マスキング材
【課題】本発明の課題は、マスキング対象部材の貫通孔内が塗料によって汚染されることを確実に防止することにある。
【解決手段】マスキング対象部材1の貫通孔2に取付けられるマスキング材30に該貫通孔2に嵌着する嵌合突部31,32,33,34,35,36,62,63,64,65,66,67を設け、該嵌合突部31,32,33,34,35,36,62,63,64,65,66,67の全縁的または部分的に設けた凸縁部40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84Aによって該貫通孔2の奥端周縁部を被覆して、スプレー塗装の際、該マスキング対象部材1の裏側にまわり込んだ塗料ミストが該貫通孔2の奥端から内部に侵入することを防止する。
【解決手段】マスキング対象部材1の貫通孔2に取付けられるマスキング材30に該貫通孔2に嵌着する嵌合突部31,32,33,34,35,36,62,63,64,65,66,67を設け、該嵌合突部31,32,33,34,35,36,62,63,64,65,66,67の全縁的または部分的に設けた凸縁部40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84Aによって該貫通孔2の奥端周縁部を被覆して、スプレー塗装の際、該マスキング対象部材1の裏側にまわり込んだ塗料ミストが該貫通孔2の奥端から内部に侵入することを防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品に塗装、メッキ等の表面処理を施す場合、表面処理が施されるべきでない箇所(被マスキング部分)に被着されるマスキング材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物品の被マスキング部分を塗装等の表面処理から保護する場合、例えば被マスキング部分を粘着テープ等で被覆して表面処理することによって行われていた。しかし被マスキング部分を粘着テープで被覆する作業は非常に手間がかかる。
そこで従来、貫通孔を有する被マスキング部分の場合、例えば図15に示す円筒状の嵌合部121Aや図17に示す箱形の嵌合部121Bを有するプラスチック製のマスキング材120A,120Bを使用して、該嵌合部121A,121Bを被マスキング部分の貫通孔110A、110Bに嵌着することによりマスキング材120A,120Bを被着することによって行っていた。
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第2566769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のマスキング材120A,120Bでは、塗料を吹き付ける際、図16および図18に示すように塗料等のミストが物品101A,101Bの裏側にまわり込んで貫通孔110A,110Bの奥端から貫通孔110A,110B内に侵入し、塗装が施されるべきでない貫通孔110A,110Bの内面に塗料が付着してしまうと云う問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来の課題を解決するための手段として、マスキング対象部材1に存在する貫通孔2に嵌着する嵌合突部31,32,33,34,35,36,62,63,64,65,66,67を設けたマスキング材30であって、
該嵌合突部31,32,33,34,35,36,62,63,64,65,66,67には全縁的または部分的に該貫通孔2奥端周縁部を被覆する凸縁部40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84Aが突設されており、
更に該凸縁部40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84Aの所定個所には一個または複数個の係合突起42,44,45,47,49,50,52,53,55,56,57,58,59,71,72,77,78,79,80,81,82,86,87,88が形成されていることを特徴とするマスキング材30を提供するものである。
上記マスキング材30はロックウェル(ASTM:D785)R50〜130の硬さの熱可塑性樹脂シートの真空成形および/または圧空成形品であることが望ましく、更に上記熱可塑性樹脂シートの厚みは0.2〜0.5mmであることが望ましい。このような熱可塑性樹脂シートの真空成形および/または圧空成形品であるマスキング材30にあっては、上記嵌合突部31,32,33,34,35,36,62,63,64,65,66,67に突設されている凸縁部40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84Aの突出量と上記凸縁部40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84Aに形成されている係合突起42,44,45,47,49,50,52,53,55,56,57,58,59,71,72,77,78,79,80,81,82,86,87,88の該凸縁部40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84Aからの高さは1〜3mmであることが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
〔作用〕
本発明のマスキング材30の嵌合突部31,32,33,34,35,36,62,63,64,65,66,67をマスキング対象部材1の貫通孔2に挿入することによって、該マスキング材30を該マスキング対象部材1の貫通孔2に取付ける。また該マスキング材30にあっては凸縁部40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84Aの所定個所に設けた係合突起42,44,45,47,49,50,52,53,55,56,57,58,59,71,72,77,78,79,80,81,82,86,87,88が該貫通孔2の奥端周縁部に係合するから、該マスキング材30は該貫通孔2に堅固に取付けられ、塗装の際のスプレー圧等の外力が該マスキング材30に及ぼされても該マスキング材30は該貫通孔2からずれたり、はずれたりすることはない。
該マスキング材30を該貫通孔2に取付けた状態で、該嵌合突部31,32,33,34,35,36,62,63,64,65,66,67の奥端縁部に形成した凸縁部40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84Aによって該貫通孔2の奥端周縁部が被覆されるので、スプレー塗装の際にマスキング対象部材1の裏側にまわり込んだ塗料ミストが、該貫通孔2の奥端から貫通孔2内に侵入することが防止される。
【0007】
該マスキング材21はロックウェル(ASTM:D785)R50〜130の硬さの熱可塑性樹脂シートの真空成形および/または圧空成形品であり、かつ上記熱可塑性樹脂シートの厚みが0.2〜0.5mmであると、該マスキング材20は大量生産が可能であり、かつ複雑形状、深絞形状も容易に成形出来る。この場合該嵌合突部31,32,33,34,35,36,62,63,64,65,66,67の末端の縁部に突設されている凸縁部40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84Aの突出量と該凸縁部40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84Aの所定個所に設けた係合突起42,44,45,47,49,50,52,53,55,56,57,58,59,71,72,77,78,79,80,81,82,86,87,88の該凸縁部40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84Aからの突出量が1〜3mmであると、該マスキング材30を該貫通孔2に堅固に取付けられる一方、塗装後には該マスキング材30を該貫通孔2から簡単に取り外すことが出来る。
【0008】
〔効果〕
したがって本発明のマスキング材は、マスキング対象部材1の貫通孔2に堅固に取付けることが出来る一方では該貫通孔2から容易に取り外すことが出来、そして該マスキング対象部材1の貫通孔2内が塗料によって汚染されることが確実に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の第1実施例を図1〜図15に示す。
図1に示すのは、本実施例のマスキング対象部材である自動車のバンパー1であり、該バンパー1には貫通孔である空気取入れ口2が設けられており、該空気取入れ口2にはフレーム3が嵌着されている。図2に示すように該フレーム3の正面左側部分の上縁には切欠き部4,5,6を介して突出部7,8,9,10が設けられており、該突出部8,9には2本の縦桟11,12が支持されており、更に縦方向中央部には1本の横桟13が設けられており、該空気取入れ口2の正面左側部分は該縦桟11,12と該横桟13とによって上下2段合計6個の区画孔部14,15,16,17,18,19に区画されている。
該フレーム3の正面右側部分は孔明き板20によって被覆されており、該孔明き板20の上段には2個の窓孔21、22が設けられ、横仕切り20Aを介して下段には縦桟23によって区画される2個の区画孔部24,25が設けられている。
【0010】
図4〜図7に示すのは該バンパー1の空気取入れ口2に被着されるマスキング材30であって、左右に二分割(30A,30B)されている。
該左側分割部分30Aには該フレーム3の区画孔部14,15,16,17,18,19にそれぞれ嵌着される上下二段の嵌合突部31,32,33,34,35,36が設けられており、該嵌合突部31,32間、該嵌合突部34,35間にわたって該フレーム3の縦桟11を嵌合する縦桟嵌合溝37が形成されており、該嵌合突部32,33間、該嵌合突部35,36間にわたって該フレーム3の縦桟12を嵌合する縦桟嵌合溝38が形成されている。更に該嵌合突部31、34間、該嵌合突部32,35間、該嵌合突部33,36間にわたって該フレーム3の横桟13を嵌合する横桟嵌合溝39が設けられている。
上記左上段の嵌合突部31の奥端左側縁から上側縁にかけては凸縁部40が突設されており、上面には高段部41が形成されており、該高段部41の周縁は凸縁部41Aになっており、該凸縁部41Aの所定個所には係合突起42が形成されており、該中上段の嵌合突部32の上面には高段部43が形成されており、該高段部43の周縁は凸縁部43Aになっており、該凸縁部43Aの所定個所には一対の係合突起44,45が形成されており、該右上段の嵌合突部33の上面には高段部46が形成されており、該高段部46の周縁は凸縁部46Aになっており、該凸縁部46Aの所定個所には一個の係合突起47が形成されている。
上記高段部41,43,46の凸縁部41A,43A,46Aの輪部は図2に示す該フレーム13の突出部8,9を有する上辺3Aの形状に沿った形状とされている。
【0011】
上記左下段の嵌合突部34の奥端下縁から左側縁にかけては凸縁部48が突設されており、該凸縁部48の左下角および右端部には係合突起49,50が形成されており、該中下段の嵌合嵌合突部35の奥端下縁には凸縁部51が突設されており、該凸縁部51には左右一対の係合突起52,53が形成されており、該右下段の嵌合突部36の奥端下縁には凸縁部54が突設されており、該凸縁部54には一個の係合突起55が形成されている。
更に該左下段の嵌合突部34の上面には左右一対の係合突起56,57が形成され、該中下段の嵌合突部35の上面には一個の係合突起58が形成され、該右下段の嵌合突部36の上面には一個の係合突起59が形成されている。また更に縦桟嵌合溝37の外側中央部にはつまみ60が突設されている。
該左側分割部分30Aの全周にわたって外周折返し部61が設けられている。
【0012】
上記右側分割部分30Bの上段には右端から該フレーム3の孔明き板20の上段の2個の窓孔21,22にそれぞれ嵌着される嵌合突部62,63が形成されており、左端には該フレーム3の上段の区画孔部16に嵌着される嵌合突部64が形成されている。そして該右側分割部分30Bの下段には該孔明き板20の下段の区画孔部24,25にそれぞれ嵌着される嵌合突部65,66と、該フレーム3の区画孔部19に嵌着される嵌合突部67とが形成されている。
該上段の嵌合突部62,63の奥端上縁には凸縁部68,69が突設されており、更に左端の嵌合突部64の上面には高段部70が形成されており、該高段部70の周縁は凸縁部70Aになっており、該凸縁部70Aには左右一対の係合突起71,72が形成されている。該凸縁部70Aの輪部は該フレーム3の上辺形状に沿った形状とされている。
該下段の右側嵌合突起65の奥端下縁から右縁にかけては凸縁部73が突設され、該中央の嵌合突部66の奥端下縁には凸縁部74が突設され、該左端の嵌合突部67の奥端下縁には凸縁部75が突設され、該嵌合突部65の凸縁部73の右縁、角部、下縁にはそれぞれ一個づつ係合突起76,77,78が形成され、該嵌合突部66の凸縁部74には左右一対の係合突起79,80が形成され、該嵌合突部67の凸縁部75には左右一対の係合突起81,82が形成されており、該嵌合突部65,66の上面には高段部83,84がそれぞれ形成され、該高段部83,84の周縁は凸縁部83A,84Aになっており、該凸縁部83A,84Aの所定個所にはそれぞれ一個の係合突起86,87が形成されており、該係合突部67の上面には係合突起88が形成されている。上記凸縁部83A,84Aの輪部は、図3に示す孔明き板20の横仕切り20Aの形状に沿った形状とされる。
更に嵌合突部65,66間には縦桟23を嵌合する縦桟嵌合溝90が設けられており、また左端上下段の嵌合突部64,67間には横桟13を嵌合する横桟嵌合溝91が設けられている。
そして該右側分割部分30Bの全周には折返し部92が設けられている。
【0013】
上記左側分割部分30Aと右側分割部分30Bとは接続されてマスキング材30を構成し、図8に示すようにバンパー1の空気取入れ口2のフレーム3に取付けられる。そして該マスキング材30の左側分割部分30Aの嵌合突部31,32,33,34,35,36は図9に示すようにそれぞれ該フレーム3の区画孔部14,15,16,17,18,19に嵌着され、該フレーム3の縦桟11,12は該左側分割部分30Aの縦桟嵌合溝37,38に嵌合され、該フレーム3の横桟13は該左側分割部分30Aの横桟嵌合溝39に嵌合される。
【0014】
更に図10に示すように該マスキング材30の右側分割部分30Bの嵌合突部62,63は該フレーム3の孔明き板20の窓部21,22にそれぞれ嵌着され、左端嵌合突部64は該フレーム3の上段区画孔部16に嵌着され、下段嵌合突部65,66は該孔明き板20下段の区画孔部24,25にそれぞれ嵌着されている。
【0015】
上記左側分割部分30Aと右側分割部分30Bとの接続部分においては、図11、図12に示すように左側分割部分30Aの上下嵌合突部33,36の内側に右側嵌合突部30Bの上下嵌合突部64,67が嵌合し、左側分割部分30Aの上側係合突起47が右側分割部分30Bの上側係合突起72の上側に被さり、左側分割部分30Aの下側係合突起55が右側分割部分30Bの下側係合突起82の下側に被さり、左側分割部分30Aの下側嵌合突部36の上面の係合突起59が右側分割部分30Bの下側嵌合突部67の上面の係合突起88の上側に被さる。
【0016】
上記マスキング材30において、下段の嵌合突部34,35,36,67の凸縁部48,51,54,75はそれぞれフレーム3の区画孔部17,18,19の下縁部奥端を被覆し、嵌合突部65,66の凸縁部73,74は孔明き板20の下段の区画孔部24,25の下縁部(区画孔部25にあっては下縁部から右縁部)奥端を被覆し、上段の嵌合突部31,32,33,64はそれぞれフレーム3の区画孔部14,15,16の上縁部奥端を被覆し、また嵌合突部62,63の凸縁部68,69は孔明き板20の上段の窓孔21,22の上縁部奥端を被覆する。
更に該フレーム3の上辺周縁は左側分割部分30Aの上側嵌合突部31,32,33の高段部41,43,46の凸縁部41A,43A,46Aおよび右側分割部分30Bの上側嵌合突部64の高段部70の凸縁部70Aに沿う。
【0017】
上記したようにマスキング材30の左側分割部分30Aと右側分割部分30Bとは嵌合突部34,35,36,67の凸縁部48,51,54,75とフレーム3の区画孔部17,18,19の下縁部奥端との係合、嵌合突部65,66の凸縁部73,74と孔明き板20下段の区画孔部24,25の下縁部奥端との係合、上段嵌合突部31,32,33,64とフレーム3の区画孔部14,15,16上縁部奥端との係合、嵌合突部62,63の凸縁部68,69は孔明き板20の上段の窓孔21,22の上縁部奥端との係合、更にはフレーム3の上辺3A周縁と左側分割部分3Aの上側嵌合突部31,32,33の上面高段部41,43,46の凸縁部41A,43A,46Aおよび右側分割部分30Bの上側嵌合突部64上面の高段部70の凸縁部70Aとの係合、上記孔明き板20の横仕切り20Aと下段嵌合突部65,66上面の高段部83,84の凸縁部83A,84Aとの係合によってバンパー1の空気取入れ口2に固定されるが、更にマスキング材左側分割部分30Aにあっては、上側嵌合突部31,32,33の上面高段部41,43,46の係合突起42,44,45,47がフレーム3の上辺3Aと係合し、下側嵌合突部34,35,36の凸縁部48,51,54の係合突起49,50,52,53,55がフレーム3の下辺から左辺にかけて係合し、右側分割部分30Bにあっては、上段嵌合突部64の上面高段部72の係合突起71がフレーム3の上辺3Aの上辺3Aに係合し、下段嵌合突部65,66,67の凸縁部73,74,75の係合突起76,77,78,79,80,81,82がフレーム3の右辺から下辺にかけて係合し、更に左側分割部分30Aの下段嵌合突部34,35,36上面の係合突起56,57,58,59がフレーム3の横桟13に係合し、右側分割部分30Bの下段嵌合突部65,66,67上面の係合突起86,87,88がフレーム3の孔明き板20の横仕切り20Aに係合することによって、マスキング材30のフレーム3に対する取付け強度が補強される。
また更に該マスキング材30の外周折返し部61,92は、該フレーム3の外周縁に嵌着される。
【0018】
上記マスキング材30を該バンパー1の空気取入れ口2に取付けてから、該バンパー1には塗料をスプレーして塗装が行われる。この際塗料ミストが該空気取入れ口2の前面から内部に侵入することは、該マスキング材30によって阻止され、また該塗料ミストが該バンパー1の周囲から裏側にまわり込み、該空気取入れ口2のフレーム3の上段区画孔部14,15,16の内面に塗料が侵入し付着してしまうような不具合は、該マスキング材30の左側分割部分30Aの嵌合突部31,32,33の上面高段部41,43,46の凸縁部41A,43A,46Aおよび右側分割部分30Bの嵌合突部64の上面高段部70の凸縁部70Aが上記区画孔部14,15,16の奥端上縁を被覆することによって解消され、下段区画孔部17,18,19の内面に塗料が侵入し付着してしまうような不具合は、該マスキング材30の左側分割部分30Aの嵌合突部34,35,36の凸縁部48,51,54および右側分割部分30Bの嵌合突部67の凸縁部75が上記区画孔部17,18,19の奥端下縁を被覆することによって解消され、上記フレーム3の孔明き板20の上段窓孔21,22の内面に塗料が侵入して付着してしまうような不具合は、該マスキング材30の右側分割部分30Bの上段嵌合突部62,63の上段凸縁部68,69が上記窓孔21,22の奥端上縁を被覆することによって解消され、該孔明き板20の下段区画孔部24,25の内面に塗料が侵入し付着してしまうような不具合は、該右側分割部分30Bの下段嵌合突部65,66の下縁および右側縁の凸縁部73,74が該区画孔部24,25の下縁および右側縁を被覆することによって解消される。
【0019】
該マスキング材はロックウェル(ASTM:D785)R50〜130の硬さを有する熱可塑性樹脂シートの真空成形および/または圧空成形品であることが望ましい。該熱可塑性樹脂シートの厚みを0.2〜0.5mmに設定し、また凸縁部や凸縁部からの係合突起の突出量を1〜3mmに設定すると、該マスキング材は該空気取入れ口に堅固に取付けられ、塗装工程においてスプレー圧等の外力によって位置がずれたり、空気取入れ口からはずれたりする不具合が解消されるが、一方では塗装工程終了後に該マスキング材を手で引っ張って該空気取入れ口から容易に取り外すことが出来る。
【0020】
ロックウェル(ASTM:D785)R50〜130の硬さを有する熱可塑性樹脂としては、例えばポリプロピレン(R80〜102)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(R85〜106)、ポリアミド(R118〜122)、ポリエチレンテレフタレート(R111)、ポリメチルペンテン(R85)、スチレン変性ポリフェニレンエーテル(R115〜116)、ポリフェニレンサルファイド(R123〜125)、ポリアリレート(R104〜125)、アクリロニトリル−エチレン・プロピレンゴム−スチレン樹脂(R102〜109)、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂(R96〜108)、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン樹脂(R100〜107)、ポリアセタール(R120〜123)等が例示される。
【0021】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば貫通孔である空気取入れ口には縦桟のみ、あるいは横桟のみが設けられてもよいし、縦桟や横桟の本数は任意に設定されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明のマスキング材を使用すれば、スプレー塗装の際、マスキング対象部材の裏側にまわり込んだ塗料ミストが貫通孔の奥端から貫通孔内に侵入し、該貫通孔の内面が塗料によって汚染されると云う不具合が確実に防止され、塗装が綺麗に仕上がる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1〜図14は本発明の一実施例の説明図である。
【図1】マスキング対象部材(自動車のバンパー)の斜視図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】図1のB−B断面図
【図4】マスキング材の正面図
【図5】マスキング材の裏面図
【図6】マスキング材の上面図
【図7】マスキング材の底面図
【図8】マスキング材を取付けた状態のマスキング対象部材(自動車バンパー)の斜視図
【図9】図8のC−C断面図
【図10】図8のD−D断面図
【図11】マスキング材の取付け状態左右接続部分正面図
【図12】マスキング材の取付け状態左右接続部分断面図
【図13】図8のE−E断面図
【図14】図8のF−F断面図図15〜図18は従来のマスキング材の説明図である。
【図15】マスキング材の斜視図
【図16】塗装状態説明断面図
【図17】マスキング材の斜視図
【図18】塗装状態説明断面図
【符号の説明】
【0024】
1,101 マスキング対象部材
2,110A,110B 貫通孔
30,120A,120B マスキング材
31,32,33,34,35,36,62,63,64,65,66,67
嵌合突部
42,44,45,47,49,50,52,53,55,56,57,58,59,71,72,77,78,79,80,81,82,86,87,88
係合突起
40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84A 凸縁部
61,92 外周折返し部
【技術分野】
【0001】
本発明は物品に塗装、メッキ等の表面処理を施す場合、表面処理が施されるべきでない箇所(被マスキング部分)に被着されるマスキング材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物品の被マスキング部分を塗装等の表面処理から保護する場合、例えば被マスキング部分を粘着テープ等で被覆して表面処理することによって行われていた。しかし被マスキング部分を粘着テープで被覆する作業は非常に手間がかかる。
そこで従来、貫通孔を有する被マスキング部分の場合、例えば図15に示す円筒状の嵌合部121Aや図17に示す箱形の嵌合部121Bを有するプラスチック製のマスキング材120A,120Bを使用して、該嵌合部121A,121Bを被マスキング部分の貫通孔110A、110Bに嵌着することによりマスキング材120A,120Bを被着することによって行っていた。
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第2566769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のマスキング材120A,120Bでは、塗料を吹き付ける際、図16および図18に示すように塗料等のミストが物品101A,101Bの裏側にまわり込んで貫通孔110A,110Bの奥端から貫通孔110A,110B内に侵入し、塗装が施されるべきでない貫通孔110A,110Bの内面に塗料が付着してしまうと云う問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来の課題を解決するための手段として、マスキング対象部材1に存在する貫通孔2に嵌着する嵌合突部31,32,33,34,35,36,62,63,64,65,66,67を設けたマスキング材30であって、
該嵌合突部31,32,33,34,35,36,62,63,64,65,66,67には全縁的または部分的に該貫通孔2奥端周縁部を被覆する凸縁部40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84Aが突設されており、
更に該凸縁部40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84Aの所定個所には一個または複数個の係合突起42,44,45,47,49,50,52,53,55,56,57,58,59,71,72,77,78,79,80,81,82,86,87,88が形成されていることを特徴とするマスキング材30を提供するものである。
上記マスキング材30はロックウェル(ASTM:D785)R50〜130の硬さの熱可塑性樹脂シートの真空成形および/または圧空成形品であることが望ましく、更に上記熱可塑性樹脂シートの厚みは0.2〜0.5mmであることが望ましい。このような熱可塑性樹脂シートの真空成形および/または圧空成形品であるマスキング材30にあっては、上記嵌合突部31,32,33,34,35,36,62,63,64,65,66,67に突設されている凸縁部40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84Aの突出量と上記凸縁部40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84Aに形成されている係合突起42,44,45,47,49,50,52,53,55,56,57,58,59,71,72,77,78,79,80,81,82,86,87,88の該凸縁部40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84Aからの高さは1〜3mmであることが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
〔作用〕
本発明のマスキング材30の嵌合突部31,32,33,34,35,36,62,63,64,65,66,67をマスキング対象部材1の貫通孔2に挿入することによって、該マスキング材30を該マスキング対象部材1の貫通孔2に取付ける。また該マスキング材30にあっては凸縁部40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84Aの所定個所に設けた係合突起42,44,45,47,49,50,52,53,55,56,57,58,59,71,72,77,78,79,80,81,82,86,87,88が該貫通孔2の奥端周縁部に係合するから、該マスキング材30は該貫通孔2に堅固に取付けられ、塗装の際のスプレー圧等の外力が該マスキング材30に及ぼされても該マスキング材30は該貫通孔2からずれたり、はずれたりすることはない。
該マスキング材30を該貫通孔2に取付けた状態で、該嵌合突部31,32,33,34,35,36,62,63,64,65,66,67の奥端縁部に形成した凸縁部40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84Aによって該貫通孔2の奥端周縁部が被覆されるので、スプレー塗装の際にマスキング対象部材1の裏側にまわり込んだ塗料ミストが、該貫通孔2の奥端から貫通孔2内に侵入することが防止される。
【0007】
該マスキング材21はロックウェル(ASTM:D785)R50〜130の硬さの熱可塑性樹脂シートの真空成形および/または圧空成形品であり、かつ上記熱可塑性樹脂シートの厚みが0.2〜0.5mmであると、該マスキング材20は大量生産が可能であり、かつ複雑形状、深絞形状も容易に成形出来る。この場合該嵌合突部31,32,33,34,35,36,62,63,64,65,66,67の末端の縁部に突設されている凸縁部40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84Aの突出量と該凸縁部40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84Aの所定個所に設けた係合突起42,44,45,47,49,50,52,53,55,56,57,58,59,71,72,77,78,79,80,81,82,86,87,88の該凸縁部40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84Aからの突出量が1〜3mmであると、該マスキング材30を該貫通孔2に堅固に取付けられる一方、塗装後には該マスキング材30を該貫通孔2から簡単に取り外すことが出来る。
【0008】
〔効果〕
したがって本発明のマスキング材は、マスキング対象部材1の貫通孔2に堅固に取付けることが出来る一方では該貫通孔2から容易に取り外すことが出来、そして該マスキング対象部材1の貫通孔2内が塗料によって汚染されることが確実に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の第1実施例を図1〜図15に示す。
図1に示すのは、本実施例のマスキング対象部材である自動車のバンパー1であり、該バンパー1には貫通孔である空気取入れ口2が設けられており、該空気取入れ口2にはフレーム3が嵌着されている。図2に示すように該フレーム3の正面左側部分の上縁には切欠き部4,5,6を介して突出部7,8,9,10が設けられており、該突出部8,9には2本の縦桟11,12が支持されており、更に縦方向中央部には1本の横桟13が設けられており、該空気取入れ口2の正面左側部分は該縦桟11,12と該横桟13とによって上下2段合計6個の区画孔部14,15,16,17,18,19に区画されている。
該フレーム3の正面右側部分は孔明き板20によって被覆されており、該孔明き板20の上段には2個の窓孔21、22が設けられ、横仕切り20Aを介して下段には縦桟23によって区画される2個の区画孔部24,25が設けられている。
【0010】
図4〜図7に示すのは該バンパー1の空気取入れ口2に被着されるマスキング材30であって、左右に二分割(30A,30B)されている。
該左側分割部分30Aには該フレーム3の区画孔部14,15,16,17,18,19にそれぞれ嵌着される上下二段の嵌合突部31,32,33,34,35,36が設けられており、該嵌合突部31,32間、該嵌合突部34,35間にわたって該フレーム3の縦桟11を嵌合する縦桟嵌合溝37が形成されており、該嵌合突部32,33間、該嵌合突部35,36間にわたって該フレーム3の縦桟12を嵌合する縦桟嵌合溝38が形成されている。更に該嵌合突部31、34間、該嵌合突部32,35間、該嵌合突部33,36間にわたって該フレーム3の横桟13を嵌合する横桟嵌合溝39が設けられている。
上記左上段の嵌合突部31の奥端左側縁から上側縁にかけては凸縁部40が突設されており、上面には高段部41が形成されており、該高段部41の周縁は凸縁部41Aになっており、該凸縁部41Aの所定個所には係合突起42が形成されており、該中上段の嵌合突部32の上面には高段部43が形成されており、該高段部43の周縁は凸縁部43Aになっており、該凸縁部43Aの所定個所には一対の係合突起44,45が形成されており、該右上段の嵌合突部33の上面には高段部46が形成されており、該高段部46の周縁は凸縁部46Aになっており、該凸縁部46Aの所定個所には一個の係合突起47が形成されている。
上記高段部41,43,46の凸縁部41A,43A,46Aの輪部は図2に示す該フレーム13の突出部8,9を有する上辺3Aの形状に沿った形状とされている。
【0011】
上記左下段の嵌合突部34の奥端下縁から左側縁にかけては凸縁部48が突設されており、該凸縁部48の左下角および右端部には係合突起49,50が形成されており、該中下段の嵌合嵌合突部35の奥端下縁には凸縁部51が突設されており、該凸縁部51には左右一対の係合突起52,53が形成されており、該右下段の嵌合突部36の奥端下縁には凸縁部54が突設されており、該凸縁部54には一個の係合突起55が形成されている。
更に該左下段の嵌合突部34の上面には左右一対の係合突起56,57が形成され、該中下段の嵌合突部35の上面には一個の係合突起58が形成され、該右下段の嵌合突部36の上面には一個の係合突起59が形成されている。また更に縦桟嵌合溝37の外側中央部にはつまみ60が突設されている。
該左側分割部分30Aの全周にわたって外周折返し部61が設けられている。
【0012】
上記右側分割部分30Bの上段には右端から該フレーム3の孔明き板20の上段の2個の窓孔21,22にそれぞれ嵌着される嵌合突部62,63が形成されており、左端には該フレーム3の上段の区画孔部16に嵌着される嵌合突部64が形成されている。そして該右側分割部分30Bの下段には該孔明き板20の下段の区画孔部24,25にそれぞれ嵌着される嵌合突部65,66と、該フレーム3の区画孔部19に嵌着される嵌合突部67とが形成されている。
該上段の嵌合突部62,63の奥端上縁には凸縁部68,69が突設されており、更に左端の嵌合突部64の上面には高段部70が形成されており、該高段部70の周縁は凸縁部70Aになっており、該凸縁部70Aには左右一対の係合突起71,72が形成されている。該凸縁部70Aの輪部は該フレーム3の上辺形状に沿った形状とされている。
該下段の右側嵌合突起65の奥端下縁から右縁にかけては凸縁部73が突設され、該中央の嵌合突部66の奥端下縁には凸縁部74が突設され、該左端の嵌合突部67の奥端下縁には凸縁部75が突設され、該嵌合突部65の凸縁部73の右縁、角部、下縁にはそれぞれ一個づつ係合突起76,77,78が形成され、該嵌合突部66の凸縁部74には左右一対の係合突起79,80が形成され、該嵌合突部67の凸縁部75には左右一対の係合突起81,82が形成されており、該嵌合突部65,66の上面には高段部83,84がそれぞれ形成され、該高段部83,84の周縁は凸縁部83A,84Aになっており、該凸縁部83A,84Aの所定個所にはそれぞれ一個の係合突起86,87が形成されており、該係合突部67の上面には係合突起88が形成されている。上記凸縁部83A,84Aの輪部は、図3に示す孔明き板20の横仕切り20Aの形状に沿った形状とされる。
更に嵌合突部65,66間には縦桟23を嵌合する縦桟嵌合溝90が設けられており、また左端上下段の嵌合突部64,67間には横桟13を嵌合する横桟嵌合溝91が設けられている。
そして該右側分割部分30Bの全周には折返し部92が設けられている。
【0013】
上記左側分割部分30Aと右側分割部分30Bとは接続されてマスキング材30を構成し、図8に示すようにバンパー1の空気取入れ口2のフレーム3に取付けられる。そして該マスキング材30の左側分割部分30Aの嵌合突部31,32,33,34,35,36は図9に示すようにそれぞれ該フレーム3の区画孔部14,15,16,17,18,19に嵌着され、該フレーム3の縦桟11,12は該左側分割部分30Aの縦桟嵌合溝37,38に嵌合され、該フレーム3の横桟13は該左側分割部分30Aの横桟嵌合溝39に嵌合される。
【0014】
更に図10に示すように該マスキング材30の右側分割部分30Bの嵌合突部62,63は該フレーム3の孔明き板20の窓部21,22にそれぞれ嵌着され、左端嵌合突部64は該フレーム3の上段区画孔部16に嵌着され、下段嵌合突部65,66は該孔明き板20下段の区画孔部24,25にそれぞれ嵌着されている。
【0015】
上記左側分割部分30Aと右側分割部分30Bとの接続部分においては、図11、図12に示すように左側分割部分30Aの上下嵌合突部33,36の内側に右側嵌合突部30Bの上下嵌合突部64,67が嵌合し、左側分割部分30Aの上側係合突起47が右側分割部分30Bの上側係合突起72の上側に被さり、左側分割部分30Aの下側係合突起55が右側分割部分30Bの下側係合突起82の下側に被さり、左側分割部分30Aの下側嵌合突部36の上面の係合突起59が右側分割部分30Bの下側嵌合突部67の上面の係合突起88の上側に被さる。
【0016】
上記マスキング材30において、下段の嵌合突部34,35,36,67の凸縁部48,51,54,75はそれぞれフレーム3の区画孔部17,18,19の下縁部奥端を被覆し、嵌合突部65,66の凸縁部73,74は孔明き板20の下段の区画孔部24,25の下縁部(区画孔部25にあっては下縁部から右縁部)奥端を被覆し、上段の嵌合突部31,32,33,64はそれぞれフレーム3の区画孔部14,15,16の上縁部奥端を被覆し、また嵌合突部62,63の凸縁部68,69は孔明き板20の上段の窓孔21,22の上縁部奥端を被覆する。
更に該フレーム3の上辺周縁は左側分割部分30Aの上側嵌合突部31,32,33の高段部41,43,46の凸縁部41A,43A,46Aおよび右側分割部分30Bの上側嵌合突部64の高段部70の凸縁部70Aに沿う。
【0017】
上記したようにマスキング材30の左側分割部分30Aと右側分割部分30Bとは嵌合突部34,35,36,67の凸縁部48,51,54,75とフレーム3の区画孔部17,18,19の下縁部奥端との係合、嵌合突部65,66の凸縁部73,74と孔明き板20下段の区画孔部24,25の下縁部奥端との係合、上段嵌合突部31,32,33,64とフレーム3の区画孔部14,15,16上縁部奥端との係合、嵌合突部62,63の凸縁部68,69は孔明き板20の上段の窓孔21,22の上縁部奥端との係合、更にはフレーム3の上辺3A周縁と左側分割部分3Aの上側嵌合突部31,32,33の上面高段部41,43,46の凸縁部41A,43A,46Aおよび右側分割部分30Bの上側嵌合突部64上面の高段部70の凸縁部70Aとの係合、上記孔明き板20の横仕切り20Aと下段嵌合突部65,66上面の高段部83,84の凸縁部83A,84Aとの係合によってバンパー1の空気取入れ口2に固定されるが、更にマスキング材左側分割部分30Aにあっては、上側嵌合突部31,32,33の上面高段部41,43,46の係合突起42,44,45,47がフレーム3の上辺3Aと係合し、下側嵌合突部34,35,36の凸縁部48,51,54の係合突起49,50,52,53,55がフレーム3の下辺から左辺にかけて係合し、右側分割部分30Bにあっては、上段嵌合突部64の上面高段部72の係合突起71がフレーム3の上辺3Aの上辺3Aに係合し、下段嵌合突部65,66,67の凸縁部73,74,75の係合突起76,77,78,79,80,81,82がフレーム3の右辺から下辺にかけて係合し、更に左側分割部分30Aの下段嵌合突部34,35,36上面の係合突起56,57,58,59がフレーム3の横桟13に係合し、右側分割部分30Bの下段嵌合突部65,66,67上面の係合突起86,87,88がフレーム3の孔明き板20の横仕切り20Aに係合することによって、マスキング材30のフレーム3に対する取付け強度が補強される。
また更に該マスキング材30の外周折返し部61,92は、該フレーム3の外周縁に嵌着される。
【0018】
上記マスキング材30を該バンパー1の空気取入れ口2に取付けてから、該バンパー1には塗料をスプレーして塗装が行われる。この際塗料ミストが該空気取入れ口2の前面から内部に侵入することは、該マスキング材30によって阻止され、また該塗料ミストが該バンパー1の周囲から裏側にまわり込み、該空気取入れ口2のフレーム3の上段区画孔部14,15,16の内面に塗料が侵入し付着してしまうような不具合は、該マスキング材30の左側分割部分30Aの嵌合突部31,32,33の上面高段部41,43,46の凸縁部41A,43A,46Aおよび右側分割部分30Bの嵌合突部64の上面高段部70の凸縁部70Aが上記区画孔部14,15,16の奥端上縁を被覆することによって解消され、下段区画孔部17,18,19の内面に塗料が侵入し付着してしまうような不具合は、該マスキング材30の左側分割部分30Aの嵌合突部34,35,36の凸縁部48,51,54および右側分割部分30Bの嵌合突部67の凸縁部75が上記区画孔部17,18,19の奥端下縁を被覆することによって解消され、上記フレーム3の孔明き板20の上段窓孔21,22の内面に塗料が侵入して付着してしまうような不具合は、該マスキング材30の右側分割部分30Bの上段嵌合突部62,63の上段凸縁部68,69が上記窓孔21,22の奥端上縁を被覆することによって解消され、該孔明き板20の下段区画孔部24,25の内面に塗料が侵入し付着してしまうような不具合は、該右側分割部分30Bの下段嵌合突部65,66の下縁および右側縁の凸縁部73,74が該区画孔部24,25の下縁および右側縁を被覆することによって解消される。
【0019】
該マスキング材はロックウェル(ASTM:D785)R50〜130の硬さを有する熱可塑性樹脂シートの真空成形および/または圧空成形品であることが望ましい。該熱可塑性樹脂シートの厚みを0.2〜0.5mmに設定し、また凸縁部や凸縁部からの係合突起の突出量を1〜3mmに設定すると、該マスキング材は該空気取入れ口に堅固に取付けられ、塗装工程においてスプレー圧等の外力によって位置がずれたり、空気取入れ口からはずれたりする不具合が解消されるが、一方では塗装工程終了後に該マスキング材を手で引っ張って該空気取入れ口から容易に取り外すことが出来る。
【0020】
ロックウェル(ASTM:D785)R50〜130の硬さを有する熱可塑性樹脂としては、例えばポリプロピレン(R80〜102)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(R85〜106)、ポリアミド(R118〜122)、ポリエチレンテレフタレート(R111)、ポリメチルペンテン(R85)、スチレン変性ポリフェニレンエーテル(R115〜116)、ポリフェニレンサルファイド(R123〜125)、ポリアリレート(R104〜125)、アクリロニトリル−エチレン・プロピレンゴム−スチレン樹脂(R102〜109)、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂(R96〜108)、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン樹脂(R100〜107)、ポリアセタール(R120〜123)等が例示される。
【0021】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば貫通孔である空気取入れ口には縦桟のみ、あるいは横桟のみが設けられてもよいし、縦桟や横桟の本数は任意に設定されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明のマスキング材を使用すれば、スプレー塗装の際、マスキング対象部材の裏側にまわり込んだ塗料ミストが貫通孔の奥端から貫通孔内に侵入し、該貫通孔の内面が塗料によって汚染されると云う不具合が確実に防止され、塗装が綺麗に仕上がる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1〜図14は本発明の一実施例の説明図である。
【図1】マスキング対象部材(自動車のバンパー)の斜視図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】図1のB−B断面図
【図4】マスキング材の正面図
【図5】マスキング材の裏面図
【図6】マスキング材の上面図
【図7】マスキング材の底面図
【図8】マスキング材を取付けた状態のマスキング対象部材(自動車バンパー)の斜視図
【図9】図8のC−C断面図
【図10】図8のD−D断面図
【図11】マスキング材の取付け状態左右接続部分正面図
【図12】マスキング材の取付け状態左右接続部分断面図
【図13】図8のE−E断面図
【図14】図8のF−F断面図図15〜図18は従来のマスキング材の説明図である。
【図15】マスキング材の斜視図
【図16】塗装状態説明断面図
【図17】マスキング材の斜視図
【図18】塗装状態説明断面図
【符号の説明】
【0024】
1,101 マスキング対象部材
2,110A,110B 貫通孔
30,120A,120B マスキング材
31,32,33,34,35,36,62,63,64,65,66,67
嵌合突部
42,44,45,47,49,50,52,53,55,56,57,58,59,71,72,77,78,79,80,81,82,86,87,88
係合突起
40,41A,43A,46A,48,51,54,68,69,73,74,75,83A,84A 凸縁部
61,92 外周折返し部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスキング対象部材に存在する貫通孔に嵌着する嵌合突部を設けたマスキング材であって、
該嵌合突部には全縁的または部分的に該貫通孔奥端周縁部を被覆する凸縁部が突設されており、
更に該凸縁部の所定個所には一個または複数個の係合突起が形成されていることを特徴とするマスキング材。
【請求項2】
上記マスキング材はロックウェル(ASTM:D785)R50〜130の硬さの熱可塑性樹脂シートの真空成形および/または圧空成形品である請求項1に記載のマスキング材。
【請求項3】
上記熱可塑性樹脂シートの厚みは0.2〜0.5mmである請求項2に記載のマスキング材。
【請求項4】
上記嵌合突部に突設されている凸縁部の突出量と上記凸縁部に形成されている係合突起の該凸縁部からの高さは1〜3mmである請求項3に記載のマスキング材。
【請求項1】
マスキング対象部材に存在する貫通孔に嵌着する嵌合突部を設けたマスキング材であって、
該嵌合突部には全縁的または部分的に該貫通孔奥端周縁部を被覆する凸縁部が突設されており、
更に該凸縁部の所定個所には一個または複数個の係合突起が形成されていることを特徴とするマスキング材。
【請求項2】
上記マスキング材はロックウェル(ASTM:D785)R50〜130の硬さの熱可塑性樹脂シートの真空成形および/または圧空成形品である請求項1に記載のマスキング材。
【請求項3】
上記熱可塑性樹脂シートの厚みは0.2〜0.5mmである請求項2に記載のマスキング材。
【請求項4】
上記嵌合突部に突設されている凸縁部の突出量と上記凸縁部に形成されている係合突起の該凸縁部からの高さは1〜3mmである請求項3に記載のマスキング材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−155130(P2008−155130A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−346969(P2006−346969)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000243892)名古屋油化株式会社 (78)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000243892)名古屋油化株式会社 (78)
【Fターム(参考)】
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