説明

マスキング材

【課題】 本発明は部材に部品を強固に取付けることが出来るようにすることを課題とする。
【解決手段】 部材1に部品3を取付ける個所の取付座7と複数本のスタッドボルト4,4とをマスキング材9で被覆保護する。該マスキング材9は座被覆部10とボルト被覆部11とからなり、該取付け個所の取付座7を該座被覆部10で被覆し、複数本のスタッドボルト4,4をボルト被覆部11で保護し、塗装が及ぼされないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は所定個所に塗装が及ぼされないように保護するマスキング材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車の床裏面には防錆塗料がスプレー塗装される。この場合図1に示すように床板1には補強のために長手方向に左右一対のリブ2,2が形成されるが、該リブ2,2を更に補強のためにリブ2,2間に補強梁3が差渡される。
【0003】
該補強梁3をリブ2,2間に差渡し取付けるには、図2に示すように床板1のリブ2,2にスタッドボルト4,4を溶接しておいて、該補強梁3の両端部に設けたボルト穴5,5に該スタッドボルト4を挿通し、該補強梁3の下面からナット6,6によって締付ける。
【0004】
自動車床裏面の塗装は、通常該補強梁3取付け前に行なわれるので、該リブ2,2の補強梁取付け個所(取付座7やスタッドボルト4)にまで塗装が及ぼされると、塗膜の存在のために補強梁3の取付け強度が低くなる。
【0005】
そこで従来は図8に示すように取付座7やスタッドボルト4にマスキングテープ8を貼着してから塗装を施している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マスキングテープ8を取付座7やスタッドボルト4に取付け、取りはずすことは非常に手間を要する作業になり、自動車のような大量連続生産工程では大きな支障となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、部材1表面に部品取付座7を画定し、該部品取付座7内側に部品3を取付けるためのスタッドボルト4,4の複数本を立設した部材1表面の部品3取付け個所を被覆して塗装から該部品3取付け個所を保護するマスキング材9であって、該部品3表面の部品取付座7を被覆する板状の座被覆部10と、該座被覆部10から凹設され該複数本のスタッドボルト4,4をまとめて被覆するボルト被覆部11とからなるマスキング材9を提供するものである。
本発明のマスキング材9が有用に適用されるのは、例えば自動車床裏面の塗装工程である。
上記マスキング材9はプラスチック発泡体からなり、座被覆部10を介して複数個連結されており、該マスキング材9相互の境界には折取り溝12が形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
〔作用〕
本発明のマスキング材9は、部材1表面の部品取付座7の複数本のスタッドボルト4をまとめてボルト被覆部11内に挿入し、座被覆部10によって該部品取付座7を被覆することによって、該部材1の部品取付け個所に取付けられる。
該マスキング材9を該部材1の部品取付け個所に取付けた後、該部材1表面に塗装を施す。塗装後は該マスキング材9を該部品取付け個所から取りはずす。該取付座7と該スタッドボルト4とは該マスキング材9によって塗装工程中保護されているので、塗装が及ぼされない。
上記マスキング材9はプラスチック発泡体からなり、座被覆部10を介して複数個連結されており、該マスキング材9相互の境界には折取り溝12が形成されていると、該マスキング材9は折取り溝12から容易に折取りが出来、マスキング材9の取付け作業が効率良く行なわれる。
【0009】
〔効果〕
本発明では部材表面の部品取付け個所に簡単にかつ能率的にマスキング材を取付け取りはずしすることが出来、そして部品取付け強度が塗膜のために低下することもなく、自動車の連続生産工程等に特に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の一実施例を図1〜図7に示す。図3、図4には本発明のマスキング材9が示される。該マスキング材9は図1、図2に示す部材である自動車床板1のリブ2,2間に差渡される補強梁3の取付け個所に使用されるもので、取付座7を被覆する板状の座被覆部10と、該座被覆部10から凹設されるボルト被覆部11とからなり、該マスキング材9は複数個の該座被覆部10を介して連結されており、該マスキング材9相互の境界には折取り溝12が設けられている。
【0011】
該マスキング材9は例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性プラスチックの発泡体からなるが、特にポリスチレン発泡体を材料とすると、各マスキング材9を折取り溝12から簡単に折り取ることが出来る。上記熱可塑性プラスチック発泡体からなるマスキング材9は例えばビーズ発泡成形により製造される。
【0012】
本発明のマスキング材9は非発泡の熱可塑性プラスチックシートの真空および/または圧空成形品であってもよい。上記熱可塑性プラスチックとしては例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレンターポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性ウレタン樹脂等がある。
【0013】
上記熱可塑性プラスチック発泡体または非発泡熱可塑性プラスチックシートには、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、燐酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、ケイ藻土、ドロマイト、石膏、タルク、クレー、アスベスト、マイカ、ガラス繊維、カーボン繊維、ケイ酸カルシウム、ベンナイト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、鉄粉、アルミニウム粉、石粉、高炉スラグ、フライアッシュ、セメント、ジルコニア粉等の無機充填材、木綿、麻、竹繊維、ヤシ繊維、羊毛、絹等の天然繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ビスコース繊維、アセテート繊維、塩化ビニル繊維、塩化ビニリデン繊維、ビニロン繊維、アセテート繊維等の有機合成繊維、アスベスト繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、ウィスカー等の無機繊維、リンター、リネン、サイザル、木粉、ヤシ粉、クルミ粉、でん粉、小麦粉等の有機充填材、顔料や染料、DOP,DBP等の可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶化促進剤、難燃剤、防炎剤、防虫剤、防腐剤、ワックス類、滑剤、老化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤が添加されてもよい。
【0014】
また本発明の材料としては熱可塑性プラスチック発泡体シートと非発泡熱可塑性プラスチックシートとの積層シートが使用されてもよい。
【0015】
更に本発明のマスキング材の材料としては、例えばアクリルゴム、ブチルゴム、ケイ素ゴム、ウレタンゴム、フッ化物系ゴム、多硫化物系ゴム、グラフトゴム、ブタジエンゴム、ポリブタジエン、イソプレンゴム、ポリイソプレン、クロロプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリブテンゴム、チオコールゴム、多硫化ゴム、ポリエーテルゴム、エピクロロヒドリンゴム、ノルボルネンターポリマー、ヒドロキシ又はカルボキシ−末端変性ポリブタジエン、部分水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体、クロルスルホン化ゴム、イソブテン−イソプレンゴム、アクリレート−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ピリジン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−エチレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(αメチルスチレン)、ポリ(αメチルスチレン)−ポリイソプレン−ポリ(α−メチルスチレン)、ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン−エチリデン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−ブテン−1共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−エチルデンノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−1,4ヘキサジエン共重合体ゴム、エチレン−ブテン−1−エチリデンノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−ブテン−1−ジシクロペンタジエン共重合体ゴム、エチレン−ブテン−1−1,4ヘキサジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−クロロプレンゴム、スチレン−クロロプレンゴム等の合成ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−水素添加ポリオレフィン−スチレン共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマーやブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ゴム中間ブロック−スチレン共重合体等のブロック共重合体等のブロック共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリオキシメチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、メチルペンテンコポリマー、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート等の等のエンジニアリングプラスチック、また上記エンジニアリングプラスチックと、他の熱可塑性合成樹脂とのポリマーアロイがある。上記材料には前記充填材、添加剤等が添加されてもよい。
【0016】
上記マスキング材9は折取り溝12から折取られ、図5、図6に示すように例えば部材である自動車床板1のリブ2の所定個所に設けられている部品である補強梁3の取付け個所(取付座7)に取付けられる。この際、該マスキング材9のボルト被覆部11を二本のスタッドボルト4,4にまたがって被覆し、座被覆部10を取付座7に被覆する。
【0017】
この状態で床板1裏面に塗装Pを施し、その後マスキング材9を取付け個所から取りはずす。該床板1のリブ2,2の補強梁3取付け個所は塗装中マスキング材9によって保護されていたので、取付座7とスタッドボルト4には該塗装が及ぼされていない。
【0018】
したがって図1、図2に示すように、床板1の左右一対のリブ2,2に補強梁3を取付ける際、該補強梁3の両端を該リブ2,2の取付け個所に強固に取付けることが出来る。
【0019】
上記実施例以外、本発明は部材としては例えば、キャビネット、フレーム等、部品としてはキャビネットやフレーム等に取付けられる物入れ、把手等種々の部材−部品取付けに適用されることは云うまでもない。また部品取付け個所のスタッドボルトも3本以上取付けられてもよい。また更にマスキング材は複数個連結することなく、個々に提供されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明のマスキング材は、部材における部品取付け個所に簡単に取付け取りはずすことが出来、そして該マスキング材によって塗装工程中保護されていた該部品取付け個所には塗膜が付着していないので、該部品を該部材に強固に取付けることが出来るから、自動車等の大量連続生産工程に適用して極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1〜図7は本発明の一実施例を示すものである。
【図1】自動車床裏面説明部分斜視図
【図2】補強梁取付け個所説明斜視図
【図3】マスキング材斜視図
【図4】マスキング材側断面図
【図5】マスキング材取付け状態説明斜視図
【図6】マスキング材取付け状態説明側面図
【図7】マスキング材取りはずし後の状態を示す説明斜視図
【図8】従来例の説明斜視図
【符号の説明】
【0022】
1 部材(自動車床板)
2 リブ
3 補強梁(部品)
4 スタッドボルト
7 取付座
9 マスキング材
10 座被覆部
11 ボルト被覆部
12 折取り溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材表面に部品取付座を画定し、該部品取付座内側に部品を取付けるためのスタッドボルトの複数本を立設した部材表面の部品取付け個所を被覆して塗装から該部品取付け個所を保護するマスキング材であって、該部品表面の部品取付座を被覆する板状の座被覆部と、該座被覆部から凹設され該複数本のスタッドボルトをまとめて被覆するボルト被覆部とからなることを特徴とするマスキング材。
【請求項2】
上記部材表面は自動車床裏面である請求項1に記載のマスキング材。
【請求項3】
上記マスキング材はプラスチック発泡体からなり、座被覆部を介して複数個連結されており、該マスキング材相互の境界には折取り溝が形成されている請求項1または2に記載のマスキング材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate