説明

マイクロ流体デバイス

【課題】マイクロ流体を所望の比率で混合することができかつ簡略化された微細流路構造を有し、小型化を図ることが可能であるマイクロ流体デバイスを得る。
【解決手段】第1〜第3の微細流路11〜13を有し、第1,第2の微細流路間に接続された第1の秤取部16から一定量の第1のマイクロ流体が第2の微細流路12に供給され、第2,第3の微細流路12,13間に接続された第2の秤取部21から一定量の第2のマイクロ流体が第2の微細流路12に吐出され、第2の微細流路12において、第1,第2のマイクロ流体が混合される混合ユニットを有し、第1のマイクロ流体の移動に伴って、第2の微細流路12内において第1,第2のマイクロ流体が搬送されるように第1の秤取部16が第2の秤取部21よりも上流側において第2の微細流路12に接続されており、かつ第2の微細流路12にガス導入孔が直接連ねられていない、マイクロ流体デバイス1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流体を混合する微細流路構造が基板内に形成されたマイクロ流体デバイスに関し、より詳細には、様々な分析に際しての検体や試薬などを混合したり、希釈したりするのに用いられるマイクロ流体デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体を分析したり、様々な物質を化学反応させるに際し、検体や試薬を希釈することが多い。特に、微量の液体の希釈を行う場合には、マイクロプレート及び分注ピペットを用いた操作方法、あるいは自動液体分注ロボット装置を用いた方法が用いられていた。マイクロプレート及び分注ピペットを用いた操作方法では、操作が煩雑であり、かつ熟練した実験者が必要であった。また、実験室外の屋外や、臨床検査に際してのベッドサイド等において、簡便に検体や試薬を混合することが困難であった。
【0003】
他方、自動液体分注ロボット装置を用いた希釈方法では、装置が大型にならざるを得ず、やはり屋外やベッドサイド等において簡便に利用することはできなかった。
【0004】
近年、微量の液体を取り扱う分析デバイスとして、マイクロ流体デバイスが注目されている。マイクロ流体デバイスは、例えば、手で容易に持ち運び、取り扱い得る大きさの基板を有する。この基板内に、検体、試薬、希釈液などを搬送する微細流路構造が形成されている。上記微細流路構造には、試薬収納部、検体供給部、希釈液収納部、反応室及びまたは混合部などが適宜設けられている。
【0005】
上記マイクロ流体デバイスは、通常、平面積が数百cm2以下の基板を用いて形成されており、基板の厚みは0.5〜10mm程度とされている。また、上記微細流路構造における流路の径は、通常、5μm〜1mm程度と非常に細い。ここで流路が平坦である場合には、微細流路の径は平坦流路の断面の狭い方の幅でもって規定される。また、搬送されるマイクロ流体は、空気等により送られ、液滴状のことも多い。
【0006】
従って、検体や試薬を上記マイクロ流体デバイス内において希釈する場合、非常に幅の細い微細流路をマイクロ流体が搬送されることになるため、液体が送液される通常の回路とは異なり、マイクロ流体の表面張力や微細流路の壁面の濡れ性などが大きく影響する。また、このような微量のマイクロ流体を定量的に秤取することが難しく、そのため、複雑な回路構成が必要となるという問題があった。
【0007】
下記の特許文献1には、マイクロ流体デバイスを用い、層流中でタンパク質の結晶を生成させる方法が開示されている。また、下記の非特許文献1には、マイクロ流体デバイス内における温度制御を厳格に行い、それによって、微量の液体から結晶を生成する方法が開示されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1や非特許文献1に記載の各方法では、反応場所が非常に小さく、反応を高精度に制御することが可能とされているが、タンパク質溶液の結晶化部位までの導入方法では、デッドボリュームを小さくすることができないという問題があった。
【0009】
上記のような問題を解決し、単純な構成により、簡単な操作のみで微量な液体を秤取し得る微量液体秤取構造が、下記の特許文献2に開示されている。特許文献2に記載の微量液体秤取構造は、パッシブバルブを使用した微量流体秤取構造である。この微量流体秤取構造は、それぞれ、所定の方向に延長される第1の微細流路及び第2の流路と、第1の微細流路の流路壁に開口する第3の流路と、第2の流路の流路壁に開口して第3の流路の一端と第2の流路とを連結し、第1〜第3の流路よりも細い第4の流路とを有する。第4の流路は、第2の流路及び第3の流路に比べて濡れにくく、あるいは相対的に毛管力が働きにくい性質を有する。そして、第1の微細流路に導入された液体が、第1の微細流路の流路壁に開口している第3の流路の開口部を介して第3の流路内に引き込まれた後、第1の微細流路に残存する上記液体が取り除かれ、第3の流路の容積に応じた体積の液体を秤取することが可能とされている。
【特許文献1】米国特許第6409832号明細書
【特許文献2】特開2004−163104号公報
【非特許文献1】「アナリティカル・ケミストリー(Analytical Chemistry)」(2002),74,p.3505−3512
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献2に記載の微量液体秤取構造を備えたマイクロ流体デバイスにおいて、混合比を10倍以上に大きくすると、正確で再現性よい混合ができなくなるという欠点があった。さらに、分析や反応に際しては、検体や試薬を10倍、100倍及び1000倍と累進的に高倍率に希釈する必要のある場合がある。
【0011】
しかしながら、従来、この種のマイクロ流体デバイスでは、複数の混合ユニットを接続してなる複数段構式の微細流路構造として機能させることができなかった。なぜなら、この種のマイクロ流体デバイスでは、非常に小さな流路内を、非常に少ない量のマイクロ流体が液滴のような形態で搬送され、マイクロ流体の表面張力や流路壁面の濡れ性及び毛管現象の影響を利用して秤取合一を行うため、秤取された複数のマイクロ流体が秤取部から合流部へ押し出されるタイミングが同一であることを前提としていたが、複数の混合ユニットの接続においては、第1の混合ユニットの出力を第2の混合ユニットが利用するという制約上、第2の混合ユニット内で秤取された複数のマイクロ流体が秤取部から合流部へ押し出されるタイミングを合わせることができないので、第1第2の混合ユニットを単純に連結しても、第2の混合ユニットが機能しなかったからである。そのため、様々な希釈倍率の混合溶液を含む希釈系列をマイクロ流体デバイス内に同時構成することは非常に困難であった。このような要望を満たすマイクロ流体デバイスは、現在まで開発されていないのが実情であった。
【0012】
また、従来の希釈方法としては、希釈対象の溶液に一回に多量のバッファー溶液を添加混合して希釈溶液を調整する方法や溶液を数回に分けて順次希釈していく多段希釈等がある。中でも均一濃度の高希釈倍率溶液を調整するためには、多段階希釈が用いられてきた。このような希釈操作の場合、定量的に溶液を採取・混合することは通常の方法で可能である。これに対して、マイクロ流体デバイス内で高希釈倍率の均一な溶液を調製するためには、マイクロ流体デバイス内で多段希釈方法を実現することが必要であった。このような正確な濃度で多段希釈を行い、最終的に高希釈倍率溶液を得るには、1)希釈対象の溶液とバッファー溶液の正確な秤量、2)希釈対象溶液とバッファー溶液の均一な混合を行う必要があった。
【0013】
加えて、特許文献2に記載のような微量流体秤取構造では、複数の微細流路においてマイクロ流体を搬送するために、各微細流路毎にマイクロ流体を搬送する駆動源を接続しなければならなかった。すなわち、1つの微細流路に1つのマイクロポンプ等の駆動源を接続しなければならなかった。そのため、マイクロ流体デバイスの構造が複雑にならざるを得ず、小型化を図ることが困難であった。
【0014】
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、複数のマイクロ流体を高精度に秤取し得るだけでなく、該複数のマイクロ流体を混合し、様々な希釈倍率のマイクロ流体を容易にかつ確実に提供することを可能とする微細流路構造が備えられており、しかも構造の簡略化及び小型化を図り得るマイクロ流体デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るマイクロ流体デバイスは、基板と、前記基板内に設けられており、マイクロ流体が搬送される微細流路構造とを備え、微細流路構造がマイクロ流体を混合するための混合ユニットを有しており、前記混合ユニットが、第1〜第3の微細流路と、一定量の第1のマイクロ流体を秤取するために、一端が前記第1の微細流路に接続されており、該一定量の第1のマイクロ流体の体積と等しい容積を有する微細流路からなる第1の秤取部と、一定量の第2のマイクロ流体を秤取するために、一端が前記第3の微細流路接続されており、前記一定量の第2のマイクロ流体の体積に等しい容積を有する微細流路からなる第2の秤取部とを有し、前記第1の秤取部の他端が前記一定量の第1のマイクロ流体を前記第2の微細流路に供給するように接続されており、前記第2の秤取部の他端が前記一定量の第2のマイクロ流体を前記第2の微細流路に供給するように、かつ前記第1の秤取部よりも下流側において前記第2の微細流路に接続されており、前記第2の秤取部から前記第2の微細流路に送り出された前記一定量の第2のマイクロ流体が、前記第1の秤取部から送り出され、第2の微細流路を移動する第1のマイクロ流体の移動に伴って下流側に移動されることを特徴とする。
【0016】
本発明に係るマイクロ流体デバイスでは、好ましくは、前記第1,第3の微細流路に連ねられた第1,第2のガス導入孔がさらに備えられており、前記第1,第3のガス導入孔から供給されるガスにより前記第1,第2のマイクロ流体が搬送され、前記第2の微細流路には、マイクロ流体を搬送するためのガスを導入する導入孔に連ねられていない。従って、第2の微細流路においてマイクロ流体を駆動するためにガス導入孔を接続せずともよいため、マイクロ流体デバイスにおける微細流路構造の小型化及び高密度化を進め、マイクロ流体デバイスの小型化を図ることができる。
【0017】
本発明に係るマイクロ流体でバイスにおける上記混合ユニットの構造は適宜変形され得るが、本発明のある特定の局面では、前記第1の秤取部の容積が、前記第2の秤取部の容積よりも大きくされている。
【0018】
本発明に係るマイクロ流体デバイスでは、上記混合ユニットは複数設けられていてもよい。好ましくは、前記微細流路構造が、前記混合ユニットとして、第1の混合ユニットと、第1の混合ユニットの下流側に接続されている第2の混合ユニットとを有し、前記第1,第2の混合ユニットが、それぞれ、第1の微細流路の上流側に設けられた第1の入口ポート及び下流側に設けられた第1の出口ポートと、第3の微細流路の上流側に設けられた第2の入口ポートと、下流側に設けられた第2の出口ポートとを有しており、前記第1の混合ユニットの前記第1の出口ポートが、前記第2の混合ユニットの前記第1の入口ポートに接続されており、前記第1の混合ユニットの前記第2の微細流路の下流側の端部が、前記第2の混合ユニットの前記第3の微細流路の上流側に位置する前記第2の入口ポートに接続されている。この場合には、第1の混合ユニットにおいて、第2の微細流路で第1,第2のマイクロ流体が混合され、混合されたマイクロ流体が第2の混合ユニットの第1の微細流路を経て第1の秤取部に供給される。従って、第1,第2の混合ユニットが直列に接続されているため、第2のマイクロ流体を第1のマイクロ流体により高倍率に希釈したり、第1のマイクロ流体と第2のマイクロ流体との混合比率を高めたりすることができる。
【0019】
本発明に係るマイクロ流体デバイスでは、好ましくは、前記第1の混合ユニットの第1の微細流路の下流側に設けられた第1の出口ポートと、前記第2の混合ユニットの第1の入口ポートとの間に接続された遅延流路部をさらに備え、該遅延流路部は、前記第2の混合ユニットにおいて第2の秤取部からマイクロ流体が第2の微細流路に供給されるよりも前記第2の混合ユニットにおいて第1の秤取部から第1のマイクロ流体が第2の微細流路に供給される時点を遅くするように、所定量の第1のマイクロ流体を収納し得る容積を有する。この場合には、遅延流路部により、第2の混合ユニットにおいて、第1の秤取部から第1のマイクロ流体が第2の微細流路に供給されるタイミングが、確実に第2の秤取部からマイクロ流体が供給されるタイミングよりも遅くされる。
【0020】
本発明に係るマイクロ流体デバイスでは、前記第1,第2の混合ユニットの下流側に接続された少なくとも1個の混合ユニットをさらに備えられていてもよい。この場合には、第1の混合ユニットの下流側に第3の混合ユニットが配置され、第1のマイクロ流体と第2のマイクロ流体の混合比率がより一層高められた、あるいはより一層低められたマイクロ流体を容易に得ることができる。
【0021】
第3の混合ユニットを第1の混合ユニットに接続する場合、第1の混合ユニットの第3の微細流路の下流側に設けられた第2の出口ポートが、第3の混合ユニットの第1の微細流路の上流側の第1の入口ポートに接続されていてもよく、あるいは第3の微細流路の上流側に設けられた第2の入口ポートに接続されていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るマイクロ流体デバイスによれば、第1の秤取部の他端が一定量の第1のマイクロ流体を第2の微細流路に接続するように接続されており、かつ第2の秤取部の他端が一定量の第2のマイクロ流体を第1の秤取部よりも下流側において第2の微細流路に供給するように接続されているので、第2の微細流路に第2のマイクロ流体を供給した後に、第1の秤取部から一定量の第1のマイクロ流体を第2の微細流路に供給することにより、第2の微細流路において、第1のマイクロ流体を移動させることにより、第1,第2のマイクロ流体を第2の微細流路において搬送することができる。よって、第2の微細流路において、第1,第2のマイクロ流体を搬送し、かつ混合することにより、第1,第2の秤取部の容積に応じた混合割合の混合マイクロ流体を容易に得ることができる。
【0023】
また、第2の微細流路において、第1,第2の秤取部が接続されている部分よりも上流側に、第2の微細流路内をマイクロ流体を搬送するためのガスを供給するガス導入孔を連ねなくともよい。言い換えれば、第2の微細流路においてマイクロ流体駆動源としてのガスを供給するためのガス導入孔を必要としない。よって、マイクロ流体デバイスの微細流路構造の簡略化及び高密度化を図ることができるとともに、微細流路構造の小型化、ひいてはマイクロ流体デバイス全体の小型化を進めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係るマイクロ流体デバイスの微細流路構造を示す模式的平面図であり、図2は、本実施形態のマイクロ流体デバイスの一部を模式的に示す正面断面図である。
【0026】
図2に示すように、マイクロ流体デバイス1は、基板2を有する。基板2は、透明なベースプレート3と、中間プレート4〜6と、トッププレート7とを積層した構造を有する。ベースプレート3内には、ガス発生室8が設けられている。ガス発生室8は、ベースプレート3の上面に開口しており、かつガス発生室8内には、光の照射により、あるいは加熱によりガスを発生する応答性ガス発生部材9が収納されている。上記ガス発生室8に応答性ガス発生部材9を収納することにより、マイクロ流体を駆動する駆動源としてのマイクロポンプ装置が形成されている。応答性ガス発生部材としては、ガス発生量の制御のしやすさから、光の照射によりガスを発生する光応答ガス発生部材が好適に用いられる。
【0027】
ベースプレート3が透明性を有するため、基板2の下面側から光を照射することにより、光応答性ガス発生部材9からガスを発生させることができる。このガスは、後述する微細流路においてマイクロ流体を駆動する圧力源となる。
【0028】
上記光応答性ガス発生部材9については、特に限定されず、光を照射された際に、ガスを発生させる適宜の光応答性組成物を用いることができる。このような光応答性組成物としては、例えば、バインダー樹脂と、光の照射により分解してガスを発生させる気体発生剤とを含む組成物が好適に用いられる。このような気体発生剤としては、例えば、アジド化合物やアゾ化合物、ポリオキシアルキレン樹脂、光酸発生剤と炭酸水素ナトリウムの配合物などを挙げることができる。
【0029】
中間プレート4には、ガスを吐出するための吐出孔4aが形成されている。吐出孔4aは、中間プレート4の下面から上面に貫通しており、その下方開口がガス発生室8に臨んでいる。
【0030】
中間プレート5には、中間プレート5を貫通する開口部5aが設けられている。この開口部5aは、微細流路構造の微細流路の一部を構成している。また、中間プレート6には、開口部5aに開いた貫通孔6aが形成されている。貫通孔6aの上方開口は、トッププレート7の下面に形成された微細流路7aに開いている。この微細流路7aは、前述した開口部5a及び貫通孔6aとともに、微細流路構造を形成している。
【0031】
上記中間プレート4〜6及びトッププレート7は、適宜の合成樹脂シートもしくは合成樹脂からなる。
【0032】
図2は、上記マイクロ流体デバイス1において、マイクロ流体を駆動するためのガス圧を発生するマイクロポンプ装置が構成されている部分と、微細流路構造の一部とを略図的に示している。マイクロ流体デバイスの微細流路については、前述した特許文献3などに開示されている。
【0033】
一般に、マイクロ流体デバイス1は、前述したように、手で携帯し得る大きさとされ、平面積が数百cm2以下、好ましくは100cm2以下の小さな基板2を用いて構成されている。また、基板2の厚みは、0.5〜10mm程度とされている。そして、基板2内には、上記マイクロ流体を搬送するための駆動部分だけでなく、検体や希釈液としてのマイクロ流体を搬送する様々な微細流路が形成されている。このような微細流路構造は、通常、検体や希釈液を供給する供給部、これらを混合する混合部、これらを反応させる反応部等を含んでいる。上記供給部、混合部及び反応部等は、基板2内において、ある程度の体積を有する空間として形成されており、細い微細流路、例えば微細流路7aなどに連ねられている。
【0034】
本実施形態のマイクロ流体デバイス1の特徴は、図1に模式的平面図で示す微細流路構造10が基板2内に形成されていることにある。微細流路構造10は、マイクロ流体を混合するための混合ユニットUを有している。一点鎖線で囲まれた部分に相当する混合ユニットUは、第1〜第3の微細流路11〜13を有する。第1の微細流路11の一端には、ガス導入孔14が連ねられている。第1の微細流路11の他端には、第1のマイクロ流体供給孔15が連ねられている。第1のマイクロ流体供給孔15は、基板1の外部に開口しており、第1のマイクロ流体を基板1の微細流路構造10に供給する部分である。
【0035】
上記ガス導入孔14は、前述したマイクロポンプ装置などのガス発生駆動源に接続されており、かつ適宜開閉し得るように構成されている。
【0036】
第2の微細流路12では、矢印方向にマイクロ流体が流れる。第2の微細流路12内においては、上流側部分が合流部12aを形成しており、下流側部分が混合部12bを構成しており、混合部12bの下流側が、排出部12cを構成している。
【0037】
他方、第1の微細流路11には、第1の秤取部16の一端が接続されている。第1の秤取部16は、微細流路からなり、その容積は採取されるべき第1のマイクロ流体の体積と等しくされている。第1の秤取部16の他端は、秤取部16よりも径の小さな接続微細流路17を介して、第2の微細流路12の上流側端部近傍に開いた第1のマイクロ流体吐出孔18に接続されている。上記マイクロ流体吐出孔18は、合流部12aに臨んでいる。
【0038】
他方、第3の微細流路13の一方端には、ガス導入孔19が連ねられており、他方端に第2のマイクロ流体供給孔20が接続されている。
【0039】
また、第3の微細流路13には、第2の秤取部21の一端が接続されている。第2の秤取部21は、微細流路からなり、その容積は第2のマイクロ流体を秤取すべき体積に等しくされている。第2の秤取部21の他端は、接続微細流路22を介して第2の微細流路12に接続されている。接続微細流路22は、第2の秤取部21よりも小さな径を有し、合流部12aに開口しているマイクロ流体吐出孔23に至っている。
【0040】
なお、図1に示す実施形態では、第1のマイクロ流体供給孔15は、秤取部16を挟んでガス導入孔14と反対側に設けられていたが、マイクロ流体供給孔15は、第1の秤取部16よりも上流側すなわちガス導入孔14側に位置していてもよい。その場合には、秤取部16よりも下流側に第1の微細流路11が延ばされることになる。その場合、第1の微細流路11の下流側端部には、適宜の量の開閉装置を接続してもよく、あるいは第1のマイクロ流体の排出孔に連ねてもよい。同様に、第3の微細流路13においても、第2のマイクロ流体を供給するマイクロ流体供給孔20は、第2の秤取部21よりも上流側に位置していてもよい。その場合には、第3の微細流路13の下流側端部、すなわち第2の秤取部21よりも下流側の端部に、流路開閉装置が接続されてもよく、あるいは下流側の端部がマイクロ流体排出孔に連ねられていてもよい。その場合には、上記マイクロ流体排出孔が第1,第3の微細流路11,13のそれぞれ出口ポートとなり、第1,第2の秤取部16,21を挟んでガス導入孔14,19と同じ側に配置されたマイクロ流体供給孔がマイクロ流体の第1,第2の入口ポートをそれぞれ構成することになる。
【0041】
なお、本明細書において、入口ポート及び出口ポートの「ポート」とは、マイクロ流体が混合ユニットに供給もしくは排出される部分を示す部分を意味し、必ずしもコネクター等が接続される物理的な部分を意味するものではない。
【0042】
本実施形態の特徴は、第2の微細流路12において、第1,第2のマイクロ流体を搬送し、さらに混合されたマイクロ流体を搬送するために、固有の駆動源を必要としないことにある。より具体的には、第1,第3の微細流路11,13では、第1,第2のマイクロ流体をそれぞれ搬送するために、上記マイクロポンプ装置などに接続されるガス導入孔14,19が連ねられていた。これに対して、第2の微細流路12には、このようなガス導入孔は連ねられていない。後述する動作説明から明らかなように、第2の微細流路12内においては、第1の秤取部16から第2の微細流路12に吐出されたマイクロ流体の移動に伴って、第1,第2のマイクロ流体及び混合マイクロ流体が搬送されることになる。
【0043】
次に、図3〜図5を参照して、第1の微細流路11から第1の秤取部16に一定量の第1のマイクロ流体を秤取する動作を説明する。
【0044】
マイクロ流体供給孔15からマイクロ流体を注入する。この場合、第1の微細流路11内は、大気に開放しておく。すなわち、ガス導入孔14を大気に開放しておけばよい。マイクロ流体供給孔15からマイクロ流体を注入するに際しては、マイクロシリンジなどを用い、マイクロ流体注入孔15から圧入すればよい。その結果、図3に示すように、マイクロ流体24が第1の微細流路11内に送液され、かつ分岐微細流路からなる第1の秤取部16を満たす。
【0045】
本実施形態では、第1の秤取部16の先端側には、第1の秤取部11を構成している微細流路よりも径の小さな接続微細流路17が設けられている。接続微細流路17の径は非常に細く、従って、マイクロ流体24は、表面張力のためにその注入圧程度では接続微細流路17を流れることができず、接続微細流路の入口もしくは出口で停止する。
【0046】
次に、ガス導入孔14から第1の微細流路11にガスを供給する。この場合、マイクロ流体供給孔15は大気に開放しておく。その結果、図4に示すように、第1の秤取部16内に一定量のマイクロ流体として、第1のマイクロ流体24が残存することとなる。このように、第1の秤取部16に、マイクロ流体24を残存させるために、ガスの供給に際しては、第2の微細流路12側は閉じておき、大気に開放していないことが望ましい。もっとも、接続微細流路17が十分に細く、該接続微細流路17において、毛管反力が働く場合には、第2の微細流路12側を密閉しておいてもよい。
【0047】
次に、第1の微細流路11のマイクロ流体供給孔15側の一部を後述の流路開閉装置のバルブ等により閉じ、その状態で、ガス導入孔14から第1の微細流路11にガスを供給する。その結果、第1の秤取部16に秤取されていた第1のマイクロ流体24が、図5に示すように、第2の微細流路12内に吐出される。
【0048】
第1の秤取部16に秤取されていた第1のマイクロ流体24の体積は、該第1の秤取部16の容積と同じであるので、本実施形態によれば、一定量の第1のマイクロ流体24を第2の微細流路12内に確実に吐出することができる。
【0049】
前述した流路開閉装置は、微細流路の一部を開いた状態と閉じた状態とを切り換え得る適宜のバルブにより形成することができる。このようなバルブとしては、電磁弁や圧電素子などの駆動素子に、流路を細くした状態と、流路を開いた状態とで移動し得るストッパーを連結した構造などを用いることができる。
【0050】
上記のようにして、第1の秤取部16に一定量の第1のマイクロ流体24が秤取され、かつ第2の微細流路12の合流部12aに吐出される。
【0051】
他方、第3の微細流路13においても、第1の微細流路11の場合と同様にして一定量の、ただし第2の秤取部21の容積に等しい体積の第2のマイクロ流体25が秤取され、上記と同様にして、図6に示すように合流部12aに吐出される。この場合の第2のマイクロ流体25を第2の秤取部21に秤取し、かつ第2の微細流路12の合流部12aに吐出する際の駆動源は、ガス導入孔19から供給されるガスの圧力である。
【0052】
従って、図6に示すように、第2の微細流路12の合流部12aに、上記第1,第2のマイクロ流体24,25が吐出される。
【0053】
本実施形態では、予め第2の秤取部21から第2のマイクロ流体25が先に合流部12aに吐出され、次に、図6に示すように、第1の秤取部16から第1のマイクロ流体23が吐出される。この場合、吐出口18が第2の微細流路12の上流側端部近傍に位置しており、ガス導入孔14から供給されたガスの圧力により、第1の秤取部16から第1のマイクロ流体24が吐出され、かつ合流部12a内に送り出される。その結果、このガス圧により、第1のマイクロ流体24が第2の微細流路12において下流側に向かって流れることになる。そのため、第1のマイクロ流体24と、予め先に吐出されていた第2のマイクロ流体25とが下流側に移動されつつ、混合部12bにおいて両マイクロ流体24,25が混合される。
【0054】
他方、第2の微細流路12においては、混合部12bにおいて、一方の側壁が他方の側壁に近づくように傾斜している。従って、混合部12bにおいては、両マイクロ流体24,25が十分に攪拌され、混合される。このようにして、均一に混合されたマイクロ流体が、排出部12cから排出される。
【0055】
よって、本実施形態の微細流路構造10では、第1,第2の秤取部16,21にそれぞれ秤取された一定量の第1,第2のマイクロ流体24,25が混合される。よって、第1の秤取部16の体積と、第2の秤取部21の体積とを予め設定しておくことにより、第1,第2のマイクロ流体24,25を所望の割合で混合することができる。また、相対的に体積の大きな第1の秤取部16を設けることにより、第1の秤取部16に供給される第1のマイクロ流体として希釈液を用意すれば、第2の秤取部21に秤取された一定量の第2のマイクロ流体を所望とする希釈倍率で希釈し、希釈された溶液を排出部12cにおいて得ることができる。
【0056】
加えて、本実施形態では、上記第2の微細流路12において、第1,第2のマイクロ流体24,25及び混合マイクロ流体を搬送するために、第2の微細流路12にガス導入孔は直接接続されていない。言い換えれば、第1の微細流路11内を第1のマイクロ流体が搬送される際に用いられる駆動源が第2の微細流路12において第1,第2のマイクロ流体を搬送するための駆動源として兼用されている。よって、微細流路構造の簡略化及び小型化を図ることが可能となり、ひいてはマイクロ流体デバイス1の小型化を図ることが可能となる。
【0057】
上記実施形態では、微細流路構造10は、図1に示した1つの混合ユニットを有していたが、以下の第1〜第4の変形例で示すように、本発明において、微細流路構造は複数の混合ユニットを接続した構成を有していてもよい。
【0058】
なお、以下の第1〜第4の変形例では、図1に示した実施形態とは異なり、第1の微細流路11及び第3の微細流路13においては、第1,第2のマイクロ流体が供給される側は、第1,第2の秤取部16,21を挟んでガス導入孔14,19と同じ側とされている。すなわち、図7では、第1,第2の混合ユニット31,41が直列に接続されているが、例えば第1の混合ユニット31において、第1,第3の微細流路11,13の一方端にガス導入孔14,19が接続されているが、ガス導入孔14,19と同じ側に、マイクロ流体が供給される第1,第2の入口ポートA,Cが設けられている。他方、第1,第3の微細流路11,13の他方端は、第1,第2の出口ポートD,Fとされている。なお、第1,第2の入り口ポートA,C及び第1,第2の出口ポートD,Fは図7では円の記号で示されているが、これらの円は、破線で示す混合ユニット31と他の部分とを接続する部分としてのポートの位置を示しているにすぎない。
【0059】
図7に示すように、第1の混合ユニット31においては、第2の微細流路12の排出部12cが混合マイクロ流体排出ポートEに連ねられている。
【0060】
第2の混合ユニット41も、第1の混合ユニット31と同様に、第1〜第3の微細流路11,13を有し、第1の混合ユニット31と同様に構成されている。第1の混合ユニット31の第1の微細流路11の第1の出口ポートDが、第2の混合ユニット41の第1の微細流路11の第1の入り口ポートAに遅延流路部51を介して接続されている。遅延流路部51は、第1のマイクロ流体を第1の混合ユニット31の第1の微細流路11から第2の混合ユニット41の第1の微細流路11に供給するタイミングを遅らせるために、所定量の容積を有するように形成されている。この所定量とは、第1のマイクロ流体の第2の混合ユニット41の第1の秤取部16から吐出するタイミングを遅らせる時間期間に応じて定められる。また、第2の混合ユニット41の第1の出口ポートDには、流路開閉装置52が接続されている。流路開閉装置52は、第1,第2の混合ユニット31,41の第1の微細流路11,11が接続されている流路を流路開閉装置を流路開閉装置52側端部で開放した状態、あるいは閉成した状態とで切り換え得るように構成されている。
【0061】
従って、第1のマイクロ流体が、第1の混合ユニット31の上流側に位置している第1の入口ポートAから供給され、ガス導入孔14からのガス圧により第1の微細流路11を搬送される際に、第1の混合ユニット31において、第1の秤取部16に第1のマイクロ流体が秤取される。さらに、第1のマイクロ流体は、第2の混合ユニット41を第1の微細流路11側に向かって流れる。もっとも、第1,第2の混合ユニット31,41間に遅延流路部51が設けられているので、第1のマイクロ流体は、遅延流路部51を通過する分だけ遅れて、第2の混合ユニット41の第1の微細流路11に至り、第1の秤取部16に秤取される。残りの第1のマイクロ流体は、第2の混合ユニット41の第1の出口ポートDを経て、流路開閉装置52側に排出されることになる。
【0062】
他方、第1の混合ユニット31の第2の微細流路12の排出部12cに連ねられている排出ポートEが、第2の混合ユニット41の第3の微細流路13の上流側に連ねられた第2の入口ポートCに接続されている。従って、混合されたマイクロ流体は、第2の混合ユニット41の第3の微細流路13に供給され、第2の混合ユニット41の第3の微細流路13から第2の秤取部21に秤取される。よって、第2の混合ユニット41では、第1の混合ユニット31で混合されたマイクロ流体が、さらに第1のマイクロ流体と混合されることになる。
【0063】
なお、第1の混合ユニット31の第3の微細流路13に連ねられている第2の出口ポートFは、流路開閉装置53に連ねられている。同様に、第2の混合ユニット41では、第3の微細流路13の下流側端部に設けられた第2の出口ポートFが、流路開閉装置54に接続されている。
【0064】
そして、第2の混合ユニット41の第2の微細流路12の排出ポートEから、第1,第2の混合ユニット31,41で混合されたマイクロ流体が取り出されることになる。
【0065】
本変形例のように、本発明においては、第1,第2の混合ユニット31,41を直列に接続し、それによって、第1,第2のマイクロ流体をより様々な比率で混合したり、希釈することも可能である。
【0066】
図8に示す第2の変形例では、第1,第2の混合ユニット31,41の下流に、さらに第1,第2の混合ユニット31,41と同様の構造を有する混合ユニット61が接続されている。本変形例でも、第1,第2の混合ユニット31,42間には、遅延流路部51が接続されている。なお、図8では、遅延流路部51はその位置が略図的に示されているが、図7に示した遅延流路部51と同様の構造を有する。混合ユニット61は、図7の場合と同様に、第3の微細流路13の上流側に位置する第2の入口ポートCが第2の混合ユニット41の第2の微細流路12の排出ポートEに接続されている。また、混合ユニット41,51の第1の微細流路11同士の間には、第1,第2の混合ユニット31,41間の構造と同様に、遅延流路部51が接続されている。このように、3以上の混合ユニットが直列に接続されていてもよい。
【0067】
また、図8に示す変形例では、混合ユニット31,41,61の各第3の微細流路13の第2の出口ポートFに収納チャンバー71がそれぞれ接続されている。この収納チャンバー71は、第3の微細流路13から排出されるマイクロ流体を収納する。従って、図8では、各混合ユニット31,41,61の各第3の微細流路13の出口ポートFから取り出されるマイクロ流体を各収納チャンバー71において、検体として取り出すことができる。特に収納チャンバー71を透明なセル構造とすることにより、例えば光学的測定方向により、各収納チャンバー71に収納されているマイクロ流体からなる検体を測定することができる。
【0068】
また、第3の混合ユニット61の第2の微細流路12の排出ポートEにも、もう1つの収納チャンバー71が接続されている。
【0069】
なお、図8に示す変形例においても、各流路の下流側端部には、流路開閉装置52,53,54,55,56が接続されている。この流路開閉装置52〜56は、図7に示した流路開閉装置52と同様に構成されており、各微細流路の下流側端部を開放状態とすることにより、マイクロ流体の搬送を可能とするために設けられている。
【0070】
なお、図8に示した変形例では、上記収納チャンバー71は、混合ユニット31,41,61の各第3の微細流路の下流側及び混合ユニット61の第2の微細流路の下流側に接続されていたが、図9に示す変形例のように、各混合ユニット31,41,61の第2の微細流路の排出ポートAの下流側に収納チャンバー71を接続し、さらに第1の混合ユニットの第3の微細流路13の上流側に同様に収納チャンバー72を接続してもよい。
【0071】
また、図7〜図9に示す微細流路構造では、複数の混合ユニットが直列に接続されていたが、図10に示すように、直列に接続された混合ユニット31,41,61の側方に、さらに少なくとも1つの第3の混合ユニット91,92を接続してもよい。ここでは、第1の混合ユニット31の第3の微細流路13の第2の出口ポートFに、第3の混合ユニット91の第3の微細流路の第2の入口ポートCが接続されている。そして、第3の混合ユニット91には、第3の混合ユニット92が、混合ユニット31,41の接続関係と同様にして接続されている。同様に、第2の混合ユニット41の第3の微細流路13の端部に連ねられている第2の出口ポートFに混合ユニット91,92が接続されており、混合ユニット61の第3の微細流路13の端部に連ねられた第2の出口ポートFにも、混合ユニット91,92が接続されている。さらに、第3の混合ユニット61の第2の微細流路12の排出ポートEに、同様に混合ユニット91,92が接続されている。
【0072】
従って、図10に示すように、上記各混合ユニット91,92に、図示の収納チャンバー101a〜101c,102a〜102c,103a〜103c,104a〜104cを接続しておくことにより、様々な混合倍率または希釈倍率の混合マイクロ流体を各収納チャンバー101a〜104cに導くことができる。このように、本発明においては、複数の混合ユニットがマトリックス状に配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施形態に係るマイクロ流体デバイスの微細流路構造を示す模式的平面図。
【図2】本発明の一実施形態に係るマイクロ流体デバイスの模式的正面断面図。
【図3】本発明の一実施形態のマイクロ流体デバイスにおいて、第1の微細流路から第1の秤取部に第1のマイクロ流体を秤取する工程を説明するための模式的部分切欠平面図。
【図4】本発明の一実施形態のマイクロ流体デバイスにおいて、第1の微細流路から第1の秤取部に第1のマイクロ流体を秤取する工程を説明するための模式的部分切欠平面図。
【図5】本発明の一実施形態のマイクロ流体デバイスにおいて、第1の微細流路から第1の秤取部に第1のマイクロ流体を秤取する工程を説明するための模式的部分切欠平面図。
【図6】本発明の一実施形態のマイクロ流体デバイスにおいて、第2の微細流路に、第1,第2の秤取部から第1,第2のマイクロ流体が吐出された状態を示す模式的部分切欠平面図。
【図7】本発明のマイクロ流体デバイスの第1の変形例を説明するための模式的平面図。
【図8】本発明のマイクロ流体デバイスの第2の変形例を説明するための模式的平面図。
【図9】本発明のマイクロ流体デバイスの第3の変形例を説明するための模式的平面図。
【図10】本発明のマイクロ流体デバイスの第4の変形例を説明するための模式的平面図。
【符号の説明】
【0074】
1…マイクロ流体デバイス
2…基板
3…ベースプレート
4〜6…中間プレート
4a…吐出孔
5a…開口部
6a…貫通孔
7…トッププレート
8…ガス発生室
9…応答性ガス発生部材
11…第1の微細流路
12…第2の微細流路
12a…合流部
12b…混合部
12c…排出部
13…第3の微細流路
14…ガス導入孔
15…マイクロ流体供給孔
16…第1の秤取部
17…接続微細流路
18…吐出口
19…ガス導入孔
20…マイクロ流体供給孔
21…第2の秤取部
22…接続微細流路
23…吐出口
31…第1の混合ユニット
41…第2の混合ユニット
51…遅延流路部
52〜56…流路開閉装置
61…混合ユニット
71,72…収納チャンバー
91,92…第3の混合ユニット
101a〜101c…収納チャンバー
102a〜102c…収納チャンバー
103a〜103c…収納チャンバー
104a〜104c…収納チャンバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板内に設けられており、マイクロ流体が搬送される微細流路構造とを備え、微細流路構造がマイクロ流体を混合するための混合ユニットを有しており、
前記混合ユニットが、
第1〜第3の微細流路と、
一定量の第1のマイクロ流体を秤取するために、一端が前記第1の微細流路に接続されており、該一定量の第1のマイクロ流体の体積と等しい容積を有する微細流路からなる第1の秤取部と、
一定量の第2のマイクロ流体を秤取するために、一端が前記第3の微細流路接続されており、前記一定量の第2のマイクロ流体の体積に等しい容積を有する微細流路からなる第2の秤取部とを有し、
前記第1の秤取部の他端が前記一定量の第1のマイクロ流体を前記第2の微細流路に供給するように接続されており、前記第2の秤取部の他端が前記一定量の第2のマイクロ流体を前記第2の微細流路に供給するように、かつ前記第1の秤取部よりも下流側において前記第2の微細流路に接続されており、前記第2の秤取部から前記第2の微細流路に送り出された前記一定量の第2のマイクロ流体が、前記第1の秤取部から送り出され、第2の微細流路を移動する第1のマイクロ流体の移動に伴って下流側に移動されることを特徴とする、マイクロ流体デバイス。
【請求項2】
前記第1,第3の微細流路に連ねられた第1,第2のガス導入孔をさらに備え、前記第1,第3のガス導入孔から供給されるガスにより前記第1,第2のマイクロ流体が搬送され、前記第2の微細流路には、マイクロ流体を搬送するためのガスを導入する導入孔が直接連ねられていない、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項3】
前記第1の秤取部の容積が、前記第2の秤取部の容積よりも大きくされている、請求項1または2に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項4】
前記微細流路構造が、前記混合ユニットとして、第1の混合ユニットと、第1の混合ユニットの下流側に接続されている第2の混合ユニットとを有し、前記第1,第2の混合ユニットが、それぞれ、第1の微細流路の上流側に設けられた第1の入口ポート及び下流側に設けられた第1の出口ポートと、第3の微細流路の上流側に設けられた第2の入口ポートと、下流側に設けられた第2の出口ポートとを有しており、
前記第1の混合ユニットの前記第1の出口ポートが、前記第2の混合ユニットの前記第1の入口ポートに接続されており、前記第1の混合ユニットの前記第2の微細流路の下流側の端部が、前記第2の混合ユニットの前記第3の微細流路の上流側に位置する前記第2の入口ポートに接続されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項5】
前記第1の混合ユニットの第1の微細流路の下流側に設けられた第1の出口ポートと、前記第2の混合ユニットの第1の入口ポートとの間に接続された遅延流路部をさらに備え、該遅延流路部は、前記第2の混合ユニットにおいて第2の秤取部からマイクロ流体が第2の微細流路に供給されるよりも前記第2の混合ユニットにおいて第1の秤取部から第1のマイクロ流体が第2の微細流路に供給される時点を遅くするように、所定量の第1のマイクロ流体を収納し得る容積を有する、請求項4に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項6】
前記第1,第2の混合ユニットの下流側に接続された少なくとも1個の混合ユニットをさらに備える、請求項5に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項7】
前記微細流路構造が、前記混合ユニットとして、第1の混合ユニットと、第1の混合ユニットの下流側に接続された第3の混合ユニットとを有し、
前記各混合ユニットが、前記第1の微細流路の上流側に設けられた第1の入口ポートと、下流側に設けられた第1の出口ポートと、第3の微細流路の上流側に設けられた第2の入口ポートと、下流側に位置している第2の出口ポートとを有し、前記第1の混合ユニットの前記第2の出口ポートが、前記第3の混合ユニットの前記第1の微細流路の前記第1の入口ポートに接続されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate