説明

マスクの製造方法

【課題】日常生活の通常時より簡単に装着、かつ簡潔に後処理できる嘔吐物収容マスクの製造方法を提供する。
【解決手段】柔軟性かつ伸縮性があり、嘔吐物を収容する袋を備えたマスクの製造方法であって、顔面側に嘔吐物を収容する袋を形成する凸部を設けている人体の頭部の形状をした型を、合成樹脂液に又はゴム液にディップし、前記金型を合成樹脂液又はゴム液から取り出し、合成樹脂液又はゴム液が切り取り可能に固まった後に嘔吐物を収容する袋の上側に呼吸補助の為の孔を切り取って形成し、その後型から取り外すことを含む、嘔吐物収容マスクの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、より顔面に密着させて嘔吐物を受け止め、後処理を簡潔にする事ができるマスクの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、嘔吐物収容マスクの製造方法に関するものである。
【0003】
一般的な嘔吐には、乗り物酔いやアルコール摂取による嘔吐と病気による嘔吐があり、いずれも突発的な嘔吐がみられ、従来は袋や容器では問わず周囲を汚すため後処理に大変苦労するという課題がある。
【0004】
また、病気による嘔吐には二次感染を引き起こすものもあり、特に近年増加傾向ある感染性腸炎は、嘔吐、下痢を主症状とし、感染力が非常に強いため処理には十分な注意が必要とされている。
【0005】
本発明は突発的な嘔吐に対処する為、嘔吐前から口元に袋や容器を固定できる物はないか、試行錯誤の結果、通常時より装着出来るマスクに着目したが、従来のマスクは外気中のほこりや花粉、病原菌を侵入させない不織布かガーゼといった浸透性のあるものが主流であり嘔吐に対する物ではない。
【0006】
例えば、合成ゴムや合成樹脂などを用いた製品の技術として、コンドームの製造方法(引用文献1)やゴム手袋の製造方法(引用文献2)がある。
また、出願人は、嘔吐物収容マスクに関する発明を公開している(引用文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−20827
【特許文献2】特開2010−116638
【特許文献3】特許第4632160号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記特許文献に開示する嘔吐物収容マスクにおいて、より簡潔にマスクの製造方法を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、柔軟性かつ伸縮性があるマスクの製造方法であって
顔面側の口部分に嘔吐物を収容する袋を形成する凸部を設けている人体の頭部の形状をした金型を合成樹脂液、又はゴム液にディップするステップ、
前記金型を合成樹脂液又はゴム液から取り出すステップ、
合成樹脂液又はゴム液が切り取り可能に固まった後に、鼻と嘔吐物を収容する袋の間から上を取り除くステップ、
前記金型から取り外すステップ、を含む
マスクの製造方法である。
【0010】
本発明は、柔軟性かつ伸縮性があるマスクの製造方法であって
顔面側に嘔吐物を収容する袋を形成する凸部を設けている人体の頭部の形状をした金型を合成樹脂液、又はゴム液にディップするステップ、
前記金型を合成樹脂液又はゴム液から取り出すステップ、
合成樹脂液又はゴム液が切り取り可能に固まった後に、目の下から上を取り除くステップ、
鼻に相当する部分を取り除くステップ、
前記取り除いた部分に通気性を有するシートを取り付けるステップ、
嘔吐物を収容する袋の開口部を絞る紐性物を取り付けるステップ、
前記金型から取り外すステップ、を含む
マスクの製造方法である。
【0011】
本発明は、柔軟性かつ伸縮性があるマスクの製造方法であり、
顔面側に嘔吐物を収容する袋を形成する凸部を設けている人体の頭部の形状をした型の、口鼻の部分に通気性を有するシートを置き、その上からシートよりも少し小さ目の被覆防止体でシートの周縁を露出した状態で覆い固定するステップ、
前期金型を合成樹脂液、又はゴム液にディップするステップ、
前記金型を合成樹脂液又はゴム液から取り出すステップ、
合成樹脂液又はゴム液が切り取り可能に固まった後に、目の下から上を取り除くステップ、
被服防止体を取り外すステップ、
嘔吐物を収容する袋の開口部を絞る紐性物を取り付けるステップ、
前記金型から取り外すステップ、を含む
マスクの製造方法である。なお、通気性を有するシートとしては不織布が好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明で得られる嘔吐物収容マスクは、少なくとも口を覆う部分と頭部に取り付ける部分を有し、口を覆う部分には嘔吐物を受け止める袋を有する。
したがって、日常生活時の突発的な嘔吐に対応でき、通常時より装着出来る。
その結果、通常時より装着し突発的な嘔吐の飛散を防ぎ、衣類や寝具を汚
す事なく的確に受け止める事ができる。 例えば通院や移動中の車中などいかなる状況でも嘔吐物を受け止める事ができる。
また、下部は嘔吐物を受けとめる為の伸縮性のある袋を有する事で、嘔吐後にたわみ、吐いた事が目認でき、すばやく対処出来る嘔吐物収容マスクを提供できる。
本発明で得られる収容マスクのうち、収容袋の口部分の紐通し部を設け、紐を通すことにより嘔吐後絞り紐を絞る事が出来るものは、嘔吐物を封じ込め的確に処理する事で家族間や集団生活の場において二次感染を防ぐことができる嘔吐物収容マスクを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】マスクを製造する一つの方法の説明図
【図2】マスクを製造する他の方法の説明図
【図3】マスクを製造する他の方法の説明図
【図4】請求項3と請求項4の分解斜視図
【図5】請求項3と請求項4のマスクの全体を示した側面から見た図
【図6】請求項3と請求項4のマスクの全体を示した正面から見た図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の形態にかかる嘔吐物収容マスクの製造方法を図面に基づいて説明する。嘔吐物収容マスクはマスク本体30と呼吸補助部40から構成され、マスク本体10は目から下方を覆う物で伸縮性があり、かつ水分を通さない素材を使用する。
例えば、合成ゴムや合成樹脂などが挙げられ、熱で溶かした溶液20にマスク金型40をディップする。
【0015】
実施例1の製造方法は、口周辺のみに凸のある受け止め袋形成頭部金型12を溶液20にディップし引き上げ、切り取り可能な固さに固まった後、耳開口部32と頭開口部33を取り除き、受け止め袋形成頭部金型12からマスク本体30を剥ぎ取る事で、顔面によりフィットし嘔吐物を受け止めるマスクを簡単に製造することが出来る。
【0016】
実施例2の製造方法は、顔面側に凸のある受け止め袋形成頭部金型12を溶液20にディップし引き上げ、切り取り可能な固さに固まった後、耳開口部32と頭開口部33と鼻開口部36を取り除き、鼻開口部36の取り除いた部分に覆い被せる様に呼吸補助部40を熱で圧着、もしくは接着させる。この時、鼻と頬に呼吸補助部21をあてた時にできた隙間が通気部38となる。
さらに、受け止め袋34の上部に紐通し部41を熱で圧着、もしくは接着させ絞り紐42を通す。
受け止め袋形成頭部金型12からマスク本体30を剥ぎ取ることで、顔面によりフィットし嘔吐前から装着することができ、嘔吐後は絞り紐42を引くことで嘔吐物を漏らす事無く処理することができるマスクを簡単に製造することが出来る。
【0017】
実施例3の製造方法は、顔面側に凸のある受け止め袋形成頭部金型12の鼻周辺に、例えば幾重に織った不織布などの呼吸補助部40を置き、その不織布より少し小さめの被覆防止体13を被覆防止体固定部37に固定させる。受け止め袋形成頭部12に被覆防止体13を固定させたままの状態で、溶液20にディップし引き上げ、切り取り可能な固さに固まった後、耳開口部32と頭開口部33を取り除き、被覆防止体13を取り外す。被覆防止体13で覆われていた部分には溶液20が付着せず不織布が露出される為、通気性が有り、またマスク本体30と呼吸補助部40を接着させながら製造することが出来る。鼻と頬に呼吸補助部21をあてた時にできた隙間が通気部38となる。
受け止め袋34の上部に紐通し部41を熱で圧着、もしくは接着させ絞り紐42を通す。
受け止め袋形成頭部金型12からマスク本体30を剥ぎ取る事で、顔面にフィットし嘔吐前から装着することができ、嘔吐後は絞り紐42を引くことで嘔吐物を漏らす事無く処理知ることができるマスクを簡単に製造することが出来る。
【0018】
外縁の両端となる固定部13、すなわち後頭部側に面ファスナーや両面テープなどを取り付け固定する様にしている。装着時には口鼻開口部11から口と鼻を出し又、耳開口部12から、耳を出し後頭部で両端を合わせながら固定部13で後頭部に固定させる。
【0019】
嘔吐物収容マスクは、病気や乗り物酔い、アルコール摂取による吐き気を催した時から着用でき、例えば、感染性胃腸炎などにかかった小さな子供など、食欲が減り口数が少なくなって、嗚咽をするようになった時に着用する。嘔吐を頻繁にくり返したり、突発的な嘔吐に対応できるので通院時や、集団生活の場において飛散による二次感染を防ぐことが出来る。嘔吐物が付着した衣類や寝具は汚染されている為、通常の洗濯物とは一緒には洗えないので処理にも手間がかかる。広範囲に嘔吐物が飛散するので、シーツや衣類タオルなど汚れのひどい場合は処分する事もあるが、嘔吐物収容マスクを着用する事でこれらの負担を軽減する事が出来るマスクをより簡単に製造することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0020】
より顔面に密着させて嘔吐物を受け止め、後処理を簡潔にする事ができるマスクの分野に利用できる。

【符号の説明】
【0021】
10 頭部金型
11 受け止め袋形成頭部金型
12 被覆防止体

20 溶液

30 マスク本体
31 口鼻開口部
32 耳開口部
33 頭開口部
34 受け止め袋
35 固定部
36 鼻開口部
37 被覆防止体固定部
38 通気部

40 呼吸補助部
41 紐通し部
42 絞り紐
43 不織布



【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性かつ伸縮性があるマスクの製造方法であり、
顔面側の口部分に嘔吐物を収容する袋を形成する凸部を設けている人体の頭部の形状をした金型を合成樹脂液、又はゴム液にディップするステップ、
前記金型を合成樹脂液又はゴム液から取り出すステップ、
合成樹脂液又はゴム液が切り取り可能に固まった後に、鼻と嘔吐物を収容する袋の間から上を取り除くステップ、
前記金型から取り外すステップ、を含む
マスクの製造方法。

【請求項2】
柔軟性かつ伸縮性があるマスクの製造方法であり、
顔面側に嘔吐物を収容する袋を形成する凸部を設けている人体の頭部の形状をした金型を合成樹脂液、又はゴム液にディップするステップ、
前記金型を合成樹脂液又はゴム液から取り出すステップ、
合成樹脂液又はゴム液が切り取り可能に固まった後に、目の下から上を取り除くステップ、
鼻に相当する部分を取り除くステップ、
前記取り除いた部分に通気性を有するシートを取り付けるステップ、
嘔吐物を収容する袋の開口部を絞る紐性物を取り付けるステップ、
前記金型から取り外すステップ、を含む
マスクの製造方法。

【請求項3】
柔軟性かつ伸縮性があるマスクの製造方法であり、
顔面側に嘔吐物を収容する袋を形成する凸部を設けている人体の頭部の形状をした型の、口鼻の部分に通気性を有するシートを置き、その上からシートよりも少し小さ目の被覆防止体でシートの周縁を露出した状態で覆い固定するステップ、
前期金型を合成樹脂液、又はゴム液にディップするステップ、
前記金型を合成樹脂液又はゴム液から取り出すステップ、
合成樹脂液又はゴム液が切り取り可能に固まった後に、目の下から上を取り除くステップ、
被服防止体を取り外すステップ、
嘔吐物を収容する袋の開口部を絞る紐性物を取り付けるステップ、
前記金型から取り外すステップ、を含む
マスクの製造方法。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−135611(P2012−135611A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−265615(P2011−265615)
【出願日】平成23年12月5日(2011.12.5)
【出願人】(309011550)
【Fターム(参考)】