説明

マッサージローラー

【課題】コンセントからの電源や電池を使用して振動を発生させず、又、発電装置による電流を使用せず、永久磁石のみを用い、構造が単純で安価に製作でき、生体に対し、より大きな交番磁界(磁界)を作用させて治癒効果を上げると同時に、人の手でマッサージするような、もみ上げ又は、リフトアップ効果やタッピング効果が得られ、携帯が容易である等、美容効果のあるマッサージローラーを提供する。
【解決手段】支持杆、該支持杆の同一軸線上の一方の端部の把持部、他方の端部の該軸線上を回転回動する筒状ヘッドを備え、該筒状ヘッドと該軸の外周面のそれぞれに永久磁石を設け、該筒状ヘッドの回転時に該筒状ヘッド側の永久磁石と該軸の外周面の永久磁石が、一直線に並んだ場合(180度)に該永久磁石の極性が同極になるときの同極性反発によって生じるクリック感やタッピング感を高めるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯容易な、永久磁石を使用した磁気健康器に関するもので、特に、製作が容易で使用感の向上が図れる磁気健康器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の磁気健康器として、直径が数ミリ程度の小形円板状の永久磁石を接着シートにより身体に貼り付け、磁力の作用によって健康の促進を図るようにしたものが良く知られている。磁石から発生する磁力線が血液や筋肉等を切ることにより、その部分に電流が発生し、この電流が血行を促進し、筋肉のコリをほぐして、健康促進に有効であるとされている。
該磁気健康器は、身体の所定箇所に貼着して磁力の作用を与えるものであるが、磁力に動きがないために、治癒箇所の内部に充分な刺激を与えることができず、また、マッサージ効果を得る作用は無く、更には、使用後は使い捨てになるという無駄がある。
【0003】
磁石を身体に対して相対的に変位させることによって変動磁界(磁場)を作用させ、筋肉や血液を磁力線が、相対的な変位速度を大きく切るようにした磁気健康器が開示されている(特許文献1)。
上記開示は、身体の所要部位にマッサージを加えながら変動速度の速い変動磁界を作用させることにより、マッサージ効果と磁気効果との相乗効果を得るために、マッサージ用バイブレータの振動部材に、永久磁石を備えた磁気手段を着脱自在に取り付けた磁気健康器を実現している。
しかしながら、上記開示では、バイブレータの電源が必要で使用場所の制約があり、携帯用として、仮に電池を使用することが出来たとしても、振動させるコイル等が必要になり製造コストが上昇し、また騒音を発生させ、一方ユーザーにとっては電池等の消耗品が必要になり、使い勝手の良いものでは無い。尚、所定の磁界を有する磁石は、基材に厚さ方向に着磁され、変動速度の早い変動磁界を得る為に、振動手段(バイブレータ)を具備することが不可欠である。
【0004】
また、全体が把持可能で、身体の治癒箇所に押し当てられる押圧部を有するケーシングからなり、該ケーシング内に内設した電磁石または永久磁石が該押圧部を振動するように構成され、しかも該押圧部またはその付近箇所から外部へ交番磁場(磁力線の向きが交互に変る磁場)または変動磁場(磁力が変ったり、磁場が動くものをいう)を発生させる磁気治療用按摩器が開示されている(特許文献2)。
上記開示は、押圧部を身体の治癒箇所に押し当てて振動させることにより、機械的マッサージを与え、交番磁場または変動磁場が治癒箇所の内部を通過して、血液や神経或いは骨格等に自然治癒力を伴う効果的な刺激を与えるものである。
上記特許文献2の第一の実施例として、ケーシング内に内設されたモーターに突設した回転軸先端部へ取り付けられたN、S極を着磁した扁平状の永久磁石(回転軸を中心にN極とS極が対向した1個の永久磁石)が回転することによって、ケーシング押圧部内部に設けられたコイルによって励磁される鉄心との間で吸引力が発生することにより、押圧部が振動しマッサージ効果を与えると同時に、鉄心から押圧部を通過して振動する磁場が治癒箇所へ磁気的刺激を与え治癒効果を上げることが開示されている。
しかしながら、上記特許文献2の開示では、特許文献1と同様、振動を発生させる電源が必要で使用場所の制約があり、振動させるコイル等が必要になり製造コストが上昇し、電池を使用した場合、ユーザーにとって電池等の消耗品が必要になり、また、振動によるケーシングの耐久性に問題があり、耐久性を持たせるため鋼鉄線からなるバネを埋設するなど対策が必要で、構造的に複雑になり製作コストも上昇し、また、ケーシングに内蔵したコイルに通電するので、コイル部が発熱することによって押圧部が加熱され、長時間の使用による温度上昇でユーザーに不快感を与える等、使い勝手の良いものでは無い。温度上昇を防止するためファンを備えることを言及しているが、構造が複雑になって製作コスト上昇になり、ユーザーへ騒音による不快感を与える等の問題がある。
【0005】
さらに、従来技術では、支持杆と該支持杆に接続されるグリップと支持杆に同軸的かつ回転自在に被嵌され、美容処理対象の肌面上を転動される筒状のヘッドとヘッドの回転により、コイルと永久磁石で電力を発生し、発電された電力に基づき皮膚を刺激する光照射手段および/または皮膚に電流を流す電極を具備する美容処理装置が開示されている(特許文献3)。
上記特許文献3の開示は、電力発生手段を備え、いつでもどこでも簡単にしかも経済的に美容処理を行うことのできる美容処理装置である。コイルと永久磁石が電力発生手段として備えられており、ヘッドの回転によりコイルに電流が流れ、光照射手段および/または皮膚に電流を流す電極で皮膚を刺激する。
上記特許文献3の手段は、美容処理時に好適な筒状のヘッド先端部に配置され、コイルと永久磁石の位置は、グリップ側ヘッド他端部へ配設されている。電力発生手段による電力で皮膚を刺激することが主眼で、永久磁石から発生する磁場の治癒効果について言及されていないが、所定の磁界は磁気的刺激があるものと推定されるが推定の域を出ない。コイルと永久磁石の電力発生手段の位置が、グリップ側へ配設される場合は、永久磁石から発生する磁場の治癒効果を期待することはできない。また、磁界の強さは、永久磁石の有する一定の磁界の強さで皮膚を刺激する。
さらに上記特許文献3の開示では、美容処理対象の肌面上を転動回転する断面8角状に形成されたヘッドは、スムーズに皮膚面上を転がり、顔や身体に押し当てる力で皮膚を揉むことでマッサージ効果を発揮するが、転がり抵抗が無く使用感(クリック感)が無いので、皮膚面上をヘッドがスムーズに転がり、もみ上げ又はリフトアップ効果やタッピング効果を得ることが出来ず、ユーザーにとって不満足なものであった。
また、光照射手段および/または皮膚に電流を流す電極(美容処理手段)、電力を発生させるコイルと複数個の永久磁石を備え、制御装置などを備えるなど構造が複雑になり、製作コストが高価なものとなる等の問題がある。
【0006】
さらにまた、従来技術として柄の先端に軸回転可能状に取り付けた略球体の赤道部に複数個の粒状マグネットを埋設したマグネット美容具が開示され(特許文献4)、その他、マグネットをローラーの中に埋設したマッサージ器具等多数提案されている。
上記特許文献4の器具では、生体に対する磁力線の変化や移動を多くするため、ローラーに複数個のマグネットを埋設し、顔や身体に押し当て転がすようにして往復運動させて使用するものである。
しかしながら、ローラーに埋設したマグネットの磁界の強さは一定で、ローラーが回転する際に伴い、生体に対する磁力線の変化が生じて皮膚を刺激するのみである。マグネット間の誘引力は、マグネットがローラーに固着されているので打ち消され、ローラーはスムーズに皮膚面上を転がり、顔や身体に押し当てる力で皮膚を揉むことでマッサージ効果を発揮するが、転がり抵抗が無いためクリック感が無く、はじきあげるようなもみ上げ又はリフトアップ効果やタッピング効果を得ることは出来ず、ユーザーにとって満足度の高い使用感が得られないのは前記特許文献3と同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平03−003341号公報
【特許文献2】実開平01−059145号公報
【特許文献3】特開2008−264507号公報
【特許文献4】実登第3031742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述するような従来技術に鑑み、本発明では、コンセントからの電源や電池を使用して振動を発生させず、又、発電装置による電流を使用せず、永久磁石のみを用い、構造が単純で安価に製作でき、生体に対し、より大きな交番磁場(磁界)を作用させて治癒効果を上げると同時に、人の手でマッサージするような、もみ上げ又は、リフトアップ効果やタッピング効果が得られ、携帯が容易である等、美容や健康促進に供する使用感(クリック感)のあるマッサージローラーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下の構成を有する発明を完成するに至った。
第1の発明のマッサージローラーは、支持杆、該支持杆の同一軸線上の一方の端部の把持部、他方の端部の該軸線上を回転回動する筒状ヘッドを備え、該筒状ヘッドと該軸の外周面のそれぞれに永久磁石を設け、該筒状ヘッドの回転時に該筒状ヘッド側の永久磁石と該軸の外周面の永久磁石が、一直線に並んだ場合(180度)に該永久磁石の極性が同極になるときの同極性反発によって生じるクリック感を高めることを特徴とするもので、上記課題を実現できることを見出した。
【0010】
第2の発明は、請求項1のマッサージローラーであって、上記把持部の端部は、小さな半球状の指圧部を備え、筒状ヘッドの末端部は、大きな半球状の指圧部を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
第3の発明は、請求項1又は2に記載のマッサージローラーであって、上記筒状ヘッドにおける永久磁石は、筒状ヘッドの内周面又は外周面に設けられることを特徴とするものである。
【0012】
第4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のマッサージローラーであって、上記筒状ヘッドに設ける永久磁石は、1又は2以上の個数であることを特徴とするものである。
【0013】
第5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のマッサージローラーであって、上記軸の外周面に設ける永久磁石は、1又は2以上の個数であることを特徴とするものである。
【0014】
第6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載のマッサージローラーであって、上記筒状ヘッドは、分解可能に組み立てられたものであることを特徴とするものである。
【0015】
第7の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載のマッサージローラーであって、上記筒状ヘッドの断面は、略多角形状に形成されてなることを特徴とするものである。
【0016】
第8の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載のマッサージローラーであって、上記筒状ヘッド外周には、複数の皮膚接触ピースが設けられてなることを特徴とするものである。
【0017】
第9の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載のマッサージローラーであって、上記皮膚接触ピースは、断面円形状又は半円形状の棒状体であることを特徴とするものである。
【0018】
第10の発明は、請求項1〜9のいずれかに記載のマッサージローラーであって、上記皮膚接触ピースが、チタン材であることを特徴とするものである。
なお、本発明で用いられるチタン材としては、チタン金属、チタン合金及びチタン含有の樹脂等が挙げられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のマッサージローラーは、コンセントからの電源や電池が不要で、振動や騒音を発生させず、又、発電装置による電流を使用せず、構造が単純、組立分解が容易、低コストに製作でき、故障が少なく、コンパクトで携帯が容易であり、永久磁石のみを用い筒状ヘッドを回転させることにより、より大きな交番磁場(磁界)を発生させ、身体の広い治癒部位を、交番磁場(磁界)が治癒箇所の内部を通過して、血液や神経或いは骨格等に自然治癒力を伴う効果的な刺激を与えることができ(該作用は、人が感じる使用感は無い)、筒状ヘッドを身体の治癒部位に押し当てながら転がすと、筒状ヘッドの周回に配置された丸棒と丸棒との間の凹部に皮膚がはさまれ、つまみ上げる様な状態になると同時に、マッサージローラーのクリック感により、はじき上げる様なリフトアップ感が得られてマッサージ効果を高めることができる(該クリック感は、筒状ヘッドの回転によって筒状ヘッドと軸に貼着した永久磁石が同極で対向し始め、反発力が生じることにより回転への抵抗感が生じ、さらに、該抵抗感を超える力を加えて筒状ヘッドを回転させると、該反発力が急激に減少することによって感得される。)。特に、筒状ヘッドが略多角形状の場合は、該略多角形状の筒状ヘッドがぎこちなく回転することによって叩く効果、すなわちタッピング効果が得られ、また、磁力の反発が使用する人の手に伝わり“使用感”が得られ、筒状ヘッドを種々に構成できるので、好みに応じて選択することができ、大小の指圧部を備えているので、選択的に好みに応じて身体のつぼを押すこともできる、
等々多くの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例の外観図
【図2】図1のA−Aにおける断面図
【図3】皮膚接触ピース9の要部外観図
【図4】側板部7の要部外観図
【図5】側板部8の要部外観図
【図6】図1のB−Bにおける断面図
【図7】磁石配置の1実施例説明図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための具体的な形態について、図1〜7を参照しながら詳細に説明する。
【実施例】
【0022】
図1は、本発明の実施例の外観図である。同図において図1(a)は全体図を示し、図1(b)は左側面図、図1(c)は右側面図を示す。
同図において、1は把持部2を一体に樹脂材料等で形成した支持杆、3は把持部2を補完して把持部を構成する樹脂材料等より形成したキャップで、把持部2右端に形成されたネジに螺着すると同時に、小さな半球状を形成した指圧部4を挟持している。該指圧部4は、弾力性を有するエラストマー、金属、樹脂材料等で形成されている。5は、把持部2に設けた滑り止めで円周状に複数設けられている。図1の支持杆1、把持部2、キャップ3は、円形に限らず多角形であってもよい。6は、顔やその他治癒箇所に当接して回動する筒状ヘッドで、支持杆1同一軸線上に設けられた軸に、軸受を介して回動自在に設けられた支持杆1側の側板部7と支持杆1他端側の側板部8で、複数の皮膚接触ピース9を挟持して略多角形状を構成している。各皮膚接触ピース9には丸棒10が設けられ、略多角形状の頂点を形成している。図1では、6個の皮膚接触ピース9で略六角形状を構成している。該丸棒10は、人の肌に金属アレルギーを生じにくく、磁力を帯びないチタン材で形成されている。
該丸棒10は、エラストマー材で形成することも出来、肌と当接する摩擦力を大きくすることが出来る。該丸棒10をチタン材、又はエラストマー材どちらか、又は、交互に配置することにより、肌と当接する摩擦力を調整し、筒状ヘッド6を押圧して回転する使用感で、ユーザーが好みで選択する構成にすることが出来る。
支持杆1他端側の側板部8は、大きな半球状を形成した指圧部11が形成されている。上記した、小さな半球状を形成した指圧部4と大きな半球状を形成した指圧部11を、同じ押す力であれば、指圧部4側の方が指圧部11側より身体への刺激を大きくすることができ、更にまた、キャップ3の着脱により小さな半球状の指圧部4を容易に交換できるので、材質による硬軟の違いから好みに応じて使い分けることができる。
【0023】
図2(a)は、図1のA−Aにおける断面図で、図2(b)は、図1の丸棒10を含むA−Aにおける筒状ヘッド6の要部断面図である。
同図において、50は、支持杆1の同一軸線上に設けられた着磁しないステンレス材等で形成された軸で、支持杆1の一端が当接するフランジ51が該軸50へ一体に設けられ、該支持杆1の一端に対向してフランジ51を挟んで、ベアリング軸受30が軸50に嵌着されている。ベアリング軸受30は、軸50に形成された溝にEリング31を装着して固定されている。側板部7には一体に環状筒部12が樹脂成形で形成され、ベアリング軸受30をスラスト方向に当接して環状筒部12と内接して嵌着固定されているので、側板部7は、軸50を自在に回転回動する。軸50は、支持杆1を貫通して把持部2内部に設けられたフランジ13に当接したワッシャー32を介して、軸50端部に形成したネジに六角穴付ナット33で締め付けることによって支持杆1と固定されている。即ち、支持杆1は、軸50のフランジ51と六角穴付ナット33に挟持固定されている。
34は、樹脂材料等で形成された凸状スペーサで、該凸状スペーサ34に指圧部4を嵌合して重ね、キャップ3を貫通して指圧部4を外部に露出させ、指圧部4根元に一体に形成したフランジ35を介して、把持部2端部に設けたネジ部36とキャップ3内側に形成したネジ部37を螺着することにより指圧部4を固設し、また、キャップ3は把持部の一端を補完している。尚、凸状スペーサ34は把持部2のネジ部36端部に当接している。
複数の皮膚接触ピース9の端部に設けた図2(b)に示す突起14が、側板部7の環状筒部12外周に設けられた嵌合凹部15に挿入され、複数の皮膚接触ピース9の他端に設けた図2(b)に示す突起16が、側板部8に設けられた嵌合凹部17に挿入されている。
側板部8には一体に環状筒部18が樹脂成形で形成され、ベアリング軸受38が環状筒部18内部にベアリング軸受38外周部と嵌着され、ベアリング軸受38側面は、側板部8の指圧部11側へ設けられたフランジ部19と当接して位置決めされている。側板部8の環状筒部18外周に設けられた嵌合凹部17へ、複数の皮膚接触ピース9の他端に設けた突起16が挿入されると同時に、軸50の端部52がベアリング軸受38へ挿入され、側板部8は軸50を自在に回転回動する。ベアリング軸受38内径へ挿入される軸50の端部52の直径は、段差53を設けて小さく形成し、ベアリング軸受38の支持杆1側への移動を防止している。即ち、ベアリング軸受38は、フランジ部19と軸50の段差53で挟持されている。側板部7と側板部8は、別途述べる手段により一体に嵌合固着され、軸50を自在に回転回動する。
図2(a)に示す環状筒部18の外周部には永久磁石41が貼着され、図2(b)に示す筒状ヘッド6内部の軸50にはDカット加工が施され、永久磁石42が貼着固定されている。永久磁石41と42の幅は、対向してほぼ均等に形成されている。
【0024】
図3(a)は、図1及び図2に設けた皮膚接触ピース9単体の正面図、図3(b)は側面図で、図3(c)は、丸棒10外観図である。
同図において、皮膚接触ピース9は樹脂材料より形成され、半円弧状溝20が皮膚接触ピース9長手方向に形成され、紙面背面側へ皮膚接触ピース9両サイドに破線で示すように、半円弧状溝が金型の合わせ食違い加工によって形成され、両端に突起14、16がそれぞれ一体に形成されている。図3(b)に示すように両端は盛り上げて略多角形を形成し、図1に示す側板部7及び8の略多角形外形と一致させ、中央部は凹部を形成している。図3(c)に示すL寸法で形成された丸棒10が、図3(a)に示すL寸法の半円弧状溝20へ矢印で示す方向から挿入され、6個の皮膚接触ピース9を円周状に配置して、丸棒10を頂点とする略6角多角形を形成し、内部は円筒を形成し、環状筒部12、18外周部へ当接する。
【0025】
図4は、筒状ヘッド6を構成する側板部7単体を示す外観図で、一部破断部を示したものである。
同図において、略多角形に形成された側板部7に一体で形成された環状筒部12側面へ角穴21が2箇所対向して設けられ、環状筒部12外周根元には、前記皮膚接触ピース9の突起14が挿入される複数の嵌合凹部15が形成されている。環状筒部12内部側には、ベアリング軸受30外周が嵌着される内径とスラスト方向の位置決めする段差39が形成されている。40は支持杆1の端部の一部が挿入される開口が形成されている。
【0026】
図5は、筒状ヘッド6を構成する側板部8単体を示す外観図で、一部破断部を示したものである。
同図において、略多角形に形成された側板部8に一体で形成された環状筒部18外周部へ永久磁石を貼着する位置決め凹部22が対向して2箇所形成され、環状筒部18外周根元には、前記皮膚接触ピース9の突起16が挿入される複数の嵌合凹部17が形成されている。環状筒部18内部の指圧部11側には、ベアリング軸受38外周が嵌着される内径とベアリング軸受38側面スラスト方向を位置決めするフランジ部19が形成され、部分的にリブで形成されている。23は、環状筒部18端部から延伸して設けられた弾力性を有する抜け止め爪(一部断面を示す)で、前記側板部7に一体で形成された環状筒部12側面へ設けられた角穴21と環状筒部12内側へ挿入されて嵌合固定される。24は、抜け止め爪23間に設けられた位置決めガイドで、前記側板部7の環状筒部12の内側に設けられたリブ(図示せず)等に沿って、抜け止め爪23が角穴21へガイドされ挿入を容易化すると同時に回り止めになり、環状筒部12と環状筒部18は固定され環状筒部全体を構成している。抜け止め爪23と角穴21で決定される側板部7と側板部8間の距離は、皮膚接触ピース9長手方向の寸法により決定され、側板部7を指圧部11側へ寄せる寸法関係としているので、筒状ヘッド6が回転回動時に、側板部7が支持杆1と干渉せず、スムーズに動作する。
上記この種の角穴21と抜け止め爪23の嵌合固定を単に引っ張って外すことは、抜け止め爪23を破壊するに等しく困難であるので、抜け止め爪23が位置する皮膚接触ピース9へ穴(図示せず)を設け、所定長さの治具を挿入して抜け止め爪23を押し曲げ、角穴21から外せば容易に外すことが出来、ユーザーでも簡単に分解又、組み立てすることが出来、清掃などのメンテナンスが可能である。
25は、指圧部11中心に設けられた水抜き穴で、筒状ヘッド6内部に水が浸入した場合、水抜き穴25を下側へ向けて静置しておけば容易に水を抜くことが出来る。
【0027】
ここで、上記で詳述した実施例の図示しない他の実施例について述べる。
上記では、丸棒10を含む複数の皮膚接触ピース9で略多角形状の円筒を形成したが、樹脂材料で一体に略多角形状の円筒を形成してもよい。
また、複数の皮膚接触ピース9を図3(C)に示すような断面円形状又は半円形状の複数の棒状体両端を、側板部7と側板部8に設けられた嵌合凹部15、17に挿入嵌合し、環状筒部12と環状筒部18で構成する環状筒部外周へ略多角形状を構成しても良い。
上記のようにすれば、皮膚接触ピース9を構成する部品点数や使用する材料を減少させることが出来、又、容易に抜け止め爪23を外せ分解が可能で、また組み立ても容易である。
【0028】
図6は、図1のB−Bにおける断面図、図7は、磁石配置の説明図である。図中、既に上記で詳述した符号の説明は、詳述したので省略する。
同図において、軸50の外周面に貼着された2個の永久磁石42の極性は、環状筒部18の外周面又は内周面へ貼着された永久磁石41の極性が、図6では対向して同極のN極とされ、図7では対向して同極のS極としているが、対向する磁石の極性は、反発する方向であればどちらでも良い。
図中では、永久磁石41と42の断面形状を矩形で示しているが、半月形状その他の形状で形成しても良く、永久磁石41と42の隙間距離を小さくなるように配設すれば、より大きな反発力を得ることが出来、またクリック感を大きくすることが出来る。
図中では、軸50の外周面及び環状筒部18の外周面又は内周面へ貼着した永久磁石41と42は、それぞれ2個としているが、それぞれ1又は2以上の個数を設けた組合せであっても良い。
また、図7の破線で示す永久磁石42が無い場合の組合せ構成としているように、環状筒部18側又は軸50側へ永久磁石41、42の個数を偶数又は奇数のいずれでも選択できる。
具体的には、図7中、環状筒部18側に永久磁石2個、軸50側に永久磁石2個としているが、環状筒部18側に永久磁石1個、軸50側に永久磁石1個あるいは環状筒部18側に永久磁石3個、軸50側に永久磁石3個を配置するなど種々の組合せとすることができる。
いずれにしても、図7に示す中心線の位置で一直線に並んだ場合(180度)、軸50の外周面及び環状筒部18の外周面又は内周面へ貼着した永久磁石41と42の極性が、筒状ヘッド6が回転中に対向して同極で、反発によって生じるクリック感があれば良い。
【0029】
次に、上記作用について述べる。
まず、手で支持杆1と把持部2を掴み、身体の治癒部位に筒状ヘッド6を押し当て転がすようにして往復運動させて使用する。永久磁石41が回転することによって永久磁石42との間で筒状ヘッド6の外部へより大きな交番磁場(磁界)が発生し、治癒箇所の内部を通過して、血液や神経或いは骨格等に自然治癒力を伴う効果的な刺激を与える。従来のローラー表面又は内部へ単に永久磁石を設けて得られる交番磁場(磁界)よりも、より大きな交番磁場(磁界)が得られ、より効果的な刺激を生体に与えることが出来る。
筒状ヘッド6を押し当て転がすと、筒状ヘッド6の周回に配置した丸棒10と丸棒10との間の凹部に皮膚がはさまり、該皮膚をつまみ上げ、且つ、マッサージローラーの永久磁石41、42の反発力増減によるクリック感により、該皮膚をはじき上げるようなリフトアップ作用が働く。
すなわち、筒状ヘッドの回転回動過程において、図6に示す永久磁石41、42の位置関係から図7に示す位置関係の90度回転移動すると、同極で対向し始めるため、反発力が生じ始め、回転回動への抵抗感が生じ、永久磁石41、42が一直線に並んだとき(180度)に、該抵抗感は最大になり、さらに、該抵抗感を超える力を加えて筒状ヘッドを回転させると、同極で対向しなくなるため、該反発力が急激に減少することによりクリック感が生じ、同時に、ユーザーは該反発力によって生じるクリック感を皮膚と手に感じ取ることができ、使用感の満足度が高まる。
軸50の外周面及び環状筒部18の外周面又は内周面へ貼着した永久磁石41と42の個数の組合せによって、種々の反発力と皮膚と手への感じ取り方の異なる作用を有するマッサージローラーを提供出来た。
また、指圧部4と11を両端へ備えているので、ユーザーの好みにより指圧部4又は11を身体の治癒部位へ押圧することにより、指圧具としての作用を有するマッサージローラーを提供出来た。
【符号の説明】
【0030】
1 支持杆
2 把持部
3 キャップ
4 指圧部
5 滑り止め
6 筒状ヘッド
7、8 側板部
9 皮膚接触ピース
10 丸棒
11 指圧部
12、18 環状筒部
13 フランジ
14、16 突起
15、17 嵌合凹部
19 フランジ部
20 半円弧状溝
21 角穴
22 位置決め凹部
23 抜け止め爪
24 位置決めガイド
25 水抜き穴
30、38 ベアリング軸受
31 Eリング
32 ワッシャー
33 六角穴付ナット
34 凸状スペーサ
35 フランジ
36、37 ネジ部
39 段差
40 開口
41、42 永久磁石
50 軸
51 フランジ
52 端部
53 段差
54 Dカット加工

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持杆、該支持杆の同一軸線上の一方の端部の把持部、他方の端部の該軸線上を回転回動する筒状ヘッドを備え、該筒状ヘッドと該軸の外周面のそれぞれに永久磁石を設け、該筒状ヘッドの回転時に該筒状ヘッド側の永久磁石と該軸の外周面の永久磁石が、一直線に並んだ場合(180度)に該永久磁石の極性が同極になるときの同極性反発によって生じるクリック感やタッピング感を高めることを特徴とするマッサージローラー。
【請求項2】
上記把持部の端部は、小さな半球状の指圧部を備え、筒状ヘッドの末端部は、大きな半球状の指圧部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のマッサージローラー。
【請求項3】
上記筒状ヘッドにおける永久磁石は、筒状ヘッドの内周面又は外周面に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージローラー。
【請求項4】
上記筒状ヘッドに設ける永久磁石は、1又は2以上の個数であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマッサージローラー。
【請求項5】
上記軸の外周面に設ける永久磁石は、1又は2以上の個数であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマッサージローラー。
【請求項6】
上記筒状ヘッドは、分解可能に組み立てられたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のマッサージローラー。
【請求項7】
上記筒状ヘッドの断面は、略多角形状に形成されてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のマッサージローラー。
【請求項8】
上記筒状ヘッド外周には、複数の皮膚接触ピースが設けられてなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のマッサージローラー。
【請求項9】
上記皮膚接触ピースは、断面円形状又は半円形状の棒状体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のマッサージローラー。
【請求項10】
上記皮膚接触ピースが、チタン材であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のマッサージローラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−85716(P2012−85716A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233384(P2010−233384)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(509149530)ファイテン株式会社 (3)
【Fターム(参考)】