説明

マッサージ機

【課題】 被施療者の肩位置を検出し、その検出された肩位置を基準として、被施療者に施療動作を行うマッサージ機において、施療動作を中断することなく、正確な肩位置検出を行う。
【解決手段】 半導体による赤外線レーザ受発光素子およびその検知結果を処理する回路から成る肩位置検出器9,10を、背もたれ部4から膨らんでいる枕部4aに設け、それによる被施療者8の肩部8a,8bの高さの検出結果によって基準肩位置を補正して、施療動作を行う。したがって、施療動作を中断することなく、正確な肩位置を検出して、逐次基準肩位置を補正するので、被施療者8の姿勢変化に追従して、もみ玉5などの施療手段に所望とする施療箇所で正確に施療動作を行わせ続けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背筋伸ばし、たたき、指圧、もみ、つかみ、振動などの各施療動作の少なくとも1つを行うことができるマッサージ機に関し、特に施療中における被施療者の姿勢変化に追従できるものに関する。
【背景技術】
【0002】
マッサージ機は、前記のような背筋伸ばし、たたき、指圧、もみ、つかみ、振動などの各施療動作のうち、少なくとも1つを行うことで、被施療者の自律神経の活性度を低下させるなどの施療効果を得るようになっている。しかしながら、所望とする施療動作に必要な箇所(マッサージポイント)に正確に施療動作を行わないと、所期の施療効果が得られなくなる。すなわち、つぼなどの施療効果が得られる箇所を正確に施療しなければ、所期の施療効果が得られないばかりか、苦痛を与えてしまうことにもなる。このようにマッサージ機には、施療箇所とともに、骨や内臓などの施療してはならない箇所もマッピングして記憶されており、それらの総てが、施療動作の開始直後に検出される肩位置を基準として割出される。前記肩位置は、たとえばもみ玉を背筋に沿って移動させてゆき、被施療者の背筋の曲面を得ることで検出される。
【0003】
ところが、背もたれの角度を変えてしまうと、前記背もたれの傾動中心と被施療者の上体の傾動中心とのずれに起因して、肩位置にずれが生じ、所期の効果を得られなくなってしまう。
【0004】
そこで、たとえば特許文献1には、リクライニング機構を操作したときに、リクライニングモータの回転方向および回転数に対応して、当初に検出された肩位置の補正を行うようにしたマッサージ機が開示されている。また、特許文献2にも、リクライニング角度を変更したときに、当初に検出された被施療者の体型データを補正するようにしたマッサージ機が開示されている。さらにまた、特許文献3には、施療子と被施療者の肩との背もたれの規律状態での当接位置と、倒伏状態での当接位置とを検知し、リクライニング角度によって当接位置を演算で求めるようにしたマッサージ機が開示されている。
【0005】
しかしながら、被施療者の姿勢の変化は、上記のような背もたれの角度変化だけでなく、被施療者自身が動くことで生じることの方が多い。たとえば、被施療者がより高い施療効果を得るために身体を施療手段に追従させたり、或いはたたき動作によって被施療者の身体が動かされてしまうなどである。
【0006】
そこで、このような場合には、被施療者の姿勢の変化を逐次検出する必要が生じる。そのような従来技術としては、たとえば特許文献4が挙げられる。その従来技術によれば、施療指でローリングマッサージ等を施しつつ、前記施療指から成る位置検出手段で被施療者の肩位置を再検知するようにした椅子型マッサージ機が開示されている。
【特許文献1】特開2003−70858号公報
【特許文献2】特開2003−339810号公報
【特許文献3】特開2002−65788号公報
【特許文献4】特開2003−70857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の従来技術では、施療指から成る位置検出手段で再検知を行っているので、施療動作を行いつつ、同時に正確な肩位置検出は不可能である。或いは正確な位置検知を行うためには、施療動作を中断しなければならないという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、施療動作を中断することなく、同時に正確な肩位置検出を行うことができるマッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のマッサージ機は、被施療者の肩位置を検出し、その検出された肩位置を基準として、駆動手段が施療手段を制御して、前記被施療者に施療動作を行うマッサージ機において、前記施療手段とは個別に、施療中に前記被施療者の肩位置を検出する肩位置検出手段を設け、前記駆動手段は、前記肩位置検出手段の検出結果によって基準肩位置を補正して、前記施療手段に施療動作を行わせることを特徴とする。
【0010】
マッサージ機は、被施療者の肩位置を基準として、所望とする施療動作に必要な箇所(マッサージポイント)の位置を割出し、施療手段をその施療箇所に移動して施療動作を行う。したがって、施療中に被施療者に姿勢変化が生じると所期の施療効果が得られないので、前記姿勢変化に追従する必要がある。このため、被施療者の肩位置を検出し、基準肩位置を補正して施療手段に所望とする施療箇所に正確に施療動作を行わせるようにするにあたって、もみ玉の反力などの施療手段を用いての肩位置検出では、施療動作を中断しなければならないか、施療動作と共に行えば正確な検出は不可能である。そこで本発明では、施療手段とは個別に、肩位置検出手段を設ける。
【0011】
したがって、そのようにして設けた肩位置検出手段の検出結果によって逐次基準肩位置を補正することで、被施療者の姿勢変化に追従して、施療手段に所望とする施療箇所で正確に施療動作を行わせ続けることができる。
【0012】
なお、施療動作開始直後の基準肩位置の検出は、前記もみ玉の反力などの施療手段を用いて、実際に被施療者に接触して行うようにしてもよく、或いは新たに設けたこの肩位置検出手段を用いて行うようにしてもよい。新たに設ける肩位置検出手段は、肩位置検出を、被施療者に接触/非接触のいずれで行ってもよいが、施療動作に影響を与えず、また被施療者に不快感を与えないことから、非接触式が好ましい。
【0013】
また、本発明のマッサージ機では、前記肩位置検出手段は、枕部に設けられる光学式のセンサであることを特徴とする。
【0014】
上記の構成によれば、背もたれから膨らんでいる枕部に肩位置検出手段を設けることで、前記背もたれの側部などに設けた場合のように出っ張りが目立つこともなく、邪魔にもならない。また、光学式でレーザ光を用いた場合にも、レーザ光は、枕の位置から肩位置検出のために下方に出射されるので、被施療者の目に入る可能性も少ない。
【0015】
さらにまた、本発明のマッサージ機では、前記肩位置検出手段は、被施療者の左右方向の水平軸線回りに光を走査することで、被施療者の肩の厚み方向の切断面での高さを検出することを特徴とする。
【0016】
上記の構成によれば、受発光素子を被施療者の左右方向の水平軸線回りに揺動させたり回転させたりすることで、該水平軸線回りに光を走査し、反射光の強度や到達時間などから、被施療者の肩の厚み方向の切断面での高さを検出することができる。そして、その頂点を肩の高さとして判定する。
【0017】
したがって、背もたれから一定の高さの定点のみを測っていれば、肩の厚みによって正確な頂点の高さを測定できない場合があるのに対して、光を走査することで、被施療者の肩の高さを、接触式と同程度に正確に検出することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のマッサージ機は、以上のように、被施療者の肩位置を検出し、その検出された肩位置を基準として被施療者に施療動作を行うマッサージ機において、施療手段とは個別に、施療中に被施療者の肩位置を検出する肩位置検出手段を設け、その検出結果によって基準肩位置を補正して施療動作を行う。
【0019】
それゆえ、施療動作を中断することなく、正確に肩位置を検出し、逐次基準肩位置を補正することで、被施療者の姿勢が変化しても、それに追従して、施療手段に所望とする施療箇所で正確に施療動作を行わせ続けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の一形態に係るマッサージ機1の外観形状を示す斜視図である。このマッサージ機1は、大略的に、各種のマッサージ動作を行うリクライニング可能な椅子2に、後述するその椅子2の各種のマッサージ機構に制御指令を送り込むための操作器3を備えて構成されている。前記マッサージ機構は、たとえば椅子2の背もたれ部4内に内蔵されるものであり、もみ玉5を備えるとともに、該もみ玉の動作位置(上下位置、幅位置、強弱位置)と、もみ玉の動作速度(もみマッサージ動作について言えば1分間当りのもみ回数)と、もみ玉の動かし方とを変更することができるように構成されたものである。また、前記マッサージ機構は、エアバッグの膨縮によってマッサージするエアマッサージ機構を備えており、椅子2の座部6と、その座部6の前方下部に連設される脚載せ台7内に収容配設される。
【0021】
注目すべきは、本発明では、施療動作を開始すると、前記もみ玉5を下方から上方へ被施療者8の背筋に沿って移動させてゆき、その反力から前記被施療者8の背筋の曲面を得るとともに、肩位置を判定し、その肩位置を基準肩位置として、以降の各施療箇所に該当する位置を割出し、前記もみ玉5の高さなどの施療位置をその該当位置に一致させて施療動作を行うとともに、施療動作を開始すれば、前記もみ玉5などの施療手段とは個別に設けた肩位置検出器9,10によって被施療者8の肩位置を検出し、その検出結果から前記基準肩位置を補正して、前記もみ玉5などの施療手段に施療動作を行わせることである。
【0022】
図2は、前記マッサージ機1の電気的構成を示すブロック図である。前記操作器3は、椅子2から分離されており、被施療者8が把持して操作可能である。この操作器3側の制御回路21と椅子2側の制御回路11とは、有線または無線で(図1では有線で)相互に通信可能となっているとともに、椅子2側の電源回路12において、商用電源13から作成された電力が、操作器3側の各回路へ供給される。
【0023】
前記操作器3は、もみ玉5の動かし方を変更するための動作選択スイッチや、もみ玉5の作動および各種調節のためのスイッチから成るスイッチ群22および選択情報やもみ玉5の動作位置等についての各種情報を表示するための表示部23,24を備えるとともに、マイクロコンピュータから成り、操作された内容やもみ玉5に関する情報を前記椅子2側の制御回路11との間で通信する前記制御回路21を備えて構成されている。
【0024】
前記スイッチ群22は、各モードのマッサージ動作を開始させるための動作開始スイッチと、マッサージ動作を終了した際に各部を折り畳み、収納状態とする収納スイッチと、もみ玉5の動作を選択するための動作選択スイッチと、もみ幅を選択するための幅選択スイッチと、もみ強度を選択するための強弱選択スイッチと、もみ方向を選択するための上下選択スイッチと、もみ速度を選択するための速度選択スイッチと、各種の自動コースの中からコースを選択するための自動コース選択スイッチと、肩位置を調整するための肩位置選択スイッチとを備えて構成されている。
【0025】
前記動作選択スイッチで動作が選択され、前記動作開始スイッチが操作されると、幅選択スイッチで選択されたもみ幅で、強弱選択スイッチで選択されたもみ強度で、上下選択スイッチで選択されたもみ方向で、速度選択スイッチで選択されたもみ速度で、前記もみ玉5の駆動が行われる。そのもみ玉5の動作としては、参照符25で示すような、もみ上げ、もみ下げ、たたき、背筋伸ばし、部分背筋伸ばし、たたき背筋伸ばし、部分たたき背筋伸ばし、指圧、つかみ、振動などである。
【0026】
また、前述のような動作選択スイッチによる個別動作ではなく、前記自動コース選択スイッチによって各種の自動コースの中からコースが選択され、前記動作開始スイッチが操作されると、幅選択スイッチで選択されたもみ幅で、強弱選択スイッチで選択されたもみ強度で、前記もみ玉5の駆動が行われる。その自動コースとしては、予めプログラムされており、参照符26で示すような、上半身コース、首・肩コース、リラックスコース、リフレッシュコース、リラックス・リフレッシュコースなどである。
【0027】
前記椅子2側では、マッサージ機構14と、マイクロコンピュータから成り、前記操作器3側の制御回路21からの制御指令に応答して前記マッサージ機構14や前記背もたれ部4を起伏駆動するリクライニング手段15を駆動する前記制御回路11と、前記電源回路12と、前記もみ玉5の動作位置(上下位置、幅位置、強弱位置)や、もみ玉5の動作速度を検出し、その検出結果を前記制御回路11に入力して制御に反映させる各種のセンサ16と、前記肩位置検出器9,10とを備えて構成される。
【0028】
上述の説明では、前記操作器3で選択される動作および椅子2内のセンサ16の検知対象としては、前記マッサージ機構14がもみ玉5の駆動機構の場合を例に説明しているけれども、前記のエアマッサージ機構などの他のマッサージ機構や、それらとの組合わせであってもよい。前記マッサージ機構14は、前記もみ玉5の駆動機構の場合、具体的にはモータやクラッチなどの動力源およびその駆動回路と、歯車列やアームなどの動力伝達機構とを備えて構成されており、前記エアマッサージ機構の場合、具体的にはポンプや弁およびその駆動回路などを備えて構成される。
【0029】
図3は、前記肩位置検出器9,10による肩位置検出動作を説明するための図である。この肩位置検出器9,10は、半導体による赤外線レーザ受発光素子およびその検知結果を処理する回路から成り、椅子2に着座し、背もたれ部4にもたれた被施療者8の肩部8a,8bに向けて予め定める周期で光を照射し、その反射光のレベルや到達時間から、肩部8a,8bの高さ、具体的には肩部8a,8bまでの距離を検出する。
【0030】
そして、本実施の形態では、これらの肩位置検出器9,10は、背もたれ部4の枕部4aにおいて、もたれた被施療者8の頭部8cの邪魔にならない位置に設けられている。したがって、背もたれ部4から膨らんでいる枕部4aに肩位置検出器9,10を設けることで、出っ張りが目立つこともなく、邪魔にもならない。また、上記のように光学式でレーザ光を用いた場合にも、レーザ光は、枕部4aの位置から肩位置検出のために下方に出射されるので、被施療者8の目に入る可能性も少ない。
【0031】
そして、肩位置検出器9,10は、肩部8a,8bまでの距離を検出し、これをLとし、前記もみ玉5の上下方向の基準位置から前記肩位置検出器9,10までの距離をHとすると、もみ玉5を、高さH−Lの範囲で移動させれば、被施療者8の肩部8a,8bを的確にもむことが可能になる。また、肩位置検出器9,10から座面までの距離と前記距離Lとを比較することで、被施療者8が着座しているか否かおよびマッサージに適さない子供でないか否かも判定することができる。着座センサとしても用いる場合は、被施療者8が着座していない場合は、検知の頻度を少なくすることで、無駄な電力消費を抑えることもできる。
【0032】
上述のように構成されるマッサージ機1において、施療動作を開始すると、前述のようにもみ玉5を下方から上方へ被施療者8の背筋に沿って移動させてゆき、センサ16の検知結果から、駆動手段である制御回路11は前記被施療者8の背筋の曲面を得るとともに、肩位置を判定し、その肩位置を基準肩位置として、以降の各施療動作を行う。また、一旦施療動作を開始すれば、肩位置検出器9,10によって被施療者8の肩部8a,8bの位置を検出し、その検出結果から前記基準肩位置を補正して、前記もみ玉5などの施療手段に施療動作を行わせる。したがって、もみ玉5などの施療手段とは個別に設けた肩位置検出器9,10によって被施療者8の肩位置を検出するので、施療動作を中断することなく、肩位置検出を行うことができ、被施療者8に違和感のない施療動作を行うことができる。また、正確に肩位置を検出することができ、被施療者8の姿勢変化に追従して、施療手段に所望とする施療箇所で正確に施療動作を行わせ続けることができ、被施療者8にもみ位置が合った心地よいマッサージを提供することができる。
【0033】
[実施の形態2]
図4は、本発明の実施の他の形態に係る肩位置検出器31,32による肩位置検出動作を説明するための図である。この図4において、前述の図3の構成に対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。肩位置検出器31,32は、背もたれ部4の側部において、長手方向に沿って複数配列されており、前記背もたれ部4の側部から側方に突設されたアーム33,34上にそれぞれ登載されている。各肩位置検出器31,32は、前述の肩位置検出器9,10と同様に、光学式のセンサおよびその検知結果を処理する回路から成る。そして、図示しない演算処理回路などで各肩位置検出器31,32の検出結果を処理することで、被施療者8の肩部8a,8bの稜線を検出することができ、その稜線の所定割合位置を前記肩部8a,8bの位置として検出することができる。
【0034】
前記肩位置検出器31,32は、半導体による赤外線レーザ受発光素子およびその検知結果を処理する回路から成り、レーザビームの種類およびパワーとしては、目に入っても安全なクラスのものを用い、また肩位置検出の一瞬の走査時のみ(最小限で)レーザ照射が行われる。
【0035】
[実施の形態3]
図5および図6は、本発明の実施のさらに他の形態に係る肩位置検出器9a,10aによる肩位置検出動作を説明するための図である。これらの図5および図6において、前述の図3の構成に対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。この肩位置検出器9a,10aは、前述の肩位置検出器9,10と同様に、背もたれ部4の枕部4aに設けられている。注目すべきは、この肩位置検出器9a,10aは、レーザ光を被施療者8の左右方向の水平軸線回りに走査することである。これによって、前記肩部8a,8bの厚み方向の切断面での高さ(距離L)を検出することができる。
【0036】
図7および図8は、前記肩位置検出器9a,10aの一構成例を示す図であり、図7は側面図、図8は上面図(背もたれ部4を倒した状態で)である。この肩位置検出器9a,10aは、受発光素子や光学系を備えるレーザ距離センサ41が被施療者8の左右方向に延びる回転軸42回りに揺動自在に支持されており、その回転軸42をギア43およびウォーム44を介してモータ45で往復駆動することによって、前記レーザ光を被施療者8の左右方向の水平軸線回りに走査する。
【0037】
前記レーザ距離センサ41の回転角度θは、可変抵抗器やエンコーダなどから成る角度検知手段46によって検知することができる。前記可変抵抗器の場合、たとえば図9で示すように、固定の抵抗R1と、前記可変抵抗器R2とによって電源電圧VBを分圧し、その分圧電圧VDをアナログ/デジタル変換してマイコンなどに取り込み、予め測定されている分圧電圧VDと角度θとの関係に対照することで、前記角度θを検知することができる。
【0038】
したがって、肩位置検出器9a,10aによる検出結果は、たとえば図10で示すようになり、肩部8a,8bまでの距離Lは、センサ角度θによって変化し、略2次曲線を描く。そして、得られた複数の距離データから、最も距離Lが小さい点を肩位置と判定し、以降の施療動作の基準とする。
【0039】
このように構成することによって、前述の肩位置検出器9,10では、被施療者8が枕部4aから頭部8cを離して前かがみになっていたり、肩の厚みが薄かったりした場合は、実際の肩位置よりも検出結果が下方に認識されてしまう可能性があるのに対して、そのような不具合をなくし、被施療者8の肩部8a,8bの高さを、接触式と同程度に正確に検出することができる。
【0040】
また、前記肩位置検出器9a,10aに前記角度検知手段46を設け、下式で示す変換式を用いることで、前記肩部8a,8bの背もたれ部4からの距離zおよび座面からの距離yを求め、図11で示すように、肩部8a,8bの軌跡を描画することができる。これによって、肩位置の検出精度を向上できるだけでなく、肩部8a,8bの前側と後ろ側とに一対の施療子を対向配置し、それらの間の距離を縮めるつかみ動作や、指圧動作を行うにあたって、前記施療子の配置精度を格段に向上することができ、より一層心地よいマッサージを提供することができる。
【0041】
z=Lsinθ
y=Y−Lcosθ
ただし、Yは、図6で示すように、座面から前記肩位置検出器9a,10aまでの距離である。
【0042】
上述の説明では、施療動作開始の際は、もみ玉5を移動させてみて、その反力から被施療者8の背筋の曲面を得るとともに、肩位置を判定しているけれども、施療動作開始直後も、肩位置検出器9,10;9a,10a;31,32によって肩位置を検出するようにしてもよい。また、肩位置検出器としては、背もたれ部4の枕部4aから被施療者8の肩部8a,8bに接触片が出没し、直接肩位置を検出するものであってもよいが、被施療者8に不快感を与えないことから、上述のような光学式などの非接触式が好ましい。さらにまた、肩位置に代えて、被施療者8の頭部8cの高さを検出し、施療位置を補正するようにしてもよい。また、検出結果は、所定期間の平均値を求めるなどして、適宜なましなどの処理が加えられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の一形態に係るマッサージ機の外観形状を示す斜視図である。
【図2】前記マッサージ機の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の一形態の肩位置検出器による肩位置検出動作を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の他の形態に係る肩位置検出器による肩位置検出動作を説明するための図である。
【図5】本発明の実施のさらに他の形態に係る肩位置検出器による肩位置検出動作を説明するための図である。
【図6】本発明の実施のさらに他の形態に係る肩位置検出器による肩位置検出動作を説明するための図である。
【図7】図6で示す肩位置検出器の一構成例を示す側面図である。
【図8】図6で示す肩位置検出器の一構成例を示す上面図である。
【図9】図5および図6で示す肩位置検出器における回転角度の検知方法を説明するための電気回路図である。
【図10】図5および図6で示す肩位置検出器による検出結果の一例を示すグラフである。
【図11】肩位置の検出結果から描画された肩部の軌跡を示すグラフである。
【符号の説明】
【0044】
1 マッサージ機
2 椅子
3 操作器
4 背もたれ部
4a 枕部
5 もみ玉
6 座部
7 脚載せ台
8 被施療者
8a,8b 肩部
8c 頭部
9,10;9a,10a;31,32 肩位置検出器
11,21 制御回路
12 電源回路
13 商用電源
14 マッサージ機構
15 リクライニング手段
16 センサ
22 スイッチ群
23,24 表示部
33,34 アーム
41 レーザ距離センサ
42 回転軸
43 ギア
44 ウォーム
45 モータ
46 角度検知手段
R1 固定抵抗
R2 可変抵抗器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の肩位置を検出し、その検出された肩位置を基準として、駆動手段が施療手段を制御して、前記被施療者に施療動作を行うマッサージ機において、
前記施療手段とは個別に、施療中に前記被施療者の肩位置を検出する肩位置検出手段を設け、
前記駆動手段は、前記肩位置検出手段の検出結果によって基準肩位置を補正して、前記施療手段に施療動作を行わせることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記肩位置検出手段は、枕部に設けられる光学式のセンサであることを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記肩位置検出手段は、被施療者の左右方向の水平軸線回りに光を走査することで、被施療者の肩の厚み方向の切断面での高さを検出することを特徴とする請求項2記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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