説明

マイクロバルブ

【課題】大きな流量を確保したマイクロバルブを提供する。
【解決手段】上流側の主バルブ170により制御されて流体が送り込まれる流路と連通する流体導入孔が設けられた第1支持層100と、第1支持層100と対向してギャップ室130を形成し、第1支持層100よりも下流側で流路と連通して流体を噴出する流体噴出孔121と、流体噴出孔121が流体を噴出する流体噴出系から受ける背圧をギャップ室130側へ印加する背圧印加孔122とが設けられた第2支持層120と、ギャップ室130内を流路に沿って往復移動が可能な可動弁111とを有し、流体導入孔101を第1支持層100側に移動した可動弁111により閉塞可能な位置に設け、第2支持層120の背圧印加孔122は、第2支持層120側に移動した可動弁111により閉塞可能な位置に設けて、所定制御に従い、可動弁111と第1支持層100とに所定の電圧を印加する印加手段190を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電引力を利用したマイクロバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
静電引力は比較的簡単な構成で発生させることができ、駆動エネルギーも小さいため、静電引力を用いてバルブを開閉させるマイクロバルブがある。この種のマイクロバルブとしては、支持層、中間層、被覆層の3層からなり、支持層および被覆層の間に介在する中間層が、閉鎖部材、ダイヤフラム、および被覆層に当接する突起を備えたシート部材を有するものがある(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1の従来例は、静電引力による変位とダイヤフラムが移動する変位量とがほぼ等しい構造となっているため、開弁時に流体が通過できる断面積が小さく、圧力損失が高いという問題があった。一般に平行平板に発生する静電引力は、電極間距離の2乗に反比例して弱くなるが、ダイヤフラム変位が直接静電引力による変位量とほぼ等しいような構造である場合、開弁時に流体が通過する断面積を広くとろうとすると、静電ギャップを同じ程度に広く取らざるを得なくなり、結果として非常に大きな電圧が必要になるという問題があった。言い換えると、印加できる最大電圧は、対向する電極間に挟まれる物質に依存し、例えば一般的なシリコン酸化膜の場合では10MV/cm程度に制限されるため、これよりも大きな電圧を印加することができず、流体が通過する断面積を広くすることができないという問題があった。
【0004】
特に、マイクロバルブを燃料供給系のインジェクタ等に応用しようとした場合、限られた燃料圧力で、必要な流量を確保しなければならないが、従来技術では開弁時に流体が通過できる断面積が狭く、十分な流量を確保することができないという問題があった。
【特許文献1】特開平7−229579号公報
【発明の開示】
【0005】
本発明は、静電引力を利用したマイクロバルブであって、従来よりも大きな流量を確保できるマイクロバルブを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明によれば、流体導入孔が設けられた第1支持層と、第1支持層と対向してギャップ室を形成し、流体を噴出する1又は2以上の流体噴出孔と、流体噴出孔が流体を噴出する流体噴出系から受ける背圧をギャップ室側へ印加する背圧印加孔とが設けられた第2支持層と、第1支持層と第2支持層との間に形成されたギャップ室内を流路に沿って往復移動が可能な可動弁とを有し、流体導入孔を第1支持層側に移動した可動弁により閉塞可能な位置に設けるとともに、背圧印加孔を第2支持層側に移動した可動弁により閉塞可能な位置に設けて、所定のタイミング及び所定の時間長で、可動弁と第1支持層とに所定の電圧を印加する印加手段とを有するマイクロバルブが提供される。
【0006】
本発明によれば、従来よりも大きな流量を確保しながら、流体の供給及び供給停止を切り替えるマイクロバルブを提供することができる。
【発明の実施の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明のマイクロバルブは、流体が噴出される系の圧力に変化が生じ、マイクロバルブ側に背圧を付与する流体供給装置に広く用いることができる。本実施形態では、車両の燃料供給システムのインジェクタ装置の下流側に装備されたマイクロバルブを例にして説明するが、用途は限定されず、流体噴出系側に圧力の変化が生じる、化学分析装置の試薬供給装置、プリンタのインク供給装置などに広く適用することができる。
【0008】
<第1実施形態>
第1実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。図1(A)は、本実施形態のマイクロバルブを流体導入側からみた上面図である。図1(B)は、図1(A)に示したマイクロバルブの1B−1B断面の模式図である。図1(A)および図1(B)に示すように、本実施形態のマイクロバルブ10は、第1支持層100と、可動弁111と、第2支持層120とを有する。これらは、流路下流側(流体噴出系側)から流路上流側(流体導入側)に向かって、第2支持層120、可動弁111、第1支持層100の順番で配置されている。第1支持層100の流路上流側(流体導入側)には主バルブが設けられている。主バルブは制御装置を備え、制御装置によりその開閉が制御される。流体の流量、圧力、タイミングは主バルブにより制御されて、マイクロバルブ10に送り込まれる。主バルブ側には、燃料供給装置やインテークマニホールド等が配置されている。
【0009】
図1(B)に示すように、第1支持層100は、流体が所定の圧力で送り込まれる流路と連通する1つの流体導入孔101を有している。流体導入孔101は、第1支持層100を貫通し、主バルブにより送り込まれた流体を下流側へ通過させる。
【0010】
第2支持層120は、第1支持層100と対向してギャップ室130を形成するとともに、第1支持層100よりも下流側で流路と連通して流体を噴出する流体噴出孔121と、流体噴出孔121が流体を噴出する系と連絡して流体噴出系から上流側へ向かう背圧をギャップ室130に印加する背圧印加孔122とを有している。
【0011】
可動弁111は、第1支持層100と第2支持層120との間に形成されたギャップ室130の室内に設けられる。本実施形態の可動弁111は円盤形状であり、ギャップ室130の流路に沿って(矢印X方向に沿って)往復移動が可能である。
【0012】
第1支持層100と中間層110と第2支持層120とは絶縁層140を介在させて積層され、その外縁領域で固定されている。これらを積層させた場合における、流体導入孔101と、可動弁111と、背圧印加孔122、流体噴出孔121との位置関係を図1(B)に基づいて説明する。
【0013】
第1支持層100の流体導入孔101は、第1支持層100側に移動した可動弁111により閉塞可能な位置に設けられるとともに、第2支持層120の背圧印加孔122は、第2支持層120側に移動した可動弁111により閉塞可能な位置に設けられている。言い換えると、本実施形態の可動弁111は、上流側(第1支持層100側)に移動した場合、第1支持層100の流体導入孔111を閉塞し、下流側(第2支持層120側)に移動した場合、第2支持層120の背圧印加孔122を閉塞する位置に設けられている。
【0014】
具体的に、第1支持層100の流体導入孔101は、可動弁111と対向する位置に設けられるとともに、第2支持層120の背圧印加孔122は、可動弁111と対向する位置に設けることが好ましい。言い換えると、上流側(主バルブ側)から流体供給方向に沿ってマイクロバルブ10をみたとき、流体導入孔101は可動層111に塞がれ、下流側(流体噴出側)から流体供給方向とは反対方向に沿ってマイクロバルブ10をみたとき、背圧印加孔122は、可動層111に塞がれるように、流体導入孔101、可動孔111、背圧印加孔122を設けることが好ましい。
【0015】
このように構成することにより、流体噴出系の圧力がマイクロバルブ10のギャップ室130の圧力よりも相対的に高くなった場合、背圧印加孔122は流体噴出系から受ける背圧を可動弁111に印加して、可動弁111を第1支持層100側に移動させ(移動を補助し)、可動弁111を流体導入孔101に接近乃至接触させ、接近乃至接触状態となった可動弁111と第1支持層100とに電圧を印加することにより、静電引力を発生させ、流体導入孔101を可動弁111により閉塞することができる。つまり、流体噴出系の背圧を利用して流体導入孔101の開閉を行う(補助する)ことができるため、印加電圧を大きくしなくても可動弁111の移動距離を大きくすることができる。
【0016】
また、本実施形態では、図1(B)に示すように、第1支持層100の流体導入孔101の略中心の軸(X)上に、可動弁111の略中心が位置するとともに、この可動弁111の略中心軸上に、背圧印加孔122の略中心が位置するように、流体導入孔101、可動弁111、及び背圧印加孔122を設けた。つまり、流体導入孔101の略中心と、可動弁111の略中心と、背圧印加孔122の略中心とが、同軸上に位置している。このような構成により、背圧印加孔122は、流体噴出系から受ける背圧を可動弁111の略中心に印加し、印加された背圧は可動弁111全体に均等に伝わり、可動弁111は第1支持層100と面平行の状態を保って第1支持層100に接近し、流体導入孔101を閉塞することができる。
【0017】
次に、第1支持層100、中間層110、第2支持層120を図2に基づいてそれぞれ説明する。図2(A)は本実施形態のマイクロバルブ10に係る第1支持層100を、図2(B)は中間層110を、図2(C)は第2支持層120を、それぞれ上面から見た、上面図である。
【0018】
図2(A)に示すように、第1支持層100の中央付近には、第1支持層100を貫通して開口する流体導入孔101が設けられている。第1支持層100の材質は特に限定されないが、絶縁体材料以外であることが好ましい。本例の第1支持層100にはシリコン基板を用い、シリコン基板である第1支持層100をエッチング処理して流体導入孔101を形成した。
【0019】
図2(B)には、第1支持層100と第2支持層120の間に設けられる中間層110を示した。図2(B)に示すように、本実施形態の中間層110の略中央には可動弁111が設けられ、その周囲には連結部112、外縁領域114が設けられている。中間層110材質は特に限定されず、絶縁体材料以外であることが好ましい。本例の中間層110にはシリコン基板を用い、シリコン基板である中間層110の一部をエッチング処理により除去して可動弁111、連結部112および外縁領域を形成した。
【0020】
中間層110の中央に設けられた可動弁111は、ギャップ室内を流路に沿って往復移動し、当該可動弁111から放射状に延設された4本の連結部112により、90度間隔で、外縁領域114と連結されている。連結部112の数、位置は特に限定されず、可動弁111の移動範囲、流体から受ける圧力等に応じて適宜決定することが好ましい。また、連結部112は、可動弁111に電圧を印加するための電極配線として機能する。連結部112が導電性材料で形成されている場合には、連結部112自体が電極配線として機能し、連結部112が導電性材料で形成されていない場合には、連結部112は別に設けられた電極配線の支持部材として機能する。外縁領域114は絶縁部材140(図1(B)参照)で電気的絶縁をとりながら、第1支持層100及び第2支持層120の間に固定される。
【0021】
図2(C)に示すように、本実施形態の第2支持層120は、流体を噴出する流体噴出孔121と、流体噴出系の背圧をギャップ室130に印加する背圧印加孔122とを有している。第2支持層120にはシリコン基板を用い、シリコン基板である第1支持層100をエッチング処理して背圧印加孔122、流体噴出孔121を形成した。
【0022】
本実施形態のマイクロバルブ10は、可動弁111と第1支持層100とに所定の電圧を印加する印加手段190を有する(図1(B)参照)。印加手段190は、可動弁111(又は可動弁111から延設された連結部112)と第1支持層100からそれぞれ導出された外部電極に接続される。本実施形態の印加手段190は、背圧印加孔122が流体噴出系から受ける背圧を可動弁111に印加したタイミングに基づいて、所定の時間長で、可動弁111と第1支持層100とに所定の電圧を印加する。特に限定されないが、印加手段190は、背圧が印加された可動弁111が第1支持層100に接近乃至接触するタイミングで電圧を印加することが好ましい。可動弁111が流体導入孔101に接近し、可動弁111と流体導入孔101との距離が所定値以下となったタイミングで電圧を印加すれば、低い電圧で(電圧を拡大することなく)可動弁111と流体導入孔101とを引き付け(静電引力を作用させ)、流体導入孔101を閉塞することができる。具体的に、印加手段190は、可動弁111に背圧を印加した直後(時間t1後)、可動弁111に背圧を印加したと同時、又は可動弁111に背圧を印加する直前(時間t2前)に、所定の時間長で、可動弁111と第1支持層100とに所定の電圧を印加することが好ましい。
【0023】
次に、図3(A)〜(D)に基づいて、本実施形態のマイクロバルブ10の動作を説明する。図3では、図1(B)と同様のマイクロバルブ10の断面構成を示す。図3に示す170はマイクロバルブ200及び200´へ流体を供給する主弁である。150は主バルブ170から送り込まれる流体の流入側を示し、160は流体を噴出する流体噴出系を示す。流体噴出系160は、内燃機関における燃焼室に相当する。本例は、本実施形態の2つのマイクロバルブ200及び200´(10)を筐体140に実装した例であり、それぞれが駆動用電源190、191に接続されている。
【0024】
<状態I:初期状態>
図3(A)は初期状態のマイクロバルブ10(200、200´)を示す図である。初期状態では、主弁170が閉じ、マイクロバルブの全ての空間に差圧が生じておらず、かつ電圧が印加されていない状態である。状態Iでは、可動弁111に外部から加わる力は発生しておらず、可動弁111は予め設定された所定のギャップをもって、第1支持層100と第2支持層120に対向している。
【0025】
<状態II:背圧印加状態>
図3(B)は主弁170が流路を閉鎖するとともに、流体噴出系160の圧力が上昇する場合を示す。流体噴出系160が燃焼室160である場合を例にすると、燃焼室160の圧力が上昇する場合は、たとえば、図4に示すように、燃焼室のピストンが上昇する圧縮工程や、圧縮後爆発し、ピストンが下降する爆発工程の状態に相当する。燃焼室160では、所定の周期で圧力が上昇する。燃焼室側(流体噴出系)160の圧力が上昇すると、背圧印加孔122は背圧をギャップ室130へ印加する。この背圧により可動弁111は第1支持層100近傍位置まで接近するか、第1支持層100に接触する。
【0026】
<状態III:流体噴出状態1>
図3(C)は主弁170が開いた状態で、流体導入側150の圧力が燃焼室側160より高くなり、燃料(流体)がマイクロバルブ200(10)から流体噴出系へ噴出する状態を示す。所定の圧力で燃料(流体)がマイクロバルブ201(10)に送り込まれると、可動弁111の流入側の面(第1支持層100側の面)の圧力が、流出側の面(第2支持層120側の面)の圧力より高くなり、可動弁111は第2支持層120側に押し付けられる。このとき背圧印加孔122は可動弁111によって塞がれた状態になる。このため、流体は流体噴出孔121を通って燃焼室側160に噴出する。
【0027】
一方、マイクロバルブ200´では、図3(B)のように可動弁111´が背圧により押し上げられ、第1支持層100´に接近乃至接触したタイミングで、可動弁111´と第1支持層100´の間に電圧を印加したため、流体導入孔101の閉塞状態は維持され、流体は導入されない。内燃機関の場合、図4に示すように、燃料噴出後は必ず圧縮工程、または爆発工程が繰り返されるため、圧縮又は爆発の任意のタイミングに応じて流体の供給を制御することができる。図4に示すように、電圧印加のタイミングは、燃焼室内の圧力が所定値以上となった場合(例2)、またはクランクの回転角の値に基づいて(例1)制御することができる。
【0028】
<状態IV:流体噴出状態2>
図3(D)は前述の状態IIIと同様に流体が噴出される状態であって、左側のマイクロバルブ200の可動弁111と第1支持層100に電圧を印加し、右側のマイクロバルブ200´の可動弁111´と第1支持層100´には電圧を印加しない状態を示す。図3(D)に示すように、主弁170が開いた状態で、流体導入側150の圧力が燃焼室側(流体噴出系側)160の圧力よりも高くなっている。電圧が印加されたマイクロバルブ200の流体導入孔101は閉塞されている。他方、電圧が印加されていないマイクロバルブ200´では、送り込まれた流体の圧力により、流体噴出孔121´から燃料(流体)が噴出される。
【0029】
本実施形態のマイクロバルブ10(200、200´)は、以上のように構成され、動作するので、以下の効果を奏する。
【0030】
本実施形態のマイクロバルブ10(200、200´)は、特に、第1支持層100の流体導入孔101を、第1支持層100側に移動した可動弁111により閉塞可能な位置に設けるとともに、第2支持層120の背圧印加孔122を、第2支持層120側に移動した可動弁111により閉塞可能な位置に設けたことにより、静電引力を用いた従来のマイクロバルブに比べて大きな流量を確保することができる。
【0031】
平行平板間の静電引力は対向するギャップの2乗に反比例するため、従来例のように静電引力を発生させる対向電極のギャップ長がそのまま流路の隙間になるようにマイクロバルブを構成すると、所定の圧力で得られる流量は極めて僅かにならざるを得ない。
【0032】
これに対し、本実施形態のマイクロバルブ10は、背圧印加孔122を可動弁111により閉塞可能な位置に設けたため、背圧印加孔122は流体噴出孔から受けた背圧を可動弁111に印加して、可動弁111を第1支持層100側へ押し上げることができる。背圧により押し上げられた可動弁111と第1支持層100側とが接近乃至接触した状態で、可動弁111と第1支持層100とに電圧を印加すれば、小さい電圧で可動弁111を第1支持層100に引き付けることができ、流体導入孔101を閉塞することができる。つまり、本実施形態では電圧の印加により得られた静電引力のみならず、背圧印加孔122から印加された背圧を利用して、可動弁111を移動させることができる。このように、可動弁111の駆動源を静電引力にのみ依存せず、静電引力と背圧による押圧力を利用する構成としたため、印加電圧を増加させることなく、可動弁111の移動距離を拡大し、流量を増加させることができる。
【0033】
本実施形態のマイクロバルブ100を内燃機関の燃料供給装置に用いる場合は、インジェクタのニードルバルブに対応する主弁170を閉鎖して燃料の供給を停止させた後に、燃焼室内(流体噴出系)の圧力が上昇すると、背圧により可動弁111が第1支持層100側に接近乃至接触する。このタイミングで可動弁111と第1支持層100とに電圧を印加することにより燃料の供給を制御することができる。これにより、印加電圧を増加させることなく、従来よりも大きな流量で燃料を燃焼室へ供給することができる。内燃機関では、燃料噴出後に必ず圧縮工程、爆発工程が繰り返されるため、可動弁111を所定のタイミングで第1支持層100側に接近させ、流体導入孔101の開閉を制御することができる。
【0034】
また、本実施形態では、第1支持層100の流体導入孔101を可動弁111と対向する位置に設けるとともに、第2支持層120の背圧印加孔122を可動弁111と対向する位置に設けることにより、同様の作用及び効果を奏することができる。
【0035】
特に、第1支持層100の流体導入孔101の略中心の軸上に、可動弁111の略中心が位置するとともに、第2支持層120の背圧印加孔122の略中心の軸上に、可動弁111の略中心が位置するように、流体導入孔101、可動弁111および背圧印加孔122を設けたことにより、背圧印加孔122を介して印加された背圧を可動弁111の中心から全体に均等に伝えることができ、可動弁111を第1支持層100に向かって平行移動させることができる。これにより、可動弁111は第1支持層100に平行状態で接し、流体導入孔101を偏りなく閉塞することができる。
【0036】
第2支持層120の流体噴出孔121は、可動弁111により閉塞されない位置に設けたことにより、流体(燃料)を流体噴出系(燃焼室)へ噴出することができる。
【0037】
本実施形態では、可動弁111を、第1支持層100と第2支持層110との間に設けられた中間層111の略中央に設け、当該可動弁111から延設された連結部112により、第1支持層100及び第2支持層120に固定された中間層110の外縁領域114と連結させたため、外縁領域114の近傍に設けられた外部電極190、190´により可動弁111に電圧を印加することができる。
【0038】
<第2実施形態>
次に、図5〜図7に基づいて、第2実施形態を説明する。第1実施形態と共通する部分については説明を省略する。
【0039】
図5(A)は、本実施形態のマイクロバルブ20を流体導入側、すなわち流体導入孔側からみた上面図である。図5(B)は、図5(A)に示したマイクロバルブの5B−5B断面の模式図である。図5(A)および図5(B)に示すように、本実施形態のマイクロバルブ20は、第1支持層200と、可動弁211と、第2支持層220とを有している。第2実施形態のマイクロバルブ20は、可動弁211が中間層210をはじめ他の部材と連結されていない点、および第1支持層200の可動弁211側の面に電極が形成されている点を除き、第1実施形態のマイクロバルブ10と共通する。つまり、流体噴出機能において、第1支持層200は第1実施形態の第1支持層100に対応し、可動弁211は第1実施形態の可動弁111に対応し、第2支持層220は第1実施形態の第2支持層120に対応する。図5(B)に示すように、電極205は第1支持層200の可動弁211側の面に、絶縁層206を介在させて、可動弁211側に凸状に設けられている。
【0040】
図6(A)は本実施形態のマイクロバルブ20に係る第1支持層200を、図6(B)は中間層210を、図6(C)は第2支持層220を、それぞれ上面から見た、上面図である。
【0041】
図6(A)は第1支持層200を可動弁211側から見た平面図である。2個の流体導入孔201が第1支持層200を貫通して形成されている。
【0042】
本実施形態では、可動弁211に電圧を印加するために、第1支持層200のギャップ室側の面、すなわち可動弁211と接する面に電極205を形成した。電極205は外部電極190に電気的に接続される。可動弁211に背圧が印加されて第1支持層200側に移動し、可動弁211と電極205とがと接触したときに、電極205を介して可動弁211に電圧が印加される。本実施形態の電極205はギャップ室側に凸状の形状とし、流体導入孔201を囲うように2重の環状の電極205を設けた。特に限定されないが、電極205は、流体導入孔201を閉塞する可動弁211の外縁に対向する位置に設けることが好ましい。本例は、ドーナツ型の可動弁211の形状に沿って、ドーナツ型の電極205を設けた。これにより、可動弁211全体に均等な電圧を印加させることができる。電極205は可動弁211側に凸状となっているため、電極205はその頂部で可動弁211と接触することができる。本実施形態の電極205は、Al(アルミニウム)で形成した。電極表面の酸化を防止するため、例えばAu(金)等により被覆することが好ましい。また、電極205に対向する可動弁211の接触面も、酸化を防止するためのAu膜で被覆することが好ましい。
【0043】
図6(B)は可動弁211、中間層210の平面図を示す。この可動弁211は第2支持層210の外縁領域214から完全に分離独立しており、他の部材と連結されていない。
【0044】
第1実施形態のマイクロバルブ10のように、連結部112によって可動弁111と中間層120の外縁領域112とを連結する構成にすると、連結部112を介して外部から可動弁111に電位を与えることができる。しかし、可動弁111はギャップ室130を往復移動するため、連結部112には移動する可動弁112を支える強度が要求される。この連結部112に求められる強度を算出し、必要な強度を満たす連結部112を設計する工程は複雑である。特に、本発明のように、可動弁111の移動距離が従来よりも大きく、ギャップ室130の容量が大きいマイクロバルブにあっては、支持部112にかかる応力も大きくなり、高い強度が要求されることが予測される。さらに、可動弁111は第1支持層100及び第2支持層120に対して垂直方向の1次元的な往復運動をすることが理想であるが、実際には僅かなバラツキ等によって、3次元的な動き、回転運動、ねじれ等が起こる可能性があり、支持部112はあらゆる方向からの応力に耐える強度が求められる。特に、可動弁111の移動範囲が大きい本実施形態のマイクロバルブについて、連結部112にかかる応力及び求められる強度を算出し、求められる強度を有する連結部112を設計する工程は複雑である。
【0045】
以上のような問題を解決するため、本実施形態では、可動弁211を他の部材と連結させないように構成した。つまり、本実施形態のマイクロバルブ20は、可動弁211と他の部材とを連結させる部材を具備しない。本実施形態の可動弁211は他の部材から完全に独立しているため、上述した問題は発生しない。
【0046】
図4(C)は第2支持層220の平面図を示す。流体噴出孔221は第2支持層220の略中央に設けられ、可動弁211の略中央に設けられた開口部に対向する。背圧印加孔222は、流体噴出孔221の外周に設けられ、可動弁211と対向する位置に形成されている。
【0047】
本実施形態の流体導入孔201、可動弁211、流体噴出孔221、背圧導入孔222との位置関係は、第1実施形態と同様である。本実施形態では、流体導入孔201と可動弁211とが対向し、背圧導入孔222と可動弁211とが対向するとともに、流体噴出孔221が可動弁211に閉塞されないように、可動弁211の中央を開口させ、ドーナツ形状とした。流体導入孔201の形状、数及び位置、可動弁211の形状及び開口部、背圧導入孔222の形状、数、及び位置は、図6に示す例に限定されない。
【0048】
次に、図7(A)〜(D)に基づいて、第2実施形態に係るマイクロバルブ20の動作を説明する。本実施形態のマイクロバルブ20は、第1実施形態と同様に、内燃機関の燃料供給装置に装備される。説明の簡略化のため図示しなかったが、本マイクロバルブ20は図3に示す第1実施形態のマイクロバルブと同様に、流体の供給を制御する主バルブ170の下流であって、流体が噴出される流体噴出系の上流に設けられる。また、図7には1個のマイクロバルブ20のみを図示したが、図3に示した第1実施形態と同様に1の流体供給系に複数のマイクロバルブを実装してもよい。
【0049】
<状態I:初期状態>
図7(A)は初期状態の本実施形態に係るマイクロバルブ20を示す図である。つまり、図示しない主弁170(図3参照)が閉じ、マイクロバルブ20の全ての空間に差圧が生じておらず、かつ電圧が印加されていない状態である。状態Iでは、可動弁211に外部から加わる力は発生しておらず、可動弁211は予め設定された所定のギャップをもって、第1支持層200と第2支持層220に対向している。
【0050】
<状態II:流体噴出状態>
図7(B)は図示しない主弁170が開いた状態である。流体導入側150の圧力が燃焼室側160より高くなり、燃料がマイクロバルブより噴出する状態を示す。流体の圧力がマイクロバルブにかかると、可動弁211の流入側の面の圧力が流出側の面の圧力より高くなり、可動弁211は第2支持層220側に押し付けられる。このとき背圧印加孔222は可動弁211によって塞がれた状態になるので、流体は流体噴出孔221を通って燃焼室側160に噴出される。
【0051】
<状態III:背圧印加状態>
図7(C)は図示しない主弁170が閉鎖し、燃焼室側160の圧力が上昇する場合を示す。このような状態では、燃焼室側(流体噴出系)160の圧力が上昇するため、燃焼室側(流体噴出系)160からの圧力を受け、背圧印加孔222は背圧を可動弁211に印加する。この背圧により可動弁211は第1支持層200近傍位置まで接近するか、第1支持層100に接触する。
【0052】
<状態IV:流体非噴出状態>
図7(D)は、背圧により第1支持層200の電極205と接触した可動弁211と第1支持層200の間に外部電源290より電圧を印加した後に、図示しない主弁170が開いた状態である。電極205を介して電圧が印加された可動弁111は、静電引力により第1支持層200に引き付けられているため、流体導入孔201から流体が導入されても流体導入孔201の閉塞状態を維持する。つまり、流体は噴出されない。
【0053】
流体噴出系160が燃焼室等である場合には、圧力上昇は規則的に起こるので、マイクロバルブ20から流体を噴出させない場合には、流体噴出系160の圧力上昇のタイミング(圧縮工程タイミング、または爆発工程タイミング)に応じて、外部より電圧を印加して、可動弁211を第1支持層200側に引き付け、流体導入孔201を閉塞する。本実施形態のマイクロバルブ20は独立に制御することができるため、1の流体供給系に複数実装した各マイクロバルブ20の制御態様の組み合わせにより、多様な噴霧形状を形成することができ、多様な燃焼制御を行うことができる。
【0054】
本実施形態は、第1実施形態と同様の効果を奏するとともに、可動弁211と他の部材を連結する梁その他の連結部がなく、可動弁211を独立させた構造としたため、設計コストを抑制するとともに、製品の耐久性を高めることができる。また、可動弁211の動きを制限する連結部がないため、可動弁211の移動距離を大きくすることができ、大きな流量を確保することができる。
【0055】
<第3実施形態>
次に、図8に基づいて、第3実施形態について説明する。本実施形態は、流体導入孔301の中心軸が可動弁310の中心軸と平行とならないように設けたことを特徴とし、この点以外は第2実施形態と共通する。つまり、流体噴出機能において、第1支持層300は第2実施形態の第1支持層200に対応し、可動弁311は第2実施形態の可動弁211に対応する。第2支持層は第2実施形態の第2支持層220に対応する。ここでは、重複した説明を避けるため、第1実施形態及び第2実施形態と共通する部分の説明を省略する。
【0056】
図8(A)は、本実施形態のマイクロバルブ30の第1支持層300をギャップ室側から見た図である。図8(B)は、図8(A)に示した第1支持層300の8B−8B断面の模式図である。位置関係を説明するために、第1支持層300と可動弁311とを模式化して示した。
【0057】
図8(A)及び(B)に示すように、流体導入孔301の中心軸Pが可動弁311の中心軸Q(円盤形状の可動弁311の回転軸Q)と平行とならないように設けられている。つまり、流体導入孔301の中心軸Pと可動弁311の中心軸Qとは角度をもって交わっている。言い換えると、流体導入孔301が可動弁311に対して垂直になっておらず、流体導入孔301は第1支持層300を斜めに貫通し、流体導入孔側とギャップ室側とに開口している。流体導入孔301の傾きは特に限定されず、流体導入孔301の大きさ、流量、または可動弁311の強度を考慮して適宜決定することができる。
【0058】
流体導入孔301を斜めに設けたため、送り込まれた流体が斜めから可動弁311に衝突し、可動弁311を回転させることができる。つまり、可動弁311は流入する流体に第2支持層320側に押し付けられる度に回転する。この回転によって、可動弁311は、第1支持層300の表面及び第2支持層320の表面と噴射毎に異なる位置で接触する。これにより、可動弁311の特定箇所のみが繰り返し衝突することによって衝突箇所が早期に磨耗することを防止し、可動弁311の耐久性を向上させることができる。
【0059】
<第4実施形態>
次に、図9に基づいて、第4実施形態について説明する。本実施形態は、背圧印加孔422の中心軸が可動弁410の中心軸と平行とならないように設けたことを特徴とし、この点以外は第2実施形態と共通する。つまり、流体噴出機能において、第2支持層420は第2実施形態の第2支持層220に対応し、可動弁411は第2実施形態の可動弁211に対応する。第1支持層は第2実施形態の第1支持層200に対応する。ここでは、重複した説明を避けるため、第1実施形態及び第2実施形態と共通する部分の説明を省略する。
【0060】
図9(A)は、本実施形態のマイクロバルブ40の第2支持層420をギャップ室側から見た図である。図9(B)は、図9(A)に示した第2支持層420の9B−9B断面の模式図である。位置関係を説明するために、第2支持層420と可動弁411とを模式化して示した。
【0061】
図9(A)及び(B)に示すように、背圧印加孔422の中心軸Sが可動弁411の中心軸R(円盤形状の可動弁411の回転軸R)と平行とならないように設けられている。つまり、背圧導入孔422の中心軸Sと可動弁411の中心軸Rとは角度をもって交わっている。言い換えると、背圧導入孔422が可動弁411に対して垂直になっておらず、背圧導入孔422は第2支持層420を斜めに貫通し、流体噴出系側とギャップ室側とに開口している。背圧印加孔422の傾きは特に限定されず、背圧印加孔422の大きさまたは可動弁411の強度を考慮して適宜決定することができる。
【0062】
背圧印加孔422を斜めに設けたことにより、相対的に高圧状態となった流体噴出系から流れこむ気体が斜めに可動弁411に衝突するため、可動弁411に回転方向の力が加わり、背圧により第1支持層400側に押し付けられる度に回転する。この回転によって、可動弁411は、第1支持層400の表面及び第2支持層420の表面と噴射毎に異なる位置で接触する。これにより、可動弁411の特定箇所のみが繰り返し衝突することによって衝突箇所が早期に磨耗することを防止し、可動弁411の耐久性を向上させることができる。
【0063】
また、流体導入孔402が可動弁411に対向しない位置にさらに設けられた場合、背圧印加孔422は、流体噴出孔421としても機能する場合がある(図10(C)参照)。このような場合、斜めに設けられた背圧印加孔422から噴出された流体は、螺旋を描いて霧状となるため、良好な噴霧形状を形成させることができる。
【0064】
<第5実施形態>
次に、図10に基づいて第5実施形態のマイクロバルブ50を説明する。本実施形態は、第1支持層500の流体導入孔501のうちいずれか1以上は、可動弁511により閉塞されない位置に設けたことを特徴とし、この点以外は第1実施形態乃至第4実施形態のいずれかと共通する。ここでは、重複した説明を避けるため、他の実施形態と共通する部分の説明を省略する。
【0065】
本実施形態のマイクロバルブ50は、第1支持層500の略中央に流体導入孔502を設け、その周囲に別の流体導入孔501を設けた。流体導入孔501は可動弁511と対向し、流体導入孔502は可動弁511と対向しない位置に設けた。また、第2支持層520の略中央に2つの背圧印加孔521を設け、その周囲に複数の流体噴出孔522を設けた。背圧印加孔521は可動弁511と対向しない位置に設け、流体噴出孔522は可動弁511と対向する位置に設けた。
【0066】
<状態I:背圧印加状態>
図10(A)は背圧が印加された状態の本実施形態に係るマイクロバルブ50を示す図である。主バルブ170が閉じられ、燃焼室側の圧力が上昇した場合を示す。このような状態では、燃焼室側(流体噴出系)の圧力が上昇するため、燃焼室側(流体噴出系)からの圧力を受け、背圧印加孔522は背圧をギャップ室530へ印加する。この背圧により可動弁511は第1支持層500近傍位置まで接近するか、第1支持層500に接触する。
【0067】
<状態II:成層噴射状態>
図10(B)は、第1支持層500と可動弁511との間に電圧が印加されない状態で、主弁170が開かれた状態である。流体導入側の圧力が燃焼室側より高くなり、燃料がマイクロバルブ50より噴出する状態を示す。流体の圧力がマイクロバルブ50にかかると、可動弁511の流入側の面の圧力が流出側の面の圧力より高くなり、可動弁511は第2支持層520側に押し付けられる。このとき背圧印加孔522は可動弁511によって塞がれた状態になるので、流体は流体噴出孔521を通って燃焼室側に噴出される。このような噴射態様により、成層噴射を実行することができる。つまり、背圧印加孔522が流体噴出系から受ける背圧を可動弁511に印加した後の所定のタイミングにおいて、電圧を印加せずに主バルブを開くことにより成層噴射を行うことができる。
【0068】
<状態III:均質噴射状態>
図10(C)は、状態Iで接近した第1支持層500と可動弁511との間に電圧が印加された状態で、主弁170が開かれた状態である。第1支持層500と可動弁511との間には静電引力が発生している。可動弁511と対向する位置に設けられた2つの流体導入孔501は、静電引力で第1支持層500に引き付けられた可動弁511により閉塞されているが、可動弁511と対向しない位置に設けられた1つの流体導入孔502は可動弁511により閉塞されていないため、流体導入孔502を介して流体が送り込まれる。また、可動弁511は第1支持層500側に静電引力で引き付けられているため、背圧印加孔522は閉塞されていない。つまり、ギャップ室内の流体は流体噴出孔521及び背圧印加孔522の両方から流体噴出系(燃焼室)に向けて噴出される。このような噴射態様により、均質噴射を実行することができる。つまり、背圧印加孔522が流体噴出系から受ける背圧を可動弁511に印加した後の所定のタイミングにおいて、電圧を印加して、主バルブを開くことにより均質噴射を行うことができる。
【0069】
本実施形態のマイクロバルブ50によれば、背圧印加後に、静電引力を発生させるための電圧を印加するか否かに応じて、多様な噴霧形態により流体を噴出させることができる。
【0070】
また、本実施形態の背圧導入孔422は、第4実施形態の背圧印加孔422と同様に、第2支持層420を斜めに貫通し、流体噴出系側とギャップ室側とに開口している。斜めに設けられた背圧印加孔422から噴出された流体は、螺旋を描いて霧状となるため、良好な噴霧形状を形成させることができる。
【0071】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】(A)は第1実施形態のマイクロバルブの平面図、(B)は図1(A)に示した1B−1B断面図である。
【図2】(A)は第1実施形態の第1支持層、(B)は第1実施形態の中間層、(C)は第1実施形態の第2支持層を示す図である。
【図3】(A)〜(D)は第1実施形態のマイクロバルブの動作を説明するための図である。
【図4】流体噴出系の圧力変化の一例を示す図である。
【図5】(A)は第2実施形態のマイクロバルブの平面図、(B)は図5(A)に示した5B−5B断面図である。
【図6】(A)は第2実施形態の第1支持層、(B)は第2実施形態の中間層、(C)は第2実施形態の第2支持層を示す図である。
【図7】(A)〜(D)は第2実施形態のマイクロバルブの動作を説明するための図である。
【図8】(A)は第3実施形態のマイクロバルブの第1支持層の平面図、(B)は流体導入孔と可動弁との位置関係を説明するための図である。
【図9】(A)は第4実施形態のマイクロバルブの第2支持層の平面図、(B)は背圧印加孔と可動弁との位置関係を説明するための図である。
【図10】(A)〜(C)は、第5実施形態に係るマイクロバルブの噴射態様を説明するための図である。
【符号の説明】
【0073】
10,20,30,40,50…マイクロバルブ
100,200,300,400,500…第1支持層
110,210,310,410,510…中間層
111,211,311,411,511…可動弁
120,220,320,420,520…第2支持層
101,201,301,401,501,502…流体導入孔
121,221,321,421,521…流体噴出孔
122,222,322,422,522…背圧印加孔
190,290,390,490,590…印加手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側の主バルブにより制御されて流体が送り込まれる流路と連通する1又は2以上の流体導入孔が設けられた第1支持層と、
前記第1支持層と対向してギャップ室を形成し、前記第1支持層よりも下流側で前記流路と連通して前記流体を噴出する1又は2以上の流体噴出孔と、前記流体噴出孔が流体を噴出する流体噴出系から受ける背圧を前記ギャップ室側へ印加する1又は2以上の背圧印加孔とが設けられた第2支持層と、
前記第1支持層と前記第2支持層との間に形成されたギャップ室内を前記流路に沿って往復移動が可能な1又は2以上の可動弁と、
所定のタイミング及び所定の時間長で、前記可動弁と前記第1支持層とに所定の電圧を印加する印加手段とを有し、
前記第1支持層の流体導入孔は、前記第1支持層側に移動した前記可動弁により閉塞可能な位置に設けられるとともに、前記第2支持層の背圧印加孔は、前記第2支持層側に移動した前記可動弁により閉塞可能な位置に設けられたマイクロバルブ。
【請求項2】
前記第1支持層の流体導入孔は、前記可動弁と対向する位置に設けられるとともに、前記第2支持層の背圧印加孔は、前記可動弁と対向する位置に設けられた請求項1に記載のマイクロバルブ。
【請求項3】
前記第1支持層の流体導入孔の略中心の軸上に、前記可動弁の略中心が位置するとともに、前記第2支持層の背圧印加孔の略中心の軸上に、前記可動弁の略中心が位置する請求項2に記載のマイクロバルブ。
【請求項4】
前記第2支持層の流体噴出孔のうちいずれか1以上は、前記可動弁により閉塞されない位置に設けられた請求項1〜3のいずれかに記載のマイクロバルブ。
【請求項5】
前記第1支持層の流体導入孔のうちいずれか1以上は、前記可動弁により閉塞されない位置に設けられた請求項1〜4のいずれかに記載のマイクロバルブ。
【請求項6】
前記可動弁は、前記第1支持層と前記第2支持層との間に設けられた中間層の略中央に設けられ、当該可動弁から延設された連結部により、前記第1支持層及び第2支持層に狭持された中間層の外縁領域と連結された請求項1〜5のいずれかに記載のマイクロバルブ。
【請求項7】
前記可動弁は、他の部材と連結されず、
前記第1支持層の前記可動弁に対向する面に、絶縁層を介在させて、前記可動弁と接触可能な電極を設け、
前記印加手段は、所定のタイミング及び所定の時間長で、前記電極と前記第1支持層とに所定の電圧を印加する請求項1〜6のいずれかに記載のマイクロバルブ。
【請求項8】
前記電極は、当該電極と接触する前記可動弁の外縁に対向する位置に沿って設けられた請求項7に記載のマイクロバルブ。
【請求項9】
前記電極は、前記ギャップ室側に凸状である請求項7又は8に記載のマイクロバルブ。
【請求項10】
前記流体導入孔は、当該流体導入孔の中心軸が前記可動弁の中心軸と平行とならないように設けられた請求項1〜9のいずれかに記載のマイクロバルブ。
【請求項11】
前記背圧印加孔は、当該背圧印加孔の中心軸が前記可動弁の中心軸と平行とならないように設けられた請求項1〜10のいずれかに記載のマイクロバルブ。
【請求項12】
前記印加手段は、前記背圧印加孔が流体噴出系から受ける背圧を前記可動弁に印加するタイミングに基づいて、所定の時間長で、前記可動弁又は当該可動弁に接触する電極と前記第1支持層とに所定の電圧を印加する請求項1〜11のいずれかに記載のマイクロバルブ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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