説明

マイクロ流体デバイスおよびその製造方法

【課題】 製造が容易で安価なマイクロ流体デバイスおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明のマイクロ流体デバイスは、生体成分を分析するためのマイクロ流体デバイス10であって、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック基材12を重ねてなる構造体13と、構造体13を貫通し、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック基材12との間に設けられた生体成分を流動させるための流路14を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微量サンプル中の被検出物質を定性的または定量的に分析するために用いられるマイクロ流体デバイスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体成分の分析法は多数提案されている。多数の成分が混在する生体成分の中から特定の成分、特に微量成分(被検出物質)を定性的または定量的に分析する場合、特異性が高くかつ高感度の測定法が求められる。また、得られるサンプル量が微量である場合、一般に用いられる分析装置では分析が困難であった。そこで、生体成分から被検出物質を分離、抽出するために、生体成分を流動させるための流路が設けられたマイクロ流体デバイスが用いられている。
【0003】
このようなマイクロ流体デバイスの製造方法としては、所定の流路形状を有する鋳型に熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を流し込み、これらの樹脂を硬化させた後、鋳型から所定形状の流路が形成されたマイクロ流体デバイスを剥離する方法が挙げられる。
【0004】
また、生体成分の分析法としては、二つの堰に挟まれてなる微細な流路内にガラス微粒子を充填し、このガラス微粒子の間を、電気浸透現象を利用して生体成分を溶媒とともに通過させて、被検出物質を分離、抽出する方法が挙げられる(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
【0005】
また、半導体製造技術を用いたマイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム(Micro Electro Mechanical Systems、MEMS)により、より精密に微細加工されたマイクロ流体デバイスを製造する方法が挙げられる(例えば、非特許文献3参照)。
【非特許文献1】Trapping of Bead−Based Reagents within Microfluidic Systems:On−Chip Solid−Phase Extraction and Electrochromatography,Richard D.Oleschuk,Loranelle L.Shultz−Lockyear,Yuebin Ning,D.Jed Harrison,Anal.Chem.2000,72,585−590
【非特許文献2】Determination of Carcinoembryonic Antigen in Human Sera by Integrated Bead−bed Immunoasay in a Microchip for Cancer Diagnosis,Kiichi Sato,Manabu Tokeshi,Hiroko Kimura,Takehiko Kitamori,Anal.Chem.2001,73,1213−1218
【非特許文献3】マイクロマシーニングとマイクロメカトロニクス、江刺正喜・藤田博之・五十嵐伊勢美・杉山進共著、培風館
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のマイクロ流体デバイスの製造方法は、工程が多いため、製造コストが嵩むという問題がある。
また、非特許文献1や非特許文献2に開示されている方法は、二つの堰に挟まれてなる微細な流路を形成することが難しいという問題がある。
さらに、非特許文献3に開示されている方法は、非常に精密な微細加工が可能である一方で、高価な設備などが必要となるため、製造コストが嵩むという問題がある。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、製造が容易で安価なマイクロ流体デバイスおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、生体成分を分析するためのマイクロ流体デバイスであって、第一のプラスチック基材と第二のプラスチック基材を重ねてなる構造体と、該構造体を貫通し、前記第一のプラスチック基材と前記第二のプラスチック基材との間に設けられた生体成分を流動させるための流路を備えたことを特徴とするマイクロ流体デバイスを提供する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のマイクロ流体デバイスにおいて、前記流路の内径は、10μm以上、5mm以下であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のマイクロ流体デバイスにおいて、前記流路の少なくとも一部が筒状の部材および/または発泡体からなることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のマイクロ流体デバイスにおいて、前記筒状の部材は、ガラス、金属、セラミック、セルロース、プラスチックからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載のマイクロ流体デバイスにおいて、前記筒状の部材の内径は、10μm以上、5mm以下であることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載のマイクロ流体デバイスにおいて、前記発泡体は、空孔径が0.1μm以上、100μm以下、空孔率が1%以上、90%以下であることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項3ないし6のいずれかに記載のマイクロ流体デバイスにおいて、前記筒状の部材または前記発泡体は、抗体または抗原を付着させた固相を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、第一のプラスチック基材と第二のプラスチック基材を重ねてなる構造体と、該構造体を貫通し、前記第一のプラスチック基材と前記第二のプラスチック基材との間に設けられた生体成分を流動させるための流路を備えたマイクロ流体デバイスの製造方法であって、前記第一のプラスチック基材の前記第二のプラスチック基材と重ね合わされる面に棒状の部材、筒状の部材、シート状の部材、発泡体からなる群より選ばれる少なくとも1種を配置する配置工程と、前記棒状の部材、前記筒状の部材、前記シート状の部材、前記発泡体からなる群より選ばれる少なくとも1種を覆うように、前記第一のプラスチック基材に前記第二のプラスチック基材を重ね合わせる重ね合わせ工程と、前記第一のプラスチック基材と前記第二のプラスチック基材を圧着する圧着工程と、を備えたことを特徴とするマイクロ流体デバイスの製造方法を提供する。
【0016】
請求項9の発明は、請求項8に記載のマイクロ流体デバイスの製造方法において、前記第一のプラスチック基材と前記第二のプラスチック基材との間に配された前記棒状の部材、前記筒状の部材、前記シート状の部材、前記発泡体からなる群より選ばれる少なくとも1種をエッチングにより除去する除去工程を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、請求項8または9に記載のマイクロ流体デバイスの製造方法において、前記第一のプラスチック基材の前記第二のプラスチック基材と重ね合わされる面に、前記棒状の部材、前記筒状の部材、前記シート状の部材、前記発泡体からなる群より選ばれる少なくとも1種を配置する流路を予め形成する流路形成工程を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のマイクロ流体デバイスによれば、所定の形状の流路が高精度に設けられているので、血液などの生体成分の定性分析および定量分析を高精度に実施することができる。
【0019】
本発明のマイクロ流体デバイスの製造方法によれば、2つのプラスチック基材の間に、棒状の部材、筒状の部材、シート状の部材、発泡体からなる群より選ばれる少なくとも1種を配し、2つのプラスチック基材を圧着して、これらを一体化した後、エッチングによって棒状の部材、筒状の部材、シート状の部材、発泡体からなる群より選ばれる少なくとも1種を除去するか、あるいは、2つのプラスチック基材の間に、棒状の部材、筒状の部材、シート状の部材、発泡体からなる群より選ばれる少なくとも1種を配し、2つのプラスチック基材を圧着して、これらを一体化することにより、所定の形状の流路が設けられたマイクロ流体デバイスを得ることができる。したがって、本発明のマイクロ流体デバイスの製造方法によれば、製造工程が単純で、高度な加工技術や加工装置を必要としないため、容易かつ安価にマイクロ流体デバイスを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明を実施したマイクロ流体デバイスおよびその製造方法について詳細に説明する。
なお、これらのマイクロ流体デバイスおよびその製造方法によって、本発明は限定されるものではない。
【0021】
(1)第一の実施形態
図1は、本発明に係るマイクロ流体デバイスの第一の実施形態を示す概略斜視図である。
図1中、符号10はマイクロ流体デバイス、11は第一のプラスチック基材、12は第二のプラスチック基材、13は構造体、14は流路をそれぞれ示している。
【0022】
このマイクロ流体デバイス10は、板状の第一のプラスチック基材11と板状の第二のプラスチック基材12を重ねてなる構造体13と、この構造体13を貫通し、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック基材12との間に設けられた断面形状が円形の流路14とから概略構成されている。
このマイクロ流体デバイス10は、生体成分の分析に用いられるものであり、流路14はその分析の際に、生体成分を流動させるためのものである。
【0023】
流路14の内径は、10μm以上、5mm以下であることが好ましく、10μm以上、2mm以下であることがより好ましく、50μm以上、500μm以下であることがさらに好ましい。流路14の内径が10μm以上、5mm以下であれば、分析に用いられる生体成分の量が少なくても、これに含まれる微量成分(被検出物質)を高精度に分離、抽出することができるので、被検出物質の定性分析や定量分析を高感度に行うことができる。また、生体成分も詰まり難い。
【0024】
第一のプラスチック基材11、第二のプラスチック基材12としては、生体成分に対して安定であり、かつ熱加工が可能な熱可塑樹脂からなる基材が用いられる。さらに、第一のプラスチック基材11、第二のプラスチック基材12としては、透過率が流路14内を流動する生体物質を外部から観察できる程度のものが好ましい。このような熱可塑樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリレートなどが挙げられる。
【0025】
なお、この実施形態では、第一のプラスチック基材11および第二のプラスチック基材12を板状としたが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、所定の流路形状を形成できるとともに、互いに重ね合わせることができるものであれば、第一のプラスチック基材と第二のプラスチック基材の形状は特に限定されず、また、両者の形状や厚みが異なっていてもよい。
【0026】
また、この実施形態では、流路14の長手方向と垂直な断面の形状を円形としたが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、流路の長手方向と垂直な断面の形状は、楕円形、三角形、正方形、矩形、台形、多角形、星形、十字形、あるいは、これらの形状が複数組み合わされてなる形状であってもよい。
【0027】
(2)第一の実施形態における製造方法
次に、図2を参照して、本発明に係るマイクロ流体デバイスの製造方法の第一の実施形態を説明する。
図2は、本発明に係るマイクロ流体デバイスの製造方法の第一の実施形態を示す概略断面図である。
図2において、図1に示したマイクロ流体デバイス10と同一の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0028】
まず、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック基材12を超音波洗浄する。
この際、少なくとも、第一のプラスチック基材11の第二のプラスチック基材12と重ね合わされる面と、第二のプラスチック基材12の第一のプラスチック基材11と重ね合わされる面を洗浄する。
【0029】
この洗浄工程では、例えば、以下に示す方法により、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック基材12を超音波洗浄する。
まず、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック基材12を、エタノール水溶液中に浸漬して、超音波洗浄機により洗浄する。次いで、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック基材12を、純水中に浸漬して、超音波洗浄機により洗浄する。この純水を用いた洗浄を二回繰り返す。
なお、洗浄する時間は特に限定されず、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック基材12の汚れ具合などに応じて、適宜調整される。
【0030】
次いで、第一のプラスチック基材11および第二のプラスチック基材12に酸素プラズマアッシングを施し、第一のプラスチック基材11の第二のプラスチック基材12と重ね合わされる面と、第二のプラスチック基材12の第一のプラスチック基材11と重ね合わされる面に残存する絶縁膜を除去する。なお、酸素プラズマアッシングにおける出力や処理時間は特に限定されず、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック基材12における絶縁膜の残存量などに応じて適宜調整される。
【0031】
次いで、第一のプラスチック基材11の第二のプラスチック基材12と重ね合わされる面、または、第二のプラスチック基材12の第一のプラスチック基材11と重ね合わされる面のいずれか一方、あるいは、第一のプラスチック基材11の第二のプラスチック基材12と重ね合わされる面、および、第二のプラスチック基材12の第一のプラスチック基材11と重ね合わされる面の両方に、バインダーを塗布する。
バインダーとしては、特に限定されず、一般的にプラスチック基材などの接着に用いられるものであれば、如何なるものでも用いることができる。
【0032】
次いで、図2(a)に示すように、第一のプラスチック基材11の第二のプラスチック基材12と重ね合わされる面11aに、断面形状が円形の棒状の部材(以下、「棒状部材」と称する。)15を配置する(配置工程)。
この配置工程おいて、最終的に得られるマイクロ流体デバイスに設けられる流路が所定のパターン(形状)をなすように、棒状部材15を配置する。例えば、図1に示すように、複数の流路14がマイクロ流体デバイス10の長手方向に沿って並列に設けられる場合には、複数の棒状部材15を第一のプラスチック基材11の長手方向に沿って配置する。
【0033】
棒状部材15としては、特に限定されるものではなく、その長手方向と垂直な断面の形状が、楕円形、三角形、正方形、矩形、台形、多角形、星形、十字形、あるいは、これらの形状が複数組み合わされてなる形状のものが用いられる。また、棒状部材15の材質は、特に限定されるものではなく、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック基材12の材質に応じて、ガラス、金属、セラミック、セルロース、プラスチックからなる群より選ばれる少なくとも1種が適宜選択される。また、後段の工程にて、第一のプラスチック基材11、第二のプラスチック基材12または棒状部材15には熱が加えられるが、マイクロ流体デバイス10の流路14の形状は、棒状部材15の形状によって決定するため、棒状部材15の軟化温度は、第一のプラスチック基材11および第二のプラスチック基材12の軟化温度よりも高い必要がある。
【0034】
次いで、棒状部材15を覆うように、第一のプラスチック基材11に第二のプラスチック基材12を重ね合わせる(重ね合わせ工程)。
【0035】
次いで、図2(b)に示すように、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック基材12、または、棒状部材15のいずれか一方を所定の温度に加熱するか、あるいは、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック基材12、および、棒状部材15の両方を所定の温度に加熱し、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック基材12に所定の圧力を加えて、これらの間に棒状部材15を配した状態で、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック基材12を圧着し(圧着工程)、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック基材12および棒状部材15を一体化する。
この圧着工程において、「所定の温度」とは、第一のプラスチック基材11および第二のプラスチック基材12の軟化温度のことである。また、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック基材12に加える圧力や、圧力を加える時間は特に限定されず、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック12の材質や強度などに応じて適宜調整される。
【0036】
次いで、図2(c)に示すように、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック基材12の間に配した棒状部材15をエッチングにより除去し(除去工程)、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック基材12との間に流路14が設けられたマイクロ流体デバイス10を得る。
この除去工程では、棒状部材15の材質に応じて、エッチング条件は適宜調整される。エッチングは、例えば、ガス、溶剤などを用いて行うことができる。また、エッチングに用いられる溶剤としては、棒状部材15を溶解し、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック基材12を溶解しないものであれば、特に限定されない。
【0037】
この実施形態のマイクロ流体デバイスの製造方法によれば、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック基材12の間に棒状部材15を配し、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック基材12を圧着して、これらを一体化した後、エッチングによって棒状部材15を除去することにより、所定の形状の流路14が設けられたマイクロ流体デバイス10を得ることができる。したがって、この実施形態のマイクロ流体デバイスの製造方法は、製造工程が単純で、高度な加工技術や加工装置を必要としないため、容易かつ安価にマイクロ流体デバイスを製造することができる。
【0038】
なお、この実施形態では、図2(d)に示すように、第二のプラスチック基材12をエッチングにより除去して、その長手方向と垂直な断面の形状が半円状の流路16が設けられたマイクロ流体デバイス17を作製してもよい。
【0039】
さらに、図2(e)に示すように、流路16を覆うように、第一のプラスチック基材11にフィルム状、シート状、板状などの基材18を貼り合わせることより、第一のプラスチック基材11と基材18との間に流路16が設けられたマイクロ流体デバイス19を作製してもよい。
基材18の材質は、ガラス、金属、セラミック、セルロース、プラスチックからなる群より選ばれる少なくとも1種が適宜選択されるが、生体成分に対して安定であるものが好ましく、さらに、透過率が流路16内を流動する生体物質を外部から観察できる程度のものが好ましい。
【0040】
この実施形態では、予め流路が形成されていない第一のプラスチック基材11の第二のプラスチック基材12と重ね合わされる面11aに棒状部材15を配置しているが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一のプラスチック基材と第二のプラスチック基材を超音波洗浄する前に、第一のプラスチック基材の第二のプラスチック基材と重ね合わされる面に、棒状の部材を配置する流路を予め形成(流路形成工程)してもよい。また、この流路形成工程にて形成される流路は、最終的に得られるマイクロ流体デバイスに設けられる流路と略等しい形状であっても、あるいは、棒状の部材を第一のプラスチック基材上に一時的に留めておくために、棒状の部材の外形の一部と形状が等しいものであってもよい。このように、第一のプラスチック基材の第二のプラスチック基材と重ね合わされる面に、棒状の部材を配置する流路を予め形成すれば、より高精度に流路を形成することができる。
【0041】
また、この実施形態では、マイクロ流体デバイス10の流路14を形成するために、第一のプラスチック基材11と第二のプラスチック基材12との間に配される部材として棒状部材15を用いたが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、マイクロ流体デバイスの流路を形成するために、第一のプラスチック基材と第二のプラスチック基材との間に配される部材として、所定の流路形状に応じて、筒状、フィルム状、シート状、板状、網状、針金状、ファイバ状、ネジ状などの部材、あるいは、微粒子、発泡体などを用いることもできる。前記発泡体としては、例えば、金属発泡体、ポリエチレン発泡体などが挙げられ、これらの中でも金属発泡体が好ましい。
【0042】
また、マイクロ流体デバイスの流路を形成するために、第一のプラスチック基材と第二のプラスチック基材との間に配される部材を金属製のものとし、この部材を第一のプラスチック基材と第二のプラスチック基材と一体化した時点で工程を終了して、この時点で得られるものをデバイスとして用いてもよい。得られるデバイスは、第一のプラスチック基材と第二のプラスチック基材を重ねてなる構造体と、この構造体を貫通し、第一のプラスチック基材と第二のプラスチック基材との間に設けられた金属製の部材からなる回路を備えた回路基板として用いることもできる。
【0043】
(3)第二の実施形態
図3は、本発明に係るマイクロ流体デバイスの第二の実施形態を示す概略斜視図である。
図3中、符号20はマイクロ流体デバイス、21は第一のプラスチック基材、22は第二のプラスチック基材、23は構造体、24は流路、25は円筒形の部材をそれぞれ示している。
【0044】
このマイクロ流体デバイス20は、板状の第一のプラスチック基材21と板状の第二のプラスチック基材22を重ねてなる構造体23と、この構造体23を貫通し、第一のプラスチック基材21と第二のプラスチック基材22との間に配された、中央部に断面形状が円形の流路24が設けられた円筒形の部材(以下、「円筒部材」と称する。)25とから概略構成されている。
【0045】
円筒部材25の流路24の内径は、10μm以上、5mm以下であることが好ましく、10μm以上、2mm以下であることがより好ましく、50μm以上、500μm以下であることがさらに好ましい。流路24の内径が10μm以上、5mm以下であれば、分析に用いられる生体成分の量が少なくても、これに含まれる微量成分(被検出物質)を高精度に分離、抽出することができるので、被検出物質の定性分析や定量分析を高感度に行うことができる。また、生体成分も詰まり難い。
【0046】
また、円筒部材25の流路24内には、生体成分に含まれる被検出物質の抗体または抗原を付着させた固相が設けられていてもよい。また、被検出物質が抗体である場合、この抗体に対する抗原を付着させた固相が設けられていてもよい。このように円筒部材25に抗体または抗原を付着させた固相を設ければ、微量サンプルを対象とした免疫測定などが可能となる。
【0047】
第一のプラスチック基材21、第二のプラスチック基材22としては、上記の第一のプラスチック基材11、第二のプラスチック基材12と同様のものが用いられる。
【0048】
なお、この実施形態では、第一のプラスチック21と第二のプラスチック22との間に配される筒状の部材として円筒部材25を用いたが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、筒状の部材の長手方向と垂直な断面の形状は、楕円形、三角形、正方形、矩形、台形、多角形、星形、十字形、あるいは、これらの形状が複数組み合わされてなる形状であってもよい。また、円筒部材25の材質は、特に限定されるものではなく、第一のプラスチック基材21と第二のプラスチック基材22の材質に応じて、ガラス、金属、セラミック、セルロース、プラスチックからなる群より選ばれる少なくとも1種が適宜選択される。また、後段の工程にて、第一のプラスチック基材21と第二のプラスチック基材22、または円筒部材25には熱が加えられ、第一のプラスチック基材21と第二のプラスチック基材22との間に挟んだ円筒部材25の形状によって、マイクロ流体デバイス20の流路24の形状が決定する。したがって、円筒部材25により所定の形状の流路24を形成するためには、円筒部材25の軟化温度は、第一のプラスチック基材21および第二のプラスチック基材22の軟化温度よりも高い必要がある。
【0049】
また、この実施形態では、円筒部材25の流路24の長手方向と垂直な断面の形状を円形としたが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、流路の長手方向と垂直な断面の形状は、楕円形、三角形、正方形、矩形、台形、多角形、星形、十字形、あるいは、これらの形状が複数組み合わされてなる形状であってもよい。
【0050】
また、この実施形態では、マイクロ流体デバイス20の流路全体が、円筒部材25の流路24からなる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、マイクロ流体デバイスの流路の少なくとも一部が筒状の部材で形成されていればよい。
【0051】
(4)第二の実施形態における製造方法
次に、図4を参照して、本発明に係るマイクロ流体デバイスの製造方法の第二の実施形態を説明する。
図4は、本発明に係るマイクロ流体デバイスの製造方法の第二の実施形態を示す概略断面図である。
図4において、図3に示したマイクロ流体デバイス20と同一の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0052】
まず、第一のプラスチック基材21と第二のプラスチック基材22を超音波洗浄する。
この際、少なくとも、第一のプラスチック基材21の第二のプラスチック基材22と重ね合わされる面と、第二のプラスチック基材22の第一のプラスチック基材21と重ね合わされる面を洗浄する。
【0053】
次いで、第一のプラスチック基材21および第二のプラスチック基材22に酸素プラズマアッシングを施し、第一のプラスチック基材21の第二のプラスチック基材22と重ね合わされる面と、第二のプラスチック基材22の第一のプラスチック基材21と重ね合わされる面に残存する絶縁膜を除去する。
【0054】
次いで、第一のプラスチック基材21の第二のプラスチック基材22と重ね合わされる面、または、第二のプラスチック基材22の第一のプラスチック基材21と重ね合わされる面のいずれか一方、あるいは、第一のプラスチック基材21の第二のプラスチック基材22と重ね合わされる面、および、第二のプラスチック基材22の第一のプラスチック基材21と重ね合わされる面の両方に、バインダーを塗布する。
【0055】
次いで、図4(a)に示すように、第一のプラスチック基材21の第二のプラスチック基材22と重ね合わされる面21aに、円筒部材25を配置する(配置工程)。
この配置工程では、最終的に得られるマイクロ流体デバイスに設けられる流路が所定のパターン(形状)をなすように、円筒部材25を配置する。
【0056】
次いで、円筒部材25を覆うように、第一のプラスチック基材21に第二のプラスチック基材22を重ね合わせる(重ね合わせ工程)。
【0057】
次いで、図4(b)に示すように、第一のプラスチック基材21と第二のプラスチック基材22、または、円筒部材25のいずれか一方を所定の温度に加熱するか、あるいは、第一のプラスチック基材21と第二のプラスチック基材22、および、円筒部材25の両方を所定の温度に加熱し、第一のプラスチック基材21と第二のプラスチック基材22に所定の圧力を加えて、これらの間に円筒部材25を配した状態で、第一のプラスチック基材21と第二のプラスチック基材22を圧着し(圧着工程)、第一のプラスチック基材21、第二のプラスチック基材22および円筒部材25を一体化して、第一のプラスチック基材21と第二のプラスチック基材22との間に円筒部材25が配されたマイクロ流体デバイス20を得る。
【0058】
さらに、図4(c)に示すように、第一のプラスチック基材21と第二のプラスチック基材22の間に配した円筒部材25をエッチングにより除去すれば(除去工程)、第一のプラスチック基材21と第二のプラスチック基材22との間に、円筒部材25の外形形状に略等しい形状の流路26が設けられたマイクロ流体デバイス27を得る。
【0059】
この実施形態のマイクロ流体デバイスの製造方法によれば、第一のプラスチック基材21と第二のプラスチック基材22の間に円筒部材25を配し、第一のプラスチック基材21と第二のプラスチック基材22を圧着して、これらを一体化することにより、所定の形状の流路24を有する円筒部材25が設けられたマイクロ流体デバイス20を得ることができる。したがって、この実施形態のマイクロ流体デバイスの製造方法は、製造工程が単純で、高度な加工技術や加工装置を必要としないため、容易かつ安価にマイクロ流体デバイスを製造することができる。
【0060】
なお、この実施形態では、予め流路が形成されていない第一のプラスチック基材21の第二のプラスチック基材22と重ね合わされる面21aに円筒部材25を配置しているが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一のプラスチック基材と第二のプラスチック基材を超音波洗浄する前に、第一のプラスチック基材の第二のプラスチック基材と重ね合わされる面に、筒状の部材を配置する流路を予め形成(流路形成工程)してもよい。また、この流路形成工程にて形成される流路は、筒状の部材の外形形状と略等しい形状であっても、あるいは、筒状の部材を第一のプラスチック基材上に一時的に留めておくために、筒状の部材の外形の一部と形状が等しいものであってもよい。
【0061】
また、筒状の部材を金属製のものとすれば、得られたマイクロ流体デバイスを、第一のプラスチック基材と第二のプラスチック基材との間に設けられた金属製の部材からなる回路を備えた回路基板として用いることもできる。
【0062】
(5)第三の実施形態
図5は、本発明に係るマイクロ流体デバイスの第三の実施形態を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
図5中、符号30はマイクロ流体デバイス、31は第一のプラスチック基材、32は第二のプラスチック基材、33は構造体、34は流路、35は微粒子状の発泡体をそれぞれ示している。
【0063】
このマイクロ流体デバイス30は、板状の第一のプラスチック基材31と板状の第二のプラスチック基材32を重ねてなる構造体33と、この構造体33を貫通し、第一のプラスチック基材31と第二のプラスチック基材32との間に設けられた断面形状が円形の流路34と、流路34内に配された、多数の微粒子が結合した状態をなす発泡体35とから概略構成されている。
このマイクロ流体デバイス30では、流路34内に多数の微粒子状が結合した状態をなす発泡体35を配することにより、この発泡体35が生体成分に含まれる被検出物質を分離、抽出するための流路をなす。
【0064】
発泡体35は、空孔径が0.1μm以上、100μm以下、空孔率が1%以上、90%以下であることが好ましく、空孔径が2μm以上、50μm以下、空孔率が30%以上、70%以下であることがより好ましい。空孔径が0.1μm以上、100μm以下、空孔率が1%以上、90%以下の発泡体35を用いれば、マイクロ流体デバイス30において、固相面積を大きくすることができるとともに、発泡体35内を生体成分が流動し易い。したがって、マイクロ流体デバイス30では、流路34内に粉体を充填した場合と異なり、生体成分が詰まり難く、これによる圧力損失も生じ難い。
【0065】
また、発泡体35の空孔に、生体成分に含まれる被検出物質の抗体または抗原を付着させた固相が設けられていてもよい。また、被検出物質が抗体である場合、この抗体に対する抗原を付着させた固相が設けられていてもよい。このように発泡体35に抗体または抗原を付着させた固相を設ければ、微量サンプルを対象とした免疫測定などが可能となる。
【0066】
発泡体35の材質は、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス、金属、セラミック、セルロース、プラスチックからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの材質の中でも、生体成分に対して安定なものが好ましい。
【0067】
第一のプラスチック基材31、第二のプラスチック基材32としては、上記の第一のプラスチック基材11、第二のプラスチック基材12と同様のものが用いられる。
【0068】
なお、この実施形態では、発泡体35として多数の微粒子が結合した状態をなしているものを用いたが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、発泡体35は1つの部材であってもよい。この場合も、空孔径が0.1μm以上、100μm以下、空孔率が1%以上、90%以下であることが好ましい。
【0069】
また、この実施形態では、流路34の長手方向と垂直な断面の形状を円形としたが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、流路の長手方向と垂直な断面の形状は、楕円形、三角形、正方形、矩形、台形、多角形、星形、十字形、あるいは、これらの形状が複数組み合わされてなる形状であってもよい。
【0070】
また、この実施形態では、マイクロ流体デバイス30の流路34内の一部に、発泡体35が配された場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、マイクロ流体デバイスの流路全体に発泡体が配されていてもよい。
【0071】
(4)第三の実施形態における製造方法
次に、図6を参照して、本発明に係るマイクロ流体デバイスの製造方法の第三の実施形態を説明する。
図6は、本発明に係るマイクロ流体デバイスの製造方法の第三の実施形態を示す概略断面図である。
図6において、図5に示したマイクロ流体デバイス30と同一の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0072】
まず、第一のプラスチック基材31と第二のプラスチック基材32を超音波洗浄する。
この際、少なくとも、第一のプラスチック基材31の第二のプラスチック基材32と重ね合わされる面と、第二のプラスチック基材32の第一のプラスチック基材31と重ね合わされる面を洗浄する。
【0073】
次いで、第一のプラスチック基材31および第二のプラスチック基材32に酸素プラズマアッシングを施し、第一のプラスチック基材31の第二のプラスチック基材32と重ね合わされる面と、第二のプラスチック基材32の第一のプラスチック基材31と重ね合わされる面に残存する絶縁膜を除去する。
【0074】
次いで、第一のプラスチック基材31の第二のプラスチック基材32と重ね合わされる面、または、第二のプラスチック基材32の第一のプラスチック基材31と重ね合わされる面のいずれか一方、あるいは、第一のプラスチック基材31の第二のプラスチック基材32と重ね合わされる面、および、第二のプラスチック基材32の第一のプラスチック基材31と重ね合わされる面の両方に、バインダーを塗布する。
【0075】
次いで、図6(a)に示すように、第一のプラスチック基材31の第二のプラスチック基材32と重ね合わされる面31aに、棒状部材36を配置する(配置工程)。
この配置工程おいて、最終的に得られるマイクロ流体デバイスに設けられる流路が所定のパターン(形状)をなすように、棒状部材36を配置する。
【0076】
次いで、棒状部材36を覆うように、第一のプラスチック基材31に第二のプラスチック基材32を重ね合わせる(重ね合わせ工程)。
【0077】
次いで、図6(b)に示すように、第一のプラスチック基材31と第二のプラスチック基材32、または、棒状部材36のいずれか一方を所定の温度に加熱するか、あるいは、第一のプラスチック基材31と第二のプラスチック基材32、および、棒状部材36の両方を所定の温度に加熱し、第一のプラスチック基材31と第二のプラスチック基材32に所定の圧力を加えて、これらの間に棒状部材36を配した状態で、第一のプラスチック基材31と第二のプラスチック基材32を圧着し(圧着工程)、第一のプラスチック基材31、第二のプラスチック基材32および棒状部材36を一体化する。
【0078】
次いで、図6(c)に示すように、第一のプラスチック基材31と第二のプラスチック基材32の間に配した棒状部材36をエッチングにより除去し(除去工程)、第一のプラスチック基材31と第二のプラスチック基材32との間に、棒状部材36の外形形状に略等しい形状の流路34を設ける。
【0079】
次いで、流路34内に発泡体35を充填し、生体成分に含まれる被検出物質を分離、抽出するための流路の一部が発泡体35からなるマイクロ流体デバイス30を得る。
【0080】
この実施形態のマイクロ流体デバイスの製造方法によれば、第一のプラスチック基材31と第二のプラスチック基材32の間に棒状部材36を配し、第一のプラスチック基材31と第二のプラスチック基材32を圧着して、これらを一体化した後、エッチングによって棒状部材36を除去し、さらに、流路34内に発泡体35を充填することにより、流路の一部が発泡体35からなるマイクロ流体デバイス30を得ることができる。したがって、この実施形態のマイクロ流体デバイスの製造方法は、製造工程が単純で、高度な加工技術や加工装置を必要としないため、容易かつ安価にマイクロ流体デバイスを製造することができる。
【0081】
なお、この実施形態では、予め流路が形成されていない第一のプラスチック基材31の第二のプラスチック基材32と重ね合わされる面31aに棒状部材36を配置しているが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一のプラスチック基材と第二のプラスチック基材を超音波洗浄する前に、第一のプラスチック基材の第二のプラスチック基材と重ね合わされる面に、棒状の部材を配置する流路を予め形成(流路形成工程)してもよい。また、この流路形成工程にて形成される流路は、棒状の部材の外形形状と略等しい形状であっても、あるいは、棒状の部材を第一のプラスチック基材上に一時的に留めておくために、棒状の部材の外形の一部と形状が等しいものであってもよい。
【0082】
また、この実施形態では、以下のようにしてマイクロ流体デバイスを製造することもできる。
図6(c)に示す除去工程において、第一のプラスチック基材31と第二のプラスチック基材32の間に配した棒状部材36をエッチングにより除去した後、図7(a)に示すように、第二のプラスチック基材32をエッチングにより除去することにより、その長手方向と垂直な断面の形状が半円状の流路37が設けられた第一のプラスチック基材31を作製する。
【0083】
次いで、図7(b)に示すように、流路37に発泡体35を充填する。
【0084】
次いで、図7(c)に示すように、発泡体35が充填された流路37を覆うように、第一のプラスチック基材31にフィルム状、シート状、板状などの基材38を貼り合わせることにより、第一のプラスチック基材31と基材38との間に、一部が発泡体35からなる流路が設けられたマイクロ流体デバイス40を得る。
基材38の材質は、ガラス、金属、セラミック、セルロース、プラスチックからなる群より選ばれる少なくとも1種が適宜選択されるが、生体成分に対して安定であるものが好ましく、さらに、透過率が流路37内を流動する生体物質を外部から観察できる程度のものが好ましい。
【0085】
なお、上記の第二の実施形態では、第一のプラスチック基材21と第二のプラスチック基材22との間に円筒部材25が配されたマイクロ流体デバイス20を例示し、上記の第三の実施形態では、第一のプラスチック基材31と第二のプラスチック基材32との間に発泡体35を配したマイクロ流体デバイス30を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一のプラスチック基材と第二のプラスチック基材との間に設けられた流路の一部または全部が、筒状の部材および発泡体から構成されていてもよい。この場合、(1)流路の一部が筒状の部材からなり、他の部分が発泡体から構成されるもの、(2)流路が筒状の部材と、この筒状の部材内に充填された発泡体から構成されるもの、などを例示できる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明のマイクロ流体デバイスを用いれば、微量サンプルを対象とした分析が可能となる。また、本発明のマイクロ流体デバイスの製造方法を用いれば、マイクロ流体デバイスを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係るマイクロ流体デバイスの第一の実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】本発明に係るマイクロ流体デバイスの製造方法の第一の実施形態を示す概略断面図である。
【図3】本発明に係るマイクロ流体デバイスの第二の実施形態を示す概略斜視図である。
【図4】本発明に係るマイクロ流体デバイスの製造方法の第二の実施形態を示す概略断面図である。
【図5】本発明に係るマイクロ流体デバイスの第三の実施形態を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図6】本発明に係るマイクロ流体デバイスの製造方法の第三の実施形態を示す概略断面図である。
【図7】本発明に係るマイクロ流体デバイスの製造方法の第三の実施形態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0088】
10,20,30・・・マイクロ流体デバイス、11,21,31・・・第一のプラスチック基材、12,22,32・・・第二のプラスチック基材、13,23,33・・・構造体、14,24,34・・・流路、15・・・棒状部材、25・・・円筒部材、35・・・発泡体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体成分を分析するためのマイクロ流体デバイスであって、
第一のプラスチック基材と第二のプラスチック基材を重ねてなる構造体と、該構造体を貫通し、前記第一のプラスチック基材と前記第二のプラスチック基材との間に設けられた生体成分を流動させるための流路を備えたことを特徴とするマイクロ流体デバイス。
【請求項2】
前記流路の内径は、10μm以上、5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項3】
前記流路の少なくとも一部が筒状の部材および/または発泡体からなることを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項4】
前記筒状の部材は、ガラス、金属、セラミック、セルロース、プラスチックからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項5】
前記筒状の部材の内径は、10μm以上、5mm以下であることを特徴とする請求項3または4に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項6】
前記発泡体は、空孔径が0.1μm以上、100μm以下、空孔率が1%以上、90%以下であることを特徴とする請求項3に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項7】
前記筒状の部材または前記発泡体は、抗体または抗原を付着させた固相を備えたことを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項8】
第一のプラスチック基材と第二のプラスチック基材を重ねてなる構造体と、該構造体を貫通し、前記第一のプラスチック基材と前記第二のプラスチック基材との間に設けられた生体成分を流動させるための流路を備えたマイクロ流体デバイスの製造方法であって、
前記第一のプラスチック基材の前記第二のプラスチック基材と重ね合わされる面に棒状の部材、筒状の部材、シート状の部材、発泡体からなる群より選ばれる少なくとも1種を配置する配置工程と、
前記棒状の部材、前記筒状の部材、前記シート状の部材、前記発泡体からなる群より選ばれる少なくとも1種を覆うように、前記第一のプラスチック基材に前記第二のプラスチック基材を重ね合わせる重ね合わせ工程と、
前記第一のプラスチック基材と前記第二のプラスチック基材を圧着する圧着工程と、
を備えたことを特徴とするマイクロ流体デバイスの製造方法。
【請求項9】
前記第一のプラスチック基材と前記第二のプラスチック基材との間に配された前記棒状の部材、前記筒状の部材、前記シート状の部材、前記発泡体からなる群より選ばれる少なくとも1種をエッチングにより除去する除去工程を備えたことを特徴とする請求項8に記載のマイクロ流体デバイスの製造方法。
【請求項10】
前記第一のプラスチック基材の前記第二のプラスチック基材と重ね合わされる面に、前記棒状の部材、前記筒状の部材、前記シート状の部材、前記発泡体からなる群より選ばれる少なくとも1種を配置する流路を予め形成する流路形成工程を備えたことを特徴とする請求項8または9に記載のマイクロ流体デバイスの製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−121130(P2007−121130A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314199(P2005−314199)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(306008724)富士レビオ株式会社 (55)
【Fターム(参考)】