説明

マッサージ機

【課題】 簡易な構成で、足裏のマッサージの場合であっても、ふくらはぎのマッサージの場合であっても、楽な姿勢でマッサージを受けることのできるマッサージ機を提供する。
【解決手段】 施療部位が嵌め込まれる溝2を有し、足裏のマッサージとふくらはぎのマッサージを選択的に行うマッサージ機1において、足裏のマッサージが行われる場合とふくらはぎのマッサージが行われる場合とで、マッサージ機本体の設置方向が被施療者に対して反転して用いられると共に、溝2の溝底面21における設置面に対する傾斜角度が、足裏のマッサージが行われる場合とふくらはぎのマッサージが行われる場合のいずれにも適合するように固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足裏のマッサージとふくらはぎのマッサージを選択的に行うことのできるマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、足裏のマッサージとふくらはぎのマッサージを選択的に行うことのできるマッサージ機が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。このようなマッサージ機においては、マッサージ機を床に設置して、施療部位に応じて被施療者(マッサージ機を使用する使用者)が姿勢を変えるタイプと、施療部位を載せる台の角度をマッサージ機本体の土台に対して変えるタイプがある。
【0003】
まず、前者のタイプについて、図12を参照して説明する。図12は従来例に係るマッサージ機の使用状態を示す斜視図である。図示のように、この従来例に係るマッサージ機100は、床に設置して使用される。このマッサージ機100における施療部位(足裏又はふくらはぎ)を載せる載置面は略水平である。そして、足裏のマッサージの場合には、被施療者は椅子などに座り、足裏をマッサージ機100の載置面に載せた状態で施療が行われる(図12(a)参照)。一方、ふくらはぎのマッサージの場合には、被施療者は床などに座り、または寝転んだ状態で、ふくらはぎをマッサージ機100の載置面に載せた状態で施療が行われる(図12(b)参照)。このように、この従来例に係るマッサージ機100においては、施療部位に応じて、被施療者自身が姿勢を変えなければならないため、不便である。
【0004】
次に、後者のタイプについて、図13を参照して説明する。図13は従来例に係るマッサージ機の使用状態を示す側面図である。図示のように、この従来例に係るマッサージ機200も、床に設置して使用される。このマッサージ機200は、マッサージ機本体の土台201と、施療部位に対して施療を施す機構を有する施療機構部202を備えている。そして、施療機構部202は、土台201に対して回転可能に構成され、かつ、所定の角度で土台201に対して固定することができるように構成されている。このような構成により、施療部位に応じて施療機構部202の角度を変えることによって、被施療者は、自由かつ楽な姿勢でマッサージを受けることができる。例えば、図13では被施療者が椅子に座った状態において、足裏のマッサージを受ける場合(図13(a))と、ふくらはぎのマッサージを受ける場合(図13(B))が示されている。また、特に図示はしないが、被施療者が寝転んだ状態においても、施療機構部202の角度を変えることで、足裏のマッサージを受ける場合及びふくらはぎのマッサージを受ける場合のいずれの場合であっても、被施療者は、楽な姿勢でマッサージを受けることができる。
【0005】
しかしながら、このタイプのマッサージ機においては、施療機構部202を土台201に対して回転可能に構成し、かつ、所定の角度で固定するように構成しなければならない上に、施療機構部202が被施療者の足の重量に対して耐えうるように構成する必要がある。また、土台201と施療機構部202の隙間に指などが挟み込まれることのないように、安全性への配慮が必要となる。従って、このタイプのマッサージ機においては、機構が複雑化すると共に、厳しい寸法精度が要求される傾向がある。
【特許文献1】特開平11−342167号公報
【特許文献2】特開2004−180967号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の通り、従来例に係るマッサージ機においては、施療部位に応じて被施療者自身が姿勢を変えなければならず不便であったり、マッサージ機の機構が複雑化したりするなど、未だ改善の余地があった。
【0007】
本発明の目的は、簡易な構成で、足裏のマッサージの場合であっても、ふくらはぎのマッサージの場合であっても、楽な姿勢でマッサージを受けることのできるマッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0009】
すなわち、本発明は、マッサージ機本体の設置方向を反転させることによって、施療部位を載せる載置面の角度が、足裏のマッサージの場合、及びふくらはぎのマッサージの場合のいずれにも適した角度となるように、当該載置面の角度を固定する構成を採用した。
【0010】
より具体的な本発明のマッサージ機としては、
施療部位が嵌め込まれる溝を有し、足裏のマッサージとふくらはぎのマッサージを選択的に行うマッサージ機において、
足裏のマッサージが行われる場合とふくらはぎのマッサージが行われる場合とで、マッサージ機本体の設置方向が被施療者に対して反転して用いられると共に、
前記溝の溝底面における設置面に対する傾斜角度が、足裏のマッサージが行われる場合とふくらはぎのマッサージが行われる場合のいずれにも適合するように固定されていることを特徴とするものを挙げることができる。
【0011】
本発明の構成によれば、施療部位が嵌め込まれる溝の溝底面における設置面に対する傾斜角度は固定されているので、構成を簡易にすることができる。そして、当該溝底面の傾斜角度は、マッサージ機本体の設置方向を被施療者に対して反転させれば、足裏又はふくらはぎのいずれの場合にも適合する。従って、被施療者はいずれのマッサージの場合であっても、楽な姿勢でマッサージを受けることができる。
【0012】
ここで、マッサージ機本体を、マッサージ機の設置面に対して略垂直な軸を中心に回転可能とする回転機構を備えるとよい。
【0013】
これにより、マッサージ機全体の設置方向を変えることなく、マッサージ機本体のみを回転させることにより、マッサージ機本体の被施療者に対する設置方向を変えることができる。
【0014】
また、マッサージ機を操作する操作部はマッサージ機本体に設けられており、
該操作部に設けられた操作用スイッチの内容を説明する文字が、足裏マッサージ用とふくらはぎマッサージ用に対応させて、上下方向に反転して表示されているとよい。
【0015】
これにより、スイッチの説明を楽に読むことができる。
【0016】
前記操作用スイッチは、足裏マッサージ用とふくらはぎマッサージ用とでそれぞれ独立に設けられているとよい。
【0017】
これにより、足裏の場合とふくらはぎの場合とで異なる施療パターンを設ける場合に、スイッチをそれぞれ独立に設けておくことで、簡単な操作で各部位に応じたマッサージを受けることができる。
【0018】
また、前記溝の溝幅が、設置面から離れていく方向に向かうにつれて広くなるように設定されているとよい。
【0019】
つまり、足裏は指先側の幅が広く、ふくらはぎは上部側の幅が広いため、上記のように溝幅を設定しておくことで、各施療部位の形状に、より適合する。
【0020】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、簡易な構成で、足裏のマッサージの場合であっても、ふくらはぎのマッサージの場合であっても、楽な姿勢でマッサージを受けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0023】
図1〜図7を参照して、本発明の実施例1に係るマッサージ機について説明する。
【0024】
<マッサージ機全体の説明>
特に、図1〜図3を参照して、本発明の実施例1に係るマッサージ機全体について説明する。図1は本発明の実施例1に係るマッサージ機の正面図である。図2は本発明の実施例1に係るマッサージ機の側面図(図1において、矢印P方向に見た図)である。図3は本発明の実施例1に係るマッサージ機の斜視図(図2において、矢印Q方向に見た図)である。
【0025】
本実施例に係るマッサージ機は、足裏のマッサージとふくらはぎのマッサージを選択的に行う機能を備える。そして、図示のように、本実施例に係るマッサージ機1は、施療部位(足裏又はふくらはぎ)が嵌め込まれる溝2と、施療部位を両側から挟み込むマッサージを行う複数の第1施療子3と、マッサージ機1を操作するための操作部4と、溝2の溝底面21から出没し、施療部位の底面部を押圧する第2施療子5と、マッサージ機本体の土台6とを備える。なお、第1施療子3及び第2施療子5は流体エネルギーを機械エネルギーに変換するアクチュエータ(例えばエアバック(エアバックを用いる場合には、給排気装置が必要となる。))や、電気的エネルギーを機械エネルギーに変換するアクチュエータ(例えばソレノイド)により駆動することができる。
【0026】
溝2の溝底面21は、図2に示すように、マッサージ機1の設置面に対して傾斜するように設けられている。本実施例では、この傾斜角度αを35°前後に設定している。また、溝2の溝幅は、マッサージ機1の設置面から離れていく方向に向かうにつれて広くなるように設定されている。すなわち、溝2の上側端部の幅W1と溝2の下側端部の幅W2は、W1>W2の関係を満たす。
【0027】
<マッサージ機の使用方法>
特に、図4及び図5を参照して、本発明の実施例1に係るマッサージ機の使用方法を説明する。図4は本発明の実施例1に係るマッサージ機を用いて足裏をマッサージする場合の様子を示す模式図である。図5は本発明の実施例1に係るマッサージ機を用いてふくらはぎをマッサージする場合の様子を示す模式図である。
【0028】
足裏のマッサージの場合には、溝2の溝底面21が被施療者に向かって下方向に傾斜するように、マッサージ機1を設置する。これにより、被施療者は、マッサージチェアなどの椅子に座った場合や床に寝転んだ場合のいずれにおいても、楽に足裏を溝底面21に載せることができる(図4参照)。図4は足裏のマッサージの場合を示しており、図中Xは被施療者の足を示している。
【0029】
ふくらはぎのマッサージの場合には、溝2の溝底面21が被施療者に向かって上方向に傾斜するように、マッサージ機1を設置する。これにより、被施療者は、マッサージチェアなどの椅子に座った場合や床に寝転んだ場合のいずれにおいても、楽にふくらはぎを溝底面21に載せることができる(図5参照)。図5はふくらはぎのマッサージの場合を示しており、図中Xは被施療者の足を示している。
【0030】
被施療者が施療部位(足裏又はふくらはぎ)を溝2に嵌め込んだ状態で、スイッチが入ると、適宜、第1施療子3が外側に開いたり内側に閉じたりを繰り返す動作、及び、第2施療子5が溝2の溝底面21からの出没を繰り返す動作が行われる。なお、図1及び図3においては、図中左側の第1施療子3は外側に開いた状態を示し、右側の第1施療子3は内側に閉じた状態を示している。そして、上記の第1施療子3の動作により、施療部位が両側から挟み込まれるように刺激されるマッサージが行われる。また、第2施療子5の動作により、施療部位が下側から押圧されるように刺激されるマッサージが行われる。
【0031】
また、本実施例においては、第1施療子3の動作パターン及び第2施療子5の動作パターンは、施療部位に応じて、別々にそれぞれ複数設定されている。なお、第1施療子3及び第2施療子5の駆動制御は、不図示の制御回路により行われる。
【0032】
<操作部の説明>
特に、図6及び図7を参照して、本発明の実施例1に係るマッサージ機における操作部について説明する。図6は本発明の実施例1に係るマッサージ機において足裏をマッサージする場合の操作説明図である。図7は本発明の実施例1に係るマッサージ機においてふくらはぎをマッサージする場合の操作説明図である。なお、図6及び図7においては、(a)はマッサージ機1の設置状態と操作時における被施療者の視点との関係を示し、(b)は操作時に被施療者から見える操作部の様子を示している。
【0033】
足裏のマッサージの場合、被施療者は操作部4をほぼ真正面から見ることができる(図6(a)参照)。一方、ふくらはぎのマッサージの場合、被施療者は操作部4を上から覗き込むように見ることになる(図7(a)参照)。なお、図6(a),図7(a)においてYは被施療者の目を示している。このように、足裏のマッサージの場合とふくらはぎのマッサージの場合とで、被施療者は操作部4をそれぞれ反対方向から見ることになる。従って、操作用スイッチの内容を説明する文字がいずれか1方向からのみ対応させて表示されている場合には、被施療者が他方向から操作する場合に、当該説明を読みづらくなってしまう。また、上記の通り、第1施療子3の動作パターン及び第2施療子5の動作パターンは、施療部位に応じて、別々にそれぞれ複数設定されている。従って、足裏のマッサージの場合とふくらはぎのマッサージの場合とで操作用スイッチを共用させる場合には、複数個及び複数回のスイッチ操作の組み合わせなどにより、動作パターンを決定させる必要があり、操作が複雑になってしまったり、操作を間違ってしまったりすることが考えられる。
【0034】
そこで、本実施例においては、足裏のマッサージの場合とふくらはぎのマッサージの場合について、それぞれ独立に(別個に)、専用の操作用スイッチを設けるように構成した。また、各操作用スイッチの内容を説明する文字も、各施療部位をマッサージする場合に
対応させて表示させている。従って、足裏のマッサージ用の操作用スイッチの内容を説明する文字と、ふくらはぎのマッサージ用の操作用スイッチの内容を説明する文字は上下方向に反転して表示されている。これらについて、図6(b)及び図7(b)を参照して、更に詳細に説明する。
【0035】
これらの図に示すように、操作部4には、足裏のマッサージ専用の操作用スイッチ41a,41bと、ふくらはぎのマッサージ専用の操作用スイッチ42a,42bが設けられている。そして、足裏のマッサージ専用の操作用スイッチ41a,41bの近くには、そのスイッチの内容を説明する説明文43が表示され、ふくらはぎのマッサージ専用の操作用スイッチ42a,42bの近くには、そのスイッチの内容を説明する説明文44が表示されている。
【0036】
また、被施療者が操作し易いように、足裏のマッサージを行う場合には、足裏のマッサージ専用の操作用スイッチ41a,41bが手前になり、ふくらはぎのマッサージを行う場合には、ふくらはぎのマッサージ専用の操作用スイッチ42a,42bが手前になるように配置されている。更に、スイッチの内容を説明する説明文43,44の文字は、各施療部位のマッサージを行う場合に応じて適切な向きとなるように表示されている。なお、本実施例では、説明を簡単にするために、各施療部位のマッサージ用に、それぞれ2個ずつのみスイッチを設ける場合を説明したが、必要に応じて3個以上設けることができることは言うまでもない。例えば、オンオフ用のスイッチ、強弱用のスイッチの他、施療パターンを決定するための複数のスイッチをそれぞれ設けると好適である。
【0037】
<本実施例に係るマッサージ機の優れている点>
本実施例に係るマッサージ機1によれば、溝2の溝底面21の傾斜角度は固定されているので、マッサージ機本体の角度を変更する機構などは必要なく、構成を簡易にすることができる。そして、マッサージ機本体の設置方向を変えることによって、溝2の溝底面21の傾斜角度を、足裏を載せる場合とふくらはぎを載せる場合のいずれにも適合させることができる。特に、本実施例の場合には、マッサージチェアなどの椅子に座った場合でも、床に寝転んだ場合でも、楽な姿勢で、足裏またはふくらはぎを溝2の溝底面21に載せることができる。従って、被施療者は、足裏のマッサージの場合であってもふくらはぎのマッサージの場合であっても、楽な姿勢でマッサージを受けることができる。
【0038】
また、溝2の溝幅は、マッサージ機1の設置面から離れていく方向に向かうにつれて広くなるように設定されているので、いずれのマッサージを行う場合であっても、各施療部位の形状に適合している。つまり、足裏は指先側の幅が広く、ふくらはぎは上部側の幅が広い。そして、足裏のマッサージを行う場合には、指先側の方が設置面から離れていく方向に向くように、溝2の溝底面21に足裏が載せられ、ふくらはぎのマッサージを行う場合には、ふくらはぎの上部側の方が設置面から離れていく方向に向くように、溝2の溝底面21にふくらはぎが載せられる。従って、上記のように、溝2の溝幅が設定されることで、当該溝2の形状は、いずれの施療部位に対しても、施療部位の形状に適している。これにより、被施療者はいずれの場合にも、快適なマッサージを受けられる。
【0039】
更に、足裏のマッサージ専用の操作用スイッチ41a,41bと、ふくらはぎのマッサージ専用の操作用スイッチ42a,42bはそれぞれ独立に設けられており、かつ、これらは各施療部位をマッサージする場合に、手前に位置するように配置されている。従って、被施療者は操作を簡単かつ楽に行うことができる。また、各スイッチの内容を説明する説明文43,44の文字は、各施療部位のマッサージを行う場合に応じて適切な向きとなるように表示されているので、被施療者は、当該説明を楽に読むことができる。
【実施例2】
【0040】
図8〜図11には、本発明の実施例2が示されている。本実施例では、マッサージ機本体を回転可能とする機構を設ける構成を説明する。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。図8は本発明の実施例2に係るマッサージ機の正面図である。図9は本発明の実施例2に係るマッサージ機の側面図である。図10は本発明の実施例2に係るマッサージ機の回転機構部の部品展開斜視図である。図11は本発明の実施例2に係るマッサージ機の回転機構部付近の模式的断面図である。
【0041】
本実施例に係るマッサージ機1aは、マッサージ機本体をマッサージ機1aの設置面に対して略垂直な軸を中心に回転可能とする回転機構7を備えている。本実施例に係る回転機構7は、スラストベアリングで構成されている。そして、回転機構7は、概略、マッサージ機本体を支持する支柱71と、設置面に設置される土台72と、マッサージ機本体が回転しないようにロックした状態を解除するノブ73とを備えている。以上の構成により、ノブ73を引っ張ると、マッサージ機本体が支柱71と共に回転可能な状態となり、土台72に対して、これらを回転させることができる。また、マッサージ機本体は、図8及び図9に示す位置(正面がノブ73側を向く位置)と、その位置に対して180度回転した位置(裏面がノブ73側を向く位置)で、回転しないようにロックすることができる。
【0042】
以上のように、本実施例に係るマッサージ機1aによれば、例えば、マッサージチェアなどの椅子に座ったままの状態で、足裏のマッサージからふくらはぎのマッサージに切り替えたいような場合に、マッサージ機1a全体を持ち上げて回転させることなく、マッサージ機本体のみを回転させることができる。従って、実施例1の場合と比較すると、被施療者の負担が軽減する。
【0043】
ここで、回転機構について、図10及び図11を参照して、更に詳細に説明する。ただし、回転機構に関しては、本実施例で示す機構に限らず、各種公知技術を適用できることは言うまでもない。
【0044】
本実施例に係る回転機構7は、上述のように、マッサージ機本体を支持する支柱71を備えている。この支柱71の下端には、回転板71aが設けられている。この回転板71aは、基体74に固定された回転軸76に対して回転可能に軸支されている。なお、基体74は土台72の内部に固定されている。また、回転板71aと基体74の間には、回転板71aの回転を滑らかにするためのワッシャ77が設けられている。このように、マッサージ機本体は、基体74に対して回転板71a及び支柱71と共に回転可能に構成されている。
【0045】
また、本実施例においては、被施療者がマッサージを受けるときなどに、マッサージ機本体が回転してしまわないように、マッサージ機本体を所定の位置で静止させておくためのロック機構が設けられている。すなわち、図10及び図11に示すように、基体74の一端部に設けられた支持部74aに対して、揺動部材73aが揺動可能に軸支されている。そして、この揺動部材73aの一端部には、上述のノブ73が固定されており、他端部には凸部73bが設けられている。この揺動部材73aは、ノブ73が下方向となり、凸部73bが上方向となるように、バネ75によるバネ力が加えられている。そして、上述の回転板71aには、2箇所に、揺動部材73aに設けられた凸部73bが嵌る凹部71b,71cが設けられている。
【0046】
以上の構成により、揺動部材73aに設けられた凸部73bが、回転板71aに設けられた凹部71bあるいは凹部71cのいずれかに一方に嵌ることにより、回転板71aと共にマッサージ機本体が回転しないようにロックすることができる。なお、マッサージ機本体は、その正面がノブ73側を向く位置あるいはその裏面がノブ73側を向く位置のい
ずれか一方で静止するように構成されていることは言うまでもない。
【0047】
そして、マッサージ機本体を回転させたい場合には、ノブ73を手指などにより、引っ張ることにより、バネ75のバネ力に抗して揺動部材73aを図11中矢印P方向に揺動させる。これにより、揺動部材73aに設けられた凸部73bは図11中矢印Q方向に移動し、凸部73bは凹部71bあるいは凹部71cから退避する。従って、ロックが開示されて、回転板71aは回転可能な状態となる。なお、所定の位置で、ノブ73から指を離すと、揺動部材73aはバネ75のバネ力により元の状態に戻り、再び、凸部73bは、回転板71aに設けられた凹部71bあるいは凹部71cのいずれかに一方に嵌る。
【0048】
このように、被施療者は、ノブ73を引っ張り、ロックを解除することによって、マッサージ機本体を回転させることができる。そして、足裏のマッサージ、あるいはふくらはぎのマッサージに対応させた位置で、マッサージ機本体をロックすることができる。なお、上述した回転機構において、凸部73bが、凹部71bに嵌っているか否か、あるいは、凹部71cに嵌っているか否かを検知するセンサを設けることによって、多種多様な制御が可能となる。例えば、凸部73bが凹部71b及び凹部71cのいずれにも嵌っていない場合には、第1施療子3及び第2施療子5のいずれも駆動しないように制御することができる。これにより、マッサージを受けている最中に、マッサージ機本体が回転してしまうことを防止でき、安全性を高めることができる。また、例えば、マッサージ機1aの土台72の被施療者に対する設置方向が確定するような場合(例えば、マッサージチェアとセットとなっており、マッサージチェアに対する土台72の設置の仕方が決められているような場合)においては、次のような制御が可能である。すなわち、凸部73bがいずれの凹部に嵌っているかを検出することにより、足裏またはふくらはぎのうち、いずれのマッサージが行われるかが確定する。従って、必要な操作スイッチ以外は機能させないことで、他の施療部位に対応した動作パターンによりマッサージが施されることを防止できる。また、例えば、足裏用とふくらはぎ用で共用する操作スイッチを設け、同じ操作スイッチでも、凸部73bが嵌っている凹部によって、制御内容を変えることができる。これにより、第1施療子3及び第2施療子5の動作パターンを多く設定した場合でも、操作用スイッチの個数を少なくすることができる。
【0049】
<その他>
上述のように、本実施例においては、溝2の溝底面21におけるマッサージ機の設置面に対する傾斜角度αを35°前後とした。これは、足裏のマッサージが行われる場合とふくらはぎのマッサージが行われる場合のいずれにも適合するように設定された値である。このように、足裏のマッサージが行われる場合とふくらはぎのマッサージが行われる場合のいずれにも適合するような、溝2の溝底面21におけるマッサージ機の設置面に対する傾斜角度αについて、更に詳細に説明する。
【0050】
本発明の実施例に係るマッサージ機は、ソファやマッサージチェアなどの比較的座面が低い椅子の前に設置して使用することを想定している。その際、ふくらはぎをマッサージする場合は、施療部が下腿の被施療部位をカバーできる程度の長さを備えていることが必要となる。座面が低い椅子に着座した場合、膝から下はやや前に投げ出すような姿勢になることから、マッサージ機の載置面はある程度の傾斜角度が必要となる。「建築・室内・人間工学」(小原ら・鹿島出版会)によると、種々の椅子のうち、リラックスして着座する椅子の座面先端の高さは次のようになる。
【0051】
すなわち、休息用いすの場合には、設定範囲は350〜405mm(実用値365mm)であり、安楽いすの場合には、設定範囲は330〜390mm(実用値350mm)であり、枕付き安楽いすの場合には、設定範囲は280〜350mm(実用値315mm)である。
【0052】
また、工業技術院が発行した「人体寸法データベース1997−98」によると、膝下長さに相当する「大腿骨外側上顆高」の値は次の通りである。
【0053】
すなわち、青年男性群統計量はサンプル数110で、418〜532mm(平均値467.3mm)であり、青年女性群統計量はサンプル数107で、372〜481mm(平均値428.9mm)であり、高齢男性群統計量はサンプル数51で、408〜490mm(平均値438.3mm)であり、高齢女性群統計量はサンプル数50で、353〜457mm(平均値404.5mm)であり、全体の平均値は440mmである。
【0054】
例えば、座面高さが315mmのソファに着座した人の膝下の長さが440mmとした場合、膝関節中心から座面までの高さを45mmとすると、SIN−1((315+45)÷440)=約55°の傾斜角度となる。
【0055】
他方、足裏をマッサージする場合は、載置面の下端が出来る限り低い方が望ましく、また、マッサージをするときは身体がリラックスすることが望ましいので足首関節も自然な角度となることが必要となる。「図説エルゴノミクス」(野呂ら・日本規格協会)によると、足関節(下腿と足との関節=ここでいう足首関節)の動作域は、下腿骨への垂線を基準として足先が上に向かう方向に20°、足先が下に向かう方向に45°とある。この動作域の中心をリラックスした状態の足首関節の角度とすると102.5°であり、上記のように約55°で投げ出された膝下の先の足裏は、
180−55−102.5=22.5°
となるように、床からつま先が持ち上がった状態になると考えられる。
【0056】
ただし、マッサージ機の機構に基づき、(1)載置面の下端は床の直近とすることは難しい(2)載置面の傾斜角度が大きいと、ふくらはぎマッサージ時に椅子に近づけられないという制約がある。
【0057】
本実施例の機構では床から7cmのところに下端を配置している。このように下端が床から持ち上がった分だけ膝下の傾斜角度は緩やかとなり、その分足裏の角度が大きくなる。例えば、上記の膝下の傾斜角度・55°を15°緩やかにして40°とした場合、その分だけ上記の足裏の角度・22.5°が15°大きくなり37.5°となる。
【0058】
ここで、傾斜角度αを設定するパラメータとしては、想定している椅子の座面高さ、載置台の長さ、載置面下端の床からのクリアランスなどがあげられる。本発明の実施例に係るマッサージ機においては、座椅子タイプのマッサージチェアによる使用も想定しており、上記の通り、35°という傾斜角度に設定している。ふくらはぎマッサージの使い勝手を確保しながら、当該35°よりも緩やかにすると、足裏マッサージ時の下端が高くなり使いづらく、かつ足首角度がリラックスしなくなっていく。その角度で下端を下げた場合、当然上端も低くなり、今度はふくらはぎマッサージが椅子に座った状態で実施できなくなる。双方を満足させるに、載置面の長さを長くすることも考えられるが、無駄に長くすることは商品の使い勝手を損なうことにもなる。
【0059】
以上のように、機構をなるべくコンパクトにしつつ、想定している椅子の座面高さ、載置台の長さ、載置面下端の床からのクリアランスなどを総合的に考察した結果、溝2の溝底面21におけるマッサージ機の設置面に対する傾斜角度αは、25〜45°の範囲が適切であると考えられる。この範囲であれば、足裏のマッサージが行われる場合とふくらはぎのマッサージが行われる場合のいずれにも適合すると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は本発明の実施例1に係るマッサージ機の正面図である。
【図2】図2は本発明の実施例1に係るマッサージ機の側面図である。
【図3】図3は本発明の実施例1に係るマッサージ機の斜視図である。
【図4】図4は本発明の実施例1に係るマッサージ機を用いて足裏をマッサージする場合の様子を示す模式図である。
【図5】図5は本発明の実施例1に係るマッサージ機を用いてふくらはぎをマッサージする場合の様子を示す模式図である。
【図6】図6は本発明の実施例1に係るマッサージ機において足裏をマッサージする場合の操作説明図である。
【図7】図7は本発明の実施例1に係るマッサージ機においてふくらはぎをマッサージする場合の操作説明図である。
【図8】図8は本発明の実施例2に係るマッサージ機の正面図である。
【図9】図9は本発明の実施例2に係るマッサージ機の側面図である。
【図10】図10は本発明の実施例2に係るマッサージ機の回転機構部の部品展開斜視図である。
【図11】図11は本発明の実施例2に係るマッサージ機の回転機構部付近の模式的断面図である。
【図12】図12は従来例に係るマッサージ機の使用状態を示す斜視図である。
【図13】図13は従来例に係るマッサージ機の使用状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0061】
1,1a マッサージ機
2 溝
21 溝底面
3 施療子
4 操作部
41a,41b,42a,42b 操作用スイッチ
43,44 説明文
5 施療子
6 土台
7 回転機構
71 支柱
71a 回転板
71b,71c 凹部
72 土台
73 ノブ
73a 揺動部材
73b 凸部
74 基体
74a 支持部
75 バネ
76 回転軸
77 ワッシャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施療部位が嵌め込まれる溝を有し、足裏のマッサージとふくらはぎのマッサージを選択的に行うマッサージ機において、
足裏のマッサージが行われる場合とふくらはぎのマッサージが行われる場合とで、マッサージ機本体の設置方向が被施療者に対して反転して用いられると共に、
前記溝の溝底面における設置面に対する傾斜角度が、足裏のマッサージが行われる場合とふくらはぎのマッサージが行われる場合のいずれにも適合するように固定されていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
マッサージ機本体を、マッサージ機の設置面に対して略垂直な軸を中心に回転可能とする回転機構を備えることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
マッサージ機を操作する操作部はマッサージ機本体に設けられており、
該操作部に設けられた操作用スイッチの内容を説明する文字が、足裏マッサージ用とふくらはぎマッサージ用に対応させて、上下方向に反転して表示されていることを特徴とする請求項1または2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記操作用スイッチは、足裏マッサージ用とふくらはぎマッサージ用とでそれぞれ独立に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記溝の溝幅が、設置面から離れていく方向に向かうにつれて広くなるように設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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