マガジンおよびそれを備えるプリント装置
【課題】供給可能なプリント材料の種類数を任意に増やすことができ、小型で低コストに構成できる、マガジンおよびそれを備えるプリント装置を提供する。
【解決手段】プリント装置10は、複数のマガジン20を接続することによって構成される供給ユニット18を備える。供給ユニット18を構成する各マガジン20は、筐体22と、筐体22に設けられる凸部24と、筐体22に設けられる凹部26a,26bと、凸部24に設けられる排出口28と、凹部26a,26bにそれぞれ設けられる導入口40a,40bとを含む。各マガジン20は、筐体22内の印画紙Pあるいは導入口40aあるいは40bから筐体22内に導入した他のマガジン20からの印画紙Pを、排出口28を介して筐体22内から排出し、プリント部12あるいはその他のマガジン20に供給できる。
【解決手段】プリント装置10は、複数のマガジン20を接続することによって構成される供給ユニット18を備える。供給ユニット18を構成する各マガジン20は、筐体22と、筐体22に設けられる凸部24と、筐体22に設けられる凹部26a,26bと、凸部24に設けられる排出口28と、凹部26a,26bにそれぞれ設けられる導入口40a,40bとを含む。各マガジン20は、筐体22内の印画紙Pあるいは導入口40aあるいは40bから筐体22内に導入した他のマガジン20からの印画紙Pを、排出口28を介して筐体22内から排出し、プリント部12あるいはその他のマガジン20に供給できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はマガジンおよびそれを備えるプリント装置に関し、より特定的には、プリント材料を収納するマガジンおよびそれを備えるプリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、写真プリント装置では、マガジンから供給される銀塩印画紙等のプリント材料に画像を形成することが知られている。たとえば特許文献1には、複数のマガジンをユニット本体に装填した供給ユニットからプリント材料を写真プリント装置に供給することが開示されている。特許文献1の供給ユニットでは、複数のマガジンからそれぞれ種類が異なるプリント材料を供給できるので、プリント材料の種類を変更するためのマガジン交換を省くことができる。
【特許文献1】特許第3653651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1の供給ユニットではユニット本体に装填できるマガジン数が決まっているので、それ以上マガジンを増やすことができないという問題があった。つまり、供給可能なプリント材料の種類が限定されるという問題があった。また、ユニット本体を準備する必要があり、大型でコストも上昇してしまうという問題があった。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、供給可能なプリント材料の種類数を任意に増やすことができ、小型で低コストに構成できる、マガジンおよびそれを備えるプリント装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するために、請求項1に記載のマガジンは、プリント材料を収納するための筐体、筐体に設けられプリント材料を外部から筐体内に導入するための導入口、および筐体に設けられ筐体内に収納されるプリント材料あるいは導入口から筐体内に導入されるプリント材料を筐体内から排出するための排出口を備える。
【0006】
請求項2に記載のマガジンは、請求項1に記載のマガジンにおいて、導入口は筐体に複数設けられることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載のマガジンは、請求項1または2に記載のマガジンにおいて、筐体に設けられる凸部、および筐体に設けられ凸部と嵌合可能な凹部をさらに含むことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載のプリント装置は、請求項1から3のいずれかに記載のマガジンを備える。
【0009】
請求項1に記載のマガジンでは、筐体内のプリント材料あるいは導入口から筐体内に導入される他のマガジンからのプリント材料を、排出口を介して筐体内から排出し、プリント装置あるいはその他のマガジンに供給できる。このような請求項1に記載のマガジンを複数接続することによって構成される供給ユニットでは、マガジンの数を任意に増やすことができ、供給可能なプリント材料の種類数を任意に増やすことができる。また、請求項1に記載のマガジンを複数接続することによって構成される供給ユニットでは、ユニット本体を用いる必要がなく、小型で低コストに構成できる。
【0010】
請求項2に記載のマガジンでは、筐体に導入口が複数設けられ、他のマガジンを複数接続できる。このように1つのマガジンに複数のマガジンを接続することができるので、供給ユニットをコンパクトに構成できる。
【0011】
請求項3に記載のマガジンでは、凸部と他のマガジンの凹部とを嵌合させるあるいは凹部と他のマガジンの凸部とを嵌合させることによって、他のマガジンと簡単かつ強固に接続でき、供給ユニットの分解を防止できる。
【0012】
請求項4に記載のプリント装置では、請求項1から3のいずれかに記載のマガジンを複数接続した供給ユニットを用いることによって、ユニット本体を用いずとも複数種類のプリント材料を切り替えて使用でき、全体として小型で低コストに構成できる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、供給するプリント材料の種類数を任意に増やすことができ、小型で低コストに構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。
図1を参照して、この発明の一実施形態のプリント装置10は、写真用のフィルム等をスキャニングして得た画像データに基づく画像をプリント材料の一例である銀塩印画紙Pに露光(焼き付け)形成し、写真プリントを作製する、写真プリント装置である。
【0015】
プリント装置10は、銀塩印画紙(以下、単に印画紙という)Pに露光処理を施すプリント部12、露光済みの印画紙Pに現像処理を施すプロセッサ部14、およびプリント装置10の各構成要素の動作を制御するコントローラ16を備える。
【0016】
プリント部12には、プリント部12に供給すべき印画紙Pを収納する供給ユニット18が接続される。供給ユニット18は、サイズ(幅)、面種(シルクやマット等)、仕様(暑さやベースの種類等)等、それぞれ種類が異なる印画紙Pを収納する複数(図1においては5個)のマガジン20によって構成される。
【0017】
ここで、図2から図11を参照して、マガジン20について詳しく説明する。
図2から図4に示すように、マガジン20は、長尺の印画紙Pを巻回したペーパーロールRを収納するための筐体22を含む。図4に示すように、筐体22は、中空略直方体状に形成され、ペーパーロールRの外周を囲む壁22a,22b,22cおよび22dを有する。壁22aには凸部24が設けられ、壁22aに平行な壁22bには凹部26aが設けられ、壁22aと22bとに垂直な一方の壁22cには凹部26bが設けられる。
【0018】
図2および図4に示すように、凸部24は、壁22aの外側の面に四角形の枠状に設けられる。図2に示すように、凸部24の底面(壁22aの外側の面の一部)には、筐体22内から印画紙Pを排出するための排出口28がペーパーロールRの軸方向(矢印A方向)に延びるように設けられる。
【0019】
また、凸部24の底面には、2つのピン30と2つの貫通孔32とが設けられる。2つのピン30は、矢印A方向に離間して設けられる。2つの貫通孔32は、2つのピン30と同じ間隔で矢印A方向に離間し、それぞれ矢印A方向に直交する方向(矢印B方向)にピン30と並ぶように排出口28とピン30との間に設けられる。
【0020】
さらに、凸部24の底面には、2つのロック爪34が矢印A方向に離間して設けられる。図4に示すように、ロック爪34は、筐体22内に突入する揺動部材34aによって揺動可能に配置される。揺動部材34aは、矢印C方向に延びるロッド36によって、凹部26aに配置されるレバー38に連結される。
【0021】
凹部26a,26bはそれぞれ、凸部24の形状に対応し、他のマガジン20の凸部24と嵌合可能に設けられる。図3および図4に示すように、凹部26aの底面には、他のマガジン20から筐体22内に印画紙Pを導入するための導入口40aが矢印A方向に延びるように設けられる。また、図4に示すように、凹部26bの底面にも同様に導入口40bが設けられる。したがって、この実施形態では、導入口40aと40bとが筐体22の異なる壁(面)に設けられる。
【0022】
また、図3に示すように、凹部26aの底面にも、凸部24の2つのピン30と同じ間隔で矢印A方向に離間させて2つのピン30と2つの貫通孔32とが設けられる。凹部26aにおいては、ピン30が貫通孔32と導入口40aとの間に設けられる。図4に示すように、凹部26bについても同様に、2つのピン30と2つの貫通孔32とが設けられる。凹部26bにおいては、ピン30と貫通孔32とが矢印A方向および矢印B方向に直交する方向(矢印C方向)に並ぶ。
【0023】
さらに、図3に示すように、凹部26aの矢印A方向に対向する側面にはそれぞれ、ロック爪34に対応する位置にロックピン42が設けられる。凹部26bについても同様に、ロックピン42が2つ設けられる。
【0024】
また、図4に示すように、筐体22内には、シャッタ44a,44bおよび44cが設けられる。シャッタ44aは、凸部24に対応して壁22aの内側の面に設けられる配置部46aに、ばね48を介して配置される。シャッタ44aは、ばね48によって矢印B方向の排出口28側(図4では上側)に付勢され、排出口28を塞ぐ。シャッタ44bは、凹部26aに対応して壁22bの内側の面に設けられる配置部46bに、ばね48を介して配置される。シャッタ44bは、ばね48によって矢印B方向の導入口40a側(図4では上側)に付勢され、導入口40aを塞ぐ。シャッタ44cは、凹部26bに対応して壁22cの内側の面に設けられる配置部46cに、ばね48を介して配置される。シャッタ44cは、ばね48によって矢印C方向の導入口40b側(図4では右側)に付勢され、導入口40bを塞ぐ。つまり、シャッタ44a,44bおよび44cによって、筐体22の内部が遮光される。
【0025】
図5に示すように、シャッタ44aには、凸部24の貫通孔32(図2参照)と同じ間隔で矢印A方向に離間する2つの挿入孔50が設けられる。2つの挿入孔50はそれぞれ、壁22a側に開口し、シャッタ44aが排出口28を塞いだ状態で凸部24の貫通孔32に対向する傾斜部50aを有する。シャッタ44aと同様に、シャッタ44b,44cにもそれぞれ、傾斜部50aを有する挿入孔50が2つ設けられる。
【0026】
また、図4に示すように、筐体22内には、印画紙Pを搬送するための搬送ローラ対52と、ペーパーロールRを回転させペーパーロールRから印画紙Pを引き出すための引き出しローラ対54とが設けられる。搬送ローラ対52は駆動ローラ52aと従動ローラ52bとを含み、引き出しローラ対54は駆動ローラ54aと従動ローラ54bとを含む。
【0027】
搬送ローラ対52の駆動ローラ52aおよび引き出しローラ対54の駆動ローラ54aには、筐体22に設けられる伝達機構56によってプリント部12に設けられるモータ114(後述)から動力が伝達される。伝達機構56は、駆動ローラ52aに動力を伝達するための伝達部58と、駆動ローラ54aに動力を伝達するための伝達部60とを含む。
【0028】
図6(a)および(b)に示すように、伝達部58は、シャフト62と、ベベルギア64,66とを含む。なお、図6(a)には矢印A方向の一方向(図2において左から右に向かう方向)からみた伝達部58が示され、図6(b)には矢印C方向の一方向(凸部24から凹部26aに向かう方向)からみた伝達部58が示されている。
【0029】
図4に示すように、シャフト62は、矢印C方向に延びて筐体22を凸部24から凹部26aへと貫通する。シャフト62には、凸部24側端部にカップリング68aが設けられ、凹部26a側端部にカップリング68bが設けられる。カップリング68aは、他のマガジン20のカップリング68bあるいはモータ114に設けられるカップリング68bに連結される(図10および図11参照)。カップリング68aは、モータ114の駆動に伴って回転し、シャフト62およびカップリング68bを回転させる。ベベルギア64は、シャフト62に設けられ、ベベルギア66に係合する。ベベルギア66は、駆動ローラ52aに連結される。このような伝達部58では、シャフト62の回転に伴ってベベルギア64,66が回転することによって、モータ114の動力を駆動ローラ52aに伝達し、駆動ローラ52aを回転させる。
【0030】
また、ベベルギア64と66とには、ベベルギア70が係合する。ベベルギア70は、凹部26bから筐体22内に突入するシャフト72の端部に設けられる。シャフト72の凹部26b側端部にはカップリング68bが設けられる。したがって、シャフト62の回転に伴ってベベルギア70、シャフト72およびカップリング68bが回転する。
【0031】
図7(a)および(b)に示すように、伝達部60は、シャフト62と、ギア74,76,78,80と、ベベルギア82,84,86と、シャフト88とを含む。なお、図7(a)には矢印A方向の一方向(図2において左から右に向かう方向)からみた伝達部60が示され、図7(b)には矢印C方向の一方向(凸部24から凹部26aに向かう方向)からみた伝達部60が示されている。
【0032】
ギア74は、円板状に形成され、シャフト62に設けられる。ギア76は、円板状に形成され、ギア74に係合可能に揺動部材98(後述)に設けられる。ギア78は、円板部78aとベベル部78bとを有し、円板部78aでギア76に係合する。ギア80は、ベベル部80aと80bとを有し、ベベル部80aでギア78のベベル部78bに係合する。ベベルギア82は、シャフト88の一方端部に設けられ、ギア80のベベル部80bに係合する。ベベルギア84は、シャフト88の他方端部に設けられ、ベベルギア86に係合する。ベベルギア86は、駆動ローラ54aに連結される。このような伝達部60では、シャフト62の回転に伴ってギア74〜78、ベベルギア82〜86およびシャフト88が回転することによって、モータ114の動力を駆動ローラ54aに伝達し、駆動ローラ54aを回転させる。
【0033】
また、筐体22には、駆動ローラ54aに動力を伝達する伝達状態と駆動ローラ54aに動力を伝達しない遮断状態とのいずれか一方に伝達部60を設定する設定機構90が設けられる。設定機構90は、シャフト92,94,96と、揺動部材98と、カム100とを含み、プリント部12に設けられるモータ116(後述)によって駆動される。
【0034】
図4に示すように、シャフト92は、矢印C方向に延びて筐体22を凸部24から凹部26aへと貫通する。シャフト92には、凸部24側端部にカップリング102aが設けられ、凹部26a側端部にカップリング102bが設けられる。カップリング102bは、他のマガジン20のカップリング102bあるいはプリント部12のモータ116に設けられるカップリング102bに連結される(図10および図11参照)。カップリング102aは、モータ116の駆動に伴って回転し、シャフト92およびカップリング102bを回転させる。シャフト94は、ギア76と揺動部材98とに連結される。シャフト96は、揺動部材98に連結され、図示しない保持部材によって筐体22内に回転可能に保持される。揺動部材98は、シャフト96を支軸として揺動し、シャフト94ひいてはギア76を揺動させる。カム100はシャフト92に設けられ、大径部100aで揺動部材98を支持することによってギア74にギア76を係合させ伝達部60を伝達状態にする。このような設定機構90では、シャフト92の回転に伴ってカム100が回転することによって、カム100の大径部100aの位置が変更される。これによって、図7(b)に示す位置から図8に示す位置に揺動部材98が揺動し、ギア74と76との係合が解除され、伝達部60が遮断状態となる。
【0035】
また、図4に示すように、シャフト92にはベベルギア104が設けられ、ベベルギア104にはベベルギア106が係合する。ベベルギア106は、凹部26bから筐体22内に突入するシャフト108の端部に設けられる。シャフト108の凹部26b側端部にはカップリング102bが設けられる。したがって、シャフト92の回転に伴って、ベベルギア104,106、シャフト108およびカップリング102bが回転する。
【0036】
また、図4に示すように、筐体22内には、ペーパーローラRから引き出された印画紙Pの先端を検出すためのセンサ109が引き出しローラ対54の下流側に設けられる。
【0037】
また、図2に示すように、壁22aの外側の面には各角部近傍に位置決めピン110が設けられ、図3に示すように、壁22bには各角部近傍に位置決めピン110が挿入される挿入孔112が設けられる。図4に示すように、壁22cについても同様に挿入孔112が設けられる。
【0038】
供給ユニット18は、このように構成される複数のマガジン20を、印画紙Pを搬送可能に接続することによって構成される。供給ユニット18において2つのマガジン20は、一方のマガジン20の凸部24と他方のマガジン20の凹部26aあるいは26bとを嵌合させることによって接続される。
【0039】
図9に示すように、一方のマガジン20の凸部24と他方のマガジン20の凹部26aとを嵌合させる際には、凸部24のピン30が、凹部26aの貫通孔32を挿通し、シャッタ44bの挿入孔50の傾斜部50aに接する。そして、凸部24のピン30がシャッタ44bをばね48の付勢に逆らって配置部46bに押し付けつつ進むことによって、導入口40aが開かれる。一方、凹部26aのピン30が、凸部24の貫通孔32を挿通し、シャッタ44aを配置部46aに押し付けつつ進むことによって、排出口28が開かれる。また、凸部24のロック爪34が、凹部26aのロックピン42を乗り越えるように揺動する。さらに、位置決めピン110が、挿入孔112に挿入される。
【0040】
そして、図10に示すように、接続が完了した状態では、排出口28と導入口40aとが完全に開き、2つのマガジン20の筐体22が連通される。これによって、2つのマガジン20において、印画紙Pを搬送可能となる。また、一方のマガジン20のカップリング68aと他方のマガジン20のカップリング68bとが連結され、互いの伝達機構56が連結される。また、一方のマガジン20のカップリング102aと他方のマガジン20のカップリング102bとが連結され、互いの設定機構90が連結される。さらに、一方のマガジン20のロック爪34が他方のマガジン20のロックピン42に引っ掛かり、一方のマガジン20の位置決めピン110が他方のマガジン20の挿入孔112に挿入され、2つのマガジン20が固定される。
凸部24を凹部26bに嵌合させることによって2つのマガジン20を接続する場合も同様である。
【0041】
供給ユニット18では、複数のマガジン20の設定機構90において、カム100が複数のマガジン20毎に異なる角度で配置される。具体的には、たとえば複数のカム100はそれぞれ角度が30°ずつ異なるように配置される。そして、伝達状態であるマガジン20のカム100と伝達状態にすべきマガジン20のカム100との角度差分だけ複数のカム100をそれぞれ回転させることによって、特定のマガジン20が変更され、変更された特定のマガジン20の印画紙Pをプリント部12に供給可能となる。たとえば、カム100の角度をそれぞれ30°ずつ異ならせる場合、マガジン20を12個まで接続できる。
【0042】
また、図11に示すように、プリント部12に接続されるマガジン20では、カップリング68aがプリント部12のモータ114の回転軸に設けられるカップリング68bに連結され、カップリング102aがプリント部12のモータ116の回転軸に設けられるカップリング102bに連結される。これによって、各マガジン20の伝達機構56と設定機構90とが駆動可能となる。また、排出口28はプリント部12の筐体に設けられる導入口40cに対向し、マガジン20の筐体22とプリント部12の筐体とが連通される。さらに、マガジン20のロック爪34がプリント部12に設けられるロックピン42に引っ掛かり、マガジン20の位置決めピン110がプリント部12の筐体に設けられる挿入孔112に挿入され、マガジン20がプリント部12に固定される。
【0043】
供給ユニット18あるいはプリント部12からマガジン20を取り外す際の固定解除は、凹部26aの2つのレバー38(図4参照)を引き、2つのロック爪34をそれぞれロックピン42から外すことによって行われる。
【0044】
このようなマガジン20によれば、筐体22内の印画紙Pあるいは導入口40aあるいは40bから筐体22内に導入される他のマガジン20からの印画紙Pを、排出口28を介して筐体22内から排出し、プリント部12あるいはその他のマガジン20に供給できる。このようなマガジン20を複数接続することによって構成される供給ユニット18では、マガジン20の数を任意に増やすことができ、供給可能な印画紙Pの種類数を任意に増やすことができる。また、複数のマガジン20を直接接続することによって構成される供給ユニット18では、ユニット本体を用いる必要がなく、小型で低コストに構成できる。
【0045】
マガジン20の筐体22に導入口40aと40bとが複数設けられ、1つのマガジン20に2つのマガジン20を接続できるので、供給ユニット18をコンパクトに構成できる。
【0046】
複数のマガジン20は、凸部24と凹部26aあるいは26bとを嵌合させることによって接続されるので、簡単かつ強固に接続でき、供給ユニット18の分解を防止できる。
【0047】
図1に戻って、プリント部12は、各マガジン20の伝達機構56ひいては搬送ローラ対52および引き出しローラ対54を回転させるためのモータ114と、各マガジン20の設定機構90を駆動させるためのモータ116と、供給ユニット18から供給された印画紙Pに画像を露光するためのデジタル露光ヘッド118とを含む。デジタル露光ヘッド118は、たとえばレーザ露光方式に構成される。
【0048】
デジタル露光ヘッド118から出射されるレーザ光は、印画紙Pに与えられ、矢印B方向(図2参照)に走査される。このようなプリント部12では、印画紙Pを搬送し、デジタル露光ヘッド118によって印画紙Pに画像(潜像)を露光(焼き付け)形成する。
【0049】
プロセッサ部14は、種類の異なる処理液をそれぞれ収容する複数の処理槽を含み、露光済みの印画紙Pを搬送して複数の処理槽内を順に通過させる。これによって露光済みの印画紙Pに現像、定着および洗浄等の処理が施され、露光済みの印画紙Pに形成された潜像が現像される。その後、現像済みの印画紙Pは、プロセッサ部14で乾燥処理され、プロセッサ部14から仕上がりプリントとして排出される。
【0050】
パーソナルコンピュータ等であるコントローラ16は、図示しないCPUバスで相互に接続されたCPU16a、ROM16b、RAM16cおよびハードディスクドライブ(HDD:ハードディスクを含む)16dを含む。
【0051】
また、コントローラ16には、モニタ等の表示部120、およびオペレータが種々の指示や設定を行うためのキーボードやマウス等の入力部122が接続される。表示部120には、プリント装置10の操作を容易にするGUI(Graphical User Interface)や印画紙Pに形成すべき画像等が表示される。
【0052】
CPU16aは、ROM16bやHDD16dに格納された各種のプログラムを実行し、データを処理し、プリント装置10の各構成要素に指示を与え、プリント装置10の動作を制御する。たとえば、CPU16aは、入力部122からの指示に従ってモータ116を制御し、複数のカム100をそれぞれ回転させることによって、特定のマガジン20の伝達部60を伝達状態にする。また、CPU16aはセンサ109からの検出信号に基づいて、印画紙Pの送り出し(ローディング)の開始および巻き戻しの完了を検出する。
【0053】
ROM16bは、起動用プログラム等を格納している。起動用プログラムをCPU16aが実行することによって、HDD16dに格納されているオペレーティングシステム(OS)やプリント装置10を制御するためのプログラム等がRAM16cにロードされ、各種の処理や制御が実行可能となる。
【0054】
RAM16cには、プリント装置10を制御するためのプログラム等が展開され、プログラムによる処理結果、処理のための一時データ、表示部120の画面上に情報を表示するための表示用データ(テキストデータ、画像データ等)等を保持し、CPU16aの作業領域として使用される。RAM16c上に展開された表示用データは、表示部120に伝達され、表示部120は、その画面上に表示用データに対応する表示内容(テキスト、画像等)を表示する。
【0055】
HDD16dは、CPU16aの指示に従って、プログラム、制御用データ、テキストデータ、画像データ等を、ハードディスクに対して書き込みまたは読み出す。
【0056】
また、このようなコントローラ16には、スキャナ124が接続される。スキャナ124は、写真用のフィルム等をスキャンすることによって、当該フィルムに形成された画像に対応する画像データをコントローラ16に入力する。コントローラ16は、スキャナ110から出力された画像データをプリント部12のデジタル露光ヘッド118に入力し、当該画像データに基づく画像が印画紙Pに露光形成される。
【0057】
このようなプリント装置10によれば、複数のマガジン20を接続した供給ユニット18を用いることによって、ユニット本体を用いずとも複数種類のプリント材料を切り替えて使用でき、全体として小型で低コストに構成できる。
【0058】
なお、上述の実施形態では、複数のマガジン20によって構成される供給ユニット18をプリント部12に接続する場合について説明したが、プリント部12に1つのマガジン20を接続してもよい。
【0059】
また、マガジン20に導入口40a,40bを設ける場合について説明したが、この発明はこれに限定されず、マガジンに設ける導入口の数は任意に設定できる。
【0060】
さらに、上述の実施形態では、写真プリント装置であるプリント装置10にマガジン20から印画紙Pを供給する場合について説明したが、この発明はこれに限定されない。たとえば、プリント装置がレーザープリント装置やインクジェットプリント装置である場合、マガジンにはこれらに対応した、普通紙、プラスチックフィルム、布等がプリント材料として収納される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明のプリント装置を示す図解図である。
【図2】この発明のマガジンを示す正面図解図である。
【図3】この発明のマガジンを示す背面図解図である。
【図4】マガジンのX−X(図2および図3)断面図解図である。
【図5】シャッタを示す正面図解図である。
【図6】搬送ローラ対に動力を伝達するための伝達部を示す図解図である。
【図7】引き出しローラ対に動力を伝達するための伝達部を示す図解図である。
【図8】遮断状態の伝達部を示す図解図である。
【図9】接続途中である2つのマガジンの要部を示す図解図である。
【図10】接続された2つのマガジンの要部を示す図解図である。
【図11】接続されたマガジンとプリント部との要部を示す図解図である。
【符号の説明】
【0062】
10 プリント装置
12 プリント部
20 マガジン
22 筐体
24 凸部
26a,26b 凹部
28 排出口
40a,40b,40c 導入口
P 印画紙
【技術分野】
【0001】
この発明はマガジンおよびそれを備えるプリント装置に関し、より特定的には、プリント材料を収納するマガジンおよびそれを備えるプリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、写真プリント装置では、マガジンから供給される銀塩印画紙等のプリント材料に画像を形成することが知られている。たとえば特許文献1には、複数のマガジンをユニット本体に装填した供給ユニットからプリント材料を写真プリント装置に供給することが開示されている。特許文献1の供給ユニットでは、複数のマガジンからそれぞれ種類が異なるプリント材料を供給できるので、プリント材料の種類を変更するためのマガジン交換を省くことができる。
【特許文献1】特許第3653651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1の供給ユニットではユニット本体に装填できるマガジン数が決まっているので、それ以上マガジンを増やすことができないという問題があった。つまり、供給可能なプリント材料の種類が限定されるという問題があった。また、ユニット本体を準備する必要があり、大型でコストも上昇してしまうという問題があった。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、供給可能なプリント材料の種類数を任意に増やすことができ、小型で低コストに構成できる、マガジンおよびそれを備えるプリント装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するために、請求項1に記載のマガジンは、プリント材料を収納するための筐体、筐体に設けられプリント材料を外部から筐体内に導入するための導入口、および筐体に設けられ筐体内に収納されるプリント材料あるいは導入口から筐体内に導入されるプリント材料を筐体内から排出するための排出口を備える。
【0006】
請求項2に記載のマガジンは、請求項1に記載のマガジンにおいて、導入口は筐体に複数設けられることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載のマガジンは、請求項1または2に記載のマガジンにおいて、筐体に設けられる凸部、および筐体に設けられ凸部と嵌合可能な凹部をさらに含むことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載のプリント装置は、請求項1から3のいずれかに記載のマガジンを備える。
【0009】
請求項1に記載のマガジンでは、筐体内のプリント材料あるいは導入口から筐体内に導入される他のマガジンからのプリント材料を、排出口を介して筐体内から排出し、プリント装置あるいはその他のマガジンに供給できる。このような請求項1に記載のマガジンを複数接続することによって構成される供給ユニットでは、マガジンの数を任意に増やすことができ、供給可能なプリント材料の種類数を任意に増やすことができる。また、請求項1に記載のマガジンを複数接続することによって構成される供給ユニットでは、ユニット本体を用いる必要がなく、小型で低コストに構成できる。
【0010】
請求項2に記載のマガジンでは、筐体に導入口が複数設けられ、他のマガジンを複数接続できる。このように1つのマガジンに複数のマガジンを接続することができるので、供給ユニットをコンパクトに構成できる。
【0011】
請求項3に記載のマガジンでは、凸部と他のマガジンの凹部とを嵌合させるあるいは凹部と他のマガジンの凸部とを嵌合させることによって、他のマガジンと簡単かつ強固に接続でき、供給ユニットの分解を防止できる。
【0012】
請求項4に記載のプリント装置では、請求項1から3のいずれかに記載のマガジンを複数接続した供給ユニットを用いることによって、ユニット本体を用いずとも複数種類のプリント材料を切り替えて使用でき、全体として小型で低コストに構成できる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、供給するプリント材料の種類数を任意に増やすことができ、小型で低コストに構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。
図1を参照して、この発明の一実施形態のプリント装置10は、写真用のフィルム等をスキャニングして得た画像データに基づく画像をプリント材料の一例である銀塩印画紙Pに露光(焼き付け)形成し、写真プリントを作製する、写真プリント装置である。
【0015】
プリント装置10は、銀塩印画紙(以下、単に印画紙という)Pに露光処理を施すプリント部12、露光済みの印画紙Pに現像処理を施すプロセッサ部14、およびプリント装置10の各構成要素の動作を制御するコントローラ16を備える。
【0016】
プリント部12には、プリント部12に供給すべき印画紙Pを収納する供給ユニット18が接続される。供給ユニット18は、サイズ(幅)、面種(シルクやマット等)、仕様(暑さやベースの種類等)等、それぞれ種類が異なる印画紙Pを収納する複数(図1においては5個)のマガジン20によって構成される。
【0017】
ここで、図2から図11を参照して、マガジン20について詳しく説明する。
図2から図4に示すように、マガジン20は、長尺の印画紙Pを巻回したペーパーロールRを収納するための筐体22を含む。図4に示すように、筐体22は、中空略直方体状に形成され、ペーパーロールRの外周を囲む壁22a,22b,22cおよび22dを有する。壁22aには凸部24が設けられ、壁22aに平行な壁22bには凹部26aが設けられ、壁22aと22bとに垂直な一方の壁22cには凹部26bが設けられる。
【0018】
図2および図4に示すように、凸部24は、壁22aの外側の面に四角形の枠状に設けられる。図2に示すように、凸部24の底面(壁22aの外側の面の一部)には、筐体22内から印画紙Pを排出するための排出口28がペーパーロールRの軸方向(矢印A方向)に延びるように設けられる。
【0019】
また、凸部24の底面には、2つのピン30と2つの貫通孔32とが設けられる。2つのピン30は、矢印A方向に離間して設けられる。2つの貫通孔32は、2つのピン30と同じ間隔で矢印A方向に離間し、それぞれ矢印A方向に直交する方向(矢印B方向)にピン30と並ぶように排出口28とピン30との間に設けられる。
【0020】
さらに、凸部24の底面には、2つのロック爪34が矢印A方向に離間して設けられる。図4に示すように、ロック爪34は、筐体22内に突入する揺動部材34aによって揺動可能に配置される。揺動部材34aは、矢印C方向に延びるロッド36によって、凹部26aに配置されるレバー38に連結される。
【0021】
凹部26a,26bはそれぞれ、凸部24の形状に対応し、他のマガジン20の凸部24と嵌合可能に設けられる。図3および図4に示すように、凹部26aの底面には、他のマガジン20から筐体22内に印画紙Pを導入するための導入口40aが矢印A方向に延びるように設けられる。また、図4に示すように、凹部26bの底面にも同様に導入口40bが設けられる。したがって、この実施形態では、導入口40aと40bとが筐体22の異なる壁(面)に設けられる。
【0022】
また、図3に示すように、凹部26aの底面にも、凸部24の2つのピン30と同じ間隔で矢印A方向に離間させて2つのピン30と2つの貫通孔32とが設けられる。凹部26aにおいては、ピン30が貫通孔32と導入口40aとの間に設けられる。図4に示すように、凹部26bについても同様に、2つのピン30と2つの貫通孔32とが設けられる。凹部26bにおいては、ピン30と貫通孔32とが矢印A方向および矢印B方向に直交する方向(矢印C方向)に並ぶ。
【0023】
さらに、図3に示すように、凹部26aの矢印A方向に対向する側面にはそれぞれ、ロック爪34に対応する位置にロックピン42が設けられる。凹部26bについても同様に、ロックピン42が2つ設けられる。
【0024】
また、図4に示すように、筐体22内には、シャッタ44a,44bおよび44cが設けられる。シャッタ44aは、凸部24に対応して壁22aの内側の面に設けられる配置部46aに、ばね48を介して配置される。シャッタ44aは、ばね48によって矢印B方向の排出口28側(図4では上側)に付勢され、排出口28を塞ぐ。シャッタ44bは、凹部26aに対応して壁22bの内側の面に設けられる配置部46bに、ばね48を介して配置される。シャッタ44bは、ばね48によって矢印B方向の導入口40a側(図4では上側)に付勢され、導入口40aを塞ぐ。シャッタ44cは、凹部26bに対応して壁22cの内側の面に設けられる配置部46cに、ばね48を介して配置される。シャッタ44cは、ばね48によって矢印C方向の導入口40b側(図4では右側)に付勢され、導入口40bを塞ぐ。つまり、シャッタ44a,44bおよび44cによって、筐体22の内部が遮光される。
【0025】
図5に示すように、シャッタ44aには、凸部24の貫通孔32(図2参照)と同じ間隔で矢印A方向に離間する2つの挿入孔50が設けられる。2つの挿入孔50はそれぞれ、壁22a側に開口し、シャッタ44aが排出口28を塞いだ状態で凸部24の貫通孔32に対向する傾斜部50aを有する。シャッタ44aと同様に、シャッタ44b,44cにもそれぞれ、傾斜部50aを有する挿入孔50が2つ設けられる。
【0026】
また、図4に示すように、筐体22内には、印画紙Pを搬送するための搬送ローラ対52と、ペーパーロールRを回転させペーパーロールRから印画紙Pを引き出すための引き出しローラ対54とが設けられる。搬送ローラ対52は駆動ローラ52aと従動ローラ52bとを含み、引き出しローラ対54は駆動ローラ54aと従動ローラ54bとを含む。
【0027】
搬送ローラ対52の駆動ローラ52aおよび引き出しローラ対54の駆動ローラ54aには、筐体22に設けられる伝達機構56によってプリント部12に設けられるモータ114(後述)から動力が伝達される。伝達機構56は、駆動ローラ52aに動力を伝達するための伝達部58と、駆動ローラ54aに動力を伝達するための伝達部60とを含む。
【0028】
図6(a)および(b)に示すように、伝達部58は、シャフト62と、ベベルギア64,66とを含む。なお、図6(a)には矢印A方向の一方向(図2において左から右に向かう方向)からみた伝達部58が示され、図6(b)には矢印C方向の一方向(凸部24から凹部26aに向かう方向)からみた伝達部58が示されている。
【0029】
図4に示すように、シャフト62は、矢印C方向に延びて筐体22を凸部24から凹部26aへと貫通する。シャフト62には、凸部24側端部にカップリング68aが設けられ、凹部26a側端部にカップリング68bが設けられる。カップリング68aは、他のマガジン20のカップリング68bあるいはモータ114に設けられるカップリング68bに連結される(図10および図11参照)。カップリング68aは、モータ114の駆動に伴って回転し、シャフト62およびカップリング68bを回転させる。ベベルギア64は、シャフト62に設けられ、ベベルギア66に係合する。ベベルギア66は、駆動ローラ52aに連結される。このような伝達部58では、シャフト62の回転に伴ってベベルギア64,66が回転することによって、モータ114の動力を駆動ローラ52aに伝達し、駆動ローラ52aを回転させる。
【0030】
また、ベベルギア64と66とには、ベベルギア70が係合する。ベベルギア70は、凹部26bから筐体22内に突入するシャフト72の端部に設けられる。シャフト72の凹部26b側端部にはカップリング68bが設けられる。したがって、シャフト62の回転に伴ってベベルギア70、シャフト72およびカップリング68bが回転する。
【0031】
図7(a)および(b)に示すように、伝達部60は、シャフト62と、ギア74,76,78,80と、ベベルギア82,84,86と、シャフト88とを含む。なお、図7(a)には矢印A方向の一方向(図2において左から右に向かう方向)からみた伝達部60が示され、図7(b)には矢印C方向の一方向(凸部24から凹部26aに向かう方向)からみた伝達部60が示されている。
【0032】
ギア74は、円板状に形成され、シャフト62に設けられる。ギア76は、円板状に形成され、ギア74に係合可能に揺動部材98(後述)に設けられる。ギア78は、円板部78aとベベル部78bとを有し、円板部78aでギア76に係合する。ギア80は、ベベル部80aと80bとを有し、ベベル部80aでギア78のベベル部78bに係合する。ベベルギア82は、シャフト88の一方端部に設けられ、ギア80のベベル部80bに係合する。ベベルギア84は、シャフト88の他方端部に設けられ、ベベルギア86に係合する。ベベルギア86は、駆動ローラ54aに連結される。このような伝達部60では、シャフト62の回転に伴ってギア74〜78、ベベルギア82〜86およびシャフト88が回転することによって、モータ114の動力を駆動ローラ54aに伝達し、駆動ローラ54aを回転させる。
【0033】
また、筐体22には、駆動ローラ54aに動力を伝達する伝達状態と駆動ローラ54aに動力を伝達しない遮断状態とのいずれか一方に伝達部60を設定する設定機構90が設けられる。設定機構90は、シャフト92,94,96と、揺動部材98と、カム100とを含み、プリント部12に設けられるモータ116(後述)によって駆動される。
【0034】
図4に示すように、シャフト92は、矢印C方向に延びて筐体22を凸部24から凹部26aへと貫通する。シャフト92には、凸部24側端部にカップリング102aが設けられ、凹部26a側端部にカップリング102bが設けられる。カップリング102bは、他のマガジン20のカップリング102bあるいはプリント部12のモータ116に設けられるカップリング102bに連結される(図10および図11参照)。カップリング102aは、モータ116の駆動に伴って回転し、シャフト92およびカップリング102bを回転させる。シャフト94は、ギア76と揺動部材98とに連結される。シャフト96は、揺動部材98に連結され、図示しない保持部材によって筐体22内に回転可能に保持される。揺動部材98は、シャフト96を支軸として揺動し、シャフト94ひいてはギア76を揺動させる。カム100はシャフト92に設けられ、大径部100aで揺動部材98を支持することによってギア74にギア76を係合させ伝達部60を伝達状態にする。このような設定機構90では、シャフト92の回転に伴ってカム100が回転することによって、カム100の大径部100aの位置が変更される。これによって、図7(b)に示す位置から図8に示す位置に揺動部材98が揺動し、ギア74と76との係合が解除され、伝達部60が遮断状態となる。
【0035】
また、図4に示すように、シャフト92にはベベルギア104が設けられ、ベベルギア104にはベベルギア106が係合する。ベベルギア106は、凹部26bから筐体22内に突入するシャフト108の端部に設けられる。シャフト108の凹部26b側端部にはカップリング102bが設けられる。したがって、シャフト92の回転に伴って、ベベルギア104,106、シャフト108およびカップリング102bが回転する。
【0036】
また、図4に示すように、筐体22内には、ペーパーローラRから引き出された印画紙Pの先端を検出すためのセンサ109が引き出しローラ対54の下流側に設けられる。
【0037】
また、図2に示すように、壁22aの外側の面には各角部近傍に位置決めピン110が設けられ、図3に示すように、壁22bには各角部近傍に位置決めピン110が挿入される挿入孔112が設けられる。図4に示すように、壁22cについても同様に挿入孔112が設けられる。
【0038】
供給ユニット18は、このように構成される複数のマガジン20を、印画紙Pを搬送可能に接続することによって構成される。供給ユニット18において2つのマガジン20は、一方のマガジン20の凸部24と他方のマガジン20の凹部26aあるいは26bとを嵌合させることによって接続される。
【0039】
図9に示すように、一方のマガジン20の凸部24と他方のマガジン20の凹部26aとを嵌合させる際には、凸部24のピン30が、凹部26aの貫通孔32を挿通し、シャッタ44bの挿入孔50の傾斜部50aに接する。そして、凸部24のピン30がシャッタ44bをばね48の付勢に逆らって配置部46bに押し付けつつ進むことによって、導入口40aが開かれる。一方、凹部26aのピン30が、凸部24の貫通孔32を挿通し、シャッタ44aを配置部46aに押し付けつつ進むことによって、排出口28が開かれる。また、凸部24のロック爪34が、凹部26aのロックピン42を乗り越えるように揺動する。さらに、位置決めピン110が、挿入孔112に挿入される。
【0040】
そして、図10に示すように、接続が完了した状態では、排出口28と導入口40aとが完全に開き、2つのマガジン20の筐体22が連通される。これによって、2つのマガジン20において、印画紙Pを搬送可能となる。また、一方のマガジン20のカップリング68aと他方のマガジン20のカップリング68bとが連結され、互いの伝達機構56が連結される。また、一方のマガジン20のカップリング102aと他方のマガジン20のカップリング102bとが連結され、互いの設定機構90が連結される。さらに、一方のマガジン20のロック爪34が他方のマガジン20のロックピン42に引っ掛かり、一方のマガジン20の位置決めピン110が他方のマガジン20の挿入孔112に挿入され、2つのマガジン20が固定される。
凸部24を凹部26bに嵌合させることによって2つのマガジン20を接続する場合も同様である。
【0041】
供給ユニット18では、複数のマガジン20の設定機構90において、カム100が複数のマガジン20毎に異なる角度で配置される。具体的には、たとえば複数のカム100はそれぞれ角度が30°ずつ異なるように配置される。そして、伝達状態であるマガジン20のカム100と伝達状態にすべきマガジン20のカム100との角度差分だけ複数のカム100をそれぞれ回転させることによって、特定のマガジン20が変更され、変更された特定のマガジン20の印画紙Pをプリント部12に供給可能となる。たとえば、カム100の角度をそれぞれ30°ずつ異ならせる場合、マガジン20を12個まで接続できる。
【0042】
また、図11に示すように、プリント部12に接続されるマガジン20では、カップリング68aがプリント部12のモータ114の回転軸に設けられるカップリング68bに連結され、カップリング102aがプリント部12のモータ116の回転軸に設けられるカップリング102bに連結される。これによって、各マガジン20の伝達機構56と設定機構90とが駆動可能となる。また、排出口28はプリント部12の筐体に設けられる導入口40cに対向し、マガジン20の筐体22とプリント部12の筐体とが連通される。さらに、マガジン20のロック爪34がプリント部12に設けられるロックピン42に引っ掛かり、マガジン20の位置決めピン110がプリント部12の筐体に設けられる挿入孔112に挿入され、マガジン20がプリント部12に固定される。
【0043】
供給ユニット18あるいはプリント部12からマガジン20を取り外す際の固定解除は、凹部26aの2つのレバー38(図4参照)を引き、2つのロック爪34をそれぞれロックピン42から外すことによって行われる。
【0044】
このようなマガジン20によれば、筐体22内の印画紙Pあるいは導入口40aあるいは40bから筐体22内に導入される他のマガジン20からの印画紙Pを、排出口28を介して筐体22内から排出し、プリント部12あるいはその他のマガジン20に供給できる。このようなマガジン20を複数接続することによって構成される供給ユニット18では、マガジン20の数を任意に増やすことができ、供給可能な印画紙Pの種類数を任意に増やすことができる。また、複数のマガジン20を直接接続することによって構成される供給ユニット18では、ユニット本体を用いる必要がなく、小型で低コストに構成できる。
【0045】
マガジン20の筐体22に導入口40aと40bとが複数設けられ、1つのマガジン20に2つのマガジン20を接続できるので、供給ユニット18をコンパクトに構成できる。
【0046】
複数のマガジン20は、凸部24と凹部26aあるいは26bとを嵌合させることによって接続されるので、簡単かつ強固に接続でき、供給ユニット18の分解を防止できる。
【0047】
図1に戻って、プリント部12は、各マガジン20の伝達機構56ひいては搬送ローラ対52および引き出しローラ対54を回転させるためのモータ114と、各マガジン20の設定機構90を駆動させるためのモータ116と、供給ユニット18から供給された印画紙Pに画像を露光するためのデジタル露光ヘッド118とを含む。デジタル露光ヘッド118は、たとえばレーザ露光方式に構成される。
【0048】
デジタル露光ヘッド118から出射されるレーザ光は、印画紙Pに与えられ、矢印B方向(図2参照)に走査される。このようなプリント部12では、印画紙Pを搬送し、デジタル露光ヘッド118によって印画紙Pに画像(潜像)を露光(焼き付け)形成する。
【0049】
プロセッサ部14は、種類の異なる処理液をそれぞれ収容する複数の処理槽を含み、露光済みの印画紙Pを搬送して複数の処理槽内を順に通過させる。これによって露光済みの印画紙Pに現像、定着および洗浄等の処理が施され、露光済みの印画紙Pに形成された潜像が現像される。その後、現像済みの印画紙Pは、プロセッサ部14で乾燥処理され、プロセッサ部14から仕上がりプリントとして排出される。
【0050】
パーソナルコンピュータ等であるコントローラ16は、図示しないCPUバスで相互に接続されたCPU16a、ROM16b、RAM16cおよびハードディスクドライブ(HDD:ハードディスクを含む)16dを含む。
【0051】
また、コントローラ16には、モニタ等の表示部120、およびオペレータが種々の指示や設定を行うためのキーボードやマウス等の入力部122が接続される。表示部120には、プリント装置10の操作を容易にするGUI(Graphical User Interface)や印画紙Pに形成すべき画像等が表示される。
【0052】
CPU16aは、ROM16bやHDD16dに格納された各種のプログラムを実行し、データを処理し、プリント装置10の各構成要素に指示を与え、プリント装置10の動作を制御する。たとえば、CPU16aは、入力部122からの指示に従ってモータ116を制御し、複数のカム100をそれぞれ回転させることによって、特定のマガジン20の伝達部60を伝達状態にする。また、CPU16aはセンサ109からの検出信号に基づいて、印画紙Pの送り出し(ローディング)の開始および巻き戻しの完了を検出する。
【0053】
ROM16bは、起動用プログラム等を格納している。起動用プログラムをCPU16aが実行することによって、HDD16dに格納されているオペレーティングシステム(OS)やプリント装置10を制御するためのプログラム等がRAM16cにロードされ、各種の処理や制御が実行可能となる。
【0054】
RAM16cには、プリント装置10を制御するためのプログラム等が展開され、プログラムによる処理結果、処理のための一時データ、表示部120の画面上に情報を表示するための表示用データ(テキストデータ、画像データ等)等を保持し、CPU16aの作業領域として使用される。RAM16c上に展開された表示用データは、表示部120に伝達され、表示部120は、その画面上に表示用データに対応する表示内容(テキスト、画像等)を表示する。
【0055】
HDD16dは、CPU16aの指示に従って、プログラム、制御用データ、テキストデータ、画像データ等を、ハードディスクに対して書き込みまたは読み出す。
【0056】
また、このようなコントローラ16には、スキャナ124が接続される。スキャナ124は、写真用のフィルム等をスキャンすることによって、当該フィルムに形成された画像に対応する画像データをコントローラ16に入力する。コントローラ16は、スキャナ110から出力された画像データをプリント部12のデジタル露光ヘッド118に入力し、当該画像データに基づく画像が印画紙Pに露光形成される。
【0057】
このようなプリント装置10によれば、複数のマガジン20を接続した供給ユニット18を用いることによって、ユニット本体を用いずとも複数種類のプリント材料を切り替えて使用でき、全体として小型で低コストに構成できる。
【0058】
なお、上述の実施形態では、複数のマガジン20によって構成される供給ユニット18をプリント部12に接続する場合について説明したが、プリント部12に1つのマガジン20を接続してもよい。
【0059】
また、マガジン20に導入口40a,40bを設ける場合について説明したが、この発明はこれに限定されず、マガジンに設ける導入口の数は任意に設定できる。
【0060】
さらに、上述の実施形態では、写真プリント装置であるプリント装置10にマガジン20から印画紙Pを供給する場合について説明したが、この発明はこれに限定されない。たとえば、プリント装置がレーザープリント装置やインクジェットプリント装置である場合、マガジンにはこれらに対応した、普通紙、プラスチックフィルム、布等がプリント材料として収納される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明のプリント装置を示す図解図である。
【図2】この発明のマガジンを示す正面図解図である。
【図3】この発明のマガジンを示す背面図解図である。
【図4】マガジンのX−X(図2および図3)断面図解図である。
【図5】シャッタを示す正面図解図である。
【図6】搬送ローラ対に動力を伝達するための伝達部を示す図解図である。
【図7】引き出しローラ対に動力を伝達するための伝達部を示す図解図である。
【図8】遮断状態の伝達部を示す図解図である。
【図9】接続途中である2つのマガジンの要部を示す図解図である。
【図10】接続された2つのマガジンの要部を示す図解図である。
【図11】接続されたマガジンとプリント部との要部を示す図解図である。
【符号の説明】
【0062】
10 プリント装置
12 プリント部
20 マガジン
22 筐体
24 凸部
26a,26b 凹部
28 排出口
40a,40b,40c 導入口
P 印画紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント材料を収納するための筐体、
前記筐体に設けられ前記プリント材料を外部から前記筐体内に導入するための導入口、および
前記筐体に設けられ前記筐体内に収納される前記プリント材料あるいは前記導入口から前記筐体内に導入される前記プリント材料を前記筐体内から排出するための排出口を備える、マガジン。
【請求項2】
前記導入口は前記筐体に複数設けられる、請求項1に記載のマガジン。
【請求項3】
前記筐体に設けられる凸部、および
前記筐体に設けられ前記凸部と嵌合可能な凹部をさらに含む、請求項1または2に記載のマガジン。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のマガジンを備える、プリント装置。
【請求項1】
プリント材料を収納するための筐体、
前記筐体に設けられ前記プリント材料を外部から前記筐体内に導入するための導入口、および
前記筐体に設けられ前記筐体内に収納される前記プリント材料あるいは前記導入口から前記筐体内に導入される前記プリント材料を前記筐体内から排出するための排出口を備える、マガジン。
【請求項2】
前記導入口は前記筐体に複数設けられる、請求項1に記載のマガジン。
【請求項3】
前記筐体に設けられる凸部、および
前記筐体に設けられ前記凸部と嵌合可能な凹部をさらに含む、請求項1または2に記載のマガジン。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のマガジンを備える、プリント装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−178508(P2007−178508A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374153(P2005−374153)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】
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