マグネトインピーダンスセンサ素子及びその製造方法
【課題】製造効率が高く、かつ磁気の測定精度に優れたマグネトインピーダンス素子の製造方法と、該製造方法によって製造したマグネトインピーダンス素子を提供する。
【解決手段】MIセンサ素子1は、非磁性体からなる基板4と、複数の感磁体2と、複数の検出コイル3とを備える。複数の感磁体2は、アモルファス材料からなり、基板4に固定されており、互いに電気的に接続されている。検出コイル3は、個々の感磁体2に巻回形成され、互いに電気的に接続している。MIセンサ素子1は、感磁体2にパルス電流または高周波電流を流すことにより、感磁体2に作用する磁界の強さに対応した電圧を検出コイル3から出力する。複数の感磁体2は、1本のアモルファスワイヤ20を基板4に固定した後、切断して形成したものである。
【解決手段】MIセンサ素子1は、非磁性体からなる基板4と、複数の感磁体2と、複数の検出コイル3とを備える。複数の感磁体2は、アモルファス材料からなり、基板4に固定されており、互いに電気的に接続されている。検出コイル3は、個々の感磁体2に巻回形成され、互いに電気的に接続している。MIセンサ素子1は、感磁体2にパルス電流または高周波電流を流すことにより、感磁体2に作用する磁界の強さに対応した電圧を検出コイル3から出力する。複数の感磁体2は、1本のアモルファスワイヤ20を基板4に固定した後、切断して形成したものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アモルファス材料からなる感磁体を備えたマグネトインピーダンスセンサ素子と、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気センサ等に用いられるセンサ素子として、外部磁界に応じて特性が変化する感磁体を用いたマグネトインピーダンスセンサ素子(以下、MIセンサ素子とも記す)が知られている(下記特許文献1、2参照)。
【0003】
図14に示すごとく、MIセンサ素子91は、非磁性体からなる基板94と、該基板94に固定された、アモルファス材料からなる感磁体92と、絶縁体95を介して感磁体92に巻回した検出コイル93とを備える。
【0004】
感磁体92にパルス電流または高周波電流を流すと、感磁体92に作用する磁界の強さに対応した電圧が検出コイル93から出力される。この電圧を測定することにより、上記磁界の強さを検出することができる。
【0005】
また、図15、図16に示すごとく、複数の感磁体92を備え、検出コイル93を直列または並列に接続したMIセンサ素子91が知られている(特許文献1参照)。検出コイル93を直列接続することにより、強い磁界を検出でき、かつ出力電圧が高いMIセンサ素子91を得ることができる。また、検出コイル93を並列接続することにより、検出コイル93に生じるノイズを小さくすることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−134236号公報
【特許文献2】国際公開公報WO2003/71299
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、出力電圧を高めたり、ノイズを小さくする等のために、検出コイルを直列や並列に接続したMIセンサを製造する場合等のため、複数の感磁体92を備えたMIセンサ素子91を製造しようとすると、以下の問題が生じる。
すなわち、複数の感磁体を有するMI素子を製造するためには、接続するMI素子を別々に作成して必要個数準備し、それぞれのMI素子を配置し、電気的に接続する必要があるが、このような製造は大変煩雑であり、効率的な製造が難しいという問題がある。
さらに、従来の特定の方向の磁場を測定するためのMI素子は、一つの基板に一つの感磁体で形成されており、それを直列、並列に接続するためには、それぞれ別個のMI素子を配置し、電気的に接続する必要がある。これらの構造は、電気的接続が3次元的に複雑で、特定の方向の磁場を測定するためのMI素子ユニットとしては大型化してしまうという問題がある。
また、複数の感磁体を備えるMIセンサ素子を製造するには、1つの感磁体からなるMIセンサ素子同士を電気的に接続する工程が不可欠となる。ところが、複数の感磁体92を用いた場合には、用いる1つ1つの感磁体92の材料ばらつきによって、感磁体92毎に特性が異なりやすくなる。これにより、感度にばらつきが生じるという不具合が生じる。また、磁場の同じ向きの成分を複数の感磁体92の周囲に巻回した検出コイル93から得られる出力電圧により測定することから、全ての感磁体92の向きを正確に揃えないと、1つ1つの感磁体92が同じ向きの磁場成分を測定できなくなり、磁気の測定精度が低下してしまう。
【0008】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、製造効率が高く、かつ磁気の測定精度に優れたマグネトインピーダンス素子の製造方法と、該製造方法によって製造したマグネトインピーダンス素子を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、非磁性体からなる基板と、
アモルファス材料からなり、上記基板に固定され、互いに電気的に接続した複数の感磁体と、
個々の上記感磁体に巻回形成され、互いに電気的に接続した複数の検出コイルとを備え、
上記感磁体にパルス電流または高周波電流を流すことにより、上記感磁体に作用する磁界の強さに対応した電圧を上記検出コイルから出力するよう構成されたマグネトインピーダンスセンサ素子の製造方法であって、
上記基板上に上記アモルファスワイヤを固定する固定工程と、
上記アモルファスワイヤを軸線方向に分割するように切断して複数の上記感磁体を形成する切断工程と、
複数の上記感磁体を電気的に接続する接続工程と、
を行うことを特徴とするマグネトインピーダンスセンサ素子の製造方法にある(請求項1)。
【0010】
また、第2の発明は、非磁性体からなる基板と、
アモルファス材料からなり、上記基板に固定され、互いに電気的に接続した複数の感磁体と、
個々の上記感磁体に巻回形成され、互いに電気的に接続した複数の検出コイルとを備え、
上記感磁体にパルス電流または高周波電流を流すことにより、上記感磁体に作用する磁界の強さに対応した電圧を上記検出コイルから出力するよう構成されており、
上記複数の感磁体は、1本のアモルファスワイヤを上記基板に固定した後、切断して形成したものであることを特徴とするマグネトインピーダンスセンサ素子にある(請求項2)。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明の作用効果について説明する。本発明に係るマグネトインピーダンスセンサ素子の製造方法は、アモルファスワイヤを基板に固定した後、切断することにより複数の感磁体を形成する。
そのため、接続しようとする1つ1つの感磁体の位置が、ワイヤを基板に固定した時点で既に位置が正確に決まっており、それを後から電気的に接続するだけで全ての感磁体の向きを容易に揃え、平行にした状態のMIセンサ素子を製造することができる。従って、接続する1つ1つのMIセンサ素子を別に準備し、1つ1つのMIセンサを固定した後に、ワイヤ端子間、検出コイル間を電極パターン若しくはワイヤーボンディング等で更に接続する場合と比較して、大幅に製造を効率化できるとともに、各々の感磁体の測定する磁界の向きのばらつきが全くなく、磁気の測定精度を高めることができる。
また、1本のアモルファスワイヤの、互いに近接した部分を使って複数の感磁体を形成することができる。そのため、1つのMIセンサ素子内に存在する、複数の感磁体の特性を殆ど同一にすることができる。これにより、ほぼ理論値通りの感度が得られるという効果を得ることができる。
また、本発明では、1本のアモルファスワイヤを基板に固定した後切断するが、その切断部分の長さは極めて微小とすることができ、1つ1つの感磁体同士が非常に接近した状態で容易に製造することができる。この結果、複数の感磁体が狭い面積の中に効率的に配置されたMI素子を容易に製造でき、より小型化したMI素子ユニットを容易に製造することができる。
【0012】
次に、第2の発明の作用効果について説明する。本発明では、基板上にアモルファスワイヤを固定した後、切断して複数の感磁体を製造するため、アモルファスワイヤの、互いに近接する部分を使って感磁体を製造することができる。そのため、1つのMIセンサ素子内に存在する、複数の感磁体の特性を殆ど同一にすることができる。
また、アモルファスワイヤを基板に固定した後、切断するため、ワイヤを基板に固定した時点で既にそれぞれの感磁体の位置及び向きが揃い、正確に平行になった状態で位置決めされている。従って、その後その位置を維持したまま電気的に接続することにより、全ての感磁体の向きに全くばらつきのないMIセンサ素子を容易かつ効率的に製造することができる。そのため、第1の発明と同様に磁気の測定精度を高めることができる。
【0013】
以上のごとく、本発明によれば、製造効率が高く、かつ磁気の測定精度に優れたマグネトインピーダンス素子の製造方法と、該製造方法によって製造したマグネトインピーダンス素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1における、マグネトインピーダンスセンサ素子の平面図。
【図2】図1のA矢視図。
【図3】実施例1における、マグネトインピーダンスセンサ素子の製造方法を説明するための全体図。
【図4】実施例1における、マグネトインピーダンスセンサ素子の製造方法を説明するための平面図。
【図5】図4のB矢視図。
【図6】図4に続く図。
【図7】図6のC矢視図。
【図8】図6に続く図。
【図9】図8のD矢視図。
【図10】図8に続く図。
【図11】実施例1における、外部磁場と出力電圧の関係を、感磁体の軸線方向長さを変えた複数のサンプルについて測定したグラフ。
【図12】実施例2における、マグネトインピーダンスセンサ素子の平面図。
【図13】実施例3における、マグネトインピーダンスセンサ素子の平面図。
【図14】従来例における、マグネトインピーダンスセンサ素子の平面図。
【図15】従来例における、マグネトインピーダンスセンサ素子の回路図。
【図16】図15とは異なる従来例における、マグネトインピーダンスセンサ素子の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記複数の検出コイルは互いに直列に接続されていることが好ましい(請求項3)。
感磁体の軸線方向長さが長すぎると、磁界の強さの変化に対する出力電圧の変化割合が大きくなり、結果的にそれほど大きくない磁界でも出力電圧が飽和してしまうため(図11参照)、強い磁界を測定できなくなり、測定可能な磁場の強さの範囲が狭くなってしまう。この問題を解決するため、感磁体の軸線方向長さを短くすることが考えられる。このようにすると、感磁体の内部に生じる反磁界が大きくなるため、出力電圧が飽和しにくくなり、強い磁界を検出することが可能になる。しかしながら、その一方で感磁体の軸線方向長さを短くすると、出力電圧が低くなるという問題が生じる。
この問題は、複数の検出コイルを直列に接続して、狙いとする出力電圧が得られるようにすることにより解決できるが、本発明のように、あらかじめアモルファスワイヤを基板上に固定した後に、途中を切断し、切断部を電気的に後から接続することで、効率的に複数の感磁体及び検出コイルを用いたMI素子の製造が可能となる。これにより、広範囲の強さの磁界を測定でき、かつ出力電圧が高いMIセンサ素子を得ることが可能になる。
特に、MIセンサ素子で地磁気を測定しようとする場合には、MIセンサを固定する予定の位置の近くに磁化された電子部品が存在している場合が多い。この場合において、測定目的は地磁気自体の変動であっても、前記磁化された電子部品の磁場を測定可能としておく必要があり、この磁場は地磁気に比べ大きい場合が多い。また、電子部品の磁化の状況は場合によって変化することから、その状況に合わせて、測定可能な磁場の強さを判断し、それに合った仕様でMI素子を製造する必要がある。本発明は、このような用途に対し、非常に効果的に利用することができる。
【0016】
また、上記複数の検出コイルは互いに並列に接続されていてもよい(請求項4)。
このようにすると、検出コイルに発生するノイズを低減することができる。そのため、出力電圧がノイズに隠れてしまう不具合を防止でき、精度よく磁界を検出することが可能になる。
【0017】
また、1本の上記アモルファスワイヤを切断して形成され、軸線方向に平行配置した複数の上記感磁体からなる感磁体群が、径方向に複数個、隣接配置されており、径方向に隣り合う複数の上記感磁体に対して1個の上記検出コイルが巻回されていることが好ましい(請求項5)。
このようにすると、1個の検出コイルの中に複数の感磁体を入れることができるため、出力電圧を高くすることが可能になる。また、径方向に隣接配置した感磁体の間隔を狭めることができるため、MIセンサ素子の面積を小さくすることができる。
【0018】
また、1本の上記アモルファスワイヤを切断して形成され、軸線方向に平行配置した複数の上記感磁体からなる感磁体群が、径方向に複数個、隣接配置されており、個々の上記感磁体に上記検出コイルが巻回されていることが好ましい(請求項6)。
このようにすると、軸線方向だけでなく、径方向にも感磁体を隣接配置できるため、1個のMIセンサ素子の中により多くの感磁体を形成することができる。そのため、検出コイルを直列接続する場合は、出力電圧をより高くすることができる。また、検出コイルを並列接続する場合は、ノイズをより低くすることができる。
【実施例】
【0019】
(実施例1)
本発明の実施例にかかるマグネトインピーダンスセンサ素子につき、図1〜図11を用いて説明する。
図1、図2に示すごとく、本例のMIセンサ素子1は、非磁性体からなる基板4と、複数の感磁体2(2a,2b)と、複数の検出コイル3(3a,3b)とを備える。
感磁体2は、アモルファス材料からなり、基板4に固定されている。複数の感磁体2は、互いに電気的に接続されている。
また、検出コイル3は、個々の感磁体2に巻回形成され、互いに電気的に接続している。
【0020】
MIセンサ素子1は、感磁体2にパルス電流または高周波電流を流すことにより、感磁体2に作用する磁界の強さに対応した電圧を検出コイル3から出力するよう構成されている。
複数の感磁体2は、1本のアモルファスワイヤ20を基板4に固定した後、切断して形成したものである。
以下、詳説する。
【0021】
本例における感磁体2は、CoFeSiB系合金からなり、長さが0.3mm、直径が0.01mmである。図1、図2に示すごとく、感磁体2の周囲にはSiO2等からなる絶縁体5が形成されており、この絶縁体5の周りに検出コイル3が形成されている。検出コイル3は銅等の金属からなる。検出コイル3は、基板4の主面に形成された平面パターン30と、絶縁体5の表面に形成された立体パターン31とを備える。図2に示すごとく、絶縁体5によって、立体パターン31と感磁体2とが絶縁されている。また、平面パターン30と感磁体2との間には、これらを絶縁するための絶縁膜13が介在している。
【0022】
図1に示すごとく、2個の感磁体2(2a,2b)は、ワイヤ接続部6によって直列に接続されている。また、感磁体2の端部には、ワイヤ用端子11が接続している。
一方、本例では、個々の感磁体2(2a,2b)に形成した検出コイル3(3a,3b)を、コイル接続部15によって直列接続している。また、検出コイル3には、コイル用端子12が接続している。
【0023】
ワイヤ用端子11から感磁体2へパルス電流または高周波電流を流すと、感磁体2に作用する磁界の強度に応じた出力電圧が検出コイル3に発生する。この出力電圧を測定することにより、磁界の強さを測定できるようになっている。
【0024】
次に、MIセンサ素子1の製造方法について説明する。本例では、図3に示すごとく、複数のMIセンサ素子1を基板4上に同時に形成し、個々のMIセンサ素子1の間をダイシングして分割する。これにより、複数個のMIセンサ素子1を一度に製造する。
【0025】
MIセンサ素子1の製造工程を詳細に説明する。まず、図4、図5に示すごとく、平面パターン30を形成する。この平面パターン30は、以下に説明する2種類の方法により作成することができる。一つ目の方法は、基板4の平坦面上に0.1μmの薄い下部Ti/Cuシード層を作成し、その上にレジストをのせ所定状態に配列された複数の導電膜の形成のために露光・現像工程からなるパターニングを行う。次に、銅メッキ処理をして、レジストを除去後、選択エッチングにより下部Ti/Cuシード層を除去する。
【0026】
二つ目の方法は、基板4の平坦面上にCu層を作成し、その上にレジストをのせ所定状態に配列された複数の導電膜の形成のために露光・現像工程からなるパターニングを行う。次に、Cu層をエッチングにより除去し、その後、レジストを除去することにより、平面パターン30を形成する。
【0027】
その後、図6、図7に示すごとく、平面パターン30の上面に感光性エポキシ樹脂により厚さ2μmの絶縁被膜13を形成する。この絶縁被膜13は、平面パターン30の中央部分を被覆すると共に、平面パターン30の両端を露出させている。
【0028】
続いて、図6、図7に示すごとく、アモルファスワイヤ20を絶縁被膜13上に溶剤希釈した液状のエポキシ樹脂を滴下することにより固定する(本発明の固定工程)。溶剤が定着した後に、100℃にて30分間程度ベーキングすると、アモルファスワイヤ20は、絶縁被膜13上への固定が完了する。エポキシ樹脂は固化して、ワイヤ固定部100となる。ここで、上述したように、本例では製造を効率化するため、基板4上に複数のMIセンサ素子1を形成する(図3参照)。そのため、これら複数のMIセンサ素子1を一度に形成できるよう、充分に長いアモルファスワイヤ20を配置する。また、本例では、アモルファスワイヤ20を直線状にした状態で、絶縁被膜13上に固定する。
【0029】
次いで、図8、図9に示すごとく、アモルファスワイヤ20の表面を覆う絶縁体5を、固定工程と同様に、感光性エポキシ樹脂により形成する。図9に示すごとく、絶縁体5の断面形状は、アモルファスワイヤ20から絶縁被膜13の端部130へ向かうほど厚さが次第に薄くなる裾広がり状になっている。また、平面パターン30の両端は絶縁体5によって被覆されておらず、露出している。ここで、前記固定工程と絶縁体5を形成する工程を同時に一体的に形成してもよい。こうすると製造工程が簡単になり、より効率的な製造が可能となる。
【0030】
その後、図10に示すごとく、エッチングを行って、絶縁体5を所定の長さに切断する。この際、アモルファスワイヤ20はエッチングされない薬剤を用いる。次いで、アモルファスワイヤ20の両端200及び中央部201をエッチングにより切断する(本発明の切断工程)。これにより、複数の感磁体2を形成する。
上述したように、本例では、1本のアモルファスワイヤ20を直線状にした状態で基板4に固定し、その位置が維持された状態で途中をエッチングにて切断している。そのため、切断した結果、複数となった感磁体2は当然の如く、それぞれ直線状になっている。
なお、切断には、エッチング以外にレーザーで切断したり、カッターで切断する方法も採用することができる。
【0031】
次に、基板4の表面全体に金属薄膜を蒸着し、該金属薄膜を選択的にエッチングすることにより、図1、図2に示すごとく、立体パターン31、ワイヤ用端子11、コイル用端子12、コイル接続部15、ワイヤ接続部6を形成する。このワイヤ接続部6により、複数の感磁体2が電気的に接続される(本発明の接続工程)。また、立体パターン31と平面パターン30の両端部は互いに電気的に接続されている。これら立体パターン31と平面パターン30とによって検出コイル3を構成している。
【0032】
以上説明した工程を行って、基板4上に複数のMIセンサ素子1を同時に形成する(図3参照)。その後、個々のMIセンサ素子1の間をダイシングして分割する。
【0033】
次に、本例の作用効果について説明する。図6〜図10に示すごとく、本例に係るマグネトインピーダンスセンサ素子1の製造方法は、上記固定工程と、上記切断工程と、上記接続工程とを行う。
このようにすると、1本のアモルファスワイヤ20の、互いに近接した部分を使って複数の感磁体2を形成することができる。そのため、1つのMIセンサ素子1内に存在する、複数の感磁体2の特性を殆ど同一にすることができる。これにより、ほぼ理論値通りの感度が得られるという効果を得ることができる。
【0034】
また、本例では、アモルファスワイヤ20を基板4に固定した後、固定した状態の位置を維持したまま切断するため、全ての感磁体2の向きを容易に揃え、平行にすることができる。本発明では、複数の感磁体を電気的に接続するとともに、互いに接続されている1つ1つの感磁体の周囲に巻回した検出コイルを互いに接続することで、磁気の同じ向きの成分を複数の感磁体により測定できる構成としている。従って、1つ1つの感磁体それぞれの向きを完全に揃える必要があるが、前記した通り、容易に向きを揃えることができるため、磁気の測定精度を大きく高めることができる。
さらに、本例では、個々の感磁体2を直線状に形成できるため、磁気の測定精度を一層、高くすることができる。
【0035】
また、図3に示すごとく、本例では1本のアモルファスワイヤ20を使って複数のMIセンサ素子1を形成するため、複数のMIセンサ素子1間における特性ばらつきを低減することができる。
【0036】
また、上記製造方法を用いて製造したMIセンサ素子1は、基板4上にアモルファスワイヤ20を固定した後、切断して複数の感磁体2を形成するため、アモルファスワイヤ20の、互いに近接する部分を使って感磁体2を形成することができる。そのため、1つのMIセンサ素子1内に存在する、複数の感磁体2の特性を殆ど同一にすることができる。
また、上記製造方法を用いて製造したMIセンサ素子1は、アモルファスワイヤ20を基板4に固定した後、切断するため、ワイヤ20を基板4に固定した時点で既にそれぞれの感磁体2の位置及び向きが揃い、正確に平行になった状態で位置決めされている。従って、その後その位置を維持したまま電気的に接続することにより、全ての感磁体2の向きに全くばらつきのないMIセンサ素子1を容易かつ効率的に得ることができる。そのため、磁気の測定精度を高めることができる。
【0037】
また、図1に示すごとく、本例では、複数の検出コイル3を互いに直列に接続している。
図11は、CoFeSiB系合金を使った直径30μmのアモルファスワイヤを感磁体2として用い、検出コイルの捲線内径をφ80μmとした場合において、ワイヤ長さを0.6〜1.5mmに変化させた時の外部磁場の大きさと出力電圧の関係を調べた結果を示したものである。この図に示すごとく、感磁体2の軸線方向長さLが長いと、弱い磁界でも出力電圧が飽和してしまう。例えば、長さL=1.5mmの場合は、磁界が±10Gで出力電圧が飽和する。そのため、±10Gより強い磁界を測定することは困難となる。
【0038】
この問題を解決するため、感磁体2の長さLを短くすることが考えられる。図11に示すごとく、長さLを短くすると、感磁体2の内部に生じる反磁界が大きくなるため、出力電圧が飽和しにくくなり、強い磁界を検出することが可能になる。例えば、L=0.6mmの感磁体2は±40Gまで出力電圧が飽和しない。
しかしながら、感磁体2の軸線方向長さを短くすると、出力電圧が低くなるという問題が生じる。
【0039】
この問題は、図1に示すごとく、複数の検出コイル3を直列に接続し、出力電圧を高くすることにより解決できる。これにより、強い磁界を測定でき、かつ出力電圧が高いMIセンサ素子1を得ることが可能になる。
なお、本例では、説明を簡単にするため、図1、図10においては、2つの感磁体を用い、2つの検出コイルを直列に接続する場合について説明したが、本発明は、勿論図1、図10に示す場合に限定されるものではない。実際に測定する磁場環境に合わせて、最適となる仕様に設計することが可能であり、3つ以上の感磁体を用い、3つ以上の検出コイルを直列に接続するという仕様で製造することも、勿論可能である。
【0040】
なお、図示しないが、複数の検出コイル3を並列に接続してもよい。このようにすると、検出コイル3に発生するノイズを低減することができる。そのため、出力電圧がノイズに隠れてしまう不具合を防止でき、精度よく磁界を検出することが可能になる。
【0041】
以上のごとく、本例によれば、製造効率が高く、かつ磁気の測定精度に優れたマグネトインピーダンス素子の製造方法と、該製造方法によって製造したマグネトインピーダンス素子を提供することができる。
【0042】
(実施例2)
本例は、感磁体21の数を変更した例である。図12に示すごとく、本例のMIセンサ素子1は、1本のアモルファスワイヤ20を切断して形成され、軸線方向に平行配置した複数の感磁体2からなる感磁体群21(21a)を備える。また、感磁体群21aを構成するアモルファスワイヤ20とは別のアモルファスワイヤ20を切断して形成した感磁体群21(21b)を備える。これら複数の感磁体群21a,21bは径方向Xに隣接配置されている。そして、径方向Xに隣り合う複数の感磁体2に対して1個の検出コイル3が巻回されている。
また、一方の検出コイル3aと他方の検出コイル3bとは、コイル接続部15によって直列接続されている。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0043】
上記構成にすると、1個の検出コイル3の中に複数の感磁体2を入れることができるため、出力電圧を高くすることが可能になる。また、径方向Xに隣接配置した感磁体2の間隔を狭めることができるため、同一の出力電圧をより小型化したMIセンサ素子1により達成することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
【0044】
(実施例3)
本例は、感磁体21の数および配置構成を変更した例である。本例のMIセンサ素子1は、1本のアモルファスワイヤ20を切断して形成され、軸線方向に平行配置した複数の感磁体2からなる感磁体群21(21a)を備える。また、感磁体群21aを構成するアモルファスワイヤ20とは別のアモルファスワイヤ20を切断して形成した感磁体群21(21b)を備える。これら複数の感磁体群21a,21bは、径方向Xに隣接配置されている。そして、個々の感磁体2に検出コイル3が巻回されている。複数個の検出コイル3は、コイル接続部15により、互いに直列接続されている。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0045】
本例の作用効果を説明する。上記構成にすると、軸線方向だけでなく、径方向Xにも感磁体2を隣接配置できるため、1個のMIセンサ素子1の中により多くの感磁体2を形成することができる。そして、検出コイル3を直列接続することにより、出力電圧をより高くすることができるため、より小さいMIセンサ素子で高い出力電圧を得ることが可能となる。
この例は、4個の感磁体と4個の検出コイルを直列に接続した例となっているが、さらに多くの感磁体を用い、より多くの検出コイル同士を直列に接続することも、勿論可能であり、また直列接続と並列接続を併用することも可能である。また、用いる感磁体及び検出コイルの数と前記したワイヤのアスペクト比を適切に調整することの組合せにより、測定可能な磁場の範囲を調整したり、同じ大きさの磁場であっても出力電圧を調整してMI素子を設計し、製造することが可能となるため、ユーザーの測定したい磁場環境に合わせて、最適なMI素子を容易に設計できるという大きな作用効果を有するものである。
また、図示しないが、検出コイル3を並列接続する場合は、ノイズをより低くすることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
【符号の説明】
【0046】
1 マグネトインピーダンスセンサ素子
2 感磁体
20 アモルファスワイヤ
21 感磁体群
3 検出コイル
3a 平面パターン
3b 立体パターン
4 基板
5 絶縁体
【技術分野】
【0001】
本発明は、アモルファス材料からなる感磁体を備えたマグネトインピーダンスセンサ素子と、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気センサ等に用いられるセンサ素子として、外部磁界に応じて特性が変化する感磁体を用いたマグネトインピーダンスセンサ素子(以下、MIセンサ素子とも記す)が知られている(下記特許文献1、2参照)。
【0003】
図14に示すごとく、MIセンサ素子91は、非磁性体からなる基板94と、該基板94に固定された、アモルファス材料からなる感磁体92と、絶縁体95を介して感磁体92に巻回した検出コイル93とを備える。
【0004】
感磁体92にパルス電流または高周波電流を流すと、感磁体92に作用する磁界の強さに対応した電圧が検出コイル93から出力される。この電圧を測定することにより、上記磁界の強さを検出することができる。
【0005】
また、図15、図16に示すごとく、複数の感磁体92を備え、検出コイル93を直列または並列に接続したMIセンサ素子91が知られている(特許文献1参照)。検出コイル93を直列接続することにより、強い磁界を検出でき、かつ出力電圧が高いMIセンサ素子91を得ることができる。また、検出コイル93を並列接続することにより、検出コイル93に生じるノイズを小さくすることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−134236号公報
【特許文献2】国際公開公報WO2003/71299
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、出力電圧を高めたり、ノイズを小さくする等のために、検出コイルを直列や並列に接続したMIセンサを製造する場合等のため、複数の感磁体92を備えたMIセンサ素子91を製造しようとすると、以下の問題が生じる。
すなわち、複数の感磁体を有するMI素子を製造するためには、接続するMI素子を別々に作成して必要個数準備し、それぞれのMI素子を配置し、電気的に接続する必要があるが、このような製造は大変煩雑であり、効率的な製造が難しいという問題がある。
さらに、従来の特定の方向の磁場を測定するためのMI素子は、一つの基板に一つの感磁体で形成されており、それを直列、並列に接続するためには、それぞれ別個のMI素子を配置し、電気的に接続する必要がある。これらの構造は、電気的接続が3次元的に複雑で、特定の方向の磁場を測定するためのMI素子ユニットとしては大型化してしまうという問題がある。
また、複数の感磁体を備えるMIセンサ素子を製造するには、1つの感磁体からなるMIセンサ素子同士を電気的に接続する工程が不可欠となる。ところが、複数の感磁体92を用いた場合には、用いる1つ1つの感磁体92の材料ばらつきによって、感磁体92毎に特性が異なりやすくなる。これにより、感度にばらつきが生じるという不具合が生じる。また、磁場の同じ向きの成分を複数の感磁体92の周囲に巻回した検出コイル93から得られる出力電圧により測定することから、全ての感磁体92の向きを正確に揃えないと、1つ1つの感磁体92が同じ向きの磁場成分を測定できなくなり、磁気の測定精度が低下してしまう。
【0008】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、製造効率が高く、かつ磁気の測定精度に優れたマグネトインピーダンス素子の製造方法と、該製造方法によって製造したマグネトインピーダンス素子を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、非磁性体からなる基板と、
アモルファス材料からなり、上記基板に固定され、互いに電気的に接続した複数の感磁体と、
個々の上記感磁体に巻回形成され、互いに電気的に接続した複数の検出コイルとを備え、
上記感磁体にパルス電流または高周波電流を流すことにより、上記感磁体に作用する磁界の強さに対応した電圧を上記検出コイルから出力するよう構成されたマグネトインピーダンスセンサ素子の製造方法であって、
上記基板上に上記アモルファスワイヤを固定する固定工程と、
上記アモルファスワイヤを軸線方向に分割するように切断して複数の上記感磁体を形成する切断工程と、
複数の上記感磁体を電気的に接続する接続工程と、
を行うことを特徴とするマグネトインピーダンスセンサ素子の製造方法にある(請求項1)。
【0010】
また、第2の発明は、非磁性体からなる基板と、
アモルファス材料からなり、上記基板に固定され、互いに電気的に接続した複数の感磁体と、
個々の上記感磁体に巻回形成され、互いに電気的に接続した複数の検出コイルとを備え、
上記感磁体にパルス電流または高周波電流を流すことにより、上記感磁体に作用する磁界の強さに対応した電圧を上記検出コイルから出力するよう構成されており、
上記複数の感磁体は、1本のアモルファスワイヤを上記基板に固定した後、切断して形成したものであることを特徴とするマグネトインピーダンスセンサ素子にある(請求項2)。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明の作用効果について説明する。本発明に係るマグネトインピーダンスセンサ素子の製造方法は、アモルファスワイヤを基板に固定した後、切断することにより複数の感磁体を形成する。
そのため、接続しようとする1つ1つの感磁体の位置が、ワイヤを基板に固定した時点で既に位置が正確に決まっており、それを後から電気的に接続するだけで全ての感磁体の向きを容易に揃え、平行にした状態のMIセンサ素子を製造することができる。従って、接続する1つ1つのMIセンサ素子を別に準備し、1つ1つのMIセンサを固定した後に、ワイヤ端子間、検出コイル間を電極パターン若しくはワイヤーボンディング等で更に接続する場合と比較して、大幅に製造を効率化できるとともに、各々の感磁体の測定する磁界の向きのばらつきが全くなく、磁気の測定精度を高めることができる。
また、1本のアモルファスワイヤの、互いに近接した部分を使って複数の感磁体を形成することができる。そのため、1つのMIセンサ素子内に存在する、複数の感磁体の特性を殆ど同一にすることができる。これにより、ほぼ理論値通りの感度が得られるという効果を得ることができる。
また、本発明では、1本のアモルファスワイヤを基板に固定した後切断するが、その切断部分の長さは極めて微小とすることができ、1つ1つの感磁体同士が非常に接近した状態で容易に製造することができる。この結果、複数の感磁体が狭い面積の中に効率的に配置されたMI素子を容易に製造でき、より小型化したMI素子ユニットを容易に製造することができる。
【0012】
次に、第2の発明の作用効果について説明する。本発明では、基板上にアモルファスワイヤを固定した後、切断して複数の感磁体を製造するため、アモルファスワイヤの、互いに近接する部分を使って感磁体を製造することができる。そのため、1つのMIセンサ素子内に存在する、複数の感磁体の特性を殆ど同一にすることができる。
また、アモルファスワイヤを基板に固定した後、切断するため、ワイヤを基板に固定した時点で既にそれぞれの感磁体の位置及び向きが揃い、正確に平行になった状態で位置決めされている。従って、その後その位置を維持したまま電気的に接続することにより、全ての感磁体の向きに全くばらつきのないMIセンサ素子を容易かつ効率的に製造することができる。そのため、第1の発明と同様に磁気の測定精度を高めることができる。
【0013】
以上のごとく、本発明によれば、製造効率が高く、かつ磁気の測定精度に優れたマグネトインピーダンス素子の製造方法と、該製造方法によって製造したマグネトインピーダンス素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1における、マグネトインピーダンスセンサ素子の平面図。
【図2】図1のA矢視図。
【図3】実施例1における、マグネトインピーダンスセンサ素子の製造方法を説明するための全体図。
【図4】実施例1における、マグネトインピーダンスセンサ素子の製造方法を説明するための平面図。
【図5】図4のB矢視図。
【図6】図4に続く図。
【図7】図6のC矢視図。
【図8】図6に続く図。
【図9】図8のD矢視図。
【図10】図8に続く図。
【図11】実施例1における、外部磁場と出力電圧の関係を、感磁体の軸線方向長さを変えた複数のサンプルについて測定したグラフ。
【図12】実施例2における、マグネトインピーダンスセンサ素子の平面図。
【図13】実施例3における、マグネトインピーダンスセンサ素子の平面図。
【図14】従来例における、マグネトインピーダンスセンサ素子の平面図。
【図15】従来例における、マグネトインピーダンスセンサ素子の回路図。
【図16】図15とは異なる従来例における、マグネトインピーダンスセンサ素子の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記複数の検出コイルは互いに直列に接続されていることが好ましい(請求項3)。
感磁体の軸線方向長さが長すぎると、磁界の強さの変化に対する出力電圧の変化割合が大きくなり、結果的にそれほど大きくない磁界でも出力電圧が飽和してしまうため(図11参照)、強い磁界を測定できなくなり、測定可能な磁場の強さの範囲が狭くなってしまう。この問題を解決するため、感磁体の軸線方向長さを短くすることが考えられる。このようにすると、感磁体の内部に生じる反磁界が大きくなるため、出力電圧が飽和しにくくなり、強い磁界を検出することが可能になる。しかしながら、その一方で感磁体の軸線方向長さを短くすると、出力電圧が低くなるという問題が生じる。
この問題は、複数の検出コイルを直列に接続して、狙いとする出力電圧が得られるようにすることにより解決できるが、本発明のように、あらかじめアモルファスワイヤを基板上に固定した後に、途中を切断し、切断部を電気的に後から接続することで、効率的に複数の感磁体及び検出コイルを用いたMI素子の製造が可能となる。これにより、広範囲の強さの磁界を測定でき、かつ出力電圧が高いMIセンサ素子を得ることが可能になる。
特に、MIセンサ素子で地磁気を測定しようとする場合には、MIセンサを固定する予定の位置の近くに磁化された電子部品が存在している場合が多い。この場合において、測定目的は地磁気自体の変動であっても、前記磁化された電子部品の磁場を測定可能としておく必要があり、この磁場は地磁気に比べ大きい場合が多い。また、電子部品の磁化の状況は場合によって変化することから、その状況に合わせて、測定可能な磁場の強さを判断し、それに合った仕様でMI素子を製造する必要がある。本発明は、このような用途に対し、非常に効果的に利用することができる。
【0016】
また、上記複数の検出コイルは互いに並列に接続されていてもよい(請求項4)。
このようにすると、検出コイルに発生するノイズを低減することができる。そのため、出力電圧がノイズに隠れてしまう不具合を防止でき、精度よく磁界を検出することが可能になる。
【0017】
また、1本の上記アモルファスワイヤを切断して形成され、軸線方向に平行配置した複数の上記感磁体からなる感磁体群が、径方向に複数個、隣接配置されており、径方向に隣り合う複数の上記感磁体に対して1個の上記検出コイルが巻回されていることが好ましい(請求項5)。
このようにすると、1個の検出コイルの中に複数の感磁体を入れることができるため、出力電圧を高くすることが可能になる。また、径方向に隣接配置した感磁体の間隔を狭めることができるため、MIセンサ素子の面積を小さくすることができる。
【0018】
また、1本の上記アモルファスワイヤを切断して形成され、軸線方向に平行配置した複数の上記感磁体からなる感磁体群が、径方向に複数個、隣接配置されており、個々の上記感磁体に上記検出コイルが巻回されていることが好ましい(請求項6)。
このようにすると、軸線方向だけでなく、径方向にも感磁体を隣接配置できるため、1個のMIセンサ素子の中により多くの感磁体を形成することができる。そのため、検出コイルを直列接続する場合は、出力電圧をより高くすることができる。また、検出コイルを並列接続する場合は、ノイズをより低くすることができる。
【実施例】
【0019】
(実施例1)
本発明の実施例にかかるマグネトインピーダンスセンサ素子につき、図1〜図11を用いて説明する。
図1、図2に示すごとく、本例のMIセンサ素子1は、非磁性体からなる基板4と、複数の感磁体2(2a,2b)と、複数の検出コイル3(3a,3b)とを備える。
感磁体2は、アモルファス材料からなり、基板4に固定されている。複数の感磁体2は、互いに電気的に接続されている。
また、検出コイル3は、個々の感磁体2に巻回形成され、互いに電気的に接続している。
【0020】
MIセンサ素子1は、感磁体2にパルス電流または高周波電流を流すことにより、感磁体2に作用する磁界の強さに対応した電圧を検出コイル3から出力するよう構成されている。
複数の感磁体2は、1本のアモルファスワイヤ20を基板4に固定した後、切断して形成したものである。
以下、詳説する。
【0021】
本例における感磁体2は、CoFeSiB系合金からなり、長さが0.3mm、直径が0.01mmである。図1、図2に示すごとく、感磁体2の周囲にはSiO2等からなる絶縁体5が形成されており、この絶縁体5の周りに検出コイル3が形成されている。検出コイル3は銅等の金属からなる。検出コイル3は、基板4の主面に形成された平面パターン30と、絶縁体5の表面に形成された立体パターン31とを備える。図2に示すごとく、絶縁体5によって、立体パターン31と感磁体2とが絶縁されている。また、平面パターン30と感磁体2との間には、これらを絶縁するための絶縁膜13が介在している。
【0022】
図1に示すごとく、2個の感磁体2(2a,2b)は、ワイヤ接続部6によって直列に接続されている。また、感磁体2の端部には、ワイヤ用端子11が接続している。
一方、本例では、個々の感磁体2(2a,2b)に形成した検出コイル3(3a,3b)を、コイル接続部15によって直列接続している。また、検出コイル3には、コイル用端子12が接続している。
【0023】
ワイヤ用端子11から感磁体2へパルス電流または高周波電流を流すと、感磁体2に作用する磁界の強度に応じた出力電圧が検出コイル3に発生する。この出力電圧を測定することにより、磁界の強さを測定できるようになっている。
【0024】
次に、MIセンサ素子1の製造方法について説明する。本例では、図3に示すごとく、複数のMIセンサ素子1を基板4上に同時に形成し、個々のMIセンサ素子1の間をダイシングして分割する。これにより、複数個のMIセンサ素子1を一度に製造する。
【0025】
MIセンサ素子1の製造工程を詳細に説明する。まず、図4、図5に示すごとく、平面パターン30を形成する。この平面パターン30は、以下に説明する2種類の方法により作成することができる。一つ目の方法は、基板4の平坦面上に0.1μmの薄い下部Ti/Cuシード層を作成し、その上にレジストをのせ所定状態に配列された複数の導電膜の形成のために露光・現像工程からなるパターニングを行う。次に、銅メッキ処理をして、レジストを除去後、選択エッチングにより下部Ti/Cuシード層を除去する。
【0026】
二つ目の方法は、基板4の平坦面上にCu層を作成し、その上にレジストをのせ所定状態に配列された複数の導電膜の形成のために露光・現像工程からなるパターニングを行う。次に、Cu層をエッチングにより除去し、その後、レジストを除去することにより、平面パターン30を形成する。
【0027】
その後、図6、図7に示すごとく、平面パターン30の上面に感光性エポキシ樹脂により厚さ2μmの絶縁被膜13を形成する。この絶縁被膜13は、平面パターン30の中央部分を被覆すると共に、平面パターン30の両端を露出させている。
【0028】
続いて、図6、図7に示すごとく、アモルファスワイヤ20を絶縁被膜13上に溶剤希釈した液状のエポキシ樹脂を滴下することにより固定する(本発明の固定工程)。溶剤が定着した後に、100℃にて30分間程度ベーキングすると、アモルファスワイヤ20は、絶縁被膜13上への固定が完了する。エポキシ樹脂は固化して、ワイヤ固定部100となる。ここで、上述したように、本例では製造を効率化するため、基板4上に複数のMIセンサ素子1を形成する(図3参照)。そのため、これら複数のMIセンサ素子1を一度に形成できるよう、充分に長いアモルファスワイヤ20を配置する。また、本例では、アモルファスワイヤ20を直線状にした状態で、絶縁被膜13上に固定する。
【0029】
次いで、図8、図9に示すごとく、アモルファスワイヤ20の表面を覆う絶縁体5を、固定工程と同様に、感光性エポキシ樹脂により形成する。図9に示すごとく、絶縁体5の断面形状は、アモルファスワイヤ20から絶縁被膜13の端部130へ向かうほど厚さが次第に薄くなる裾広がり状になっている。また、平面パターン30の両端は絶縁体5によって被覆されておらず、露出している。ここで、前記固定工程と絶縁体5を形成する工程を同時に一体的に形成してもよい。こうすると製造工程が簡単になり、より効率的な製造が可能となる。
【0030】
その後、図10に示すごとく、エッチングを行って、絶縁体5を所定の長さに切断する。この際、アモルファスワイヤ20はエッチングされない薬剤を用いる。次いで、アモルファスワイヤ20の両端200及び中央部201をエッチングにより切断する(本発明の切断工程)。これにより、複数の感磁体2を形成する。
上述したように、本例では、1本のアモルファスワイヤ20を直線状にした状態で基板4に固定し、その位置が維持された状態で途中をエッチングにて切断している。そのため、切断した結果、複数となった感磁体2は当然の如く、それぞれ直線状になっている。
なお、切断には、エッチング以外にレーザーで切断したり、カッターで切断する方法も採用することができる。
【0031】
次に、基板4の表面全体に金属薄膜を蒸着し、該金属薄膜を選択的にエッチングすることにより、図1、図2に示すごとく、立体パターン31、ワイヤ用端子11、コイル用端子12、コイル接続部15、ワイヤ接続部6を形成する。このワイヤ接続部6により、複数の感磁体2が電気的に接続される(本発明の接続工程)。また、立体パターン31と平面パターン30の両端部は互いに電気的に接続されている。これら立体パターン31と平面パターン30とによって検出コイル3を構成している。
【0032】
以上説明した工程を行って、基板4上に複数のMIセンサ素子1を同時に形成する(図3参照)。その後、個々のMIセンサ素子1の間をダイシングして分割する。
【0033】
次に、本例の作用効果について説明する。図6〜図10に示すごとく、本例に係るマグネトインピーダンスセンサ素子1の製造方法は、上記固定工程と、上記切断工程と、上記接続工程とを行う。
このようにすると、1本のアモルファスワイヤ20の、互いに近接した部分を使って複数の感磁体2を形成することができる。そのため、1つのMIセンサ素子1内に存在する、複数の感磁体2の特性を殆ど同一にすることができる。これにより、ほぼ理論値通りの感度が得られるという効果を得ることができる。
【0034】
また、本例では、アモルファスワイヤ20を基板4に固定した後、固定した状態の位置を維持したまま切断するため、全ての感磁体2の向きを容易に揃え、平行にすることができる。本発明では、複数の感磁体を電気的に接続するとともに、互いに接続されている1つ1つの感磁体の周囲に巻回した検出コイルを互いに接続することで、磁気の同じ向きの成分を複数の感磁体により測定できる構成としている。従って、1つ1つの感磁体それぞれの向きを完全に揃える必要があるが、前記した通り、容易に向きを揃えることができるため、磁気の測定精度を大きく高めることができる。
さらに、本例では、個々の感磁体2を直線状に形成できるため、磁気の測定精度を一層、高くすることができる。
【0035】
また、図3に示すごとく、本例では1本のアモルファスワイヤ20を使って複数のMIセンサ素子1を形成するため、複数のMIセンサ素子1間における特性ばらつきを低減することができる。
【0036】
また、上記製造方法を用いて製造したMIセンサ素子1は、基板4上にアモルファスワイヤ20を固定した後、切断して複数の感磁体2を形成するため、アモルファスワイヤ20の、互いに近接する部分を使って感磁体2を形成することができる。そのため、1つのMIセンサ素子1内に存在する、複数の感磁体2の特性を殆ど同一にすることができる。
また、上記製造方法を用いて製造したMIセンサ素子1は、アモルファスワイヤ20を基板4に固定した後、切断するため、ワイヤ20を基板4に固定した時点で既にそれぞれの感磁体2の位置及び向きが揃い、正確に平行になった状態で位置決めされている。従って、その後その位置を維持したまま電気的に接続することにより、全ての感磁体2の向きに全くばらつきのないMIセンサ素子1を容易かつ効率的に得ることができる。そのため、磁気の測定精度を高めることができる。
【0037】
また、図1に示すごとく、本例では、複数の検出コイル3を互いに直列に接続している。
図11は、CoFeSiB系合金を使った直径30μmのアモルファスワイヤを感磁体2として用い、検出コイルの捲線内径をφ80μmとした場合において、ワイヤ長さを0.6〜1.5mmに変化させた時の外部磁場の大きさと出力電圧の関係を調べた結果を示したものである。この図に示すごとく、感磁体2の軸線方向長さLが長いと、弱い磁界でも出力電圧が飽和してしまう。例えば、長さL=1.5mmの場合は、磁界が±10Gで出力電圧が飽和する。そのため、±10Gより強い磁界を測定することは困難となる。
【0038】
この問題を解決するため、感磁体2の長さLを短くすることが考えられる。図11に示すごとく、長さLを短くすると、感磁体2の内部に生じる反磁界が大きくなるため、出力電圧が飽和しにくくなり、強い磁界を検出することが可能になる。例えば、L=0.6mmの感磁体2は±40Gまで出力電圧が飽和しない。
しかしながら、感磁体2の軸線方向長さを短くすると、出力電圧が低くなるという問題が生じる。
【0039】
この問題は、図1に示すごとく、複数の検出コイル3を直列に接続し、出力電圧を高くすることにより解決できる。これにより、強い磁界を測定でき、かつ出力電圧が高いMIセンサ素子1を得ることが可能になる。
なお、本例では、説明を簡単にするため、図1、図10においては、2つの感磁体を用い、2つの検出コイルを直列に接続する場合について説明したが、本発明は、勿論図1、図10に示す場合に限定されるものではない。実際に測定する磁場環境に合わせて、最適となる仕様に設計することが可能であり、3つ以上の感磁体を用い、3つ以上の検出コイルを直列に接続するという仕様で製造することも、勿論可能である。
【0040】
なお、図示しないが、複数の検出コイル3を並列に接続してもよい。このようにすると、検出コイル3に発生するノイズを低減することができる。そのため、出力電圧がノイズに隠れてしまう不具合を防止でき、精度よく磁界を検出することが可能になる。
【0041】
以上のごとく、本例によれば、製造効率が高く、かつ磁気の測定精度に優れたマグネトインピーダンス素子の製造方法と、該製造方法によって製造したマグネトインピーダンス素子を提供することができる。
【0042】
(実施例2)
本例は、感磁体21の数を変更した例である。図12に示すごとく、本例のMIセンサ素子1は、1本のアモルファスワイヤ20を切断して形成され、軸線方向に平行配置した複数の感磁体2からなる感磁体群21(21a)を備える。また、感磁体群21aを構成するアモルファスワイヤ20とは別のアモルファスワイヤ20を切断して形成した感磁体群21(21b)を備える。これら複数の感磁体群21a,21bは径方向Xに隣接配置されている。そして、径方向Xに隣り合う複数の感磁体2に対して1個の検出コイル3が巻回されている。
また、一方の検出コイル3aと他方の検出コイル3bとは、コイル接続部15によって直列接続されている。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0043】
上記構成にすると、1個の検出コイル3の中に複数の感磁体2を入れることができるため、出力電圧を高くすることが可能になる。また、径方向Xに隣接配置した感磁体2の間隔を狭めることができるため、同一の出力電圧をより小型化したMIセンサ素子1により達成することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
【0044】
(実施例3)
本例は、感磁体21の数および配置構成を変更した例である。本例のMIセンサ素子1は、1本のアモルファスワイヤ20を切断して形成され、軸線方向に平行配置した複数の感磁体2からなる感磁体群21(21a)を備える。また、感磁体群21aを構成するアモルファスワイヤ20とは別のアモルファスワイヤ20を切断して形成した感磁体群21(21b)を備える。これら複数の感磁体群21a,21bは、径方向Xに隣接配置されている。そして、個々の感磁体2に検出コイル3が巻回されている。複数個の検出コイル3は、コイル接続部15により、互いに直列接続されている。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0045】
本例の作用効果を説明する。上記構成にすると、軸線方向だけでなく、径方向Xにも感磁体2を隣接配置できるため、1個のMIセンサ素子1の中により多くの感磁体2を形成することができる。そして、検出コイル3を直列接続することにより、出力電圧をより高くすることができるため、より小さいMIセンサ素子で高い出力電圧を得ることが可能となる。
この例は、4個の感磁体と4個の検出コイルを直列に接続した例となっているが、さらに多くの感磁体を用い、より多くの検出コイル同士を直列に接続することも、勿論可能であり、また直列接続と並列接続を併用することも可能である。また、用いる感磁体及び検出コイルの数と前記したワイヤのアスペクト比を適切に調整することの組合せにより、測定可能な磁場の範囲を調整したり、同じ大きさの磁場であっても出力電圧を調整してMI素子を設計し、製造することが可能となるため、ユーザーの測定したい磁場環境に合わせて、最適なMI素子を容易に設計できるという大きな作用効果を有するものである。
また、図示しないが、検出コイル3を並列接続する場合は、ノイズをより低くすることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を備える。
【符号の説明】
【0046】
1 マグネトインピーダンスセンサ素子
2 感磁体
20 アモルファスワイヤ
21 感磁体群
3 検出コイル
3a 平面パターン
3b 立体パターン
4 基板
5 絶縁体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性体からなる基板と、
アモルファス材料からなり、上記基板に固定され、互いに電気的に接続した複数の感磁体と、
個々の上記感磁体に巻回形成され、互いに電気的に接続した複数の検出コイルとを備え、
上記感磁体にパルス電流または高周波電流を流すことにより、上記感磁体に作用する磁界の強さに対応した電圧を上記検出コイルから出力するよう構成されたマグネトインピーダンスセンサ素子の製造方法であって、
上記基板上に上記アモルファスワイヤを固定する固定工程と、
上記アモルファスワイヤを軸線方向に分割するように切断して複数の上記感磁体を形成する切断工程と、
複数の上記感磁体を電気的に接続する接続工程と、
を行うことを特徴とするマグネトインピーダンスセンサ素子の製造方法。
【請求項2】
非磁性体からなる基板と、
アモルファス材料からなり、上記基板に固定され、互いに電気的に接続した複数の感磁体と、
個々の上記感磁体に巻回形成され、互いに電気的に接続した複数の検出コイルとを備え、
上記感磁体にパルス電流または高周波電流を流すことにより、上記感磁体に作用する磁界の強さに対応した電圧を上記検出コイルから出力するよう構成されており、
上記複数の感磁体は、1本のアモルファスワイヤを上記基板に固定した後、切断して形成したものであることを特徴とするマグネトインピーダンスセンサ素子。
【請求項3】
請求項2において、上記複数の検出コイルは互いに直列に接続されていることを特徴とするマグネトインピーダンスセンサ素子。
【請求項4】
請求項2において、上記複数の検出コイルは互いに並列に接続されていることを特徴とするマグネトインピーダンスセンサ素子。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれか1項において、1本の上記アモルファスワイヤを切断して形成され、軸線方向に平行配置した複数の上記感磁体からなる感磁体群が、径方向に複数個、隣接配置されており、径方向に隣り合う複数の上記感磁体に対して1個の上記検出コイルが巻回されていることを特徴とするマグネトインピーダンスセンサ素子。
【請求項6】
請求項2〜請求項5のいずれか1項において、1本の上記アモルファスワイヤを切断して形成され、軸線方向に平行配置した複数の上記感磁体からなる感磁体群が、径方向に複数個、隣接配置されており、個々の上記感磁体に上記検出コイルが巻回されていることを特徴とするマグネトインピーダンスセンサ素子。
【請求項1】
非磁性体からなる基板と、
アモルファス材料からなり、上記基板に固定され、互いに電気的に接続した複数の感磁体と、
個々の上記感磁体に巻回形成され、互いに電気的に接続した複数の検出コイルとを備え、
上記感磁体にパルス電流または高周波電流を流すことにより、上記感磁体に作用する磁界の強さに対応した電圧を上記検出コイルから出力するよう構成されたマグネトインピーダンスセンサ素子の製造方法であって、
上記基板上に上記アモルファスワイヤを固定する固定工程と、
上記アモルファスワイヤを軸線方向に分割するように切断して複数の上記感磁体を形成する切断工程と、
複数の上記感磁体を電気的に接続する接続工程と、
を行うことを特徴とするマグネトインピーダンスセンサ素子の製造方法。
【請求項2】
非磁性体からなる基板と、
アモルファス材料からなり、上記基板に固定され、互いに電気的に接続した複数の感磁体と、
個々の上記感磁体に巻回形成され、互いに電気的に接続した複数の検出コイルとを備え、
上記感磁体にパルス電流または高周波電流を流すことにより、上記感磁体に作用する磁界の強さに対応した電圧を上記検出コイルから出力するよう構成されており、
上記複数の感磁体は、1本のアモルファスワイヤを上記基板に固定した後、切断して形成したものであることを特徴とするマグネトインピーダンスセンサ素子。
【請求項3】
請求項2において、上記複数の検出コイルは互いに直列に接続されていることを特徴とするマグネトインピーダンスセンサ素子。
【請求項4】
請求項2において、上記複数の検出コイルは互いに並列に接続されていることを特徴とするマグネトインピーダンスセンサ素子。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれか1項において、1本の上記アモルファスワイヤを切断して形成され、軸線方向に平行配置した複数の上記感磁体からなる感磁体群が、径方向に複数個、隣接配置されており、径方向に隣り合う複数の上記感磁体に対して1個の上記検出コイルが巻回されていることを特徴とするマグネトインピーダンスセンサ素子。
【請求項6】
請求項2〜請求項5のいずれか1項において、1本の上記アモルファスワイヤを切断して形成され、軸線方向に平行配置した複数の上記感磁体からなる感磁体群が、径方向に複数個、隣接配置されており、個々の上記感磁体に上記検出コイルが巻回されていることを特徴とするマグネトインピーダンスセンサ素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−78198(P2012−78198A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223561(P2010−223561)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000116655)愛知製鋼株式会社 (141)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000116655)愛知製鋼株式会社 (141)
【Fターム(参考)】
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