説明

マグネシウム組成物およびの製造方法

【課題】
マグネシウム含量が高く、苦味がなく、呈味性が良好で、加熱安定性が高く、分散性良好で、さらにマグネシウムの吸収性に優れたマグネシウム組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
マグネシウムを含む植物原料のうち、マグネシウムを比較的多く含有し、しかも、それ自身が食品素材として扱うことのできる植物原料からマグネシウムの含有量15重量%程度としたマグネシウム組成物を製造することで上記課題を解決する。このものは新規のマグネシウム補強食品として利用でき、マグネシウム欠乏に起因すると思われる疾病を予防するために有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマグネシウム組成物およびその製造方法に関し、更に詳しくは、植物から得たマグネシウム組成物およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マグネシウムについては、たとえば、厚生労働省が平成15年に栄養機能食品の対象成分としてマグネシウム、銅、亜鉛を追加することを決めて以降、マグネシウムの栄養素としての重要性が注目されつつある。上記マグネシウムは、緑黄色野菜、ゴマ、アーモンド、大豆などに多く含まれている。一方、世界的に見ると日本の土壌は火山灰土が多く、マグネシウムが少ない上に、近年では、農薬の使用により、農薬が土の中のマグネシウムを含む栄養分まで無くしてしまう為、マグネシウム不足の野菜になっている。さらに、近年、急速に普及している精製された食品や加工食品には含有量が少ないことから、現代の食生活ではなかなかマグネシウムをとりにくいため、その重要性が認識されてきている。
【0003】
マグネシウムは成人体内に約25g存在する。このうち2/3は骨組織にあり、残りが、筋肉やその他の細胞に含まれている。特に細胞内液にそれぞれ分布し、体内の各種の酵素の働きを助け、心臓や血管などの正常な機能を維持している。マグネシウムが不足すると、高血圧・疲労感・めまい・食欲不振・筋力の低下・不整脈・神経過敏・発汗過剰・不安、興奮等の症状がでるといわれている。また、マグネシウムが欠乏するのに伴って「カルシウムの代謝」が乱れ、そのカルシウムが血管や内臓等の軟組織に沈着し続けて、「動脈硬化症・腎結石」を引き起こす。さらに、白血球が増加し、身近な所では、アレルギー特に皮膚炎(アトピー性皮膚炎)発症を引き起こす。この摂取不足と共に、過度の飲酒やストレスの多い生活も、マグネシウム不足を招いている。我が国においても、出納試験の結果等から、1999年の「第6次改定日本人の栄養所要量」からは、成人のマグネシウム摂取目標量が310mg/日と設定された。しかし、日本人成人の実際のマグネシウム摂取量は250mg/日程度であるといわれており、マグネシウムの摂取量が不足していると考えられる。また、アルコールや精神的なストレスによってマグネシウムの尿中排泄量が増大することが知られており、現代のストレス社会におけるマグネシウムの損失が危惧されている。
【0004】
従来より、マグネシウムを含む食品添加物として、化学的合成品としては、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムや炭酸マグネシウム等数多く存在するが、マグネシウム剤として利用するとなると味の面や、食品衛生上の規制により使用が限定されていた。また、近年では、穀類果皮由来のマグネシウム(特開7-87930号広報)、マグネシウム含有量を増加したミルクカゼイン(特開8‐84562号広報)等の天然物由来のカルシウム(特開2000−279130号広報)が開発されているが、風味の点では改善が認められるものの、タンパク質を凝固させる働きがあることやマグネシウム含有量が低いため、マグネシウムの補強という点で必ずしも充分とはいえない。
【特許文献1】特開7-87930号広報
【特許文献2】特開8‐84562号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、通常の食事などからマグネシウムを必要量摂取することが年々困難になりつつあるため、食品業界では、飲食品に添加できるマグネシウム組成物が望まれている。したがって、本発明は、マグネシウムの含量が高く、呈味性及び分散安定性が良好で、タンパク質への影響が少なく、さらにマグネシウムの吸収性に優れたマグネシウム組成物を提供することを課題とする。
【0006】
しかしながら、マグネシウムの産業上の利用分野では、硫酸マグネシウムが強化剤 難燃化剤, 増粘剤など工業用原料に用いられ、塩化マグネシウムが凍結防止剤・防塵剤・塩析剤・透析薬原料に用いられているなど、ほとんどが工業原料として用いられているだけで、飲食品添加用にはほとんど利用されていない。また、食品添加用のマグネシウム組成物を製造するにあたって、新たな原料も提案されていない。
【0007】
従って、食品添加用のマグネシウム組成物を製造しようとすると、現在市販されている工業原料から得たマグネシウム組成物では、人体に好ましくない成分が含有されている危険があり、それを食品に添加するのは、消費者に抵抗がある。
【0008】
このような問題点に鑑みて、本発明の課題は、マグネシウムを含む天然原料のうち、マグネシウムを比較的多く含有し、しかも、それ自身が飲食品素材として扱うことのできる植物原料から得たマグネシウム組成物およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明者らは研究を重ねた結果、大量及び安価に入手可能な米糠を始めとする各種植物原料がマグネシウムを豊富に含むと共に、これを特定条件下で抽出する時には、上記目的に合致するマグネシウム補給組成物が得られ、本組成物が、加熱後も苦味が少なく、かつ分散安定性が良好であることを見出した。
【0010】
以下、本発明方法に詳述すれば、本発明において原料とする植物とは、代表的には米糠を例示できるが、これに限定されず、例えばトウモロコシ、小麦、大麦、オーツ麦、ライ麦等の穀類を精白する際に果皮・種皮などが破けて粉になったもの、いわゆる糠、ふすま等も含めたものとする。また上記米糠としては、米の品種を問わず、一般に言われている赤糠、白糠等のいずれであってもよい。更にヘキサン等を用いて脂肪を取ったあとの脱脂米糠であってもよい。
【0011】
また、本発明方法では、上記原料植物に酸を加えて抽出し、中和後、加水分解して得られる。植物に対する水量は特に限定はないが、一般には植物重量に対して約3〜10倍重量程度の範囲から選ばれるのが適当である。
【0012】
また用いられる酸としては、任意のものでよいが、通常は、硫酸、塩酸、酢酸やクエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、フィチン酸等の有機酸類が好ましい。特に、中和後洗い流せるものが好ましい。
【0013】
上記抽出操作の条件は、任意に決定でき、特に通常の水溶性成分の抽出操作の条件と異なる所はない。より詳しくは抽出温度としては、通常室温〜50℃程度が採用される。また、充分な抽出を行うための抽出時間は、通常15分〜2時間程度が適当であり、それ以上の長い抽出時間は不必要である。
【0014】
上記抽出後の固形分離は、常法に従って行うことができる。その例としては、例えば遠心分離、圧搾、濾過、デカンターション等及び各操作の組合せ等を例示できる。また、濾過操作は、適当な濾過助剤、例えば珪藻土、パーライト、活性炭、ベンナイトやセルロース等を用いて実施することもできる。
【0015】
上記操作の後、中和、加水分解、減圧乾燥或いは凍結乾燥等の操作を行うことにより粉末形態を有する本発明のマグネシウム組成物を取得できる。加水分解は、中和の前後どちらでも行うことができる。また、加水分解操作は、常法に従って行うことができる。例えば、酵素法等を用いて実施することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明した通り、本発明により、マグネシウム15重量%程度含有するマグネシウム組成物が提供される。また、本発明のマグネシウム組成物として含有する、マグネシウム強化飲食品添加剤、食品、健康食品が提供される。
【0017】
本発明のマグネシウム組成物は、化学合成品を原料とするのではなく、食品素材として扱うことのできる米糠等を新たな植物原料として用いることに特長を有する。従って、本発明に係るマグネシウム組成物は、人体に好ましくない成分を含むおそれがないので、飲食品添加用等に適している。また、食品添加物である米糠等の植物を原料としていることから、消費者は、それを食品等に添加することに抵抗がない。さらに、米糠等の植物起源の原料は、マグネシウムを多量に含有していることから、マグネシウム組成物の原料として適している。さらに得られたマグネシウム組成物は、マグネシウム含量が高いだけではなく、加熱等の食品加工後も収斂性がないため呈味性にも優れ、分散性に優れており、さらにはマグネシウムの吸収性にも優れている。また、本発明のマグネシウム組成物を配合したマグネシウム強化食品は、マグネシウムの補給のために有効なものとなる。特に、乳タンパク質を含有する乳又は乳製品に本発明のマグネシウム組成物を配合したものは、マグネシウムの吸収性に優れており、マグネシウムの補給のために有効であり、産業上貢献大である。
【0018】
そして、本発明のマグネシウム組成物は、マグネシウムの摂取不足に伴う高血圧・疲労感・めまい・食欲不振・筋力の低下・不整脈・神経過敏・発汗過剰・不安、興奮等の症状がでるといわれている。また、マグネシウムが欠乏するのに伴って「カルシウムの代謝」が乱れ、そのカルシウムが血管や内臓等の軟組織に沈着し続けて、「動脈硬化症・腎結石」を引き起こす。さらに、白血球が増加し、身近な所では、アレルギー特に皮膚炎(アトピー性皮膚炎)の予防又は治療に使用することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
前記の目的を達成するため、マグネシウム含量が15重量%程度となるように調製する。
【0020】
上記実用的形態としては、例えば錠剤、カプセル剤等を例示できる。各形態への賦形に用いられる賦形剤は、例えば、デキストリン、セルロース、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビートル、アカシア、アルギン酸等を代表例として例示できる。また各形態への賦形に当っては例えば、水、エタノール、ブドウ糖液、ゼラチン溶液等の結合剤、カルボキシメチルセルロースカルシウム、デンプン等の崩壊剤、その他必要に応じて各種の添加剤、例えば着色剤、漂白剤、増調剤、香料、保存料、その他の医薬品や食品添加物等を適宜用いることもできる。
【0021】
このようにして製造されたマグネシウム組成物を食品添加物として各種の加工食品等に添加することにより、マグネシウム強化食品を得る。かかる加工食品等は、液状品でも固形品でもよく、その代表例としては、例えば、コーヒー飲料、果汁飲料、清涼飲料等の各種飲料、ゼリー、氷菓、ケーキ、クッキー、ビスケット、クラッカー、ウエハース、キャンディー、チューイングガム、打錠菓子、ココア等の菓子、調味料、スープ、カレー、シチュー、冷凍食品等の食品、マッシュポテト、炊飯、麺、パスタ、パン、漬物類、畜肉製品、シリアル、乳、乳飲料、発酵乳、粉乳、アイスクリーム、コーヒーホワイトナー、ホイップクリーム、チーズ等の乳製品、マヨネーズ、ドレッシング、酸性ホイップクリーム等の低pH食品、ソース、たれ等の化学調味料等の高塩濃度食品、ハム、ソーセージ、豆腐、卵加工食品等の各品種飲食品を例示できる。特に、乳又は乳製品に添加すると、マグネシウムの吸収性がさらに高くなるので望ましい。
【0022】
本発明のマグネシウム組成物を含有するマグネシウム強化食品の製法については、特に限定するものではなく、通常の食品製造、加工等に用いられる設備、備品または機械等を用いて製造することができる。
【0023】
マグネシウム組成物を食品に添加する方法には特に制限はなく、得られた粉体をそのまま添加しても、粉砕機によって微粉末にした後に添加しても良い。
【0024】
なお、本発明のマグネシウム組成物を食品に配合するに際し、その配合量に制限は特にないが、食品中のマグネシウム含量が、成人一人一日当りで不足している50〜150mg程度摂取できる含量になるように、各種飲食品の形態に合わせて配合することが望ましい。
【0025】
このようにして得られる本発明のマグネシウム組成物は、マグネシウム不足と関連している高血圧・疲労感・めまい・食欲不振・筋力の低下・不整脈・神経過敏・発汗過剰・不安、興奮等の症状がでるといわれている。また、マグネシウムが欠乏するのに伴って「カルシウムの代謝」が乱れ、そのカルシウムが血管や内臓等の軟組織に沈着し続けて、「動脈硬化症・腎結石」を引き起こす。さらに、白血球が増加し、身近な所では、アレルギー特に皮膚炎(アトピー性皮膚炎)発症の予防又は治療のために使用することが出来る。
【0026】
以下、実施例および試験例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制約されるものではない。なお、実施例中の「%」は特に説明しないが「重量%」を意味する。
【実施例1】
【0027】
マグネシウム組成物の調整:脱脂米糠7500gに水75000g、硫酸225gを加え、遠心分離後、抽出液を得る。苛性ソーダ54gで中和後、更に加水分解する。
【0028】
上記液を濾過し、残渣を凍結乾燥して、20gのマグネシウム組成物を得た。
【0029】
このマグネシウム組成物の分析値は下記表1の通りである。また、このマグネシウム組成物は苦味を呈することなく、美味しいものであった。
【0030】
【表1】

【実施例2】
【0031】
マグネシウム強化ヨーグルトの製造例:牛乳5Lに対し、種菌250g、実施例1の組成物15gを添加し、ふたをする。25℃前後で醗酵を行い、約24時間後、冷却しマグネシウム強化ヨーグルト(本発明品1)を得た。同様に、マグネシウム組成物の代わりに塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムを添加して対照品1及び対照品2を得た。これらを用いて、15名のパネラーによる官能評価と本発明品1の分散性を調査した。マグネシウムの分散性は、ヨーグルト中のマグネシウム濃度の差異により評価した。試料を採取した場所に関らずその濃度が一定であれば、分散性が高いと評価した。マグネシウム濃度の測定方法は、以下のように行った。本発明品1のヨーグルトより充填容器の底から0〜1cm、2〜3cm及び4〜5cmの層をそれぞれ下層、中層、上層としてかきとり、均一とした後、その一部を灰化し常法に従い原子吸光測定用試料を得た。これらの試料について原子吸光光度計を用い以下の条件で測定を行った。
フレーム:空気-アセチレン
測定波長;285.2nm
なお、検量線は市販の原子吸光分析用標準溶液を用いた。本発明品1、対照品1及び対照品2の官能評価の結果、表2に示すように本発明品2は対照品より味が良いと評価された。また、本発明品1より得た各層のマグネシウム濃度の測定結果を表3に示す。
【0032】
【表2】

【0033】
【表3】

【0034】
表3で示すように各層のマグネシウム濃度はほぼ一定であり、均一分散していることが確認された。
【実施例3】
【0035】
乳酸菌飲料の製造例:水2000ccを沸騰させ砂糖1kg添加する。これを約40℃まで冷まし、プレーンヨーグルト2kgをこしながら加える。ドライイースト15g添加し、常温で約24時間醗酵させる。さらに800gの砂糖、実施例1の組成物15gを添加し、80〜90℃の温度で約10〜15分間加熱し、レモン果汁300gを添加・混合しマグネシウム強化乳酸菌飲料(本発明品2)を得た。同様に、マグネシウム組成物の代わりに塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムを添加して対照品3及び対照品4を得た。約3〜4倍に希釈して、15名のパネラーによる官能評価と共に沈降性を経時的に調査した。本発明品2、対照品3及び対照品4の官能評価の結果、本発明品2は対照品より味が良いと評価された。また、本発明品2は、500時間経過後も全く沈降を生じなかった。
【実施例4】
【0036】
ドレッシングの製造例:米酢300g、食塩15g、砂糖10g、胡椒10g、実施例1の組成物1%を添加・混合する。米サラダ油(築野食品工業株式会社製)600gを少量ずつ混合し、マグネシウム強化ドレッシング(本発明品3)を得た。同様に、マグネシウム組成物の代わりに塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムを添加して対照品5及び対照品6を得た。これらを用いて、15名のパネラーによる官能評価を行った。本発明品3、対照品5及び対照品6の官能評価の結果、本発明品3は対照品より味が良いと評価された。
【実施例5】
【0037】
タレの製造例:醤油1kg、米サラダ油(築野築野食品工業株式会社製)100g、みりん200g、砂糖200g、味噌50g、実施例1の組成物1%を添加し、一煮立ちさせタレ(本発明品4)を得た。同様に、マグネシウム組成物の代わりに塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムを添加して対象品7及び対象品8を得た。これらを用いて、15名のパネラーによる官能評価を行った。本発明品4、対照品7及び対照品8の官能評価の結果、本発明品4は対照品より味が良いと評価された。
【実施例6】
【0038】
ホワイトソースの製造例:バター400g溶解する。小麦粉150gをこしながら添加する。少しずつ牛乳3kg添加・混合し、塩10g、胡椒10g、ナツメグ10g、実施例1の組成物1%を添加し、マグネシウム強化ホワイトソース(本発明品5)を得た。ホワイトソースの脂肪分は17%であった。同様に、マグネシウム組成物の代わりに塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムを添加して対照品9及び対照品10を得た。これらを用いて、15名のパネラーによる官能評価を行った。本発明品5、対照品9及び対照品10の官能評価の結果、本発明品5は対照品より味が良いと評価された。
【実施例7】
【0039】
ココアの製造例:ココア粉末約800g、砂糖500g、牛乳1400g、実施例1の組成物1%を加えてマグネシウム強化ココア飲料(本発明品6)を得た。同様に、マグネシウム組成物の代わりに塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムを添加して対照品11及び対照品12を得た。これらを用いて、15名のパネラーによる官能評価を行った。本発明品6、対照品11及び対照品12の官能評価の結果、本発明品6は対照品より味が良いと評価された。
【実施例8】
【0040】
パンの製造例:強力小麦粉250gに対し、イーストフード25g及び水1200g、砂糖150g、食塩30g、マーガリン250g、スキムミルク120g及び実施例1の組成物12gを添加し、充分混和して、生地を調整した。その後、通常の製パン工程に従って、パンを焙焼してマグネシウム強化パン (本発明品7)を得た。同様に、マグネシウム組成物の代わりに塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムを添加して対照品13及び対照品14を得た。これらを用いて、15名のパネラーによる官能評価を行った。本発明品7、対照品13及び対照品14の官能評価の結果、本発明品7は対照品より味が良いと評価された。
【実施例9】
【0041】
ゼリーの製造例:40℃の水200g、コーヒー50g、砂糖80g添加し、
沸騰したら、ゼラチン50g、実施例1の組成物0.5gを添加し、充填機により容器に充填し、さらに冷却して、マグネシウム強化ゼリー(本発明品8)を得た。同様に、マグネシウム組成物の代わりに塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムを添加して対照品15及び対照品16を得た。これらを用いて、15名のパネラーによる官能評価を行った。本発明品8、対照品15及び対照品16の官能評価の結果、本発明品8は対照品より味が良いと評価された。
【実施例10】
【0042】
ビスケットの製造例:バター500g、強力粉2kg、ベーキングパウダー50gを添加・混合し、牛乳1200cc、実施例1の組成物2gを添加し、常法によりビスケット用の生地を調整した。得られた生地を220℃、13分間加熱し、マグネシウム強化ビスケット(本発明品9)を得た。同様に、マグネシウム組成物の代わりに塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムを添加して対照品17及び対照品18を得た。これらを用いて、15名のパネラーによる官能評価を行った。本発明品9、対照品17及び対照品18の官能評価の結果、本発明品9は対照品より味が良いと評価された。
【0043】
マグネシウム吸収試験を、3週齢のWistar系雄ラットを用いて行った。実験群は以下の4群とした。
【0044】
A群:市販の珊瑚粉末をマグネシウム源とし、タンパク質源として卵アルブミンを用いた飼料群
B群:市販のドロマイトをマグネシウム源とし、タンパク質源として卵アルブミンを用いた飼料群
C群:実施例1の組成物をマグネシウム源とし、タンパク質源として卵アルブミンを用いた飼料群
D群:実施例1の組成物をマグネシウム源とし、タンパク質源として乳タンパク質を用いた飼料群
なお、飼料の配合にあたっては、各飼料中のマグネシウム含量が618mg/kgとなるように配合した。これらの飼料にて15日間飼育し、見かけのマグネシウム吸収率を測定した。
【0045】
結果を表4に示す。
【0046】
【表4】

【0047】
表4の結果より、本発明のマグネシウム組成物をマグネシウム源とするC群、D群は、マグネシウムの吸収性に優れていることが確認された。また、中でも、タンパク質源として乳タンパク質を使用したD群は、卵アルブミンを使用したC群と比較しても、さらにマグネシウムの吸収性に優れていることが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物から得たことを特徴とするマグネシウム組成物。
【請求項2】
請求項1に規定するマグネシウム組成物を配合したことを特徴とするマグネシウム増強用の飲食品添加剤。
【請求項3】
請求項1に規定するマグネシウム組成物を配合したことを特徴とするマグネシウム増強用の健康食品。
【請求項4】
請求項1に規定するマグネシウム組成物の製造方法であって、原料を加水分解した後、前記マグネシウム組成物を回収することを特徴とするマグネシウム組成物の製造方法。

【公開番号】特開2006−296331(P2006−296331A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−124960(P2005−124960)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(598073604)築野ライスファインケミカルズ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】