説明

マイクロレンズアレイ金型加工方法及びマイクロレンズアレイ金型

【課題】本発明はマイクロレンズアレイ金型を高精度に加工するマイクロレンズアレイ金型加工方法及びマイクロレンズアレイ金型を提供する。
【解決手段】加工機1を用いたレンズアレイ金型10の溝加工に際して、まず、単結晶ダイヤモンド工具4と砥粒工具5の工具間距離を測定し、砥粒工具5をマイクロレンズアレイ金型10の溝加工位置まで移動させて、単結晶ダイヤモンド工具4での加工代を残した切り込み量分X軸方向に移動させる。この状態で、研削液をかけながら砥粒工具5を回転させてY軸方向に移動させて、溝11を形成する粗加工工程処理を行う。その後、単結晶ダイヤモンド工具4を最初の溝11の加工位置まで移動させ、単結晶ダイヤモンド工具4を回転させながら溝11をそのコーナがシャープエッジな状態に加工する仕上げ加工工程処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロレンズアレイ金型加工方法及びマイクロレンズアレイ金型に関し、詳細には、複写装置や画像形成装置の光学系に用いられるマイクロレンズアレイ金型を高精度に加工するマイクロレンズアレイ金型加工方法及びマイクロレンズアレイ金型に関する。
【0002】
【従来の技術】マイクロレンズアレイにおいては、各レンズに入った光線が隣接するレンズに抜けて元の像から離れた位置に結像し、いわゆるゴーストを作るという問題がある。
【0003】そこで、本出願人は、先に、等間隔に並置されそれぞれの光軸が平行な複数のレンズが一体に成形されたプラスチックからなるレンズ・アレイにおいて、上記レンズに入射した光線が、このレンズに隣るレンズへ入射するのを防止する光透過防止用空隙部を有し、上記光透過防止用空隙部が、相隣るレンズ間にレンズ成形と同時に形成され、上記光透過防止用空隙部を形成する壁面が粗面であるレンズ・アレイを提案している(特許第2718689号公報参照)。
【0004】このレンズアレイにおいては、レンズアレイ形成用の金型を入れ子として、金型を1個1個段形状に加工し、成形時に組み合わせている。
【0005】ところが、マイクロレンズアレイのように、1個のレンズの大きさが1mm程度であると、1個1個入れ子を加工し組み合わせることは、例えば、A4サイズの長さ分の場合、200個以上必要となり、加工が困難である。その結果、一体金型が必要となり、不必要な光を除去するために、壁面のコーナーのRが数ミクロン程度以下の溝が必要となる。
【0006】そして、従来、溝加工においては、放電加工やエンドミル加工が一般的に用いられており、また、溝深さがμmオーダの溝加工においては、特開平9−254161号公報に示されているようなエッチング加工を用いる場合もある。
【0007】レンズアレイの隔壁は、例えば、隔壁の幅/高さが0.1mm程度で、ピッチ精度が5μm程度、かつ、断面形状のエッジが丸まっていないことが必要であるが、上述のエンドミル加工では、エンドミル自体が0.5mm程度までしか製作できずに、0.1mm幅の溝を形成することができない。また、放電加工では、電極のコーナー部が摩耗しやすく、丸まり、溝コーナーにRがつくという問題がある。
【0008】一方、シリコンやセラミックなどの硬脆性材料にはダイシングが用いられるが、ニッケル等のねばい材料の加工には目詰まりを生じやすいため、シャープなエッジを得るための細かい砥粒のブレードを用いることが難しいく、ブレードのエッジ部が摩耗しやすいことから、溝のコーナーにRがつきやすいという問題がある。
【0009】また、ニッケルなどの加工には、ダイヤモンド工具による溝加工例(特開平11−010428号公報参照)が提案されているが、切り込み量が大きいと、チッピングを生じやすいため、一度の切り込み量が10μm以下程度であり、100μmの深さをレンズアレイのアレイ方向に多数溝を形成するには、時間がかかり、切削距離が長くなることから摩耗が促進される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の技術にあっては、上述のように、レンズアレイの隔壁が、図7の右端に示す隔壁のように、先端部が丸みを帯びたものとなり、完全なゴースト防止対策を得ることができず、改良の必要があった。
【0011】そこで、請求項1記載の発明は、加工物と工具との相対位置を制御して、工具で、複数のレンズが隔壁を隔てて配列されたマイクロレンズアレイを成形するマイクロレンズアレイ金型を加工するに際して、工具として固定砥粒工具を用いて加工物に隔壁成形用の溝を粗加工する粗加工工程と、工具として回転軸に固定された単結晶ダイヤモンド工具を用いて粗加工で形成された加工物の溝に合わせて仕上げ加工を行う仕上げ加工工程と、を順次行うことにより、マイクロレンズアレイのゴースト防止隔壁に対応した金型の溝を簡単で能率的に、かつ、高精度に加工するマイクロレンズアレイ金型加工方法を提供することを目的としている。
【0012】請求項2記載の発明は、固定砥粒工具と単結晶ダイヤモンド工具を、同じ回転軸上に設けることにより、粗加工の溝に仕上げ用のダイヤモンド刃先を容易に合わせて、粗加工から仕上げ加工までを連続して無人加工を行えるようにし、金型の溝をより一層簡単で能率的に、かつ、高精度に加工するマイクロレンズアレイ金型加工方法を提供することを目的としている。
【0013】請求項3記載の発明は、形成された溝を、その断面形状の底部に平面部が形成されたものとすることにより、金型の溝をより一層簡単で能率的に、かつ、高精度に加工するマイクロレンズアレイ金型加工方法を提供することを目的としている。
【0014】請求項4記載の発明は、単結晶ダイヤモンド工具として、その先端が平坦な粗面に形成されている単結晶ダイヤモンド工具を用いることにより、金型の溝をより一層簡単で能率的に、かつ、高精度に加工するマイクロレンズアレイ金型加工方法を提供することを目的としている。
【0015】請求項5記載の発明は、固定砥粒工具として、その側面テーパー角部が、単結晶ダイヤモンド工具の側面テーパー角部よりも大きな角度に形成されている固定砥粒工具を用いることにより、単結晶ダイヤモンド工具の切削時の抵抗を減少させて、工具の損傷を防ぎ、金型の溝を簡単で、より一層能率的に、かつ、高精度に加工するマイクロレンズアレイ金型加工方法を提供することを目的としている。
【0016】請求項6記載の発明は、溝加工面を、無電解ニッケル面とすることにより、溝加工後に、単結晶ダイヤモンド工具によるレンズ面の鏡面切削加工を可能とし、研磨等を不要として、より一層能率的に、かつ、高精度に加工するマイクロレンズアレイ金型加工方法を提供することを目的としている。
【0017】請求項7記載の発明は、粗加工工程及び仕上げ加工工程で、溝を直線上に形成することにより、溝をより一層簡単に形成し、より一層能率的に、かつ、高精度に加工するマイクロレンズアレイ金型加工方法を提供することを目的としている。
【0018】請求項8記載の発明は、マイクロレンズアレイ金型を、請求項1から請求項8のいずれかのマイクロレンズアレイ金型加工方法で製作することにより、マイクロレンズアレイのゴースト防止隔壁に対応した溝を簡単で能率的に、かつ、高精度に加工されたマイクロレンズアレイ金型を提供することを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明のマイクロレンズアレイ金型の加工方法は、加工物と工具との相対位置を制御して、前記工具で、複数のレンズが隔壁を隔てて配列されたマイクロレンズアレイを成形するマイクロレンズアレイ金型を加工するマイクロレンズアレイ金型加工方法において、前記工具として固定砥粒工具を用いて前記加工物に前記隔壁成形用の溝を粗加工する粗加工工程と、前記工具として回転軸に固定された単結晶ダイヤモンド工具を用いて前記粗加工で形成された前記加工物の溝に合わせて仕上げ加工を行う仕上げ加工工程と、を順次行うことことにより、上記目的を達成している。
【0020】上記構成によれば、加工物と工具との相対位置を制御して、工具で、複数のレンズが隔壁を隔てて配列されたマイクロレンズアレイを成形するマイクロレンズアレイ金型を加工するに際して、工具として固定砥粒工具を用いて加工物に隔壁成形用の溝を粗加工する粗加工工程と、工具として回転軸に固定された単結晶ダイヤモンド工具を用いて粗加工で形成された加工物の溝に合わせて仕上げ加工を行う仕上げ加工工程と、を順次行うので、マイクロレンズアレイのゴースト防止隔壁に対応した金型の溝を簡単で能率的に、かつ、高精度に加工することができる。
【0021】この場合、例えば、請求項2に記載するように、前記固定砥粒工具と前記単結晶ダイヤモンド工具は、同じ回転軸上に設けられていてもよい。
【0022】上記構成によれば、固定砥粒工具と単結晶ダイヤモンド工具を、同じ回転軸上に設けているので、粗加工の溝に仕上げ用のダイヤモンド刃先を容易に合わせて、粗加工から仕上げ加工までを連続して無人加工を行えるようにすることができ、金型の溝をより一層簡単で能率的に、かつ、高精度に加工することができる。
【0023】また、例えば、請求項3に記載するように、前記形成された溝は、その断面形状の底部に平面部が形成されていてもよい。
【0024】上記構成によれば、形成された溝を、その断面形状の底部に平面部が形成されたものとしているので、金型の溝をより一層簡単で能率的に、かつ、高精度に加工することができる。
【0025】さらに、例えば、請求項4に記載するように、前記単結晶ダイヤモンド工具として、その先端が平坦な粗面に形成されている単結晶ダイヤモンド工具を用いてもよい。
【0026】上記構成によれば、単結晶ダイヤモンド工具として、その先端が平坦な粗面に形成されている単結晶ダイヤモンド工具を用いているので、金型の溝をより一層簡単で能率的に、かつ、高精度に加工することができる。
【0027】また、例えば、請求項5に記載するように、前記固定砥粒工具として、その側面テーパー角部が、前記単結晶ダイヤモンド工具の側面テーパー角部よりも大きな角度に形成されている固定砥粒工具を用いてもよい。
【0028】上記構成によれば、固定砥粒工具として、その側面テーパー角部が、単結晶ダイヤモンド工具の側面テーパー角部よりも大きな角度に形成されている固定砥粒工具を用いているので、単結晶ダイヤモンド工具の切削時の抵抗を減少させて、工具の損傷を防ぐことができ、金型の溝を簡単で、より一層能率的に、かつ、高精度に加工することができる。
【0029】さらに、例えば、請求項6に記載するように、前記溝加工面は、無電解ニッケル面であってもよい。
【0030】上記構成によれば、溝加工面を、無電解ニッケル面としているので、溝加工後に、単結晶ダイヤモンド工具によるレンズ面の鏡面切削加工を可能とすることができ、研磨等を不要として、より一層能率的に、かつ、高精度に加工することができる。
【0031】また、例えば、請求項7に記載するように、前記粗加工工程及び前記仕上げ加工工程は、前記溝を直線上に形成してもよい。
【0032】上記構成によれば、粗加工工程及び仕上げ加工工程で、溝を直線上に形成しているので、溝をより一層簡単に形成することができ、より一層能率的に、かつ、高精度に加工することができる。
【0033】請求項8記載の発明のマイクロレンズアレイ金型は、前記請求項1から請求項8のいずれかのマイクロレンズアレイ金型加工方法で製作されいることにより、上記目的を達成している。
【0034】上記構成によれば、マイクロレンズアレイ金型を、請求項1から請求項8のいずれかのマイクロレンズアレイ金型加工方法で製作しているので、マイクロレンズアレイのゴースト防止隔壁に対応した溝を簡単で能率的に、かつ、高精度に加工されたマイクロレンズアレイ金型を提供することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0036】図1〜図7は、本発明のマイクロレンズアレイ金型加工方法及びマイクロレンズアレイ金型の一実施の形態を示す図であり、図1は、本発明のマイクロレンズアレイ金型加工方法及びマイクロレンズアレイ金型の一実施の形態を適用した加工機1の部分拡大正面図である。
【0037】図1において、加工機1は、図示しないXテーブル、Yテーブル、Zテーブルを有し、Z軸方向に平行に工具スピンドル2が取り付けられている。工具スピンドル2には、回転軸3が取り付けられており、回転軸3の先端部には、単結晶ダイヤモンド工具4と砥粒工具(固定砥粒工具)5が回転軸3の軸方向に所定間隔を空けて固定(すなわち、同じ回転軸上に固定)されている。この加工機1としては、例えば、位置決め精度が1μm以下のマシニングセンタが用いられ、また、工具スピンドル2の軸受けとしては、空気軸受けが望ましい。
【0038】この加工機1に対して、加工対象であるマイクロレンズアレイ金型10が、図1に示すような位置に固定される。
【0039】そして、単結晶ダイヤモンド工具4及び砥粒工具5は、図2に示すように、ぞさぞれ、幅0.1mmであり、工具テーパー角度が、単結晶ダイヤモンド工具4のテーパー角をα1、砥粒工具5のテーパー角をα2とすると、α1≦α2の関係にある。
【0040】そして、工具テーパー角度は、大きくすると、加工されるマイクロレンズアレイ金型で成形されるマイクロレンズアレイに不要な光が入射し、ゴースト、フレアの発生原因となり、また、テーパー角度が小さいと、成型時に樹脂が溝から抜けなくなるため、1度〜5度程度が望ましい。例えば、単結晶ダイヤモンド工具4のテーパー角度α1が1度であれば、砥粒工具5のテーパー角度α2を2度とする。このようにすると、単結晶ダイヤモンド工具4で加工するときに、単結晶ダイヤモンド工具4の負荷が減り、単結晶ダイヤモンド工具4の破損がしにくくなる。
【0041】また、単結晶ダイヤモンド工具4の刃先は、粗さ略1μm程度にする。すなわち、マイクロレンズアレイ金型10の溝加工の際に、この程度の粗さの刃先の単結晶ダイヤモンド工具4により、溝11(図4参照)の底部を粗面化することで、このマイクロレンズアレイ金型10で成形したマイクロレンズアレイのレンズ間隔壁面を粗面化し、ゴースト、フレアを低減する。
【0042】また、単結晶ダイヤモンド工具4のコーナーエッジ部は、単結晶であるので、鋭利にすることができるが、チッピングを防止するために、必要とするコーナーR以下での面取りを施すことが好ましい。なお、R5μm以下のコーナーRを形成するためには、単結晶ダイヤモンド工具4のコーナーRは5μm以下とすることが好ましい。
【0043】砥粒工具5は、例えば、メタルボンド砥石、電着砥石、レジンボンド砥石等を用いることができ、砥粒工具5のエッジ部をシャープにすることはツルーイングでは可能であるが、マイクロレンズアレイ金型10の溝11を加工することで両端のコーナー部の摩耗が進み、図3に示すように、R形状となる。
【0044】次に、本実施の形態の作用を説明する。本実施の形態においては、マイクロレンズアレイ金型10の溝加工に際して、まず、単結晶ダイヤモンド工具4と砥粒工具5の工具間距離(オフセット)を測定する。これは、例えば、平面に浅く溝11を入れ、その間の距離を測定することで測定することができる。また、単結晶ダイヤモンド工具4と砥粒工具5の回転半径差もこの溝11の深さを測定することで把握でき、単結晶ダイヤモンド工具4と砥粒工具5の加工時の切り込み方向の設定についても、この差分をオフセットすることで設定することができる。
【0045】次に、砥粒工具5をマイクロレンズアレイ金型10の溝加工位置まで移動させ、単結晶ダイヤモンド工具4での加工代を残した切り込み量分X軸方向(図1R>1参照)に移動させる。この状態で、研削液をかけながら砥粒工具5を回転させてY軸方向(図1参照)に移動させて、図4に示すように、溝11を形成する粗加工工程処理を行う。この場合、例えば、溝11の深さを、0.1mmとすると、溝11の深さ0.1mmに対して、5μm程度浅く加工する。上記砥粒工具5による溝11の加工をマイクロレンズアレイ金型10に形成する溝1の数だけ加工する。
【0046】その後、マイクロレンズアレイ金型10に付着した研削液や切り粉をエアーブローにて吹き飛ばし、単結晶ダイヤモンド工具4をマイクロレンズアレイ金型10の最初の溝11の加工位置まで移動させ、単結晶ダイヤモンド工具4を回転させながら溝11をその加工深さ0.1mmまで切り込み量を設定し、白灯油、あるいは植物油ミス等をかけながら、Y軸方向に移動させることで、溝11をそのコーナがシャープエッジな状態に加工する仕上げ加工工程処理を行う。
【0047】このように、加工機1は、単結晶ダイヤモンド工具4と砥粒工具5が1つの回転軸3上に固定されていることから、連続加工を行うことができ、単結晶ダイヤモンド工具4での加工と砥粒工具5での加工の段取りを容易なものとすることができる。
【0048】したがって、上述のようにして形成したマイクロレンズアレイ金型10で、図5に示すような金駒20を形成することができ、この金駒20により、マイクロレンズ30を成形することができるとともに、シャープな形状の隔壁31を形成することができる。
【0049】このようにして形成されたマイクロレンズアレイ30は、例えば、図6に示すように、等倍結像素子(ルーフプリズムレンズアレイ)40に適用され、発光源(LED)50との組み合わされて、デジタルプリンタ等の書込ユニットに用いられる。
【0050】そして、このようなデジタルプリンタ等の書込ユニットにおいては、ゴーストを防止するためには、図7に示すように、その等倍結像素子40の隔壁41がシャープであることが重要であり、図7の右端に示す隔壁42(従来例)のように、エッジ部分に丸みがあると、不要な光が入射し、フレアやゴーストの原因となる。
【0051】ところが、本実施の形態の加工機1で形成したマイクロレンズアレイ金型10は、溝10をシャープに形成することができるため、このマイクロレンズアレイ金型10を用いて形成したマイクロレンズアレイ40の隔壁41は、図7に示すように、シャープなものとなり、フレアやゴーストを低減することができる。
【0052】このように、本実施の形態においては、工具として砥粒工具5を用いて隔壁成形用の溝11を粗加工する粗加工工程と、工具として回転軸3に固定された単結晶ダイヤモンド工具4を用いて粗加工で形成された溝11に合わせて仕上げ加工を行う仕上げ加工工程と、を順次行っている。
【0053】したがって、マイクロレンズアレイ30のゴースト防止隔壁41に対応したマイクロレンズアレイ金型10の溝11を簡単で能率的に、かつ、高精度に加工することができる。
【0054】また、本実施の形態においては、砥粒工具5と単結晶ダイヤモンド工具4を、同じ回転軸3上に設けているので、粗加工の溝11に仕上げ用のダイヤモンド刃先を容易に合わせて、粗加工から仕上げ加工までを連続して無人加工を行えるようにすることができ、マイクロレンズアレイ金型10の溝11をより一層簡単で能率的に、かつ、高精度に加工することができる。
【0055】さらに、上記形成された溝11を、その断面形状の底部に平面部が形成されたものとしているので、マイクロレンズアレイ金型10の溝11をより一層簡単で能率的に、かつ、高精度に加工することができる。
【0056】また、単結晶ダイヤモンド工具4として、その先端が平坦な粗面に形成されている単結晶ダイヤモンド工具を用いているので、マイクロレンズアレイ金型10の溝11をより一層簡単で能率的に、かつ、高精度に加工することができる。
【0057】さらに、砥粒工具5として、その側面テーパー角部が、単結晶ダイヤモンド工具4の側面テーパー角部よりも大きな角度に形成されている固定砥粒工具を用いているので、単結晶ダイヤモンド工具4の切削時の抵抗を減少させて、工具の損傷を防ぐことができ、マイクロレンズアレイ金型10の溝11を簡単で、より一層能率的に、かつ、高精度に加工することができる。
【0058】また、溝11の加工面を、無電解ニッケル面とすると、溝11の加工後に、単結晶ダイヤモンド工具4によるレンズ面の鏡面切削加工を可能とすることができ、研磨等を不要として、より一層能率的に、かつ、高精度に加工することができる。
【0059】さらに、粗加工工程及び仕上げ加工工程で、溝11を直線上に形成しているので、溝11をより一層簡単に形成することができ、より一層能率的に、かつ、高精度に加工することができる。
【0060】そして、このようにして製作されたマイクロレンズアレイ金型10は、マイクロレンズアレイ30のゴースト防止隔壁31に対応した溝11を簡単で能率的に、かつ、高精度に加工されたマイクロレンズアレイ金型10を提供することができる。
【0061】以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0062】
【発明の効果】請求項1記載の発明のマイクロレンズアレイ金型加工方法によれば、加工物と工具との相対位置を制御して、工具で、複数のレンズが隔壁を隔てて配列されたマイクロレンズアレイを成形するマイクロレンズアレイ金型を加工するに際して、工具として固定砥粒工具を用いて加工物に隔壁成形用の溝を粗加工する粗加工工程と、工具として回転軸に固定された単結晶ダイヤモンド工具を用いて粗加工で形成された加工物の溝に合わせて仕上げ加工を行う仕上げ加工工程と、を順次行うので、マイクロレンズアレイのゴースト防止隔壁に対応した金型の溝を簡単で能率的に、かつ、高精度に加工することができる。
【0063】請求項2記載の発明のマイクロレンズアレイ金型加工方法によれば、固定砥粒工具と単結晶ダイヤモンド工具を、同じ回転軸上に設けているので、粗加工の溝に仕上げ用のダイヤモンド刃先を容易に合わせて、粗加工から仕上げ加工までを連続して無人加工を行えるようにすることができ、金型の溝をより一層簡単で能率的に、かつ、高精度に加工することができる。
【0064】請求項3記載の発明のマイクロレンズアレイ金型加工方法によれば、形成された溝を、その断面形状の底部に平面部が形成されたものとしているので、金型の溝をより一層簡単で能率的に、かつ、高精度に加工することができる。
【0065】請求項4記載の発明のマイクロレンズアレイ金型加工方法によれば、単結晶ダイヤモンド工具として、その先端が平坦な粗面に形成されている単結晶ダイヤモンド工具を用いているので、金型の溝をより一層簡単で能率的に、かつ、高精度に加工することができる。
【0066】請求項5記載の発明のマイクロレンズアレイ金型加工方法によれば、固定砥粒工具として、その側面テーパー角部が、単結晶ダイヤモンド工具の側面テーパー角部よりも大きな角度に形成されている固定砥粒工具を用いているので、単結晶ダイヤモンド工具の切削時の抵抗を減少させて、工具の損傷を防ぐことができ、金型の溝を簡単で、より一層能率的に、かつ、高精度に加工することができる。
【0067】請求項6記載の発明のマイクロレンズアレイ金型加工方法によれば、溝加工面を、無電解ニッケル面としているので、溝加工後に、単結晶ダイヤモンド工具によるレンズ面の鏡面切削加工を可能とすることができ、研磨等を不要として、より一層能率的に、かつ、高精度に加工することができる。
【0068】請求項7記載の発明のマイクロレンズアレイ金型加工方法によれば、粗加工工程及び仕上げ加工工程で、溝を直線上に形成しているので、溝をより一層簡単に形成することができ、より一層能率的に、かつ、高精度に加工することができる。
【0069】請求項8記載の発明のマイクロレンズアレイ金型によれば、マイクロレンズアレイ金型を、請求項1から請求項8のいずれかのマイクロレンズアレイ金型加工方法で製作しているので、マイクロレンズアレイのゴースト防止隔壁に対応した溝を簡単で能率的に、かつ、高精度に加工されたマイクロレンズアレイ金型を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマイクロレンズアレイ金型加工方法及びマイクロレンズアレイ金型の一実施の形態を適用した加工機の部分拡大正面図。
【図2】図1の加工機の単結晶ダイヤモンド工具と砥粒工具及びこれらの刃先の拡大正面図。
【図3】図1の砥粒工具の刃先と加工対象のマイクロレンズアレイ金型の拡大正面図。
【図4】図1の単結晶ダイヤモンド工具の刃先と加工対象のマイクロレンズアレイ金型の拡大正面図。
【図5】図1の加工機で形成したマイクロレンズアレイ金型で成形した金駒と当該金駒を使用して成形したマイクロレンズアレイの斜視図。
【図6】図5のマイクロレンズアレイとLEDアレイを組み合わせた書込ユニットの斜視図。
【図7】図6のマイクロレンズアレイの隔壁と従来の隔壁を組み合わせて描いたマイクロレンズアレイとLED拡大正面図。
【符号の説明】
1 加工機
2 工具スピンドル
3 回転軸
4 単結晶ダイヤモンド工具
5 砥粒工具
10 マイクロレンズアレイ金型
11 溝
20 金駒
30 マイクロレンズアレイ
40 等倍結像素子
41 隔壁
50 LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】加工物と工具との相対位置を制御して、前記工具で、複数のレンズが隔壁を隔てて配列されたマイクロレンズアレイを成形するマイクロレンズアレイ金型を加工するマイクロレンズアレイ金型加工方法において、前記工具として固定砥粒工具を用いて前記加工物に前記隔壁成形用の溝を粗加工する粗加工工程と、前記工具として回転軸に固定された単結晶ダイヤモンド工具を用いて前記粗加工で形成された前記加工物の溝に合わせて仕上げ加工を行う仕上げ加工工程と、を順次行うことを特徴とするマイクロレンズアレイ金型加工方法。
【請求項2】前記固定砥粒工具と前記単結晶ダイヤモンド工具は、同じ回転軸上に設けられていることを特徴とする請求項1記載のマイクロレンズアレイ金型加工方法。
【請求項3】前記形成された溝は、その断面形状の底部に平面部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のマイクロレンズアレイ金型加工方法。
【請求項4】前記単結晶ダイヤモンド工具として、その先端が平坦な粗面に形成されている単結晶ダイヤモンド工具を用いることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のマイクロレンズアレイ金型加工方法。
【請求項5】前記固定砥粒工具として、その側面テーパー角部が、前記単結晶ダイヤモンド工具の側面テーパー角部よりも大きな角度に形成されている固定砥粒工具を用いることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のマイクロレンズアレイ金型加工方法。
【請求項6】前記溝加工面は、無電解ニッケル面であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のマイクロレンズアレイ金型加工方法。
【請求項7】前記粗加工工程及び前記仕上げ加工工程は、前記溝を直線上に形成することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のマイクロレンズアレイ金型加工方法。
【請求項8】前記請求項1から請求項8のいずれかのマイクロレンズアレイ金型加工方法で製作されたことを特徴とするマイクロレンズアレイ金型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2002−96300(P2002−96300A)
【公開日】平成14年4月2日(2002.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−283316(P2000−283316)
【出願日】平成12年9月19日(2000.9.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】