説明

マイコトキシン除去用飼料添加剤

【課題】マイコトキシン除去に有効な飼料添加剤、およびこの添加剤を用いた乳牛から採取される牛乳に含まれるマイコトキシン量を低減する方法を提供する。これら添加剤または方法を用いた牛乳の製造方法を提供する。
【解決手段】化石サンゴを主成分として含有するマイコトキシン除去用飼料添加剤。前記化石サンゴが、造礁サンゴを加熱、粉砕し、活性化して得られたものである。上記添加剤を乳牛に供給することを含む、牛乳の製造方法。造礁サンゴを加熱、粉砕し、活性化して得られた化石サンゴを添加した飼料を乳牛に与えることを含む、前記乳牛から採取される牛乳に含まれるマイコトキシン量を低減する方法。この方法を用いる牛乳の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイコトキシン除去用飼料添加剤および乳牛から採取される牛乳に含まれるマイコトキシン量を低減する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイコトキシンは、カビが産生する二次代謝産物で、人と動物に有害な化合物の総称であり、300種類以上が知られている[非特許文献1]。乳牛はルーメンでマイコトキシンを分解することから、これまであまり問題になっていなかったが、近年、乳牛の泌乳能力が増加しており、その影響が懸念されている。つまり、高泌乳牛はストレスを受けやすい管理下にあり、栄養状態も生理的な限界の状態にある。また、高栄養で消化率の高い飼料が給与されているため、ルーメン通過速度が速まっていて、マイコトキシンが十分に分解されないまま下部消化管に流れ込むことが考えられる[非特許文献1、2]。
【0003】
マイコトキシン中毒は、急性のものでは突発性の下痢と肝機能障害の主症状を呈する。慢性のものでは消化障害、急性乳房炎、呼吸器病、および飼料効率、免疫能と繁殖性の低下、低体重と虚弱子牛の出生が知られており、乳生産量の低下、間欠的な下痢、流産と発情微弱による繁殖性低下の牛群に対しては、原因の一つとしてマイコトキシンを疑うべきである[非特許文献1〜9]。
【0004】
マイコトキシンの中でもアフラトキシン(以下AFと略す)は、特に天然物質中で最も強い発ガン物質としてしられており、その関連化合物は10種類以上存在する[非特許文献1、5]。特に発がん性の高いAFB1は、許容される食品中および飼料中の濃度が多くの国で規制されている。乳牛に経口的に摂取されたAFB1は、肝臓で代謝されてアフラトキシンM1(以下AFM1と略す)になり、0.9〜1.7%は乳汁中に約20%は尿中に排泄される。AFM1はAFB1の10分の1ほどではあるが、強い発がん性を有しており、乳牛の乳汁中に排泄されるAFM1はヒトに摂取される可能性がある[非特許文献1、10]。
【0005】
デオキシニバレノール(以下DONと略す)はフザリウム属のカビが生産するマイコトキシンで別名ボミトキシン(吐血毒素)と呼ばれる。AFのような激しい毒性はないが、このマイコトキシンが産生されていると他のマイコトキシンもある可能性が高いためにマイコトキシンのマーカーとして利用される[非特許文献3〜9]。
【非特許文献1】宇田川俊一、田端節子、中里光男、細貝祐太郎、松本昌雄.2002.マイコトキシン(食品安全性セミナー5)中央法規出版.東京
【非特許文献2】飼養と管理(米国中西部4州酪農セミナー2002).2002.デーリージャパン社.東京
【非特許文献3】Barney Harris,Jr. Charles R.Staples. The problems of Mycotoxins in dairy cattle rations.University of Florida,Institute of Food and Agricultural Science Cooperative Extention Service.
【非特許文献4】Battacone.G , Nudda. A. et al. Excretion of Aflatoxin M1 in milk of dairy ewes treated with different doses of aflatoxin B1. J.Dairy Sci.86:2667-2675(2003)
【非特許文献5】Edmond E.Creppy Update of survey,regulation nd toxic effects of mycotoxin in Europe. Toxicology Letters.127:19-28(2002)
【非特許文献6】Goef Smith.酪農におけるマイコトキシンの発生 その被害、予防、治療.NYS学術セミナー2004.
【非特許文献7】Hoogenboom L.A.P., et al. Absorption,distribution and excretion of Aflatoxin-derived ammoniation products in lactating cows. Food.Addit.Cont.18,1:47-58(2001)
【非特許文献8】小岩政照 マイコトキシン中毒が疑われた乳牛の発生状況.Mycotoxins.54,2:107-112(2004)
【非特許文献9】Magda Carvajal, Adolfo Bolanos, et al. Aflatoxin M1 in Pasteurized and Ultrapasteurized milk with Different fat content in Mexico. J.Food Prot.66,10:1885-1892(2003)
【非特許文献10】Magda Carvajal, Adolfo Bolanos, et al. Aflatoxin M1 in Pasteurized and Ultrapasteurized milk with Different fat content in Mexico. J.Food Prot.66,10:1885-1892(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マイコトキシンを全く含まない飼料を乳牛に与えることが理想的だが、マイコトキシンの産生は気象や自然環境に大きく左右されるため、今のところ難しいのが現実である[非特許文献1、10]。マイコトキシンの対策としてはカビの発生した部分を取り除くか、飼料にマイコトキシンに対する吸着性の強い物質を加えて吸収量を減らすなどの方法が考えられる。マイコトキシン吸着剤はマイコトキシンの飼料汚染を軽減する目的で、マイコトキシン汚染が疑われる飼料に添加するのが一般的である。しかし、マイコトキシン吸着剤の確立された評価方法はなく、また泌乳能力の差によってマイコトキシン吸着剤の効果が異なることが予想されるが,この点についての詳細な報告は見当たらない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、マイコトキシン除去に有効な飼料添加剤、およびこの添加剤を用いた乳牛から採取される牛乳に含まれるマイコトキシン量を低減する方法を提供することにある。さらに本発明の目的は、これら添加剤または方法を用いた牛乳の製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明者らは、泌乳能力によるマイコトキシンの影響を調べると同時に、泌乳能力とマイコトキシン吸着剤の効果の差の有無を知る目的で、ホルスタイン牛群の完全配合飼料(TMR:Total Mixed Rations)にマイコトキシン吸着剤を添加して、高乳量牛と低乳量牛における第一胃液と尿中、乳汁中のマイコトキシン濃度の推移を比較検討し、その結果、化石サンゴが、乳汁中のマイコトキシン濃度低減に有効であることを見いだして、本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明は以下の通りである。
[1]化石サンゴを主成分として含有するマイコトキシン除去用飼料添加剤であって、前記化石サンゴが、造礁サンゴを加熱、粉砕し、活性化して得られたものである前記添加剤。
[2]乳牛用の飼料に用いられる[1]に記載の添加剤。
[3]飼料を供給された乳牛から採取される牛乳に含まれるマイコトキシン量を低減するために用いられる[2]に記載の添加剤。
[4]乳牛が、40kg/日以上の乳量を示す乳牛である[2]または[3]に記載の添加剤。
[5]マイコトキシンがアフラトキシンである[1]〜[4]のいずれかに記載の添加剤。
[6]造礁サンゴを加熱、粉砕し、活性化して得られた化石サンゴを添加した飼料を乳牛に与えることを含む、前記乳牛から採取される牛乳に含まれるマイコトキシン量を低減する方法。
[7]乳牛が、40kg/日以上の乳量を示す乳牛である[6]に記載の方法。
[8]化石サンゴを一日当たり20〜200g/頭与える[6]または[7]に記載の方法。
[9]マイコトキシンがアフラトキシンである[6]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[10][1]〜[5]のいずれかに記載の添加剤を乳牛に供給することを含む、牛乳の製造方法。
[11][6]〜[10]のいずれかに記載の方法を用いる牛乳の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、乳汁中のマイコトキシン濃度低減に有効な添加剤および方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、化石サンゴを主成分として含有するマイコトキシン除去用飼料添加剤であって、前記化石サンゴが、造礁サンゴを加熱、粉砕し、活性化して得られたものである。
【0012】
本発明で用いられる化石サンゴは、造礁サンゴを加熱、粉砕し、活性化して得られたものであり、具体的には、特開平7-170939号公報に記載されている。より具体的には、造礁サンゴを採取して水洗いし、しかる後、この水洗いされた造礁サンゴを加熱、粉砕し、活性化することにより、得られたものである。陸上の造礁サンゴは、サンゴ礁が隆起してできた石灰岩塊で、海中のサンゴと異なり塩分を含んでおらず、健康増進剤の原料として最適である。成分は産地によって多少異なるが、鉱物組成はカルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、珪素等各種成分を含んでおり、その大部分はカルシウムである。カルシウムは全体の約40%占めている。造礁サンゴの色は白色より黄褐色のものまである。このような造礁サンゴの産地としては、沖縄、八重山諸島海域の島が挙げられる。
【0013】
製造に際しては、鉱山から採掘した造礁サンゴの生骨格および半化石群より上質のもののみを選別して取り出す。この造礁サンゴには魚の骨、ウニの刺、死貝等は混入しておらず、したがって、その選別は不要である。次に、自生粉砕ミルにかけるのに最も効率のより大きさ(5mm〜70mm、但しミルの大きさによりサイズは異なる)に砕いたサンゴを真水(水道水はカルキ臭があり、あまり好ましくない)で洗う。
【0014】
水洗い後、原料サンゴを乾燥機に送り、ある程度乾燥させて付着している水分を除去した後、自生粉砕ミルに供給する。自生粉砕ミルは、大小様々な原料サンゴ同士が互いにぶつかり合い、砕け易いところから徐々に砕いていくものである。また、粉砕効率を上げるためにミル内に大小様々なスチールボールを入れておくとよい。この粉砕工程において、熱風をミル内に送り込んで乾燥、殺菌、活性化する。陸上の造礁サンゴの結晶型はアラレ石(アラゴナイト)であり、ある一定温度を越えると方解石(カルサイト)に変わる性質をもっているので、熱風温度はこの造礁サンゴの結晶型を変えない範囲でかつ一般細菌および人体に有害な細菌を殺し得る温度であることが望ましく、例えば熱風温度としては、最大上限温度350℃程度で、製品の出口温度を70℃程度に管理する。こうすることにより、多孔質のそれぞれの穴も綺麗になり、殺菌、活性化される。ミルによって粉砕されたサンゴは、コンプレッサによってエア吸引されて大きさ、重さにより、選別する。本発明の添加剤に使用する化石サンゴは、平均粒形が0.1〜0.6mmの範囲のものであることが、飼料への添加のし易さ、およびマイコトキシン除去効果の点で好ましい。
【0015】
このようにして製造された化石サンゴの主要成分を表1に示す。
【0016】
【表1】

【0017】
上記化石サンゴは、例えば、(株)コーラルコーポレーションが「ウルカル」、「ドナン」との商品名で販売しているものを入手できる。
【0018】
本発明の添加剤は、マイコトキシン除去用飼料に用いられるものであり、マイコトキシンとしては、特に、アフラトキシンを挙げることができる。また、本発明の添加剤は、乳牛用の飼料に用いられることが好ましい。乳牛用の飼料は、例えば、TMR(Total Mixed Rations)完全配合飼料であることができる。
さらには、飼料を供給された乳牛から採取される牛乳に含まれるマイコトキシン量を低減するために用いられることが好ましい。特に、乳牛が、40kg/日以上、好ましくは40〜60kg/日の乳量を示す乳牛である。乳量の高い乳牛において、マイコトキシンの乳牛への影響が大きく、かつ本発明の添加剤によるマイコトキシン量を低減が大きいからである。
【0019】
本発明は、造礁サンゴを加熱、粉砕し、活性化して得られた化石サンゴを添加した飼料を乳牛に与えることを含む、前記乳牛から採取される牛乳に含まれるマイコトキシン量を低減する方法を包含する。
【0020】
乳牛は、上記のように、40kg/日以上の乳量を示す乳量の高い乳牛であることが好ましい。化石サンゴの一日当たりの供給量は、例えば、20〜200g/頭の範囲であることが適当である。本発明の方法によれば、マイコトキシンとして、特に、アフラトキシンの牛乳中の含有量を低減することができる。
【0021】
さらに本発明は、上記本発明の添加剤を乳牛に供給することを含む、牛乳の製造方法に関する。さらに本発明は、上記本発明のマイコトキシン量低減方法を用いる牛乳の製造方法に関する。本発明の牛乳の製造方法によれば、マイコトキシン量低減した牛乳を生産することができる。
【実施例】
【0022】
以下本発明を実施例により、本発明を説明する。
実施例1
マイコトキシン吸着剤(ウルカル)結合率の比較検査
検査項目および検査方法
マイコトキシン吸着剤(ウルカル)20gを電子天秤(EK-600H:株式会社エー・アンド・デイ)を用いて容器に計り取りpH7.4のPBS50mlを加えてよく混和し、これを吸着剤溶液とした。ウエルにAFB150ppb、DON3ppmおよびZEN600ppb(NEOGEN CORPORRATION)をそれぞれ150μl分注し、その中に吸着剤溶液150μlを分注してピペッティングした(この時点を反応開始点とした)。反応開始点から1時間後と2時間後のAFB1、DONおよびZEN濃度を測定した。AFB1、DONおよびZEN濃度は飼料中のマイコトキシンと同様の測定法で行った。
【0023】
反応後のAFB1、DONおよびZEN濃度はLog‐Logit変換を用いて吸光値から算出した。反応開始時の濃度を結合率0%として1時間後および2時間後の濃度から吸着剤のAFB1、DONおよびZEN結合率を算出して吸着剤の結合率を比較した。
【0024】
【表2】

【0025】
実施例2
材料と方法
1.供試牛
供試牛群は,45頭のホルスタイン種雌乳牛を飼養している本学のフリーストール附属農場であり,TMR飼料にマイコトキシン吸着剤を添加して、日乳量43〜49kgの高乳量牛5例(以下HM群と略す)と日乳量22〜29kgの低乳量牛5例(以下LM群と略す)の第一胃液成分の推移、および第一胃液のAFB1とDON,尿中と乳汁中のAFM1濃度の推移を、2005年4月11日から5月20日の間(1期)に4回(4月19日,4月29日,5月9日,5月19日)、7月5日から8月14日の間(2期)に4回(7月13日,7月23日,8月2日,8月12日)、計8回、比較した。
【0026】
8回の検査時における供試牛の乳量と産次数、分娩後日数、体重、BCSを表1から5に示した。乳量はHM群が43〜49kg/日、LM群が22〜29kg/日であり、HM群の日乳量はLM群の約1.5から2.0倍であった。産次数はHM群が3〜4産、LM群が1〜2産であり、分娩後日数は、HM群が60〜94日、LM群が175〜279日であった。また、体重はHM群が650〜748kg、LM群が619〜775kgであり、BCSはHM群が2.56〜3.05、LM群が3.00〜3.45であった。すなわち、HM群は泌乳最盛期のBCSの低い3〜4産次の乳牛、LM群は泌乳後期の1〜2産次の若い乳牛であった。
【0027】
2.マイコトキシン吸着剤
マイコトキシン吸着剤は、沖縄県で産生されているカルシウム含有量の高い多孔質の化石サンゴが主成分であり、マイコトキシン吸着効果が証明されている飼料添加剤(以下はUCと略す)である。マイコトキシンの吸着を目的に、2005年4月21日から5月10日までの20日間はUCを50g/頭/日、7月15日から24日までの10日間はUCを50g/頭/日、7月25日から8月3日の10日間は100g/頭/日を、TMR飼料に添加した。UC飼料添加によるHM群とLM群における第一胃液成分、第一胃液のAFB1とDON、尿中と乳汁中のAFM1濃度の比較は、UC無添加(10日間)― UC添加(10〜20日間)― UC無添加(10日間)の観察期間に行った。
【0028】
3.検査項目および方法
1)乳汁中のアフラトキシン定量
検査に供する乳汁は、1分房から滅菌試験管に無菌的に採取し、冷却遠心して得られた乳清を用いて乳汁中のAFM1をELISA法で測定した。また、乳汁中のAFM1実量(ng/日)は、乳汁中AFM1濃度(ppt)に日乳量(kg)を乗じて算出した。
【0029】
2)統計処理
統計処理はstudent‐T検定により、UC添加前後におけるHM群とLM群の検査成績について有意差検定を行なった。
【0030】
結果
1.乳汁中のAFM1濃度
UC添加によるHM群とLM群の乳汁中のAFM1濃度の測定成績を表3に示した。
HM群の乳汁中のAFM1濃度は、1期のUC無添加時が1.68〜2.90ppt、UC添加時が1.07〜3.07ppt、2期のUC無添加時が2.94〜3.55ppt、UC添加時が1.86〜3.03ppt、LM群は1期のUC無添加時が1.24〜2.42ppt、UC添加時が1.71〜3.19ppt、2期のUC無添加時が2.07〜4.57ppt、UC添加時が1.43〜2.59pptであり、LM群に比べてHM群のAFM1濃度が高値を示す傾向がみられた。また、2期のUC添加時に両群共に乳汁中AFM1濃度が低下する傾向がみられた。
【0031】
2.乳汁中のAFM1実量
UC添加によるHM群とLM群の乳汁中のAFM1実量の算定成績を表4に示した。
HM群の乳汁中のAFM1実量は、1期のUC無添加時が78.2〜113.7ng/日、UC添加時が46.8〜107.2 ng/日、2期のUC無添加時が113.3〜138.8 ng/日、UC添加時が72.5〜124.3 ng/日、LM群は1期のUC無添加時が39.2〜50.1 ng/日、UC添加時が42.5〜76.1 ng/日、2期のUC無添加時が42.2〜96.9 ng/日、UC添加時が22.2〜53.6 ng/日であった。HM群の乳汁中AFM1実量はLM群に比べて常に高値であり、2期のUC添加後に両群の間に差(p<0.05)が認められた。
【0032】
【表3】

【0033】
【表4】

【0034】
マイコトキシンはカビが産生する代謝産物であり、牛の健康に悪影響を与えることが知られている。今回、2005年4月から8月の間に45頭のホルスタイン牛群の給与飼料(TMR)にマイコトキシン吸着剤(UC)を添加して、高乳量牛(HM群:43〜49kg/日)5例と低乳量牛(LM群:22〜29kg/日)5例の乳汁中アフラトキシンM1(AFM1)濃度の推移を比較した。
【0035】
UCの飼料添加前におけるHM群のAFB1、乳汁中AFM1実量は、LM群に比べて高く、UC添加後、それらのマイコトキシン濃度は両群共に低下傾向を示し、特に、乳汁中AFM1実量の低下が著しかった。また、HM群の乳汁中のマイコトキシン濃度がLM群に比べて高値で推移したことから、マイコトキシン汚染の影響はHM群に強く発現することが推察された。UCには、マイコトキシン吸着効果があり、その効果は、LM(低乳量牛群)に比べてHM(高乳量牛群)がより顕著な効果が認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化石サンゴを主成分として含有するマイコトキシン除去用飼料添加剤であって、前記化石サンゴが、造礁サンゴを加熱、粉砕し、活性化して得られたものである前記添加剤。
【請求項2】
乳牛用の飼料に用いられる請求項1に記載の添加剤。
【請求項3】
飼料を供給された乳牛から採取される牛乳に含まれるマイコトキシン量を低減するために用いられる請求項2に記載の添加剤。
【請求項4】
乳牛が、40kg/日以上の乳量を示す乳牛である請求項2または3に記載の添加剤。
【請求項5】
マイコトキシンがアフラトキシンである請求項1〜4のいずれか1項に記載の添加剤。
【請求項6】
造礁サンゴを加熱、粉砕し、活性化して得られた化石サンゴを添加した飼料を乳牛に与えることを含む、前記乳牛から採取される牛乳に含まれるマイコトキシン量を低減する方法。
【請求項7】
乳牛が、40kg/日以上の乳量を示す乳牛である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
化石サンゴを一日当たり20〜200g/頭与える請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
マイコトキシンがアフラトキシンである請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の添加剤を乳牛に供給することを含む、牛乳の製造方法。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法を用いる牛乳の製造方法。