説明

マスキングシート

【課題】本発明の目的は、マスキングシートを被着体に貼り付ける際に貼付位置がずれにくく、マスキング作業を効率的に行うことができるマスキングシートを提供することにある。
【解決手段】本発明のマスキングシートは、略四角形状の基材シートと、該基材シート上において、該基材シートの第一の辺と対向する第二の辺の縁部に、該辺に沿って、該辺の略全長さにわたり設けられた、折り畳まれた位置決めテープを少なくとも備え、位置決めテープが展開可能であることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスキングシートに関する。より詳細には、基材シート上に、展開することが可能な形態で折り畳まれた位置決めテープを備えたマスキングシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ペイント、接着剤、コーキング、充填剤などを塗布する際、塗布する部分以外の部分を保護する方法として、係る部分を紙やプラスチックフィルム等のマスキングシートで覆い、粘着テープを用いて貼り付け固定する方法(マスキング方法)が知られている。
【0003】
しかし、上記方法では、マスキングシートを被着体に貼り付ける際に、マスキングシートを手で押さえ、貼付位置を決めながら、所定の長さに粘着テープを切り、貼付しなければならないため、作業が煩雑となり、貼付位置がずれやすい、という問題があった。
貼付位置がずれた場合は、マスキングシートの貼付作業をやり直さなければならず、特にマスキングシートの貼付位置の正確性(貼付位置の精度)が要求される作業においては、作業効率が低下するという問題があった。
【0004】
上記課題を改善し、作業効率を向上させる方法として、マスキングシートの被着体に接する側の表面に、剥離シートを有する両面粘着テープが予め備えられた粘着テープ付きマスキングシートを用いた方法が知られている(例えば特許文献1)。
【0005】
しかし、上記粘着テープ付きマスキングシートは、被着体に貼付する際に、マスキングシートを手で押さえて位置を決めた後に、剥離シートを剥がし、被着体に貼付する必要があり、貼付位置のずれにくさの点では未だ不十分であった。また、粘着テープが被着体に接する側の表面に設けられているため、剥離シートを剥がす際などに、マスキングシートが所定の位置以外に貼り付くことがあり、マスキング作業の効率という点でも不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−172584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、マスキングシートを被着体に貼り付ける際に貼付位置がずれにくく、マスキング作業を効率的に行うことができるマスキングシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、略四角形状の基材シートの第一の辺の縁部、及び第一の辺と対向する第二の辺の縁部に、これらの辺に沿って、辺の略全長さにわたり、折り畳まれた位置決めテープを設けることにより、剥離シートを剥がす作業なく容易に貼り付けでき、マスキング作業を効率的に行えることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、略四角形状の基材シートと、上記基材シート上において、上記基材シートの第一の辺の縁部に、該辺に沿って、該辺の略全長さにわたり設けられた、折り畳まれた位置決めテープAと、上記基材シート上において、上記第一の辺と対向する第二の辺の縁部に、該辺に沿って、該辺の略全長さにわたり設けられた、折り畳まれた位置決めテープBとを少なくとも備え、上記位置決めテープA及び上記位置決めテープBが展開可能であることを特徴とするマスキングシートを提供する。
【0010】
さらに、本発明は、上記位置決めテープAの長手方向の一端部を含む部分及び他端部を含む部分がそれ以外の部分とは独立して展開可能であり、上記位置決めテープBの長手方向の一端部を含む部分及び他端部を含む部分がそれ以外の部分とは独立して展開可能である上記のマスキングシートを提供する。
【0011】
さらに、本発明は、上記位置決めテープA及び上記位置決めテープBが、ともに、長手方向に2本の折り目が設けられた支持体を備え、第一の折り目に沿って、上記基材シートに接する側の表面とは反対側の表面(おもて面)同士が向かい合うように折り畳まれ、第二の折り目に沿って、上記基材シートに接する側の表面(うら面)同士が向かい合うように折り畳まれている位置決めテープである上記のマスキングシートを提供する。
【0012】
さらに、本発明は、上記位置決めテープA及び上記位置決めテープBが、ともに、さらに被着体用粘着剤層、基材シート用粘着剤層、第一の仮着層、第二の仮着層、剥離処理剤層を備え、上記支持体のうら面側の表面上において、幅方向における一端部から第一の折り目までの部分の少なくとも一部に上記基材シート用粘着剤層が、第一の折り目から第二の折り目までの部分の少なくとも一部に上記剥離処理剤層が、第二の折り目から幅方向における上記一端部とは反対側の端部までの部分の少なくとも一部に上記被着体用粘着剤層が設けられており、上記支持体のおもて面側の表面上において、幅方向における上記一端部から第一の折り目までの部分の少なくとも一部に上記第一の仮着層が、第一の折り目から第二の折り目までの部分の少なくとも一部に上記第二の仮着層が設けられている上記のマスキングシートを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のマスキングシートは、上記構成を有することにより、マスキングシートを手で押さえながら、折り畳まれた位置決めテープを展開してマスキングシートを被着体に貼付できるため、貼り付けの際に貼付位置がずれにくく、所定の位置に正確に貼り付けることができる。また、マスキング作業の際に、位置決めテープが所定の位置以外に貼り付くことなく、容易に貼付作業を行うことができ、マスキング作業の効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明のマスキングシートの一例を示す概略図(平面図)である。
【図2】図2は、本発明のマスキングシートにおける位置決めテープ(折り畳まれた形態の位置決めテープ)の一例を示す概略図(斜視図)である。
【図3】図3は、本発明のマスキングシートにおける位置決めテープ(折り畳まれた形態の位置決めテープ)の一例を示す概略図(断面図)である。
【図4】図4は、本発明のマスキングシートにおける位置決めテープ(展開した後の形態の位置決めテープ)の一例を示す概略図(斜視図)である。
【図5】図5は、本発明のマスキングシートにおける位置決めテープ(展開した後の形態の位置決めテープ)の一例を示す概略図(断面図)である。
【図6】図6は、本発明のマスキングシートの一例を示す概略図(平面図)である。
【図7】図7は、本発明のマスキングシートの一例を示す概略図(図6のW−W断面図)である。
【図8】図8は、本発明のマスキングシートの一例を示す概略図(平面図)である。
【図9】図9は、本発明のマスキングシートの一例を示す概略図(図8のX-X断面図)である。
【図10】図10は、本発明のマスキングシートの一例を示す概略図(平面図)である。
【図11】図11は、本発明のマスキングシートの一例(位置決めテープAが展開した形態のマスキングシート)を示す概略図(平面図)である。
【図12】図12は、本発明のマスキングシートの一例(位置決めテープAが展開した形態のマスキングシート)を示す概略図(図11のY−Y断面図)である。
【図13】図13は、本発明のマスキングシートの一例(位置決めテープAが展開した形態のマスキングシート)を示す概略図(平面図)である。
【図14】図14は、本発明のマスキングシートの一例(位置決めテープAが展開した形態のマスキングシート)を示す概略図(図13のZ−Z断面図)である。
【図15】図15は、基材シートの3辺の縁部に折り畳まれた位置決めテープが設けられたマスキングシートの一例を示す概略図(平面図)である。
【図16】図16は、基材シートの4辺の縁部に位置決めテープが設けられたマスキングシートの一例を示す概略図(平面図)である。
【図17】図17は、位置決めテープの長手方向の一部が独立して展開可能であるマスキングシートの一例を示す概略図(平面図)である。
【図18】図18は、位置決めテープの長手方向の一部が独立して展開した形態のマスキングシートの一例を示す概略図(平面図)である。
【図19】実施例1の基材シートを示す概略図(平面図)である。
【図20】実施例1の位置決めテープを示す概略図(断面図)である。
【図21】実施例1のマスキングシートを示す概略図(平面図)である。
【図22】実施例2の位置決めテープを示す概略(断面図)である。
【図23】実施例2のマスキングシートを示す概略図(平面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のマスキングシートは、略四角形状の基材シートと、該基材シート上に設けられた少なくとも2本の位置決めテープ(位置決めテープA、位置決めテープB)からなる(図1参照)。
上記位置決めテープAは、上記基材シートの一の辺(第一の辺)の縁部に、該辺に沿って、該辺の略全長さにわたり、折り畳まれた形態で設けられている。上記位置決めテープBは、上記基材シートの第一の辺と対向する辺(第二の辺)の縁部に、該辺に沿って、該辺の略全長さにわたり、折り畳まれた形態で設けられている。
【0016】
本明細書においては、位置決めテープを展開する際にのびる方向(折り畳む際に縮む方向)を幅方向(展開方向)と称し、幅方向と直交する方向を長手方向と称する(図2、図4参照)。一般的には、位置決めテープの長手方向は該位置決めテープの製造ライン方向である。
また、本明細書において、基材シートの辺の「縁部」とは、上記辺と、該辺の近傍を含む領域のことをいう。
【0017】
[基材シート]
本発明のマスキングシートにおける基材シートの形状は、生産性の観点から、平面視において略四角形状(例えば、略長方形状、略正方形状など)である。即ち、上記基材シートのシート面の形状は、略四角形状である。
【0018】
上記基材シートは、材質は特に限定されないが、例えば、プラスチック製基材シート、紙製基材シート、金属製基材シート、繊維製基材シートなどが挙げられる。中でも、プラスチック製基材シート、紙製基材シートが好ましい。上記基材シートは、単層、積層の何れの形態を有していてもよい。
【0019】
上記プラスチック製基材シートを構成する材料としては、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂などの各種樹脂が挙げられる。中でも、安価で扱いやすい固さ、耐熱性の観点から、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。すなわち、プラスチック製基材シートとしては、ポリプロピレン製シート、ポリエチレンテレフタレート製シートが好ましい。
【0020】
上記紙製基材シートとしては、例えば、和紙、クレープ紙、合成紙、クラフト紙などが挙げられる。中でも、手切れの良さ、多少の伸びが可能、扱いやすさ、強度等の観点から、和紙、クレープ紙が好ましい。
【0021】
上記基材シートの各辺の長さ(略四角形の各辺の長さ)は、特に限定されないが、一般的なマスキング用途の観点から、0.05〜10mが好ましく、さらに好ましくは0.1〜1mである。
【0022】
上記基材シートの厚みは、特に限定されないが、強度の観点から、5〜1000μmが好ましく、さらに好ましくは25〜125μmである。
【0023】
上記基材シートは、マスキングした被着体を高温にさらすことができるという観点から、耐熱性を有することが好ましい。中でも、100℃程度の雰囲気下においても使用可能な耐熱性を有することが好ましい。
【0024】
上記基材シートの製造方法としては、公知乃至慣用の基材シートの製造方法を採用することができる。また、上記基材シートは、市販品(市販のプラスチックシートや紙など)を用いてもよく、例えばポリプロピレン製シートとしては、フタムラ化学(株)製「二軸延伸ポリプロピレンフィルム FOA」が、ポリエチレンテレフタレート製シートしては東レ(株)製「ルミラーS10」が、和紙としては三木特種製紙(株)製「NTV原紙」が、クレープ紙としてはNEENAH PAPER社製「Economy Crepe C−91336」が、挙げられる。
【0025】
[位置決めテープ]
以下に、本発明のマスキングシートにおける位置決めテープについて説明する。上記位置決めテープは、上記位置決めテープA、上記位置決めテープB、及び必要に応じて用いられる、位置決めテープA及び位置決めテープB以外の位置決めテープ(「その他の位置決めテープ」と称する場合がある)を含む。なお、位置決めテープA、位置決めテープB、その他の位置決めテープは、それぞれ同じ構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。
【0026】
本発明のマスキングシートにおける位置決めテープ(位置決めテープA、位置決めテープB、必要に応じて用いられるその他の位置決めテープ)は、本発明のマスキングシート(又は、上記基材シート)を被着体に貼付固定する役割を担う粘着テープである。上記位置決めテープは、支持体(支持基材)及び粘着剤層を少なくとも有していることが好ましく、より好ましくは、上記位置決めテープの展開後に、本発明のマスキングシート(又は、上記基材シート)を被着体に貼付固定するための粘着剤層(「被着体用粘着剤層」と称する場合がある)、上記位置決めテープと上記基材シートを貼付固定する粘着剤層(「基材シート用粘着剤層」と称する場合がある)を少なくとも有している。さらに、展開するまでの間、位置決めテープを折り畳まれた形態に保持する(仮固定する)粘着剤層(「仮着層」と称する場合がある)を有していてもよい。また、粘着剤層(被着体用粘着剤層、基材シート用粘着剤層、仮着層等)以外にも、位置決めテープを展開する際に容易に展開できるという観点から、剥離処理剤層を有していてもよい。
【0027】
上記支持体としては、特に限定されないが、例えば、プラスチック製、金属製、繊維製(不織布など)、紙製などの薄葉体(シート)が挙げられる。中でも、柔軟性を有し、位置決めテープの折り畳み構造が維持されやすいことから、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、紙が好ましい。上記支持体の厚みは、特に限定されないが、5〜1000μmが好ましい。
【0028】
上記粘着剤層(被着体用粘着剤層、基材シート用粘着剤層、仮着層)を構成する粘着剤は、特に限定されないが、例えば、ゴム系粘着剤(合成ゴム系粘着剤、天然ゴム系粘着剤など)、ウレタン系粘着剤、アクリルウレタン系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、フッ素系粘着剤などの公知の粘着剤が挙げられる。上記粘着剤層を構成する粘着剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
また、上記粘着剤層を構成する粘着剤は、いずれの形態を有している粘着剤であってもよく、例えば、エマルジョン型粘着剤、溶剤型粘着剤、紫外線架橋型(UV架橋型)粘着剤、電子線架橋型(EB架橋型)粘着剤、熱溶融型粘着剤(ホットメルト型粘着剤)などが挙げられる。
【0030】
上記被着体用粘着剤層は、上記位置決めテープを展開した後に、本発明のマスキングシートを被着体に貼付固定する際に用いられる粘着剤層である。なお、上記被着体とは、主にマスキングシートにより被覆する対象物である。上記被着体用粘着剤層は、再剥離可能な粘着剤層であることが好ましい。上記被着体用粘着剤層を構成する粘着剤は、特に、合成ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤が好ましい。
【0031】
上記基材シート用粘着剤層は、上記位置決めテープと上記基材シートを貼付固定する粘着剤層である。上記基材シート用粘着剤層は、強接着性の粘着剤層であることが好ましい。上記基材シート用粘着剤層を構成する粘着剤は、特に、合成ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、天然ゴム粘着剤が好ましい。
【0032】
上記仮着層は、上記位置決めテープを展開するまでの間、折り畳まれた形態に保持する粘着剤層である。上記仮着層は、弱接着性であり、常温でタックの少ないあるいはない粘着剤層であることが好ましい。上記仮着層を構成する粘着剤は、特に合成ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ウレタン系粘着剤が好ましい。
【0033】
上記剥離処理剤層は、特に限定されないが、例えば、上記位置決めテープを折り畳んだ形態において、上記被着体用粘着剤層と接するように設けられる。これにより、剥離シートを用いずに上記被着体用粘着剤層を保護できる。また、位置決めテープの展開時には、容易に展開できる役割を発揮する。上記剥離処理剤層を構成する剥離処理剤は、特に限定されないが、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤などが挙げられる。
【0034】
上記位置決めテープ及び上記支持体の形状は、平面視において長尺状又は短冊状であることが好ましい。なお、上記位置決めテープ及び上記支持体は、長手方向に長くてもよいし、幅方向に長くてもよい。
【0035】
上記位置決めテープは、折り畳まれたテープであり、本発明のマスキングシートの使用時(貼付固定時)には、展開して用いることができる。上記位置決めテープは、折り畳まれることにより、剥離シートを用いずに被着体用粘着剤層を保護することができる。また、本発明のマスキングシートの使用時までは、コンパクトに収納することができるため好ましい。
【0036】
上記位置決めテープは、長手方向に折り目が設けられた上記支持体が備えられていることが好ましい。すなわち、上記支持体の長手方向に折り目が設けられており、該折り目に沿って折り畳まれた形態を有していることが好ましい。これによって、上記位置決めテープは、幅方向に展開することができる。上記折り目の数は、特に限定されないが、製造工程上の観点から、2本が好ましい。
上記位置決めテープは、長手方向に2本の折り目が設けられた支持体を備え、第一の折り目に沿って、上記基材シートに接する側の表面とは反対側の表面(おもて面)同士が向かい合うように(おもて面が内側になるように)折り畳まれ、第二の折り目に沿って、上記基材シートに接する側の表面(うら面)同士が向かい合うように(うら面が内側となるように)折り畳まれていることが好ましい。なお、「おもて面」とは、位置決めテープの基材シートに接する側の表面とは反対側の表面をいい、「うら面」とは、位置決めテープの基材シートに接する側の表面をいう。
【0037】
なお、上記位置決めテープの幅方向(展開方向)において、上記第一の折り目は、上記第二の折り目よりも、基材シートとの貼付位置に近い折り目である。すなわち、上記第一の折り目は、上記位置決めテープの幅方向の端部のうち、上記基材シート用粘着剤層により基材シートと固定されている側の端部に近い折り目である。
【0038】
本発明のマスキングシート及び上記位置決めテープは、剥離シートを有していないことが好ましい。剥離シートを有しないことにより、使用時に剥離シートを剥離しなくてもよいため作業効率が向上し、例えば、片手でマスキングシートを固定、位置決めし、他方の手で位置決めテープを貼り付けることができる。また廃棄物が低減する。
【0039】
上記位置決めテープの製造方法は、特に限定されないが、上記支持体に所定の折り目を設け、上記支持体の表面の所定の位置に上記粘着剤及び上記剥離処理剤を、公知乃至慣用の方法で塗布する等の方法により、上記支持体の表面上に粘着剤層及び剥離処理剤層を形成して、製造することができる。粘着剤層及び剥離処理剤層は、特に限定されないが、均一に(ベタ状に)設けられてもよいし、ストライプ状、ドット状に設けられていてもよい。
本発明の位置決めテープとしては、例えば、特開平7−157728号公報に記載されている位置決めテープ等を用いることができる。また、本発明の位置決めテープとしては、市販品を用いてもよく、例えば、日東ライフテック(株)製「ニトナップZ−5510」、「ニトフォールドZ−6001*SS」などが挙げられる。
【0040】
以下に、上記位置決めテープの好ましい具体的態様の一例(以下、「具体的態様の位置決めテープ」と称する)を示す。但し、本発明における位置決めテープは、この具体的態様により限定されない。
【0041】
図2、3は本発明のマスキングシートにおける位置決めテープ(折り畳まれた形態の位置決めテープ)の一例を示す概略図である。図2は、本発明のマスキングシートにおける位置決めテープの一例である上記具体的態様の位置決めテープの斜視図を、図3は断面図を示す。また、図4、5は、本発明のマスキングシートにおける位置決めテープ(展開した後の形態の位置決めテープ)の一例を示す概略図である。図4は、本発明のマスキングシートにおける位置決めテープの一例である上記具体的態様の位置決めテープを展開した後の形態の概略図(斜視図)を、図5は概略図(断面図)を示す。なお、図5では、上面が位置決めテープの基材シートに接する側の表面とは反対側の表面である「おもて面」であり、下面が、位置決めテープの基材シートに接する側の表面である「うら面」である。また、図2、3では、折り目は、「コ」の字状に表している。
【0042】
上記具体的態様の位置決めテープにおいて、支持体11には長手方向に2本の折り目(第一の折り目25及び第二の折り目26)が設けられている。なお、上記支持体11において、幅方向(展開方向)における第一の折り目25に近い端部24(2本の折り目のうち、第一の折り目25により近い端部)から第一の折り目25までの部分を「第1部分」(21)と称する。また、第一の折り目25から第二の折り目26までの部分を「第2部分」(22)と称する。さらに、第二の折り目26から幅方向における第二の折り目26により近い端部27(上記端部24とは反対側の端部)までの部分を「第3部分」(23)と称する。
【0043】
上記具体的態様の位置決めテープは、支持体11の第1部分21のうら面側の表面上に、基材シート用粘着剤層12を有する。また、支持体11の第2部分22のうら面側の表面上に、剥離処理剤層13を有する。さらに、支持体11の第3部分23のうら面側の表面上に、被着体用粘着剤層14を有する。基材シート用粘着剤層12は、第1部分21の全面に設けられていてもよいし、一部に設けられていてもよい。また、剥離処理剤層13は、第2部分22の全面に設けられていてもよいし、一部に設けられていてもよい。被着体用粘着剤層14は、第3部分23の全面に設けられていてもよいし、一部に設けられていてもよい。
【0044】
上記具体的態様の位置決めテープは、支持体11の第1部分21のおもて面側の表面上に、第一の仮着層15を有する。また、支持体11の第2部分22のおもて面側の表面上に、第二の仮着層16を有する。第一の仮着層15は、第1部分21の全面に設けられていてもよいし、一部に設けられていてもよい。また、第二の仮着層16は、第2部分の全面に設けられていてもよいし、一部に設けられていてもよい。第一の仮着層15及び第二の仮着層16を構成する粘着剤は、相性の悪い粘着剤の組み合わせて用いてもよいし、自着性の低い一種類の粘着剤を用いてもよい。なお、第一の仮着層15及び第二の仮着層16の一方は、設けなくてもよい。また、第一の仮着層15及び第二の仮着層16の一方は、粘着剤層であり、他方が剥離層であってもよい。
【0045】
上記具体的態様の位置決めテープは、基材シート用粘着剤層12により本発明のマスキングシートにおける基材シートに固定されている。また、第一の仮着層15と第二の仮着層16、及び、被着体用粘着剤層14と剥離処理剤層13がそれぞれ比較的弱い力で貼り合わされている(仮固定されている)ことにより、折り畳まれた形態を保持している。本発明のマスキングシートを被着体に貼付固定する際(使用時)には、上記端部27を引っ張ることにより、第一の仮着層15と第二の仮着層16との層間及び被着体用粘着剤層14と剥離処理剤層13との層間が剥離して(仮固定が解けて)、上記具体的態様の位置決めテープを展開することができる(図4、図5)。上記具体的態様の位置決めテープは、展開した後、被着体用粘着剤層14を被着体に貼付することにより、マスキングシートを被着体に貼付固定することができる。
【0046】
[マスキングシート]
本発明のマスキングシートは、上記基材シート、上記位置決めテープA及び上記位置決めテープBを少なくとも有する。さらに、必要に応じてその他の位置決めテープを有していてもよい。上記位置決めテープA、上記位置決めテープB、及び必要に応じて設けられるその他の位置決めテープは、上記基材シート上に折り畳まれた形態で、同一表面上に設けられている。
【0047】
図6〜10は、本発明のマスキングシートの例を示す概略図(基材シート上において、第一の辺及び第二の辺の縁部に折り畳まれた位置決めテープが設けられたマスキングシートの例を示す概略図(平面図及び断面図))である。なお、図6〜18において、基材シート41は、4つの頂点(P、Q、R、S)、及び第一の辺PQ、第二の辺RS、第三の辺QR、第四の辺SPを有している。但し、本発明におけるマスキングシートはこれに限定されるものではない。
【0048】
上記位置決めテープAは、上記基材シートの略四角形の四辺のうち、一の辺(第一の辺)の縁部に設けられている。また、上記位置決めテープBは、上記基材シートの略四角形の四辺のうち、上記第一の辺と対向する辺である第二の辺の縁部に設けられている。なお、本明細書において、基材シートの辺の「縁部」とは、基材シートの辺と該辺の近傍を含む領域のことをいう。
【0049】
図6〜9で示すように、位置決めテープA31は、第一の辺42の縁部に設けられている。位置決めテープA31は、第一の辺42に接していてもよいし(位置決めテープA31の第一の折り目311が、基材シートの第一の辺42に接していてもよいし)、接していなくてもよい。位置決めテープA31と第一の辺42との距離(最短距離)は、150mm以下が好ましく、より好ましくは50mm以下である。
位置決めテープB32は、第二の辺43の縁部に設けられている。位置決めテープB32は、第二の辺43に接していてもよいし(位置決めテープB32の第一の折り目321が、基材シートの第二の辺43に接していてもよいし)、接していなくてもよい。位置決めテープB32と第二の辺43との距離(最短距離)は、150mm以下が好ましく、より好ましくは50mm以下である。
【0050】
上記位置決めテープAは、上記基材シートの上記第一の辺に沿って設けられている。すなわち、上記位置決めテープAは、長手方向が第一の辺に沿うように設けられている(長手方向の中心線が第一の辺と略平行となるように設けられている)。また、上記位置決めテープBは、上記基材シートの上記第二の辺に沿って設けられている。すなわち、上記位置決めテープBは、長手方向が第二の辺に沿うように設けられている(長手方向の中心線が第二の辺と略平行となるように設けられている)。
【0051】
上記位置決めテープA、及び上記位置決めテープBが、上記基材シートの辺に沿って設けられていることにより、マスキングシートと被着体の間に弛み(マスキングシートの浮き)が生じにくくなり、マスキングシートと被着体を隙間なく貼り付けることができる(マスキング性が向上する)。
【0052】
上記位置決めテープAは、上記基材シートの上記第一の辺の略全長さ(略全長)にわたり設けられている。また、上記位置決めテープBは、上記基材シートの上記第二の辺の略全長さ(略全長)にわたり設けられている。
【0053】
図6に示すように、上記位置決めテープAの全長は、第一の辺42の長さと等しくてもよいし、図10に示すように、上記位置決めテープAの全長は、第一の辺42の長さより短くてもよい。上記位置決めテープBの全長は、第二の辺43の長さと等しくてもよいし、第二の辺43の長さより短くてもよい。
【0054】
上記位置決めテープAの全長(上記第一の辺の略全長さ)は、特に限定されない。基材シートの第一の辺の全長に対する位置決めテープAの長手方向の長さの割合(百分率)は、60%〜100%であることが好ましく、より好ましくは80%〜100%である。
【0055】
上記位置決めテープBの全長(上記第二の辺の略全長さ)は、特に限定されない。基材シートの第二の辺の全長に対する位置決めテープBの長手方向の長さの割合(百分率)は、60%〜100%であることが好ましく、より好ましくは80%〜100%である。
なお、基材シートの第一の辺の全長に対する位置決めテープAの長手方向の長さの割合(百分率)は、[(位置決めテープAの長手方向の長さ(m))/(基材シートの第一の辺の全長(m))×100]で表される。基材シートの第二の辺の全長に対する位置決めテープBの長手方向の長さの割合(百分率)は、[(位置決めテープBの長手方向の長さ(m))/(基材シートの第二の辺の全長(m))×100]で表される。
【0056】
上記位置決めテープA、及び上記位置決めテープBが、上記基材シートの略全長さにわたり設けられていることにより、マスキングシートの浮きが生じにくくなり、マスキング性が向上する。
【0057】
上記位置決めテープA及び上記位置決めテープBは展開可能である。より詳しくは、折り畳まれた状態で上記基材シート上に設けられた上記位置決めテープA及び上記位置決めテープBは、それぞれ上記基材シートの外側へ展開可能である。
【0058】
図11〜14は、本発明のマスキングシート(位置決めテープAが展開した形態のマスキングシート)の例を示す概略図(平面図及び断面図))である。
図11、12は、基材シート41に設けられた位置決めテープA31が展開した形態を示す。「基材シートの外側へ展開可能」とは、位置決めテープ(位置決めテープA31及び位置決めテープB32)が、基材シートの重心46から離れる方向に展開することができることを表す。すなわち、位置決めテープA31の幅方向における第二の折り目により近い端部312(基材シート41に固定されていない側の幅方向の端部)の位置(本発明のマスキングシートのシート面内における位置)が、位置決めテープA31の展開前よりも展開後の方が、基材シートの重心46より遠い位置になることをいう。
【0059】
本発明のマスキングシートは、少なくとも上記位置決めテープA、及び上記位置決めテープBを備えている。本発明のマスキングシートは、上記位置決めテープA、上記位置決めテープB以外にも、その他の位置決めテープを備えていてもよい。上記その他の位置決めテープが設けられる位置は、特に限定されないが、例えば上記基材シートの第三の辺に沿って設けられていてもよいし、上記基材シートの第三の辺及び第四の辺(略四角形状の基材シートの全辺)に沿って設けられていてもよい。
図15は、基材シートの3辺の縁部に位置決めテープが設けられたマスキングシートの一例を示す概略図(平面図)である。図16は、基材シートの4辺(基材シートの全辺)の縁部に位置決めテープが設けられたマスキングシートの一例を示す概略図(平面図)である。
【0060】
図15で示すように、位置決めテープA及び位置決めテープB以外に、その他の位置決めテープC33が、第三の辺44に沿って設けられていてもよい。また、図16で示すように、位置決めテープA及び位置決めテープB以外に、その他の位置決めテープC33が、第三の辺44に、その他の位置決めテープD34が、第四の辺45に沿って設けられていてもよい。その他の位置決めテープを、基材シートの第三の辺、及び/又は第四の辺に設けることにより、マスキングシートと被着体を貼付固定した際に、マスキングシートの浮きがより一層生じにくくなり、マスキング性がさらに向上する。
【0061】
本発明のマスキングシートの製造方法は、特に限定されないが、基材シートの表面に、位置決めテープを貼り合わせて製造することができる。例えば、位置決めテープにおける上記基材シート用粘着剤層が基材シートと接するように、基材シート上に位置決めテープを貼り合わせて製造することができる。
【0062】
上記位置決めテープA、上記位置決めテープB、及び上記その他の位置決めテープは、それぞれ長手方向の一部が、該長手方向の一部以外の部分とは独立して展開可能であってもよい。中でも、具体的には、上記位置決めテープA、上記位置決めテープB、及び上記その他の位置決めテープは、それぞれ長手方向の一端部を含む部分が、該長手方向の一端部を含む部分以外の部分とは独立して展開可能であってもよい。「独立して展開可能」とは、長手方向の一端部を含む部分と該長手方向の一端部を含む部分以外の部分を、それぞれ別々に(別のタイミングで)展開することが可能であることをいう。
【0063】
また、上記位置決めテープAは、長手方向の一端部を含む部分及び他端部(長手方向の上記一端部とは反対側の端部)を含む部分が、それ以外の部分(上記一端部を含む部分及び上記他端部を含む部分以外の部分)とは独立して展開可能であってもよい。また、上記位置決めテープBも同様に、長手方向の一端部を含む部分及び他端部を含む部分が、それ以外の部分とは独立して展開可能であってもよい。なお、以下では、長手方向の一端部を含む部分及び他端部を含む部分をあわせて、「長手方向の端部を含む部分」と称する。
【0064】
図17は、位置決めテープの長手方向の一部が独立して展開可能であるマスキングシートの一例を示す概略図(平面図)である。図18は、位置決めテープの長手方向の一部が独立して展開した形態のマスキングシートの一例を示す概略図(平面図)である。
図17、18で示すマスキングシートには、位置決めテープAの長手方向の一端部を含む部分31a、及び位置決めテープAの長手方向の他端部を含む部分31bが、位置決めテープAの長手方向の一端部を含む部分及び他端部を含む部分以外の部分31cとは独立して展開可能な位置決めテープAと、位置決めテープBの長手方向の一端部を含む部分32a、及び位置決めテープBの長手方向の他端部を含む部分32bが、位置決めテープBの長手方向の一端部を含む部分及び他端部を含む部分以外の部分32cとは独立して展開可能な位置決めテープBが設けられている。
図18は、位置決めテープAの長手方向の一端部を含む部分31a及び他端部を含む部分31bが、位置決めテープAの長手方向の一端部を含む部分及び他端部を含む部分以外の部分31cとは独立して展開した形態のマスキングシートである。
【0065】
上記長手方向の端部を含む部分の長手方向の長さは、特に限定されない。位置決めテープの長手方向の全長さに対する位置決めテープの長手方向の端部を含む部分の長手方向の長さの割合(百分率)は、1%〜30%であることが好ましく、より好ましくは1%〜10%である。
なお、位置決めテープの長手方向の全長さに対する位置決めテープの長手方向の端部を含む部分の長手方向の長さの割合(百分率)は、[(位置決めテープの長手方向の端部を含む部分の長手方向の長さ(m))/(位置決めテープの長手方向の全長さ(m))×100]で表される。
【0066】
位置決めテープに、上記長手方向の端部を含む部分が、上記範囲に設けられることにより、長手方向の端部を含む部分を先に展開して被着体に貼り付けて位置決めをする際に、マスキングシートが一層ずれにくくなり、より正確に位置決めすることができる。
図18で示すように、長手方向の端部を含む部分31a及び他端部を含む部分31bを、それ以外の部分31cと独立して展開することにより、長手方向の端部を含む部分31a及び他端部を含む部分31bを先に展開して被着体に貼付固定し、マスキングシートの位置を固定することができる。その後、それ以外の部分31cを展開して被着体に貼付することにより、貼付位置が一層ずれにくくなり、マスキング作業の効率がさらに向上する。特に本発明のマスキングシートが大きい場合(被着体が大きい場合)には、位置決めテープの長さが長くなり、位置決めテープの展開作業が困難となる場合があるため、そのような場合には有効である。
【0067】
位置決めテープの長手方向の端部を含む部分がそれ以外の部分とは独立して展開可能なマスキングシートの製造方法は、特に限定されないが、1本の位置決めテープに予め切れ込みを入れて独立して展開可能な部分を作製してもよい。
【0068】
本発明のマスキングシートの用途は、特に限定されないが、絵付け用の型紙、テーブルやフロアーの汚れ防止シート、建築資材等への塗装工程、半導体ウエハや太陽電池などの精密品製造工程における汚染防止シートなどに好ましく用いられる。絵付け用の型紙としては、基材シートの一部に穴(例えば文字、絵など)を切り抜いたものが使用できる。
【実施例】
【0069】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
【0070】
実施例1
[基材シート]
基材シートとして、長方形状のNTV原紙シート(三木特種製紙(株)製:長手方向300mm、幅方向500mm)を用いた。なお、基材シート41には、図19で示すような模様を切り抜き、切り抜き部5を設けた。上記切り抜き部5にペンキを塗ることにより、切り抜き部の模様のみを特定の位置にペイントすることができる。
[位置決めテープ]
位置決めテープは、支持体11の第1部分21のうら面側に基材シート用粘着剤層12が設けられ、第2部分22のうら面側に剥離処理剤層13が設けられ、第3部分23のうら面側に被着体用粘着剤層14が設けられ、第2部分22のおもて面側に仮着層16が設けられたニトフォールトZ−6001*SS(日東ライフテック(株)社製)を用いた。図20は、実施例1の位置決めテープの断面図である。なお、上記位置決めテープは、図20のように、端部から5mmの部分には、被着体用粘着剤層14が設けられていないため、位置決めテープを簡単に展開することができる。
[マスキングシート]
図21に示すように、上記基材シートの長さ300mmの辺に沿って上記位置決めテープを貼り付け、端部から30mmの位置に切れ込み6を入れた。なお、上記位置決めテープは、長さ300mmの辺に全長にわたり、辺と接するように、基材シートの外側へ展開できるように設けられている。
[マスキングシートの使用]
切り抜き部5を所望の位置に合わせ、片手でマスキングシートを押さえたまま、他方の手で、端部から30mmの部分7を伸ばして、平面状の鉄板に貼付し、固定した。その後、それ以外の部分8を伸ばし、マスキングシートの両端を固定した。その後、切り抜き部にペイントをし、マスキングシートを剥がした。
上記方法により、貼付位置がずれることなく簡単に位置決めができた。また、切り抜き模様にペイントすることができた。
【0071】
実施例2
[基材シート]
基材シートとして、長方形状のPET S−10(東レ(株)製:長手方向300mm、幅方向500mm、厚み25μm)を用いた。
[位置決めテープ]
位置決めテープは、支持体11の第1部分21のうら面側に基材シート用粘着剤層12が設けられ、第2部分22のうら面側に剥離処理剤層13が設けられ、第3部分23のうら面側に被着体用粘着剤層14が設けられ、第2部分22のおもて面側に仮着層16が設けられたニトフォールトZ−6001*SS(日東ライフテック(株)社製)を用いた。図22は、実施例2の位置決めテープの断面図である。なお、上記位置決めテープは、図22のように、端部に粘着剤が塗工されているため、塗装時の見切り線を出すことができる。
[マスキングシート]
図23に示すように、上記基材シート41の長さ500mmの辺に沿って上記位置決めテープ9を貼り付けた。なお、上記位置決めテープ9は、長さ500mmの辺に全長にわたり、辺と接するように、基材シートの外側へ展開できるように設けられている。
[マスキングシートの使用]
一方の位置決めテープを伸ばし、位置決めテープの端部と、垂直に設けられた平面状の鉄板(塗装面)の塗装見切り線位置とが合うように位置合わせし、位置決めテープを塗装面に貼り付けた。その後、他方の位置決めテープを伸ばし、マスキングシートがたるまないようにしながら貼り付けた。そして、塗装をし、塗装終了後、マスキングシートを剥がした。
上記方法により、貼付位置がずれることなく簡単に位置決めできた。また、塗装面と、非塗装面との間に、塗装見切り線を設けることができた。
【0072】
比較例1
位置決めテープとして、マスキングテープ「No.720」(日東電工(株)製、折り畳まれていない位置決めテープ)を用いた以外は、実施例2と同様にして、マスキングシートを得た。
実施例2と同様にして、マスキングシートを使用したところ、マスキングテープの端部と、塗装面の塗装見切り線位置とが合うように位置を決めつつ貼り合わせるのが非常に困難であった。
【符号の説明】
【0073】
11 支持体
12 基材シート用粘着剤層
13 剥離処理剤層
14 被着体用粘着剤層
15 第一の仮着層
16 第二の仮着層
21 第1部分
22 第2部分
23 第3部分
24 幅方向における第一の折り目に近い端部
25 第一の折り目
26 第二の折り目
27 幅方向における第二の折り目により近い端部
31 位置決めテープA
311 位置決めテープAの第一の折り目
312 位置決めテープAの幅方向における第二の折り目により近い端部
31a 位置決めテープAの長手方向の一端部を含む部分
31b 位置決めテープAの長手方向の他端部を含む部分
31c 位置決めテープAの長手方向の一端部を含む部分及び他端部を含む部分以外の部分
32 位置決めテープB
321 位置決めテープBの第一の折り目
32a 位置決めテープBの長手方向の一端部を含む部分
32b 位置決めテープBの長手方向の他端部を含む部分
32c 位置決めテープBの長手方向の一端部を含む部分及び他端部を含む部分以外の部分
33 その他の位置決めテープC
34 その他の位置決めテープD
41 基材シート
42 第一の辺
43 第二の辺
44 第三の辺
45 第四の辺
46 基材シートの重心
5 切り抜き部分
6 切れ込み
7 位置決めテープの端部から30mmの部分
8 位置決めテープのそれ以外の部分
9 位置決めテープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略四角形状の基材シートと、
前記基材シート上において、前記基材シートの第一の辺の縁部に、該辺に沿って、該辺の略全長さにわたり設けられた、折り畳まれた位置決めテープAと、
前記基材シート上において、前記第一の辺と対向する第二の辺の縁部に、該辺に沿って、該辺の略全長さにわたり設けられた、折り畳まれた位置決めテープB
とを少なくとも備え、前記位置決めテープA及び前記位置決めテープBが展開可能であることを特徴とするマスキングシート。
【請求項2】
前記位置決めテープAの長手方向の一端部を含む部分及び他端部を含む部分がそれ以外の部分とは独立して展開可能であり、前記位置決めテープBの長手方向の一端部を含む部分及び他端部を含む部分がそれ以外の部分とは独立して展開可能である請求項1に記載のマスキングシート。
【請求項3】
前記位置決めテープA及び前記位置決めテープBが、ともに、長手方向に2本の折り目が設けられた支持体を備え、第一の折り目に沿って、前記基材シートに接する側の表面とは反対側の表面(おもて面)同士が向かい合うように折り畳まれ、第二の折り目に沿って、前記基材シートに接する側の表面(うら面)同士が向かい合うように折り畳まれている位置決めテープである請求項1又は2に記載のマスキングシート。
【請求項4】
前記位置決めテープA及び前記位置決めテープBが、ともに、さらに被着体用粘着剤層、基材シート用粘着剤層、第一の仮着層、第二の仮着層、剥離処理剤層を備え、
前記支持体のうら面側の表面上において、幅方向における一端部から第一の折り目までの部分の少なくとも一部に前記基材シート用粘着剤層が、第一の折り目から第二の折り目までの部分の少なくとも一部に前記剥離処理剤層が、第二の折り目から幅方向における前記一端部とは反対側の端部までの部分の少なくとも一部に前記被着体用粘着剤層が設けられており、
前記支持体のおもて面側の表面上において、幅方向における前記一端部から第一の折り目までの部分の少なくとも一部に前記第一の仮着層が、第一の折り目から第二の折り目までの部分の少なくとも一部に前記第二の仮着層が設けられている請求項3に記載のマスキングシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−60494(P2013−60494A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198427(P2011−198427)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【出願人】(501327662)日東ライフテック株式会社 (19)
【Fターム(参考)】