マイクロメカニカル共鳴装置およびマイクロメカニカル装置の製造方法
マイクロメカニカル共鳴器装置と、当該マイクロメカニカル共鳴器装置を製造する方法、同様に、前記共鳴器装置の一またはそれ以上のサイド節点でアンカリングすることによってアンカーロスを最小限にしたその他の外延的モード装置を提供する。この共鳴器は空気中動作するときの制動力がより低くなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本出願は、2002年12月17日に出願された米国暫定出願第60/434,185号、「非侵入的支持ワイングラスディスク共鳴器」(Non-Intrusively Supported Wine Glass Disk Resonator)の利益を主張する。
【0002】
国家支援研究開発に関する記載
本発明は、高等研究計画局(DARPA) 許可番号F30602−97−2−0101号およびNSF ERCのコントラクト番号第040455号の下、政府支援を受けてなされたものである。政府は本発明に対して一定の権利を用する。
【0003】
発明の背景
1. 発明の技術分野
本発明は、マイクロメカニカル共鳴装置およびマイクロメカニカル装置を製造する方法に関する。
【0004】
背景技術
以下の文献を引用する。
【非特許文献1】C. T.-C. Nguyen, "Microelectromechanical Components for Miniaturized Low-Power Communications, "/it Proceedings, IEEE MTT-S INTERNATIONAL MICROWAVE SYMPOSIUM RF MEMS WORKSHOP, Anaheim, California, June 18, 1999, pp. 48-53.
【非特許文献2】C. T.-C. Nguyen, "Micromechanical Circuits for Communication Transceivers, "/it Proceedings, 2000 BCTM, Minneapolis, Minnesota, September 25-26, 2000, pp. 142-149.
【非特許文献3】W. C. Tang et al., "Laterally Driven Polysilicon Resonant Microstructures," SENSORS ACTUATORS, Vol. 20, pp. 25-32, 1989.
【非特許文献4】C. T. -C. Nguyen et al., "An Integrated CMOS Micromechanical Resonator High-Q Oscillator," IEEE JOURNAL OF SOLID STATE CIRCUITS, Vol. 34, No. 4, pp. 440-455, April, 1999.
【非特許文献5】K. Wang et al., "High-Order Medium Frequency Micromechanical Electronic Filters," JOURNAL OF MICROELECTROMECHANICAL SYSTEMS, Vol. 8, No. 4, pp. 534-557, December 1999.
【非特許文献6】F. D. Bannon et al., "High-Q HF Microelectromechanical Filters, " IEEE JOURNAL OF SOLID-STATE CIRCUITS, Vol. 35, No. 4, pp. 512-526, April, 2000.
【非特許文献7】S. Lee et al., "A 10-MHz Micromechanical Pierce Reference Oscillator for Communications," DIGEST OF TECHNICAL PAPERS, TRANSDUCERS '01, Munich, Germany, June 10-14, 2001, pp. 1094-1097.
【非特許文献8】K. Wang et al., "VHF Free-Free Beam High-Q Micromechanical Resonators," JOURNAL OF MICROELECTROMECHANICAL SYSTEMS, Vol. 9, No. 3, pp. 347-360, September, 2000.
【非特許文献9】J. R. Clark et al., "High-Q VHF Micromechanical Contour-Mode Disk Resonators, "TECHNICAL DIGEST, IEEE INT. ELECTRON DEVICES MEETING, (IEDM), San Francisco, California, Dec. 11-13, 2000, pp. 493-496.
【非特許文献10】A. C. Wong et al., "A Bonded-Micro-Platform Technology for Modular Merging of RF MEMS and Transistor Circuits," DIG. OF PAPERS INT. CONF. ON SOLID-STATE SENSORS & ACTUATORS (TRANSDUCERS '01), June 10-14, 2001.
【非特許文献11】M. Onoe, "Contour Vibrations of Isotropic Circular Plates," THE JOURNAL OF THE ACOUSTICAL SOCIETY OF AMERICA, Vol. 28, No. 6, pp. 1158-1162, Nov. 1954.
【非特許文献12】M. Abdelmoneum et al., "Stemless Wine-Glass-Mode Disk Micromechanical Resonators," DIG. OF PAPERS INT. CONF. OF MICRO ELECTRO MECHANICAL SYSTEMS (MEMS 2003), pp. 698-701, Kyoto, Japan, Jan. 2003.
【非特許文献13】W. T.-Hsu et al., "A Sub-Micron Capacitive Gap Process for Multiple-Metal-Electrode Lateral Micromechanical Resonators, "TECHNICAL DIG. IEEE INT. MICRO MECHANICAL SYSTEMS CONF., Interlaken, Switzerland, pp. 349-352, Jan. 21-25, 2001.
【非特許文献14】R. N. Wake et al., "Changes in the Natural Frequencies of Repeated Mode Pairs Induced by Cracks in a Vibrating Ring, " IEEE JOURNAL OF SOUND AND VIBRATION, Vol. 214, No. 4., pp. 761-70, Nov. 1998.
【非特許文献15】A. I. Zverev, "Handbook of Filter Synthesis, " New York: Wiley, 1967.
【非特許文献16】S. Pourkamali et al., "A 600 KHz Electrically-Coupled MEMS Bandpass Filter, "DIG. OF PAPERS INT. CONF. OF MICRO ELECTRO MECHANICAL SYSTEMS (MEMS 2003), pp. 702-705, Kyoto, Japan, Jan. 2003.
【非特許文献17】M. Demirci et al., "Mechanically Corner-Coupled Square Microresonator Array for Reduced Motional Resistance," DIG. OF PAPERS INT. CONF. ON SOLID-STATE SENSORS & ACTUATORS (TRANSDUCERS '03), June 8-12, 2003.
【非特許文献18】J. Clark et al., "High-Q UHF Micromechanical Radial-Contour Mode Disk Resonators," Submitted for publication in IEEE JOURNAL OF MICROELECTROMECHANICAL SYSTEMS.
【0005】
米国特許第3,612,922号、第5,194,836号、第6,369,374号が本発明に関連する。
【0006】
T. Fujita et al.の文献「真空シーリングしたディスク形状バルク超小型機械ジャイロスコープ(Disk-Shaped Bulk Micromachined Gyroscope with Vacuum Sealing)」, SENSORS AND ACTUATORS, pp.198-204, Vol. 82, May 2000 も本発明に関連する。
【0007】
振動超小型電子機械(MEM:Micro Electro Mechanical)共鳴器は、ポータブル通信システムの嵩張るオフチップ部品に取って代わる主な候補として現れてきた[1,2]。トランシーバ部品は高密度で小型化した集積回路(ICs)とサイズが大きいオフチップフィルタ、ミキサ、及び発振器に分けることができる。オフチップ部品は、クリスタル共鳴器または表面弾性波(Surface Acoustic Wave: SAW)共鳴器を組み込んでいる。これらのオフチップ部品の組み立てプロセスはICの組み立て技術と互換性がなく、このためプリント基板上のICsと共に組み立てられる。オフチップ部品とICsのこのような組み合わせは、製造コストを上げ、システム全体のサイズが大きくなる。これらのオフチップ部品はサイズの問題に加えて、低パワーの受信信号に有意の挿入損が生じ、その動作に連続DCバイアスを必要とし、より多くの電力を消費する。受動オフチップ部品においていくらかの電力損失があった後は、受信信号はその電力レベルを上げるべく増幅することなしには先の処理をすることができない。オフチップ部品の後に通常加えられる増幅ステージは、システムのコストと必要なパワーを増大させる。電力の消費は、バッテリの寿命と大きさに影響する。この電力消費を抑えることができれば、同じ大きさのバッテリでより長い動作時間が達成でき、あるいは、同じ動作時間により小さいサイズのバッテリを使用することができる。
【0008】
振動マイクロメカニカル共鳴器は、ゼロパワー消費と、低挿入損を特徴とし、オフチップ部品に取って代わる選択であり、システムのサイズとコストを改善する。振動超小型電子機械(MEM)は、その構造の固有振動数でのみ振動する振動構造である。単純なクランプド−クランプドビーム共鳴器(Clamped-Clamped beam resonator)は、入力電極と出力電極に接続されたビーム本体間に形成された容量性ギャップに静的DCバイアスがかけられている。入力電極を介してこの容量性ギャップに印加されている入力AC信号の周波数がビーム構造の固有振動数に合致するときに、このビームは振動を開始して時間可変コンデンサをつくる。この時間可変コンデンサに印加されたDCバイアスによって、入力AC信号と同じ周波数を持つ変調出力電流が生じる。
【0009】
振動MEM共鳴器の等価回路は、直列RLCタンク回路として単純化することができる。タンク回路はフィルタと発振器内の基本的な構築ブロックである。
いくつものMEM共鳴器がこれまでに開発され、フィルタと発振器で論証されている。Tang et al.が開発した櫛型共鳴器[3]を使用して、高Q MEMS発振器[4]と、MEMSフィルタ[5]が論証されている。しかしながら、これらの櫛型共鳴器の動作周波数は数10KHzに制限される。より高い動作周波数を得るにはクランプド−クランプドビーム共鳴器が使用される。クランプド−クランプドビームフィルタおよび発振器は、最大10MHzまでの周波数のものが[6,7]に論証されている。米国特許第6,249,073号に示すフリー−フリービームマイクロメカニカル共鳴器が開発され、最大約70MHzのより高い周波数でアンカーロスを低減している[8]。米国特許第6,628,188号に示されている、J.Clark et al. によって後に開発されたラジアルモードディスク共鳴器[9]は、マイクロメカニカル共鳴器の動作周波数を最大数百MHz、あるいはGHzレンジまで拡大したものであり、草分けであると考えられている。これらの開発されたマイクロメカニカル共鳴器は:
・極小サイズ(オフチップ部品より千倍のオーダで小さい)
・ゼロパワー消費
・低挿入損
・IC技術と互換性のある組み立てプロセス
・チップに集積される強いポテンシャルを有する
を特徴とする。
【0010】
これらの利点を論証することにより、振動マイクロメカニカル共鳴器は、システム設計者にトランシーバ全体のシングルチップへの集積化について考えさせ始めた。しかしながら、開発された共鳴器は:
・ 高品質ファクタ(Q’s)を維持するために徹底的な真空パッケージングを必要とする。
・ 持ち運び可能なシステムで得られる低DCバイアスレベルから高DCバイアス電圧を発生するために、追加のチャージポンプを必要とする。
・ 50Ωのシステムにマッチさせるために、複雑なマッチングネットワークを必要とする高動抵抗(motional resistance)となる
・ 回路に集積するための組み立てプロセスが必要である[10]
・ 共鳴周波数を調整するために後に組み立て微調整が必要となる
という問題がある。
【0011】
特に、真空パッケージングと高DCバイアスを要することは、いまだ初期の発達段階にあるように見えるため、業界がRF MEMSへ投資したがらない。この二つの主な問題を解決することなくしては、振動RF MEMSの商業的製造は不可能である。
【0012】
アンカーロスは、共鳴器が真空中で動作する場合にQに影響を及ぼす主なロスメカニズムである。大気中で動作する場合は、アンカーロスに加えて、空気制動力がより一層ロスを発生させ、Qが更に少なくなる。
【0013】
アンカーロスは、共鳴器を有限サイズの準節面/点に定着する場合に生じる。クランプド−クランプドビームでは節面領域は比較的大きい。これが、ビーム幅を広げ、従ってアンカーサイズを大きくすることによってQが有意に少なくなる理由である。
【0014】
大気中では、空気制動力がすでに存在するアンカーロスに更にロスを加える。大気圧Pairは、以下の式で表されるような制動力Fdampingを共鳴器に与える。
【数1】
ここで、Amovingは共鳴器表面の移動部分の面積である。この制動力は、Amovingを最小限にすることによって減らすことができる。共鳴器は、制動力Fdampingと反する仕事Wと同じだけその運動エネルギィの一部を失う。仕事Wは以下の式で表わされる。
【数2】
ここで、deffectiveは共鳴器の有効変位である。失われるエネルギィは共鳴器の有効変位を低減させることによって、より小さくすることができる。剛性が高いほど、共鳴器のこの変位が少なく、従って空気制動力に対してより少ないエネルギィが失われる。
【0015】
共鳴器のQを効率的に減少させ、空気中におけるその能力を劣化させるファクタを理解すると、共鳴器に必要なものは:
・ 非常に薄く、実際の節点に配置されうるアンカ構造を使用すること
・ 移動領域が小さいこと
・ クランプド−クランプドビーム共鳴器より剛性が高いこと
である。
【0016】
これらの要求は、有限サイズの中央ステムを用いる場合のゼロサイズアンカを除いて、J. Clark et al. が開発したラジアルモードディスク共鳴器[9]によってある程度満足させることができる。この有限サイズのステムは、共鳴器から基板へ転送されてくる運動エネルギィのルートとなり、従って、Q全体を低減する。
【0017】
ワイングラスモードは、非常に薄い円形構造についての最も低次元の振動モードである[11]。図4に示すFEMモード形状にあるように、二つの直交する節軸(nodal axes)を有することで特徴付けられる。図4では、節点が符号8で表されている。ラジアル方向の変位のみで特徴付けられるラジアルモードディスク共鳴器[9]とは異なり、ワイングラスモードは空気の膨張と回転との双方に関係する複合モードである。接線方向の変位の大きさは、半径方向の変位の大きさより約3倍のファクタだけ小さい。また、節点は、ラジアル方向の変位がゼロであり、接線方向の変位が最大である。更に、節点からの有限距離(約2μm)における半径方向の変位の大きさは、半径方向のピークの大きさ変位の約1000分の一である。
【0018】
発明の概要
本発明の目的は、共鳴器装置の一またはそれ以上の側部節点でアンカリングすることによってアンカ損を最小限にし、共鳴器を空気中で作動させたときにより小さい制動力となるマイクロメカニカル共鳴器装置と、マイクロメカニカル装置の製造方法を提供することである。
【0019】
上述の目的と、本発明の他の目的を達成するために、所望のモード型を有するマイクロメカニカル共鳴器装置を提供する。この装置は、基板と、静止表面領域を有する共鳴器を具える。所望のモード型は、前記共鳴器の周辺付近に配置した複数の周辺節点によって特徴付けられる。所望のモード型は、共鳴した時に前記静止面の摩擦の動きのみに関連する。非侵入支持構造が前記基板にアンカされており、共鳴器を前記基板上に支持すると共に、基板の機械的ロスを減少させるために少なくとも一の周辺節点において前記共鳴器に取り付けられている。
【0020】
この装置は、更に共鳴器近傍に共鳴器を駆動する駆動電極構造を具え、共鳴器が共鳴時に形状を変化させるようにしている。
【0021】
共鳴器は、半径方向および接線方向の変位の双方を含む複合モードを有する拡張モード装置であってもよい。
【0022】
共鳴器は、ディスク共鳴器あるいはリング共鳴器であっても良い。ディスク共鳴器は、固相ディスク共鳴器であってもよい。
【0023】
非侵入支持構造は、あらゆる所望しないモード形状を抑制して、所望のモード形状で共鳴器を振動させることができる。
【0024】
所望のモード型は、ワイングラスモード型あるいは三角モード型などの複合モード型であってもよい。
【0025】
この装置は更に、共鳴器が所望のモード型で駆動されるようにする共鳴器を静電励起させる位置において基板に形成された駆動電極構造を具えていてもよい。共鳴器と駆動電極構造は、その間に容量性ギャップを規定する。この容量性ギャップは、サブミクロンで、水平方向の容量性ギャップであってもよい。
【0026】
この駆動電極構造は共鳴器の周辺近傍に配置されており、所望のモード型がワイングラスモード型であってもよい。
【0027】
この駆動電極構造は、複数のスプリット電極を具えていても良い。
【0028】
所望のモード型は更に、共鳴器の中央に対応する中央節点によって特徴付けられる。中央節点と、一対の周辺節点が共鳴時に実質的に半径方向に変位がない節軸上に配置されている。
【0029】
支持構造は、共鳴器周辺に位置した複数のアンカを具えていても良い。
【0030】
この装置は更に、共鳴器の動きに基づいて出力電流を検出する位置で基板上に形成されている検出電極構造を具えていてもよい。
【0031】
駆動電極構造は、複数の別個の入力駆動電極を具え、検出電極構造が、複数の別個の出力検出電極を具えていても良い。
【0032】
この装置は、ダイヤモンドベース、シリコンカーバイドベースまたはシリコンベース、あるいは音響速度が高い複合材料であってもよい。
【0033】
所望のモード型は、三角ディスクモード型またはワイングラスリングモード型であっても良い。
【0034】
さらに、上述の目的及び本発明の他の目的を達成するに当たって、マイクロメカニカル装置の製造方法を提供する。この装置は、第1の構造体と、少なくとも一のアンカリングポイントにおいてこの第1の構造体に取り付けた非侵入支持構造を具える。この方法は、基板を提供するステップと、当該基板上に前記第1の構造体を形成するステップとを具える。この方法は更に、基板上に第1の構造体を支持するために前記基板に定着した非侵入支持構造を形成するステップを具える。少なくとも一のアンカリングポイントが、第1の構造体のフォ−メーションとほぼ同時に規定され、少なくとも一のアンカリングポイントが第1の構造体に対して正確に配置されるようにしている。
【0035】
また、上述の目的及び本発明の他の目的を達成するに当たって、所望のモード型を有するマイクロメカニカル共鳴器装置を製造する方法を提供する。この装置は、共鳴器と、少なくとも一のアンカーポイントでこの共鳴器に取り付けた非侵入支持構造体とを具える。所望のモード型は、共鳴器の周辺近傍に配置した複数の周辺節点によって特徴付けられる。この方法は、基板を提供するステップと、この基板上に共鳴器を形成するステップとを具える。この方法は更に、前記基板上に共鳴器を支持するために前記基板に定着された非侵入支持構造体を形成するステップを具える。少なくとも一のアンカーポイントが、共鳴器のフォ−メーションとほぼ同時に規定され、少なくとも一のアンカーポイントが周辺節点の一つに正確に配置されるようにしている。
【0036】
共鳴器は、内側および外側周辺を具えるリング共鳴器であってもよく、ここで駆動電極構造がこれらの内側および外側周辺近傍にそれぞれ配置された内側及び外側電極セットを具えるものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
上述の本発明の目的および他の目的、特徴、及び利点は、添付の図面を参照し、本発明を実施する最良の形態についての詳細な説明から明らかである。
【図1】図1は、典型的な2ポートのバイアス及び励起構成の4アンカワイングラスリングモードリング共鳴器を示す斜視図である。
【図2】図2は、FEM ANSYSパッケージによって計算されたワイングラスリングモード型を示す図である。
【図3】図3は、典型的なバイアス及び励起構成の4アンカステムレスワイングラスモードディスク共鳴器を示す斜視図である。
【図4】図4は、FEM ANSYSパッケージで計算したワイングラスモード型を示す図である。
【図5】図5は、FEM ANSYSパッケージで計算した三角ディスクモード型を示す図である。
【図6】図6は、内側および外側駆動電極を有するバイアス及び励起構成の2アンカワイングラスリングモード共鳴器を示す斜視図である。
【図7】図7は、ドープしたポリシリコン系統連係層をパターニングした後に蒸着した犠牲酸化物を示す断面図である。
【図8】図8aおよび図8bは、図3の8a−8a線および8b−8b線に沿った断面図であり、ディスク構造体とアンカを同じステップで形成する構造的ポリシリコンの自己整合エッチングステップを示す。
【図9】図9は、前述のサブミクロンギャップ形成処理[13]を用いた酸化物層を規定する容量性ギャップの蒸着を示す断面図であり、パターン形成したポリシリコンディスクの上部および側壁に沿って等角1000ÅのHTOが蒸着されている。
【図10】図10は、容量性ギャップ酸化物層と犠牲酸化物層を通るアンカ開口を示す断面図である。
【図11】図11は、図3の11−11線に沿った断面図であり、ドープしたポリシリコン電極層をパターンニングした後に蒸着した犠牲酸化物を示す図である。
【図12】図12は、図3の12−12線に沿った断面図であり、ディスク構造を形成する構造的ポリシリコンの自己整列エッチングを示す図である。
【0038】
好適な実施例の詳細な説明
本発明のマイクロメカニカル共鳴器装置の一実施例において、ディスクは、サイドアンカにおいて絶対ゼロラジアル変位を伴う有限サイズのアンカを用いて側部節点で定着されている。有限サイズのサイドアンカに対して、中央アンカは有意のラジアル及びタンジェンシャル変位を伴うので、実際の節点にはならない。関連するアンカリング構造とスプリット電極構造を伴うワイングラスモードディスク共鳴器10の形をとる本発明の一実施例の斜視図が図3に示されている。4つのアンカ12が図3に示されているが、本発明の教示から離れることなく、一、二、あるいは三つのアンカを使用することもできる。
【0039】
この装置は、ほとんどゼロのラジアル変位で実際の節点に戦略的に配置された新規な非侵入構造を用いて定着されている。タンジェンシャル変位の効果は、アンカのサイズとアンカリングビームの長さを調整することによって最小限にすることができる。スプリット電極構造が用いられており、駆動電極14とディスク本体10との間に必要な電力を提供している。ワイングラスモード型にマッチするこれらの電力は、特定のモードのみを励起する。
ここに提供されているワイングラスモードディスク共鳴器は:
・ アンカーロスを最小にし、従って真空中でQ全体を強化することが期待される非侵入アンカ構造体
・ ラジアルモードディスク共振器より約8倍のファクタ、クランプド−クランプドビーム共鳴器より約80倍小さく、小さい実効移動領域。これは、装置が空気中で動作するときにQに有意な効果があることが期待される。
・ ラジアルモードディスクの中央ステムおよびクランプド−クランプドビームのエンドアンカに比べてアンカリング構造のサイズが小さく、基板からより良好な熱アイソレーションをとるため、より良好な熱安定性が得られる。
・ 電力ハンドリング能力、従ってリニア性に反映するより大きなボリューム。
によって特徴付けられる。
【0040】
装置の動作
空気膨張によってのみ特徴付けられるラジアルコンターモードディスク共鳴器と異なり、ワイングラス振動モードは、図4に示すように空気膨張と共に回転も含む。対称的な励起と検出構造を維持するために、スプリット電極アーキテクチュアが用いられている。このような典型的なバイアスおよびテスト設定における構造が図3に示されており、出力電極あるいは検出電極16と共に入力電極あるいは駆動電極14を具える。節軸は符号18で示されている。ネットワークアナライザは符号17で示されている。
この装置を動作させるには、DCバイアス電圧Vpがアンカ12を介してディスク構造体に印加され、一方AC入力が図3に示す、対称電極セット14に与えられる。他の横方向の電極セット16は、出力電流の検出に使用される。AC入力信号は、電極14とディスク本体10間に時間で変化する力をつくる。この時間で変化する力は、装置のモード周波数であり、この力はクォリティファクタQで増幅され、ディスク10を図4に示す適宜のモード型で振動させる。ディスク10の検出電極16に対する変位が、時間で変化するコンデンサをつくる。この時間で変化するコンデンサに印加されたDCバイアスは:
【数3】
で与えられるAC出力電流を生成する。ここで、χは、ディスク10の端部におけるモード変位であり、δC/δχは、単位変位あたりの電極−ディスク容量の変化であり、δχ/δtは、ディスク外形におけるモード振動速度である。この電流は終端抵抗で検出される。この場合は、ネットワークアナライザ17の50Ωの特性インピーダンスである。ワイングラスモードはラジアルコンターモードより低次で動作して、より低いDCバイアス電圧で動作することが期待され、したがって、高いオンチップDCバイアス電圧を得るのに必要なチャージポンプが不要になる。
【0041】
機械的デザインおよび等価回路
様々な実用的アプリケーション用にまず最初に規定するスペックの一つは、装置の動作周波数である。特定の動作周波数f0を与えると、ワイングラスモードの半径を:
【数4】
で与えられるモード周波数式(4)[11]から計算することができる。ここで、
【数5】
【数6】
および
【数7】
であり、Rはディスク半径、ρはディスク材料密度、w0=2πf0は角振動数、σはポアッソン比、Eは弾性ヤング率である。この周波数式によって、ζが求められ、従って、ディスク半径Rを計算することができる。ANSYS商用パッケージを用いて設計されたディスクのFEMモダール分析が実行され、その結果が図4に示されている。FEM分析で得られたモード周波数は、論理的に予想した周波数に合致した。ディスク厚tは、技術によってある程度左右され、本件の場合のターゲット厚は2μmである。この厚さと同様に、必要な動作周波数に基づいてディスク半径を計算することができ、機械的な回路エレメント、すなわち等価体積、有効ばね定数、減衰が計算できる。
【0042】
上述したとおり、WG(ワイングラス)モードは、ラジアル変位とタンジェンシャル変位の双方を有することによって特徴付けられる複合モードである。この変位成分は:
【数8】
【数9】
で与えられる[11]。ここで、G=ACos(2θ)、H=ASin(2θ)、およびB/A=−4.5236である[11]. 他の振動共鳴器と同様に、ワイングラスディスクの等価RLC回路は、共鳴器の全集積運動エネルギィ、モード型、およびそのトランスデューサポートに関連するパラメータによって支配されている[9]。[9]の手順を用いて、等価動抵抗Rx、動インダクタンスLxおよび動キャパシタンスCxの式は:
動抵抗
【数10】
動インダクタンス
【数11】
動キャパシタンス
【数12】
で書くことができる。ここで、
【数13】
はエレクトロメカニカル結合計数、Qは共鳴器クォリティファクタ、Vpはバイアス電圧、Cは電極−ディスク間キャパシタンス、
【数14】
はシングルコードラントポートに対する単位変位あたりの電極−共鳴器間キャパシタンスの集積された変化、mrは式(7)で与えられる電極位置における有効質量である:
【数15】
有効剛性Krは、有効質量mrに対してKr=wo2mr の関係にあり、従って等価回路エレメントを計算することができる。
【0043】
本発明による剛性のある周波数の高い共鳴器と、従来の周波数の低い共鳴器との重要な差異は、サイクルあたりのトータルエネルギィである。特に、サイクルあたりのピーク運動エネルギィは、以下の式で計算することができる:
【数16】
ここで、χとKreは、それぞれ、電極中央からディスク位置へのピーク変位と有効剛性である。73MHzのワイングラス共鳴器についての有効剛性
【数17】
は、10MHzのCCビームの有効剛性1500N/mの350倍以上であり、前者はサイクル当たり、同じ変位振幅について350倍以上のエネルギィを蓄積できると期待される。粘性ガスの制動で失われるエネルギィより数倍大きいサイクル当たりのエネルギィによって、このアプリケーションのワイングラス共鳴器と、実質上すべての高剛性で高周波数の機械的共鳴器装置(例えば、ラジアル輪郭モードディスク)は、空気制動状態にあったとしても高Qを示すことが期待される。
【0044】
曲げモード装置より高い運動エネルギィを保存する能力に加えて、ワイングラスモードは曲げモード装置より空気制動に対してより脆弱でない。拡開しており、従って周辺の空気圧による制動力にさらされているワイングラスモードディスクの表面領域が、対応するクランプド−クランプドビームの同じ圧力下で拡開する表面領域より小さい。
【0045】
保存されたサイクル当たりの高い運動エネルギィと新規な非侵入アンカリング構造に帰する低減された基板への機械的ロスが与えられ、ワイングラス共鳴器は、真空中でひときわ優れた高Qを示すことが期待される。こればかりでなく、最初のものとして、ワイングラスモード共鳴器は、真空パッケージを必要とせずに、高い動作圧値の下で、比較的高いQを示す可能性がある。この結果、商業アプリケーション用に費用対効果、強いMEMS共鳴器の更なる開発に向けて強烈なインパクトを有することであろう。
【0046】
自己整合サブミクロンギャップポリシリコン電極ディスク共鳴器プロセス
非整合プロセス[9]と同様に金属電極を用いた従来のラジアルモードディスク共鳴器の製造に用いられるプロセスの欠点を改善するために新規な自己整合バッチプロセスが開発されている。非整合プロセスでは、小規模生産量の、低クォリティファクタの共鳴器となってしまう。より低いQは、ラジアルディスクプロセスに伴う有限のアラインメント能力に起因しており、したがって、ラジアルモード節点からのアンカリング点の変位が生じる。更に、この低いプル電圧は、ポリシリコン電極に比べて柔軟な金属電極に起因していた。
【0047】
これらの問題を緩和するために、新規な、自己整合プロセスが開発された。このプロセスは、同じステップでアンカリングポイントを規定するものであり、ディスク節点へアンカを確実に整列させるためにディスク構造が規定されている自己整合性とあいまって、このプロセスは、加わった剛性とCMOS回路プロセスとの互換性のために、リジッドなドープされたポリシリコン電極を用いている。寄生キャパシタンスを低減し、したがってノイズレベルを低減するためのシールディンググラウンド平面という新しい概念との全体的な組み合わせが、設計された装置の性能を高めることが期待されている。
【0048】
図7を参照すると、このプロセスは、950℃で燐をドーピングしてブランクシリコンウエハ70にn+のブランケット層を形成して、シールディンググラウンド平面71を形成することで始まる。この拡散ステップに続いて、形成したシールディング平面71から装置と内部接続を絶縁するパッシベーション層を形成する。特に、2μm幅の酸化物フィルム72、次いで厚さ3000ÅのLPCVDストイキオメトリック窒化シリコンフィルム73が蒸着される。これらの二つの層72と73は、絶縁化合物材料として作用する。次いでシールディンググラウンド平面へのコンタクト開口が酸化物層72と窒化物層73を通してエッチングされ、好適なバイアス電位へアクセスできるようにする。次いで、LPCVDを介してポリシリコン蒸着し、ドーピングして、更にパターン形成してボンディングパッドと内部コネクタ75を形成する。6000ÅのLPCVD高温酸化物(HTO)を蒸着して、自身の蒸着とパターニングの間に構造的ポリシリコン層を一時的に支持する犠牲酸化物74として作用する。図7は、この犠牲酸化層74を蒸着した後の図3に示すワイングラスモードディスク10の断面図である。
【0049】
図8aおよび8bを参照すると、次いで低応力微粒子状ポリシリコン76を580℃でLPCVDを介して厚さ2μmに蒸着する。この構造的ポリシリコン76は、950℃で塩化燐を用いてドーピングする。ドープされた構造的ポリシリコン76は、構造的ポリシリコンをエッチングする間にハードマスクとして作用する厚さ4000ÅのHTO厚膜77で覆う。次いで酸化物マスク77を、パターン形成して、プラズマエッチングにより所望のデバイスジオメトリとし、これらのパターンは、次いで、高密度プラズマRIEエッチングを用いて下側の構造的ポリシリコン層76に転写される。この構造的ポリシリコンエッチングステップは、自己整合ステップであり、ディスク周辺に沿ったおよびディスク中心に位置するアンカリングポイントが、ディスク本体10がエッチングされると同時に規定される。これは、リソグラフィック公差あるいは不適当な整合にかかわらず、アンカリングポイントが常に、モード節点8に位置することを保証する。図8aおよび8bは、ディスクボディ10に整合したアンカリングポイントを明白に示しており、従って、図3に示すモード節軸18からのアンカリングポイントのあらゆるずれを防いでいる構造的ポリシリコンのエッチングステップ後の装置の断面を示す。ディスク10と入/出力電極14および16それぞれとの間の容量性ギャップが、ここで規定される。
【0050】
図9を参照すると、次いで蒸着したスペーサ酸化物78を、アンカリングポイントでエッチングされるようにパターン形成する。ウエットエッチングとドライエッチングの組み合わせを使用してスペーサ酸化物78を構造的ポリシリコン76の下の犠牲酸化物層74と同様にエッチングし、図10に示すように内部接続ポリシリコン層75を露出させる。
【0051】
次いで、第3の低応力ポリシリコン層を蒸着して、ステム開口79をサイドアンカ同様に補充して、これらを内部接続ポリシリコン層75に連結する。ステムとアンカの開口を補充して機械的アンカリングを行うと共に電気的接続を取ることに加えて、蒸着されたポリシリコン層は、励磁および図3に示すディスク構造の周囲の検知用電極81の構造用層として作用する。ポリシリコン電極層75は、ドーピング後に6000ÅのHTO酸化物ハードマスクで覆う。次いでこの酸化物マスク77にパターン形成とプラズマエッチングを行い、所望のジオメトリが高密度RIEによって電極ポリシリコン層75に転写される。
【0052】
次いで、最終構造がストレートHFに15分間開放される。図11は、この開放ステップの間にエッチングで除去された酸化物スペーサ78によって先に規定された容量性ギャップ分だけ装置から離されて張り出した励起および検知電極81を有する、中央アンカ80における装置の断面を示す、開放された構造の断面図である。
【0053】
図12は、中央(すなわち、ステムアンカ80)における、および装置の外側周辺(すなわち、アンカ82)におけるアンカ構造を表す装置の別の断面図である。図に見られるように、最終ポリシリコン層が、構造的ポリシリコン層を通して、及び、この構造的ポリシリコン層と内部接続ポリシリコン層間に電気的接続と機械的剛性サスペンションを作っている下側犠牲酸化物層72を通してエッチングされた自己整合アンカホールを補充した。このように、アンカリングポイントは、製造中のあらゆる整合性ミスマッチにもかかわらず、モード節点8に正しく配置される。
【0054】
モード節点8に戦略的に配置された革新的な非侵入アンカリング構造を伴う低次振動モード(ワイングラスモードとして知られている)で動作する全く新しいクラスのディスク共鳴器が上述されている。このタイプのアンカリングスキームは、基板に対する機械的ロスを減少し、従って、同じDC電圧でバイアスがかかったラジアルモードディスク共鳴器と比較して、大きさの次元で動抵抗の低減を反映する品質ファクタ全体を上げるように働く。更に、このアンカリング構造は、所望のモードを強化して、より高い次元のモードを抑制し、異なる共鳴モード間で良好な絶縁を提供する。
【0055】
ドープしたポリシリコン電極を取り入れた新規な自己整合プロセスが新しいワイングラスモードのディスク共鳴器を製造するために開発された。この自己整合特徴は、モード節点への支持構造の整合を確実なものにする。5つのアンカポイントを伴う製造した共鳴器は、真空中でわずか4000、大気圧中で2500という品質ファクタを示す。このことは、精巧で高価な真空パッケージングを必要とすることなく、受け入れ可能な性能を持って動作するRF MEMSの能力を示すものである。いくつかのアンカリングポイントを削減することによって、Q’sは、真空中において約98,000まで、大気中で約9,800まで有意に上がる。このことは、ここに記載されている動作環境状態においてIF周波数でマイクロメカニカル共鳴器で実現されるQ’sが報告された最初のものである。ディスク10を保持する2軸対称アンカ12のようなアンカリング構造の別の変形例を用いることができる。更に、ディスク10を保持するのに片側アンカを使用することができ、一方、ディスク10の下に配置された浮揚パッド(図示せず)を用いて、浮揚力を出すために同じDCバイアスでパッドとディスク10にバイアスをかけることによって単一のアンカの負荷を減少させることができる。
【0056】
より高い周波数195MHzのワイングラスモードディスク共鳴器は、より高い動作周波数で共鳴させるためにサイズをスケールダウンさせたときに、高Q’sを保持するべく新規な非侵入アンカリング構造を伴って設計された新規なワイングラスモードディスク共鳴器の能力を示していた。
【0057】
これらの結果が示すものは重要である。なぜならこれらは、周波数振動共振器によって示される特別なQ’sを維持するために、高価な真空梱包がもう必要ではないということ、つまり、実質的に振動RF MEM技術による装置はコストが低いという事実を効果的に提示しており、多くの通信用途における勝者を決定するからである。2GHz 付近で動作する新CDMAダイレクト・コンバージョン受信機などのワイヤレス市場における大セグメントの要求するRF周波数にまで現在の結果を伸ばすためには、まだ多くの仕事が在る。ここに実証された高Q’sは、ダイヤモンドやシリコンカーバイドのような異なる構造材料を使用すること、もしくは、非侵入アンカー構造と分割電極構成の両方と共生可能な他のより高度なオーダーモードを使用することによって、より高い周波数においても得ることができる。
【0058】
開発したアンカリング構造は、図1および6に示す延長複合モードリング共鳴器や、他の複合モードディスク共鳴器のような他の高Q延長モード装置を開発するためのキーとなる特徴である。図1は、リング共鳴器40、入力電極42、出力電極44、4つのアンカ45、ネットワークアナライザ17、および節軸46(図2にも示されている)を示す。
【0059】
図6は、リング共鳴器60、外側及び内側入力電極62と62’、出力電極64、二つのアンカ65、ネットワークアナライザ17、および節軸66を示す。
【0060】
これらの装置は、非侵入アンカリング構造を用いて定着させた場合、別の周波数レンジでワイングラスモードディスク共鳴器が示す性能と同様の性能を示すことができる。特に、10MHzはERCの要求に合わせるために重要であり、1.2GHzは、ワイヤレスシステムのアプリケーションに重要である。低い周波数側では、ワイングラスモードディスクの物理的サイズが大変大きく、特に開放ステップの間に製造の問題が生じる。一方、より高い周波数帯では、ディスクのサイズが大変小さく、製造が困難になる。このため、ワイングラスモードディスクの派生物であるその他の構造は、ワイングラスモードディスク共鳴器に対して同じ性能を維持しながら、これらの周波数レンジで動作することができる。
【0061】
低IF帯域用ワイングラスモードリング共鳴器
リング共鳴器の最も低次の延長複合モードは、ディスク形状のワイングラス振動モードと形状が同様である。このワイグラスモードリング共鳴器は、このディスクと物理的サイズを同じに維持しながら、より低い周波数でワイングラスモードディスク共鳴器と同様の性能を示す小型化した概念である。図2は、商業用パッケージAnsysを用いた有限要素解析によって得られたリング共鳴器のモード形状を示す。図に示すように、この共鳴器は2本の節軸を伴うワイングラスモードディスクと同じワイングラスモードを有する。従って、このディスク用に設計された非侵入アンカリングを使用してリング共鳴器を支持することができる。図1は、支持構造45と、励起/検出電極42と44有する提言されているワイングラスモードリング共鳴器40の斜視図である。
【0062】
このリング共鳴器の周波数式は:
【数18】
で与えられ、ここで、ω0は自然角周波数、ρおよびEはリング材料の弾性密度とヤング率であり、Routerはリングの外側半径、Rinnerはリングの内側半径、nはモード次数(ワイングラスモードでは、n=2)である[14]。
【0063】
リング共鳴器は、ワイングラスモードディスク共鳴器用に先に開発されたものと同じ自己整合プロセスを用いて製造される。主に以下の理由によりこのリング共鳴器ではワイングラスモードディスクに比べて、動抵抗の増加が生じる。
・ リング共鳴器の内側および外側移動面に働く空気制動力の増加。これは、全Qの低減を反映しており、動抵抗が増加する。
・ Qの低減を反映する保存されている運動エネルギィの低減、従ってRxが増加。
【0064】
この問題を低減するために、内側電極セット(すなわち、図6に示す電極62’)を追加して、エレクトロメカニカル結合計数ηを増やし、従って動抵抗を減らす。
【0065】
このワイングラスモードリング共鳴器も、3つ、または2つ、あるいは1つのサイドアンカを用いて定着させることができる。軸対称、あるいはミラー対称といったどのようなアンカ位置の組み合わせでも用いることができる。
【0066】
無線周波数レンジ用三角モードディスク共鳴器
三角モードディスク共鳴器は、モード節軸50を伴う図5に示すモード型の高次複合モード[11]である。このモードは、周波数をワイングラスモードの2倍のファクタでスケーリングし、1.2GHzレンジで動作する周波数がより高い装置を設計するための選択とする。この装置は、より高い周波数で以下の特徴を示すことが期待される:
・ 真空パッケージングを必要とすることなく高いQ’sを示す。
・ ラジアルモードディスクより高い電力ハンドリング能力を有する。
・ アンカポイントの数を減らすことによって熱安定性を特に良好にする。
【0067】
三角モード装置を、ワイングラスモードリング共鳴器と同じ工程の自己整合プロセスを用いて製造した。これは、リング共鳴器にも存在する高次複合モードディスクの例である。
【0068】
まとめると、本発明の以下の特徴について説明した:
・ 新規のワイングラスモードディスク共鳴器
・ 大気圧下で高いQを示すことができるワイングラスモードディスク共鳴器の他の派生物を開発するための基礎を展開し確立した
・ 基板に対する機械的ロスを最小限に抑え、従ってQ全体を上げる新規な自己整合非侵入アンカリング構造
・ 革新的な自己整合ICコンパチブル製造プロセス。このプロセスは、他の外延的装置および他のマイクロマシーン加工したセンサおよび共鳴器を製造するのに使用することができる。
・ 外延的モードディスク、リング及び他の外延的モード装置における複合モードの励起に必要な分離電極構造
【0069】
本発明の実施例を図に示して説明したが、これらの実施例は本発明の可能な全ての形状を図に示し説明したものではない。むしろ、明細書で使用されている用語は、限定ではなく説明のための用語であり、本発明の精神および範囲から離れることなく様々な変更を行うことができる。
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本出願は、2002年12月17日に出願された米国暫定出願第60/434,185号、「非侵入的支持ワイングラスディスク共鳴器」(Non-Intrusively Supported Wine Glass Disk Resonator)の利益を主張する。
【0002】
国家支援研究開発に関する記載
本発明は、高等研究計画局(DARPA) 許可番号F30602−97−2−0101号およびNSF ERCのコントラクト番号第040455号の下、政府支援を受けてなされたものである。政府は本発明に対して一定の権利を用する。
【0003】
発明の背景
1. 発明の技術分野
本発明は、マイクロメカニカル共鳴装置およびマイクロメカニカル装置を製造する方法に関する。
【0004】
背景技術
以下の文献を引用する。
【非特許文献1】C. T.-C. Nguyen, "Microelectromechanical Components for Miniaturized Low-Power Communications, "/it Proceedings, IEEE MTT-S INTERNATIONAL MICROWAVE SYMPOSIUM RF MEMS WORKSHOP, Anaheim, California, June 18, 1999, pp. 48-53.
【非特許文献2】C. T.-C. Nguyen, "Micromechanical Circuits for Communication Transceivers, "/it Proceedings, 2000 BCTM, Minneapolis, Minnesota, September 25-26, 2000, pp. 142-149.
【非特許文献3】W. C. Tang et al., "Laterally Driven Polysilicon Resonant Microstructures," SENSORS ACTUATORS, Vol. 20, pp. 25-32, 1989.
【非特許文献4】C. T. -C. Nguyen et al., "An Integrated CMOS Micromechanical Resonator High-Q Oscillator," IEEE JOURNAL OF SOLID STATE CIRCUITS, Vol. 34, No. 4, pp. 440-455, April, 1999.
【非特許文献5】K. Wang et al., "High-Order Medium Frequency Micromechanical Electronic Filters," JOURNAL OF MICROELECTROMECHANICAL SYSTEMS, Vol. 8, No. 4, pp. 534-557, December 1999.
【非特許文献6】F. D. Bannon et al., "High-Q HF Microelectromechanical Filters, " IEEE JOURNAL OF SOLID-STATE CIRCUITS, Vol. 35, No. 4, pp. 512-526, April, 2000.
【非特許文献7】S. Lee et al., "A 10-MHz Micromechanical Pierce Reference Oscillator for Communications," DIGEST OF TECHNICAL PAPERS, TRANSDUCERS '01, Munich, Germany, June 10-14, 2001, pp. 1094-1097.
【非特許文献8】K. Wang et al., "VHF Free-Free Beam High-Q Micromechanical Resonators," JOURNAL OF MICROELECTROMECHANICAL SYSTEMS, Vol. 9, No. 3, pp. 347-360, September, 2000.
【非特許文献9】J. R. Clark et al., "High-Q VHF Micromechanical Contour-Mode Disk Resonators, "TECHNICAL DIGEST, IEEE INT. ELECTRON DEVICES MEETING, (IEDM), San Francisco, California, Dec. 11-13, 2000, pp. 493-496.
【非特許文献10】A. C. Wong et al., "A Bonded-Micro-Platform Technology for Modular Merging of RF MEMS and Transistor Circuits," DIG. OF PAPERS INT. CONF. ON SOLID-STATE SENSORS & ACTUATORS (TRANSDUCERS '01), June 10-14, 2001.
【非特許文献11】M. Onoe, "Contour Vibrations of Isotropic Circular Plates," THE JOURNAL OF THE ACOUSTICAL SOCIETY OF AMERICA, Vol. 28, No. 6, pp. 1158-1162, Nov. 1954.
【非特許文献12】M. Abdelmoneum et al., "Stemless Wine-Glass-Mode Disk Micromechanical Resonators," DIG. OF PAPERS INT. CONF. OF MICRO ELECTRO MECHANICAL SYSTEMS (MEMS 2003), pp. 698-701, Kyoto, Japan, Jan. 2003.
【非特許文献13】W. T.-Hsu et al., "A Sub-Micron Capacitive Gap Process for Multiple-Metal-Electrode Lateral Micromechanical Resonators, "TECHNICAL DIG. IEEE INT. MICRO MECHANICAL SYSTEMS CONF., Interlaken, Switzerland, pp. 349-352, Jan. 21-25, 2001.
【非特許文献14】R. N. Wake et al., "Changes in the Natural Frequencies of Repeated Mode Pairs Induced by Cracks in a Vibrating Ring, " IEEE JOURNAL OF SOUND AND VIBRATION, Vol. 214, No. 4., pp. 761-70, Nov. 1998.
【非特許文献15】A. I. Zverev, "Handbook of Filter Synthesis, " New York: Wiley, 1967.
【非特許文献16】S. Pourkamali et al., "A 600 KHz Electrically-Coupled MEMS Bandpass Filter, "DIG. OF PAPERS INT. CONF. OF MICRO ELECTRO MECHANICAL SYSTEMS (MEMS 2003), pp. 702-705, Kyoto, Japan, Jan. 2003.
【非特許文献17】M. Demirci et al., "Mechanically Corner-Coupled Square Microresonator Array for Reduced Motional Resistance," DIG. OF PAPERS INT. CONF. ON SOLID-STATE SENSORS & ACTUATORS (TRANSDUCERS '03), June 8-12, 2003.
【非特許文献18】J. Clark et al., "High-Q UHF Micromechanical Radial-Contour Mode Disk Resonators," Submitted for publication in IEEE JOURNAL OF MICROELECTROMECHANICAL SYSTEMS.
【0005】
米国特許第3,612,922号、第5,194,836号、第6,369,374号が本発明に関連する。
【0006】
T. Fujita et al.の文献「真空シーリングしたディスク形状バルク超小型機械ジャイロスコープ(Disk-Shaped Bulk Micromachined Gyroscope with Vacuum Sealing)」, SENSORS AND ACTUATORS, pp.198-204, Vol. 82, May 2000 も本発明に関連する。
【0007】
振動超小型電子機械(MEM:Micro Electro Mechanical)共鳴器は、ポータブル通信システムの嵩張るオフチップ部品に取って代わる主な候補として現れてきた[1,2]。トランシーバ部品は高密度で小型化した集積回路(ICs)とサイズが大きいオフチップフィルタ、ミキサ、及び発振器に分けることができる。オフチップ部品は、クリスタル共鳴器または表面弾性波(Surface Acoustic Wave: SAW)共鳴器を組み込んでいる。これらのオフチップ部品の組み立てプロセスはICの組み立て技術と互換性がなく、このためプリント基板上のICsと共に組み立てられる。オフチップ部品とICsのこのような組み合わせは、製造コストを上げ、システム全体のサイズが大きくなる。これらのオフチップ部品はサイズの問題に加えて、低パワーの受信信号に有意の挿入損が生じ、その動作に連続DCバイアスを必要とし、より多くの電力を消費する。受動オフチップ部品においていくらかの電力損失があった後は、受信信号はその電力レベルを上げるべく増幅することなしには先の処理をすることができない。オフチップ部品の後に通常加えられる増幅ステージは、システムのコストと必要なパワーを増大させる。電力の消費は、バッテリの寿命と大きさに影響する。この電力消費を抑えることができれば、同じ大きさのバッテリでより長い動作時間が達成でき、あるいは、同じ動作時間により小さいサイズのバッテリを使用することができる。
【0008】
振動マイクロメカニカル共鳴器は、ゼロパワー消費と、低挿入損を特徴とし、オフチップ部品に取って代わる選択であり、システムのサイズとコストを改善する。振動超小型電子機械(MEM)は、その構造の固有振動数でのみ振動する振動構造である。単純なクランプド−クランプドビーム共鳴器(Clamped-Clamped beam resonator)は、入力電極と出力電極に接続されたビーム本体間に形成された容量性ギャップに静的DCバイアスがかけられている。入力電極を介してこの容量性ギャップに印加されている入力AC信号の周波数がビーム構造の固有振動数に合致するときに、このビームは振動を開始して時間可変コンデンサをつくる。この時間可変コンデンサに印加されたDCバイアスによって、入力AC信号と同じ周波数を持つ変調出力電流が生じる。
【0009】
振動MEM共鳴器の等価回路は、直列RLCタンク回路として単純化することができる。タンク回路はフィルタと発振器内の基本的な構築ブロックである。
いくつものMEM共鳴器がこれまでに開発され、フィルタと発振器で論証されている。Tang et al.が開発した櫛型共鳴器[3]を使用して、高Q MEMS発振器[4]と、MEMSフィルタ[5]が論証されている。しかしながら、これらの櫛型共鳴器の動作周波数は数10KHzに制限される。より高い動作周波数を得るにはクランプド−クランプドビーム共鳴器が使用される。クランプド−クランプドビームフィルタおよび発振器は、最大10MHzまでの周波数のものが[6,7]に論証されている。米国特許第6,249,073号に示すフリー−フリービームマイクロメカニカル共鳴器が開発され、最大約70MHzのより高い周波数でアンカーロスを低減している[8]。米国特許第6,628,188号に示されている、J.Clark et al. によって後に開発されたラジアルモードディスク共鳴器[9]は、マイクロメカニカル共鳴器の動作周波数を最大数百MHz、あるいはGHzレンジまで拡大したものであり、草分けであると考えられている。これらの開発されたマイクロメカニカル共鳴器は:
・極小サイズ(オフチップ部品より千倍のオーダで小さい)
・ゼロパワー消費
・低挿入損
・IC技術と互換性のある組み立てプロセス
・チップに集積される強いポテンシャルを有する
を特徴とする。
【0010】
これらの利点を論証することにより、振動マイクロメカニカル共鳴器は、システム設計者にトランシーバ全体のシングルチップへの集積化について考えさせ始めた。しかしながら、開発された共鳴器は:
・ 高品質ファクタ(Q’s)を維持するために徹底的な真空パッケージングを必要とする。
・ 持ち運び可能なシステムで得られる低DCバイアスレベルから高DCバイアス電圧を発生するために、追加のチャージポンプを必要とする。
・ 50Ωのシステムにマッチさせるために、複雑なマッチングネットワークを必要とする高動抵抗(motional resistance)となる
・ 回路に集積するための組み立てプロセスが必要である[10]
・ 共鳴周波数を調整するために後に組み立て微調整が必要となる
という問題がある。
【0011】
特に、真空パッケージングと高DCバイアスを要することは、いまだ初期の発達段階にあるように見えるため、業界がRF MEMSへ投資したがらない。この二つの主な問題を解決することなくしては、振動RF MEMSの商業的製造は不可能である。
【0012】
アンカーロスは、共鳴器が真空中で動作する場合にQに影響を及ぼす主なロスメカニズムである。大気中で動作する場合は、アンカーロスに加えて、空気制動力がより一層ロスを発生させ、Qが更に少なくなる。
【0013】
アンカーロスは、共鳴器を有限サイズの準節面/点に定着する場合に生じる。クランプド−クランプドビームでは節面領域は比較的大きい。これが、ビーム幅を広げ、従ってアンカーサイズを大きくすることによってQが有意に少なくなる理由である。
【0014】
大気中では、空気制動力がすでに存在するアンカーロスに更にロスを加える。大気圧Pairは、以下の式で表されるような制動力Fdampingを共鳴器に与える。
【数1】
ここで、Amovingは共鳴器表面の移動部分の面積である。この制動力は、Amovingを最小限にすることによって減らすことができる。共鳴器は、制動力Fdampingと反する仕事Wと同じだけその運動エネルギィの一部を失う。仕事Wは以下の式で表わされる。
【数2】
ここで、deffectiveは共鳴器の有効変位である。失われるエネルギィは共鳴器の有効変位を低減させることによって、より小さくすることができる。剛性が高いほど、共鳴器のこの変位が少なく、従って空気制動力に対してより少ないエネルギィが失われる。
【0015】
共鳴器のQを効率的に減少させ、空気中におけるその能力を劣化させるファクタを理解すると、共鳴器に必要なものは:
・ 非常に薄く、実際の節点に配置されうるアンカ構造を使用すること
・ 移動領域が小さいこと
・ クランプド−クランプドビーム共鳴器より剛性が高いこと
である。
【0016】
これらの要求は、有限サイズの中央ステムを用いる場合のゼロサイズアンカを除いて、J. Clark et al. が開発したラジアルモードディスク共鳴器[9]によってある程度満足させることができる。この有限サイズのステムは、共鳴器から基板へ転送されてくる運動エネルギィのルートとなり、従って、Q全体を低減する。
【0017】
ワイングラスモードは、非常に薄い円形構造についての最も低次元の振動モードである[11]。図4に示すFEMモード形状にあるように、二つの直交する節軸(nodal axes)を有することで特徴付けられる。図4では、節点が符号8で表されている。ラジアル方向の変位のみで特徴付けられるラジアルモードディスク共鳴器[9]とは異なり、ワイングラスモードは空気の膨張と回転との双方に関係する複合モードである。接線方向の変位の大きさは、半径方向の変位の大きさより約3倍のファクタだけ小さい。また、節点は、ラジアル方向の変位がゼロであり、接線方向の変位が最大である。更に、節点からの有限距離(約2μm)における半径方向の変位の大きさは、半径方向のピークの大きさ変位の約1000分の一である。
【0018】
発明の概要
本発明の目的は、共鳴器装置の一またはそれ以上の側部節点でアンカリングすることによってアンカ損を最小限にし、共鳴器を空気中で作動させたときにより小さい制動力となるマイクロメカニカル共鳴器装置と、マイクロメカニカル装置の製造方法を提供することである。
【0019】
上述の目的と、本発明の他の目的を達成するために、所望のモード型を有するマイクロメカニカル共鳴器装置を提供する。この装置は、基板と、静止表面領域を有する共鳴器を具える。所望のモード型は、前記共鳴器の周辺付近に配置した複数の周辺節点によって特徴付けられる。所望のモード型は、共鳴した時に前記静止面の摩擦の動きのみに関連する。非侵入支持構造が前記基板にアンカされており、共鳴器を前記基板上に支持すると共に、基板の機械的ロスを減少させるために少なくとも一の周辺節点において前記共鳴器に取り付けられている。
【0020】
この装置は、更に共鳴器近傍に共鳴器を駆動する駆動電極構造を具え、共鳴器が共鳴時に形状を変化させるようにしている。
【0021】
共鳴器は、半径方向および接線方向の変位の双方を含む複合モードを有する拡張モード装置であってもよい。
【0022】
共鳴器は、ディスク共鳴器あるいはリング共鳴器であっても良い。ディスク共鳴器は、固相ディスク共鳴器であってもよい。
【0023】
非侵入支持構造は、あらゆる所望しないモード形状を抑制して、所望のモード形状で共鳴器を振動させることができる。
【0024】
所望のモード型は、ワイングラスモード型あるいは三角モード型などの複合モード型であってもよい。
【0025】
この装置は更に、共鳴器が所望のモード型で駆動されるようにする共鳴器を静電励起させる位置において基板に形成された駆動電極構造を具えていてもよい。共鳴器と駆動電極構造は、その間に容量性ギャップを規定する。この容量性ギャップは、サブミクロンで、水平方向の容量性ギャップであってもよい。
【0026】
この駆動電極構造は共鳴器の周辺近傍に配置されており、所望のモード型がワイングラスモード型であってもよい。
【0027】
この駆動電極構造は、複数のスプリット電極を具えていても良い。
【0028】
所望のモード型は更に、共鳴器の中央に対応する中央節点によって特徴付けられる。中央節点と、一対の周辺節点が共鳴時に実質的に半径方向に変位がない節軸上に配置されている。
【0029】
支持構造は、共鳴器周辺に位置した複数のアンカを具えていても良い。
【0030】
この装置は更に、共鳴器の動きに基づいて出力電流を検出する位置で基板上に形成されている検出電極構造を具えていてもよい。
【0031】
駆動電極構造は、複数の別個の入力駆動電極を具え、検出電極構造が、複数の別個の出力検出電極を具えていても良い。
【0032】
この装置は、ダイヤモンドベース、シリコンカーバイドベースまたはシリコンベース、あるいは音響速度が高い複合材料であってもよい。
【0033】
所望のモード型は、三角ディスクモード型またはワイングラスリングモード型であっても良い。
【0034】
さらに、上述の目的及び本発明の他の目的を達成するに当たって、マイクロメカニカル装置の製造方法を提供する。この装置は、第1の構造体と、少なくとも一のアンカリングポイントにおいてこの第1の構造体に取り付けた非侵入支持構造を具える。この方法は、基板を提供するステップと、当該基板上に前記第1の構造体を形成するステップとを具える。この方法は更に、基板上に第1の構造体を支持するために前記基板に定着した非侵入支持構造を形成するステップを具える。少なくとも一のアンカリングポイントが、第1の構造体のフォ−メーションとほぼ同時に規定され、少なくとも一のアンカリングポイントが第1の構造体に対して正確に配置されるようにしている。
【0035】
また、上述の目的及び本発明の他の目的を達成するに当たって、所望のモード型を有するマイクロメカニカル共鳴器装置を製造する方法を提供する。この装置は、共鳴器と、少なくとも一のアンカーポイントでこの共鳴器に取り付けた非侵入支持構造体とを具える。所望のモード型は、共鳴器の周辺近傍に配置した複数の周辺節点によって特徴付けられる。この方法は、基板を提供するステップと、この基板上に共鳴器を形成するステップとを具える。この方法は更に、前記基板上に共鳴器を支持するために前記基板に定着された非侵入支持構造体を形成するステップを具える。少なくとも一のアンカーポイントが、共鳴器のフォ−メーションとほぼ同時に規定され、少なくとも一のアンカーポイントが周辺節点の一つに正確に配置されるようにしている。
【0036】
共鳴器は、内側および外側周辺を具えるリング共鳴器であってもよく、ここで駆動電極構造がこれらの内側および外側周辺近傍にそれぞれ配置された内側及び外側電極セットを具えるものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
上述の本発明の目的および他の目的、特徴、及び利点は、添付の図面を参照し、本発明を実施する最良の形態についての詳細な説明から明らかである。
【図1】図1は、典型的な2ポートのバイアス及び励起構成の4アンカワイングラスリングモードリング共鳴器を示す斜視図である。
【図2】図2は、FEM ANSYSパッケージによって計算されたワイングラスリングモード型を示す図である。
【図3】図3は、典型的なバイアス及び励起構成の4アンカステムレスワイングラスモードディスク共鳴器を示す斜視図である。
【図4】図4は、FEM ANSYSパッケージで計算したワイングラスモード型を示す図である。
【図5】図5は、FEM ANSYSパッケージで計算した三角ディスクモード型を示す図である。
【図6】図6は、内側および外側駆動電極を有するバイアス及び励起構成の2アンカワイングラスリングモード共鳴器を示す斜視図である。
【図7】図7は、ドープしたポリシリコン系統連係層をパターニングした後に蒸着した犠牲酸化物を示す断面図である。
【図8】図8aおよび図8bは、図3の8a−8a線および8b−8b線に沿った断面図であり、ディスク構造体とアンカを同じステップで形成する構造的ポリシリコンの自己整合エッチングステップを示す。
【図9】図9は、前述のサブミクロンギャップ形成処理[13]を用いた酸化物層を規定する容量性ギャップの蒸着を示す断面図であり、パターン形成したポリシリコンディスクの上部および側壁に沿って等角1000ÅのHTOが蒸着されている。
【図10】図10は、容量性ギャップ酸化物層と犠牲酸化物層を通るアンカ開口を示す断面図である。
【図11】図11は、図3の11−11線に沿った断面図であり、ドープしたポリシリコン電極層をパターンニングした後に蒸着した犠牲酸化物を示す図である。
【図12】図12は、図3の12−12線に沿った断面図であり、ディスク構造を形成する構造的ポリシリコンの自己整列エッチングを示す図である。
【0038】
好適な実施例の詳細な説明
本発明のマイクロメカニカル共鳴器装置の一実施例において、ディスクは、サイドアンカにおいて絶対ゼロラジアル変位を伴う有限サイズのアンカを用いて側部節点で定着されている。有限サイズのサイドアンカに対して、中央アンカは有意のラジアル及びタンジェンシャル変位を伴うので、実際の節点にはならない。関連するアンカリング構造とスプリット電極構造を伴うワイングラスモードディスク共鳴器10の形をとる本発明の一実施例の斜視図が図3に示されている。4つのアンカ12が図3に示されているが、本発明の教示から離れることなく、一、二、あるいは三つのアンカを使用することもできる。
【0039】
この装置は、ほとんどゼロのラジアル変位で実際の節点に戦略的に配置された新規な非侵入構造を用いて定着されている。タンジェンシャル変位の効果は、アンカのサイズとアンカリングビームの長さを調整することによって最小限にすることができる。スプリット電極構造が用いられており、駆動電極14とディスク本体10との間に必要な電力を提供している。ワイングラスモード型にマッチするこれらの電力は、特定のモードのみを励起する。
ここに提供されているワイングラスモードディスク共鳴器は:
・ アンカーロスを最小にし、従って真空中でQ全体を強化することが期待される非侵入アンカ構造体
・ ラジアルモードディスク共振器より約8倍のファクタ、クランプド−クランプドビーム共鳴器より約80倍小さく、小さい実効移動領域。これは、装置が空気中で動作するときにQに有意な効果があることが期待される。
・ ラジアルモードディスクの中央ステムおよびクランプド−クランプドビームのエンドアンカに比べてアンカリング構造のサイズが小さく、基板からより良好な熱アイソレーションをとるため、より良好な熱安定性が得られる。
・ 電力ハンドリング能力、従ってリニア性に反映するより大きなボリューム。
によって特徴付けられる。
【0040】
装置の動作
空気膨張によってのみ特徴付けられるラジアルコンターモードディスク共鳴器と異なり、ワイングラス振動モードは、図4に示すように空気膨張と共に回転も含む。対称的な励起と検出構造を維持するために、スプリット電極アーキテクチュアが用いられている。このような典型的なバイアスおよびテスト設定における構造が図3に示されており、出力電極あるいは検出電極16と共に入力電極あるいは駆動電極14を具える。節軸は符号18で示されている。ネットワークアナライザは符号17で示されている。
この装置を動作させるには、DCバイアス電圧Vpがアンカ12を介してディスク構造体に印加され、一方AC入力が図3に示す、対称電極セット14に与えられる。他の横方向の電極セット16は、出力電流の検出に使用される。AC入力信号は、電極14とディスク本体10間に時間で変化する力をつくる。この時間で変化する力は、装置のモード周波数であり、この力はクォリティファクタQで増幅され、ディスク10を図4に示す適宜のモード型で振動させる。ディスク10の検出電極16に対する変位が、時間で変化するコンデンサをつくる。この時間で変化するコンデンサに印加されたDCバイアスは:
【数3】
で与えられるAC出力電流を生成する。ここで、χは、ディスク10の端部におけるモード変位であり、δC/δχは、単位変位あたりの電極−ディスク容量の変化であり、δχ/δtは、ディスク外形におけるモード振動速度である。この電流は終端抵抗で検出される。この場合は、ネットワークアナライザ17の50Ωの特性インピーダンスである。ワイングラスモードはラジアルコンターモードより低次で動作して、より低いDCバイアス電圧で動作することが期待され、したがって、高いオンチップDCバイアス電圧を得るのに必要なチャージポンプが不要になる。
【0041】
機械的デザインおよび等価回路
様々な実用的アプリケーション用にまず最初に規定するスペックの一つは、装置の動作周波数である。特定の動作周波数f0を与えると、ワイングラスモードの半径を:
【数4】
で与えられるモード周波数式(4)[11]から計算することができる。ここで、
【数5】
【数6】
および
【数7】
であり、Rはディスク半径、ρはディスク材料密度、w0=2πf0は角振動数、σはポアッソン比、Eは弾性ヤング率である。この周波数式によって、ζが求められ、従って、ディスク半径Rを計算することができる。ANSYS商用パッケージを用いて設計されたディスクのFEMモダール分析が実行され、その結果が図4に示されている。FEM分析で得られたモード周波数は、論理的に予想した周波数に合致した。ディスク厚tは、技術によってある程度左右され、本件の場合のターゲット厚は2μmである。この厚さと同様に、必要な動作周波数に基づいてディスク半径を計算することができ、機械的な回路エレメント、すなわち等価体積、有効ばね定数、減衰が計算できる。
【0042】
上述したとおり、WG(ワイングラス)モードは、ラジアル変位とタンジェンシャル変位の双方を有することによって特徴付けられる複合モードである。この変位成分は:
【数8】
【数9】
で与えられる[11]。ここで、G=ACos(2θ)、H=ASin(2θ)、およびB/A=−4.5236である[11]. 他の振動共鳴器と同様に、ワイングラスディスクの等価RLC回路は、共鳴器の全集積運動エネルギィ、モード型、およびそのトランスデューサポートに関連するパラメータによって支配されている[9]。[9]の手順を用いて、等価動抵抗Rx、動インダクタンスLxおよび動キャパシタンスCxの式は:
動抵抗
【数10】
動インダクタンス
【数11】
動キャパシタンス
【数12】
で書くことができる。ここで、
【数13】
はエレクトロメカニカル結合計数、Qは共鳴器クォリティファクタ、Vpはバイアス電圧、Cは電極−ディスク間キャパシタンス、
【数14】
はシングルコードラントポートに対する単位変位あたりの電極−共鳴器間キャパシタンスの集積された変化、mrは式(7)で与えられる電極位置における有効質量である:
【数15】
有効剛性Krは、有効質量mrに対してKr=wo2mr の関係にあり、従って等価回路エレメントを計算することができる。
【0043】
本発明による剛性のある周波数の高い共鳴器と、従来の周波数の低い共鳴器との重要な差異は、サイクルあたりのトータルエネルギィである。特に、サイクルあたりのピーク運動エネルギィは、以下の式で計算することができる:
【数16】
ここで、χとKreは、それぞれ、電極中央からディスク位置へのピーク変位と有効剛性である。73MHzのワイングラス共鳴器についての有効剛性
【数17】
は、10MHzのCCビームの有効剛性1500N/mの350倍以上であり、前者はサイクル当たり、同じ変位振幅について350倍以上のエネルギィを蓄積できると期待される。粘性ガスの制動で失われるエネルギィより数倍大きいサイクル当たりのエネルギィによって、このアプリケーションのワイングラス共鳴器と、実質上すべての高剛性で高周波数の機械的共鳴器装置(例えば、ラジアル輪郭モードディスク)は、空気制動状態にあったとしても高Qを示すことが期待される。
【0044】
曲げモード装置より高い運動エネルギィを保存する能力に加えて、ワイングラスモードは曲げモード装置より空気制動に対してより脆弱でない。拡開しており、従って周辺の空気圧による制動力にさらされているワイングラスモードディスクの表面領域が、対応するクランプド−クランプドビームの同じ圧力下で拡開する表面領域より小さい。
【0045】
保存されたサイクル当たりの高い運動エネルギィと新規な非侵入アンカリング構造に帰する低減された基板への機械的ロスが与えられ、ワイングラス共鳴器は、真空中でひときわ優れた高Qを示すことが期待される。こればかりでなく、最初のものとして、ワイングラスモード共鳴器は、真空パッケージを必要とせずに、高い動作圧値の下で、比較的高いQを示す可能性がある。この結果、商業アプリケーション用に費用対効果、強いMEMS共鳴器の更なる開発に向けて強烈なインパクトを有することであろう。
【0046】
自己整合サブミクロンギャップポリシリコン電極ディスク共鳴器プロセス
非整合プロセス[9]と同様に金属電極を用いた従来のラジアルモードディスク共鳴器の製造に用いられるプロセスの欠点を改善するために新規な自己整合バッチプロセスが開発されている。非整合プロセスでは、小規模生産量の、低クォリティファクタの共鳴器となってしまう。より低いQは、ラジアルディスクプロセスに伴う有限のアラインメント能力に起因しており、したがって、ラジアルモード節点からのアンカリング点の変位が生じる。更に、この低いプル電圧は、ポリシリコン電極に比べて柔軟な金属電極に起因していた。
【0047】
これらの問題を緩和するために、新規な、自己整合プロセスが開発された。このプロセスは、同じステップでアンカリングポイントを規定するものであり、ディスク節点へアンカを確実に整列させるためにディスク構造が規定されている自己整合性とあいまって、このプロセスは、加わった剛性とCMOS回路プロセスとの互換性のために、リジッドなドープされたポリシリコン電極を用いている。寄生キャパシタンスを低減し、したがってノイズレベルを低減するためのシールディンググラウンド平面という新しい概念との全体的な組み合わせが、設計された装置の性能を高めることが期待されている。
【0048】
図7を参照すると、このプロセスは、950℃で燐をドーピングしてブランクシリコンウエハ70にn+のブランケット層を形成して、シールディンググラウンド平面71を形成することで始まる。この拡散ステップに続いて、形成したシールディング平面71から装置と内部接続を絶縁するパッシベーション層を形成する。特に、2μm幅の酸化物フィルム72、次いで厚さ3000ÅのLPCVDストイキオメトリック窒化シリコンフィルム73が蒸着される。これらの二つの層72と73は、絶縁化合物材料として作用する。次いでシールディンググラウンド平面へのコンタクト開口が酸化物層72と窒化物層73を通してエッチングされ、好適なバイアス電位へアクセスできるようにする。次いで、LPCVDを介してポリシリコン蒸着し、ドーピングして、更にパターン形成してボンディングパッドと内部コネクタ75を形成する。6000ÅのLPCVD高温酸化物(HTO)を蒸着して、自身の蒸着とパターニングの間に構造的ポリシリコン層を一時的に支持する犠牲酸化物74として作用する。図7は、この犠牲酸化層74を蒸着した後の図3に示すワイングラスモードディスク10の断面図である。
【0049】
図8aおよび8bを参照すると、次いで低応力微粒子状ポリシリコン76を580℃でLPCVDを介して厚さ2μmに蒸着する。この構造的ポリシリコン76は、950℃で塩化燐を用いてドーピングする。ドープされた構造的ポリシリコン76は、構造的ポリシリコンをエッチングする間にハードマスクとして作用する厚さ4000ÅのHTO厚膜77で覆う。次いで酸化物マスク77を、パターン形成して、プラズマエッチングにより所望のデバイスジオメトリとし、これらのパターンは、次いで、高密度プラズマRIEエッチングを用いて下側の構造的ポリシリコン層76に転写される。この構造的ポリシリコンエッチングステップは、自己整合ステップであり、ディスク周辺に沿ったおよびディスク中心に位置するアンカリングポイントが、ディスク本体10がエッチングされると同時に規定される。これは、リソグラフィック公差あるいは不適当な整合にかかわらず、アンカリングポイントが常に、モード節点8に位置することを保証する。図8aおよび8bは、ディスクボディ10に整合したアンカリングポイントを明白に示しており、従って、図3に示すモード節軸18からのアンカリングポイントのあらゆるずれを防いでいる構造的ポリシリコンのエッチングステップ後の装置の断面を示す。ディスク10と入/出力電極14および16それぞれとの間の容量性ギャップが、ここで規定される。
【0050】
図9を参照すると、次いで蒸着したスペーサ酸化物78を、アンカリングポイントでエッチングされるようにパターン形成する。ウエットエッチングとドライエッチングの組み合わせを使用してスペーサ酸化物78を構造的ポリシリコン76の下の犠牲酸化物層74と同様にエッチングし、図10に示すように内部接続ポリシリコン層75を露出させる。
【0051】
次いで、第3の低応力ポリシリコン層を蒸着して、ステム開口79をサイドアンカ同様に補充して、これらを内部接続ポリシリコン層75に連結する。ステムとアンカの開口を補充して機械的アンカリングを行うと共に電気的接続を取ることに加えて、蒸着されたポリシリコン層は、励磁および図3に示すディスク構造の周囲の検知用電極81の構造用層として作用する。ポリシリコン電極層75は、ドーピング後に6000ÅのHTO酸化物ハードマスクで覆う。次いでこの酸化物マスク77にパターン形成とプラズマエッチングを行い、所望のジオメトリが高密度RIEによって電極ポリシリコン層75に転写される。
【0052】
次いで、最終構造がストレートHFに15分間開放される。図11は、この開放ステップの間にエッチングで除去された酸化物スペーサ78によって先に規定された容量性ギャップ分だけ装置から離されて張り出した励起および検知電極81を有する、中央アンカ80における装置の断面を示す、開放された構造の断面図である。
【0053】
図12は、中央(すなわち、ステムアンカ80)における、および装置の外側周辺(すなわち、アンカ82)におけるアンカ構造を表す装置の別の断面図である。図に見られるように、最終ポリシリコン層が、構造的ポリシリコン層を通して、及び、この構造的ポリシリコン層と内部接続ポリシリコン層間に電気的接続と機械的剛性サスペンションを作っている下側犠牲酸化物層72を通してエッチングされた自己整合アンカホールを補充した。このように、アンカリングポイントは、製造中のあらゆる整合性ミスマッチにもかかわらず、モード節点8に正しく配置される。
【0054】
モード節点8に戦略的に配置された革新的な非侵入アンカリング構造を伴う低次振動モード(ワイングラスモードとして知られている)で動作する全く新しいクラスのディスク共鳴器が上述されている。このタイプのアンカリングスキームは、基板に対する機械的ロスを減少し、従って、同じDC電圧でバイアスがかかったラジアルモードディスク共鳴器と比較して、大きさの次元で動抵抗の低減を反映する品質ファクタ全体を上げるように働く。更に、このアンカリング構造は、所望のモードを強化して、より高い次元のモードを抑制し、異なる共鳴モード間で良好な絶縁を提供する。
【0055】
ドープしたポリシリコン電極を取り入れた新規な自己整合プロセスが新しいワイングラスモードのディスク共鳴器を製造するために開発された。この自己整合特徴は、モード節点への支持構造の整合を確実なものにする。5つのアンカポイントを伴う製造した共鳴器は、真空中でわずか4000、大気圧中で2500という品質ファクタを示す。このことは、精巧で高価な真空パッケージングを必要とすることなく、受け入れ可能な性能を持って動作するRF MEMSの能力を示すものである。いくつかのアンカリングポイントを削減することによって、Q’sは、真空中において約98,000まで、大気中で約9,800まで有意に上がる。このことは、ここに記載されている動作環境状態においてIF周波数でマイクロメカニカル共鳴器で実現されるQ’sが報告された最初のものである。ディスク10を保持する2軸対称アンカ12のようなアンカリング構造の別の変形例を用いることができる。更に、ディスク10を保持するのに片側アンカを使用することができ、一方、ディスク10の下に配置された浮揚パッド(図示せず)を用いて、浮揚力を出すために同じDCバイアスでパッドとディスク10にバイアスをかけることによって単一のアンカの負荷を減少させることができる。
【0056】
より高い周波数195MHzのワイングラスモードディスク共鳴器は、より高い動作周波数で共鳴させるためにサイズをスケールダウンさせたときに、高Q’sを保持するべく新規な非侵入アンカリング構造を伴って設計された新規なワイングラスモードディスク共鳴器の能力を示していた。
【0057】
これらの結果が示すものは重要である。なぜならこれらは、周波数振動共振器によって示される特別なQ’sを維持するために、高価な真空梱包がもう必要ではないということ、つまり、実質的に振動RF MEM技術による装置はコストが低いという事実を効果的に提示しており、多くの通信用途における勝者を決定するからである。2GHz 付近で動作する新CDMAダイレクト・コンバージョン受信機などのワイヤレス市場における大セグメントの要求するRF周波数にまで現在の結果を伸ばすためには、まだ多くの仕事が在る。ここに実証された高Q’sは、ダイヤモンドやシリコンカーバイドのような異なる構造材料を使用すること、もしくは、非侵入アンカー構造と分割電極構成の両方と共生可能な他のより高度なオーダーモードを使用することによって、より高い周波数においても得ることができる。
【0058】
開発したアンカリング構造は、図1および6に示す延長複合モードリング共鳴器や、他の複合モードディスク共鳴器のような他の高Q延長モード装置を開発するためのキーとなる特徴である。図1は、リング共鳴器40、入力電極42、出力電極44、4つのアンカ45、ネットワークアナライザ17、および節軸46(図2にも示されている)を示す。
【0059】
図6は、リング共鳴器60、外側及び内側入力電極62と62’、出力電極64、二つのアンカ65、ネットワークアナライザ17、および節軸66を示す。
【0060】
これらの装置は、非侵入アンカリング構造を用いて定着させた場合、別の周波数レンジでワイングラスモードディスク共鳴器が示す性能と同様の性能を示すことができる。特に、10MHzはERCの要求に合わせるために重要であり、1.2GHzは、ワイヤレスシステムのアプリケーションに重要である。低い周波数側では、ワイングラスモードディスクの物理的サイズが大変大きく、特に開放ステップの間に製造の問題が生じる。一方、より高い周波数帯では、ディスクのサイズが大変小さく、製造が困難になる。このため、ワイングラスモードディスクの派生物であるその他の構造は、ワイングラスモードディスク共鳴器に対して同じ性能を維持しながら、これらの周波数レンジで動作することができる。
【0061】
低IF帯域用ワイングラスモードリング共鳴器
リング共鳴器の最も低次の延長複合モードは、ディスク形状のワイングラス振動モードと形状が同様である。このワイグラスモードリング共鳴器は、このディスクと物理的サイズを同じに維持しながら、より低い周波数でワイングラスモードディスク共鳴器と同様の性能を示す小型化した概念である。図2は、商業用パッケージAnsysを用いた有限要素解析によって得られたリング共鳴器のモード形状を示す。図に示すように、この共鳴器は2本の節軸を伴うワイングラスモードディスクと同じワイングラスモードを有する。従って、このディスク用に設計された非侵入アンカリングを使用してリング共鳴器を支持することができる。図1は、支持構造45と、励起/検出電極42と44有する提言されているワイングラスモードリング共鳴器40の斜視図である。
【0062】
このリング共鳴器の周波数式は:
【数18】
で与えられ、ここで、ω0は自然角周波数、ρおよびEはリング材料の弾性密度とヤング率であり、Routerはリングの外側半径、Rinnerはリングの内側半径、nはモード次数(ワイングラスモードでは、n=2)である[14]。
【0063】
リング共鳴器は、ワイングラスモードディスク共鳴器用に先に開発されたものと同じ自己整合プロセスを用いて製造される。主に以下の理由によりこのリング共鳴器ではワイングラスモードディスクに比べて、動抵抗の増加が生じる。
・ リング共鳴器の内側および外側移動面に働く空気制動力の増加。これは、全Qの低減を反映しており、動抵抗が増加する。
・ Qの低減を反映する保存されている運動エネルギィの低減、従ってRxが増加。
【0064】
この問題を低減するために、内側電極セット(すなわち、図6に示す電極62’)を追加して、エレクトロメカニカル結合計数ηを増やし、従って動抵抗を減らす。
【0065】
このワイングラスモードリング共鳴器も、3つ、または2つ、あるいは1つのサイドアンカを用いて定着させることができる。軸対称、あるいはミラー対称といったどのようなアンカ位置の組み合わせでも用いることができる。
【0066】
無線周波数レンジ用三角モードディスク共鳴器
三角モードディスク共鳴器は、モード節軸50を伴う図5に示すモード型の高次複合モード[11]である。このモードは、周波数をワイングラスモードの2倍のファクタでスケーリングし、1.2GHzレンジで動作する周波数がより高い装置を設計するための選択とする。この装置は、より高い周波数で以下の特徴を示すことが期待される:
・ 真空パッケージングを必要とすることなく高いQ’sを示す。
・ ラジアルモードディスクより高い電力ハンドリング能力を有する。
・ アンカポイントの数を減らすことによって熱安定性を特に良好にする。
【0067】
三角モード装置を、ワイングラスモードリング共鳴器と同じ工程の自己整合プロセスを用いて製造した。これは、リング共鳴器にも存在する高次複合モードディスクの例である。
【0068】
まとめると、本発明の以下の特徴について説明した:
・ 新規のワイングラスモードディスク共鳴器
・ 大気圧下で高いQを示すことができるワイングラスモードディスク共鳴器の他の派生物を開発するための基礎を展開し確立した
・ 基板に対する機械的ロスを最小限に抑え、従ってQ全体を上げる新規な自己整合非侵入アンカリング構造
・ 革新的な自己整合ICコンパチブル製造プロセス。このプロセスは、他の外延的装置および他のマイクロマシーン加工したセンサおよび共鳴器を製造するのに使用することができる。
・ 外延的モードディスク、リング及び他の外延的モード装置における複合モードの励起に必要な分離電極構造
【0069】
本発明の実施例を図に示して説明したが、これらの実施例は本発明の可能な全ての形状を図に示し説明したものではない。むしろ、明細書で使用されている用語は、限定ではなく説明のための用語であり、本発明の精神および範囲から離れることなく様々な変更を行うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望のモード形状を有するマイクロメカニカル共鳴器装置において、当該装置が:
基板と;
静止表面領域を有する共鳴器であって、前記所望のモード形状が、前記共鳴器の周辺部に配置された複数の周辺節点によって特徴付けられ、前記所望のモード形状が共鳴時に前記静止表面の摩擦のみの動きを伴うものである、共鳴器と;
前記基板上に前記共鳴器を支持するために前記基板に定着され、前記基板に対する機械的ロスを低減するために前記周辺節点の少なくとも一つにおいて前記共鳴器に取り付けられた非侵入支持構造と;
を具えることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置が更に、前記共鳴器が共鳴時に形状を変化させるように前記共鳴器を駆動するために前記共鳴器近傍に駆動電極構造を具えることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、前記共鳴器が、ラジアル方向および接線方向の両方の変位を含む複合モードを有する外延的モード装置であることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、前記共鳴器がディスク共鳴器であることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項3に記載の装置において、前記共鳴器がリング共鳴器であることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項4に記載の装置において、前記ディスク共鳴器が固相ディスク共鳴器であることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、前記非侵入支持構造が、前記共鳴器を所望のモード型で振動させる一方、あらゆる所望しないモード型を抑制することを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、前記所望のモード型は、ワイングラスモード型あるいは三角モード型などの複合モード型であることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置が更に、前記共鳴器が所望のモード型で駆動されるように前記共鳴器の静電気による励磁を可能とする位置で前記基板上に形成された駆動電極構造を具え、前記共鳴器と前記駆動電極構造がその間に容量性ギャップを規定することを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置において、前記駆動電極構造が前記共鳴器の周辺近傍に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項9に記載の装置において、前記容量性ギャップがサブミクロンで、横方向の容量性ギャップであることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項9に記載の装置において、前記駆動電極構造が複数の分離した電極を具えることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置において、前記所望のモード型が更に、前記共鳴器の中央に対応する中央節点によって特徴付けられており、前記中央節点と一対の前記周辺節点が、共鳴時に実質的に半径方向の変位がない節軸上に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置において、前記支持構造が前記共鳴器の周辺近傍に位置する複数のアンカを具えることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項9に記載の装置が更に、前記共鳴器の動きに基づいて出力電流を検出する位置に前記基板上に形成された検出電極構造を具えることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置において、前記駆動電極構造が複数の分離した入力駆動電極を具え、前記検出電極構造が複数の分離した出力電極構造を具えることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項1に記載の装置において、前記装置がダイヤモンドベース、シリコンカーバイドベース、または音響速度が高い複合材料であることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項1に記載の装置において、前記装置がシリコンベースあるいは音響速度が高い複合材料であることを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項1に記載の装置において、前記所望のモード型が三角形ディスクモード型であることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項1に記載の装置において、前記所望のモード型がワイングラスリングモード型であることを特徴とする装置。
【請求項21】
マイクロメカニカル装置の製造方法において、前記装置が第1の構造体と前記第1の構造体に少なくとも一のアンカリングポイントにおいてとりつけられている非侵入支持構造を具えており、前記方法が:
基板を提供するステップと;
前記基板上に第1の構造を形成するステップと;
前記基板上にアンカされた非侵入支持構造を形成して、前記基板上に前記第1の構造体を支持するステップであって、前記少なくとも一のアンカリングポイントが前記第1の構造体に対して正確に配置されることを確実にするために、前記少なくとも一のアンカリングポイントが前記第1の構造体の形成とほぼ同時に規定されるステップと;
を具えることを特徴とする装置。
【請求項22】
所望のモード型を有するマイクロメカニカル共鳴器装置の製造方法であって、前記装置が共鳴器と、当該共鳴器に少なくとも一のアンカリングポイントで取り付けられている非侵入支持構造を具え、前記所望のモード型が前記共鳴器の周辺付近に配置された複数の周辺節点によって特徴づけられている方法において:
基板を提供するステップと;
前記基板上に前記共鳴器を形成するステップと;
前記基板にアンカされた非侵入支持構造を形成して、前記基板上に共鳴器を支持するステップであって、前記少なくとも一のアンカリングポイントが前記周辺節点の一つに正確に位置することを確実にするために、前記少なくとも一のアンカリングポイントが前記共鳴器の形成と実質的に同時に規定されるステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項9に記載の装置において、前記共鳴器が内側および外側周辺部を有するリング共鳴器であって、前記駆動電極構造が前記内側及び外側周辺部に、それぞれ内側電極セットと外側電極セットを具えることを特徴とする装置。
【請求項1】
所望のモード形状を有するマイクロメカニカル共鳴器装置において、当該装置が:
基板と;
静止表面領域を有する共鳴器であって、前記所望のモード形状が、前記共鳴器の周辺部に配置された複数の周辺節点によって特徴付けられ、前記所望のモード形状が共鳴時に前記静止表面の摩擦のみの動きを伴うものである、共鳴器と;
前記基板上に前記共鳴器を支持するために前記基板に定着され、前記基板に対する機械的ロスを低減するために前記周辺節点の少なくとも一つにおいて前記共鳴器に取り付けられた非侵入支持構造と;
を具えることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置が更に、前記共鳴器が共鳴時に形状を変化させるように前記共鳴器を駆動するために前記共鳴器近傍に駆動電極構造を具えることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、前記共鳴器が、ラジアル方向および接線方向の両方の変位を含む複合モードを有する外延的モード装置であることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、前記共鳴器がディスク共鳴器であることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項3に記載の装置において、前記共鳴器がリング共鳴器であることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項4に記載の装置において、前記ディスク共鳴器が固相ディスク共鳴器であることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、前記非侵入支持構造が、前記共鳴器を所望のモード型で振動させる一方、あらゆる所望しないモード型を抑制することを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、前記所望のモード型は、ワイングラスモード型あるいは三角モード型などの複合モード型であることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置が更に、前記共鳴器が所望のモード型で駆動されるように前記共鳴器の静電気による励磁を可能とする位置で前記基板上に形成された駆動電極構造を具え、前記共鳴器と前記駆動電極構造がその間に容量性ギャップを規定することを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置において、前記駆動電極構造が前記共鳴器の周辺近傍に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項9に記載の装置において、前記容量性ギャップがサブミクロンで、横方向の容量性ギャップであることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項9に記載の装置において、前記駆動電極構造が複数の分離した電極を具えることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置において、前記所望のモード型が更に、前記共鳴器の中央に対応する中央節点によって特徴付けられており、前記中央節点と一対の前記周辺節点が、共鳴時に実質的に半径方向の変位がない節軸上に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置において、前記支持構造が前記共鳴器の周辺近傍に位置する複数のアンカを具えることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項9に記載の装置が更に、前記共鳴器の動きに基づいて出力電流を検出する位置に前記基板上に形成された検出電極構造を具えることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置において、前記駆動電極構造が複数の分離した入力駆動電極を具え、前記検出電極構造が複数の分離した出力電極構造を具えることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項1に記載の装置において、前記装置がダイヤモンドベース、シリコンカーバイドベース、または音響速度が高い複合材料であることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項1に記載の装置において、前記装置がシリコンベースあるいは音響速度が高い複合材料であることを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項1に記載の装置において、前記所望のモード型が三角形ディスクモード型であることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項1に記載の装置において、前記所望のモード型がワイングラスリングモード型であることを特徴とする装置。
【請求項21】
マイクロメカニカル装置の製造方法において、前記装置が第1の構造体と前記第1の構造体に少なくとも一のアンカリングポイントにおいてとりつけられている非侵入支持構造を具えており、前記方法が:
基板を提供するステップと;
前記基板上に第1の構造を形成するステップと;
前記基板上にアンカされた非侵入支持構造を形成して、前記基板上に前記第1の構造体を支持するステップであって、前記少なくとも一のアンカリングポイントが前記第1の構造体に対して正確に配置されることを確実にするために、前記少なくとも一のアンカリングポイントが前記第1の構造体の形成とほぼ同時に規定されるステップと;
を具えることを特徴とする装置。
【請求項22】
所望のモード型を有するマイクロメカニカル共鳴器装置の製造方法であって、前記装置が共鳴器と、当該共鳴器に少なくとも一のアンカリングポイントで取り付けられている非侵入支持構造を具え、前記所望のモード型が前記共鳴器の周辺付近に配置された複数の周辺節点によって特徴づけられている方法において:
基板を提供するステップと;
前記基板上に前記共鳴器を形成するステップと;
前記基板にアンカされた非侵入支持構造を形成して、前記基板上に共鳴器を支持するステップであって、前記少なくとも一のアンカリングポイントが前記周辺節点の一つに正確に位置することを確実にするために、前記少なくとも一のアンカリングポイントが前記共鳴器の形成と実質的に同時に規定されるステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項9に記載の装置において、前記共鳴器が内側および外側周辺部を有するリング共鳴器であって、前記駆動電極構造が前記内側及び外側周辺部に、それぞれ内側電極セットと外側電極セットを具えることを特徴とする装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2006−518119(P2006−518119A)
【公表日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507661(P2005−507661)
【出願日】平成15年12月17日(2003.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/040334
【国際公開番号】WO2005/015735
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(501279741)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン (22)
【公表日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年12月17日(2003.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/040334
【国際公開番号】WO2005/015735
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(501279741)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン (22)
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