マイクロ光学セキュリティ及び画像表示システム
【課題】貨幣や文書の認証を行うために製品と包装の視覚的な機能強化をもたらす光学材料を提供する。
【解決手段】複数の個別のレンズ/アイコン画像システムの統合された性能を通して合成拡大された画像を形成するために、アイコン4と呼ばれるマイクロ画像を拡大するための非円柱レンズ1の規則正しい二次元アレイを活用するフィルム材料である。該合成倍率マイクロ光学システムは、一つまたはそれ以上の光学スペーサ5と、その平面軸の少なくとも一つの回りに対称軸を有する複数の画像アイコン4の周期的平面アレイから形成され、前記光学スペーサ5の上にまたは隣に配置されるマイクロ画像10と、その平面軸の少なくとも一つの回りに対称軸を有し、前記対象軸が前記マイクロ画像平面アレイの平面軸と同じ平面軸である画像アイコン集光要素1の周期的平面アレイとを含む。三次元効果及び運動効果等の特色のある視覚効果が本システムにより提供できる。
【解決手段】複数の個別のレンズ/アイコン画像システムの統合された性能を通して合成拡大された画像を形成するために、アイコン4と呼ばれるマイクロ画像を拡大するための非円柱レンズ1の規則正しい二次元アレイを活用するフィルム材料である。該合成倍率マイクロ光学システムは、一つまたはそれ以上の光学スペーサ5と、その平面軸の少なくとも一つの回りに対称軸を有する複数の画像アイコン4の周期的平面アレイから形成され、前記光学スペーサ5の上にまたは隣に配置されるマイクロ画像10と、その平面軸の少なくとも一つの回りに対称軸を有し、前記対象軸が前記マイクロ画像平面アレイの平面軸と同じ平面軸である画像アイコン集光要素1の周期的平面アレイとを含む。三次元効果及び運動効果等の特色のある視覚効果が本システムにより提供できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2003年11月21日出願の米国仮特許出願番号第60/524,281号、2004年1月22日出願の米国仮特許出願番号第60/538,392号、及び2004年11月12日出願の米国仮特許出願番号第60/627234号の利点及びそれらに対する優先権を主張しており、許容される場合、それぞれを全体として参照することにより本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、例示的な実施形態では高分子フィルムとして形成される合成倍率マイクロ光学システムに関する。本開示の多様な実施形態により提供されるずばぬけた光学効果は、製品、包装、印刷物及び消費物質の視覚的な機能強化だけではなく、貨幣、文書及び製品の、公然及び秘密の認証のためのセキュリティ手段としても使用できる。
【背景技術】
【0003】
貨幣と文書の認証を行うために、偽の製品を識別し、偽の製品から真正商品を区別するために、及び製造された製品と包装の視覚的な機能強化を提供するために、多様な光学材料が使用されてきた。これらの例は、ホログラフィックディスプレイ、及びレンズ状の構造と球形のマイクロレンズのアレイを含む他の画像システムを含む。ホログラフィックディスプレイはクレジットカード、運転免許証、及び衣料品のタグとともに使用するために普及してきた。
【0004】
文書のセキュリティのためのレンズ状構造の例は、偽装防止手段を提供するために文書の中に埋め込むためのセキュリティスレッドに関するKauleらの米国特許第4,892,336号に開示されている。セキュリティスレッドは透明であり、片面に印刷パターンを、反対側の面に該印刷パターンと対応するレンズ状構造を有している。前記レンズ状構造は複数の平行なシリンダレンズ、あるいは代わりに球形のまたはハチの巣状のレンズから構成されるとして記載されている。
【0005】
Drinkwaterらに対する米国特許第5,712,731号は、実質的に球状のマイクロレンズのアレイと結合されたマイクロ画像のアレイを含むセキュリティ手段を開示している。前記レンズは非点収差レンズであってもよい。前記レンズはそれぞれ通常50から250μmであり、焦点距離は通常200μmである。
【0006】
これらの手法は類似した欠点を有している。それらは、特に文書の認証のために使用するには適していない相対的に厚い構造を生じさせる。円柱レンズまたは球面レンズの使用は狭い視野を提供し、結果としてファジー画像を生じさせ、関連画像に対してレンズの焦点の厳密且つ困難な位置合わせを必要とする。さらに、それらはセキュリティ手段または偽造防止手段として特に効果的であると判明していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの及び他の欠点を考慮して、当業界には、貨幣、文書、加工品及び製品の明示的な認証を容易にできる安全且つ視覚的に一意の光学材料、及び加工品、製品及び包装の視覚的な機能強化を提供する光学材料に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示はここではアイコンと呼ばれているマイクロ画像を拡大するための、及び多数の個別のレンズ/アイコン画像システムの統合された性能を通して合成拡大された画像を形成するための、非円柱レンズの規則正しい二次元アレイを利用するフィルム材料に関する。合成拡大された画像及びそれらを取り囲む背景は無色または着色(カラー)のどちらであってもよく、画像及びそれらを取り囲む背景のどちらかまたは両方が、透明、半透明、色素性、蛍光性、燐光性、表示光学可変色、金属化された、あるいは実質的に再帰反射性であってよい。カラー画像を透明な背景または薄い色の付いた背景に表示する材料は、下層に埋め込まれた印刷情報と組み合わせて使用するために特に適している。一つのこのような材料が印刷情報の上に適用されているとき、印刷情報と画像の両方ともが、互いの空間的な、または動的運動(モーション)との関係で同時に視認されることができる。この種の材料は刷り重ねる、つまり印刷を材料の最上の(レンズ)表面に適用することもできる。代わりに(白と黒を含む任意の色の)カラー画像を別の色の半透明または実質的に不透明な背景の上に表示する材料は、下に埋め込まれた印刷情報と組み合わせてではなく、単独で使用するか、または刷り重ねられた情報とともに使用するために特によく適している。
【0009】
達成される合成拡大(倍率)の規模は、レンズアレイの対称軸とアイコンアレイの対称軸間の「ねじれ(skew)」の程度を含む多くの因子の選択により制御できる。規則正しい周期的なアレイは、パターンがその基本的な形状を変更せずにその回りで反射される、アレイの理想では無限長である線を定義する対称軸を有している。例えば、正方形アレイはアレイの相対的な向きを変更せずに任意の正方形の任意の対角線を中心として反射できる。つまり、正方形の辺が平面のx軸とy軸に対して一直線に整列している(aligned)場合には、すべての側面が同一であり、見分けがつかないという仮定の上で、正方形の辺は反射後もそれらの軸と一直線に整列している。
【0010】
正方形アレイをミラーリング(鏡面反射)する代わりに、アレイは同種の対称軸間の角度に等しい角度で回転させることができる。正方形アレイの場合では、オリジナルのアレイと見分けがつかないアレイ向き(orientation)に達するために、該アレイは90度という角度、つまり対角線間の角度で回転させることができる。同様に、正六角形のアレイは六角形の「対角線」(対向する頂点をつなぐ線)または「中点約数」(六角形の対向する辺の中心点間をつなぐ線)を含む多くの対称軸の回りでミラーリングまたは回転させることができる。どちらの種類も対称軸間の角度は六十度(60°)であり、オリジナルの向きと区別がつかないアレイ向きとなる。
【0011】
レンズアレイ及びアイコンアレイが当初、それぞれのx−y平面を画定する平面次元で配列されている場合、対称軸の一つが第一のアレイのx軸を表すために選ばれ、対応するタイプの対称軸(例えば、対称の対角線軸)が第二のアレイのx軸を表すために選ばれ、該二つのアレイがz軸方向での実質的に均一な距離で分離されている、即ち、アレイをz軸方向に沿って見たときにアレイのx軸が互いに平行であるように見える場合、該アレイはねじれがゼロであると言われる。六角形のアレイの場合では、一つのアレイの60度、またはその倍数の角度の回転で、アレイが再び整列するため、ちょうど正方形のアレイの場合は90度またはその倍数の回転の場合にねじれがないように、ねじれはない。これらの「ゼロねじれ回転」と異なるx軸間の角度の不一致(ずれ)がねじれと呼ばれる。0.06度のような小さなねじれが1000x(倍)を越える大きな倍率(拡大)を生じさせ、20度のような大きなねじれはおそらく1xほどの小さな倍率を生じさせる。二つのアレイ及びレンズのF#(F値)等の他の要因は、合成画像の回転、視差直交(orthoparallactic)移動、及び明白な視覚的な奥行きだけではなく、合成画像の倍率にも影響を及ぼすことがある。
【0012】
本発明の材料(構成品)によって提供できる多くの明確な視覚的効果があり(以降実質的にこの材料を「ユニゾン(Unison)」と呼び、あるいは「ユニゾンモーション(Unison Motion)」、「ユニゾンディープ(Unison Deep)」、「ユニゾンスーパーディープ(Unison SuperDeep)」、「ユニゾンフロート(Unison Float)」、「ユニゾンスーパーフロート(Unison SuperFloat)」、「ユニゾン浮揚(Unison Levitate)」、「ユニゾンモーフ(Unison Morph)」、及び「ユニゾン3−D(Unison 3−D)」の名前で、それぞれの効果を提示するユニゾン構成要素を呼ぶ。)これらには概して後述されるようにこれらの効果のそれぞれを生じさせるその多様な実施形態がある。
【0013】
ユニゾンモーションは視差直交移動(OPM)(本発明の材料が傾くと、画像が通常のパララックス(視差)によって予想される方向に垂直であるように見える傾きの方向に移動する)を示す画像を提示する。ユニゾンディープとスーパーディープは、材料の厚さより視覚的に厚い空間平面の上に載っているように見える画像を提示する。ユニゾンフロートとスーパーフロートは本材料の表面から離れた空間平面に載っているように見える画像を提示し、ユニゾン浮揚は、材料が所与の角度(例えば90度)回転するにつれ、ユニゾンディープ(またはスーパーディープ)からユニゾンフロート(またはスーパーフロート)へ振れ、次に材料が同じ量さらに回転するとユニゾンディープ(またはスーパーディープ)に戻る画像を提示する。ユニゾンモーフは、材料が回転する、またはさまざまな視点から見られるとき、外観、形状またはサイズを変える合成画像を提示する。ユニゾン3−D(三次元)は、面の画像等の大縮尺の三次元構造を示す画像を提示する。
【0014】
複数のユニゾン効果は、外観、色、移動方向及び倍率が異なりうる複数のユニゾンモーション画像平面を組み込んだフィルム等のように、一つのフィルムで結合させることができる。別のフィルムはユニゾンディープ画像平面とユニゾンフロート画像平面を結合でき、さらに別のフィルムは、各画像が同じまたは異なるグラフィック要素を有しているユニゾンディープ層、ユニゾンモーション層、及びユニゾンフロート層を同じ色または違う色で結合するように設計されてよい。複数の画像平面の色、グラフィックデザイン、光学効果、倍率、及び他の視覚的な要素は少数の例外を除いて概ね無関係であり、これらの視覚的な要素の平面は任意の方法で結合できる。
【0015】
多くの貨幣、文書及び製品のセキュリティ応用例の場合、フィルムの総厚さが50ミクロン(ここでは「μ」または「um」とも記載されている)未満、例えば約45ミクロン未満であり、さらなる例としては約10ミクロンから約40ミクロンの範囲内であることが望ましい。これは、例えば50ミクロン未満、さらなる例として30ミクロン未満、またさらなる例としては約10ミクロンから30ミクロンの有効ベース直径を有する集光素子(要素)を利用して達成できる。別の例としては、約40ミクロン未満の焦点距離を有する集光素子、さらなる例としては約10ミクロンから約30ミクロン未満の焦点距離を有する集光素子を使用できる。具体的な例では、35ミクロンのベース直径及び30ミクロンの焦点距離を有する集光素子を使用できる。代替例として、ハイブリッド屈折/回折の実施形態では、8ミクロンほどの薄さに作ることができる。
【0016】
ここではフィルムは、その複雑な多層構造及びその高いアスペクト比の要素のために一般的に利用可能な製造システムによる複製品の影響を受けにくく、偽造にきわめて強い。
【0017】
したがって、本システムは、反射光または透過光線において肉眼で見たときに、
i.視差直交移動を示す(ユニゾンモーション)、
ii.高分子フィルムの厚さより奥行きのある空間平面上にあるように見える(ユニゾンディープ及びユニゾンスーパーディープ)、
iii.高分子フィルムの表面の上方の空間平面にあるように見える(ユニゾンフロート及びユニゾンスーパーフロート)、
iv.フィルムが方角的に回転されるとき、高分子フィルムの厚さより奥行きのある空間平面と、のフィルムの表面上の空間平面の間で振れる(ユニゾン浮揚)、
v.一つの外観、形状、サイズ、色(またはこれらの特性のなんらかの組み合わせ)から別の外観、形状、サイズまたは色(またはこれらの特性のなんらかの組み合わせ)に変換する(ユニゾンモーフ)、
vi.現実的な三次元性を有するように見える(ユニゾン3−D)、
一つまたは複数の画像を投射する厚さを有する、好ましくは高分子フィルムの形態を取るマイクロ光学システムを提供する。
【0018】
本開示は、さらに具体的には、
(a)一つまたはそれ以上の光学スペーサと、
(b)その平面軸の少なくとも一つの回りに対称軸を有する複数の画像アイコンの周期的平面的なアレイから構成され、前記光学スペーサの上にまたは隣に配置されるマイクロ画像と、
(c)その平面軸の少なくとも一つの回りに対称軸を有する画像アイコン集光素子の周期的平面的なアレイであって、前記対称軸が前記マイクロ画像平面アレイの平面軸と同じ平面軸であり、各集光素子が、多角形のベースマルチゾーン集光素子、関連する画像アイコンの周辺端部が視界から抜け落ちないように関連画像の幅以上の拡大された視野を提供するレンズ、あるいは50ミクロン未満の有効直径を有する非球面集光素子、のいずれかである、
合成倍率マイクロ光学システム及びこれを製造する方法を提供する。
【0019】
システムは前述された効果の内の一つまたは複数を含むことができる。前記効果をシステム内に選択的に含むことができる方法が提供される。
【0020】
本開示は、前述されたような少なくとも一つのマイクロ光学システムを備える、さらにセキュリティ文書、ラベル、開封テープ、タンパー表示装置、封印装置、または他の認証またはセキュリティ装置において、またはそれらに少なくとも部分的に取り込まれて、及びそれらに対してまたは関連して使用されるために適したセキュリティデバイス(手段)を提供する。さらに本開示は特に、
(a)一つまたはそれ以上の光学スペーサと、
(b)その平面軸の内の少なくとも一つの回りに対称軸を有し、光学スペーサ上またはその隣に配置される複数の画像アイコンの周期的平面的なアレイから構成されるマイクロ画像と、
(c)その平面軸の少なくとも一つの回りに対称軸を有する画像アイコン集光素子の周期的平面的なアレイであって、前記対称軸が前記マイクロ画像平面アレイの平面軸と同じ平面軸であり、各集光素子が多角形のベースマルチゾーン集光素子、関連する画像アイコンの周辺端部が視界から抜け落ちないように関連画像アイコンの幅を超える拡大された領域を提供するレンズ、または50ミクロン未満の有効直径を有する非球面集光素子のいずれかである、画像アイコン集光素子の周期的平面アレイと、
を備える、文書セキュリティデバイス(手段)及びこれを製造する方法を提供する。
【0021】
さらに、本開示は、衣料品、スキンケア製品、文書、印刷物、加工品、包装、店頭ディスプレイのポイント、出版物、広告手段、スポーツ製品、金融書類、及びトランザクションカード、及び他のすべての品物の視覚的な強化のための、少なくとも一つの、上記された構成の上記の効果を有するマイクロ光学システムを備える視覚強化装置を提供する。
【0022】
前述されたような少なくとも1つのセキュリティ手段が少なくともその中に部分的に埋め込まれて、及び/またはその上に取り付けられて有するセキュリティ文書またはラベルも提供される。
【0023】
本開示のその他の特徴及び優位点は、以下の詳細な説明及び添付図面から当業者に明らかになるであろう。
【0024】
その他のシステム、デバイス(手段)、方法、特徴及び優位点は、以下の図面及び詳細な説明を検討することにより当業者に明らかになる、または明らかであろう。このような追加のシステム、方法、特徴及び優位点はすべて、本説明の範囲内に含まれ、本開示の適用範囲内に含まれ、添付請求項によって保護されることが意図されている。
【0025】
別途定義されない限り、ここで使用されるすべての技術的な用語及び科学的な用語は、本発明が属する技術の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。ここで言及されるすべての出版物、特許出願、特許及び他の参考資料はその全体を参照することにより本書に組み込まれている。一致しない場合には、定義を含む本明細書の記載が優先される。さらに、本材料、方法及び例は例示に過ぎず、限定することを目的としていない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1a】システムの画像の視差直交移動を提供する本開示の一実施形態を例示するマイクロ光学システムの断面図である。
【図1b】図1aの実施形態の等角切断図である。
【図2a】図1a及び図1bの実施形態の視差直交合成画像運動の説明図である。
【図2b】本システムのディープ(Deep)実施形態とフロート(Float)実施形態の視覚効果の説明図である。
【図2c】本システムのディープ(Deep)実施形態とフロート(Float)実施形態の視覚効果の説明図である。
【図2d】本発明の浮揚(Levitate)実施形態により得られる視覚効果の説明図である。
【図2e】本発明の浮揚(Levitate)実施形態により得られる視覚効果の説明図である。
【図2f】本発明の浮揚(Levitate)実施形態により得られる視覚効果の説明図である。
【図3】図3aから図3iは、本システムの多様な実施形態及びレンズの対称的な二次元アレイの異なるパターンの充填比を示す平面図である。
【図4】アイコン要素周期/レンズ周期比の変動により生じるディープ、ユニゾン、フロート、及び浮揚の実施形態の効果のさまざまな組み合わせを描くグラフである。
【図5】図5aから図5cは、本発明のアイコン画像の合成倍率がレンズアレイ軸とアイコンアレイ軸の間の相対的な角度によりどのように制御できるのかを描く平面図である。
【図6】図6aから図6cは、本システムの合成倍率画像のモーフィング効果を達成する実施形態を描く平面図である。
【図7】図7aから図7cは、本システムのアイコン層の多様な実施形態を示す断面図である。
【図8】図8aから図8bは、「ポジティブ」アイコン要素実施形態と「ネガティブ」アイコン要素実施形態の両方を描く平面図である。
【図9】さまざまな特性を有する合成拡大された画像の領域を生成するためのマルチレベル材料の実施形態を描く断面図である。
【図10】さまざまな特性を有する合成拡大された画像の領域を生成するためのマルチレベル材料の別の実施形態を描く断面図である。
【図11】図11aから図11bは、本システムの反射光学部品とピンホール光学部品の実施形態を示す断面図である。
【図12】図12aから図12bは、ハイブリッド屈折/反射材料実施形態と、全屈折材料実施形態の構造を比較する断面図である。
【図13】「peel−to−reveal」タンパー表示材料の実施形態を示す断面図である。
【図14】「peel−to−change」タンパー表示材料の実施形態を示す断面図である。
【図15】図15aから図15dは、両面システムの多様な実施形態を示す断面図である。
【図16】図16aから図16fは、本システムによるグレイスケールまたは色調アイコン要素パターン、及び引き続きこれらの合成倍率画像を生じさせるための三つの異なる方法を描く断面図及び対応する平面図である。
【図17】図17aから図17dは、印刷情報とともに本発明の使用を示す断面図である。
【図18】図18aから図18fは、印刷情報と組み合わせた、本システムの多様な基板への適用または組み込みを描く断面図である。
【図19】図19aから図19bは、それぞれが本発明に組み込まれたときの、球面レンズの焦点(in−focus)視野を平面非球面レンズの焦点視野と比較する断面図である。
【図20】図20aから図20cは、本発明の厚いアイコン層を使用した結果生じる二つの利点を描く断面図である。
【図21】「ウィンドウ表示」セキュリティスレッドとしての貨幣への本システムの適用を示す平面図である。
【図22】「ウィンドウ表示」セキュリティスレッドに関する画像の本システムの視差直交運動実施形態の説明図である。
【図23】本システムの合成画像のハーフトーン処理の説明図である。
【図24a】個々の合成画像の最小の特徴物より寸法が小さい結合された合成画像を生じさせるための本システムの使用を描く図である。
【図24b】アイコン画像要素間の隙間の細いパターンを生じさせるための本発明の使用を描く図である。
【図25】本発明のアイコン画像の中への秘密の隠し情報の組み込みを描く図である。
【図26】本発明を用いて完全な三次元画像の生成を描く図である。
【図27】図26の三次元的実施形態のためのアイコン画像を設計するための方法の説明図である。
【図28】図27の方法から生じるアイコン画像の説明図である。
【図29】図27の方法を複雑な三次元合成画像にどのように適用できるのかを図解する図である。
【図30】28ミクロンの有効直径を有する例示的な六角形ベースマルチゾーンレンズの中心ゾーン焦点特性を描く図である。
【図31】28ミクロンの直径を有する球面レンズの中心ゾーン焦点特性を描く図である。
【図32】図30の六角形レンズの側面ゾーンの特性を描く図である。
【図33】図31の球面レンズの外側ゾーンの特性を描く図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示の多くの態様は、図面を参照することによりさらによく理解できる。図中の構成要素は必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに本開示の原則を明確に図解することに重きが置かれている。さらに、図中、類似する参照番号は複数の図全体で対応するパーツを指す。
【0028】
ここで図に描かれている実施形態の説明を詳細に参照する。複数の実施形態はこれらの図に関連して説明されているが、本発明をここに開示されている一つまたは複数の実施形態に限定する意図はない。むしろ、すべての代替策、変型、及び同等物を対象とすることを意図している。
【0029】
図1aは、システムの画像の視差直交移動を提供する本発明のマイクロ光学システム12の一実施形態を描いている。
【0030】
システム12は、少なくとも二つの実質的に等しい対称軸を有し、二次元の周期的アレイに配列されているマイクロレンズ1。レンズ直径2は好ましくは50μ未満であり、レンズ3の間の間隙は好ましくは5μ以下である(同じ測定値を意味するために用語「μ」と「μm」を同義的に使用している)。マイクロレンズ1はアイコン要素4の画像に焦点を合わせ、この画像10を観察者に向かって投射する。システムは一般的には通常レベルの周囲照明を有する状況で使用されるため、アイコン画像の照明は反射された、または透過した周辺(環境)光から生じる。アイコン要素4はレンズ1を含むレンズアレイの周期と寸法とに実質的に類似する周期と寸法を有するアイコン要素の周期的アレイの一つの要素である。レンズ1とアイコン要素4の間には、レンズ1の材料と連続している、あるいはオプションとして(任意選択的に)別の基板8であってよい光学スペーサ5がある。(この実施形態ではレンズ9は基板から分離されている。)アイコン要素4は、好ましくは高分子材料製の密封層6によって任意選択的に保護されてよい。密封層6は、透明、半透明、薄い色が付いた、有色素、不透明、金属性、磁気、光学的に可変、または望ましい光学効果及び/またはセキュリティと認証のための追加の機能性を提供する、これらの任意の組み合わせであってよく、追加の機能性には、光学効果、導電率、または静電容量、磁場検出に依存する自動的貨幣認証、検証、追跡調査、計数及び検出のシステムのサポートが含まれる。
【0031】
システムの総厚さ7は通常50μ未満である。実際の厚さはレンズ1のF#(F値)とレンズの直径2、及び追加のセキュリティ機能層または光学効果層の厚さに依存する。アイコン要素4の反復周期11はレンズ1の反復周期に実質的に同一である。「縮尺比率(scale ratio)」、つまりレンズの反復周期に対するアイコンの反復周期の比率が、多くの異なる光学効果を生じさせるために使用される。実質的に1.0000に等しい軸に沿って対称的な縮尺比率の値は、レンズとアイコンの対称軸がずれているときにはユニゾンモーション視差直交効果を生じさせ、1.0000未満の軸対称的な縮尺比率の値は、レンズとアイコンの対称軸が実質的に位置合わせされているときにはユニゾンディープ効果とユニゾンスーパーディープ効果を生じさせ、1.0000より大きい軸対称的な縮尺比率の値は、レンズとアイコンの対称軸が実質的に位置合わせされているときにはユニゾンフロート効果とユニゾンスーパーフロート効果を生じさせる。X方向に0.995及びY方向に1.005等の、軸非対称的な縮尺比率の値はユニゾン浮揚効果を生じさせる。
【0032】
ユニゾンモーフ効果は、レンズ反復周期とアイコン反復周期のどちらかまたは両方の縮尺の歪み(ねじれ)によって、あるいはアイコンパターンの中に空間的に変化する情報を組み込むことによって得られる。ユニゾン3−D効果も、アイコンパターンの中に空間的に変化する情報を組み込むことによって生成されるが、本実施形態では情報はアイコンの位置に実質的に一致する特定の位置から見られるような三次元オブジェクトのさまざまな視点を表す。
【0033】
図1bは、反復周期11のレンズ1とアイコン4の正方形のアレイパターン及び光学スペーサ厚さ5を有する、図1aの断面に描かれているように本システムの等角図を提示する(図1aは正方形のアレイパターンに特有ではなく、すべての規則正しい周期的アレイパターンの代表的な断面である)。アイコン要素4は、前部の一部を切り取った断面で明確に見られる「$」画像として示されている。レンズ1とアイコン要素4の間には実質的に1対1の対応があるが、レンズアレイの対称軸は、一般的にアイコンアレイの対称軸と厳密には整列していない。
【0034】
縮尺比率が1.0000の、図1aから図1bのユニゾン(視差直交運動)材料の実施形態の場合、レンズ1の軸とアイコン要素4の軸が実質的に一列であるときには、アイコン要素の結果として生じる合成画像(この例では、巨大な「$」)は「膨張(blow-up)」し、理論上無限に近づく係数(factor)により拡大される。レンズ1の軸とアイコン要素4の軸のわずかな角度の非整列により、アイコン要素の合成画像の拡大比率が減少し、拡大された合成画像を回転される。
【0035】
ユニゾンディープ、ユニゾンフロート、ユニゾン浮揚の実施形態の合成拡大比率は、システムの縮尺比率だけではなく、レンズ1の軸とアイコン要素4の軸の角度的整列にも依存する。縮尺比率が1.0000に等しくないとき、これらの軸が実質的に整列していることから得られる最大倍率は1/(1.0000−(縮尺比率))の絶対値に等しい。したがって、0.995の縮尺比率を有するユニゾンディープ材料は|1/(1.000−0.995)|=200xという最大倍率を示すであろう。同様に、1.005の縮尺比率を有するユニゾンフロート材料も|1/(1.000−1.005)|=200xという最大倍率を示すであろう。ユニゾンモーション材料の実施形態に類似した方法で、ユニゾンディープ、ユニゾンフロート、及びユニゾン浮揚の実施形態のレンズ1の軸とアイコン要素4の軸のわずかな角度の非整列はアイコン要素の合成画像の拡大比率を減少させ、拡大された合成画像を回転させる。
【0036】
ユニゾンフロートまたはスーパーフロートのアイコンパターンにより生じる合成画像は逆様であり、ユニゾンフロートまたはスーパーフロートのアイコンパターンの向きに関して百八十度(180°)回転しているが、ユニゾンディープまたはスーパーディープのアイコンパターンにより生じる合成画像は、ユニゾンディープまたはスーパーディープのアイコンパターンの向きに関して垂直である。
【0037】
図2aは、ユニゾンモーション実施形態で見られる直感に反した視差直交画像運動効果を概略的に描いている。図2aの左側は、水平軸16を中心に振動18する、一個のユニゾンモーション材料12を平面図で描いている。合成拡大された画像14がパ視差に従って移動すると、それは、材料12が水平軸16の回りで振動するのにつれて(図2aに示されているように)上下に変位するように見えるであろう。このような明白な視差運動は実際のオブジェクト、従来のプリント及びホログラフィック画像に特有であろう。合成倍率画像14は、視差運動を示す代わりに視差直交運動20(通常予想される視差運動方向に垂直である運動)を示す。図2aの右側は、それが水平回転軸16を中心に振動する18に従った単一の合成倍率画像14の視差直交運動を示す一個の材料12の斜視図を描いている。点線の輪郭22は、合成倍率画像14が視差直交によって右に移動した後の位置を示し、点線の輪郭24は、合成倍率画像14が視差直交によって左に移動した後の位置を示している。
【0038】
ユニゾンディープとユニゾンフロートの実施形態の視覚的な効果が、図2b、図2cに等角的に描かれている。図2bは、一個のユニゾンディープ材料26が、観察者30の目で見られるときに立体視ではユニゾンディープ材料26の平面の下にあるように見える合成倍率画像28を提示する。図2cは、一個のユニゾンフロート材料32が、観察者30の目で見られるときに立体視ではユニゾンフロート材料34の平面の上にあるように見える合成倍率画像34を提示する。ユニゾンディープ効果とユニゾンフロート効果は全方位視点位置で、及び垂直仰角(ユニゾンディープ材料26またはユニゾンフロート材料32への観察者30の目の視線方向が材料の表面の垂直であるような)から通常45度未満である浅い仰角まで広範囲の仰角位置で可視である。幅広い範囲の視角と向きでのフロート効果は、ユニゾンディープ材料とユニゾンフロート材料を、円柱形のレンズ状の光学部品またはホログラフィを使用するシミュレーションから区別する、単純且つ簡単な方法を提供する。
【0039】
ユニゾン浮揚実施形態効果が、図2dから図2fに、ユニゾン浮揚材料36の三つの異なる方位角回転における合成倍率画像38の立体視で知覚される奥行き位置を示す等角図、及びこれらに対応する、観察者30の目によって見られるユニゾン浮揚材料36及び合成倍率画像38の平面図によって描かれている。図2dは、前記材料が平面図で図示されるように傾けられているときに立体視的にユニゾン浮揚材料36の下の平面にあるように見える画像として合成倍率画像38(以下「画像」と称する)を描いている。平面図の中の濃い太線は説明のための方位角向きの基準37として示されている。図2dでは、向きの基準37が垂直方向に整列し、画像38が水平方向に整列していることに注意されたい。縮尺比率が、観察者の二つの目の瞳孔を結ぶ線と実質的に平行に位置合わせ(整列)されたユニゾン浮揚材料36の第一の軸に沿って1.000未満であるため(これを以後「立体視縮尺比率」と呼ぶ)、画像38はユニゾンディープ位置に見える。ユニゾン浮揚材料36の立体視縮尺比率はこの第一の軸に垂直な第二の軸に沿って1.000を上回り、それにより第二の軸が図2fに示されているように観察者の目の瞳孔を結ぶ線に実質的に平行に位置合わせされるとき、画像38のユニゾンフロート効果を生じさせる。向きの基準37はこの図の水平位置にあることに注意されたい。図2eはこの方角的向きの立体視縮尺比率が実質的に1.000であるためにユニゾンモーション視差直交画像効果を生じさせるユニゾン浮揚材料36の中間の方角的向きを描く。
【0040】
材料が方角的に回転するにつれてユニゾン浮揚材料36の下(図2d)からユニゾン浮揚材料36の高さ(図2e)まで、及びさらにユニゾン浮揚材料36の上の高さ(図2f)まで移動するユニゾン浮揚画像38の視覚的な効果は、ユニゾン浮揚材料36を従来の印刷情報と結合することにより強化できる。従来の印刷物の変化しない立体視奥行きは、画像38の立体視奥行き移動をさらによく知覚するための基準平面として働く。
【0041】
ユニゾン材料が「ポイント」光源(例えば、スポットライトまたはLEDフラッシュライト)または平行光源(例えば、太陽光)等の強力な指向性の光源によって照明されるとき、アイコンの「影の画像」が見られてよい。これらの影の画像は多くの点で特異である。ユニゾンにより提示される合成画像は、照明の方向が移動するにつれて移動しないが、生じる影の画像は移動する。さらに、ユニゾン合成画像は材料の平面とは異なる視覚面にありうる一方、影の画像はつねに材料の平面上にある。影の画像の色はアイコンの色である。したがって、黒いアイコンは黒い影の画像を生じさせ、緑のアイコンは緑の影の画像を生じさせ、白のアイコンは白の影の画像を生じさせる。
【0042】
照明の角度が移動するにつれての影の画像の移動は、合成画像内に存在する視覚的な効果と同様に、特有の奥行きまたはモーションユニゾン効果に結び付けられる。したがって、光の角度が変化するにつれての影の画像の移動は、視角が変化されるときに合成画像が示す移動に匹敵する。特に、
モーションの影画像は、光源が移動するにつれて視差直交的に移動する。
ディープの影の画像は光源と同じ方向で移動する。
フロートの影の画像は光源の反対の方向に移動する。
浮揚の影の画像は前記の組み合わせである方向で移動する。
即ち、浮揚のディープ影画像は左右方向では光と同じ方向で移動するが、上下方向では光の方向と反対に移動する、又は浮揚フロート影画像は左右方向では光と反対に移動するが、上下方向では光と同じ方向で移動する、又は浮揚モーション影画像は光の移動に対して視差直交運動を示す。
ユニゾンモーフの影画像は、光源が移動するにつれてモーフィング効果を示す。
【0043】
追加的な特異な影の画像の効果は、LED光等の発散する点光源がユニゾンフィルムに向かって移動し、及びユニゾンフィルムから離れるときに見られる。光源がさらに遠いときには、その発散する光線はさらに平行光線に非常に近似し、ディープ、スーパーディープ、フロートまたはスーパーフロートユニゾン合成画像によって生じる影の画像は合成画像とほぼ同じ大きさに見える。光が表面により近くにされると、フロートとスーパーフロートの材料の影の画像は拡大するが、照明が強力に発散的であるためディープ材料とスーパーディープ材料の影の画像は縮小する。これらの材料を集束照明で照明すると、フロート影画像とスーパーフロート影画像は縮小するが、ディープ影画像とスーパーディープ影画像は合成画像より大きなサイズに拡大する。
【0044】
ユニゾンモーション材料の影画像は照明の集束または発散の変更につれて大幅に縮尺を変更せず、むしろ影の画像は照明の中心の回りを回転する。ユニゾン浮揚の影画像は、照明の集束または発散の変化されるときに一方向で縮小し、その垂直方向で拡大する。ユニゾンモーフの影の画像は、照明の集束または発散の変化につれて特定のモーフパターンに特有な様式で変化する。
【0045】
これらの影画像の効果はすべてセキュリティ、偽造防止、ブランド保護用途、及び他の類似した用途のために活用されるユニゾン材料のための追加的な認証方法として使用できる。
【0046】
図3aから図3iは、マイクロレンズの対称的な二次元アレイのさまざまなパターンの多様な実施形態と充填比(fill-factor)を示す平面図である。図3a、図3d及び図3gは、それぞれ正六角形のアレイパターン40で配列されるマイクロレンズ46、52及び60を描いている(破線のアレイパターン線40、42及び44はレンズのパターンの対称を示すが、必ずしもレンズアレイの物理的な要素を表現していない)。図3aのレンズはほぼ円形のベース形状46を有し、図3gのレンズはほぼ六角形のベース形状60を有し、図3dのレンズは角を丸くされた六角形52である中間的なベース形状を有する。レンズ形状の類似する発展がレンズ48、54及び62の正方形のアレイ42に適用され、これらのレンズは、図3b、図3e及び図3hで見られるようにほぼ円形48から角を丸くされた正方形54、ほぼ正方形62に及ぶベース形状を有する。対応して、正三角形アレイ44は、図3c、図3f及び図3iに見られるようにほぼ円形50から角を丸くされた三角形58、ほぼ三角形64に及ぶベース形状を有する。
【0047】
図3aから図3iのレンズパターンは、本システムのために使用できるレンズを代表的に表している。レンズ間の間隙は画像の合成倍率に直接的に寄与しない。これらのレンズパターンの一つを使用して作成される材料も、同じ幾何学形状で、ほぼ同じ縮尺で配列されるアイコン要素のアレイを含み、ユニゾンモーション、ユニゾンディープ、ユニゾンフロート及びユニゾン浮揚の効果を生じさせるために使用される縮度の差異が許容される。図3cに示されているように間隙が大きい場合には、レンズは低い充填比を有するとされ、画像と背景間のコントラストはアイコン要素から散乱する光により減少する。間隙が狭い場合には、レンズは高充填比を有するとされ、画像と背景の間のコントラストが高くなり、レンズ自体に優れた焦点特性をもたらし、アイコン要素はレンズの焦点面の中に含まれる。一般的には、正方形または三角形のベースより、円形またはほぼ円形のベースの高品質の光マイクロレンズを形成する方が容易である。レンズ性能と間隙の最小化の優れたバランスは図3d、つまり角を丸くされた六角形のベース形状を有するレンズの六角形のアレイに示されている。
【0048】
低いF#を有するレンズは、本システムでの使用に特に適している。ここで低F#は4未満を意味し、特にユニゾンモーションの場合、約2以下を意味する。低F#のレンズは、その直径に対して高い曲率及び対応して大きな凹形曲線(サグ:sag)、又は中心の厚さを有する。F#が0.8の典型的なユニゾンレンズは、幅28ミクロン、中心厚さ10.9ミクロンの六角形のベースを有する。直径が50ミクロン、焦点距離が200ミクロンの典型的なドリンクウォーター(Drinkwater)レンズは4というF#と、3.1ミクロンという中心厚さを有する。同じベースサイズに縮小すると、ユニゾンレンズはドリンクウォーターレンズのほぼ6倍の大きさの凹形曲線を有する。
【0049】
出願人は、例えば六角形のベースマルチゾーンレンズ等の多角形ベースのマルチゾーンレンズが円形ベースの球面レンズに優る重要且つ予期しない優位点を有することを発見した。前述されたように、六角形ベースマルチゾーンレンズはそのストレスを緩和する形状のために製造性を大幅に改善するが、六角形ベースのマルチゾーンレンズを使用することにより取得される追加的な予期されていない光学利点がある。
【0050】
それぞれが本発明に異なった独自の優位点を提供する三つの光学ゾーンを所有するために、これらのレンズをマルチゾーンと呼ぶ。三つのゾーンは中心ゾーン(レンズの面積のほぼ半分を構成する)、側面ゾーン及び角ゾーンである。これらの多角形レンズは、中心ゾーンの回りの角ゾーンの内部に描画され、側面ゾーンを含む円の直径である有効直径を有する。
【0051】
本発明の六角形ベースのマルチゾーンレンズの中心ゾーンは、少なくとも同じ直径と焦点距離を有する球面と同様に、光を焦点させる非球面形状(例えば、公称焦点距離が28ミクロンの直径28ミクロンのレンズについて[y=(5.1316E)X4−(0.01679)X3+(0.124931)X+11.24824]によって定められる形状を有する)を有する。図30は高分子基板786(レンズと基板n=1.51)において公称焦点距離が28ミクロン、公称直径28ミクロンの六角形ベースマルチゾーンレンズ784の中心ゾーン780焦点特性782を示し、図31は高分子基板794(レンズと基板n=1.51)において公称焦点距離30ミクロン、直径28ミクロンの球面レンズ792の中心ゾーン788の焦点特性790を示している。これら二つの図の比較は、本開示の六角形マルチゾーンレンズ784も、少なくとも球面レンズ792と同様に機能することを明確に立証している。六角形ベースマルチゾーンレンズ784の中心ゾーン780は、高い画像解像度とさまざまな視角からの浅い被写界深度(shallow depth of field)を提供する。
【0052】
本発明の六角形ベースマルチゾーンレンズ784の六つの側面ゾーン796のそれぞれは、ゾーンの位置に複雑に依存する焦点距離を有するが、その効果は側面ゾーン796の焦点を、図32に描かれているように中心ゾーン焦点の約+/−10パーセントに及ぶ値の範囲798で拡散させることである。焦点のこの垂直方向のぶれ798は、これらのゾーン796内のレンズの被写界深度を効果的に増加し、フラットフィールドレンズ(flat-field lens)を有するのと同等の利点を提供する。球面レンズ792の外側ゾーン800の性能は図33に示されている。焦点802の垂直方向のぶれは、六角形ベースマルチゾーンレンズ784の場合より球面レンズ792の場合は著しく少ない。
【0053】
これはオフノーマル表示にとって特に重要である。つまり増加した被写界深度及び効果的な平坦な視野により、その曲線状の焦点面がアイコン平面から分離されるときに球面レンズで発生する可能性がある突然の画像ピンボケが軽減される。その結果、六角形ベースマルチゾーンレンズを使用するユニゾン材料は、球面レンズを使用する同等なユニゾン材料よりさらに高い視角でより穏やかに焦点からフェードする合成画像を表示する。これは、それにより材料の有効視角が増し、したがってセキュリティ装置または画像プレゼンテーション装置としての実用性が高まるために望ましい。
【0054】
図32の六角形ベースマルチゾーンレンズ784の角ゾーン806は、発散焦点特性を持ち、周囲の照明をアイコン平面上に散乱808することにより、ユニゾン材料の感度を照明状態に合わせて減少させる予期されない利点を提供する。図33の球面レンズ792は、(アイコン平面領域804の中に散乱する光線がないことによって確かめられるように)広い領域で周囲照明を散乱せず、したがって球面レンズを使用して作られるユニゾン材料は、六角ベースマルチゾーンレンズを使用して作られるユニゾン材料より種々の角度から見られるときにより大きな合成画像輝度変化を有する。
【0055】
例示的な六角形ベースマルチゾーンレンズから得られる利点は、六角形ベースマルチゾーンレンズが球面レンズより高い充填比(平面を覆う能力)を有するためにさらに拡大される。球面レンズ間の間隙は事実上周辺光の散乱をもたらさないが、この非散乱領域は六角形ベースマルチゾーンレンズの場合はるかに小さい。
【0056】
したがって、従来の光学規格によって評価されたとき六角形ベースマルチゾーンのレンズの焦点特性が球面レンズの焦点特性より劣っているとしても、本発明の状況においては、六角形ベースマルチゾーンレンズは球面レンズに優る予期されていない利点及び優位点を提供する。
【0057】
いずれかのタイプのレンズは、アイコン平面上への周囲照明の散乱を強化するために、散乱微細構造またはレンズ間隙空間の中に導入される、あるいは組み込まれる散乱物質を追加することにより利益を得ることができる。さらにレンズ間隙空間は、周辺照明をアイコン平面上に導くために集束するまたは発散する焦点特性の小半径の凹凸(メニスカス)レンズを形成する材料で充填できる。これらの方法は例えば光散乱粒子をレンズ間隙凹凸レンズ充填材料の中に組み込むことによって結み合わされてよい。代替的に、レンズ間隙ゾーンは最初から適切な散乱レンズ間隙ゾーンを用いて製造されてもよい。
【0058】
フィルムの表面とレンズの端縁間の高い接触角度が、製造中に工具からレンズを分離するためにかけられる力の応力(ストレス)集中部として働くため、これらの比率を有する球面レンズは製造が非常に困難である。これらの高いストレスはレンズのフィルムへの付着を失敗させ、工具からのレンズの取り外しを失敗させる傾向がある。さらに、低F#の球面レンズの光学性能はレンズの中心から離れる半径方向のゾーンについて徐々に危うくなる。つまり低F#の球面レンズはそれらの中心ゾーン近く以外では十分に焦点が合わない。
【0059】
六角形ベースレンズは、さらにほぼ円形のベースを有するレンズに対して予期されていない重要な利点を有する。つまり、六角形のレンズは、ほぼ円形のベースの光学的に同等なレンズより低い剥離力で工具から取り外される。六角形のレンズは、その中心近くでほぼ軸対称な形状から、六角形に対称な形状に融合する形状を、ベースで応力集中部として働く角とともに有する。鋭いベース角により引き起こされる応力の集中により、レンズを製造中にそれらのモールドから分離するために必要とされる全体的な剥離力が削減される。この効果はかなりの大きさである。製造中の剥離力は、ほぼ円形のベースレンズに比較して、六角形ベースのレンズの場合2または3以上の係数で、削減できる。
【0060】
材料の画像コントラストは、不透明な有色の光を吸収する(濃い色の)材料でレンズ間隙空間を充填することにより強化することができ、これは事実上、レンズのためのマスクを形成する。これによりレンズ間隙空間を通じてアイコン層から散乱する光から生じるコントラストの減少が低減される。この間隙充填による追加的な効果は、入射する周囲照明が間隙を通ってアイコン平面に通過するのが遮られるために画像全体がより暗くなるという点である。その周辺に迷走集束を有するレンズにより生じる画像の明瞭性も、この充填剤が迷走周辺レンズゾーンを閉塞する不透明な有色素性の間隙充填剤により改善できる。
【0061】
別の効果は間隙空間を白または明るい色の材料、あるいはユニゾン材料に使用される基板に色が一致する材料で充填することにより得られる。明るい色のレンズ間隙充填が十分に濃密であり、アイコン平面がアイコン要素と背景の間で強力なコントラストを有している場合、ユニゾン合成画像は、反射光で見られるときには実質的に非可視であり、レンズ側から透過光で見られるときにははっきりと可視であるが、アイコン側から見られるときには不可視となる。これにより透過光でのみ可視で、一方の側からだけ可視である一方向透過画像を有するという新規なセキュリティ効果が提供される。
【0062】
蛍光材料は、追加的な認証手段を提供するために、可視光顔料の代わりに、あるいは可視光顔料に加えて、レンズ間隙コーティングに使用できる。
【0063】
図4は、本材料の軸に沿った立体視縮尺比率、SSR(アイコン要素反復周期/レンズアレイ反復周期)を変更したときの効果を図示する。1.0000より大きいSSRを有するシステムのゾーンはユニゾンフロート効果とスーパーフロート効果を生じさせ、実質的に1.0000を有するゾーンはユニゾンモーション視差直交運動(OOPM)効果を生じさせ、1.0000未満のSSRを有するゾーンはユニゾンディープ効果とユニゾンスーパーディープ効果を生じさせる。システムフィルムの軸に沿って変動させることにより、これらの効果のすべてを生じさせ、種々の方法で一方から別の方へ遷移させることができる。この図は、無限の種々のこのような組み合わせの一つを描いている。破線66は、実質的に1.0000に一致するSSR値、ユニゾンディープとユニゾンスーパーディープ、及びユニゾンフロートとユニゾンスーパーフロートの間の分界線、及びOPMを示すSSR値を示している。ゾーン68では、ユニゾン材料のSSRは0.995であり、ユニゾンディープ効果を生じさせる。
【0064】
これに隣接しているのは、SSRが0.995から最大1.005まで傾斜し、ユニゾンディープからユニゾンフロート効果への空間的な遷移を生じさせるゾーン70である。次のゾーン72のSSRは1.005であり、ユニゾンフロート効果を生じさせる。次のゾーン74はユニゾンフロート効果からユニゾンディープ効果への下方への円滑な遷移を生じさせる。ゾーン76はユニゾンディープ効果から上方に段階的にOPMに、ユニゾンフロート効果に進み、ゾーン78でOPMに段階的に戻る。これらの効果を達成するために必要とされる反復周期の変化は、通常、アイコン要素層の中で最も容易に実現される。合成倍率画像を実質的に類似したサイズに保つために、各ゾーンの中でSSRを変化させることに加え、アレイの各ゾーンの回転角度を、好ましくはアイコン要素アレイの範囲内で変えることが望ましい。
【0065】
このグラフを解釈する最も簡単な方法は、それを一個の本システム材料のこの軸全体で知覚されるだろう立体視奥行きの断面として見ることである。したがって、立体的に彫刻された画像の視野、つまり輪郭が付けられた視覚的な表面を、SSRの局所的な制御により、及びオプションとして対応するアレイ回転角度の局所的な制御により作成することができる。この立体的に彫刻された表面は、人間の顔を含む無制限の範囲の形状を表すために使用できる。立体的に彫刻されたグリッド、つまり周期的ドットの効果を生じさせるアイコン要素のパターンは、複雑な表面を視覚的に表示するための特に効果的な方法でありうる。
【0066】
図5aから図5cは、本システムの材料の製造において一方のアレイパターンを他方に関して回転させる効果を描く平面図である。図5aは、アレイ軸の角度の大きな変化がない規則正しい周期的なアレイ間隔82を有するレンズアレイ80を示す。図5bは、アレイ軸方位角度86が漸次的に変化するアイコン要素アレイ84を示す。レンズアレイ80が、図示されているように、レンズアレイをアイコンアレイの上に平行移動させることによりアイコン要素アレイ84と結み合わされる場合、結果として生じる近似する視覚効果が図5cに示されている。図5cでは、レンズアレイ80とアイコンアレイ84を結合することにより作成された材料88が、材料全体で縮尺と回転が変化する合成倍率画像89,90、91のパターンを作成する。材料88の上端縁に向かって、画像89は大きく、わずかな回転を示している。画像90は、材料88の中上部に向かって小さくなり、画像89に関してかなりの角度で回転される。画像89と91の間のさまざまな縮尺と回転はレンズパターン82とアイコン要素パターン86の角度のある非整列(位置ずれ)における差異の結果である。
【0067】
図6aから図6cは、一つの合成倍率OPM画像98を別の合成倍率画像102に、第一の画像がアイコン要素パターン92と94内で境界104を横切って移動するにつれて、モーフィングさせるための方法を描く。アイコン要素パターン92は、拡大された差込図96に示される円形のアイコン要素98を持っている。アイコン要素パターン94は、拡大された差込図100に示されている星形のアイコン要素102を持っている。アイコン要素パターン92と94は別々のオブジェクトではないが、その境界104で接合されている。材料がアイコン要素のこの結合パターンを使用して組み立てられるとき、結果として生じるOPM画像は図6bと図6cに描かれているモーフィング効果を示すであろう。図6bは、境界104を横切って右107に移動し、右に移動するにつれ星画像102が境界から出現するOPM円形画像98を示している。画像106は、遷移中であり、それが境界を越えるときの部分円及び部分星である。図の図6cは、画像がさらに右に移動した後の画像を示している。つまり画像98が今度は境界104にさらに近づいており、画像106は円から星へのその変型を完了するために境界をほとんど完全に越えている。モーフィング効果は、確かな(hard)境界104を有する代わりに一方のアイコン要素パターンから他方への遷移ゾーンを作成することにより、より突然ではなく達成できる。遷移ゾーンでは、アイコンは一連の段階を通して徐々に円から星に変化するであろう。結果として生じるOPM画像の視覚的なモーフィングの円滑さは遷移に使用される段階の数に依存するだろう。画像的な可能性の範囲は無限である。例えば、遷移ゾーンは、円が収縮する一方、鋭い星の一点がそこから突出してくるように見えるように、あるいは代わりに円の側面が内向きに窪んでずんぐりした星を生成し、それが最終的なデザインに到達するまで漸次鋭くなっていくように設計できる。
【0068】
図7aから図7cは、アイコン要素の代替的実施形態を描く本システムの断面である。図7aは光学スペーサ5によってアイコン要素108から分離されるレンズ1を有する材料である。アイコン要素108は光学スペーサ5の下面に塗布される無色、有着、薄い色の付いた、あるいは染料のパターンにより形成されている。この種のアイコン要素108を付着させるためには、印刷解像度が十分に細かい限り、インクジェット、レーザジェット、凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、及び凹版印刷等の多数の一般的な印刷方法のいずれもが使用できる。
【0069】
図7bは、アイコン要素112の別の実施形態を用いた類似した材料システムを描いている。この実施形態では、アイコン要素は支持材料110に埋め込まれている顔料、染料、または粒子から形成される。この実施形態の支持材料110内のアイコン要素112の例は、写真乳剤としてのゼラチンの中の銀粒子、インクレセプタまたはコーティングに吸収された有色素性のまたは染色されたインク、染料レセプタコーティングの中への染料昇華転写、及び画像形成フィルムの光発色(フォトクロミック)性画像または熱発色(サーモクロミック)性画像を含む。
【0070】
図7cは、アイコン要素114を形成する微細構造手法を描いている。この方法には、ほとんど無制限の空間解像度という利点がある。アイコン要素114は、微細構造113または立体(ソリッド)領域115の中の間隙から、単独であるいは組み合わせで形成できる。間隙(void)113はオプションで、蒸着金属、異なる屈折率を有する材料、あるいは染料または有色素材料等の別の材料で充填またはコーティングできる。
【0071】
図8a、図8bは、アイコン要素のポジティブな実施形態とネガティブな実施形態を描く。図8aは、透明な背景118を背にして着色された、染められた、あるいは有色素性120のポジティブなアイコン要素116を示している。図8bは、着色された、染められたあるいは有色素性の背景120を背にして透明118であるネガティブなアイコン要素122を示している。本システムの材料はポジティブとネガティブの両方のアイコン要素をオプションとして組み込んでよい。ポジティブなアイコン要素とネガティブなアイコン要素を作成するこの方法は、図7cの微細構造アイコン要素に特によく適応される。
【0072】
図9は、本システムのピクセルゾーン材料の一実施形態の断面図を示す。本実施形態は、短い焦点を有するレンズ124のあるゾーンと、長い焦点136を有するレンズのある他のゾーンを含む。短焦点レンズ124は、レンズ124の焦点面に配置されているアイコン平面128内のアイコン要素129の画像123を投射する。長焦点レンズ136は、レンズ136の焦点面に配置されているアイコン平面132内のアイコン要素137の画像134を投射する。光学分離体126は、端焦点レンズ124をその関連付けられるアイコン平面128から分離する。長焦点レンズ136は、光学分離体126、アイコン平面128、及び第二の光学分離体130の厚さの合計分、その関連アイコン平面132から分離される。第二のアイコン平面132内のアイコン要素137は短焦点レンズ124の焦点深度外であるため、短焦点レンズゾーンで明確な合成倍率画像を形成しない。同様に、アイコン要素129は長焦点レンズ136に近すぎて、明確な合成倍率画像を形成できない。したがって、長焦点レンズ136を支える材料のゾーンはアイコン要素137の画像134を表示する一方、短焦点レンズ124を支える材料のゾーンはアイコン要素129の画像123を表示する。投射される画像123と134は、デザイン、色、OPM方向、合成倍率係数、及び前述されたディープ、ユニゾン、フロート、及び浮揚の効果を含む効果において異なっていてよい。
【0073】
図10は、本システムのピクセルゾーン材料の代替的な実施形態の断面図である。この実施形態は、持ち上げられていないレンズ148のベースの上に、レンズサポートメサによって持ち上げられたレンズ140のあるゾーンを含む。持ち上げられたレンズ140の焦点距離は距離158であり、これらのレンズの焦点は第一のアイコン平面152に配置される。持ち上げられていないレンズ148の焦点距離148は距離160であり、これらのレンズの焦点は第二のアイコン平面156に置かれる。これらの二つの焦点距離158と160は類似するように、または異なるように選択されてよい。持ち上げられたレンズ140はレンズ140の焦点面に配置されるアイコン平面152のアイコン要素162の画像138を投射する。持ち上げられていないレンズ148は、レンズ148の焦点平面に配置されるアイコン平面156のアイコン要素164の画像146を投射する。持ち上げられたレンズ140は、レンズサポートメサ144と光学分離体150の厚さの合計だけその関連するアイコン要素162から分離される。持ち上げられていないレンズ148は、光学分離体150、アイコン層152、及びアイコン分離体154の厚さの合計でその関連するアイコン要素164から分離される。第二のアイコン平面156内のアイコン要素164は持ち上げられたレンズ140の焦点深度外にあるため、持ち上げられたレンズゾーンで明確な合成倍率画像を形成しない。同様に、アイコン要素152は持ち上げられていないレンズ148に近すぎるので、明確な合成倍率画像を形成しない。したがって、持ち上げられていないレンズ136を支える材料のゾーンはアイコン要素156の画像146を表示するであろう一方、持ち上げられたレンズ140を支える材料のゾーンはアイコン要素162の画像138を表示するであろう。投射される画像138と146は、デザイン、色、OPM方向、合成倍率係数、及びディープ、ユニゾン、フロート及び浮揚の効果を含む効果において異なっていてよい。
【0074】
図11a、図11bは、本システムの非屈折実施形態を描く断面図である。図11aは、アイコン要素172の画像174を投射するために屈折レンズの代わりに焦点反射器166を使用する実施形態を描く。アイコン層170は観察者の目と集光光学部品の間にある。焦点反射器166は、高い集光効率を得るために金属化167できる。アイコン層170は光学分離体168によって反射器の焦点距離に等しい距離に維持される。図11bは、この材料のピンホール光学部品実施形態を開示する。コントラストの強化のために好ましくは色が黒の不透明な上層176は、開口178によって貫通されている。光学分離体要素180がシステムの視野を制御する。アイコン層182の中のアイコン要素184はピンホールカメラのピンホール光学部品に類似した方法で開口178を通して結像される。開口を通過する光量が少ないために、本実施形態は、光が最初にアイコン平面182を通過し、次に開口178を通過するように背面照明されるときに、最も効果的である。前述された実施形態のそれぞれの効果、つまりOPM、ディープ、フロート、及び浮揚は、反射システムの設計またはピンホール光学部品システムの設計のいずれを使用しても作成できる。
【0075】
図12a、図12bは、全屈折材料188の構造をハイブリッド屈折/反射材料199と比較する断面図である。図12aは、マイクロレンズ192がアイコン平面194から光学分離体198によって分離されている例示的な構造を描いている。オプションとしての密封層195は、屈折システムの総厚さ196に寄与する。レンズ192は、観察者(不図示)に向かってアイコン画像190を投射する。ハイブリッド屈折/反射材料199は、その直下にアイコン平面208があるマイクロレンズ210を含む。光学スペーサ200はレンズ210とアイコン平面208を反射層202から分離する。反射層202は、蒸着された、またはスパッタリングされたアルミニウム、金、ロジウム、クロミウム、オスミウム、劣化ウランまたは銀により、化学的に蒸着された銀によって、あるいは多層干渉フィルムによって金属化できる。アイコン層208から散乱する光は反射層202から反射し、アイコン層208を通過して、観察者(不図示)に向かって画像206を投射するレンズ210の中に入る。これらの図の両方とも、ほぼ同じ縮尺で図示されている。目視による比較によって、ハイブリッド屈折/反射システム199の総システム厚さ212は、全屈折システム188の総システム厚さ196の約半分であることが分かる。同等なシステムの例示的な寸法は総反射システム188厚さ196では29μであり、総ハイブリッド屈折/反射システム199厚さ212の場合17μである。屈折/反射システムの厚さはさらにスケーリングにより削減できる。したがって、レンズ直径15μを有するハイブリッドシステムは、約8μの総厚さで作ることができる。前述された実施形態のそれぞれの効果、つまりOPM、ディープ、フロート、浮揚、モーフ、及び3−Dは、ハイブリッド屈折/回折設計を使用して作成できる。
【0076】
図13は、本システムの「peel−to−reveal(剥がすと表示される)」タンパー表示材料を示す断面である。この実施形態は、それが不正に変更されるまで画像を表示しない。不正に変更されていない構造は領域224内に示され、屈折システム214が、基板218と、レンズ215と共形である剥離可能な(peelable)層220からなる最上層216の下に光学的に埋められている。剥離可能な層220は、事実上、正のレンズ215に適合し、その光学能力を無効にする負のレンズ構造220を形成している。レンズ215は、不正に変更されていない領域内ではアイコン層の画像を形成できず、アイコン平面から散乱する222光は焦点されない。最上層215はオプションとしてフィルム基板218を含んでよい。領域226に示されているタンパーにより、最上層216が屈折システム214から解離され、レンズ215を露出することによりそれらが画像228を形成できるようになる。前述された実施形態のそれぞれの効果、つまりOPM、ディープ、フロート及び浮揚は、図13のタイプのタンパー表示「peel−to−reveal」システムに含まれることができる。
【0077】
図14は、本システムの「peel−to−change(剥がすと変更される)」タンパー表示材料の実施形態を描く断面図である。この実施形態は、タンパー(不正変更)252の前には第一のアイコン平面242の第一の画像248を表示し、次にそれが不正変更された後は領域254での第二の画像258を表示する。不正に変更されていない構造は領域252で示され、二つの屈折システム232と230が積み重ねられている。第一のアイコン平面242は第二のシステムのレンズ240の下に位置する。領域252内でのタンパーの前に、第一の、つまり上部のシステム232が第一のアイコン平面242の画像を提示する。第二のアイコン平面246はレンズ234の焦点深度から遠くに外れすぎているので明確な画像を形成できない。第一のレンズ234は、オプションとして基板236と第二のレンズ240と共形である剥離可能な層238によって第二のレンズ240から分離されている。剥離可能な層238は、事実上、正のレンズ240上に適合し、その光学的能力を無効にする負のレンズ構造238を形成する。最上層232は、オプションとしてフィルム基板236を含んでよい。不正変更の結果、領域254に示されている最上層232が、第二の屈折システム230から剥がされる(256)ことにより、第二のレンズ240が露出され、それらが第二のアイコン層246の画像258を形成できるようになる。第二のレンズ240は、アイコン層がレンズ240に近すぎるために第一のアイコン層242の画像を形成しない。
【0078】
タンパー表示材料の本実施形態は、品物に付けられるテープまたはラベルとしての用途によく適している。不正変更は最上層232を解離させ、第二のシステム230を品物に付着したままにする。不正変更の前には、本実施形態は第一の画像248を提示する。不正変更254の後には、剥がされた層256は画像をまったく提示しないが、依然として品物に取り付けられている第二のシステム230は第二の画像258を提示する。前述された実施形態のそれぞれの効果、OPM、ディープ、フロート、及び浮揚は、第一のシステム232または第二のシステム230のいずれにも含まれることができる。
【0079】
図14の効果に類似する効果を達成する代替的な実施形態は、二つの別々のシステムを互いに積層させることに注意されたい。この実施形態では、上層が剥がされると、それは第一のアイコン平面とそれに伴うその画像(複数の場合がある)が外され、第二のシステム及びその画像(複数の場合がある)を明らかにする。
【0080】
図15aから図15dは、本システムの様々な両面実施形態を示す断面図である。図15aは、一方の側でレンズ262によって結像268され、反対側で第二のレンズ266のセットによって結像270される、単一のアイコン平面264を含む両面材料260を描いている。左側から見られる画像268は(図示されるように)、右側から見られる画像270の鏡像である。アイコン平面264は、鏡像で同様に見えるシンボルまたは画像であるアイコン要素、または鏡像で異なって見えるアイコン要素、あるいはアイコン要素の一部は、一方の側から見られるときに正しく読み取られ、他方のアイコン要素は、他方の側から見られるときに正しく読み取られるようなアイコン要素の組み合わせを含んでよい。前述された実施形態のそれぞれの効果、つまりOPM、ディープ、フロート及び浮揚は、本実施形態に従って両面材料のいずれの側面からも表示できる。
【0081】
図15bは、2セットのレンズ274と280のそれぞれによって、それぞれ結像(282及び286)される、二つのアイコン平面276と278を有する別の両面実施形態272を描く。この実施形態は、本体、図1aに描かれているような二つの別々のシステム287と289であり、それらの間のアイコン層スペーサ277により共に接合されている。このアイコン層スペーサ277の厚さがレンズのセットによって「間違った」アイコン層が結像(284及び288)される程度を決定する。例えば、アイコン層スペーサ277の厚さがゼロであり、その結果アイコン層276と278が接している場合、両方のアイコン層はレンズ274と280の両方のセットにより結像される。別の例では、アイコン層スペーサ277の厚さが実質的にレンズ274と280の焦点深度より大きい場合には「間違った」アイコン層はレンズ274と280によって結像されない。さらに別の例では、レンズ274の一方のセットの焦点深度が大きいが、レンズの他方のセットの焦点深度が小さい場合(レンズ274と280が異なるF#を有するために)、両方のアイコン平面276と278ともレンズ274を通して結像282されるが、一方のアイコン平面278だけがレンズ280を通して結像されるため、この種の材料は一方の側からは二つの画像を示すが、反対側からは、それらの画像の内の一方の鏡像だけしか示さない。前述された実施形態のそれぞれの効果、OPM、ディープ、フロート及び浮揚は、本実施形態に従って両面材料のいずれの側面からも表示でき、投射される画像282と286は同じ色であっても異なる色であってもよい。
【0082】
図15cは、材料の片側にあるレンズがアイコンの「間違った」セットを見るのを遮る有色素アイコン層スペーサ298を有するさらに別の両面材料290を示している。レンズ292はアイコン層296を結像294するが、有色素アイコン層298が存在するためにアイコン層300は結像できない。同様に、レンズ302はアイコン層300を結像304するが、有色素アイコン層298が存在するためにアイコン層296は結像できない。前述された実施形態のそれぞれの効果、つまりOPM、ディープ、フロート、及び浮揚は、本実施形態に従って両面材料のいずれの側面からも表示でき、投射される画像294と304は同じ色であっても異なる色であってもよい。
【0083】
図15dは、アイコン層314を結像318するレンズ308と、アイコン層310を結像322する反対側のレンズ316を有するさらなる両面材料306の実施形態を開示している。アイコン層310は、レンズ308のベースに近い、または実質的に接しており、アイコン層314はレンズ316のベースに近い、または実質的に接している。アイコン310はレンズ308に近すぎて画像を形成できないため、それらの光は集束する代わりに散乱320する。アイコン314はレンズ316に近すぎて画像を形成できないため、それらの光は集束する代わりに散乱324する。前述された実施形態のそれぞれの効果、つまりOPM、ディープ、フロート及び浮揚は本実施形態に従って両面材料のいずれの側からも表示でき、投射される画像318と322は同じ色であっても異なる色であってもよい。
【0084】
図16aから図16fは、グレイスケールまたは色調アイコン要素、ならびに以後の合成倍率画像を本システムで作成するための三つの異なる方法を図解する断面図と対応する平面図である。図16aから図16cは、光学分離体309の一部及び透明な微細構造アイコン層311の部分を含む材料307のアイコン側の断面詳細である。アイコン要素は、浅浮き彫り面313、315、317として形成され、次いで有色素材料または染料323、325、327でそれぞれ充填される。アイコン層の下面はオプションとして、透明、薄い色が付いた、着色された、染色された、または有色素性、または不透明であってよい密封層321によって密封されてよい。アイコン要素の浅浮き彫り微細構造313、315及び317は、平面図で見られるようなアイコン要素の光学濃度の変動を生じさせるような、染色されたまたは有色素性の充填材料323、325、及び327の厚さの変動をそれぞれ提供する。アイコン要素323、325、及び327に対応する平面図は平面図337、339、及び341である。この方法をグレイスケール合成倍率画像または色調合成倍率画像を作成するために使用することはここに開示されている例の詳細に限定されず、一般的には無制限の種々のグレイスケール画像を作成するため適用されてよい。
【0085】
図16aはアイコン要素313、染色された、または有色素性のアイコン要素充填313、及び対応する平面図337を含む。この図の上部のアイコン平面の断面図はアイコン要素を通る一つの切断面を示すだけである。切断面の位置は、平面図337、339、及び341を通る破線319によって示されている。したがって、アイコン要素313の断面は、実質的に半球形のアイコン要素を通る一つの平面である。充填323の全体的な染料または顔料の密度を適切に制限することにより、染色されたまたは有色素性の充填323の厚さの変動が、平面図337に表されている色調の変動またはグレイスケールの変動、光学濃度の変動を生じさせる。この種のアイコン要素のアレイは、同等なグレイスケール変動を示す画像を生じさせるために本材料システム内で合成拡大できる。
【0086】
図16bは、アイコン要素315、染色されたまたは有色素性のアイコン要素充填325、及び対応する平面図339を含む。平面図339は、アイコン要素315が表面の浅浮き彫り表現であることを示している。表面の画像の色調の変動は、断面図における複雑な厚さの変動325により示されるように複雑である。アイコン要素313に関して開示されているように、この種のアイコン要素のアレイは、315、325及び339によって示されるように、この例では表面の画像を表現する同等なグレイスケール変動を示す画像を生じさせるために本材料システム内で合成拡大できる。
【0087】
図16cは、アイコン要素317、染色されたまたは有色素性の充填327、及び対応する平面図341を含む。前記図16a、図16bの説明に類似した方法で、このアイコン要素構造の浅浮き彫り形状は染色され有色素性の充填327の外観における、及び本材料システムにより生じる合成倍率画像における色調変動を生じさせる。アイコン要素317は、丸みを帯びた表面に暗い中心を生じさせるアイコン要素313の効果に比較して、丸みを帯びた表面で明るい中心を作成するための方法を図示している。
【0088】
図16d、図16eは、高屈折率材料328でコーティングされるアイコン要素329と331を含む透明な浅浮き彫り微細構造アイコン層311の別の実施形態326を開示する。アイコン層311は、それぞれアイコン要素329と331、330と332を充填するオプションとしての密封層321で密封できる。高屈折率層328は、全反射によりそれらから反射を生じさせることによって傾斜面の視認性を強化する。平面図342と344はアイコン要素329と331とそれらの合成倍率画像の外観の代表的な画像を提示する。この高屈折率コーティング実施形態は、アイコン及びその画像を可視にするために顔料または染料を追加することなく一種のエッジ強化効果を提供する。
【0089】
図16fは、この相界面334微細構造に視覚的な定義を与えるために、空気、ガス、または液体体積336を使用する、透明な浅浮き彫り微細構造アイコン335のさらに別の実施形態333を開示する。オプションとしての密封層340は、空気、ガス、または液体体積336を捕捉するためのオプションとしての接着剤338を使用して、または使用せずに追加されてよい。相界面アイコン要素の視覚効果は、高屈折率コーティング済みアイコン要素329と331の視覚効果に類似している。
【0090】
図17aから図17dは、I.D.カードと運転免許証等の製造で使用されてよい、印刷情報と組み合わせた積層フィルムとしての本システムの使用を示す断面図であり、材料348(前述された調整されたレンズと画像のマイクロアレイからなる)は表面のかなりの割合をカバーする。図17aは、印刷物347上で積層品として使用されているユニゾンの実施形態を描いている。アイコン層に少なくとも何らかの光透明性を有する材料348は、積層接着剤350を用いて紙または紙の代替物等の繊維質の基板354に積層され、繊維質基板354に予め付与された印刷要素352をカバーする、または部分的にカバーする。材料348は少なくとも部分的に透明であるため、印刷要素352はそれを通して見られることができ、この組み合わせの効果は静的印刷物と組み合わせて本システムの動的画像効果を提供することである。
【0091】
図17bは、高分子フィルム等の非繊維質基板358に付与される印刷要素352上の積層品として使用されるシステム材料の実施形態を示す。図17aにおいてのように、アイコン層内で少なくともなんらかの光透明性を有する材料348は、積層接着剤350を用いてポリマー、金属、ガラス、またはセラミック代替物等の非繊維質基板358に積層され、非繊維質基板354に予め付与された印刷要素352をカバーするまたは部分的にカバーする。材料348は少なくとも部分的に透明であるため、印刷要素352はそれを通して確かめられることができ、この組み合わせの効果は、静的印刷物と組み合わせて動的画像効果を提供することである。
【0092】
図17cは、材料360のレンズ側で直接的に印刷要素を使用することを図示している。この実施形態では、材料348は印刷要素352をレンズ上部の表面にじかに取り付けられる。この実施形態は、材料が少なくとも部分的に透明であることを必要としない。印刷要素352は材料の上部にあり、動的画像要素は印刷要素の周囲で確かめられることができる。この実施形態では、材料348は、貨幣、IDカード、及び認証を必要とするあるいは別の品物に認証を提供するその他の品物等の最終製品の基板として使用される。
【0093】
図17dは少なくとも部分的に透明な材料362のアイコン側で直接に印刷要素を使用することを描いている。印刷要素352は少なくとも部分的に透明なシステム材料348のアイコン層または密封層にじかに付与される。システム材料348は少なくとも部分的に透明であるため、印刷要素352はそれを通して確かめられることができ、この組み合わせの効果は静的印刷と組み合わせて動的画像効果を提供することである。本実施形態では、システム材料348は、貨幣、IDカード、及び認証を必要とするまたは別の品物に認証を提供するその他の品物等の最終製品の基板として使用される。
【0094】
図17aから図17dの実施形態のそれぞれは、単独でまたは組み合わせて使用できる。したがって、例えば、システム材料348は、重ね刷り(図17c)と裏面印刷(図17d)の両方を行うことができ、次にオプションとして基板上の印刷の上に積層できる(図17a、図17b)。これらのような組み合わせは、本発明の材料の偽造防止、シミュレーション、及び不正加工防止をさらに強化できる。
【0095】
図18aから図18は、印刷情報と組み合わせた、本発明の多様な基板に対する適用、あるいは多様な基板への組み込みを描く断面図である。図18aから図18fの実施形態は、図17aから図17dの実施形態とは異なり、前の図が品物の大部分またはすべてをカバーするシステム材料348を開示するのに対し、本図は、システム材料またはその視覚的効果が表面全体を実質的にカバーせず、むしろ表面の一部だけをカバーする実施形態を開示する。図18aは、接着剤要素366で繊維質または非繊維質の基板368に付着される一個の少なくとも部分的に透明なシステム材料364を描いている。オプションとしての印刷要素370は、材料364のレンズ上部の表面にじかに適用される。印刷要素370は、一個の材料364を越えて伸張するさらに大きなパターンの一部であってよい。該材料364の一片は、材料364の適用前に繊維質または非繊維質の基板に適用された印刷要素372上にオプションとして積層される。
【0096】
図18bは、ウィンドウとして非光学基板378の中に組み込まれる片面システム材料364の実施形態を描いており、該システム材料364の端縁の少なくともいくつかが捕捉され、カバーされ、あるいは非光学基板378によって封入されている。印刷要素380は、オプションとしてシステム材料レンズ表面の上部に適用されてよく、これらの印刷要素は印刷要素380に隣接する領域内の非光学基板378に適用される印刷要素382と位置合わせされて、あるいは一致していてよい。同様に、印刷要素384は、システム材料364のアイコンまたは密封層388に適用される印刷要素386に位置合わせされるか、又は一致するように、非光学基板の反対側に適用できる。この種のウィンドウの効果は、材料がレンズ側から見られるときに明確な画像を提示し、アイコン側から見られるときには画像を提示しない、一方向の画像効果を提供することである。
【0097】
図18cは、システム材料306が両面材料306である点を除き、図18bの実施形態に類似した実施形態を示している(あるいは前述されたものとは別の両面実施形態である)。印刷要素390、392、394及び396は実質的に前述された印刷要素380、382、384、386の機能に対応している。この種の材料ウィンドウは、材料が反対の側面から見られるときに異なる明確な画像を提示することであろう。例えば、紙幣用紙に組み込まれるウィンドウは、紙幣の表側から見られるときには「10」等の紙幣の数値単位を表示できるであろうが、紙幣の裏側から見られるときには、ユニゾンウィンドウが、第一の画像と同じ色、または別の色である可能性がある「アメリカ合衆国」等の別の情報を提示できるであろう。
【0098】
図18dは、限られた範囲のレンズ374のゾーン及びレンズ374のゾーンの周辺を実質的に越えて伸張するアイコン層376により形成される材料のための光学スペーサとして働く透明な基板373を描いている。この実施形態では、本効果は、レンズとアイコンの両方を含むそのゾーン(この図ではレンズゾーン374に対応する)だけで可視となる。レンズ374と隣接する基板の両方ともオプションとして印刷375されてよく、印刷要素もアイコン層376に、またはアイコンをカバーするオプションとしての密封層(この図では示されていない。図1参照)にも適用されてよい。本実施形態の方法の後に複数のレンズゾーンが品物で使用できる。つまりレンズゾーンがどこに配置されても、ユニゾン効果は確認できる。画像のサイズ、回転、立体視奥行き位置、及びOPM特性は、レンズゾーンごとに異なっていてよい。この実施形態は、IDカード、クレジットカード、運転免許証、及び類似する用途に対する適用によく適している。
【0099】
図18eは、アイコン平面402がレンズゾーン400の範囲を実質的に越えて伸張していないという点を除き、図18dに類似する実施形態を示す。光学スペーサ398は、アイコン402からレンズ400を分離する。印刷要素404と406は図18dの印刷要素375と377に対応する。複数のゾーン400が、本実施形態の方法の後に品物に対して使用できる。各ゾーンは別々の効果を有することができる。この実施形態はIDカード、クレジットカード、運転免許証、及び類似する用途に対する適用によく適している。
【0100】
図18fは、本実施形態がアイコン平面410からレンズ413を分離する光学スペーサ408を組み込むという点を除き、図18dに類似する実施形態を描く。レンズ413は、アイコンゾーン412の周辺を実質的に越えて伸張する。印刷要素414と416は、図18dの印刷要素375と377に対応する。複数のレンズゾーンが、本実施形態のこの方法の後に品物に対して使用できる。レンズゾーンがどこに配置されても、本効果は確かめられる。画像のサイズ、回転、立体視奥行き位置、及びOPM特性はレンズゾーンごとに異なっていてよい。本実施形態は、IDカード、クレジットカード、運転免許証、及び類似する用途に対する適用によく適している。
【0101】
図19a、図19bは、それぞれが前述したタイプの構成に組み込まれている場合の、球面レンズの焦点野(in-focus field)と、フラットフィールド(flat-field)非球面レンズの焦点野を比較する断面図を描く。図19aは、前述されたようにシステム内で適用される実質的な球面レンズを描く。実質的球面レンズ418は、光学スペーサ420によってアイコン平面422から分離される。材料の表面に垂直に投射される画像424は、アイコン層412内の焦点426で発生する。焦点426がアイコン層422内にあるために、画像424は鋭く焦点が合っている。レンズが斜角から見られるときには、対応する焦点430はもはやアイコン平面内になく、かなりの距離だけ平面の上に位置するために、画像428はぼやけており、焦点が合っていない。矢印432は、426から430への焦点の湾曲運動に同等なこのレンズのフィールド湾曲を示している。焦点はゾーン434全体でアイコン平面内にあり、次いでゾーン436ではアイコン平面の外に移動する。印刷された画像またはアイコンの平面と協調した用途によく適しているレンズは、通常低い、典型的には1未満のF#を有し、非常に浅い焦点深度を生じさせる――より高いF#レンズは実際にはディープ効果及びフロート効果には使用できるが、ユニゾンモーション効果とともに使用されるときにここに説明されている効果との比例する垂直的両眼視差(vertical binocular disparity)を引きおこす。焦点深度の下限がアイコン平面の外に移動するとすぐに、画像明瞭性は急速に低下する。この図から、実質的に球面のレンズのフィールド湾曲が画像の視野を制限することが分かる。つまり、画像は焦点が合っているゾーン434内だけで明確であり、より斜めの視角では急速に焦点が外れていく。実質的に球面のレンズはフラットフィールドレンズではなく、これらのレンズのフィールド湾曲は低F#レンズのために増幅される。
【0102】
図19bは、本システムに適用されるような非球面レンズを描く。非球面レンズとして、その曲率は球形に近似されない。球面レンズ438は、光学スペーサ440によってアイコン層442から分離される。非球面レンズ438は、材料の平面に垂直にアイコン平面442の画像444を投射する。画像は焦点446で発生する。非球面レンズ438の焦点距離は、それが平坦なフィールド(flat-field)452を有するために、垂直444から斜角448まで幅広い範囲の視角についてアイコン平面442内にある。レンズの焦点距離はそれを通る視角に従って変化する。焦点距離は垂直視444の場合最短であり、視角がさらに斜めになるにつれて長くなる。斜めの視角448で、焦点450は依然としてアイコン平面の厚さ内にあるため、斜め画像はこの斜めの視角448において依然として焦点が合っている。焦点が合っているゾーン454は実質的に球面のレンズ418の焦点が合っているゾーン434より非球面レンズ438の場合はるかに大きい。非球面レンズ438はこのように球面レンズ418に比較して、関連画像アイコンの周辺端縁が視野から抜け落ちないような、関連画像アイコンの幅上により大きな視野を提供する。非球面レンズはそれらが提供するさらに大きな視野及び結果的な関連画像の視認性の増加のために本システムにとって好ましい。
【0103】
図20aから図20cは、厚いアイコン層の使用から生じる利用性の二つの利点を描く断面である。これらの利点は、それらを表示するために使用されるレンズ456が実質的に球面418であるか、あるいは非球面438であるかに関係なく適用されるが、該利点は非球面レンズ438と組み合わされるとき最大である。図20aは、光学スペーサ458によりアイコン層460から分離されるレンズ456を含む薄いアイコン層460システム材料を描く。アイコン要素462は、レンズ463のフィールド湾曲に比較して薄い461ことから、焦点が合っているゾーンを小さい角度に限定し、該角度は垂直方向464で投射される画像とアイコン層460内に焦点470を有する最高斜角画像468の間の角度である。最大の視野は垂直画像焦点466がアイコン平面の底部にあるように設計し、それによって焦点470がアイコン平面の上部にある点で制限される斜めの視野角を最大限にする。図20aのシステムの視野は30度に制限されている。
【0104】
図20bは、レンズ456のフィールド湾曲に比較して厚い472アイコン平面471を組み込むことから得られる利点を描く。レンズ456は、光学スペーサ458によって厚いアイコン要素474から分離される。厚いアイコン要素474は、図20aの薄いアイコン要素462よりより大きな視野、55度で焦点があった(475)ままとなる。焦点478からレンズ456を通して投射される垂直画像476は明確に焦点が合っており、画角が、斜めの画像480の焦点482が厚いアイコン平面471の上部にある最高55度まで増加する間、焦点は明確なままである。増大する視野は、図19bの非球面レンズ438等のフラットフィールドレンズの場合に最大である。
【0105】
図20cは、厚いアイコン平面492のさらに別の優位点、つまり製造変動から生じる厚さSの変動に対する本システムの敏感度を削減することを示している。レンズ484は、厚さiのアイコン平面の底面から距離Sだけ離されている。レンズ484は、アイコン層492の底部に配置されている焦点498から画像496を投射する。この図は、レンズとアイコン層の間の光学的空間Sの変動が画像496、500、504焦点を失うことなくアイコン層iの厚さに等しい範囲で変化することができることを示すために描かれている。レンズ486では光学スペーサの厚さは約(S+i/2)であり、画像500の焦点502は依然としてアイコン層492の厚さiの範囲内にある。レンズ488では、光学スペーサの厚さは(S+i)490に増加し、画像504の焦点506は厚いアイコン要素494の上部にある。したがって、光学スペーサ厚さはアイコン層iの厚さに対応する範囲で変化することができる。したがって、薄いアイコン層は光学スペーサ厚さ変動に小さい許容量を提供し、厚さアイコン層は光学スペーサ厚さ変動により大きな許容量を提供する。
【0106】
厚いアイコン層492によってさらなる利点が提供される。実質的に球面のレンズ等の不完全なレンズは、その中心496においてよりその端縁に向かってさらに短い焦点距離493を有することがある。これは実質的には球面のレンズの一般的な球面収差問題の一つの態様である。厚いアイコン層は一連の焦点距離498から495で明確に焦点を合わせることができるアイコン要素を提供し、それにより焦点距離変動を有するレンズ484により生じる画像の全体的な明瞭性とコントラストを改善する。
【0107】
図21は、「ウィンドウ表示」セキュリティスレッドとしての本システムの貨幣と他のセキュリティ文書への適用を示す平面図である。図21は、典型的には幅0.5mmから10mmの範囲である「スレッド」と呼ばれるリボン状の細長く切られたシステム材料508を含むウィンドウ型のスレッド構造を示す。スレッド508は繊維質の文書基板510の中に組み込まれ、ウィンドウ表示ゾーン514を提供する。スレッド508は、画像コントラストを増加するため、及び/または導電率、磁気特性、核磁気共鳴検出と認証等の追加のセキュリティ機能と認証機能を提供するために、あるいは基板の裏側(ユニゾン合成画像及びスレッド508と繊維質の基板510の間の接合を強化するための接着層517を提示する側面の反対側)から見られたときに反射照明での表示から材料を隠すために、オプションとして有色素の、染色された、充填された、あるいはコーティングされた密封層516を組み込んでよい。スレッド508は、画像効果がウィンドウ表示ゾーン514内で可視であるようにレンズを最上に保つような向きで維持される。繊維質の基板510とスレッドの両方とも印刷要素518により重ね刷りされてよく、繊維質の基板はその反対面に印刷520されてよい。
【0108】
図21は、スレッド508とその画像効果522が、基板510の上面521のウィンドウ表示ゾーン514の中だけから可視であることを示している。スレッド508は、内部ゾーン512で繊維質の基板材料によりカバーされ、画像効果522はこれらのゾーン内で実質的には可視ではない。OPM効果は、スレッド508の中に組み込まれるときに特に劇的である(図22参照)。繊維質の基板510が多様な方向で傾けられるにつれ、OPM画像をスレッドの幅524全体でスキャンさせることができ、驚くべき劇的な視覚効果を生じさせる。OPM画像のこのスキャニング機能により、スレッド508の幅より大きい画像522を提示できるようになる。ウィンドウ表示スレッド508を含む文書を調べるユーザは、次にスレッド全体で画像全体をスキャンするために文書を傾け、それを看板サインのようにスクロールできる。ディープ、フロート及び浮揚の実施形態の効果も、ウィンドウ表示スレッドフォーマットで利益を得るために使用できる。
【0109】
スレッド508は、製紙業界で一般的に利用されている技法により製造中にセキュリティ文書に少なくとも部分的に組み込まれてよい。例えば、スレッド508は、参照することにより本書に組み込まれる米国特許第4,534,398号により教示されるように、繊維が層をなしておらず、成形しやすい間に湿紙の中にプレスされてよい。
【0110】
本システムのウィンドウ表示スレッドは貨幣への適用に特によく適している。貨幣用紙の総厚さは88μほど高い範囲になる可能性があるが、スレッド材料のための典型的な総厚さは22μから34μの範囲内にある。スレッドの厚さに同等な量、用紙の厚さを局所的に削減することにより用紙の総厚さを実質的に改変することなく、貨幣の用紙に本システムのウィンドウ表示セキュリティスレッドを組み込むことができる。
【0111】
例示的な実施形態では、スレッド508は、
(a)一つまたはそれ以上の光学スペーサと、
(b)オプションとしての、光学スペーサの中、上、または隣に配置されるマイクロ画像またはアイコンの一つまたはそれ以上の周期的平面アレイと、
(c)オプションとしての、各マイクロレンズが50ミクロン未満のベース直径を有する、光学スペーサまたは平面的なアイコンアレイのどちらかの上または隣に配置される非円柱形のマイクロレンズの一つまたはそれ以上の周期的平面アレイと、
を備える。
【0112】
別の実施形態では、非円柱形のマイクロレンズは非球面レンズであり、各非球面マイクロレンズは約15ミクロンから約35ミクロンの範囲のベース直径を有し、マイクロ画像またはアイコンが一つまたはそれ以上の光学スペーサの表面上に形成される充填された間隙または凹部を構成する。少なくとも一つの有色素密封層または覆い隠す(obscuring)層516が、アイコンのコントラスト、したがっての視認性を高めるため、及びスレッドが少なくとも部分的にセキュリティ文書の中に埋め込まれているときにスレッド508の存在を隠すためにも、マイクロ画像またはアイコンの平面アレイ(複数の場合がある)に配置されてよい。
【0113】
本発明のさらに別の実施形態では、スレッド508は、
(a)対向する平面的な上面と平面的な下面を有する光学スペーサと、
(b)該光学スペーサの平面的な下面に形成される充填された凹部を備えるマイクロ画像またはアイコンの周期的アレイと、
(c)光学スペーサの平面的な上面に配置される非円柱形の、フラットフィールド、非球面または多角形ベースのマルチゾーンマイクロレンズの周期的アレイであって、各マイクロレンズが約30ミクロンから約30ミクロンの範囲のベース直径を有する周期的アレイと、
(d)アイコンアレイ上に配置される有色素の密封層または覆い隠す層516と、
を備える。
【0114】
光学スペーサ(複数の場合がある)は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン等を含むが、これらに限定されない一つまたは複数の本質的に無色のポリマーを使用して形成されてよい。例示的な実施形態では、光学スペーサ(複数の場合がある)は、ポリエステルまたはポリエチレンテレフタレートを使用して形成され、約8ミクロンから約25ミクロンの範囲の厚さを有する。
【0115】
アイコンアレイとマイクロレンズアレイは、アクリル、ポリエステル、エポキシ、ウレタン等を含むが、これらに限定されない実質的に透明なまたは澄んだ放射線硬化材料を使用して形成できる。好ましくは、アレイは製品呼称U107でロードケミカルズ(Lord Chemicals)から入手できるウレタンアクリレートを使用して形成される。
【0116】
光学スペーサの平面的な下面に形成されるアイコン凹部は、それぞれ奥行き約0.5ミクロンから約8ミクロン、通常マイクロ画像またはアイコン幅では30ミクロンと測定される。凹部は有色素樹脂、インク、染料、金属または磁気材料等の任意の適切な材料で充填できる。例示的な実施形態では、凹部は、製品名スペクトラパック(Spectra Pac)でサンケミカル社(Sun Chemical Corporation)から入手できるサブミクロン顔料からなる有色素樹脂で充填される。
【0117】
有色素の密封層または覆い隠す層516は、二酸化チタン等の顔料からなる有色素コーティングを含むが、これらに限定されない結合剤または硬化性ポリマー材料のキャリヤの中で分散される種々の不透明コーティングまたはインクの内の一つまたは複数を使用して形成できる。好ましくは、密封層または覆い隠す層516は放射線硬化ポリマーを使用して形成され、約0.5ミクロンから約3ミクロンの範囲の厚さを有する。
【0118】
前述されるスレッド508は、
(a)光学スペーサの上面と下面に実質的に透明なまたは澄んだ放射線硬化樹脂を塗布し、
(b)光学スペーサの上面にマイクロレンズアレイを、下面に凹部の形状でアイコンアレイを形成し、
(c)放射線源を使用して実質的に透明なまたは澄んだ樹脂を硬化する、
(d)有色素樹脂またはインクでアイコンアレイ凹部を充填し、
(e)光学スペーサの下面から余分な樹脂またはインクを取り除き、
(f)有色素性の密封または覆い隠すためのコーティングまたは層を光学スペーサの下面に適用する、
方法に従って作成されてよい。
【0119】
多くの場合では、貨幣で、及び他の高価値金融文書または識別文書で使用されるセキュリティスレッドが、静電気センサ、磁場センサ、光透過および不透過センサ、蛍光センサ及び/または核磁気共鳴センサ等の高速非接触センサによって検出され、認証されることが望ましい。
【0120】
ユニゾンフィルムのレンズ、基板、アイコンマトリクス、またはアイコン充填要素の中に蛍光体を組み込むと、蛍光の存在及びスペクトル特性の観察により、ユニゾン材料の秘密のまたは法医学的な認証を可能にできる。蛍光を発するユニゾンフィルムは、材料の両面から、あるいは材料の片側だけからその蛍光特性を可視にさせるように設計できる。材料の中でアイコン層の下に光学遮蔽(optical isolation)層を使用しない場合、ユニゾン材料の任意の部分の蛍光はその面のどちらからも可視になるであろう。光学遮蔽層を組み込むと、その二面からの蛍光の視認性を分離することが可能になる。このようにして、アイコン平面の下に光学遮蔽層を組み込むユニゾン材料は、多くの異なる方法で蛍光を示すように設計されることができる。即ち、レンズ側面から可視の蛍光色A、光学遮蔽層側から可視の蛍光色なし、光学遮蔽層側から可視であるがレンズ側からは可視ではない蛍光色AまたはB、及びレンズ側から可視の蛍光色Aと光学遮蔽層側から可視の蛍光色AまたはB等である。可能な種々の蛍光シグナチャにより提供される独自性は、ユニゾン材料のセキュリティをさらに強化するために使用できる。光学遮蔽層は、材料の片側からの蛍光発光を吸収または反射し、それが他方の側面から見られないようにする、有色素材料または染料の層、金属の層、または有色素層と金属層の組み合わせであってよい。
【0121】
成形された間隙から形成されるアイコンと、その逆に成形された柱から形成されるアイコンは、特に機械読み取り可能認証機能を、貨幣及び他の高価値文書のために、ユニゾン材料セキュリティスレッドに追加することを特に可能にしている。アイコンマトリクス、アイコン充填、及び任意の数の下塗り(密封コート)は非蛍光顔料、非蛍光染料、蛍光顔料、蛍光染料、金属粒子、磁性粒子、核磁気共鳴シグナチャ材料、レージング粒子、有機LED材料、光学的に可変の材料、蒸着金属、薄膜干渉材、液晶ポリマー、光学アップコンバージョン及びダウンコンバージョン材料、2色性の材料、(光回転力を有する)光学活性材料、光学偏光材料及び他の関連材料を、すべて別々に、及び/またはすべての組み合わせで、組み込むことができる。
【0122】
濃いまたは着色されたコーティング(磁性材料または導電層等)がユニゾン材料に追加されたとき、あるいはアイコン平面の色が基板の裏側を通して見られるとき等の状況次第で、埋め込まれた、部分的に埋め込まれた、あるいはウィンドウ表示のユニゾン材料セキュリティスレッドの外観を、スレッドが基板の反対側から可視であるが、紙の基板の片側から反射光の中で見られることからマスクする又は隠すことが望ましい場合がある。他の種類の貨幣セキュリティスレッドは、表面基板を通してフィルタリングする光を反射し、それにより周囲の基板に同様の輝度を提供するために、一般的には金属層、通常はアルミニウムを組み込む。アルミニウムまたは他の無色の反射金属が、金属層をユニゾン材料の裏側表面に適用し、次にオプションとしてそれを定位置で密封することによって、紙基板の裏側からユニゾンスレッドの外観を隠すために同様に使用できる。有色素層は、同じ目的で活用でき、金属化された層の代わりに、あるいはそれと関連して、文書の「裏」側からのセキュリティスレッドの視認性を隠す、あるいは遮る目的に使用できる。有色素層は白を含む任意の色であってよいが、最も効果的な色は、繊維質の基板の中または外部で散乱される光の色と輝度に一致する色である。
【0123】
金属化された層をユニゾン材料に追加するのは、蒸着、スパッタリング、化学蒸着、または他の適切な手段による、ユニオン材料のアイコンまたは密封層の直接的な金属化、あるいはユニオン材料のアイコンまたは密封層の第二のポリマーフィルムの金属化された面への積層を含む多くの方法で達成できる。フィルムを金属化し、このフィルムをパターン金属化解除(pattern demetallizing)することによって、金属化された領域の狭い「リボン」を残し、第二のポリマーフィルムに金属化された表面を積層し、次に金属リボンが積層接着剤によってスリットスレッドの端縁から隔離されるように積層された材料を細長く切り、それによってスレッドの端縁で薬品による損傷から金属を保護することによって、貨幣セキュリティスレッドを作成するのは一般的な慣用手法である。この方法は、本題発明の場合でも適用できる。つまり、単に第二の積層フィルムをユニゾン材料に置き換えられる。したがって、ユニゾン材料はパターン化された、あるいはパターン化されていない金属化された層を追加することによって増強できる。
【0124】
合成画像は、アイコンを定義する一つの色(またはその色の不在)及び背景を定義する別の色(または色の不在)を有するバイナリパターンとして設計できる。この場合、各アイコンゾーンは完全にオンまたは完全にオフのどちらかである画像「ピクセル」を使用する完全な単一トーン画像を含む。さらに精密な合成画像は、選択されたアイコン色の色調変動を提供することにより作成できる。合成画像色調変動は、各アイコン画像の中の色の濃度を制御することによって、あるいは選択されたアイコンのグループの中のデザイン要素を含める、または排除することによって合成画像を実際上「ハーフトーン化する(half−toning)」ことによって作成できる。
【0125】
各アイコン画像の中の色の密度を制御する第一の方法は、微細に印画されたアイコン画像を生成する材料の光学密度を制御することによって達成されてよい。これを行う一つの便利な方法は、すでに前述された充填された間隙アイコン実施形態を活用することである。
【0126】
第二の方法、つまり図23に描かれている、選択されたアイコンのグループにデザイン要素を含めるかまたは排除することによる合成画像の「ハーフトーン化」は、所望の色濃度に等しいアイコンゾーンの割合で画像デザイン要素を含めることにより達成される。図23は、レンズの類似した六角形反復パターンと協調するであろうアイコンゾーン570のための六角形反復パターンを使用する例でこれを図解している。アイコンゾーン570のそれぞれは同一の情報を含まない。アイコン画像要素のすべて、つまり572,574、576及び578は実質的に同じ色濃度で提示されている。アイコン画像要素572、574はアイコンゾーンのいくつかに存在し、異なるアイコン画像要素は他のアイコンゾーンに存在する。いくつかのアイコンゾーンは単一のアイコン画像要素570を含む。具体的には、アイコン画像要素572はアイコンゾーンの半分に存在し、アイコン画像要素574はアイコンゾーンの4分の3で表示され、アイコン画像要素578はアイコンゾーンの半分に存在し、アイコン画像要素576はアイコンゾーンの3分の1に存在する。各アイコンゾーンに存在する情報が、その関連レンズがある特定の向きから見られたときに、アイコン画像パターンの色またはアイコン画像背景の色を示すかどうかを決定する。画像要素572または578のどちらかがこのアイコンパターンと関連付けられたレンズのすべてで可視となるが、アイコン画像要素572の合成画像580空間はアイコン画像要素578の合成画像空間に重複する。つまり、アイコン572と578の合成画像の該重複ゾーン582は、あらゆるレンズがこのゾーンの中のアイコン画像色を投射するため100%色濃度で表示される。これらの二つの合成画像の重複しない部分588は、レンズの50%だけで可視であるため、それは50%色濃度で表示される。アイコン要素576の合成画像586はレンズの3分の1だけで可視であるため、それは33.3...%の濃度で表示される。アイコン画像要素576の合成画像584は対応して75%色濃度で表示される。甚だしい範囲の色調変動がアイコンゾーンの選択された割合でのアイコン画像要素の選択的な排除により合成画像内で得ることができることは本教示の範囲内で明らかである。最大有効性のために、アイコン画像ゾーン全体でのアイコン画像要素の分散は相対的に一様であるべきである。
【0127】
図24aに描かれている関連するアイコン画像設計方法は、個々の合成画像要素の最小の特徴より寸法が小さい結合合成画像要素を作成するために使用できる。これは、アイコン画像の最小特徴サイズがその特徴の配置精度(placement accuracy)より大きいような一般的な状況で可能である。したがって、アイコン画像は寸法が約2ミクロン程度の最小特徴を有してよいが、それらの特徴は0.25ミクロン間隔のグリッド上の任意の点で正確に配置されることができる。この場合、アイコン画像の最小の特徴はその特徴の配置精度より8倍大きい。前の図と同様に、この方法は六角形アイコンパターン594を使用して図示されているが、それは任意の他の使用に適した対称パターンにも等しくよく適用できる。図23の方法に類似した方式で、この方法は少なくとも一つのアイコンゾーンの異なる情報の使用に依っている。図24aの例では、二つの異なるアイコンパターン596と598がそれぞれアイコンゾーンの半分に存在する(明確にするために、各パターンの一つだけしかこの図の中には示されていない)。これらのアイコン画像は、アイコン画像要素596によって作成される合成画像602、及びアイコン画像要素598によって作成される合成画像604を含む複合合成画像600を生成する。該二つの合成画像602と604は、重複していない領域605は50%色濃度を有する一方、100%色濃度を有するように見える重複領域606と608を有するように設計される。複合合成画像の中の重複領域の最小寸法は、アイコン画像要素の合成倍率スケーリング位置精度ほど小さくてよいため、小さな領域で重複するように設計される二つの構成合成画像の最小特徴サイズより小さくてもよい。図23の例では、重複領域は、それ以外の場合に可能であるより細い線で数字「10」のための文字を作成するために使用されている。
【0128】
この方法は、図24bに示されるようにアイコン画像要素間に隙間の狭いパターンを作成するために使用することもできる。六角形アイコンゾーン609は、空間充填アレイを作成するために正方形または任意の他の適切な形状であってよいが、六角形が好ましい。この例では、アイコンパターンの半分がアイコン画像610であり、残りの半分がアイコン画像611である。理想的には、これら二つのパターンは、アイコンゾーンの間で相対的に一様に分散されるであろう。これらのパターンの要素のすべては実質的に等しく、一様な色濃度であるとして図示されている。個別には、これらの二つのパターンは最終的な画像の形式を明確に示唆せず、これはセキュリティ要素として使用できる――画像は、それを覆っているレンズアレイにより形成されるまで明らかにならない。アイコン要素610の合成画像と、アイコン要素611の合成画像の組み合わせにより形成される合成画像612の一つの例が示されており、それにより個別の合成画像間に残る隙間が数字「10」を形成する。この場合、二つの合成画像が結合され最終的な合成画像を形成するため、この画像の着色部分613は50%の色濃度を示す。この方法はこの例の詳細により限定されない。つまり、二つの代わりに三つのアイコンが使用でき、複合合成画像の中の所望される要素を画定する隙間の幅は可変幅であり無制限の形状の多様性を有することができ、この方法は図23、図24a、図24b、または図25の方法、あるいは教示した他のアイコン画像設計方法と組み合わせることができるであろう。
【0129】
秘密の隠された情報は、結果として生じる合成画像で見ることができないアイコン画像に組み込むことができる。アイコン画像にこのような秘密情報を隠しておくことは、例えば対象の秘密の認証に使用できる。これを達成する二つの方法が図25により描かれている。第一の方法は一致するアイコン画像616と618を使用することとして描かれている。アイコン画像616は、実線の縁取りパターンと縁取りの内側に含まれている数字「42」を示している。アイコン画像618は、その形状の中の図形の穴として数字「42」のあるベタ(solid)形状を示す。この例では、アイコン画像616と618の周縁形状は実質的に同一であり、それらのそれぞれのアイコンゾーン634と636の中でのそれらの相対的な位置も実質的に同一である。複合合成画像620がこれらのアイコン画像から作成されると、複合合成画像622の境界は、すべてのアイコン画像がその対応する領域でパターンを有するために100%色濃度を示し、したがってアイコン画像616と618から作成される合成画像内に完全な重複がある。「42」を取り囲む空間の画像がアイコンゾーンの半分を満たすに過ぎないアイコン画像618から生じ、着色された「42」の画像がやはりアイコンゾーンの半分を満たすアイコン画像616から生じるため、複合合成画像620の内部624の色濃度は50%となるであろう。その結果、「42」とその背景の間には色調の区別はないため、観察される複合合成画像626は100%色濃度の縁取り境界628と50%色濃度の内部630を有する画像を示す。アイコン画像616と618のすべてにひそかに存在する「42」はそれにより「中和され」、観察される複合合成画像626では見えないであろう。
【0130】
秘密情報をアイコン画像の中に組み込むための第二の方法は、図25の三角形632により描かれている。三角形632はアイコンゾーン(この図では不図示)内に無作為に配置されてよく、あるいはそれらはアイコンゾーン634、632の周期に実質的に対応しないアレイまたは他のパターンで配置できる。合成画像は、対応するマイクロレンズの規則正しいアレイにより結像される多数の規則正しく配列されるアイコン画像から作成される。マイクロレンズアレイの周期に実質的に対応しないアイコン平面内のパターンは完全な合成画像を形成しない。したがって、三角形632のパターンは一貫した(coherent)合成画像を作成せず、観察される合成画像626では可視ではない。この方法は三角形632等の単純な幾何学デザインに限定されない。つまり、英数字情報、バーコード、データビット及び大規模パターン等の他の秘密情報を、この方法を用いてアイコン平面の中に組み込むことができる。
【0131】
図26は、ユニゾン材料(ユニゾン3−D(三次元))に完全な三次元の一体的画像を作成する一般的な手法を図解する。単独のアイコンゾーン640はそのアイコンゾーン640を俯瞰する(vantage)地点から見られるような三次元で表示されるオブジェクトの縮尺がゆがんだ図を表すアイコン画像642を含む。この場合、アイコン画像642は中空の立方体674の合成画像670を形成するように設計されている。アイコン画像642は中空立方体672の最も近い辺674を表す前景フレーム644、中空立方体672の角676を表す先細(tapered)の隙間パターン646、及び中空立方体672の最も遠い辺678を表す背景フレーム648を有する。アイコン画像642の中の前景フレーム644と背景フレーム648の相対的な割合が、合成画像中空立方体672の最も近い辺674と最も遠い辺678の割合に対応しないことが分かる。縮尺の差異の理由は、ユニゾン材料の平面からさらに遠く見えるべきである画像がさらに大きな倍率を経験するため、アイコン画像の中のそのサイズが拡大時に正しい縮尺を提供し、合成画像672を形成するために縮小されなければならないためである。
【0132】
ユニゾン3−D(三次元)材料の別のロケーションでは、我々は別のアイコン画像652を含むアイコンゾーン650を見つける。アイコン画像642と同様に、アイコン画像652はこのアイコンゾーン650が別の俯瞰点から見られるような合成画像672の縮尺がゆがめられた図を表現する。前景フレーム654と背景フレーム658の相対的な縮尺(スケーリング)はアイコン画像642の対応する要素に類似しているが(これは一般的には真にならないであろうが)、背景フレーム658の位置は、角パターン656のサイズと向きとともにシフトしている。アイコンゾーン660はユニゾン3−D材料においてさらなる距離だけ離れて位置し、それは前景フレーム664、先細隙間パターン667、及び背景フレーム668のあるアイコン画像662を含む、さらに別の縮尺が歪んだアイコン画像662を提示している。
【0133】
一般的に、ユニゾン3−D材料の各アイコンゾーンの中のアイコン画像はその近傍の近隣地域とわずかに異なり、その遠い近隣地域とは大幅に異なっているであろう。アイコン画像652がアイコン画像642と662の間で遷移段階を表すことが分かる。一般的に、ユニゾン3−D材料の中の各アイコン画像は一意である可能性があるが、それぞれそのどちらかの側へのアイコン画像間の遷移段階を表現するであろう。
【0134】
合成画像670は、関連するレンズアレイを通して合成結像されるように、アイコン画像640、650、及び660のような多数のアイコン画像から形成される。中空立方体674の合成画像はアイコン画像のそれぞれの異なる要素の有効反復周期から生じる異なる合成拡大率の効果を示している。中空立方体画像674がスーパーディープ画像として見られることを意図していると仮定しよう。この場合、アイコンゾーン640がアイコンゾーン650の左下のある距離に配置され、アイコンゾーン660がアイコンゾーン650の右上のある距離に配置されると、前景フレーム644、654及び664の有効周期が背景フレーム648、658及び668の有効周期未満になり、それにより立方体の最も近い面676(前景フレーム644、654及び664に対応する)をユニゾン材料の平面により近くし、立方体の最も遠い面678をユニゾン材料の平面からさらに奥に、さらに遠くにし、さらに大きな係数で拡大させることが分かる。角要素646、656及び667は前景要素と背景要素の両方と協調し、それらの間で円滑に変化する奥行きの効果を生じさせる。
【0135】
ユニゾン3−Dのためにアイコン画像を設計する方法は図27にさらに詳細に説明されている。この図は単独画像プロジェクタ680のための方法だけを分離して示している。前述されたように、一つの画像プロジェクタは、レンズ、光学スペーサ、及びアイコン画像を含み、アイコン画像はレンズの反復周期と実質的に同じ寸法を有する(ユニゾン視覚効果を生じさせる縮尺の小さな差異を許容する)。レンズとその関連アイコンの視野は円錐682として示されている。即ち、これもレンズの焦点円錐の逆転に対応するため、視野円錐682の割合はレンズのF#により決定される。図は円形ベースを有するとしてこの円錐を示しているが、ベース形状は実際には六角形等アイコンゾーンの形状と同じであってよい。
【0136】
この例では、我々は単語「UNISON(ユニゾン)」の三つのコピー686、690および694を、三つの異なるスーパーディープ画像平面684、690および692に、同じ視覚サイズで組み込むユニゾン3−D(三次元)合成画像を作成したい。画像平面684,688、および692の直径は、視野円錐とともに拡大する。言い換えると、画像の奥行きが大きくなるにつれて、視野円錐によりカバーされる面積が増加する。したがって、中間の奥行きの平面688は「NIS」のすべてと「U」と「O」の一部分を包含し、最も深い奥行きの平面692は「UNISON」のほぼすべてを包含し、最後の「N」の部分だけが欠けるが、最も浅い奥行きの平面684での視野はワードUNISONの「NIS」の部分だけを包含する。
【0137】
それらがこれらの合成画像平面684、688、及び692のそれぞれにより提示された情報(UNISON686、690、及び694)は、最終的には画像プロジェクタ680の中の単一アイコン画像に組み込まれなければならない。これは、各奥行き平面684、688及び692で視野円錐686の中の情報を捕捉し、次に結果として生じるアイコン画像パターンを同じ寸法にスケーリング(拡大縮小)することによって達成される。アイコン画像696は、奥行き平面684で見られるようなUNISON画像686の視野を表現し、アイコン画像704は奥行き平面688で見られるようなUNISON画像690の視野を表現し、アイコン画像716は奥行き平面692で見られるようなUNISON画像694の視野を表現する。
【0138】
アイコン画像696の中で、アイコン画像要素698は、UNISON画像686の最初の「N」の一部から発し、アイコン画像要素700はUNISON画像686の「I」の部分から発し、アイコン要素702はUNISON画像686の「S」の部分から発する。アイコン画像704の中では、アイコン画像要素706はUNISON画像690の「U」の部分から発し、アイコン画像様相708はUNISON画像690の最初の「N」の部分から発し、アイコン画像要素710はUNISON画像690の「S」から発し、アイコン画像要素714はUNISON画像690の「O」の一部から発する。合成画像686、690、及び694が類似した縮尺で提示されるが、中間の奥行き平面688のためのアイコン画像704はアイコン画像696のUNISON文字より小さな縮尺でそのUNISON文字を提示することに注意されたい。これは、アイコン画像704が(同じ奥行き平面のための多数の周囲のアイコン画像と合成結合されるときに)経験するさらに高い合成倍率のためである。同様に、アイコン画像716は、UNISON画像694から発するアイコン画像要素718を組み込み、そのアイコン画像に組み込まれたUNISON文字はさらに縮小した縮尺とされる。
【0139】
この画像プロジェクタのための最終的なアイコン画像は、これら三つのアイコン画像696、704、及び716を、図28に図示される単一のアイコン画像730の中に結合することにより生じる。結合されたアイコン要素732は、画像プロジェクタ680が、それぞれが、合成画像のレベルと要素が生成される、画像プロジェクタを中心とした自身の視野円錐の交差から生じる特殊アイコン画像情報を組み込む多数の画像プロジェクタから形成される合成画像に対して、寄与するために必要な図形情報と奥行き情報のすべてを組み込む。各画像プロジェクタは他のすべての画像プロジェクタから少なくとも一つのレンズ反復周期分、変位されるため、各画像プロジェクタは、合成画像空間のあるその視野円錐の交差から生じる異なる情報を伝搬する。
【0140】
選ばれた3−D(三次元)画像を提示するために必要とされるアイコン画像のそれぞれは、合成画像の三次元デジタルモデル、所望の合成画像中に表示される奥行き位置及び奥行きスパン、レンズ反復周期、レンズ視野、及びアイコン画像の最終的なグラフィカル解像度に関する知識から計算できる。後者の要因は、各奥行き平面で提示できる詳細さのレベルに上限を課す。ユニゾン材料の平面からさらに遠くにある奥行き平面は(視野の拡大のため)さらに大量の情報を伝搬するので、アイコンのグラフィカル解像度の制限はこれらの合成画像奥行き平面の解像度に最大の影響を及ぼす。
【0141】
図29は、非常に高価な氷河時代のマンモスの象牙に彫刻された工芸品、Brassempuoyの貴婦人(Lady of Brassempouy)742等の複雑な三次元合成画像に図27の方法をどのようにして適用できるのかを描いている。少なくとも一つのレンズ、光学スペーシング要素、及びアイコン画像(この図では示されていない)を組み込む個々の画像プロジェクタ738は、ディープ合成画像空間からフロート合成画像空間を分離するユニゾン材料の平面740内にある。この例では、合成画像空間は、ユニゾン材料にわたって、画像の一部がフロート合成画像空間内にあり、一部がディープ合成画像空間内にある。画像プロジェクタ738は、ディープ合成画像空間744、及びフロート合成画像空間746の両方の中に広がる実質的に円錐状の視野を有する。所望のディープ合成画像空間解像度を取得するために必要とされる間隔により、選ばれた数のディープ画像平面748及び752から762が選択される。同様に、所望のフロート合成画像空間解像度を取得するために必要とされる間隔により、選ばれた数のフロート画像平面750及び764から774が選択される。ディープ平面748とフロート平面750等のこれらの平面のいくつかは合成画像を越えて広がっており、アイコン画像の中の最終的な情報に貢献しない。簡潔にするために、図29に示されている画像平面数は小さい数に制限されているが、選択される画像平面の実際の数は、所望の合成画像奥行き解像度を取得するために50または100平面以上等、大きくてもよい。
【0142】
図27と図28の方法は、次に選択された奥行き画面756から774とオブジェクト742の表面の交差の形状を決定することにより、各奥行き平面でのアイコン画像を得るために適用される。結果として生じる別々のアイコン画像は、結合されるアイコン画像の最終的なサイズに合わせてスケーリングされる。フロートアイコン画像のすべては最初に180度回転され(それらが投射されるときにその回転を再度経験し、それによりそれらを合成画像の中のそれらの正しい向きに戻すため)、次にディープアイコン画像と結合され、この画像プロジェクタ738の最終的なアイコン画像を形成する。このプロセスは、完全な合成画像742を形成するために必要とされるアイコン画像の完成したパターンを取得するために画像プロジェクタの位置のそれぞれに対して繰り返される。
【0143】
合成画像の解像度は、光学プロジェクタの分解能とアイコン画像のグラフィック解像度に依存する。我々は、倍率光学部品の理論上の光学分解能限度(0.2ミクロン)を超える0.1ミクロン未満のアイコン画像グラフィック解像度を得ることができた。典型的なアイコン画像は0.25ミクロンという解像度で作成される。
【0144】
ユニゾン材料は、レンズ製造とアイコン製造を別々に組み込むツールを活用して薄板またはウェブ加工によって製造できる。レンズツールとアイコンツールの両方とも、フォトマスク法とフォトレジスト法を使用して製造される。
【0145】
レンズツールは半導体型マスク、通常はガラス上の黒色クロムとして初期設計されている。十分な分解能を有するマスクは、光還元、電子ビーム書き込み、またはレーザ書き込みによって作成できる。レンズツール用の典型的なマスクは30ミクロン等の選ばれた周期で不透明な六角形の反復パターンを組み込み、明確な線により幅2ミクロン未満である六角形を分離する。このマスクは次に従来の半導体UV露光システムを使用してガラスプレート上にフォトレジストを露光するために使用される。レジストの厚さはレンズの所望のサグを得るように選択される。例えば、5ミクロンという厚さのAZ 4620ポジティブフォトレジストが、公称30ミクロンの周期及び公称35ミクロンの焦点距離を有するレンズを形成するために、スピンコーティング、浸漬被覆、メニスカスコーティングまたは噴霧によって等、適切な手段によりガラスプレート上にコーティングされる。フォトレジストはマスクパターンを用いて露光され、従来の方法でガラスに現像され、次に30分間、100℃で乾燥され、ガスを抜かれる。レンズは当技術で周知である標準的な方法に従って熱リフローによって形成される。結果として生じるフォトレジストマイクロレンズは金や銀等の導電性の金属でコーティングされ、ネガティブニッケルツールは電鋳法によって作成される。
【0146】
アイコンツールは同様の方法で作成される。アイコンパターンは、通常CADソフトウェアを用いて設計され、この設計は半導体マスク製造メーカに伝達される。このマスクは、露光されるレジストの厚さが、所望の合成画像の光学濃度に応じて、0.5ミクロンから8ミクロンの範囲になることを除きレンズマスクと類似した方法で使用される。フォトレジストはマスクパターンを用いて露光され、従来の方式でガラスに現像され、導電性金属でコーティングされ、ネガティブなニッケルツールは電鋳法により作成される。オリジナルマスク設計の選択、及び使用されるレジストタイプの選択(ポジティブまたはネガティブ)に従って、アイコンはレジストパターンの中の空隙の形で、あるいはレジストパターンの中の「メサ」またはポスト(柱)、あるいは両方の形で作成されることができる。
【0147】
ユニゾン材料は種々の材料及び、押し出しエンボス加工、放射線硬化性鋳造、ソフトエンボス加工、射出成形、RIM成形、及び反応鋳造を含む、多数のマイクロ光学及び微細構造複製技術において周知の方法から製造できる。例示的な製造方法としては、75ゲージ接着促進PETフィルム等のベースフィルムに対して成型される放射線硬化性液体ポリマーの中の間隙としてアイコンを形成し、次にベースフィルムの反対面に、アイコンに対して正しい位置合わせまたはねじれを持って、放射線硬化性ポリマーからレンズを形成し、次にアイコン間隙を、フィルム表面に対するグラビア状ドクターローラーブレーディング(doctor blading)によってサブミクロン粒子有色色材料で充填し、該充填を適切な手段(例えば、溶剤除去、放射線硬化、または化学反応等)によって凝固させ、最終的に、透明、染色された、有色素性、あるいは秘密のセキュリティ材料を含む、オプションとしての密封層を適用することである。
【0148】
ユニゾンモーション材料の製造は、アイコンツール及びレンズツールが二つのアレイの対称軸に選択された程度の非整列(ずれ)を含むことを必要とする。アイコンとレンズパターンの対称軸のこの非整列が、製造される材料の合成画像サイズと合成画像の回転を制御する。多くの場合、ウェブ方向またはウェブ交差方向のいずれかと実質的に位置合わせされた合成画像を提供することが望ましく、これらの場合では、アイコンとレンズの全体として(トータル)の角度のずれはレンズパターンとアイコンパターンの間で等しく分割される。必要とされる角度のずれの程度は、通常、きわめて小さい。例えば、トータルとして約0.3度の角度のずれが、ユニゾン材料の中で30ミクロンのアイコン画像を5.7mmのサイズに拡大するために適している。この例では、トータルの角度のずれは、二つのツールの間で等しく分割されるため、各ツールは両方のツールについて同じ方向に0.15度の角度で傾けられる。該傾きは、ツールがベースフィルムの反対面で微細構造を形成しているため同じ方向であり、ツールの傾きは互いに相殺されず、互いに加算される。
【0149】
傾きはマスクの当初の設計の時点で、マスクを書き込む前に所望の角度でパターン全体を回転することによりツールの中に組み込むことができる。また、傾きは平らなニッケルツールの中に、数値制御されたミルを用いて適切な角度でそれを切断することによって、機械的に組み込むこともできる。傾けられたツールは次に、ツールを圧胴の回転軸に位置合わせするために傾きカットエッジ(skew-cut edge)を使用して円柱形のツールに形成される。
【0150】
合成倍率マイクロ光学システムは、アイコン充填材料、裏面コーティング、上塗り、レンズへのパターン化及び非パターン化の両方がなされた充填または組み込み、光学スペーサ、または、積層品またはコーティングインクとしてのアイコン材料、及び/または、水性、溶剤性又は放射線硬化性を含む接着剤、光学的に透明、半透明または不透明、ポジティブのまたはネガティブな材料の形状を取る有色素性または染色されたしるし、コーティング、または、インク、金属、蛍光体、または磁性材料、X線、赤外線または紫外線を吸収する又は放出する物質、アルミニウム、ニッケル、クロム、銀、金を含む磁性または非磁性の金属等を含むがこれらに限定されない印刷物;検出または情報記憶のための磁気コーティング及び磁性粒子、コーティング及び粒子としての蛍光染料と顔料;IR蛍光コーティング、充填、染料、または粒子;UV蛍光コーティング、充填、染料または粒子;コーティング及び粒子としての燐光染料と顔料、プランシェット、DNA、RNA,または他のマクロ分子タガント、2色性ファイバ、ラジオアイソトープ、印刷物受容コーティング、サイジング、またはプライマ、化学的に反応する材料、マイクロカプセル化成分、分野に影響される材料、金属性と非金属性両方の電導性粒子とコーティング、マイクロ穿孔された穴、着色されたスレッドまたはファイバ、文書、ラベル、または製造中に紙に接着するためにキャリヤとして紙またはポリマーに接合される材料の表面に埋め込まれているユニゾンのパッチ、蛍光2色性スレッドまたは粒子、ラマン散乱コーティングまたは粒子、カラーシフトコーティングまたは粒子、紙、板紙、ボール紙、プラスチック、セラミック、ファブリックまたは金属基板に積層されるユニゾン、スレッド、パッチ、ラベル、オーバラップ、ホットスタンプ箔、または開封テープとしてのユニゾン、ホログラフィック、回折、回折kinegram、等値線、写真または屈折性の光学素子、液晶材料、アップコンバージョン材料とダウンコンバージョン材料としての実施形態を、単一の要素として、又はこれらの多様な組み合わせで含むが、これらに限定されない追加機能と結み合わせることができる。
【0151】
合成倍率マイクロ光学システムはここで多くの使用分野と用途を有する。例は以下を含む。
【0152】
政府及び防衛用途――連邦、州、または外国であるかを問わない。(パスポート、IDカード、運転免許証、ビザ、出生記録、バイタルレコード、有権者登録カード、投票用紙、社会保障カード、債券、フードスタンプ、郵便切手、及び納税印紙等)
貨幣――連邦、州、または外国であるかを問わない。(紙幣のセキュリティスレッド、ポリマー貨幣の特徴、紙幣上の特徴等)
文書(目録、捺印証書、免許、卒業証書、及び証明書等)
金銭的に譲渡可能な法律文書(裏書された銀行小切手、企業小切手、個人小切手、銀行バウチャー、株券、トラベラーズチェック、郵便為替、クレジットカード、デビットカード、ATMカード、アフィニティカード、プリペイドテレフォンカード、及びギフト券等)
機密情報(映画の台本、法律文書、知的財産、医療記録/病院記録、処方箋書式/パッド及び「秘伝のレシピ」等)
ファブリック及びホームケアを含む製品とブランドの保護(洗濯洗剤、柔軟剤、食器洗い、家庭用洗剤、表面コーティング、ファブリック脱臭剤、漂白剤、及び特殊ファブリック用品等)
美容用品(ヘアケア、ヘアカラー、スキンケア及びクレンジング、化粧品、香料、制汗剤と体臭防止剤、生理用品、タンポン、パンティライナー等)
乳児及び家族用品(乳児用おむつ、乳児及び幼児用ふき取り繊維、乳児用涎掛け、乳児用着替え及びベッドマット、ペーパータオル、トイレットペーパー、及び化粧紙等)
健康用品(オーラルケア、ペットの健康と栄養、処方医薬品、医師の処方箋なしで購入できる医薬品、薬物送達システム及び個人的健康用品、処方ビタミン及びスポーツ・栄養サプリメント、処方及び非処方メガネ類、病院、医療専門家、医療品卸御者に販売される医療機器と装置(つまり、包帯、機器、インプラント可能なデバイス、外科用備品)等)
食品と飲料の包装
織物類包装
電子機器、パーツまたは構成部品
スポーツウェア衣料品、履物、ライセンスされた及びライセンスされていない高級品、スポーツ及び高級衣服品目、ファブリック、を含む衣服と履物
バイオ技術医薬品
航空宇宙用材料とパーツ
自動車部品とパーツ
スポーツ用品
タバコ製品
ソフトウェア
コンパクトディスク及びDVD
爆発物
ノベルティ品目(ギフトラップとリボン等の)
書籍及び雑誌
学校製品とオフィス備品
名刺
出荷文書と梱包
ノートカバー
ブックカバー
しおり
イベント及び交通機関の券
賭博及び遊戯用途(宝くじ、ゲームカード、カジノでまたはカジノにおいて使用するためのカジノチップ及びアイテム、ラッフル、競馬等)
家具インテリア(タオル、リネン及び家具等)
床板及び壁装材
宝石及び時計
ハンドバッグ
芸術品、収集品、及び記念品
玩具
ディスプレイ(購入時及び商品ディスプレイ等の)
製品マーキング及びラベル付け(ラベル、品質表示票、タグ、スレッド、開封帯、オーバラップ、カモフラージュとして及び財産追跡調査として、認証または機能強化のために、ブランド製品または文書に適用される不正加工防止画像を確保すること等)
【0153】
前述された実施形態のために適切な材料は広範囲のポリマーを含む。アクリル、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリプロピレン、エポキシ、ウレタン、及びポリエステルは、マイクロレンズ及び微細構造化された(microstructured)アイコン要素の両方に適切な光学特性と機械特性を有する。オプションとしての基板フィルムに適した材料は、アクリル、セロファン、サラン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリビニルを含む、市販されているポリマーフィルムの大部分を含む。微細構造化されたアイコン充填材は、溶剤ベースのインク及びその他の一般的に入手可能な顔料または染料媒体だけではなく、前記に列挙された材料のいずれも、微細構造化されたアイコン要素を製造するために適しているとして含むことができる。これらの材料に組み込まれた染料または顔料は、該媒体の化学的な構成と適合しているべきである。顔料はアイコン要素のいずれの構成要素の最小の寸法よりも実質的に小さい粒子サイズを有しているべきである。オプションとしての密封層は、微細構造のアイコン要素製造するために適しているとして上に列挙した材料に加え、印刷業界と用紙及びフィルム変換業界で使用されている、多くのさまざまな市販されている塗料、インク、保護フィルム、ワニス、ラッカー、及びクリアコートを含んでいてよい。好ましい材料の組み合わせは特になく、材料の選択は材料形状の詳細、システムの光学特性及び所望の視覚的効果に依存する。
【0154】
例示的な実施形態が示され、説明されてきたが、説明されたような本発明に対する多くの変更、変型あるいは改変を行うことができることは当業者に明らかになるであろう。したがって、すべてのこのような変更、変型及び改変は本開示の範囲内であると見なされたい。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2003年11月21日出願の米国仮特許出願番号第60/524,281号、2004年1月22日出願の米国仮特許出願番号第60/538,392号、及び2004年11月12日出願の米国仮特許出願番号第60/627234号の利点及びそれらに対する優先権を主張しており、許容される場合、それぞれを全体として参照することにより本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、例示的な実施形態では高分子フィルムとして形成される合成倍率マイクロ光学システムに関する。本開示の多様な実施形態により提供されるずばぬけた光学効果は、製品、包装、印刷物及び消費物質の視覚的な機能強化だけではなく、貨幣、文書及び製品の、公然及び秘密の認証のためのセキュリティ手段としても使用できる。
【背景技術】
【0003】
貨幣と文書の認証を行うために、偽の製品を識別し、偽の製品から真正商品を区別するために、及び製造された製品と包装の視覚的な機能強化を提供するために、多様な光学材料が使用されてきた。これらの例は、ホログラフィックディスプレイ、及びレンズ状の構造と球形のマイクロレンズのアレイを含む他の画像システムを含む。ホログラフィックディスプレイはクレジットカード、運転免許証、及び衣料品のタグとともに使用するために普及してきた。
【0004】
文書のセキュリティのためのレンズ状構造の例は、偽装防止手段を提供するために文書の中に埋め込むためのセキュリティスレッドに関するKauleらの米国特許第4,892,336号に開示されている。セキュリティスレッドは透明であり、片面に印刷パターンを、反対側の面に該印刷パターンと対応するレンズ状構造を有している。前記レンズ状構造は複数の平行なシリンダレンズ、あるいは代わりに球形のまたはハチの巣状のレンズから構成されるとして記載されている。
【0005】
Drinkwaterらに対する米国特許第5,712,731号は、実質的に球状のマイクロレンズのアレイと結合されたマイクロ画像のアレイを含むセキュリティ手段を開示している。前記レンズは非点収差レンズであってもよい。前記レンズはそれぞれ通常50から250μmであり、焦点距離は通常200μmである。
【0006】
これらの手法は類似した欠点を有している。それらは、特に文書の認証のために使用するには適していない相対的に厚い構造を生じさせる。円柱レンズまたは球面レンズの使用は狭い視野を提供し、結果としてファジー画像を生じさせ、関連画像に対してレンズの焦点の厳密且つ困難な位置合わせを必要とする。さらに、それらはセキュリティ手段または偽造防止手段として特に効果的であると判明していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの及び他の欠点を考慮して、当業界には、貨幣、文書、加工品及び製品の明示的な認証を容易にできる安全且つ視覚的に一意の光学材料、及び加工品、製品及び包装の視覚的な機能強化を提供する光学材料に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示はここではアイコンと呼ばれているマイクロ画像を拡大するための、及び多数の個別のレンズ/アイコン画像システムの統合された性能を通して合成拡大された画像を形成するための、非円柱レンズの規則正しい二次元アレイを利用するフィルム材料に関する。合成拡大された画像及びそれらを取り囲む背景は無色または着色(カラー)のどちらであってもよく、画像及びそれらを取り囲む背景のどちらかまたは両方が、透明、半透明、色素性、蛍光性、燐光性、表示光学可変色、金属化された、あるいは実質的に再帰反射性であってよい。カラー画像を透明な背景または薄い色の付いた背景に表示する材料は、下層に埋め込まれた印刷情報と組み合わせて使用するために特に適している。一つのこのような材料が印刷情報の上に適用されているとき、印刷情報と画像の両方ともが、互いの空間的な、または動的運動(モーション)との関係で同時に視認されることができる。この種の材料は刷り重ねる、つまり印刷を材料の最上の(レンズ)表面に適用することもできる。代わりに(白と黒を含む任意の色の)カラー画像を別の色の半透明または実質的に不透明な背景の上に表示する材料は、下に埋め込まれた印刷情報と組み合わせてではなく、単独で使用するか、または刷り重ねられた情報とともに使用するために特によく適している。
【0009】
達成される合成拡大(倍率)の規模は、レンズアレイの対称軸とアイコンアレイの対称軸間の「ねじれ(skew)」の程度を含む多くの因子の選択により制御できる。規則正しい周期的なアレイは、パターンがその基本的な形状を変更せずにその回りで反射される、アレイの理想では無限長である線を定義する対称軸を有している。例えば、正方形アレイはアレイの相対的な向きを変更せずに任意の正方形の任意の対角線を中心として反射できる。つまり、正方形の辺が平面のx軸とy軸に対して一直線に整列している(aligned)場合には、すべての側面が同一であり、見分けがつかないという仮定の上で、正方形の辺は反射後もそれらの軸と一直線に整列している。
【0010】
正方形アレイをミラーリング(鏡面反射)する代わりに、アレイは同種の対称軸間の角度に等しい角度で回転させることができる。正方形アレイの場合では、オリジナルのアレイと見分けがつかないアレイ向き(orientation)に達するために、該アレイは90度という角度、つまり対角線間の角度で回転させることができる。同様に、正六角形のアレイは六角形の「対角線」(対向する頂点をつなぐ線)または「中点約数」(六角形の対向する辺の中心点間をつなぐ線)を含む多くの対称軸の回りでミラーリングまたは回転させることができる。どちらの種類も対称軸間の角度は六十度(60°)であり、オリジナルの向きと区別がつかないアレイ向きとなる。
【0011】
レンズアレイ及びアイコンアレイが当初、それぞれのx−y平面を画定する平面次元で配列されている場合、対称軸の一つが第一のアレイのx軸を表すために選ばれ、対応するタイプの対称軸(例えば、対称の対角線軸)が第二のアレイのx軸を表すために選ばれ、該二つのアレイがz軸方向での実質的に均一な距離で分離されている、即ち、アレイをz軸方向に沿って見たときにアレイのx軸が互いに平行であるように見える場合、該アレイはねじれがゼロであると言われる。六角形のアレイの場合では、一つのアレイの60度、またはその倍数の角度の回転で、アレイが再び整列するため、ちょうど正方形のアレイの場合は90度またはその倍数の回転の場合にねじれがないように、ねじれはない。これらの「ゼロねじれ回転」と異なるx軸間の角度の不一致(ずれ)がねじれと呼ばれる。0.06度のような小さなねじれが1000x(倍)を越える大きな倍率(拡大)を生じさせ、20度のような大きなねじれはおそらく1xほどの小さな倍率を生じさせる。二つのアレイ及びレンズのF#(F値)等の他の要因は、合成画像の回転、視差直交(orthoparallactic)移動、及び明白な視覚的な奥行きだけではなく、合成画像の倍率にも影響を及ぼすことがある。
【0012】
本発明の材料(構成品)によって提供できる多くの明確な視覚的効果があり(以降実質的にこの材料を「ユニゾン(Unison)」と呼び、あるいは「ユニゾンモーション(Unison Motion)」、「ユニゾンディープ(Unison Deep)」、「ユニゾンスーパーディープ(Unison SuperDeep)」、「ユニゾンフロート(Unison Float)」、「ユニゾンスーパーフロート(Unison SuperFloat)」、「ユニゾン浮揚(Unison Levitate)」、「ユニゾンモーフ(Unison Morph)」、及び「ユニゾン3−D(Unison 3−D)」の名前で、それぞれの効果を提示するユニゾン構成要素を呼ぶ。)これらには概して後述されるようにこれらの効果のそれぞれを生じさせるその多様な実施形態がある。
【0013】
ユニゾンモーションは視差直交移動(OPM)(本発明の材料が傾くと、画像が通常のパララックス(視差)によって予想される方向に垂直であるように見える傾きの方向に移動する)を示す画像を提示する。ユニゾンディープとスーパーディープは、材料の厚さより視覚的に厚い空間平面の上に載っているように見える画像を提示する。ユニゾンフロートとスーパーフロートは本材料の表面から離れた空間平面に載っているように見える画像を提示し、ユニゾン浮揚は、材料が所与の角度(例えば90度)回転するにつれ、ユニゾンディープ(またはスーパーディープ)からユニゾンフロート(またはスーパーフロート)へ振れ、次に材料が同じ量さらに回転するとユニゾンディープ(またはスーパーディープ)に戻る画像を提示する。ユニゾンモーフは、材料が回転する、またはさまざまな視点から見られるとき、外観、形状またはサイズを変える合成画像を提示する。ユニゾン3−D(三次元)は、面の画像等の大縮尺の三次元構造を示す画像を提示する。
【0014】
複数のユニゾン効果は、外観、色、移動方向及び倍率が異なりうる複数のユニゾンモーション画像平面を組み込んだフィルム等のように、一つのフィルムで結合させることができる。別のフィルムはユニゾンディープ画像平面とユニゾンフロート画像平面を結合でき、さらに別のフィルムは、各画像が同じまたは異なるグラフィック要素を有しているユニゾンディープ層、ユニゾンモーション層、及びユニゾンフロート層を同じ色または違う色で結合するように設計されてよい。複数の画像平面の色、グラフィックデザイン、光学効果、倍率、及び他の視覚的な要素は少数の例外を除いて概ね無関係であり、これらの視覚的な要素の平面は任意の方法で結合できる。
【0015】
多くの貨幣、文書及び製品のセキュリティ応用例の場合、フィルムの総厚さが50ミクロン(ここでは「μ」または「um」とも記載されている)未満、例えば約45ミクロン未満であり、さらなる例としては約10ミクロンから約40ミクロンの範囲内であることが望ましい。これは、例えば50ミクロン未満、さらなる例として30ミクロン未満、またさらなる例としては約10ミクロンから30ミクロンの有効ベース直径を有する集光素子(要素)を利用して達成できる。別の例としては、約40ミクロン未満の焦点距離を有する集光素子、さらなる例としては約10ミクロンから約30ミクロン未満の焦点距離を有する集光素子を使用できる。具体的な例では、35ミクロンのベース直径及び30ミクロンの焦点距離を有する集光素子を使用できる。代替例として、ハイブリッド屈折/回折の実施形態では、8ミクロンほどの薄さに作ることができる。
【0016】
ここではフィルムは、その複雑な多層構造及びその高いアスペクト比の要素のために一般的に利用可能な製造システムによる複製品の影響を受けにくく、偽造にきわめて強い。
【0017】
したがって、本システムは、反射光または透過光線において肉眼で見たときに、
i.視差直交移動を示す(ユニゾンモーション)、
ii.高分子フィルムの厚さより奥行きのある空間平面上にあるように見える(ユニゾンディープ及びユニゾンスーパーディープ)、
iii.高分子フィルムの表面の上方の空間平面にあるように見える(ユニゾンフロート及びユニゾンスーパーフロート)、
iv.フィルムが方角的に回転されるとき、高分子フィルムの厚さより奥行きのある空間平面と、のフィルムの表面上の空間平面の間で振れる(ユニゾン浮揚)、
v.一つの外観、形状、サイズ、色(またはこれらの特性のなんらかの組み合わせ)から別の外観、形状、サイズまたは色(またはこれらの特性のなんらかの組み合わせ)に変換する(ユニゾンモーフ)、
vi.現実的な三次元性を有するように見える(ユニゾン3−D)、
一つまたは複数の画像を投射する厚さを有する、好ましくは高分子フィルムの形態を取るマイクロ光学システムを提供する。
【0018】
本開示は、さらに具体的には、
(a)一つまたはそれ以上の光学スペーサと、
(b)その平面軸の少なくとも一つの回りに対称軸を有する複数の画像アイコンの周期的平面的なアレイから構成され、前記光学スペーサの上にまたは隣に配置されるマイクロ画像と、
(c)その平面軸の少なくとも一つの回りに対称軸を有する画像アイコン集光素子の周期的平面的なアレイであって、前記対称軸が前記マイクロ画像平面アレイの平面軸と同じ平面軸であり、各集光素子が、多角形のベースマルチゾーン集光素子、関連する画像アイコンの周辺端部が視界から抜け落ちないように関連画像の幅以上の拡大された視野を提供するレンズ、あるいは50ミクロン未満の有効直径を有する非球面集光素子、のいずれかである、
合成倍率マイクロ光学システム及びこれを製造する方法を提供する。
【0019】
システムは前述された効果の内の一つまたは複数を含むことができる。前記効果をシステム内に選択的に含むことができる方法が提供される。
【0020】
本開示は、前述されたような少なくとも一つのマイクロ光学システムを備える、さらにセキュリティ文書、ラベル、開封テープ、タンパー表示装置、封印装置、または他の認証またはセキュリティ装置において、またはそれらに少なくとも部分的に取り込まれて、及びそれらに対してまたは関連して使用されるために適したセキュリティデバイス(手段)を提供する。さらに本開示は特に、
(a)一つまたはそれ以上の光学スペーサと、
(b)その平面軸の内の少なくとも一つの回りに対称軸を有し、光学スペーサ上またはその隣に配置される複数の画像アイコンの周期的平面的なアレイから構成されるマイクロ画像と、
(c)その平面軸の少なくとも一つの回りに対称軸を有する画像アイコン集光素子の周期的平面的なアレイであって、前記対称軸が前記マイクロ画像平面アレイの平面軸と同じ平面軸であり、各集光素子が多角形のベースマルチゾーン集光素子、関連する画像アイコンの周辺端部が視界から抜け落ちないように関連画像アイコンの幅を超える拡大された領域を提供するレンズ、または50ミクロン未満の有効直径を有する非球面集光素子のいずれかである、画像アイコン集光素子の周期的平面アレイと、
を備える、文書セキュリティデバイス(手段)及びこれを製造する方法を提供する。
【0021】
さらに、本開示は、衣料品、スキンケア製品、文書、印刷物、加工品、包装、店頭ディスプレイのポイント、出版物、広告手段、スポーツ製品、金融書類、及びトランザクションカード、及び他のすべての品物の視覚的な強化のための、少なくとも一つの、上記された構成の上記の効果を有するマイクロ光学システムを備える視覚強化装置を提供する。
【0022】
前述されたような少なくとも1つのセキュリティ手段が少なくともその中に部分的に埋め込まれて、及び/またはその上に取り付けられて有するセキュリティ文書またはラベルも提供される。
【0023】
本開示のその他の特徴及び優位点は、以下の詳細な説明及び添付図面から当業者に明らかになるであろう。
【0024】
その他のシステム、デバイス(手段)、方法、特徴及び優位点は、以下の図面及び詳細な説明を検討することにより当業者に明らかになる、または明らかであろう。このような追加のシステム、方法、特徴及び優位点はすべて、本説明の範囲内に含まれ、本開示の適用範囲内に含まれ、添付請求項によって保護されることが意図されている。
【0025】
別途定義されない限り、ここで使用されるすべての技術的な用語及び科学的な用語は、本発明が属する技術の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。ここで言及されるすべての出版物、特許出願、特許及び他の参考資料はその全体を参照することにより本書に組み込まれている。一致しない場合には、定義を含む本明細書の記載が優先される。さらに、本材料、方法及び例は例示に過ぎず、限定することを目的としていない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1a】システムの画像の視差直交移動を提供する本開示の一実施形態を例示するマイクロ光学システムの断面図である。
【図1b】図1aの実施形態の等角切断図である。
【図2a】図1a及び図1bの実施形態の視差直交合成画像運動の説明図である。
【図2b】本システムのディープ(Deep)実施形態とフロート(Float)実施形態の視覚効果の説明図である。
【図2c】本システムのディープ(Deep)実施形態とフロート(Float)実施形態の視覚効果の説明図である。
【図2d】本発明の浮揚(Levitate)実施形態により得られる視覚効果の説明図である。
【図2e】本発明の浮揚(Levitate)実施形態により得られる視覚効果の説明図である。
【図2f】本発明の浮揚(Levitate)実施形態により得られる視覚効果の説明図である。
【図3】図3aから図3iは、本システムの多様な実施形態及びレンズの対称的な二次元アレイの異なるパターンの充填比を示す平面図である。
【図4】アイコン要素周期/レンズ周期比の変動により生じるディープ、ユニゾン、フロート、及び浮揚の実施形態の効果のさまざまな組み合わせを描くグラフである。
【図5】図5aから図5cは、本発明のアイコン画像の合成倍率がレンズアレイ軸とアイコンアレイ軸の間の相対的な角度によりどのように制御できるのかを描く平面図である。
【図6】図6aから図6cは、本システムの合成倍率画像のモーフィング効果を達成する実施形態を描く平面図である。
【図7】図7aから図7cは、本システムのアイコン層の多様な実施形態を示す断面図である。
【図8】図8aから図8bは、「ポジティブ」アイコン要素実施形態と「ネガティブ」アイコン要素実施形態の両方を描く平面図である。
【図9】さまざまな特性を有する合成拡大された画像の領域を生成するためのマルチレベル材料の実施形態を描く断面図である。
【図10】さまざまな特性を有する合成拡大された画像の領域を生成するためのマルチレベル材料の別の実施形態を描く断面図である。
【図11】図11aから図11bは、本システムの反射光学部品とピンホール光学部品の実施形態を示す断面図である。
【図12】図12aから図12bは、ハイブリッド屈折/反射材料実施形態と、全屈折材料実施形態の構造を比較する断面図である。
【図13】「peel−to−reveal」タンパー表示材料の実施形態を示す断面図である。
【図14】「peel−to−change」タンパー表示材料の実施形態を示す断面図である。
【図15】図15aから図15dは、両面システムの多様な実施形態を示す断面図である。
【図16】図16aから図16fは、本システムによるグレイスケールまたは色調アイコン要素パターン、及び引き続きこれらの合成倍率画像を生じさせるための三つの異なる方法を描く断面図及び対応する平面図である。
【図17】図17aから図17dは、印刷情報とともに本発明の使用を示す断面図である。
【図18】図18aから図18fは、印刷情報と組み合わせた、本システムの多様な基板への適用または組み込みを描く断面図である。
【図19】図19aから図19bは、それぞれが本発明に組み込まれたときの、球面レンズの焦点(in−focus)視野を平面非球面レンズの焦点視野と比較する断面図である。
【図20】図20aから図20cは、本発明の厚いアイコン層を使用した結果生じる二つの利点を描く断面図である。
【図21】「ウィンドウ表示」セキュリティスレッドとしての貨幣への本システムの適用を示す平面図である。
【図22】「ウィンドウ表示」セキュリティスレッドに関する画像の本システムの視差直交運動実施形態の説明図である。
【図23】本システムの合成画像のハーフトーン処理の説明図である。
【図24a】個々の合成画像の最小の特徴物より寸法が小さい結合された合成画像を生じさせるための本システムの使用を描く図である。
【図24b】アイコン画像要素間の隙間の細いパターンを生じさせるための本発明の使用を描く図である。
【図25】本発明のアイコン画像の中への秘密の隠し情報の組み込みを描く図である。
【図26】本発明を用いて完全な三次元画像の生成を描く図である。
【図27】図26の三次元的実施形態のためのアイコン画像を設計するための方法の説明図である。
【図28】図27の方法から生じるアイコン画像の説明図である。
【図29】図27の方法を複雑な三次元合成画像にどのように適用できるのかを図解する図である。
【図30】28ミクロンの有効直径を有する例示的な六角形ベースマルチゾーンレンズの中心ゾーン焦点特性を描く図である。
【図31】28ミクロンの直径を有する球面レンズの中心ゾーン焦点特性を描く図である。
【図32】図30の六角形レンズの側面ゾーンの特性を描く図である。
【図33】図31の球面レンズの外側ゾーンの特性を描く図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示の多くの態様は、図面を参照することによりさらによく理解できる。図中の構成要素は必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに本開示の原則を明確に図解することに重きが置かれている。さらに、図中、類似する参照番号は複数の図全体で対応するパーツを指す。
【0028】
ここで図に描かれている実施形態の説明を詳細に参照する。複数の実施形態はこれらの図に関連して説明されているが、本発明をここに開示されている一つまたは複数の実施形態に限定する意図はない。むしろ、すべての代替策、変型、及び同等物を対象とすることを意図している。
【0029】
図1aは、システムの画像の視差直交移動を提供する本発明のマイクロ光学システム12の一実施形態を描いている。
【0030】
システム12は、少なくとも二つの実質的に等しい対称軸を有し、二次元の周期的アレイに配列されているマイクロレンズ1。レンズ直径2は好ましくは50μ未満であり、レンズ3の間の間隙は好ましくは5μ以下である(同じ測定値を意味するために用語「μ」と「μm」を同義的に使用している)。マイクロレンズ1はアイコン要素4の画像に焦点を合わせ、この画像10を観察者に向かって投射する。システムは一般的には通常レベルの周囲照明を有する状況で使用されるため、アイコン画像の照明は反射された、または透過した周辺(環境)光から生じる。アイコン要素4はレンズ1を含むレンズアレイの周期と寸法とに実質的に類似する周期と寸法を有するアイコン要素の周期的アレイの一つの要素である。レンズ1とアイコン要素4の間には、レンズ1の材料と連続している、あるいはオプションとして(任意選択的に)別の基板8であってよい光学スペーサ5がある。(この実施形態ではレンズ9は基板から分離されている。)アイコン要素4は、好ましくは高分子材料製の密封層6によって任意選択的に保護されてよい。密封層6は、透明、半透明、薄い色が付いた、有色素、不透明、金属性、磁気、光学的に可変、または望ましい光学効果及び/またはセキュリティと認証のための追加の機能性を提供する、これらの任意の組み合わせであってよく、追加の機能性には、光学効果、導電率、または静電容量、磁場検出に依存する自動的貨幣認証、検証、追跡調査、計数及び検出のシステムのサポートが含まれる。
【0031】
システムの総厚さ7は通常50μ未満である。実際の厚さはレンズ1のF#(F値)とレンズの直径2、及び追加のセキュリティ機能層または光学効果層の厚さに依存する。アイコン要素4の反復周期11はレンズ1の反復周期に実質的に同一である。「縮尺比率(scale ratio)」、つまりレンズの反復周期に対するアイコンの反復周期の比率が、多くの異なる光学効果を生じさせるために使用される。実質的に1.0000に等しい軸に沿って対称的な縮尺比率の値は、レンズとアイコンの対称軸がずれているときにはユニゾンモーション視差直交効果を生じさせ、1.0000未満の軸対称的な縮尺比率の値は、レンズとアイコンの対称軸が実質的に位置合わせされているときにはユニゾンディープ効果とユニゾンスーパーディープ効果を生じさせ、1.0000より大きい軸対称的な縮尺比率の値は、レンズとアイコンの対称軸が実質的に位置合わせされているときにはユニゾンフロート効果とユニゾンスーパーフロート効果を生じさせる。X方向に0.995及びY方向に1.005等の、軸非対称的な縮尺比率の値はユニゾン浮揚効果を生じさせる。
【0032】
ユニゾンモーフ効果は、レンズ反復周期とアイコン反復周期のどちらかまたは両方の縮尺の歪み(ねじれ)によって、あるいはアイコンパターンの中に空間的に変化する情報を組み込むことによって得られる。ユニゾン3−D効果も、アイコンパターンの中に空間的に変化する情報を組み込むことによって生成されるが、本実施形態では情報はアイコンの位置に実質的に一致する特定の位置から見られるような三次元オブジェクトのさまざまな視点を表す。
【0033】
図1bは、反復周期11のレンズ1とアイコン4の正方形のアレイパターン及び光学スペーサ厚さ5を有する、図1aの断面に描かれているように本システムの等角図を提示する(図1aは正方形のアレイパターンに特有ではなく、すべての規則正しい周期的アレイパターンの代表的な断面である)。アイコン要素4は、前部の一部を切り取った断面で明確に見られる「$」画像として示されている。レンズ1とアイコン要素4の間には実質的に1対1の対応があるが、レンズアレイの対称軸は、一般的にアイコンアレイの対称軸と厳密には整列していない。
【0034】
縮尺比率が1.0000の、図1aから図1bのユニゾン(視差直交運動)材料の実施形態の場合、レンズ1の軸とアイコン要素4の軸が実質的に一列であるときには、アイコン要素の結果として生じる合成画像(この例では、巨大な「$」)は「膨張(blow-up)」し、理論上無限に近づく係数(factor)により拡大される。レンズ1の軸とアイコン要素4の軸のわずかな角度の非整列により、アイコン要素の合成画像の拡大比率が減少し、拡大された合成画像を回転される。
【0035】
ユニゾンディープ、ユニゾンフロート、ユニゾン浮揚の実施形態の合成拡大比率は、システムの縮尺比率だけではなく、レンズ1の軸とアイコン要素4の軸の角度的整列にも依存する。縮尺比率が1.0000に等しくないとき、これらの軸が実質的に整列していることから得られる最大倍率は1/(1.0000−(縮尺比率))の絶対値に等しい。したがって、0.995の縮尺比率を有するユニゾンディープ材料は|1/(1.000−0.995)|=200xという最大倍率を示すであろう。同様に、1.005の縮尺比率を有するユニゾンフロート材料も|1/(1.000−1.005)|=200xという最大倍率を示すであろう。ユニゾンモーション材料の実施形態に類似した方法で、ユニゾンディープ、ユニゾンフロート、及びユニゾン浮揚の実施形態のレンズ1の軸とアイコン要素4の軸のわずかな角度の非整列はアイコン要素の合成画像の拡大比率を減少させ、拡大された合成画像を回転させる。
【0036】
ユニゾンフロートまたはスーパーフロートのアイコンパターンにより生じる合成画像は逆様であり、ユニゾンフロートまたはスーパーフロートのアイコンパターンの向きに関して百八十度(180°)回転しているが、ユニゾンディープまたはスーパーディープのアイコンパターンにより生じる合成画像は、ユニゾンディープまたはスーパーディープのアイコンパターンの向きに関して垂直である。
【0037】
図2aは、ユニゾンモーション実施形態で見られる直感に反した視差直交画像運動効果を概略的に描いている。図2aの左側は、水平軸16を中心に振動18する、一個のユニゾンモーション材料12を平面図で描いている。合成拡大された画像14がパ視差に従って移動すると、それは、材料12が水平軸16の回りで振動するのにつれて(図2aに示されているように)上下に変位するように見えるであろう。このような明白な視差運動は実際のオブジェクト、従来のプリント及びホログラフィック画像に特有であろう。合成倍率画像14は、視差運動を示す代わりに視差直交運動20(通常予想される視差運動方向に垂直である運動)を示す。図2aの右側は、それが水平回転軸16を中心に振動する18に従った単一の合成倍率画像14の視差直交運動を示す一個の材料12の斜視図を描いている。点線の輪郭22は、合成倍率画像14が視差直交によって右に移動した後の位置を示し、点線の輪郭24は、合成倍率画像14が視差直交によって左に移動した後の位置を示している。
【0038】
ユニゾンディープとユニゾンフロートの実施形態の視覚的な効果が、図2b、図2cに等角的に描かれている。図2bは、一個のユニゾンディープ材料26が、観察者30の目で見られるときに立体視ではユニゾンディープ材料26の平面の下にあるように見える合成倍率画像28を提示する。図2cは、一個のユニゾンフロート材料32が、観察者30の目で見られるときに立体視ではユニゾンフロート材料34の平面の上にあるように見える合成倍率画像34を提示する。ユニゾンディープ効果とユニゾンフロート効果は全方位視点位置で、及び垂直仰角(ユニゾンディープ材料26またはユニゾンフロート材料32への観察者30の目の視線方向が材料の表面の垂直であるような)から通常45度未満である浅い仰角まで広範囲の仰角位置で可視である。幅広い範囲の視角と向きでのフロート効果は、ユニゾンディープ材料とユニゾンフロート材料を、円柱形のレンズ状の光学部品またはホログラフィを使用するシミュレーションから区別する、単純且つ簡単な方法を提供する。
【0039】
ユニゾン浮揚実施形態効果が、図2dから図2fに、ユニゾン浮揚材料36の三つの異なる方位角回転における合成倍率画像38の立体視で知覚される奥行き位置を示す等角図、及びこれらに対応する、観察者30の目によって見られるユニゾン浮揚材料36及び合成倍率画像38の平面図によって描かれている。図2dは、前記材料が平面図で図示されるように傾けられているときに立体視的にユニゾン浮揚材料36の下の平面にあるように見える画像として合成倍率画像38(以下「画像」と称する)を描いている。平面図の中の濃い太線は説明のための方位角向きの基準37として示されている。図2dでは、向きの基準37が垂直方向に整列し、画像38が水平方向に整列していることに注意されたい。縮尺比率が、観察者の二つの目の瞳孔を結ぶ線と実質的に平行に位置合わせ(整列)されたユニゾン浮揚材料36の第一の軸に沿って1.000未満であるため(これを以後「立体視縮尺比率」と呼ぶ)、画像38はユニゾンディープ位置に見える。ユニゾン浮揚材料36の立体視縮尺比率はこの第一の軸に垂直な第二の軸に沿って1.000を上回り、それにより第二の軸が図2fに示されているように観察者の目の瞳孔を結ぶ線に実質的に平行に位置合わせされるとき、画像38のユニゾンフロート効果を生じさせる。向きの基準37はこの図の水平位置にあることに注意されたい。図2eはこの方角的向きの立体視縮尺比率が実質的に1.000であるためにユニゾンモーション視差直交画像効果を生じさせるユニゾン浮揚材料36の中間の方角的向きを描く。
【0040】
材料が方角的に回転するにつれてユニゾン浮揚材料36の下(図2d)からユニゾン浮揚材料36の高さ(図2e)まで、及びさらにユニゾン浮揚材料36の上の高さ(図2f)まで移動するユニゾン浮揚画像38の視覚的な効果は、ユニゾン浮揚材料36を従来の印刷情報と結合することにより強化できる。従来の印刷物の変化しない立体視奥行きは、画像38の立体視奥行き移動をさらによく知覚するための基準平面として働く。
【0041】
ユニゾン材料が「ポイント」光源(例えば、スポットライトまたはLEDフラッシュライト)または平行光源(例えば、太陽光)等の強力な指向性の光源によって照明されるとき、アイコンの「影の画像」が見られてよい。これらの影の画像は多くの点で特異である。ユニゾンにより提示される合成画像は、照明の方向が移動するにつれて移動しないが、生じる影の画像は移動する。さらに、ユニゾン合成画像は材料の平面とは異なる視覚面にありうる一方、影の画像はつねに材料の平面上にある。影の画像の色はアイコンの色である。したがって、黒いアイコンは黒い影の画像を生じさせ、緑のアイコンは緑の影の画像を生じさせ、白のアイコンは白の影の画像を生じさせる。
【0042】
照明の角度が移動するにつれての影の画像の移動は、合成画像内に存在する視覚的な効果と同様に、特有の奥行きまたはモーションユニゾン効果に結び付けられる。したがって、光の角度が変化するにつれての影の画像の移動は、視角が変化されるときに合成画像が示す移動に匹敵する。特に、
モーションの影画像は、光源が移動するにつれて視差直交的に移動する。
ディープの影の画像は光源と同じ方向で移動する。
フロートの影の画像は光源の反対の方向に移動する。
浮揚の影の画像は前記の組み合わせである方向で移動する。
即ち、浮揚のディープ影画像は左右方向では光と同じ方向で移動するが、上下方向では光の方向と反対に移動する、又は浮揚フロート影画像は左右方向では光と反対に移動するが、上下方向では光と同じ方向で移動する、又は浮揚モーション影画像は光の移動に対して視差直交運動を示す。
ユニゾンモーフの影画像は、光源が移動するにつれてモーフィング効果を示す。
【0043】
追加的な特異な影の画像の効果は、LED光等の発散する点光源がユニゾンフィルムに向かって移動し、及びユニゾンフィルムから離れるときに見られる。光源がさらに遠いときには、その発散する光線はさらに平行光線に非常に近似し、ディープ、スーパーディープ、フロートまたはスーパーフロートユニゾン合成画像によって生じる影の画像は合成画像とほぼ同じ大きさに見える。光が表面により近くにされると、フロートとスーパーフロートの材料の影の画像は拡大するが、照明が強力に発散的であるためディープ材料とスーパーディープ材料の影の画像は縮小する。これらの材料を集束照明で照明すると、フロート影画像とスーパーフロート影画像は縮小するが、ディープ影画像とスーパーディープ影画像は合成画像より大きなサイズに拡大する。
【0044】
ユニゾンモーション材料の影画像は照明の集束または発散の変更につれて大幅に縮尺を変更せず、むしろ影の画像は照明の中心の回りを回転する。ユニゾン浮揚の影画像は、照明の集束または発散の変化されるときに一方向で縮小し、その垂直方向で拡大する。ユニゾンモーフの影の画像は、照明の集束または発散の変化につれて特定のモーフパターンに特有な様式で変化する。
【0045】
これらの影画像の効果はすべてセキュリティ、偽造防止、ブランド保護用途、及び他の類似した用途のために活用されるユニゾン材料のための追加的な認証方法として使用できる。
【0046】
図3aから図3iは、マイクロレンズの対称的な二次元アレイのさまざまなパターンの多様な実施形態と充填比(fill-factor)を示す平面図である。図3a、図3d及び図3gは、それぞれ正六角形のアレイパターン40で配列されるマイクロレンズ46、52及び60を描いている(破線のアレイパターン線40、42及び44はレンズのパターンの対称を示すが、必ずしもレンズアレイの物理的な要素を表現していない)。図3aのレンズはほぼ円形のベース形状46を有し、図3gのレンズはほぼ六角形のベース形状60を有し、図3dのレンズは角を丸くされた六角形52である中間的なベース形状を有する。レンズ形状の類似する発展がレンズ48、54及び62の正方形のアレイ42に適用され、これらのレンズは、図3b、図3e及び図3hで見られるようにほぼ円形48から角を丸くされた正方形54、ほぼ正方形62に及ぶベース形状を有する。対応して、正三角形アレイ44は、図3c、図3f及び図3iに見られるようにほぼ円形50から角を丸くされた三角形58、ほぼ三角形64に及ぶベース形状を有する。
【0047】
図3aから図3iのレンズパターンは、本システムのために使用できるレンズを代表的に表している。レンズ間の間隙は画像の合成倍率に直接的に寄与しない。これらのレンズパターンの一つを使用して作成される材料も、同じ幾何学形状で、ほぼ同じ縮尺で配列されるアイコン要素のアレイを含み、ユニゾンモーション、ユニゾンディープ、ユニゾンフロート及びユニゾン浮揚の効果を生じさせるために使用される縮度の差異が許容される。図3cに示されているように間隙が大きい場合には、レンズは低い充填比を有するとされ、画像と背景間のコントラストはアイコン要素から散乱する光により減少する。間隙が狭い場合には、レンズは高充填比を有するとされ、画像と背景の間のコントラストが高くなり、レンズ自体に優れた焦点特性をもたらし、アイコン要素はレンズの焦点面の中に含まれる。一般的には、正方形または三角形のベースより、円形またはほぼ円形のベースの高品質の光マイクロレンズを形成する方が容易である。レンズ性能と間隙の最小化の優れたバランスは図3d、つまり角を丸くされた六角形のベース形状を有するレンズの六角形のアレイに示されている。
【0048】
低いF#を有するレンズは、本システムでの使用に特に適している。ここで低F#は4未満を意味し、特にユニゾンモーションの場合、約2以下を意味する。低F#のレンズは、その直径に対して高い曲率及び対応して大きな凹形曲線(サグ:sag)、又は中心の厚さを有する。F#が0.8の典型的なユニゾンレンズは、幅28ミクロン、中心厚さ10.9ミクロンの六角形のベースを有する。直径が50ミクロン、焦点距離が200ミクロンの典型的なドリンクウォーター(Drinkwater)レンズは4というF#と、3.1ミクロンという中心厚さを有する。同じベースサイズに縮小すると、ユニゾンレンズはドリンクウォーターレンズのほぼ6倍の大きさの凹形曲線を有する。
【0049】
出願人は、例えば六角形のベースマルチゾーンレンズ等の多角形ベースのマルチゾーンレンズが円形ベースの球面レンズに優る重要且つ予期しない優位点を有することを発見した。前述されたように、六角形ベースマルチゾーンレンズはそのストレスを緩和する形状のために製造性を大幅に改善するが、六角形ベースのマルチゾーンレンズを使用することにより取得される追加的な予期されていない光学利点がある。
【0050】
それぞれが本発明に異なった独自の優位点を提供する三つの光学ゾーンを所有するために、これらのレンズをマルチゾーンと呼ぶ。三つのゾーンは中心ゾーン(レンズの面積のほぼ半分を構成する)、側面ゾーン及び角ゾーンである。これらの多角形レンズは、中心ゾーンの回りの角ゾーンの内部に描画され、側面ゾーンを含む円の直径である有効直径を有する。
【0051】
本発明の六角形ベースのマルチゾーンレンズの中心ゾーンは、少なくとも同じ直径と焦点距離を有する球面と同様に、光を焦点させる非球面形状(例えば、公称焦点距離が28ミクロンの直径28ミクロンのレンズについて[y=(5.1316E)X4−(0.01679)X3+(0.124931)X+11.24824]によって定められる形状を有する)を有する。図30は高分子基板786(レンズと基板n=1.51)において公称焦点距離が28ミクロン、公称直径28ミクロンの六角形ベースマルチゾーンレンズ784の中心ゾーン780焦点特性782を示し、図31は高分子基板794(レンズと基板n=1.51)において公称焦点距離30ミクロン、直径28ミクロンの球面レンズ792の中心ゾーン788の焦点特性790を示している。これら二つの図の比較は、本開示の六角形マルチゾーンレンズ784も、少なくとも球面レンズ792と同様に機能することを明確に立証している。六角形ベースマルチゾーンレンズ784の中心ゾーン780は、高い画像解像度とさまざまな視角からの浅い被写界深度(shallow depth of field)を提供する。
【0052】
本発明の六角形ベースマルチゾーンレンズ784の六つの側面ゾーン796のそれぞれは、ゾーンの位置に複雑に依存する焦点距離を有するが、その効果は側面ゾーン796の焦点を、図32に描かれているように中心ゾーン焦点の約+/−10パーセントに及ぶ値の範囲798で拡散させることである。焦点のこの垂直方向のぶれ798は、これらのゾーン796内のレンズの被写界深度を効果的に増加し、フラットフィールドレンズ(flat-field lens)を有するのと同等の利点を提供する。球面レンズ792の外側ゾーン800の性能は図33に示されている。焦点802の垂直方向のぶれは、六角形ベースマルチゾーンレンズ784の場合より球面レンズ792の場合は著しく少ない。
【0053】
これはオフノーマル表示にとって特に重要である。つまり増加した被写界深度及び効果的な平坦な視野により、その曲線状の焦点面がアイコン平面から分離されるときに球面レンズで発生する可能性がある突然の画像ピンボケが軽減される。その結果、六角形ベースマルチゾーンレンズを使用するユニゾン材料は、球面レンズを使用する同等なユニゾン材料よりさらに高い視角でより穏やかに焦点からフェードする合成画像を表示する。これは、それにより材料の有効視角が増し、したがってセキュリティ装置または画像プレゼンテーション装置としての実用性が高まるために望ましい。
【0054】
図32の六角形ベースマルチゾーンレンズ784の角ゾーン806は、発散焦点特性を持ち、周囲の照明をアイコン平面上に散乱808することにより、ユニゾン材料の感度を照明状態に合わせて減少させる予期されない利点を提供する。図33の球面レンズ792は、(アイコン平面領域804の中に散乱する光線がないことによって確かめられるように)広い領域で周囲照明を散乱せず、したがって球面レンズを使用して作られるユニゾン材料は、六角ベースマルチゾーンレンズを使用して作られるユニゾン材料より種々の角度から見られるときにより大きな合成画像輝度変化を有する。
【0055】
例示的な六角形ベースマルチゾーンレンズから得られる利点は、六角形ベースマルチゾーンレンズが球面レンズより高い充填比(平面を覆う能力)を有するためにさらに拡大される。球面レンズ間の間隙は事実上周辺光の散乱をもたらさないが、この非散乱領域は六角形ベースマルチゾーンレンズの場合はるかに小さい。
【0056】
したがって、従来の光学規格によって評価されたとき六角形ベースマルチゾーンのレンズの焦点特性が球面レンズの焦点特性より劣っているとしても、本発明の状況においては、六角形ベースマルチゾーンレンズは球面レンズに優る予期されていない利点及び優位点を提供する。
【0057】
いずれかのタイプのレンズは、アイコン平面上への周囲照明の散乱を強化するために、散乱微細構造またはレンズ間隙空間の中に導入される、あるいは組み込まれる散乱物質を追加することにより利益を得ることができる。さらにレンズ間隙空間は、周辺照明をアイコン平面上に導くために集束するまたは発散する焦点特性の小半径の凹凸(メニスカス)レンズを形成する材料で充填できる。これらの方法は例えば光散乱粒子をレンズ間隙凹凸レンズ充填材料の中に組み込むことによって結み合わされてよい。代替的に、レンズ間隙ゾーンは最初から適切な散乱レンズ間隙ゾーンを用いて製造されてもよい。
【0058】
フィルムの表面とレンズの端縁間の高い接触角度が、製造中に工具からレンズを分離するためにかけられる力の応力(ストレス)集中部として働くため、これらの比率を有する球面レンズは製造が非常に困難である。これらの高いストレスはレンズのフィルムへの付着を失敗させ、工具からのレンズの取り外しを失敗させる傾向がある。さらに、低F#の球面レンズの光学性能はレンズの中心から離れる半径方向のゾーンについて徐々に危うくなる。つまり低F#の球面レンズはそれらの中心ゾーン近く以外では十分に焦点が合わない。
【0059】
六角形ベースレンズは、さらにほぼ円形のベースを有するレンズに対して予期されていない重要な利点を有する。つまり、六角形のレンズは、ほぼ円形のベースの光学的に同等なレンズより低い剥離力で工具から取り外される。六角形のレンズは、その中心近くでほぼ軸対称な形状から、六角形に対称な形状に融合する形状を、ベースで応力集中部として働く角とともに有する。鋭いベース角により引き起こされる応力の集中により、レンズを製造中にそれらのモールドから分離するために必要とされる全体的な剥離力が削減される。この効果はかなりの大きさである。製造中の剥離力は、ほぼ円形のベースレンズに比較して、六角形ベースのレンズの場合2または3以上の係数で、削減できる。
【0060】
材料の画像コントラストは、不透明な有色の光を吸収する(濃い色の)材料でレンズ間隙空間を充填することにより強化することができ、これは事実上、レンズのためのマスクを形成する。これによりレンズ間隙空間を通じてアイコン層から散乱する光から生じるコントラストの減少が低減される。この間隙充填による追加的な効果は、入射する周囲照明が間隙を通ってアイコン平面に通過するのが遮られるために画像全体がより暗くなるという点である。その周辺に迷走集束を有するレンズにより生じる画像の明瞭性も、この充填剤が迷走周辺レンズゾーンを閉塞する不透明な有色素性の間隙充填剤により改善できる。
【0061】
別の効果は間隙空間を白または明るい色の材料、あるいはユニゾン材料に使用される基板に色が一致する材料で充填することにより得られる。明るい色のレンズ間隙充填が十分に濃密であり、アイコン平面がアイコン要素と背景の間で強力なコントラストを有している場合、ユニゾン合成画像は、反射光で見られるときには実質的に非可視であり、レンズ側から透過光で見られるときにははっきりと可視であるが、アイコン側から見られるときには不可視となる。これにより透過光でのみ可視で、一方の側からだけ可視である一方向透過画像を有するという新規なセキュリティ効果が提供される。
【0062】
蛍光材料は、追加的な認証手段を提供するために、可視光顔料の代わりに、あるいは可視光顔料に加えて、レンズ間隙コーティングに使用できる。
【0063】
図4は、本材料の軸に沿った立体視縮尺比率、SSR(アイコン要素反復周期/レンズアレイ反復周期)を変更したときの効果を図示する。1.0000より大きいSSRを有するシステムのゾーンはユニゾンフロート効果とスーパーフロート効果を生じさせ、実質的に1.0000を有するゾーンはユニゾンモーション視差直交運動(OOPM)効果を生じさせ、1.0000未満のSSRを有するゾーンはユニゾンディープ効果とユニゾンスーパーディープ効果を生じさせる。システムフィルムの軸に沿って変動させることにより、これらの効果のすべてを生じさせ、種々の方法で一方から別の方へ遷移させることができる。この図は、無限の種々のこのような組み合わせの一つを描いている。破線66は、実質的に1.0000に一致するSSR値、ユニゾンディープとユニゾンスーパーディープ、及びユニゾンフロートとユニゾンスーパーフロートの間の分界線、及びOPMを示すSSR値を示している。ゾーン68では、ユニゾン材料のSSRは0.995であり、ユニゾンディープ効果を生じさせる。
【0064】
これに隣接しているのは、SSRが0.995から最大1.005まで傾斜し、ユニゾンディープからユニゾンフロート効果への空間的な遷移を生じさせるゾーン70である。次のゾーン72のSSRは1.005であり、ユニゾンフロート効果を生じさせる。次のゾーン74はユニゾンフロート効果からユニゾンディープ効果への下方への円滑な遷移を生じさせる。ゾーン76はユニゾンディープ効果から上方に段階的にOPMに、ユニゾンフロート効果に進み、ゾーン78でOPMに段階的に戻る。これらの効果を達成するために必要とされる反復周期の変化は、通常、アイコン要素層の中で最も容易に実現される。合成倍率画像を実質的に類似したサイズに保つために、各ゾーンの中でSSRを変化させることに加え、アレイの各ゾーンの回転角度を、好ましくはアイコン要素アレイの範囲内で変えることが望ましい。
【0065】
このグラフを解釈する最も簡単な方法は、それを一個の本システム材料のこの軸全体で知覚されるだろう立体視奥行きの断面として見ることである。したがって、立体的に彫刻された画像の視野、つまり輪郭が付けられた視覚的な表面を、SSRの局所的な制御により、及びオプションとして対応するアレイ回転角度の局所的な制御により作成することができる。この立体的に彫刻された表面は、人間の顔を含む無制限の範囲の形状を表すために使用できる。立体的に彫刻されたグリッド、つまり周期的ドットの効果を生じさせるアイコン要素のパターンは、複雑な表面を視覚的に表示するための特に効果的な方法でありうる。
【0066】
図5aから図5cは、本システムの材料の製造において一方のアレイパターンを他方に関して回転させる効果を描く平面図である。図5aは、アレイ軸の角度の大きな変化がない規則正しい周期的なアレイ間隔82を有するレンズアレイ80を示す。図5bは、アレイ軸方位角度86が漸次的に変化するアイコン要素アレイ84を示す。レンズアレイ80が、図示されているように、レンズアレイをアイコンアレイの上に平行移動させることによりアイコン要素アレイ84と結み合わされる場合、結果として生じる近似する視覚効果が図5cに示されている。図5cでは、レンズアレイ80とアイコンアレイ84を結合することにより作成された材料88が、材料全体で縮尺と回転が変化する合成倍率画像89,90、91のパターンを作成する。材料88の上端縁に向かって、画像89は大きく、わずかな回転を示している。画像90は、材料88の中上部に向かって小さくなり、画像89に関してかなりの角度で回転される。画像89と91の間のさまざまな縮尺と回転はレンズパターン82とアイコン要素パターン86の角度のある非整列(位置ずれ)における差異の結果である。
【0067】
図6aから図6cは、一つの合成倍率OPM画像98を別の合成倍率画像102に、第一の画像がアイコン要素パターン92と94内で境界104を横切って移動するにつれて、モーフィングさせるための方法を描く。アイコン要素パターン92は、拡大された差込図96に示される円形のアイコン要素98を持っている。アイコン要素パターン94は、拡大された差込図100に示されている星形のアイコン要素102を持っている。アイコン要素パターン92と94は別々のオブジェクトではないが、その境界104で接合されている。材料がアイコン要素のこの結合パターンを使用して組み立てられるとき、結果として生じるOPM画像は図6bと図6cに描かれているモーフィング効果を示すであろう。図6bは、境界104を横切って右107に移動し、右に移動するにつれ星画像102が境界から出現するOPM円形画像98を示している。画像106は、遷移中であり、それが境界を越えるときの部分円及び部分星である。図の図6cは、画像がさらに右に移動した後の画像を示している。つまり画像98が今度は境界104にさらに近づいており、画像106は円から星へのその変型を完了するために境界をほとんど完全に越えている。モーフィング効果は、確かな(hard)境界104を有する代わりに一方のアイコン要素パターンから他方への遷移ゾーンを作成することにより、より突然ではなく達成できる。遷移ゾーンでは、アイコンは一連の段階を通して徐々に円から星に変化するであろう。結果として生じるOPM画像の視覚的なモーフィングの円滑さは遷移に使用される段階の数に依存するだろう。画像的な可能性の範囲は無限である。例えば、遷移ゾーンは、円が収縮する一方、鋭い星の一点がそこから突出してくるように見えるように、あるいは代わりに円の側面が内向きに窪んでずんぐりした星を生成し、それが最終的なデザインに到達するまで漸次鋭くなっていくように設計できる。
【0068】
図7aから図7cは、アイコン要素の代替的実施形態を描く本システムの断面である。図7aは光学スペーサ5によってアイコン要素108から分離されるレンズ1を有する材料である。アイコン要素108は光学スペーサ5の下面に塗布される無色、有着、薄い色の付いた、あるいは染料のパターンにより形成されている。この種のアイコン要素108を付着させるためには、印刷解像度が十分に細かい限り、インクジェット、レーザジェット、凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、及び凹版印刷等の多数の一般的な印刷方法のいずれもが使用できる。
【0069】
図7bは、アイコン要素112の別の実施形態を用いた類似した材料システムを描いている。この実施形態では、アイコン要素は支持材料110に埋め込まれている顔料、染料、または粒子から形成される。この実施形態の支持材料110内のアイコン要素112の例は、写真乳剤としてのゼラチンの中の銀粒子、インクレセプタまたはコーティングに吸収された有色素性のまたは染色されたインク、染料レセプタコーティングの中への染料昇華転写、及び画像形成フィルムの光発色(フォトクロミック)性画像または熱発色(サーモクロミック)性画像を含む。
【0070】
図7cは、アイコン要素114を形成する微細構造手法を描いている。この方法には、ほとんど無制限の空間解像度という利点がある。アイコン要素114は、微細構造113または立体(ソリッド)領域115の中の間隙から、単独であるいは組み合わせで形成できる。間隙(void)113はオプションで、蒸着金属、異なる屈折率を有する材料、あるいは染料または有色素材料等の別の材料で充填またはコーティングできる。
【0071】
図8a、図8bは、アイコン要素のポジティブな実施形態とネガティブな実施形態を描く。図8aは、透明な背景118を背にして着色された、染められた、あるいは有色素性120のポジティブなアイコン要素116を示している。図8bは、着色された、染められたあるいは有色素性の背景120を背にして透明118であるネガティブなアイコン要素122を示している。本システムの材料はポジティブとネガティブの両方のアイコン要素をオプションとして組み込んでよい。ポジティブなアイコン要素とネガティブなアイコン要素を作成するこの方法は、図7cの微細構造アイコン要素に特によく適応される。
【0072】
図9は、本システムのピクセルゾーン材料の一実施形態の断面図を示す。本実施形態は、短い焦点を有するレンズ124のあるゾーンと、長い焦点136を有するレンズのある他のゾーンを含む。短焦点レンズ124は、レンズ124の焦点面に配置されているアイコン平面128内のアイコン要素129の画像123を投射する。長焦点レンズ136は、レンズ136の焦点面に配置されているアイコン平面132内のアイコン要素137の画像134を投射する。光学分離体126は、端焦点レンズ124をその関連付けられるアイコン平面128から分離する。長焦点レンズ136は、光学分離体126、アイコン平面128、及び第二の光学分離体130の厚さの合計分、その関連アイコン平面132から分離される。第二のアイコン平面132内のアイコン要素137は短焦点レンズ124の焦点深度外であるため、短焦点レンズゾーンで明確な合成倍率画像を形成しない。同様に、アイコン要素129は長焦点レンズ136に近すぎて、明確な合成倍率画像を形成できない。したがって、長焦点レンズ136を支える材料のゾーンはアイコン要素137の画像134を表示する一方、短焦点レンズ124を支える材料のゾーンはアイコン要素129の画像123を表示する。投射される画像123と134は、デザイン、色、OPM方向、合成倍率係数、及び前述されたディープ、ユニゾン、フロート、及び浮揚の効果を含む効果において異なっていてよい。
【0073】
図10は、本システムのピクセルゾーン材料の代替的な実施形態の断面図である。この実施形態は、持ち上げられていないレンズ148のベースの上に、レンズサポートメサによって持ち上げられたレンズ140のあるゾーンを含む。持ち上げられたレンズ140の焦点距離は距離158であり、これらのレンズの焦点は第一のアイコン平面152に配置される。持ち上げられていないレンズ148の焦点距離148は距離160であり、これらのレンズの焦点は第二のアイコン平面156に置かれる。これらの二つの焦点距離158と160は類似するように、または異なるように選択されてよい。持ち上げられたレンズ140はレンズ140の焦点面に配置されるアイコン平面152のアイコン要素162の画像138を投射する。持ち上げられていないレンズ148は、レンズ148の焦点平面に配置されるアイコン平面156のアイコン要素164の画像146を投射する。持ち上げられたレンズ140は、レンズサポートメサ144と光学分離体150の厚さの合計だけその関連するアイコン要素162から分離される。持ち上げられていないレンズ148は、光学分離体150、アイコン層152、及びアイコン分離体154の厚さの合計でその関連するアイコン要素164から分離される。第二のアイコン平面156内のアイコン要素164は持ち上げられたレンズ140の焦点深度外にあるため、持ち上げられたレンズゾーンで明確な合成倍率画像を形成しない。同様に、アイコン要素152は持ち上げられていないレンズ148に近すぎるので、明確な合成倍率画像を形成しない。したがって、持ち上げられていないレンズ136を支える材料のゾーンはアイコン要素156の画像146を表示するであろう一方、持ち上げられたレンズ140を支える材料のゾーンはアイコン要素162の画像138を表示するであろう。投射される画像138と146は、デザイン、色、OPM方向、合成倍率係数、及びディープ、ユニゾン、フロート及び浮揚の効果を含む効果において異なっていてよい。
【0074】
図11a、図11bは、本システムの非屈折実施形態を描く断面図である。図11aは、アイコン要素172の画像174を投射するために屈折レンズの代わりに焦点反射器166を使用する実施形態を描く。アイコン層170は観察者の目と集光光学部品の間にある。焦点反射器166は、高い集光効率を得るために金属化167できる。アイコン層170は光学分離体168によって反射器の焦点距離に等しい距離に維持される。図11bは、この材料のピンホール光学部品実施形態を開示する。コントラストの強化のために好ましくは色が黒の不透明な上層176は、開口178によって貫通されている。光学分離体要素180がシステムの視野を制御する。アイコン層182の中のアイコン要素184はピンホールカメラのピンホール光学部品に類似した方法で開口178を通して結像される。開口を通過する光量が少ないために、本実施形態は、光が最初にアイコン平面182を通過し、次に開口178を通過するように背面照明されるときに、最も効果的である。前述された実施形態のそれぞれの効果、つまりOPM、ディープ、フロート、及び浮揚は、反射システムの設計またはピンホール光学部品システムの設計のいずれを使用しても作成できる。
【0075】
図12a、図12bは、全屈折材料188の構造をハイブリッド屈折/反射材料199と比較する断面図である。図12aは、マイクロレンズ192がアイコン平面194から光学分離体198によって分離されている例示的な構造を描いている。オプションとしての密封層195は、屈折システムの総厚さ196に寄与する。レンズ192は、観察者(不図示)に向かってアイコン画像190を投射する。ハイブリッド屈折/反射材料199は、その直下にアイコン平面208があるマイクロレンズ210を含む。光学スペーサ200はレンズ210とアイコン平面208を反射層202から分離する。反射層202は、蒸着された、またはスパッタリングされたアルミニウム、金、ロジウム、クロミウム、オスミウム、劣化ウランまたは銀により、化学的に蒸着された銀によって、あるいは多層干渉フィルムによって金属化できる。アイコン層208から散乱する光は反射層202から反射し、アイコン層208を通過して、観察者(不図示)に向かって画像206を投射するレンズ210の中に入る。これらの図の両方とも、ほぼ同じ縮尺で図示されている。目視による比較によって、ハイブリッド屈折/反射システム199の総システム厚さ212は、全屈折システム188の総システム厚さ196の約半分であることが分かる。同等なシステムの例示的な寸法は総反射システム188厚さ196では29μであり、総ハイブリッド屈折/反射システム199厚さ212の場合17μである。屈折/反射システムの厚さはさらにスケーリングにより削減できる。したがって、レンズ直径15μを有するハイブリッドシステムは、約8μの総厚さで作ることができる。前述された実施形態のそれぞれの効果、つまりOPM、ディープ、フロート、浮揚、モーフ、及び3−Dは、ハイブリッド屈折/回折設計を使用して作成できる。
【0076】
図13は、本システムの「peel−to−reveal(剥がすと表示される)」タンパー表示材料を示す断面である。この実施形態は、それが不正に変更されるまで画像を表示しない。不正に変更されていない構造は領域224内に示され、屈折システム214が、基板218と、レンズ215と共形である剥離可能な(peelable)層220からなる最上層216の下に光学的に埋められている。剥離可能な層220は、事実上、正のレンズ215に適合し、その光学能力を無効にする負のレンズ構造220を形成している。レンズ215は、不正に変更されていない領域内ではアイコン層の画像を形成できず、アイコン平面から散乱する222光は焦点されない。最上層215はオプションとしてフィルム基板218を含んでよい。領域226に示されているタンパーにより、最上層216が屈折システム214から解離され、レンズ215を露出することによりそれらが画像228を形成できるようになる。前述された実施形態のそれぞれの効果、つまりOPM、ディープ、フロート及び浮揚は、図13のタイプのタンパー表示「peel−to−reveal」システムに含まれることができる。
【0077】
図14は、本システムの「peel−to−change(剥がすと変更される)」タンパー表示材料の実施形態を描く断面図である。この実施形態は、タンパー(不正変更)252の前には第一のアイコン平面242の第一の画像248を表示し、次にそれが不正変更された後は領域254での第二の画像258を表示する。不正に変更されていない構造は領域252で示され、二つの屈折システム232と230が積み重ねられている。第一のアイコン平面242は第二のシステムのレンズ240の下に位置する。領域252内でのタンパーの前に、第一の、つまり上部のシステム232が第一のアイコン平面242の画像を提示する。第二のアイコン平面246はレンズ234の焦点深度から遠くに外れすぎているので明確な画像を形成できない。第一のレンズ234は、オプションとして基板236と第二のレンズ240と共形である剥離可能な層238によって第二のレンズ240から分離されている。剥離可能な層238は、事実上、正のレンズ240上に適合し、その光学的能力を無効にする負のレンズ構造238を形成する。最上層232は、オプションとしてフィルム基板236を含んでよい。不正変更の結果、領域254に示されている最上層232が、第二の屈折システム230から剥がされる(256)ことにより、第二のレンズ240が露出され、それらが第二のアイコン層246の画像258を形成できるようになる。第二のレンズ240は、アイコン層がレンズ240に近すぎるために第一のアイコン層242の画像を形成しない。
【0078】
タンパー表示材料の本実施形態は、品物に付けられるテープまたはラベルとしての用途によく適している。不正変更は最上層232を解離させ、第二のシステム230を品物に付着したままにする。不正変更の前には、本実施形態は第一の画像248を提示する。不正変更254の後には、剥がされた層256は画像をまったく提示しないが、依然として品物に取り付けられている第二のシステム230は第二の画像258を提示する。前述された実施形態のそれぞれの効果、OPM、ディープ、フロート、及び浮揚は、第一のシステム232または第二のシステム230のいずれにも含まれることができる。
【0079】
図14の効果に類似する効果を達成する代替的な実施形態は、二つの別々のシステムを互いに積層させることに注意されたい。この実施形態では、上層が剥がされると、それは第一のアイコン平面とそれに伴うその画像(複数の場合がある)が外され、第二のシステム及びその画像(複数の場合がある)を明らかにする。
【0080】
図15aから図15dは、本システムの様々な両面実施形態を示す断面図である。図15aは、一方の側でレンズ262によって結像268され、反対側で第二のレンズ266のセットによって結像270される、単一のアイコン平面264を含む両面材料260を描いている。左側から見られる画像268は(図示されるように)、右側から見られる画像270の鏡像である。アイコン平面264は、鏡像で同様に見えるシンボルまたは画像であるアイコン要素、または鏡像で異なって見えるアイコン要素、あるいはアイコン要素の一部は、一方の側から見られるときに正しく読み取られ、他方のアイコン要素は、他方の側から見られるときに正しく読み取られるようなアイコン要素の組み合わせを含んでよい。前述された実施形態のそれぞれの効果、つまりOPM、ディープ、フロート及び浮揚は、本実施形態に従って両面材料のいずれの側面からも表示できる。
【0081】
図15bは、2セットのレンズ274と280のそれぞれによって、それぞれ結像(282及び286)される、二つのアイコン平面276と278を有する別の両面実施形態272を描く。この実施形態は、本体、図1aに描かれているような二つの別々のシステム287と289であり、それらの間のアイコン層スペーサ277により共に接合されている。このアイコン層スペーサ277の厚さがレンズのセットによって「間違った」アイコン層が結像(284及び288)される程度を決定する。例えば、アイコン層スペーサ277の厚さがゼロであり、その結果アイコン層276と278が接している場合、両方のアイコン層はレンズ274と280の両方のセットにより結像される。別の例では、アイコン層スペーサ277の厚さが実質的にレンズ274と280の焦点深度より大きい場合には「間違った」アイコン層はレンズ274と280によって結像されない。さらに別の例では、レンズ274の一方のセットの焦点深度が大きいが、レンズの他方のセットの焦点深度が小さい場合(レンズ274と280が異なるF#を有するために)、両方のアイコン平面276と278ともレンズ274を通して結像282されるが、一方のアイコン平面278だけがレンズ280を通して結像されるため、この種の材料は一方の側からは二つの画像を示すが、反対側からは、それらの画像の内の一方の鏡像だけしか示さない。前述された実施形態のそれぞれの効果、OPM、ディープ、フロート及び浮揚は、本実施形態に従って両面材料のいずれの側面からも表示でき、投射される画像282と286は同じ色であっても異なる色であってもよい。
【0082】
図15cは、材料の片側にあるレンズがアイコンの「間違った」セットを見るのを遮る有色素アイコン層スペーサ298を有するさらに別の両面材料290を示している。レンズ292はアイコン層296を結像294するが、有色素アイコン層298が存在するためにアイコン層300は結像できない。同様に、レンズ302はアイコン層300を結像304するが、有色素アイコン層298が存在するためにアイコン層296は結像できない。前述された実施形態のそれぞれの効果、つまりOPM、ディープ、フロート、及び浮揚は、本実施形態に従って両面材料のいずれの側面からも表示でき、投射される画像294と304は同じ色であっても異なる色であってもよい。
【0083】
図15dは、アイコン層314を結像318するレンズ308と、アイコン層310を結像322する反対側のレンズ316を有するさらなる両面材料306の実施形態を開示している。アイコン層310は、レンズ308のベースに近い、または実質的に接しており、アイコン層314はレンズ316のベースに近い、または実質的に接している。アイコン310はレンズ308に近すぎて画像を形成できないため、それらの光は集束する代わりに散乱320する。アイコン314はレンズ316に近すぎて画像を形成できないため、それらの光は集束する代わりに散乱324する。前述された実施形態のそれぞれの効果、つまりOPM、ディープ、フロート及び浮揚は本実施形態に従って両面材料のいずれの側からも表示でき、投射される画像318と322は同じ色であっても異なる色であってもよい。
【0084】
図16aから図16fは、グレイスケールまたは色調アイコン要素、ならびに以後の合成倍率画像を本システムで作成するための三つの異なる方法を図解する断面図と対応する平面図である。図16aから図16cは、光学分離体309の一部及び透明な微細構造アイコン層311の部分を含む材料307のアイコン側の断面詳細である。アイコン要素は、浅浮き彫り面313、315、317として形成され、次いで有色素材料または染料323、325、327でそれぞれ充填される。アイコン層の下面はオプションとして、透明、薄い色が付いた、着色された、染色された、または有色素性、または不透明であってよい密封層321によって密封されてよい。アイコン要素の浅浮き彫り微細構造313、315及び317は、平面図で見られるようなアイコン要素の光学濃度の変動を生じさせるような、染色されたまたは有色素性の充填材料323、325、及び327の厚さの変動をそれぞれ提供する。アイコン要素323、325、及び327に対応する平面図は平面図337、339、及び341である。この方法をグレイスケール合成倍率画像または色調合成倍率画像を作成するために使用することはここに開示されている例の詳細に限定されず、一般的には無制限の種々のグレイスケール画像を作成するため適用されてよい。
【0085】
図16aはアイコン要素313、染色された、または有色素性のアイコン要素充填313、及び対応する平面図337を含む。この図の上部のアイコン平面の断面図はアイコン要素を通る一つの切断面を示すだけである。切断面の位置は、平面図337、339、及び341を通る破線319によって示されている。したがって、アイコン要素313の断面は、実質的に半球形のアイコン要素を通る一つの平面である。充填323の全体的な染料または顔料の密度を適切に制限することにより、染色されたまたは有色素性の充填323の厚さの変動が、平面図337に表されている色調の変動またはグレイスケールの変動、光学濃度の変動を生じさせる。この種のアイコン要素のアレイは、同等なグレイスケール変動を示す画像を生じさせるために本材料システム内で合成拡大できる。
【0086】
図16bは、アイコン要素315、染色されたまたは有色素性のアイコン要素充填325、及び対応する平面図339を含む。平面図339は、アイコン要素315が表面の浅浮き彫り表現であることを示している。表面の画像の色調の変動は、断面図における複雑な厚さの変動325により示されるように複雑である。アイコン要素313に関して開示されているように、この種のアイコン要素のアレイは、315、325及び339によって示されるように、この例では表面の画像を表現する同等なグレイスケール変動を示す画像を生じさせるために本材料システム内で合成拡大できる。
【0087】
図16cは、アイコン要素317、染色されたまたは有色素性の充填327、及び対応する平面図341を含む。前記図16a、図16bの説明に類似した方法で、このアイコン要素構造の浅浮き彫り形状は染色され有色素性の充填327の外観における、及び本材料システムにより生じる合成倍率画像における色調変動を生じさせる。アイコン要素317は、丸みを帯びた表面に暗い中心を生じさせるアイコン要素313の効果に比較して、丸みを帯びた表面で明るい中心を作成するための方法を図示している。
【0088】
図16d、図16eは、高屈折率材料328でコーティングされるアイコン要素329と331を含む透明な浅浮き彫り微細構造アイコン層311の別の実施形態326を開示する。アイコン層311は、それぞれアイコン要素329と331、330と332を充填するオプションとしての密封層321で密封できる。高屈折率層328は、全反射によりそれらから反射を生じさせることによって傾斜面の視認性を強化する。平面図342と344はアイコン要素329と331とそれらの合成倍率画像の外観の代表的な画像を提示する。この高屈折率コーティング実施形態は、アイコン及びその画像を可視にするために顔料または染料を追加することなく一種のエッジ強化効果を提供する。
【0089】
図16fは、この相界面334微細構造に視覚的な定義を与えるために、空気、ガス、または液体体積336を使用する、透明な浅浮き彫り微細構造アイコン335のさらに別の実施形態333を開示する。オプションとしての密封層340は、空気、ガス、または液体体積336を捕捉するためのオプションとしての接着剤338を使用して、または使用せずに追加されてよい。相界面アイコン要素の視覚効果は、高屈折率コーティング済みアイコン要素329と331の視覚効果に類似している。
【0090】
図17aから図17dは、I.D.カードと運転免許証等の製造で使用されてよい、印刷情報と組み合わせた積層フィルムとしての本システムの使用を示す断面図であり、材料348(前述された調整されたレンズと画像のマイクロアレイからなる)は表面のかなりの割合をカバーする。図17aは、印刷物347上で積層品として使用されているユニゾンの実施形態を描いている。アイコン層に少なくとも何らかの光透明性を有する材料348は、積層接着剤350を用いて紙または紙の代替物等の繊維質の基板354に積層され、繊維質基板354に予め付与された印刷要素352をカバーする、または部分的にカバーする。材料348は少なくとも部分的に透明であるため、印刷要素352はそれを通して見られることができ、この組み合わせの効果は静的印刷物と組み合わせて本システムの動的画像効果を提供することである。
【0091】
図17bは、高分子フィルム等の非繊維質基板358に付与される印刷要素352上の積層品として使用されるシステム材料の実施形態を示す。図17aにおいてのように、アイコン層内で少なくともなんらかの光透明性を有する材料348は、積層接着剤350を用いてポリマー、金属、ガラス、またはセラミック代替物等の非繊維質基板358に積層され、非繊維質基板354に予め付与された印刷要素352をカバーするまたは部分的にカバーする。材料348は少なくとも部分的に透明であるため、印刷要素352はそれを通して確かめられることができ、この組み合わせの効果は、静的印刷物と組み合わせて動的画像効果を提供することである。
【0092】
図17cは、材料360のレンズ側で直接的に印刷要素を使用することを図示している。この実施形態では、材料348は印刷要素352をレンズ上部の表面にじかに取り付けられる。この実施形態は、材料が少なくとも部分的に透明であることを必要としない。印刷要素352は材料の上部にあり、動的画像要素は印刷要素の周囲で確かめられることができる。この実施形態では、材料348は、貨幣、IDカード、及び認証を必要とするあるいは別の品物に認証を提供するその他の品物等の最終製品の基板として使用される。
【0093】
図17dは少なくとも部分的に透明な材料362のアイコン側で直接に印刷要素を使用することを描いている。印刷要素352は少なくとも部分的に透明なシステム材料348のアイコン層または密封層にじかに付与される。システム材料348は少なくとも部分的に透明であるため、印刷要素352はそれを通して確かめられることができ、この組み合わせの効果は静的印刷と組み合わせて動的画像効果を提供することである。本実施形態では、システム材料348は、貨幣、IDカード、及び認証を必要とするまたは別の品物に認証を提供するその他の品物等の最終製品の基板として使用される。
【0094】
図17aから図17dの実施形態のそれぞれは、単独でまたは組み合わせて使用できる。したがって、例えば、システム材料348は、重ね刷り(図17c)と裏面印刷(図17d)の両方を行うことができ、次にオプションとして基板上の印刷の上に積層できる(図17a、図17b)。これらのような組み合わせは、本発明の材料の偽造防止、シミュレーション、及び不正加工防止をさらに強化できる。
【0095】
図18aから図18は、印刷情報と組み合わせた、本発明の多様な基板に対する適用、あるいは多様な基板への組み込みを描く断面図である。図18aから図18fの実施形態は、図17aから図17dの実施形態とは異なり、前の図が品物の大部分またはすべてをカバーするシステム材料348を開示するのに対し、本図は、システム材料またはその視覚的効果が表面全体を実質的にカバーせず、むしろ表面の一部だけをカバーする実施形態を開示する。図18aは、接着剤要素366で繊維質または非繊維質の基板368に付着される一個の少なくとも部分的に透明なシステム材料364を描いている。オプションとしての印刷要素370は、材料364のレンズ上部の表面にじかに適用される。印刷要素370は、一個の材料364を越えて伸張するさらに大きなパターンの一部であってよい。該材料364の一片は、材料364の適用前に繊維質または非繊維質の基板に適用された印刷要素372上にオプションとして積層される。
【0096】
図18bは、ウィンドウとして非光学基板378の中に組み込まれる片面システム材料364の実施形態を描いており、該システム材料364の端縁の少なくともいくつかが捕捉され、カバーされ、あるいは非光学基板378によって封入されている。印刷要素380は、オプションとしてシステム材料レンズ表面の上部に適用されてよく、これらの印刷要素は印刷要素380に隣接する領域内の非光学基板378に適用される印刷要素382と位置合わせされて、あるいは一致していてよい。同様に、印刷要素384は、システム材料364のアイコンまたは密封層388に適用される印刷要素386に位置合わせされるか、又は一致するように、非光学基板の反対側に適用できる。この種のウィンドウの効果は、材料がレンズ側から見られるときに明確な画像を提示し、アイコン側から見られるときには画像を提示しない、一方向の画像効果を提供することである。
【0097】
図18cは、システム材料306が両面材料306である点を除き、図18bの実施形態に類似した実施形態を示している(あるいは前述されたものとは別の両面実施形態である)。印刷要素390、392、394及び396は実質的に前述された印刷要素380、382、384、386の機能に対応している。この種の材料ウィンドウは、材料が反対の側面から見られるときに異なる明確な画像を提示することであろう。例えば、紙幣用紙に組み込まれるウィンドウは、紙幣の表側から見られるときには「10」等の紙幣の数値単位を表示できるであろうが、紙幣の裏側から見られるときには、ユニゾンウィンドウが、第一の画像と同じ色、または別の色である可能性がある「アメリカ合衆国」等の別の情報を提示できるであろう。
【0098】
図18dは、限られた範囲のレンズ374のゾーン及びレンズ374のゾーンの周辺を実質的に越えて伸張するアイコン層376により形成される材料のための光学スペーサとして働く透明な基板373を描いている。この実施形態では、本効果は、レンズとアイコンの両方を含むそのゾーン(この図ではレンズゾーン374に対応する)だけで可視となる。レンズ374と隣接する基板の両方ともオプションとして印刷375されてよく、印刷要素もアイコン層376に、またはアイコンをカバーするオプションとしての密封層(この図では示されていない。図1参照)にも適用されてよい。本実施形態の方法の後に複数のレンズゾーンが品物で使用できる。つまりレンズゾーンがどこに配置されても、ユニゾン効果は確認できる。画像のサイズ、回転、立体視奥行き位置、及びOPM特性は、レンズゾーンごとに異なっていてよい。この実施形態は、IDカード、クレジットカード、運転免許証、及び類似する用途に対する適用によく適している。
【0099】
図18eは、アイコン平面402がレンズゾーン400の範囲を実質的に越えて伸張していないという点を除き、図18dに類似する実施形態を示す。光学スペーサ398は、アイコン402からレンズ400を分離する。印刷要素404と406は図18dの印刷要素375と377に対応する。複数のゾーン400が、本実施形態の方法の後に品物に対して使用できる。各ゾーンは別々の効果を有することができる。この実施形態はIDカード、クレジットカード、運転免許証、及び類似する用途に対する適用によく適している。
【0100】
図18fは、本実施形態がアイコン平面410からレンズ413を分離する光学スペーサ408を組み込むという点を除き、図18dに類似する実施形態を描く。レンズ413は、アイコンゾーン412の周辺を実質的に越えて伸張する。印刷要素414と416は、図18dの印刷要素375と377に対応する。複数のレンズゾーンが、本実施形態のこの方法の後に品物に対して使用できる。レンズゾーンがどこに配置されても、本効果は確かめられる。画像のサイズ、回転、立体視奥行き位置、及びOPM特性はレンズゾーンごとに異なっていてよい。本実施形態は、IDカード、クレジットカード、運転免許証、及び類似する用途に対する適用によく適している。
【0101】
図19a、図19bは、それぞれが前述したタイプの構成に組み込まれている場合の、球面レンズの焦点野(in-focus field)と、フラットフィールド(flat-field)非球面レンズの焦点野を比較する断面図を描く。図19aは、前述されたようにシステム内で適用される実質的な球面レンズを描く。実質的球面レンズ418は、光学スペーサ420によってアイコン平面422から分離される。材料の表面に垂直に投射される画像424は、アイコン層412内の焦点426で発生する。焦点426がアイコン層422内にあるために、画像424は鋭く焦点が合っている。レンズが斜角から見られるときには、対応する焦点430はもはやアイコン平面内になく、かなりの距離だけ平面の上に位置するために、画像428はぼやけており、焦点が合っていない。矢印432は、426から430への焦点の湾曲運動に同等なこのレンズのフィールド湾曲を示している。焦点はゾーン434全体でアイコン平面内にあり、次いでゾーン436ではアイコン平面の外に移動する。印刷された画像またはアイコンの平面と協調した用途によく適しているレンズは、通常低い、典型的には1未満のF#を有し、非常に浅い焦点深度を生じさせる――より高いF#レンズは実際にはディープ効果及びフロート効果には使用できるが、ユニゾンモーション効果とともに使用されるときにここに説明されている効果との比例する垂直的両眼視差(vertical binocular disparity)を引きおこす。焦点深度の下限がアイコン平面の外に移動するとすぐに、画像明瞭性は急速に低下する。この図から、実質的に球面のレンズのフィールド湾曲が画像の視野を制限することが分かる。つまり、画像は焦点が合っているゾーン434内だけで明確であり、より斜めの視角では急速に焦点が外れていく。実質的に球面のレンズはフラットフィールドレンズではなく、これらのレンズのフィールド湾曲は低F#レンズのために増幅される。
【0102】
図19bは、本システムに適用されるような非球面レンズを描く。非球面レンズとして、その曲率は球形に近似されない。球面レンズ438は、光学スペーサ440によってアイコン層442から分離される。非球面レンズ438は、材料の平面に垂直にアイコン平面442の画像444を投射する。画像は焦点446で発生する。非球面レンズ438の焦点距離は、それが平坦なフィールド(flat-field)452を有するために、垂直444から斜角448まで幅広い範囲の視角についてアイコン平面442内にある。レンズの焦点距離はそれを通る視角に従って変化する。焦点距離は垂直視444の場合最短であり、視角がさらに斜めになるにつれて長くなる。斜めの視角448で、焦点450は依然としてアイコン平面の厚さ内にあるため、斜め画像はこの斜めの視角448において依然として焦点が合っている。焦点が合っているゾーン454は実質的に球面のレンズ418の焦点が合っているゾーン434より非球面レンズ438の場合はるかに大きい。非球面レンズ438はこのように球面レンズ418に比較して、関連画像アイコンの周辺端縁が視野から抜け落ちないような、関連画像アイコンの幅上により大きな視野を提供する。非球面レンズはそれらが提供するさらに大きな視野及び結果的な関連画像の視認性の増加のために本システムにとって好ましい。
【0103】
図20aから図20cは、厚いアイコン層の使用から生じる利用性の二つの利点を描く断面である。これらの利点は、それらを表示するために使用されるレンズ456が実質的に球面418であるか、あるいは非球面438であるかに関係なく適用されるが、該利点は非球面レンズ438と組み合わされるとき最大である。図20aは、光学スペーサ458によりアイコン層460から分離されるレンズ456を含む薄いアイコン層460システム材料を描く。アイコン要素462は、レンズ463のフィールド湾曲に比較して薄い461ことから、焦点が合っているゾーンを小さい角度に限定し、該角度は垂直方向464で投射される画像とアイコン層460内に焦点470を有する最高斜角画像468の間の角度である。最大の視野は垂直画像焦点466がアイコン平面の底部にあるように設計し、それによって焦点470がアイコン平面の上部にある点で制限される斜めの視野角を最大限にする。図20aのシステムの視野は30度に制限されている。
【0104】
図20bは、レンズ456のフィールド湾曲に比較して厚い472アイコン平面471を組み込むことから得られる利点を描く。レンズ456は、光学スペーサ458によって厚いアイコン要素474から分離される。厚いアイコン要素474は、図20aの薄いアイコン要素462よりより大きな視野、55度で焦点があった(475)ままとなる。焦点478からレンズ456を通して投射される垂直画像476は明確に焦点が合っており、画角が、斜めの画像480の焦点482が厚いアイコン平面471の上部にある最高55度まで増加する間、焦点は明確なままである。増大する視野は、図19bの非球面レンズ438等のフラットフィールドレンズの場合に最大である。
【0105】
図20cは、厚いアイコン平面492のさらに別の優位点、つまり製造変動から生じる厚さSの変動に対する本システムの敏感度を削減することを示している。レンズ484は、厚さiのアイコン平面の底面から距離Sだけ離されている。レンズ484は、アイコン層492の底部に配置されている焦点498から画像496を投射する。この図は、レンズとアイコン層の間の光学的空間Sの変動が画像496、500、504焦点を失うことなくアイコン層iの厚さに等しい範囲で変化することができることを示すために描かれている。レンズ486では光学スペーサの厚さは約(S+i/2)であり、画像500の焦点502は依然としてアイコン層492の厚さiの範囲内にある。レンズ488では、光学スペーサの厚さは(S+i)490に増加し、画像504の焦点506は厚いアイコン要素494の上部にある。したがって、光学スペーサ厚さはアイコン層iの厚さに対応する範囲で変化することができる。したがって、薄いアイコン層は光学スペーサ厚さ変動に小さい許容量を提供し、厚さアイコン層は光学スペーサ厚さ変動により大きな許容量を提供する。
【0106】
厚いアイコン層492によってさらなる利点が提供される。実質的に球面のレンズ等の不完全なレンズは、その中心496においてよりその端縁に向かってさらに短い焦点距離493を有することがある。これは実質的には球面のレンズの一般的な球面収差問題の一つの態様である。厚いアイコン層は一連の焦点距離498から495で明確に焦点を合わせることができるアイコン要素を提供し、それにより焦点距離変動を有するレンズ484により生じる画像の全体的な明瞭性とコントラストを改善する。
【0107】
図21は、「ウィンドウ表示」セキュリティスレッドとしての本システムの貨幣と他のセキュリティ文書への適用を示す平面図である。図21は、典型的には幅0.5mmから10mmの範囲である「スレッド」と呼ばれるリボン状の細長く切られたシステム材料508を含むウィンドウ型のスレッド構造を示す。スレッド508は繊維質の文書基板510の中に組み込まれ、ウィンドウ表示ゾーン514を提供する。スレッド508は、画像コントラストを増加するため、及び/または導電率、磁気特性、核磁気共鳴検出と認証等の追加のセキュリティ機能と認証機能を提供するために、あるいは基板の裏側(ユニゾン合成画像及びスレッド508と繊維質の基板510の間の接合を強化するための接着層517を提示する側面の反対側)から見られたときに反射照明での表示から材料を隠すために、オプションとして有色素の、染色された、充填された、あるいはコーティングされた密封層516を組み込んでよい。スレッド508は、画像効果がウィンドウ表示ゾーン514内で可視であるようにレンズを最上に保つような向きで維持される。繊維質の基板510とスレッドの両方とも印刷要素518により重ね刷りされてよく、繊維質の基板はその反対面に印刷520されてよい。
【0108】
図21は、スレッド508とその画像効果522が、基板510の上面521のウィンドウ表示ゾーン514の中だけから可視であることを示している。スレッド508は、内部ゾーン512で繊維質の基板材料によりカバーされ、画像効果522はこれらのゾーン内で実質的には可視ではない。OPM効果は、スレッド508の中に組み込まれるときに特に劇的である(図22参照)。繊維質の基板510が多様な方向で傾けられるにつれ、OPM画像をスレッドの幅524全体でスキャンさせることができ、驚くべき劇的な視覚効果を生じさせる。OPM画像のこのスキャニング機能により、スレッド508の幅より大きい画像522を提示できるようになる。ウィンドウ表示スレッド508を含む文書を調べるユーザは、次にスレッド全体で画像全体をスキャンするために文書を傾け、それを看板サインのようにスクロールできる。ディープ、フロート及び浮揚の実施形態の効果も、ウィンドウ表示スレッドフォーマットで利益を得るために使用できる。
【0109】
スレッド508は、製紙業界で一般的に利用されている技法により製造中にセキュリティ文書に少なくとも部分的に組み込まれてよい。例えば、スレッド508は、参照することにより本書に組み込まれる米国特許第4,534,398号により教示されるように、繊維が層をなしておらず、成形しやすい間に湿紙の中にプレスされてよい。
【0110】
本システムのウィンドウ表示スレッドは貨幣への適用に特によく適している。貨幣用紙の総厚さは88μほど高い範囲になる可能性があるが、スレッド材料のための典型的な総厚さは22μから34μの範囲内にある。スレッドの厚さに同等な量、用紙の厚さを局所的に削減することにより用紙の総厚さを実質的に改変することなく、貨幣の用紙に本システムのウィンドウ表示セキュリティスレッドを組み込むことができる。
【0111】
例示的な実施形態では、スレッド508は、
(a)一つまたはそれ以上の光学スペーサと、
(b)オプションとしての、光学スペーサの中、上、または隣に配置されるマイクロ画像またはアイコンの一つまたはそれ以上の周期的平面アレイと、
(c)オプションとしての、各マイクロレンズが50ミクロン未満のベース直径を有する、光学スペーサまたは平面的なアイコンアレイのどちらかの上または隣に配置される非円柱形のマイクロレンズの一つまたはそれ以上の周期的平面アレイと、
を備える。
【0112】
別の実施形態では、非円柱形のマイクロレンズは非球面レンズであり、各非球面マイクロレンズは約15ミクロンから約35ミクロンの範囲のベース直径を有し、マイクロ画像またはアイコンが一つまたはそれ以上の光学スペーサの表面上に形成される充填された間隙または凹部を構成する。少なくとも一つの有色素密封層または覆い隠す(obscuring)層516が、アイコンのコントラスト、したがっての視認性を高めるため、及びスレッドが少なくとも部分的にセキュリティ文書の中に埋め込まれているときにスレッド508の存在を隠すためにも、マイクロ画像またはアイコンの平面アレイ(複数の場合がある)に配置されてよい。
【0113】
本発明のさらに別の実施形態では、スレッド508は、
(a)対向する平面的な上面と平面的な下面を有する光学スペーサと、
(b)該光学スペーサの平面的な下面に形成される充填された凹部を備えるマイクロ画像またはアイコンの周期的アレイと、
(c)光学スペーサの平面的な上面に配置される非円柱形の、フラットフィールド、非球面または多角形ベースのマルチゾーンマイクロレンズの周期的アレイであって、各マイクロレンズが約30ミクロンから約30ミクロンの範囲のベース直径を有する周期的アレイと、
(d)アイコンアレイ上に配置される有色素の密封層または覆い隠す層516と、
を備える。
【0114】
光学スペーサ(複数の場合がある)は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン等を含むが、これらに限定されない一つまたは複数の本質的に無色のポリマーを使用して形成されてよい。例示的な実施形態では、光学スペーサ(複数の場合がある)は、ポリエステルまたはポリエチレンテレフタレートを使用して形成され、約8ミクロンから約25ミクロンの範囲の厚さを有する。
【0115】
アイコンアレイとマイクロレンズアレイは、アクリル、ポリエステル、エポキシ、ウレタン等を含むが、これらに限定されない実質的に透明なまたは澄んだ放射線硬化材料を使用して形成できる。好ましくは、アレイは製品呼称U107でロードケミカルズ(Lord Chemicals)から入手できるウレタンアクリレートを使用して形成される。
【0116】
光学スペーサの平面的な下面に形成されるアイコン凹部は、それぞれ奥行き約0.5ミクロンから約8ミクロン、通常マイクロ画像またはアイコン幅では30ミクロンと測定される。凹部は有色素樹脂、インク、染料、金属または磁気材料等の任意の適切な材料で充填できる。例示的な実施形態では、凹部は、製品名スペクトラパック(Spectra Pac)でサンケミカル社(Sun Chemical Corporation)から入手できるサブミクロン顔料からなる有色素樹脂で充填される。
【0117】
有色素の密封層または覆い隠す層516は、二酸化チタン等の顔料からなる有色素コーティングを含むが、これらに限定されない結合剤または硬化性ポリマー材料のキャリヤの中で分散される種々の不透明コーティングまたはインクの内の一つまたは複数を使用して形成できる。好ましくは、密封層または覆い隠す層516は放射線硬化ポリマーを使用して形成され、約0.5ミクロンから約3ミクロンの範囲の厚さを有する。
【0118】
前述されるスレッド508は、
(a)光学スペーサの上面と下面に実質的に透明なまたは澄んだ放射線硬化樹脂を塗布し、
(b)光学スペーサの上面にマイクロレンズアレイを、下面に凹部の形状でアイコンアレイを形成し、
(c)放射線源を使用して実質的に透明なまたは澄んだ樹脂を硬化する、
(d)有色素樹脂またはインクでアイコンアレイ凹部を充填し、
(e)光学スペーサの下面から余分な樹脂またはインクを取り除き、
(f)有色素性の密封または覆い隠すためのコーティングまたは層を光学スペーサの下面に適用する、
方法に従って作成されてよい。
【0119】
多くの場合では、貨幣で、及び他の高価値金融文書または識別文書で使用されるセキュリティスレッドが、静電気センサ、磁場センサ、光透過および不透過センサ、蛍光センサ及び/または核磁気共鳴センサ等の高速非接触センサによって検出され、認証されることが望ましい。
【0120】
ユニゾンフィルムのレンズ、基板、アイコンマトリクス、またはアイコン充填要素の中に蛍光体を組み込むと、蛍光の存在及びスペクトル特性の観察により、ユニゾン材料の秘密のまたは法医学的な認証を可能にできる。蛍光を発するユニゾンフィルムは、材料の両面から、あるいは材料の片側だけからその蛍光特性を可視にさせるように設計できる。材料の中でアイコン層の下に光学遮蔽(optical isolation)層を使用しない場合、ユニゾン材料の任意の部分の蛍光はその面のどちらからも可視になるであろう。光学遮蔽層を組み込むと、その二面からの蛍光の視認性を分離することが可能になる。このようにして、アイコン平面の下に光学遮蔽層を組み込むユニゾン材料は、多くの異なる方法で蛍光を示すように設計されることができる。即ち、レンズ側面から可視の蛍光色A、光学遮蔽層側から可視の蛍光色なし、光学遮蔽層側から可視であるがレンズ側からは可視ではない蛍光色AまたはB、及びレンズ側から可視の蛍光色Aと光学遮蔽層側から可視の蛍光色AまたはB等である。可能な種々の蛍光シグナチャにより提供される独自性は、ユニゾン材料のセキュリティをさらに強化するために使用できる。光学遮蔽層は、材料の片側からの蛍光発光を吸収または反射し、それが他方の側面から見られないようにする、有色素材料または染料の層、金属の層、または有色素層と金属層の組み合わせであってよい。
【0121】
成形された間隙から形成されるアイコンと、その逆に成形された柱から形成されるアイコンは、特に機械読み取り可能認証機能を、貨幣及び他の高価値文書のために、ユニゾン材料セキュリティスレッドに追加することを特に可能にしている。アイコンマトリクス、アイコン充填、及び任意の数の下塗り(密封コート)は非蛍光顔料、非蛍光染料、蛍光顔料、蛍光染料、金属粒子、磁性粒子、核磁気共鳴シグナチャ材料、レージング粒子、有機LED材料、光学的に可変の材料、蒸着金属、薄膜干渉材、液晶ポリマー、光学アップコンバージョン及びダウンコンバージョン材料、2色性の材料、(光回転力を有する)光学活性材料、光学偏光材料及び他の関連材料を、すべて別々に、及び/またはすべての組み合わせで、組み込むことができる。
【0122】
濃いまたは着色されたコーティング(磁性材料または導電層等)がユニゾン材料に追加されたとき、あるいはアイコン平面の色が基板の裏側を通して見られるとき等の状況次第で、埋め込まれた、部分的に埋め込まれた、あるいはウィンドウ表示のユニゾン材料セキュリティスレッドの外観を、スレッドが基板の反対側から可視であるが、紙の基板の片側から反射光の中で見られることからマスクする又は隠すことが望ましい場合がある。他の種類の貨幣セキュリティスレッドは、表面基板を通してフィルタリングする光を反射し、それにより周囲の基板に同様の輝度を提供するために、一般的には金属層、通常はアルミニウムを組み込む。アルミニウムまたは他の無色の反射金属が、金属層をユニゾン材料の裏側表面に適用し、次にオプションとしてそれを定位置で密封することによって、紙基板の裏側からユニゾンスレッドの外観を隠すために同様に使用できる。有色素層は、同じ目的で活用でき、金属化された層の代わりに、あるいはそれと関連して、文書の「裏」側からのセキュリティスレッドの視認性を隠す、あるいは遮る目的に使用できる。有色素層は白を含む任意の色であってよいが、最も効果的な色は、繊維質の基板の中または外部で散乱される光の色と輝度に一致する色である。
【0123】
金属化された層をユニゾン材料に追加するのは、蒸着、スパッタリング、化学蒸着、または他の適切な手段による、ユニオン材料のアイコンまたは密封層の直接的な金属化、あるいはユニオン材料のアイコンまたは密封層の第二のポリマーフィルムの金属化された面への積層を含む多くの方法で達成できる。フィルムを金属化し、このフィルムをパターン金属化解除(pattern demetallizing)することによって、金属化された領域の狭い「リボン」を残し、第二のポリマーフィルムに金属化された表面を積層し、次に金属リボンが積層接着剤によってスリットスレッドの端縁から隔離されるように積層された材料を細長く切り、それによってスレッドの端縁で薬品による損傷から金属を保護することによって、貨幣セキュリティスレッドを作成するのは一般的な慣用手法である。この方法は、本題発明の場合でも適用できる。つまり、単に第二の積層フィルムをユニゾン材料に置き換えられる。したがって、ユニゾン材料はパターン化された、あるいはパターン化されていない金属化された層を追加することによって増強できる。
【0124】
合成画像は、アイコンを定義する一つの色(またはその色の不在)及び背景を定義する別の色(または色の不在)を有するバイナリパターンとして設計できる。この場合、各アイコンゾーンは完全にオンまたは完全にオフのどちらかである画像「ピクセル」を使用する完全な単一トーン画像を含む。さらに精密な合成画像は、選択されたアイコン色の色調変動を提供することにより作成できる。合成画像色調変動は、各アイコン画像の中の色の濃度を制御することによって、あるいは選択されたアイコンのグループの中のデザイン要素を含める、または排除することによって合成画像を実際上「ハーフトーン化する(half−toning)」ことによって作成できる。
【0125】
各アイコン画像の中の色の密度を制御する第一の方法は、微細に印画されたアイコン画像を生成する材料の光学密度を制御することによって達成されてよい。これを行う一つの便利な方法は、すでに前述された充填された間隙アイコン実施形態を活用することである。
【0126】
第二の方法、つまり図23に描かれている、選択されたアイコンのグループにデザイン要素を含めるかまたは排除することによる合成画像の「ハーフトーン化」は、所望の色濃度に等しいアイコンゾーンの割合で画像デザイン要素を含めることにより達成される。図23は、レンズの類似した六角形反復パターンと協調するであろうアイコンゾーン570のための六角形反復パターンを使用する例でこれを図解している。アイコンゾーン570のそれぞれは同一の情報を含まない。アイコン画像要素のすべて、つまり572,574、576及び578は実質的に同じ色濃度で提示されている。アイコン画像要素572、574はアイコンゾーンのいくつかに存在し、異なるアイコン画像要素は他のアイコンゾーンに存在する。いくつかのアイコンゾーンは単一のアイコン画像要素570を含む。具体的には、アイコン画像要素572はアイコンゾーンの半分に存在し、アイコン画像要素574はアイコンゾーンの4分の3で表示され、アイコン画像要素578はアイコンゾーンの半分に存在し、アイコン画像要素576はアイコンゾーンの3分の1に存在する。各アイコンゾーンに存在する情報が、その関連レンズがある特定の向きから見られたときに、アイコン画像パターンの色またはアイコン画像背景の色を示すかどうかを決定する。画像要素572または578のどちらかがこのアイコンパターンと関連付けられたレンズのすべてで可視となるが、アイコン画像要素572の合成画像580空間はアイコン画像要素578の合成画像空間に重複する。つまり、アイコン572と578の合成画像の該重複ゾーン582は、あらゆるレンズがこのゾーンの中のアイコン画像色を投射するため100%色濃度で表示される。これらの二つの合成画像の重複しない部分588は、レンズの50%だけで可視であるため、それは50%色濃度で表示される。アイコン要素576の合成画像586はレンズの3分の1だけで可視であるため、それは33.3...%の濃度で表示される。アイコン画像要素576の合成画像584は対応して75%色濃度で表示される。甚だしい範囲の色調変動がアイコンゾーンの選択された割合でのアイコン画像要素の選択的な排除により合成画像内で得ることができることは本教示の範囲内で明らかである。最大有効性のために、アイコン画像ゾーン全体でのアイコン画像要素の分散は相対的に一様であるべきである。
【0127】
図24aに描かれている関連するアイコン画像設計方法は、個々の合成画像要素の最小の特徴より寸法が小さい結合合成画像要素を作成するために使用できる。これは、アイコン画像の最小特徴サイズがその特徴の配置精度(placement accuracy)より大きいような一般的な状況で可能である。したがって、アイコン画像は寸法が約2ミクロン程度の最小特徴を有してよいが、それらの特徴は0.25ミクロン間隔のグリッド上の任意の点で正確に配置されることができる。この場合、アイコン画像の最小の特徴はその特徴の配置精度より8倍大きい。前の図と同様に、この方法は六角形アイコンパターン594を使用して図示されているが、それは任意の他の使用に適した対称パターンにも等しくよく適用できる。図23の方法に類似した方式で、この方法は少なくとも一つのアイコンゾーンの異なる情報の使用に依っている。図24aの例では、二つの異なるアイコンパターン596と598がそれぞれアイコンゾーンの半分に存在する(明確にするために、各パターンの一つだけしかこの図の中には示されていない)。これらのアイコン画像は、アイコン画像要素596によって作成される合成画像602、及びアイコン画像要素598によって作成される合成画像604を含む複合合成画像600を生成する。該二つの合成画像602と604は、重複していない領域605は50%色濃度を有する一方、100%色濃度を有するように見える重複領域606と608を有するように設計される。複合合成画像の中の重複領域の最小寸法は、アイコン画像要素の合成倍率スケーリング位置精度ほど小さくてよいため、小さな領域で重複するように設計される二つの構成合成画像の最小特徴サイズより小さくてもよい。図23の例では、重複領域は、それ以外の場合に可能であるより細い線で数字「10」のための文字を作成するために使用されている。
【0128】
この方法は、図24bに示されるようにアイコン画像要素間に隙間の狭いパターンを作成するために使用することもできる。六角形アイコンゾーン609は、空間充填アレイを作成するために正方形または任意の他の適切な形状であってよいが、六角形が好ましい。この例では、アイコンパターンの半分がアイコン画像610であり、残りの半分がアイコン画像611である。理想的には、これら二つのパターンは、アイコンゾーンの間で相対的に一様に分散されるであろう。これらのパターンの要素のすべては実質的に等しく、一様な色濃度であるとして図示されている。個別には、これらの二つのパターンは最終的な画像の形式を明確に示唆せず、これはセキュリティ要素として使用できる――画像は、それを覆っているレンズアレイにより形成されるまで明らかにならない。アイコン要素610の合成画像と、アイコン要素611の合成画像の組み合わせにより形成される合成画像612の一つの例が示されており、それにより個別の合成画像間に残る隙間が数字「10」を形成する。この場合、二つの合成画像が結合され最終的な合成画像を形成するため、この画像の着色部分613は50%の色濃度を示す。この方法はこの例の詳細により限定されない。つまり、二つの代わりに三つのアイコンが使用でき、複合合成画像の中の所望される要素を画定する隙間の幅は可変幅であり無制限の形状の多様性を有することができ、この方法は図23、図24a、図24b、または図25の方法、あるいは教示した他のアイコン画像設計方法と組み合わせることができるであろう。
【0129】
秘密の隠された情報は、結果として生じる合成画像で見ることができないアイコン画像に組み込むことができる。アイコン画像にこのような秘密情報を隠しておくことは、例えば対象の秘密の認証に使用できる。これを達成する二つの方法が図25により描かれている。第一の方法は一致するアイコン画像616と618を使用することとして描かれている。アイコン画像616は、実線の縁取りパターンと縁取りの内側に含まれている数字「42」を示している。アイコン画像618は、その形状の中の図形の穴として数字「42」のあるベタ(solid)形状を示す。この例では、アイコン画像616と618の周縁形状は実質的に同一であり、それらのそれぞれのアイコンゾーン634と636の中でのそれらの相対的な位置も実質的に同一である。複合合成画像620がこれらのアイコン画像から作成されると、複合合成画像622の境界は、すべてのアイコン画像がその対応する領域でパターンを有するために100%色濃度を示し、したがってアイコン画像616と618から作成される合成画像内に完全な重複がある。「42」を取り囲む空間の画像がアイコンゾーンの半分を満たすに過ぎないアイコン画像618から生じ、着色された「42」の画像がやはりアイコンゾーンの半分を満たすアイコン画像616から生じるため、複合合成画像620の内部624の色濃度は50%となるであろう。その結果、「42」とその背景の間には色調の区別はないため、観察される複合合成画像626は100%色濃度の縁取り境界628と50%色濃度の内部630を有する画像を示す。アイコン画像616と618のすべてにひそかに存在する「42」はそれにより「中和され」、観察される複合合成画像626では見えないであろう。
【0130】
秘密情報をアイコン画像の中に組み込むための第二の方法は、図25の三角形632により描かれている。三角形632はアイコンゾーン(この図では不図示)内に無作為に配置されてよく、あるいはそれらはアイコンゾーン634、632の周期に実質的に対応しないアレイまたは他のパターンで配置できる。合成画像は、対応するマイクロレンズの規則正しいアレイにより結像される多数の規則正しく配列されるアイコン画像から作成される。マイクロレンズアレイの周期に実質的に対応しないアイコン平面内のパターンは完全な合成画像を形成しない。したがって、三角形632のパターンは一貫した(coherent)合成画像を作成せず、観察される合成画像626では可視ではない。この方法は三角形632等の単純な幾何学デザインに限定されない。つまり、英数字情報、バーコード、データビット及び大規模パターン等の他の秘密情報を、この方法を用いてアイコン平面の中に組み込むことができる。
【0131】
図26は、ユニゾン材料(ユニゾン3−D(三次元))に完全な三次元の一体的画像を作成する一般的な手法を図解する。単独のアイコンゾーン640はそのアイコンゾーン640を俯瞰する(vantage)地点から見られるような三次元で表示されるオブジェクトの縮尺がゆがんだ図を表すアイコン画像642を含む。この場合、アイコン画像642は中空の立方体674の合成画像670を形成するように設計されている。アイコン画像642は中空立方体672の最も近い辺674を表す前景フレーム644、中空立方体672の角676を表す先細(tapered)の隙間パターン646、及び中空立方体672の最も遠い辺678を表す背景フレーム648を有する。アイコン画像642の中の前景フレーム644と背景フレーム648の相対的な割合が、合成画像中空立方体672の最も近い辺674と最も遠い辺678の割合に対応しないことが分かる。縮尺の差異の理由は、ユニゾン材料の平面からさらに遠く見えるべきである画像がさらに大きな倍率を経験するため、アイコン画像の中のそのサイズが拡大時に正しい縮尺を提供し、合成画像672を形成するために縮小されなければならないためである。
【0132】
ユニゾン3−D(三次元)材料の別のロケーションでは、我々は別のアイコン画像652を含むアイコンゾーン650を見つける。アイコン画像642と同様に、アイコン画像652はこのアイコンゾーン650が別の俯瞰点から見られるような合成画像672の縮尺がゆがめられた図を表現する。前景フレーム654と背景フレーム658の相対的な縮尺(スケーリング)はアイコン画像642の対応する要素に類似しているが(これは一般的には真にならないであろうが)、背景フレーム658の位置は、角パターン656のサイズと向きとともにシフトしている。アイコンゾーン660はユニゾン3−D材料においてさらなる距離だけ離れて位置し、それは前景フレーム664、先細隙間パターン667、及び背景フレーム668のあるアイコン画像662を含む、さらに別の縮尺が歪んだアイコン画像662を提示している。
【0133】
一般的に、ユニゾン3−D材料の各アイコンゾーンの中のアイコン画像はその近傍の近隣地域とわずかに異なり、その遠い近隣地域とは大幅に異なっているであろう。アイコン画像652がアイコン画像642と662の間で遷移段階を表すことが分かる。一般的に、ユニゾン3−D材料の中の各アイコン画像は一意である可能性があるが、それぞれそのどちらかの側へのアイコン画像間の遷移段階を表現するであろう。
【0134】
合成画像670は、関連するレンズアレイを通して合成結像されるように、アイコン画像640、650、及び660のような多数のアイコン画像から形成される。中空立方体674の合成画像はアイコン画像のそれぞれの異なる要素の有効反復周期から生じる異なる合成拡大率の効果を示している。中空立方体画像674がスーパーディープ画像として見られることを意図していると仮定しよう。この場合、アイコンゾーン640がアイコンゾーン650の左下のある距離に配置され、アイコンゾーン660がアイコンゾーン650の右上のある距離に配置されると、前景フレーム644、654及び664の有効周期が背景フレーム648、658及び668の有効周期未満になり、それにより立方体の最も近い面676(前景フレーム644、654及び664に対応する)をユニゾン材料の平面により近くし、立方体の最も遠い面678をユニゾン材料の平面からさらに奥に、さらに遠くにし、さらに大きな係数で拡大させることが分かる。角要素646、656及び667は前景要素と背景要素の両方と協調し、それらの間で円滑に変化する奥行きの効果を生じさせる。
【0135】
ユニゾン3−Dのためにアイコン画像を設計する方法は図27にさらに詳細に説明されている。この図は単独画像プロジェクタ680のための方法だけを分離して示している。前述されたように、一つの画像プロジェクタは、レンズ、光学スペーサ、及びアイコン画像を含み、アイコン画像はレンズの反復周期と実質的に同じ寸法を有する(ユニゾン視覚効果を生じさせる縮尺の小さな差異を許容する)。レンズとその関連アイコンの視野は円錐682として示されている。即ち、これもレンズの焦点円錐の逆転に対応するため、視野円錐682の割合はレンズのF#により決定される。図は円形ベースを有するとしてこの円錐を示しているが、ベース形状は実際には六角形等アイコンゾーンの形状と同じであってよい。
【0136】
この例では、我々は単語「UNISON(ユニゾン)」の三つのコピー686、690および694を、三つの異なるスーパーディープ画像平面684、690および692に、同じ視覚サイズで組み込むユニゾン3−D(三次元)合成画像を作成したい。画像平面684,688、および692の直径は、視野円錐とともに拡大する。言い換えると、画像の奥行きが大きくなるにつれて、視野円錐によりカバーされる面積が増加する。したがって、中間の奥行きの平面688は「NIS」のすべてと「U」と「O」の一部分を包含し、最も深い奥行きの平面692は「UNISON」のほぼすべてを包含し、最後の「N」の部分だけが欠けるが、最も浅い奥行きの平面684での視野はワードUNISONの「NIS」の部分だけを包含する。
【0137】
それらがこれらの合成画像平面684、688、及び692のそれぞれにより提示された情報(UNISON686、690、及び694)は、最終的には画像プロジェクタ680の中の単一アイコン画像に組み込まれなければならない。これは、各奥行き平面684、688及び692で視野円錐686の中の情報を捕捉し、次に結果として生じるアイコン画像パターンを同じ寸法にスケーリング(拡大縮小)することによって達成される。アイコン画像696は、奥行き平面684で見られるようなUNISON画像686の視野を表現し、アイコン画像704は奥行き平面688で見られるようなUNISON画像690の視野を表現し、アイコン画像716は奥行き平面692で見られるようなUNISON画像694の視野を表現する。
【0138】
アイコン画像696の中で、アイコン画像要素698は、UNISON画像686の最初の「N」の一部から発し、アイコン画像要素700はUNISON画像686の「I」の部分から発し、アイコン要素702はUNISON画像686の「S」の部分から発する。アイコン画像704の中では、アイコン画像要素706はUNISON画像690の「U」の部分から発し、アイコン画像様相708はUNISON画像690の最初の「N」の部分から発し、アイコン画像要素710はUNISON画像690の「S」から発し、アイコン画像要素714はUNISON画像690の「O」の一部から発する。合成画像686、690、及び694が類似した縮尺で提示されるが、中間の奥行き平面688のためのアイコン画像704はアイコン画像696のUNISON文字より小さな縮尺でそのUNISON文字を提示することに注意されたい。これは、アイコン画像704が(同じ奥行き平面のための多数の周囲のアイコン画像と合成結合されるときに)経験するさらに高い合成倍率のためである。同様に、アイコン画像716は、UNISON画像694から発するアイコン画像要素718を組み込み、そのアイコン画像に組み込まれたUNISON文字はさらに縮小した縮尺とされる。
【0139】
この画像プロジェクタのための最終的なアイコン画像は、これら三つのアイコン画像696、704、及び716を、図28に図示される単一のアイコン画像730の中に結合することにより生じる。結合されたアイコン要素732は、画像プロジェクタ680が、それぞれが、合成画像のレベルと要素が生成される、画像プロジェクタを中心とした自身の視野円錐の交差から生じる特殊アイコン画像情報を組み込む多数の画像プロジェクタから形成される合成画像に対して、寄与するために必要な図形情報と奥行き情報のすべてを組み込む。各画像プロジェクタは他のすべての画像プロジェクタから少なくとも一つのレンズ反復周期分、変位されるため、各画像プロジェクタは、合成画像空間のあるその視野円錐の交差から生じる異なる情報を伝搬する。
【0140】
選ばれた3−D(三次元)画像を提示するために必要とされるアイコン画像のそれぞれは、合成画像の三次元デジタルモデル、所望の合成画像中に表示される奥行き位置及び奥行きスパン、レンズ反復周期、レンズ視野、及びアイコン画像の最終的なグラフィカル解像度に関する知識から計算できる。後者の要因は、各奥行き平面で提示できる詳細さのレベルに上限を課す。ユニゾン材料の平面からさらに遠くにある奥行き平面は(視野の拡大のため)さらに大量の情報を伝搬するので、アイコンのグラフィカル解像度の制限はこれらの合成画像奥行き平面の解像度に最大の影響を及ぼす。
【0141】
図29は、非常に高価な氷河時代のマンモスの象牙に彫刻された工芸品、Brassempuoyの貴婦人(Lady of Brassempouy)742等の複雑な三次元合成画像に図27の方法をどのようにして適用できるのかを描いている。少なくとも一つのレンズ、光学スペーシング要素、及びアイコン画像(この図では示されていない)を組み込む個々の画像プロジェクタ738は、ディープ合成画像空間からフロート合成画像空間を分離するユニゾン材料の平面740内にある。この例では、合成画像空間は、ユニゾン材料にわたって、画像の一部がフロート合成画像空間内にあり、一部がディープ合成画像空間内にある。画像プロジェクタ738は、ディープ合成画像空間744、及びフロート合成画像空間746の両方の中に広がる実質的に円錐状の視野を有する。所望のディープ合成画像空間解像度を取得するために必要とされる間隔により、選ばれた数のディープ画像平面748及び752から762が選択される。同様に、所望のフロート合成画像空間解像度を取得するために必要とされる間隔により、選ばれた数のフロート画像平面750及び764から774が選択される。ディープ平面748とフロート平面750等のこれらの平面のいくつかは合成画像を越えて広がっており、アイコン画像の中の最終的な情報に貢献しない。簡潔にするために、図29に示されている画像平面数は小さい数に制限されているが、選択される画像平面の実際の数は、所望の合成画像奥行き解像度を取得するために50または100平面以上等、大きくてもよい。
【0142】
図27と図28の方法は、次に選択された奥行き画面756から774とオブジェクト742の表面の交差の形状を決定することにより、各奥行き平面でのアイコン画像を得るために適用される。結果として生じる別々のアイコン画像は、結合されるアイコン画像の最終的なサイズに合わせてスケーリングされる。フロートアイコン画像のすべては最初に180度回転され(それらが投射されるときにその回転を再度経験し、それによりそれらを合成画像の中のそれらの正しい向きに戻すため)、次にディープアイコン画像と結合され、この画像プロジェクタ738の最終的なアイコン画像を形成する。このプロセスは、完全な合成画像742を形成するために必要とされるアイコン画像の完成したパターンを取得するために画像プロジェクタの位置のそれぞれに対して繰り返される。
【0143】
合成画像の解像度は、光学プロジェクタの分解能とアイコン画像のグラフィック解像度に依存する。我々は、倍率光学部品の理論上の光学分解能限度(0.2ミクロン)を超える0.1ミクロン未満のアイコン画像グラフィック解像度を得ることができた。典型的なアイコン画像は0.25ミクロンという解像度で作成される。
【0144】
ユニゾン材料は、レンズ製造とアイコン製造を別々に組み込むツールを活用して薄板またはウェブ加工によって製造できる。レンズツールとアイコンツールの両方とも、フォトマスク法とフォトレジスト法を使用して製造される。
【0145】
レンズツールは半導体型マスク、通常はガラス上の黒色クロムとして初期設計されている。十分な分解能を有するマスクは、光還元、電子ビーム書き込み、またはレーザ書き込みによって作成できる。レンズツール用の典型的なマスクは30ミクロン等の選ばれた周期で不透明な六角形の反復パターンを組み込み、明確な線により幅2ミクロン未満である六角形を分離する。このマスクは次に従来の半導体UV露光システムを使用してガラスプレート上にフォトレジストを露光するために使用される。レジストの厚さはレンズの所望のサグを得るように選択される。例えば、5ミクロンという厚さのAZ 4620ポジティブフォトレジストが、公称30ミクロンの周期及び公称35ミクロンの焦点距離を有するレンズを形成するために、スピンコーティング、浸漬被覆、メニスカスコーティングまたは噴霧によって等、適切な手段によりガラスプレート上にコーティングされる。フォトレジストはマスクパターンを用いて露光され、従来の方法でガラスに現像され、次に30分間、100℃で乾燥され、ガスを抜かれる。レンズは当技術で周知である標準的な方法に従って熱リフローによって形成される。結果として生じるフォトレジストマイクロレンズは金や銀等の導電性の金属でコーティングされ、ネガティブニッケルツールは電鋳法によって作成される。
【0146】
アイコンツールは同様の方法で作成される。アイコンパターンは、通常CADソフトウェアを用いて設計され、この設計は半導体マスク製造メーカに伝達される。このマスクは、露光されるレジストの厚さが、所望の合成画像の光学濃度に応じて、0.5ミクロンから8ミクロンの範囲になることを除きレンズマスクと類似した方法で使用される。フォトレジストはマスクパターンを用いて露光され、従来の方式でガラスに現像され、導電性金属でコーティングされ、ネガティブなニッケルツールは電鋳法により作成される。オリジナルマスク設計の選択、及び使用されるレジストタイプの選択(ポジティブまたはネガティブ)に従って、アイコンはレジストパターンの中の空隙の形で、あるいはレジストパターンの中の「メサ」またはポスト(柱)、あるいは両方の形で作成されることができる。
【0147】
ユニゾン材料は種々の材料及び、押し出しエンボス加工、放射線硬化性鋳造、ソフトエンボス加工、射出成形、RIM成形、及び反応鋳造を含む、多数のマイクロ光学及び微細構造複製技術において周知の方法から製造できる。例示的な製造方法としては、75ゲージ接着促進PETフィルム等のベースフィルムに対して成型される放射線硬化性液体ポリマーの中の間隙としてアイコンを形成し、次にベースフィルムの反対面に、アイコンに対して正しい位置合わせまたはねじれを持って、放射線硬化性ポリマーからレンズを形成し、次にアイコン間隙を、フィルム表面に対するグラビア状ドクターローラーブレーディング(doctor blading)によってサブミクロン粒子有色色材料で充填し、該充填を適切な手段(例えば、溶剤除去、放射線硬化、または化学反応等)によって凝固させ、最終的に、透明、染色された、有色素性、あるいは秘密のセキュリティ材料を含む、オプションとしての密封層を適用することである。
【0148】
ユニゾンモーション材料の製造は、アイコンツール及びレンズツールが二つのアレイの対称軸に選択された程度の非整列(ずれ)を含むことを必要とする。アイコンとレンズパターンの対称軸のこの非整列が、製造される材料の合成画像サイズと合成画像の回転を制御する。多くの場合、ウェブ方向またはウェブ交差方向のいずれかと実質的に位置合わせされた合成画像を提供することが望ましく、これらの場合では、アイコンとレンズの全体として(トータル)の角度のずれはレンズパターンとアイコンパターンの間で等しく分割される。必要とされる角度のずれの程度は、通常、きわめて小さい。例えば、トータルとして約0.3度の角度のずれが、ユニゾン材料の中で30ミクロンのアイコン画像を5.7mmのサイズに拡大するために適している。この例では、トータルの角度のずれは、二つのツールの間で等しく分割されるため、各ツールは両方のツールについて同じ方向に0.15度の角度で傾けられる。該傾きは、ツールがベースフィルムの反対面で微細構造を形成しているため同じ方向であり、ツールの傾きは互いに相殺されず、互いに加算される。
【0149】
傾きはマスクの当初の設計の時点で、マスクを書き込む前に所望の角度でパターン全体を回転することによりツールの中に組み込むことができる。また、傾きは平らなニッケルツールの中に、数値制御されたミルを用いて適切な角度でそれを切断することによって、機械的に組み込むこともできる。傾けられたツールは次に、ツールを圧胴の回転軸に位置合わせするために傾きカットエッジ(skew-cut edge)を使用して円柱形のツールに形成される。
【0150】
合成倍率マイクロ光学システムは、アイコン充填材料、裏面コーティング、上塗り、レンズへのパターン化及び非パターン化の両方がなされた充填または組み込み、光学スペーサ、または、積層品またはコーティングインクとしてのアイコン材料、及び/または、水性、溶剤性又は放射線硬化性を含む接着剤、光学的に透明、半透明または不透明、ポジティブのまたはネガティブな材料の形状を取る有色素性または染色されたしるし、コーティング、または、インク、金属、蛍光体、または磁性材料、X線、赤外線または紫外線を吸収する又は放出する物質、アルミニウム、ニッケル、クロム、銀、金を含む磁性または非磁性の金属等を含むがこれらに限定されない印刷物;検出または情報記憶のための磁気コーティング及び磁性粒子、コーティング及び粒子としての蛍光染料と顔料;IR蛍光コーティング、充填、染料、または粒子;UV蛍光コーティング、充填、染料または粒子;コーティング及び粒子としての燐光染料と顔料、プランシェット、DNA、RNA,または他のマクロ分子タガント、2色性ファイバ、ラジオアイソトープ、印刷物受容コーティング、サイジング、またはプライマ、化学的に反応する材料、マイクロカプセル化成分、分野に影響される材料、金属性と非金属性両方の電導性粒子とコーティング、マイクロ穿孔された穴、着色されたスレッドまたはファイバ、文書、ラベル、または製造中に紙に接着するためにキャリヤとして紙またはポリマーに接合される材料の表面に埋め込まれているユニゾンのパッチ、蛍光2色性スレッドまたは粒子、ラマン散乱コーティングまたは粒子、カラーシフトコーティングまたは粒子、紙、板紙、ボール紙、プラスチック、セラミック、ファブリックまたは金属基板に積層されるユニゾン、スレッド、パッチ、ラベル、オーバラップ、ホットスタンプ箔、または開封テープとしてのユニゾン、ホログラフィック、回折、回折kinegram、等値線、写真または屈折性の光学素子、液晶材料、アップコンバージョン材料とダウンコンバージョン材料としての実施形態を、単一の要素として、又はこれらの多様な組み合わせで含むが、これらに限定されない追加機能と結み合わせることができる。
【0151】
合成倍率マイクロ光学システムはここで多くの使用分野と用途を有する。例は以下を含む。
【0152】
政府及び防衛用途――連邦、州、または外国であるかを問わない。(パスポート、IDカード、運転免許証、ビザ、出生記録、バイタルレコード、有権者登録カード、投票用紙、社会保障カード、債券、フードスタンプ、郵便切手、及び納税印紙等)
貨幣――連邦、州、または外国であるかを問わない。(紙幣のセキュリティスレッド、ポリマー貨幣の特徴、紙幣上の特徴等)
文書(目録、捺印証書、免許、卒業証書、及び証明書等)
金銭的に譲渡可能な法律文書(裏書された銀行小切手、企業小切手、個人小切手、銀行バウチャー、株券、トラベラーズチェック、郵便為替、クレジットカード、デビットカード、ATMカード、アフィニティカード、プリペイドテレフォンカード、及びギフト券等)
機密情報(映画の台本、法律文書、知的財産、医療記録/病院記録、処方箋書式/パッド及び「秘伝のレシピ」等)
ファブリック及びホームケアを含む製品とブランドの保護(洗濯洗剤、柔軟剤、食器洗い、家庭用洗剤、表面コーティング、ファブリック脱臭剤、漂白剤、及び特殊ファブリック用品等)
美容用品(ヘアケア、ヘアカラー、スキンケア及びクレンジング、化粧品、香料、制汗剤と体臭防止剤、生理用品、タンポン、パンティライナー等)
乳児及び家族用品(乳児用おむつ、乳児及び幼児用ふき取り繊維、乳児用涎掛け、乳児用着替え及びベッドマット、ペーパータオル、トイレットペーパー、及び化粧紙等)
健康用品(オーラルケア、ペットの健康と栄養、処方医薬品、医師の処方箋なしで購入できる医薬品、薬物送達システム及び個人的健康用品、処方ビタミン及びスポーツ・栄養サプリメント、処方及び非処方メガネ類、病院、医療専門家、医療品卸御者に販売される医療機器と装置(つまり、包帯、機器、インプラント可能なデバイス、外科用備品)等)
食品と飲料の包装
織物類包装
電子機器、パーツまたは構成部品
スポーツウェア衣料品、履物、ライセンスされた及びライセンスされていない高級品、スポーツ及び高級衣服品目、ファブリック、を含む衣服と履物
バイオ技術医薬品
航空宇宙用材料とパーツ
自動車部品とパーツ
スポーツ用品
タバコ製品
ソフトウェア
コンパクトディスク及びDVD
爆発物
ノベルティ品目(ギフトラップとリボン等の)
書籍及び雑誌
学校製品とオフィス備品
名刺
出荷文書と梱包
ノートカバー
ブックカバー
しおり
イベント及び交通機関の券
賭博及び遊戯用途(宝くじ、ゲームカード、カジノでまたはカジノにおいて使用するためのカジノチップ及びアイテム、ラッフル、競馬等)
家具インテリア(タオル、リネン及び家具等)
床板及び壁装材
宝石及び時計
ハンドバッグ
芸術品、収集品、及び記念品
玩具
ディスプレイ(購入時及び商品ディスプレイ等の)
製品マーキング及びラベル付け(ラベル、品質表示票、タグ、スレッド、開封帯、オーバラップ、カモフラージュとして及び財産追跡調査として、認証または機能強化のために、ブランド製品または文書に適用される不正加工防止画像を確保すること等)
【0153】
前述された実施形態のために適切な材料は広範囲のポリマーを含む。アクリル、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリプロピレン、エポキシ、ウレタン、及びポリエステルは、マイクロレンズ及び微細構造化された(microstructured)アイコン要素の両方に適切な光学特性と機械特性を有する。オプションとしての基板フィルムに適した材料は、アクリル、セロファン、サラン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びポリビニルを含む、市販されているポリマーフィルムの大部分を含む。微細構造化されたアイコン充填材は、溶剤ベースのインク及びその他の一般的に入手可能な顔料または染料媒体だけではなく、前記に列挙された材料のいずれも、微細構造化されたアイコン要素を製造するために適しているとして含むことができる。これらの材料に組み込まれた染料または顔料は、該媒体の化学的な構成と適合しているべきである。顔料はアイコン要素のいずれの構成要素の最小の寸法よりも実質的に小さい粒子サイズを有しているべきである。オプションとしての密封層は、微細構造のアイコン要素製造するために適しているとして上に列挙した材料に加え、印刷業界と用紙及びフィルム変換業界で使用されている、多くのさまざまな市販されている塗料、インク、保護フィルム、ワニス、ラッカー、及びクリアコートを含んでいてよい。好ましい材料の組み合わせは特になく、材料の選択は材料形状の詳細、システムの光学特性及び所望の視覚的効果に依存する。
【0154】
例示的な実施形態が示され、説明されてきたが、説明されたような本発明に対する多くの変更、変型あるいは改変を行うことができることは当業者に明らかになるであろう。したがって、すべてのこのような変更、変型及び改変は本開示の範囲内であると見なされたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非円柱レンズの規則正しい二次元アレイを利用してマイクロ画像を拡大し、複数の個別のレンズ/アイコン画像システムの統合された性能により合成拡大された画像を形成するフィルム材料であって、
前記レンズが50ミクロン未満の直径を有する、フィルム材料。
【請求項2】
前記フィルム材料が50ミクロン未満の総厚さを有する、請求項1に記載のフィルム材料。
【請求項3】
前記マイクロ画像が微細構造内の間隙又は立体領域により形成されること、及び
前記微細構造内の間隙が蒸着金属あるいは染料または有色素材料を含む別の材料で充填またはコーティングされること、
の少なくとも1つを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルム材料。
【請求項4】
前記フィルム材料は、
1)前記合成拡大画像が、通常の視差により予想される方向に垂直であるように見える傾きの方向に移動する効果、
2)前記合成拡大画像が、フィルム材料の厚さより視覚的に深い空間平面の上に載っているように見える効果、
3)前記合成拡大画像が、フィルム材料の表面から上に離れた空間平面に載っているように見える効果、
4)前記合成拡大画像が、フィルム材料を回転させると、フィルム材料の厚さより視覚的に深い空間平面上と、フィルム材料の表面から上に離れた空間平面上との間で振れるように見える効果、
5)前記合成拡大画像が、異なる視点から見られたとき、外観、形状、サイズ、及びこれらの組み合わせが変化して見える効果、
6)前記合成拡大画像が、大縮尺の三次元構造を示す効果、
の少なくとも1つ以上を提供し、前記2)及び3)の効果の少なくとも1つは、全方位視点位置から、かつ、垂直仰角から45度未満である浅い仰角までを含む広範囲の仰角位置で可視であることができる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム材料。
【請求項5】
前記合成拡大画像が無色または有色であること、及び
前記合成拡大画像を取り囲む背景が、透明、半透明、色素性、金属化されている、蛍光性、燐光性、視覚的可変色、あるいは再帰反射性、のいずれかであること、
の少なくとも1つを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム材料。
【請求項6】
前記レンズと前記マイクロ画像の間にスペーサを備え、前記スペーサが前記レンズの材料と連続しているか、又は別の基板であること、及び
高分子材料からなることができ、前記マイクロ画像を保護する密封層を備え、前記密封層は透明、半透明、薄い色が付いた、有色素、不透明、金属性、磁気性、光学的に可変、または光学効果及びセキュリティと認証のための追加的機能性の少なくとも1つを提供するこれらの任意の組み合わせからなることができ、前記追加的機能性が、光学効果、導電率、または静電容量、磁場検出に依存する自動的貨幣認証、検証、追跡調査、計数及び検出システムのサポートを含むこと、
の少なくとも1つを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルム材料。
【請求項7】
前記レンズが、円形、六角形、角を丸くされた六角形、角を丸くされた正方形、正方形、角を丸くされた三角形、又は三角形のベース形状を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルム材料。
【請求項8】
前記複数のレンズ間に、前記マイクロ画像の合成拡大に寄与しない間隙を有し、前記レンズ間の間隙が5ミクロン以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のフィルム材料。
【請求項9】
前記フィルム材料が印刷情報の上に、前記印刷情報と前記マイクロ画像の両方が、互いの空間的または動的な運動関係で同時に視認されることができるように付与されること、
前記レンズが約40ミクロン未満の焦点距離、又は10ミクロンから約30ミクロン未満の焦点距離を有すること、
前記合成拡大画像およびその背景が無色または有色であり、前記合成拡大画像及び前記背景の少なくとも1つが、透明、半透明、色素性、金属化されている、蛍光性、燐光性、視覚的可変色、あるいは再帰反射性、のいずれかであること、
前記フィルム材料が重ね刷りされ、前記重ね刷りが前記フィルム材料の最上層のレンズ表面に印刷がなされることを含むこと、
前記レンズが4未満、又は2以下のF値を有すること、
前記レンズ及び前記マイクロ画像が、アクリル、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリプロピレン、エポキシ、ウレタン、又はポリエステルで形成されること、及び
前記フィルム材料が紙に積層されるか、或いはスレッド又はパッチとして提供されること、
の少なくとも1つを特徴とする、請求項1〜8に記載のフィルム材料。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のフィルム材料を、印刷情報と共に付与されるか、又は組み込んだ基板。
【請求項11】
前記フィルム材料が、前記基板の表面の一部のみをカバーする、請求項10に記載の基板。
【請求項12】
前記フィルム材料が少なくとも部分的に透明であり、接着剤により繊維質又は非繊維質基板に接着されること、
前記フィルム材料の上層のレンズ表面に印刷要素が直接付与され、前記印刷要素は前記フィルム材料を越えて伸張するより大きなパターンの一部であること、及び
前記フィルム材料が繊維質又は非繊維質基板の上に予め付与された印刷要素の上に積層されること、
の少なくとも1つを特徴とする、請求項10又は11に記載の基板。
【請求項13】
前記フィルム材料がウィンドウとして前記基板に組み込まれ、前記基板が非光学基板であり、前記フィルム材料の端縁の少なくともいくつかが非光学基板により捕捉、カバー、あるいは封入されており、前記フィルム材料が前記レンズ側から見られると明確な画像を提示し、前記マイクロ画像側から見られると画像を提示しないこと、
印刷要素が、前記フィルム材料のレンズ表面の上部に適用されることができ、前記印刷要素は前記非光学基板の隣接する領域内に付与される印刷要素と位置合わせされるか、又は一致していること、及び
印刷要素が、前記フィルム材料のマイクロ画像または密封層に適用される印刷要素に位置合わせされるか、又は一致するように、前記非光学基板の反対側に付与されること、
の少なくとも1つを特徴とする、請求項10又は11に記載の基板。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のフィルム材料を有する貨幣。
【請求項15】
前記フィルム材料が50ミクロン未満、又は45ミクロン未満、又は10〜40ミクロンの総厚さを有すること、
前記レンズが50ミクロン未満、又は30ミクロン未満、又は10〜30ミクロンの有効ベース直径を有すること、
前記フィルム材料が紙幣のセキュリティスレッドとして使用され、ポリマー貨幣の特徴又は紙幣上の特徴を提供すること、
の少なくとも1つを特徴とする、請求項14に記載の貨幣。
【請求項1】
非円柱レンズの規則正しい二次元アレイを利用してマイクロ画像を拡大し、複数の個別のレンズ/アイコン画像システムの統合された性能により合成拡大された画像を形成するフィルム材料であって、
前記レンズが50ミクロン未満の直径を有する、フィルム材料。
【請求項2】
前記フィルム材料が50ミクロン未満の総厚さを有する、請求項1に記載のフィルム材料。
【請求項3】
前記マイクロ画像が微細構造内の間隙又は立体領域により形成されること、及び
前記微細構造内の間隙が蒸着金属あるいは染料または有色素材料を含む別の材料で充填またはコーティングされること、
の少なくとも1つを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルム材料。
【請求項4】
前記フィルム材料は、
1)前記合成拡大画像が、通常の視差により予想される方向に垂直であるように見える傾きの方向に移動する効果、
2)前記合成拡大画像が、フィルム材料の厚さより視覚的に深い空間平面の上に載っているように見える効果、
3)前記合成拡大画像が、フィルム材料の表面から上に離れた空間平面に載っているように見える効果、
4)前記合成拡大画像が、フィルム材料を回転させると、フィルム材料の厚さより視覚的に深い空間平面上と、フィルム材料の表面から上に離れた空間平面上との間で振れるように見える効果、
5)前記合成拡大画像が、異なる視点から見られたとき、外観、形状、サイズ、及びこれらの組み合わせが変化して見える効果、
6)前記合成拡大画像が、大縮尺の三次元構造を示す効果、
の少なくとも1つ以上を提供し、前記2)及び3)の効果の少なくとも1つは、全方位視点位置から、かつ、垂直仰角から45度未満である浅い仰角までを含む広範囲の仰角位置で可視であることができる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム材料。
【請求項5】
前記合成拡大画像が無色または有色であること、及び
前記合成拡大画像を取り囲む背景が、透明、半透明、色素性、金属化されている、蛍光性、燐光性、視覚的可変色、あるいは再帰反射性、のいずれかであること、
の少なくとも1つを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム材料。
【請求項6】
前記レンズと前記マイクロ画像の間にスペーサを備え、前記スペーサが前記レンズの材料と連続しているか、又は別の基板であること、及び
高分子材料からなることができ、前記マイクロ画像を保護する密封層を備え、前記密封層は透明、半透明、薄い色が付いた、有色素、不透明、金属性、磁気性、光学的に可変、または光学効果及びセキュリティと認証のための追加的機能性の少なくとも1つを提供するこれらの任意の組み合わせからなることができ、前記追加的機能性が、光学効果、導電率、または静電容量、磁場検出に依存する自動的貨幣認証、検証、追跡調査、計数及び検出システムのサポートを含むこと、
の少なくとも1つを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルム材料。
【請求項7】
前記レンズが、円形、六角形、角を丸くされた六角形、角を丸くされた正方形、正方形、角を丸くされた三角形、又は三角形のベース形状を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルム材料。
【請求項8】
前記複数のレンズ間に、前記マイクロ画像の合成拡大に寄与しない間隙を有し、前記レンズ間の間隙が5ミクロン以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のフィルム材料。
【請求項9】
前記フィルム材料が印刷情報の上に、前記印刷情報と前記マイクロ画像の両方が、互いの空間的または動的な運動関係で同時に視認されることができるように付与されること、
前記レンズが約40ミクロン未満の焦点距離、又は10ミクロンから約30ミクロン未満の焦点距離を有すること、
前記合成拡大画像およびその背景が無色または有色であり、前記合成拡大画像及び前記背景の少なくとも1つが、透明、半透明、色素性、金属化されている、蛍光性、燐光性、視覚的可変色、あるいは再帰反射性、のいずれかであること、
前記フィルム材料が重ね刷りされ、前記重ね刷りが前記フィルム材料の最上層のレンズ表面に印刷がなされることを含むこと、
前記レンズが4未満、又は2以下のF値を有すること、
前記レンズ及び前記マイクロ画像が、アクリル、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリプロピレン、エポキシ、ウレタン、又はポリエステルで形成されること、及び
前記フィルム材料が紙に積層されるか、或いはスレッド又はパッチとして提供されること、
の少なくとも1つを特徴とする、請求項1〜8に記載のフィルム材料。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のフィルム材料を、印刷情報と共に付与されるか、又は組み込んだ基板。
【請求項11】
前記フィルム材料が、前記基板の表面の一部のみをカバーする、請求項10に記載の基板。
【請求項12】
前記フィルム材料が少なくとも部分的に透明であり、接着剤により繊維質又は非繊維質基板に接着されること、
前記フィルム材料の上層のレンズ表面に印刷要素が直接付与され、前記印刷要素は前記フィルム材料を越えて伸張するより大きなパターンの一部であること、及び
前記フィルム材料が繊維質又は非繊維質基板の上に予め付与された印刷要素の上に積層されること、
の少なくとも1つを特徴とする、請求項10又は11に記載の基板。
【請求項13】
前記フィルム材料がウィンドウとして前記基板に組み込まれ、前記基板が非光学基板であり、前記フィルム材料の端縁の少なくともいくつかが非光学基板により捕捉、カバー、あるいは封入されており、前記フィルム材料が前記レンズ側から見られると明確な画像を提示し、前記マイクロ画像側から見られると画像を提示しないこと、
印刷要素が、前記フィルム材料のレンズ表面の上部に適用されることができ、前記印刷要素は前記非光学基板の隣接する領域内に付与される印刷要素と位置合わせされるか、又は一致していること、及び
印刷要素が、前記フィルム材料のマイクロ画像または密封層に適用される印刷要素に位置合わせされるか、又は一致するように、前記非光学基板の反対側に付与されること、
の少なくとも1つを特徴とする、請求項10又は11に記載の基板。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のフィルム材料を有する貨幣。
【請求項15】
前記フィルム材料が50ミクロン未満、又は45ミクロン未満、又は10〜40ミクロンの総厚さを有すること、
前記レンズが50ミクロン未満、又は30ミクロン未満、又は10〜30ミクロンの有効ベース直径を有すること、
前記フィルム材料が紙幣のセキュリティスレッドとして使用され、ポリマー貨幣の特徴又は紙幣上の特徴を提供すること、
の少なくとも1つを特徴とする、請求項14に記載の貨幣。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24a】
【図24b】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24a】
【図24b】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2011−170351(P2011−170351A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26986(P2011−26986)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【分割の表示】特願2006−541650(P2006−541650)の分割
【原出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(509004480)ビジュアル フィジクス エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【分割の表示】特願2006−541650(P2006−541650)の分割
【原出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(509004480)ビジュアル フィジクス エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】
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