、排出系路には混合流体が流れ、均質に管理されたマイクロバブルMBの生成が続き、水槽23は目的のサイズのマイクロバブルMBによって満たされていく。
【0027】
しかし、圧力センサー30の出力レベルが基準電圧を超える圧力値になったときには、第2比較器32における警報電圧との比較によって異常として検出されるので、警報部34が警報信号を出力し、非常灯35を点灯させる。他方、警報部34が警報信号を出力すると、モーター作動制御部36を通して発せられる信号によって、モーター12が停止し本発明に係る装置10を保護することになる。
【0028】
上記実施形態のマイクロバブル発生機では、気液混合流体の排出系路27における圧力として、0.4Mpaに設定し、試験を行った。例えば全目盛領域の中間が0.4Mpaに対応するように設定した場合は、その値が基準となり、摘み38の操作によってプラスマイナス所要範囲の調整が可能なように設定される。上記設定値は例示に過ぎないので、本発明の装置では任意の設定値を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係るマイクロバブル発生機における自動圧力制御装置の一例を示す斜視図である。
【図2】同上の装置の主要部の外観の例を示す斜視図である。
【図3】同上の装置の回路構成を例示するブロック図である。
【図4】同上回路要部の一例を示す回路図である。
【符号の説明】
【0030】
10 マイクロバブル発生機における自動圧力制御装置
11 マイクロバブル発生機本体
12 駆動用のモーター
13 ポンプ
14 ドア部
15 装置の主要部
16 オンオフ表示灯
17 自動運転表示灯
18 非常停止表示灯
19 ドア開閉レバー
20 吸気系路
21 吸液系路
22 吸引ヘッド
23 水槽
24 吸気口
25 吸気弁
26 電磁弁
27 排出系路
28 マイクロバブル発生用ノズル
29 圧力取り出し系路
30 圧力センサー
31 第1比較器
32 第2比較器
33 圧力計
34 警報部
35 非常灯
36 モーター作動制御部
37 基準電圧設定部
38 摘み
39 警報電圧設定部
40 電源コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーター駆動されたポンプによって吸引した気体と液体を混合し、マイクロバブル発生用ノズルへ送り、マイクロバブルを発生させるようにしたマイクロバブル発生機において、
気体を吸引する吸気系路における圧力を設定する吸気弁及び吸気系路を開閉する電磁弁を当該吸気系路に設置し、上記気体と液体の混合した混合流体を排出する排出系路にて、混合流体の圧力を検出するとともに電圧変換し、得られた電圧を信号として出力する圧力センサーを当該排出系路に通じた圧力取り出し系路に設置し、上記圧力センサーから出力された電圧を基準電圧と比較し、得られた第1比較信号を電磁弁に出力する第1比較器と、上記電圧を警報電圧と比較し、得られた第2比較信号を警報部に出力する第2比較器とを圧力センサーに接続し、警報部を経て出力される警報信号によりモーターの作動を停止させる構成を備えた自動圧力制御装置。
【請求項2】
圧力取り出し系路は一端にて排出系路に通じるとともに、他端にて圧力センサーに通じており、圧力取り出し系路には混合流体の圧力を監視する圧力計が設置されている請求項1記載のマイクロバブル発生機における自動圧力制御装置。
【請求項3】
圧力センサーは電磁弁の作動電圧レベルを設定する基準電圧設定機能を備えている請求項1記載のマイクロバブル発生機における自動圧力制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−5938(P2012−5938A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143055(P2010−143055)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(399018884)株式会社 シンワ (8)
【出願人】(504426333)
【Fターム(参考)】