マッサージ機
【課題】 被施療者の体形情報の調節を容易にすること。
【解決手段】 背もたれ部に上下昇降及び前後進退可能に配設した施療体と、この施療体の動作を制御する制御手段とを備えるマッサージ機において、前記施療体を移動させるための要求を前記制御手段へ出力可能な操作手段を設け、前記制御手段は、被施療者の体形情報を調節可能な期間において、前記操作手段から前記要求があると、前記要求に対する前記施療体の移動速度又は移動量を、一方の方向への移動とその反対の方向への移動とで異ならしめる。
【解決手段】 背もたれ部に上下昇降及び前後進退可能に配設した施療体と、この施療体の動作を制御する制御手段とを備えるマッサージ機において、前記施療体を移動させるための要求を前記制御手段へ出力可能な操作手段を設け、前記制御手段は、被施療者の体形情報を調節可能な期間において、前記操作手段から前記要求があると、前記要求に対する前記施療体の移動速度又は移動量を、一方の方向への移動とその反対の方向への移動とで異ならしめる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関し、特に被施療者の肩位置などの体形情報を調節可能なマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上下昇降可能なもみ玉等の施療体を背もたれ部に設けたマッサージ機においては、使用者である被施療者の肩位置などの体形情報を設定し、この体形情報に応じて被施療者の体形に合わせたマッサージを行っている。
【0003】
そして、肩位置の設定は、被施療者の操作により施療体を移動させたり、あるいはマッサージ機が自動的に施療体を移動させながら肩位置の検出を行なったり、あるいはマッサージ機が自動検出した肩位置をその後使用者が微調節して最終的な肩位置を決定していた。
【0004】
ここで、この肩位置の設定は、マッサージ機による自動検出のみでは設定された肩位置が使用者の実際の肩位置からずれる可能性もあるので、最終的には被施療者である使用者自身が肩位置の微調節を行なうことが望ましい。
【0005】
そして、肩位置の微調節を行なうときには、被施療者が施療体を操作して自分の肩位置へと施療体を移動させ、その施療体の位置を肩位置として設定していた。
【0006】
かかる施療体の操作は、操作部に設けられた昇降ボタン等によって行なっており、この操作部による調節を容易にするために、本出願人は、下記特許文献1において、表示部を見ながら客観的に肩位置の調節を行なうことができるマッサージ機を提案した。
【0007】
このマッサージ機は、肩位置設定時にその時点において設定されている基準肩位置を表示し、操作手段により肩位置の変更がなされると、その変更後の肩位置を新たな基準肩位置として表示するものである。
【特許文献1】特2005−13427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1におけるマッサージ機においては、操作手段によって肩位置の調節を行なうことができ、さらにその調節の際に表示部に現在の肩位置を確認することができるが、マッサージ機を設計する際に、この肩位置調節の施療体の移動速度や移動量を適切にするための合せ込みに時間を要していた。
【0009】
すなわち、操作手段により施療体を被施療者の肩位置に近づけるときも肩位置から遠ざけるときも、その移動速度や移動量は同じにしているため、操作手段による施療体の移動速度を速くしたり移動量を多くしたりすると、肩位置の調節が困難となり、しかも施療体が肩位置を通り過ぎて被施療者を押圧しすぎることになる。
【0010】
一方で、操作手段による施療体の移動速度を遅くしたり移動量を少なくしたりすると、肩位置の調節に時間がかかってしまい、被施療者に不満感を与えてしまう。
【0011】
このように操作手段による施療体の移動速度あるいは移動量の設定は容易ではなく、時間を要していた。
【0012】
これらのことは、肩位置調節に限らず、被施療者が微調節を行なうことができる体形情報の調節であれば同様である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、請求項1に記載の発明は、背もたれ部に上下昇降及び前後進退可能に配設した施療体と、この施療体の動作を制御する制御手段とを備えるマッサージ機において、前記施療体を移動させるための要求を前記制御手段へ出力可能な操作手段を設け、前記制御手段は、被施療者の体形情報を調節可能な期間において、前記操作手段から前記要求があると、前記要求に対する前記施療体の移動速度又は移動量を、一方の方向への移動とその反対の方向への移動とで異ならしめたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、前記一方の方向を被施療者の身体へ近づく方向とし、前記他方の方向を被施療者の身体から遠ざかる方向とすると共に、被施療者の身体へ近づく方向への前記施療体の移動速度又は移動量を被施療者の身体から遠ざかる方向への前記施療体の移動速度又は移動量よりも遅く又は少なくすることを特徴とする。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明であって、前記体形情報は、肩位置情報であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明であって、前記操作手段は、前記施療体を上下方向及び前後方向へ移動させるための移動方向指定キーを具備し、前記制御手段は、前記移動方向指定キーの押下時間に応じて前記施療体を移動させることを特徴とする。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明であって、前記操作手段は、前記施療体を上下方向及び前後方向へ移動させるための移動方向指定キーを具備し、前記制御手段は、前記移動方向指定キーが押下されたとき、所定の移動量分だけ前記施療体を移動させることを特徴とする。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の発明であって、前記移動方向指定キーは、一軸方向へ距離を隔てて配置した一対のキーと、前記一軸と直交する軸方向へ距離を隔てて配置した他対のキーとを具備する十字キーで構成してあり、前記決定キーは十字キーの中央に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、操作手段の操作によって移動させる施療体の移動速度あるいは移動量をその移動方向に応じて変えるようにしているため、マッサージ機を設計する際に施療体の移動速度や移動量の微妙な合わせこみをせずとも、体形情報の調節が容易となる。特に、被施療者の身体へ近づく方向では施療体の移動速度を遅くし或いは移動量を少なくする一方で、被施療者の身体から遠ざかる方向では施療体の移動速度を速くし或いは移動量を多くすることによって、施療体の移動速度や移動量の微妙な合わせこみをせずとも、施療体が本来設定すべき位置を通り過ぎて被施療者を押圧しすぎることも回避することができる。さらに、操作手段に移動方向指定キーを設け、この移動方向指定キーの押下時間に応じて施療体を移動させるようにしたり、移動方向指定キーが押下されたとき所定の移動量分だけ施療体を移動させるようにするようにすれば、施療体の操作が容易となる。この移動方向指定キーを十字キーで構成することにより、さらに施療体の操作が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本実施形態に係るマッサージ機は、背もたれ部に上下昇降及び前後進退可能に配設した施療体と、この施療体の動作を制御する制御手段とを備えるマッサージ機において、前記施療体を移動させるための要求を前記制御手段へ出力可能な操作手段を設け、前記制御手段は、被施療者の体形情報を調節可能な期間において、前記操作手段から前記要求があると、前記要求に対する前記施療体の移動速度又は移動量を、一方の方向への移動とその反対の方向への移動とで異ならしめたものである。このように構成されているため、マッサージ機の設計時に施療体の移動速度や移動量の微妙な合わせこみをせずとも、体形情報の調節が容易となる。なお、本実施形態では、マッサージ機を、オットマンと呼ばれる脚載部を具備した椅子型マッサージ機として説明する。
【0021】
また、前記一方の方向を被施療者の身体へ近づく方向とし、前記他方の方向を被施療者の身体から遠ざかる方向とすると共に、被施療者の身体へ近づく方向への前記施療体の移動速度又は移動量を被施療者の身体から遠ざかる方向への前記施療体の移動速度又は移動量よりも遅く又は少なくすることにより、マッサージ機を設計する際に施療体の移動速度や移動量の微妙な合わせこみをせずとも、施療体が本来設定すべき位置を通り過ぎて被施療者を押圧しすぎることも回避することができる。
【0022】
ここで、被施療者の身体へ近づく方向とは、例えば肩位置(情報)調節時に、施療体を降下させる方向であり、或いは施療体を背もたれ部から突出するように前進させる方向などである。一方、施療者の身体から遠ざかる方向とは、例えば肩位置調節時に、施療体を上昇させる方向であり、或いは施療体を背もたれ部の内部に後退させる方向などである。
【0023】
また、施療体を一対のもみ玉とし、この一対のもみ玉によって首付近の施療するために、首幅位置を設定するときには、この首幅位置調節時に、一対のもみ玉の間隔が狭くなる方向を被施療者の身体へ近づく方向とし、一対のもみ玉の間隔が広くなる方向を被施療者の身体から遠ざかる方向とすることができる。
【0024】
さらに、このような体形情報調節時において、常に施療体の移動方向に応じてその移動速度又は移動量を異ならせるようにせずに、所定領域内においてのみ施療体の移動方向に応じてその移動速度又は移動量を異ならせるようすることもでき、このようにすれば、より体形情報の調節が容易となる。
【0025】
また、肩位置調節時や首幅位置調節など種々の体形情報調節ごとに適した移動速度又は移動量にすることもでき、このようにすれば、より体形情報の調節が容易となる。例えば、肩位置調節時には施療体の移動速度をその移動方向によって異ならしめ、首幅位置調節時には施療体の移動量を異ならしめるようにすることもできる。
【0026】
また、操作手段に、施療体を上下方向及び前後方向へ移動させるための移動方向指定キーを設け、この移動方向指定キーの押下時間に応じて施療体を移動させるようにしたり、移動方向指定キーが押下されたとき所定の移動量分だけ施療体を移動させるようにするようにすれば、施療体の操作が容易となる。この移動方向指定キーを十字キーで構成することにより、さらに施療体の操作が容易となる。
【0027】
なお、十字キーは、移動方向指定キーを、一軸方向へ距離を隔てて配置した一対のキーと、前記一軸と直交する軸方向へ距離を隔てて配置した他対のキーとから構成することができる。また、十字キーの中央に決定キーを設け、十字キーによって体形情報の調節を行なった後、この決定キーによって体形情報をマッサージ機に設定するようにしてもよい。
【0028】
以下、本実施の形態に係るマッサージ機について、図面を参照しながらより具体的に説明する。
【0029】
まず、マッサージ機Aの全体的な構成について、図1〜図5を参照して説明する。図1は本実施の形態に係るマッサージ機を示す斜視図、図2は同マッサージ機よりクッション材などを取り除いた状態を示す斜視図、図3は同マッサージ機の駆動制御系を示すブロック図、図4はリクライニング可能とした背もたれ部の側面視による説明図、図5は同背もたれ部の横断面図である。
【0030】
本実施形態に係るマッサージ機Aは、図1〜図5に示すように、被施療者M(図3〜5参照)が着座する座部1と、同座部1を支持する基台部2と、前記座部1の後側に倒伏自在にリクライニングできるように連結され、左右両側に体側施療部として機能する側壁部6,6を取付けた背もたれ部3と、座部1の前側上部近傍に設けた枢支部1aを中心に上下方向へ揺動可能に連結した脚載部4とを具備する椅子式マッサージ機としている。
【0031】
また、図1に示すように、前記基台部2を除く各部については、必要に応じて合成皮革などからなるカバーにより直接被覆するか、あるいは同じくカバーで被覆したクッション部材を配設している。C1は座部1に載置された座部クッション、C30は背もたれ部3の全体を被覆するように着脱自在に取付けられた背もたれクッション、C31は、前記背もたれクッションC30に面ファスナーを介して上端同士を着脱自在とした枕状クッション、C4は前記脚載部4を被覆する脚載部用カバー、C6は前記側壁部6に設けた体側部用エアバッグa3(図2参照)を被覆しているエアバッグ用カバーである。
【0032】
前記背もたれ部3は、図3に示すように、縦に伸延する左右の縦フレーム30,30を具備しており、この縦フレーム30,30の前側に、図2に示すように、略中央に所定幅の長孔31aを形成した背もたれ板31を取付けるとともに、後側には背面カバー体32を取付け、この背面カバー体32と前記背もたれ板31との間にユニット配設空間Qを形成している。そして、このユニット配設空間Qに、被施療者Mを押圧によってマッサージするための左右一対のもみ玉7a,7bを備え、このもみ玉7a,7bを前記長孔31aに臨ませた状態で昇降可能とした機械式のマッサージユニット11を配設している。なお、このマッサージユニット11については後に詳述する。
【0033】
また、図2に示すように、前記背もたれ部3の長孔31aを挟んで、背もたれ板31の左右側上部には背中部用エアバッグa1,a1を、左右側下部に腰部用エアバッグa2,a2をそれぞれ配設し、エアポンプ25(図9参照)から供給されるエアによって背中や腰を押圧するエアマッサージを実行可能としている。
【0034】
また、図1〜図3に示すように、前記座部1には、その左右側に肘掛部5,5を設けている。また、座部1の後部側には臀下部用エアバッグa4を、前部側には腿部用エアバッグa5を、左右側には臀側部用エアバッグa6をそれぞれ取付けている。
【0035】
前記脚載部4は、左右の脚を受ける半円筒状の左右脚受部18,18を並設した本体部15と、同本体部15の先端に連設するとともに左右の足裏を受ける半円筒状の左右足裏受16,16を並設した足裏受部17とから側面視略L字状に形成しており、前記本体部15の各脚受部18,18の両内側面に左右で対をなす脚上部用エアバッグa7,a7,a7,a7を取付けるとともに、前記足裏受部17の各足裏受16,16の両内側面に左右で対をなす脚下部用エアバッグa8,a8,a8,a8を取付けている。
【0036】
ここで、背もたれ部3の左右端部に取付けた側壁部6の構成と、この側壁部6に設けた体側部用エアバッグa3、及び他のエアバッグに関する動作について説明する。
【0037】
本実施形態における左右の側壁部6,6は、図1〜図3に示すように、取付基端部61側の上下長よりも先端部側の上下長を長くした略扇形形状としており、座部1に着座した被施療者Mの上腕側方となる位置に配設している。
【0038】
そして、前記基端部側から先端部側にかけて漸次外側方に拡開させるとともに、その内側面には、それぞれ左右方向に2個の体側部用エアバッグa3,a3を重合状態に取付けて体側施療部として機能させている。したがって、かかる2個の体側部用エアバッグa3,a3を同時に膨出させると被施療者Mの身体に素早くフィットして身体の体側をマッサージあるいは押圧保持することができる。なお、体側部用エアバッグa3は、前述したようにエアバッグ用カバーC6で被覆されている(図1参照)。
【0039】
この体側部用エアバッグa3を含む前記複数のエアバッグa1〜a8には、後述するエアポンプ25から給気される。エアポンプ25には、同エアポンプ25から圧入される大気を一時的に貯留して各エアバッグa1〜a8へ分流する分流器(図示せず)を連通連結している。そして、この分流器には、各エアバッグa1〜a8に対応する複数の吐気口が設けられ、各吐気口には同吐気口の開口を開閉する電磁弁(図示せず)を設けている。そして、分流器の各吐気口と対応するエアバッグa1〜a8とを、これも図示しない耐圧ホースによってそれぞれ連結し、前記電磁弁の開閉動作を後述する制御手段としての制御部Gにより制御して所要のエアバッグa1〜a8を個別に給排気し、エアバッグa1〜a8を膨張(膨出)・収縮させることにより、被施療者Mに対してエアマッサージを施すように構成している。なお、電磁弁B1〜B18の開閉動作によってエアバッグa1〜a8を膨張(膨出)・収縮させることができる一方、エアバッグa1〜a8を膨張状態(膨出状態)に保持することもできる。
【0040】
このように、エアバッグa1〜a8の動作は制御部Gによって制御されており、制御部Gは、エアバッグa1〜a8の膨縮に関わるエアポンプ25のオン・オフ動作や各エアバッグa1〜a8に対して給排気を行うための電磁弁の開閉動作を制御して、所要のエアバッグa1〜a8を膨張(膨出)・収縮させてエアマッサージを実行させるのである。
【0041】
[マッサージユニットの説明]
次に、マッサージ機Aにおける機械式のマッサージユニット11について図面を参照して以下具体的に説明する。図6は機械式のマッサージユニット11の斜視図、図7は前記マッサージユニット11の分解斜視図、図8はマッサージユニット11を構成するもみ玉駆動ユニット9の側面図である。
【0042】
図6〜図8に示すように、マッサージユニット11は、もみ玉駆動ユニット9を収納配設しており、同もみ玉駆動ユニット9は、施療体として配設した左右一対のもみ玉7a,7bをたたき方向に揺動させることによってたたき作動を行わせるたたき機構70と、前記もみ玉7a,7bを偏心回動させることによってもみ作動を行わせるもみ機構8とを具備するとともに、背もたれ部3の表側(被施療者Mと接する側)に向けて進退移動可能に構成され、進退した位置によってマッサージ強度が変わるように、すなわち、もみ玉7a,7bによる被施療者Mへの押圧力が変わるようにしている。
【0043】
図6〜図8中、m1はマッサージユニット11を昇降させるための昇降用モータ、28は前記昇降用モータm1と連動連結するとともに、前記もみ玉駆動ユニット9を前後揺動自在に支持した昇降軸、29,29は同昇降軸28の両端に取り付けたピニオンギヤであり、前記縦フレーム30,30に設けたラック(図5参照)と噛合している。
【0044】
また、m2は前記もみ玉駆動ユニット9を前後方向へ進退移動させるための進退用モータであり、同モータm2の駆動により進退軸43を回転させ、円弧状ラック46,46上を前記進退軸43に取り付けたピニオン44,44を前後方向に移動させてもみ玉駆動ユニット9を揺動させて進退可能としている。49は前記進退軸43を回動自在に支持するための軸受である。
【0045】
前述した一方の円弧状ラック46の側部には、扇形板材の周縁に複数の貫通孔を所定の間隔で開設してなる進退位置検出用基板81が取付けてあり、この進退位置検出用基板81の貫通孔の位置に光線を出射して通過光の検出回数によってもみ玉駆動ユニット9の進退位置を検出する進退位置検出センサG6が、進退位置検出用基板81の一部を挟持するように配設してある。
【0046】
このようにもみ玉駆動ユニット9の前後方向へ進退移動を行なうことによって、背もたれ部の前面3aから前方の位置にもみ玉7a,7bを突出及び収納することができる。また、もみ玉駆動ユニット9の前後ストローク長は0〜110mm程度に構成されており、後述の制御部G(図9参照)によってその進退移動が制御される。
【0047】
また、m3は前記もみ機構8の主構成要素であるもみ用モータであり、もみ用回動軸(図示せず)を介してもみ玉7a,7bと連動連結している。このもみ用モータm3にたたき用モータm4が並設してあり、たたき用回動軸を介してもみ玉7a,7bと連動連結している。
【0048】
このもみ用モータm3の動作を制御することによって、もみ玉7a,7bの間の距離を拡縮させることができ、もみ玉7a,7bの間の距離を例えば「幅広」、「普通」、「幅狭」の内のいずれかの状態に設定して、首幅位置を調節したり、たたきマッサージを実行したりすることができるようになっている。
【0049】
一方、前述した各モータm1、m3及びm4と連動連結した回動軸には、回動角(駆動量)を検出するためのロータリーエンコーダE(図3参照)をそれぞれ取付けており、ロータリーエンコーダEの検出結果は、制御部Gに与えられる。
【0050】
このように、本実施の形態のマッサージ機Aにおいては、かかるもみ玉駆動ユニット9の動きによって、多種のマッサージを実行するようにしており、さらにマッサージ位置や強度をさらに組み合わせることで多彩なマッサージモードで施療することができる。なお、本実施形態では、前記もみ玉駆動ユニット9内にバイブ用モータ(図示せず)を配設し、もみ玉駆動ユニット9を振動させてバイブマッサージも行えるようにするとともに、脚載部4内にもバイブレータ(図示せず)を設け、より多彩なマッサージモードを実行できるようにしている。
【0051】
[制御部の説明]
次に、上記構成のマッサージ機Aにおける本実施形態の要部となる制御手段としての制御部及び操作手段としてのリモコンの構成について説明する。本実施形態における制御部Gは、被施療者の体形情報を調節可能な期間において、リモコンRから施療体を移動させるための要求があると、この要求に対して施療体を移動させるものである。そして、制御部Gは、この施療体の移動方向によって、施療体の移動速度又は移動量を一方の方向への移動とその反対の方向への移動とで異なるものとすることにより、体形情報の調節を容易にするものである。
【0052】
ここで、体形情報としては、施療者の肩位置や首幅位置などがあり、これらの体形情報を基本マッサージや自動マッサージコースを実行する前に予めメモリ部G1に記憶しておくことにより、被施療者の体形に応じた適切な施療を実行することができるものである。
【0053】
図9は本実施の形態に係るマッサージ機Aの駆動制御系を示すブロック図である。
【0054】
図9に示すように、制御部GはCPUと後述する各種プログラムなどを格納したメモリ部G1と、各種モータなどの駆動制御を行う駆動制御部G2とを備えており、インターフェイスG3を介してリモコンR、背もたれ部3のリクライニング角度を検出するリクライニング角度検出センサG5、並びに前述した進退位置検出センサG6及び各ロータリーエンコーダE1,E3,E4と接続している。また、インターフェイスG4を介して前記マッサージユニット11内に配設した昇降用モータm1、進退用モータm2、もみ用モータm3、たたき用モータm4、さらには背もたれ部3のリクライニング動作を行うリクライニングモータm5、さらにはエアバッグ用エアポンプ25及び前記座部1に配設したヒータHとを接続している。このヒータHにより冬などでも心地好くマッサージすることが可能となっている。
【0055】
前記リモコンRは、前記制御部Gを介して本マッサージ機Aの動作全体をコントロールする操作手段として機能するものであるが、後述する十字キー及び決定キーを含む各種操作ボタンを配した操作部Sと、液晶表示装置からなる表示部Kとを備えており、前記操作部S及び表示部Kを用いることにより、所要のマッサージモードを選択すると共に、後述する如く、メカ的なマッサージを実行するに際し、もみ玉7a,7bの基準位置(肩位置や首幅位置など)を被施療者Mの操作に応じて調節し得るようになっている。
【0056】
前記メモリ部G1には、複数のマッサージプログラム及びメカ的なマッサージを実行する際のもみ玉7a,7bの基準位置等の種々の情報が格納されており、前記リモコンRに設けた操作部Sからの要求(例えば、指令信号)に基づき、疲労回復、リフレッシュ、リラックスなどを目的として様々なマッサージモードを組合わせた複数の自動コースを実行や体形情報の調節などを可能としている。
【0057】
たとえば、指圧、もみ、たたき、さすり、バイブ、ストレッチなどの基本マッサージ、さらにはローリング、エアマッサージなどの種類の異なったマッサージモードを前記マッサージユニット11を駆動して実行させることができ、これらを適宜組合わせた多様なマッサージを実行する複数の自動コースが予めプログラミングされている。更に、本実施形態では、被施療者Mの肩部をその上方からマッサージできるようにもしてある。
【0058】
さらに、本実施形態においては、表1に示すように、体形情報調節時の移動速度情報(以下、「調節時移動速度情報」とする。)として、メモリ部G1に、体形情報調節時のもみ玉7a,7bの移動速度をその移動方向によって異ならしめることができるような情報を記憶している。なお、本実施形態においては、n=2に設定されているものとして説明するが、これに限られるものではなく、nは1よりも大きい数値(n>1)であればよい。また、整数に限られるものでもなく、小数値を有する数値であってもよい。
【0059】
【表1】
【0060】
そして、制御部Gは、リモコンRからの要求に応じてメモリ部G1から必要な調節時移動速度情報を取り出して、もみ玉7a,7bの移動を行なう。
【0061】
すなわち、制御部Gは、被施療者Mの体形情報を調節可能な期間(体形情報調節時)において、リモコンRに配置された後述の移動方向指定キーを押下されると、その移動方向指定キーに応じた調節時移動速度情報をメモリ部G1から取り出し、この移動方向指定キーを押下している間、取り出した調節時移動速度情報に応じた速度でもみ玉7a,7bを移動させる。たとえば、施療者の肩位置を調節可能な期間(肩位置調節時)に、移動方向指定キーが押下され、この押下された移動方向指定キーがもみ玉7a,7bを下方に移動させるボタンである場合、その押下されている期間、速度b(mm/s)にてもみ玉7a,7bを下方に移動させる。
【0062】
なお、表1においては、このもみ玉7a,7bの移動速度をmm/sの単位としているが、各モータm1〜m3を駆動するために制御部Gから出力されるパルスの単位時間当たり数(pulse/s)を単位とするようにしてもよく、最終的に速度を設定するものであればどのような単位であっても良い。
【0063】
ところで、各モータm1〜m3を駆動させるために、制御部Gからもみ玉7a,7bの移動速度に応じたパルス信号を出力する。このように制御部Gから出力されるパルス信号の例を図10に示す。なお、本実施形態における各モータm1〜m3は、ステッピングモータにより構成されており、ステッピングモータの複数の入力端子(第1〜第4の入力端子)にそれぞれ位相を変えたパルス信号が制御部Gから入力されることによりステッピングモータが回転する。そして、制御部Gは、第1〜第4の入力端子へ入力する複数のパルス信号の位相を順次遅らせるか進ませるかによってこれらのモータm1〜m3の回転方向を正転方向にするか反転方向にするかを制御する。ここでは、位相についての説明は省略し、パルス周期とパルス幅についてのみ説明する。
【0064】
図10(a)は、b(mm/s)で昇降用モータm1を駆動し、もみ玉7a,7bを下降方向に移動させるために、制御部Gから昇降用モータm1へ出力されるパルス信号の例を示している。すなわち、制御部Gはt1(s)周期でt2(s)幅のパルス(OFF期間はt3(s))を出力することによって、昇降用モータm1を動作させ、もみ玉7a,7bを下降方向にb(mm/s)の速度で移動させる。
【0065】
また、図10(b)は、2×b(mm/s)で昇降用モータm1を駆動し、もみ玉7a,7bを上昇方向に移動させるために、制御部Gから昇降用モータm1へ出力されるパルス信号の例を示している。すなわち、制御部Gはt4(s)周期でt5(s)幅のパルス(OFF期間はt6(s))を出力することによって、昇降用モータm1を動作させ、もみ玉7a,7bを上昇方向に2×b(mm/s)の速度で移動させる。
【0066】
ここで、このようにもみ玉7a,7bを上昇させるためのパルス周期t4(s)と下降させるためのパルス周期t1(s)は、t4=2×t1(s)の関係となっている。すなわち、もみ玉7a,7bを上昇させるためのパルス周期t4(s)は、下降させるためのパルス周期t1(s)の2倍のパルス周期になっており、これによりもみ玉7a,7bの上昇速度を下降速度の2倍の速度としている。
【0067】
また、もみ玉7a,7bの上下昇降は、上述のように昇降用モータm1を駆動させ、マッサージユニット11を上下昇降させることにより行なうものであるが、制御部Gから昇降用モータm1を駆動させるためのパルス信号を同一周期でかつ同一幅にした場合、上下昇降の速度が異なるものとなる。これは、マッサージユニット11の自重の影響によるものである。したがって、本実施形態における制御部Gは、このマッサージユニット11の自重の影響を吸収するために、もみ玉7a,7bを下降させるときに比べ上昇させるときのパルス信号の幅を大きくして(t5>t2)、同一パルス周期でのもみ玉7a,7bの上昇速度と下降速度とを同一のものとしている。すなわち、もみ玉7a,7bを下降させるときに比べ上昇させるときのパルス信号のONディーティ比を大きくするのである。このようにディーティ比を変えるようにしているため、パルス周期を変えることによりマッサージユニット11の自重の影響を吸収するのに比べ、その調節が容易となる。
【0068】
ここで、メモリ部G1には、以下の表2に示すように、体形情報調節時の移動速度情報に代えて、体形情報調節時の移動量情報(以下、「調節時移動量情報」とする。)として、体形情報調節時にもみ玉7a,7bの移動量をその移動方向によって異なるように記憶するようにしてもよい。なお、nは1よりも大きい数値(n>1)であり、整数に限られない。また、表2においては、このもみ玉7a,7bの移動量をmmの単位としているが、各モータm1〜m3を駆動するために制御部Gから出力されるパルス数(pulse)を単位とするようにしてもよく、最終的に移動量を設定するものであればどのような単位であっても良い。
【0069】
【表2】
【0070】
すなわち、制御部Gは、被施療者の体形情報を調節可能な期間(体形情報調節時)において、リモコンRに配置された後述の移動方向指定キーを押下されたとき、その移動方向指定キーに応じた調節時移動量情報をメモリ部G1から取り出して、取り出した調節時移動量情報に応じた移動量分だけもみ玉7a,7bを移動させる。たとえば、被施療者Mの肩位置を調節可能な期間(肩位置調節時)に、移動方向指定キーが押下され、この押下された移動方向指定キーがもみ玉7a,7bを下方に移動させるボタンである場合、B(mm)分だけもみ玉7a,7bを下方に移動させる。
【0071】
このように、制御部Gは、体形情報調節時、リモコン操作に応じた移動速度又は移動量でもみ玉7a,7bを移動させることができ、しかも、もみ玉7a,7bの移動方向によってその移動速度又は移動量を異ならせることができる。したがって、マッサージ機Aの設計時に施療体の移動速度や移動量の微妙な合わせこみをせずとも、体形情報の調節が容易となる。
【0072】
[リモコンの説明]
次に、上記構成のマッサージ機AにおけるリモコンRについて具体的に説明する。図11は、図9に示したリモコンRを示す拡大正面図である。
【0073】
リモコンRは、前記制御部Gを介して本マッサージ機Aの動作全体をコントロールする操作手段として機能するものであるが、後述する十字キー及び決定キーを含む各種操作ボタンを配した操作部Sと、液晶表示装置からなる表示部Kとを備えており、前記操作部S及び表示部Kを用いることにより、所要のマッサージモードを選択すると共に、後述するように、メカ的なマッサージを実行するに際し、もみ玉7a,7bの基準位置(肩位置や首幅位置など)を被施療者Mの操作に応じて調節し得るようになっている。
【0074】
リモコンRは、正面視が略しゃもじ形状の本体の上側部に液晶表示機を構成する表示部Kが設けられ、その下側に複数のボタン群からなる操作部Sが設けられており、表示部Kの面積を広くして視認性を向上させると共に、操作部Sの幅寸法を表示部Kの幅寸法より狭くして、操作部Sの把持操作性を向上させてある。
【0075】
操作部Sの略中央位置には、環状体の表面に4つの矢印を互いに直交する4方向の位置に付すと共に各矢印に対応する上下ボタンS11u,S11d及び左右ボタンS12L,S12Rを設けてなる十字キーS1が配置してあり、十字キーS1の上下ボタンS11u,S11d又は左右ボタンS12L,S12Rを操作することによって、例えば表示部K上に表示されたカーソルを当該方向へ移動させることができるようになっている。即ち、十字キーS1は、移動方向を指定する移動方向指定キーとして機能する。この十字キーS1の中央には、決定キーS2が配置してあり、例えば、十字キーS1を操作することによって、表示部K上に表示された種々の指令から所要の指令を選択した後に前記決定キーS2を操作することによって、指令の選択を決定し、当該指令を前述した制御部G(図9参照)に実行させるようになっている。また、十字キーS1を操作することによって、体形情報の調節を行なった後決定キーS2を操作することによって、当該体形情報をメモリ部G1に設定できるようになっている。このように十字キーS1は、指令選択キー或いは体形情報設定キーとしても機能する。
【0076】
十字キーS1の下方には、前述した脚載部4(図1参照)を昇降揺動させる一対の脚部用上下ボタンS14,S15、及び背もたれ部3をリクライニングさせる一対のリクライニング用上下ボタンS16,S17が互いに本体の幅方向へ距離を隔てて配置してあり、これら脚部用上下ボタンS14,S15及びリクライニング用上下ボタンS16,S17の下方には、バイブレータ(図示せず)を入/切させるバイブ用ボタンS19及びヒータを入/切させるヒータ用ボタンS18が互いに本体の幅方向へ距離を隔てて配置してある。
【0077】
一方、表示部Kの少し下方の位置には、前述した基準位置等をボタンに割り付けて登録するための登録ボタンS5dと3つの標準体型の基準位置が登録されているボタンS5a,S5b,S5cが設けてある。そして、これら登録ボタンS5の下方には、スタート/収納ボタンS3が配設してあり、マッサージを開始させるとき、又はマッサージを終了してもみ玉7a,7bを収納するときに使用するようになっている。また、スタート/収納ボタンS3の近傍には停止ボタンS4が配設してあり、該停止ボタンS4を操作することによってマッサージを中途で停止させることができる。
【0078】
前記スタート/収納ボタンS3の下方には、自動コースを選択してマッサージを実行するための自動ボタンS6、複数種類のマッサージから好みのマッサージを選択して実行するための機能ボタンS7が配設してあり、更に、自動コースを実施している間に、自分の好みに合わないマッサージモードであればこれをスキップするスキップボタンS8及びリピートボタンS9、肩位置を微調節するための肩位置調節ボタンS20等が設けてある。
【0079】
[マッサージ機Aの体形調節動作の説明]
次に、本発明に係るマッサージ機Aによるメカ的なマッサージにおける特徴的な体形情報調節の動作及びその制御について、図12〜図16を参照しながら説明する。
【0080】
図12は自動マッサージコースの係る手順を示すフローチャート、図13は肩位置調節に係る手順を示す説明図、図14は肩位置調節用画面の一例の説明図、図15は肩位置調節用画面の他の例の説明図、図16は首幅位置調節に係る手順を示すフローチャートである。
【0081】
まず、マッサージ機Aに電源が投入されると、制御部Gは各モータm1〜m4の位置などを初期位置に移動させると共に、リモコンRへ電源を供給してリモコンRを操作可能な状態とする。その後、リモコンRのスタート/収納ボタンS3(図12参照)が操作された場合(ステップS1)、制御部Gは、昇降用モータm1を制御し、マッサージユニット11を昇降させて予め設定された基準の肩位置の高さに移動すると共に、もみ用モータm3を制御し、もみ玉7a,7bを所定の幅にする。さらに、制御部Gは、進退用モータm2を制御し、もみ玉7a,7bを前後位置の最後方まで移動することによって、マッサージ機Aを待機状態とする(ステップS2)。なお、待機状態においては、リモコンRの表示部Kに待機画面が表示される(図11の表示部K参照)。
【0082】
その後、被施療者MがリモコンRの十字キーS1の上下ボタンS11u,S11d、左右ボタンS12L,S12Rを操作して自動マッサージコースを選択する(ステップS3)と、制御部Gは、リモコンRの自動マッサージコースが選択されたことを検出し、複数の自動マッサージコース名を表示する自動マッサージコース選択画面(図示せず)をリモコンRの表示部Kに表示させる(ステップS4)。
【0083】
この自動マッサージコース選択画面を表示部Kに表示させている状態で、被施療者MのリモコンR操作により所定の自動マッサージコースが選択されると、制御部Gは、自動マッサージコースにおいて、被施療者Mの体形に即したマッサージを行なうために、マッサージユニット11のもみ玉7a,7bを利用して被施療者Mの体形情報の検出を開始する(ステップS5)。この体形情報の検出として、制御部Gは、まず被施療者Mの背面(背筋カーブ)の検出を行なう。この背筋カーブの検出は、もみ玉7a,7bを一定速度で前方へ押し出していくことにより、被施療者の臀部から首部までの複数のポイントで被施療者Mの身体への当接位置を検出し、これらの位置を結ぶことにより被施療者Mの背面ラインを取得する。制御部は、このように取得した背面ライン情報をメモリ部G1に記憶する。なお、すでに背面ライン情報が設定されている場合には、制御部Gはこの処理をスキップする。
【0084】
次に、制御部Gは、被施療者Mの背面ライン情報以外の体形情報(ここでは、肩位置情報と首幅情報)の調節が既に行なわれているか否かを判定する(ステップS6)。この判定は、メモリ部G1に肩位置情報と首幅情報とが設定されているか否かによって行なわれる。
【0085】
ステップS6で、制御部Gは、肩位置情報或いは首幅情報がメモリ部G1に未設定であると判定する(ステップS6:No)と、肩位置調節処理を行なう(ステップS7)。この肩位置調節処理による肩位置の設定は、肩周辺マッサージを行なうための基準位置を設定するものである。この肩位置調節処理について、図13を参照して、以下具体的に説明する。
【0086】
まず、制御部Gは、この肩位置の設定のため、前記進退用モータm2を駆動し、もみ玉7a,7bを最後方位置まで後方に向けて移動するとともに、前記昇降用モータm1を駆動して、これも前記マッサージユニット11内に設けたロータリーエンコーダE1の検出に基づいて所定距離だけマッサージユニット11を上昇させ、その位置で進退用モータm2を駆動してもみ玉7a,7bを前方に向けて第1進出限度位置L1(図示せず)内で移動する。制御部Gは、このような動作を被施療者Mの肩位置を越える高さ位置まで繰り返し行わせることによって、被施療者Mの肩の目安位置(高さ)を検出する。
【0087】
制御部Gは、このようにして検出した被施療者Mの肩の目安位置にもみ玉7a,7bを移動させる(ステップS10)。すなわち、制御部Gは昇降用モータm1を駆動してもみ玉7a,7bが被施療者Mの肩の目安位置となるようにマッサージユニット11を移動させる。そして、肩位置の調節を被施療者Mに促すべく肩位置調節用画面を表示部Kに表示させる(ステップS11)。
【0088】
図14(a)は、前後方向及び上下方向の肩位置微調節用画面の一例を説明する説明図である。この肩位置微調節用画面には、着座した状態の被施療者像が表示されており、この被施療者像上又はその近傍に、もみ玉の現在位置を示すもみ玉像Nが表示されている。また、被施療者像の近傍に、十字キー像が表示されており、該十字キー像に続いて、肩位置の調節を促す文字が表示されている。更に、被施療者像の下方に、十字キーによる肩位置の調節方法を説明する文字が表示されている。
【0089】
制御部Gは、移動方向指定キーである十字キーS1が操作されたか否かを判定(ステップS12)し、この十字キーS1が操作されたと判定すると(ステップS12:Yes)、もみ玉像Nをその操作に応じた方向でその方向に応じた速度で操作量に応じた時間だけ移動するようになっており、このもみ玉像Nの移動に倣って、制御部Gは、もみ玉7a,7b(図3参照)も同様に移動させるようになっている(ステップS13)。従って、被施療者Mは、肩位置微調節用画面を目視して、被施療者像ともみ玉像Nとの相対位置を確認しながら被施療者M本人の肩位置に正確に調節することができる。
【0090】
すなわち、リモコンRに設けられた十字キーS1の上下ボタンS11u,S11dが操作された場合、前述したもみ玉像N及びもみ玉7a,7bが上下方向へ移動し、十字キーS1の左右ボタンS12L,S12Rが操作された場合、もみ玉像N及びもみ玉7a,7bが前後方向へ移動するようになっている。
【0091】
ここで、制御部Gは、リモコンRの十字キーS1が操作されたことによるリモコンRからの要求に応じてメモリ部G1から必要な調節時移動速度情報を取り出して、もみ玉7a,7bの移動を行なう。
【0092】
すなわち、制御部Gは、このような肩位置調節時に、移動方向指定キーが押下され、この押下された移動方向指定キーがもみ玉7a,7bを下方に移動させる下ボタンS11dである場合、その下ボタンS11dが押下されている期間、速度b(mm/s)にてもみ玉7a,7bを下方に移動させる。また、押下された移動方向指定キーがもみ玉7a,7bを上方に移動させる上ボタンS11uである場合、その上ボタンS11uが押下されている期間、速度2×b(mm/s)にてもみ玉7a,7bを下方に移動させる。
【0093】
また、制御部Gは、押下された移動方向指定キーがもみ玉7a,7bを前進方向に移動させる左ボタンS12Lである場合、その左ボタンS12Lが押下されている期間、速度a(mm/s)にてもみ玉7a,7bを前方に移動させる。また、押下された移動方向指定キーがもみ玉7a,7bを後退方向に移動させる右ボタンS12Rである場合、その右ボタンS12Rが押下されている期間、速度2×a(mm/s)にてもみ玉7a,7bを後方に移動させる。
【0094】
このように、被施療者Mの肩や背中へ近づく下方向又は前進方向へのもみ玉7a,7bの移動速度を被施療者Mの肩や背中から遠ざかる上方向又は後退方向へのもみ玉7a,7bの移動速度よりも遅くすることにより、マッサージ機Aの設計時にもみ玉7a,7bの移動速度の微妙な合わせこみをせずとも、もみ玉7a,7bが本来設定すべき位置を通り過ぎて被施療者Mを押圧しすぎることも回避することができるのである。
【0095】
ところで、この肩位置調節時には、もみ玉7a,7bは第1進出限度位置L1よりも前方の第2進出限度位置L2(図示せず)まで進出することが許可されており、これによって、被施療者Mは、本人の肩の上方からその中心位置を特定して、肩位置微調節を行なうことができるようになっている。
【0096】
なお、もみ玉7a,7bが最後方位置から第1進出限度位置L1までの間にあるときと、第1進出限度位置L1を超えた位置にあるときとでもみ玉7a,7bの移動速度を変えるように制御部Gによって制御するようにしてもよい。すなわち、もみ玉7a,7bが最後方位置から第1進出限度位置L1までの間にあるときには、もみ玉7a,7bの前進方向への移動を1.5×a(mm/s)で行い、一方もみ玉7a,7bが第1進出限度位置L1を超えた位置にあるときには、もみ玉7a,7bの前進方向への移動をa(mm/s)で行なうようにする。また、もみ玉7a,7bが最後方位置から第1進出限度位置L1までの間にあるときには、もみ玉7a,7bの後進方向への移動を3×a(mm/s)で行い、一方もみ玉7a,7bが第1進出限度位置L1を超えた位置にあるときには、もみ玉7a,7bの後進方向への移動を2×a(mm/s)で行なうようにする。
【0097】
このように、被施療者Mに近接していない位置では、もみ玉7a,7bの速度を早くすることによって、肩位置の微調節がさらにしやすくなる。しかも、もみ玉7a,7bが本来設定すべき位置を通り過ぎて被施療者Mを押圧しすぎることも回避することができる。
【0098】
また、十字キーS1を操作しての肩位置の微調節を終え、被施療者Mは、決定キーS2を押下すると、制御部Gは、肩位置微調節が終了したと判定(ステップS14:Yes)し、このときのもみ玉7a,7bの位置を肩位置情報としてメモリ部G1に記憶して肩位置微調節処理を終了する。
【0099】
なお、このように同一方向への移動速度を2つの範囲で変えるのではなく、もみ玉7a,7bの位置に応じて徐々に速度を速めたり又は速度を遅くしたりすることにより、さらに肩位置の微調節がしやすくなる。
【0100】
また、肩位置の上下方向の調節及び前後方向の調節を実施した後、例えば、表示部Kに表示した肩位置調節用画面を、図14(b)に示すように、肩位置の左右方向の位置を調節し得る画面に切り替え、リモコンRに設けられた十字キーS1の左右ボタンS12L,S12Rを操作して、当該画面に表示された2つのもみ玉像間の寸法、及び両もみ玉間の寸法を共に調節することによって、肩位置の左右方向の位置を調節するようにしてもよい。これによって、肩位置を3次元的に調節することができ、肩位置をより正確に設定することができる。
【0101】
ここで、上述のように制御部Gは、このような肩位置調節時に、もみ玉7a,7b間の幅を狭くするようにもみ玉7a,7b移動させる左ボタンS12Lが押下された場合、その左ボタンS12Lが押下されている期間、速度c(mm/s)にてもみ玉7a,7bの間隔を狭めるようにもみ玉7a,7bを移動させる。また、押下された移動方向指定キーがもみ玉7a,7bを上方に移動させる上ボタンS11Rである場合、その上ボタンS11Rが押下されている期間、速度2×c(mm/s)にてもみ玉7a,7bの間隔を広げるようにもみ玉7a,7bを移動させる。
【0102】
このように、被施療者Mの首へ近づく方向へのもみ玉7a,7bの移動速度を被施療者Mの首から遠ざかる方向の移動速度よりも遅くすることにより、マッサージ機Aの設計時にもみ玉7a,7bの移動速度の微妙な合わせこみをせずとも、もみ玉7a,7bが本来設定すべき位置を大幅に通り過ぎることを回避することができるのである。
【0103】
なお、肩位置調節用画面を表示させてから所定時間経過後も調節操作が行なわれない場合、改めて、体形検出モードで検出した肩位置を調節後の肩位置に決定してよいか否かを確認する画面を表示させ、十字キーS1及び決定キーS2による入力操作を行なわせるようにしてもよい。
【0104】
ここで、肩位置調節用画面を図14(a)に代えて図15に示すような肩位置調節用画面とすることもできる。そして、被施療者Mは、この画面を参照しながらリモコンRに設けられた十字キーS1の上下ボタンS11u,S11dや左右ボタンS12L,S12R等を操作してもみ玉7a,7bの移動指示を制御部Gへ送り、制御部Gは、その移動要求に従ってもみ玉7a,7bを移動させる制御を行うと共に、もみ玉7a,7bの移動位置をも示した肩位置調節用画面の表示を行なう。
【0105】
次に、制御部Gは、被施療者Mの首幅(以下、「首幅位置」とする。)を設定するための設定動作を行なう(ステップS8)。この首幅位置の設定は、肩周辺マッサージを行なうための基準位置を設定するものである。
【0106】
制御部Gは、被施療者Mの首幅位置の設定のため、図16に示すように、昇降用モータm1を駆動させ、肩位置にあるもみ玉7a,7bを所定高さ下方に移動させると共に、もみ用モータm3を駆動させて、もみ玉7a,7b間の間隔を所定の基準首幅位置となるように、もみ玉7a,7bを移動させる(ステップS20)。そして、制御部Gは、首幅位置の調節を被施療者Mに促すべく首幅位置調節用画面(図示せず)を表示部Kに表示させる(ステップS21)。なお、この基準首幅位置は、標準の首幅よりも広めになるようなもみ玉7a,7bの間隔である。
【0107】
この首幅位置調節用画面は、図14(b)と同じような画面となっている。すなわち、正面を向いた被施療者像が表示されており、この被施療者像上又はその近傍に、もみ玉の現在位置を示すもみ玉像Nが表示されている。また、被施療者像の近傍に、十字キー像が表示されており、該十字キー像に続いて、首幅位置の調節を促す文字が表示されている。更に、被施療者像の下方に、十字キーによる首幅位置の調節方法を説明する文字が表示されている。
【0108】
制御部Gは、移動方向指定キーである十字キーS1が操作されたか否かを判定(ステップS22)し、この十字キーS1が操作された場合(ステップS22:Yes)、もみ玉像Nをその操作に応じた方向でその方向に応じた速度で操作量に応じた時間だけもみ玉7a,7bの幅を広げ又は狭めるようにもみ玉7a,7bを移動させるようになっている(ステップS23)。
【0109】
すなわち、リモコンRに設けられた十字キーS1の左右ボタンS12L,S12Rが操作された場合、もみ玉像N及びもみ玉7a,7bの間隔が広がる方向又は狭まる方向へ移動するようになっている。
【0110】
ここで、このような首幅位置調節時に、制御部Gは、リモコンRの十字キーS1が操作されたことによるリモコンRからの要求に応じてメモリ部G1から必要な調節時移動速度情報を取り出して、もみ玉7a,7bの移動を行なう。
【0111】
たとえば、押下された移動方向指定キーが左ボタンS12Lである場合、制御部Gは、その左ボタンS12Lが押下されている期間、速度c(mm/s)にてもみ玉7a,7bの間隔を狭める方向へもみ玉7a,7bを移動させる。また、押下された移動方向指定キーが右ボタンS12Rである場合、その右ボタンS12Rが押下されている期間、速度2×c(mm/s)にてもみ玉7a,7bの間隔を広げる方向にもみ玉7a,7bを移動させる。
【0112】
なお、十字キーS1を操作しての首幅位置の微調節を終え、被施療者Mが決定キーS2を押下すると、制御部Gは、首幅微調節が終了したと判定(ステップS24:Yes)し、のときのもみ玉7a,7bの位置を首幅位置情報としてメモリ部G1に記憶して首幅位置微調節処理を終了する。
【0113】
このように、被施療者Mの首位置へ近づく方向へのもみ玉7a,7bの移動速度を被施療者Mの首位置から遠ざかる方向へのもみ玉7a,7bの移動速度よりも遅くすることにより、マッサージ機Aの設計時にもみ玉7a,7bの移動速度の微妙な合わせこみをせずとも、もみ玉7a,7bが本来設定すべき位置を通り過ぎて被施療者Mを押圧しすぎることも回避することができるのである。
【0114】
制御部Gは、ステップS7,8での体形情報調節が終了すると、ステップS4で被施療者Mによって選択された自動マッサージコースの実行を開始(ステップS9)し、この自動マッサージコースの実行が終了されると、待機状態に戻る(ステップS2)。
【0115】
以上のように本実施形態のマッサージ機Aの体形調節動作として、被施療者Mの体形情報を調節可能な期間において、もみ玉7a,7bの移動方向に応じてその移動速度を異ならしめるようにしているが、上述の表2に示すようにもみ玉7a,7bの移動方向に応じて操作手段の操作回数当たりの移動量(たとえば、リモコンRの下ボタンS11dの一回の押圧当たりの移動距離がB(mm))を異ならしめるようにすることもできる。このようにすることで、被施療者Mが誤って操作手段を操作し続け(たとえば、リモコンRの下ボタンS11dを押下し続け)てしまったような場合であっても、施療体が移動し続けることがない。
【0116】
また、被施療者Mの体形情報を調節可能な期間において、もみ玉7a,7bの移動方向に応じて、一方の方向(例えば、上昇方向)に対しては操作手段の操作の継続時間に応じてもみ玉7a,7bを移動させる(例えば、移動速度2×b(mm/s))にし、その一方の方向とは逆の方向(例えば、下降方向又は後退方向)に対しては操作手段の操作回数に応じてもみ玉7a,7bを移動させる(たとえば、リモコンRの下ボタンS11dの一回の押圧当たりの移動距離がB(mm))ように制御部Gにより動作させるようにしてもよい。このようにすれば、もみ玉7a,7bの微調節がさらに容易となる。
【0117】
また、被施療者Mの体形情報を調節可能な期間において、もみ玉7a,7bの移動方向が同一であっても、もみ玉7a,7bが最後方位置から第1進出限度位置L1までの間にあるときと、第1進出限度位置L1を超えた位置にあるときとで、その移動態様を変えるようにしてもよい。たとえば、もみ玉7a,7bが最後方位置から第1進出限度位置L1までの間にあるときときには、操作手段の操作の継続時間に応じてもみ玉7a,7bを移動させる(例えば、移動速度2×b(mm/s))にし、第1進出限度位置L1を超えた位置にあるときとには、操作手段の操作回数に応じてもみ玉7a,7bを移動させる(たとえば、リモコンRの下ボタンS11dの一回の押圧当たりの移動距離がB(mm))ように制御部Gを動作させてもよい。このようにすれば、もみ玉7a,7bの微調節がさらに容易となる。
【0118】
また、被施療者Mの身長などに適した移動速度又は移動量にすることもでき、このようにすれば、より体形情報の調節が容易となる。すなわち、被施療者Mの身長が低いときには、もみ玉7a,7bの移動速度を遅くしたり或いは操作回数当たりの移動量を少なくしたりし、被施療者Mの身長が高いときには、もみ玉7a,7bの移動速度を速くしたり或いは操作回数当たりの移動量を多くしたりするように制御部Gにより動作させるようにしてもよい。このようにすれば、例えば、子供のときと大人のときとでもみ玉の移動速度や移動量を変えることができるためより適切な調整が可能となる。なお、被施療者Mの身長は、制御部Gによる背面ラインの検出時におおよそ検出が可能であり、この検出に応じたもみ玉7a,7bの移動速度又は移動量とする。
【0119】
なお、本実施形態におけるマッサージ機においては、もみ玉7a,7bの間隔をもみ用モータm3により移動させるようにしているが、もみ用モータm3とは別個のモータによりこのもみ玉7a,7bの間隔を移動させるようにするようにしてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本実施の形態に係るマッサージ機を示す斜視図である。
【図2】同マッサージ機よりクッション材などを取り除いた状態を示す斜視図である。
【図3】同マッサージ機の駆動制御系を示すブロック図である。
【図4】リクライニング可能とした背もたれ部の側面視による説明図である。
【図5】同背もたれ部の横断面図である。
【図6】機械式のマッサージユニットの斜視図である。
【図7】同マッサージユニットの分解斜視図である。
【図8】同マッサージユニットを構成するもみ玉ユニットの側面図である。
【図9】本実施の形態に係るマッサージ機の駆動制御系を示すブロック図である。
【図10】制御部Gから出力されるパルス信号を説明するための図である。
【図11】リモコンを示す拡大正面図である。
【図12】自動マッサージコースの係る手順を示すフローチャートである。
【図13】肩位置調節に係る手順を示す説明図である
【図14】肩位置調節用画面の一例の説明図である。
【図15】肩位置調節用画面の他の例の説明図である。
【図16】首幅位置調節に係る手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0121】
A マッサージ機
M 被施療者
K 表示部
R リモコン
1 座部
2 基台部
3 背もたれ部
4 脚載部
5 肘掛部
6 側壁部
7 もみ玉
9 もみ玉駆動ユニット
11 マッサージユニット
E1,E3,E4 ロータリーエンコーダ
G 制御部
G1 メモリ部
G6 進退用モータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関し、特に被施療者の肩位置などの体形情報を調節可能なマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上下昇降可能なもみ玉等の施療体を背もたれ部に設けたマッサージ機においては、使用者である被施療者の肩位置などの体形情報を設定し、この体形情報に応じて被施療者の体形に合わせたマッサージを行っている。
【0003】
そして、肩位置の設定は、被施療者の操作により施療体を移動させたり、あるいはマッサージ機が自動的に施療体を移動させながら肩位置の検出を行なったり、あるいはマッサージ機が自動検出した肩位置をその後使用者が微調節して最終的な肩位置を決定していた。
【0004】
ここで、この肩位置の設定は、マッサージ機による自動検出のみでは設定された肩位置が使用者の実際の肩位置からずれる可能性もあるので、最終的には被施療者である使用者自身が肩位置の微調節を行なうことが望ましい。
【0005】
そして、肩位置の微調節を行なうときには、被施療者が施療体を操作して自分の肩位置へと施療体を移動させ、その施療体の位置を肩位置として設定していた。
【0006】
かかる施療体の操作は、操作部に設けられた昇降ボタン等によって行なっており、この操作部による調節を容易にするために、本出願人は、下記特許文献1において、表示部を見ながら客観的に肩位置の調節を行なうことができるマッサージ機を提案した。
【0007】
このマッサージ機は、肩位置設定時にその時点において設定されている基準肩位置を表示し、操作手段により肩位置の変更がなされると、その変更後の肩位置を新たな基準肩位置として表示するものである。
【特許文献1】特2005−13427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1におけるマッサージ機においては、操作手段によって肩位置の調節を行なうことができ、さらにその調節の際に表示部に現在の肩位置を確認することができるが、マッサージ機を設計する際に、この肩位置調節の施療体の移動速度や移動量を適切にするための合せ込みに時間を要していた。
【0009】
すなわち、操作手段により施療体を被施療者の肩位置に近づけるときも肩位置から遠ざけるときも、その移動速度や移動量は同じにしているため、操作手段による施療体の移動速度を速くしたり移動量を多くしたりすると、肩位置の調節が困難となり、しかも施療体が肩位置を通り過ぎて被施療者を押圧しすぎることになる。
【0010】
一方で、操作手段による施療体の移動速度を遅くしたり移動量を少なくしたりすると、肩位置の調節に時間がかかってしまい、被施療者に不満感を与えてしまう。
【0011】
このように操作手段による施療体の移動速度あるいは移動量の設定は容易ではなく、時間を要していた。
【0012】
これらのことは、肩位置調節に限らず、被施療者が微調節を行なうことができる体形情報の調節であれば同様である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、請求項1に記載の発明は、背もたれ部に上下昇降及び前後進退可能に配設した施療体と、この施療体の動作を制御する制御手段とを備えるマッサージ機において、前記施療体を移動させるための要求を前記制御手段へ出力可能な操作手段を設け、前記制御手段は、被施療者の体形情報を調節可能な期間において、前記操作手段から前記要求があると、前記要求に対する前記施療体の移動速度又は移動量を、一方の方向への移動とその反対の方向への移動とで異ならしめたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、前記一方の方向を被施療者の身体へ近づく方向とし、前記他方の方向を被施療者の身体から遠ざかる方向とすると共に、被施療者の身体へ近づく方向への前記施療体の移動速度又は移動量を被施療者の身体から遠ざかる方向への前記施療体の移動速度又は移動量よりも遅く又は少なくすることを特徴とする。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明であって、前記体形情報は、肩位置情報であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明であって、前記操作手段は、前記施療体を上下方向及び前後方向へ移動させるための移動方向指定キーを具備し、前記制御手段は、前記移動方向指定キーの押下時間に応じて前記施療体を移動させることを特徴とする。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明であって、前記操作手段は、前記施療体を上下方向及び前後方向へ移動させるための移動方向指定キーを具備し、前記制御手段は、前記移動方向指定キーが押下されたとき、所定の移動量分だけ前記施療体を移動させることを特徴とする。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の発明であって、前記移動方向指定キーは、一軸方向へ距離を隔てて配置した一対のキーと、前記一軸と直交する軸方向へ距離を隔てて配置した他対のキーとを具備する十字キーで構成してあり、前記決定キーは十字キーの中央に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、操作手段の操作によって移動させる施療体の移動速度あるいは移動量をその移動方向に応じて変えるようにしているため、マッサージ機を設計する際に施療体の移動速度や移動量の微妙な合わせこみをせずとも、体形情報の調節が容易となる。特に、被施療者の身体へ近づく方向では施療体の移動速度を遅くし或いは移動量を少なくする一方で、被施療者の身体から遠ざかる方向では施療体の移動速度を速くし或いは移動量を多くすることによって、施療体の移動速度や移動量の微妙な合わせこみをせずとも、施療体が本来設定すべき位置を通り過ぎて被施療者を押圧しすぎることも回避することができる。さらに、操作手段に移動方向指定キーを設け、この移動方向指定キーの押下時間に応じて施療体を移動させるようにしたり、移動方向指定キーが押下されたとき所定の移動量分だけ施療体を移動させるようにするようにすれば、施療体の操作が容易となる。この移動方向指定キーを十字キーで構成することにより、さらに施療体の操作が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本実施形態に係るマッサージ機は、背もたれ部に上下昇降及び前後進退可能に配設した施療体と、この施療体の動作を制御する制御手段とを備えるマッサージ機において、前記施療体を移動させるための要求を前記制御手段へ出力可能な操作手段を設け、前記制御手段は、被施療者の体形情報を調節可能な期間において、前記操作手段から前記要求があると、前記要求に対する前記施療体の移動速度又は移動量を、一方の方向への移動とその反対の方向への移動とで異ならしめたものである。このように構成されているため、マッサージ機の設計時に施療体の移動速度や移動量の微妙な合わせこみをせずとも、体形情報の調節が容易となる。なお、本実施形態では、マッサージ機を、オットマンと呼ばれる脚載部を具備した椅子型マッサージ機として説明する。
【0021】
また、前記一方の方向を被施療者の身体へ近づく方向とし、前記他方の方向を被施療者の身体から遠ざかる方向とすると共に、被施療者の身体へ近づく方向への前記施療体の移動速度又は移動量を被施療者の身体から遠ざかる方向への前記施療体の移動速度又は移動量よりも遅く又は少なくすることにより、マッサージ機を設計する際に施療体の移動速度や移動量の微妙な合わせこみをせずとも、施療体が本来設定すべき位置を通り過ぎて被施療者を押圧しすぎることも回避することができる。
【0022】
ここで、被施療者の身体へ近づく方向とは、例えば肩位置(情報)調節時に、施療体を降下させる方向であり、或いは施療体を背もたれ部から突出するように前進させる方向などである。一方、施療者の身体から遠ざかる方向とは、例えば肩位置調節時に、施療体を上昇させる方向であり、或いは施療体を背もたれ部の内部に後退させる方向などである。
【0023】
また、施療体を一対のもみ玉とし、この一対のもみ玉によって首付近の施療するために、首幅位置を設定するときには、この首幅位置調節時に、一対のもみ玉の間隔が狭くなる方向を被施療者の身体へ近づく方向とし、一対のもみ玉の間隔が広くなる方向を被施療者の身体から遠ざかる方向とすることができる。
【0024】
さらに、このような体形情報調節時において、常に施療体の移動方向に応じてその移動速度又は移動量を異ならせるようにせずに、所定領域内においてのみ施療体の移動方向に応じてその移動速度又は移動量を異ならせるようすることもでき、このようにすれば、より体形情報の調節が容易となる。
【0025】
また、肩位置調節時や首幅位置調節など種々の体形情報調節ごとに適した移動速度又は移動量にすることもでき、このようにすれば、より体形情報の調節が容易となる。例えば、肩位置調節時には施療体の移動速度をその移動方向によって異ならしめ、首幅位置調節時には施療体の移動量を異ならしめるようにすることもできる。
【0026】
また、操作手段に、施療体を上下方向及び前後方向へ移動させるための移動方向指定キーを設け、この移動方向指定キーの押下時間に応じて施療体を移動させるようにしたり、移動方向指定キーが押下されたとき所定の移動量分だけ施療体を移動させるようにするようにすれば、施療体の操作が容易となる。この移動方向指定キーを十字キーで構成することにより、さらに施療体の操作が容易となる。
【0027】
なお、十字キーは、移動方向指定キーを、一軸方向へ距離を隔てて配置した一対のキーと、前記一軸と直交する軸方向へ距離を隔てて配置した他対のキーとから構成することができる。また、十字キーの中央に決定キーを設け、十字キーによって体形情報の調節を行なった後、この決定キーによって体形情報をマッサージ機に設定するようにしてもよい。
【0028】
以下、本実施の形態に係るマッサージ機について、図面を参照しながらより具体的に説明する。
【0029】
まず、マッサージ機Aの全体的な構成について、図1〜図5を参照して説明する。図1は本実施の形態に係るマッサージ機を示す斜視図、図2は同マッサージ機よりクッション材などを取り除いた状態を示す斜視図、図3は同マッサージ機の駆動制御系を示すブロック図、図4はリクライニング可能とした背もたれ部の側面視による説明図、図5は同背もたれ部の横断面図である。
【0030】
本実施形態に係るマッサージ機Aは、図1〜図5に示すように、被施療者M(図3〜5参照)が着座する座部1と、同座部1を支持する基台部2と、前記座部1の後側に倒伏自在にリクライニングできるように連結され、左右両側に体側施療部として機能する側壁部6,6を取付けた背もたれ部3と、座部1の前側上部近傍に設けた枢支部1aを中心に上下方向へ揺動可能に連結した脚載部4とを具備する椅子式マッサージ機としている。
【0031】
また、図1に示すように、前記基台部2を除く各部については、必要に応じて合成皮革などからなるカバーにより直接被覆するか、あるいは同じくカバーで被覆したクッション部材を配設している。C1は座部1に載置された座部クッション、C30は背もたれ部3の全体を被覆するように着脱自在に取付けられた背もたれクッション、C31は、前記背もたれクッションC30に面ファスナーを介して上端同士を着脱自在とした枕状クッション、C4は前記脚載部4を被覆する脚載部用カバー、C6は前記側壁部6に設けた体側部用エアバッグa3(図2参照)を被覆しているエアバッグ用カバーである。
【0032】
前記背もたれ部3は、図3に示すように、縦に伸延する左右の縦フレーム30,30を具備しており、この縦フレーム30,30の前側に、図2に示すように、略中央に所定幅の長孔31aを形成した背もたれ板31を取付けるとともに、後側には背面カバー体32を取付け、この背面カバー体32と前記背もたれ板31との間にユニット配設空間Qを形成している。そして、このユニット配設空間Qに、被施療者Mを押圧によってマッサージするための左右一対のもみ玉7a,7bを備え、このもみ玉7a,7bを前記長孔31aに臨ませた状態で昇降可能とした機械式のマッサージユニット11を配設している。なお、このマッサージユニット11については後に詳述する。
【0033】
また、図2に示すように、前記背もたれ部3の長孔31aを挟んで、背もたれ板31の左右側上部には背中部用エアバッグa1,a1を、左右側下部に腰部用エアバッグa2,a2をそれぞれ配設し、エアポンプ25(図9参照)から供給されるエアによって背中や腰を押圧するエアマッサージを実行可能としている。
【0034】
また、図1〜図3に示すように、前記座部1には、その左右側に肘掛部5,5を設けている。また、座部1の後部側には臀下部用エアバッグa4を、前部側には腿部用エアバッグa5を、左右側には臀側部用エアバッグa6をそれぞれ取付けている。
【0035】
前記脚載部4は、左右の脚を受ける半円筒状の左右脚受部18,18を並設した本体部15と、同本体部15の先端に連設するとともに左右の足裏を受ける半円筒状の左右足裏受16,16を並設した足裏受部17とから側面視略L字状に形成しており、前記本体部15の各脚受部18,18の両内側面に左右で対をなす脚上部用エアバッグa7,a7,a7,a7を取付けるとともに、前記足裏受部17の各足裏受16,16の両内側面に左右で対をなす脚下部用エアバッグa8,a8,a8,a8を取付けている。
【0036】
ここで、背もたれ部3の左右端部に取付けた側壁部6の構成と、この側壁部6に設けた体側部用エアバッグa3、及び他のエアバッグに関する動作について説明する。
【0037】
本実施形態における左右の側壁部6,6は、図1〜図3に示すように、取付基端部61側の上下長よりも先端部側の上下長を長くした略扇形形状としており、座部1に着座した被施療者Mの上腕側方となる位置に配設している。
【0038】
そして、前記基端部側から先端部側にかけて漸次外側方に拡開させるとともに、その内側面には、それぞれ左右方向に2個の体側部用エアバッグa3,a3を重合状態に取付けて体側施療部として機能させている。したがって、かかる2個の体側部用エアバッグa3,a3を同時に膨出させると被施療者Mの身体に素早くフィットして身体の体側をマッサージあるいは押圧保持することができる。なお、体側部用エアバッグa3は、前述したようにエアバッグ用カバーC6で被覆されている(図1参照)。
【0039】
この体側部用エアバッグa3を含む前記複数のエアバッグa1〜a8には、後述するエアポンプ25から給気される。エアポンプ25には、同エアポンプ25から圧入される大気を一時的に貯留して各エアバッグa1〜a8へ分流する分流器(図示せず)を連通連結している。そして、この分流器には、各エアバッグa1〜a8に対応する複数の吐気口が設けられ、各吐気口には同吐気口の開口を開閉する電磁弁(図示せず)を設けている。そして、分流器の各吐気口と対応するエアバッグa1〜a8とを、これも図示しない耐圧ホースによってそれぞれ連結し、前記電磁弁の開閉動作を後述する制御手段としての制御部Gにより制御して所要のエアバッグa1〜a8を個別に給排気し、エアバッグa1〜a8を膨張(膨出)・収縮させることにより、被施療者Mに対してエアマッサージを施すように構成している。なお、電磁弁B1〜B18の開閉動作によってエアバッグa1〜a8を膨張(膨出)・収縮させることができる一方、エアバッグa1〜a8を膨張状態(膨出状態)に保持することもできる。
【0040】
このように、エアバッグa1〜a8の動作は制御部Gによって制御されており、制御部Gは、エアバッグa1〜a8の膨縮に関わるエアポンプ25のオン・オフ動作や各エアバッグa1〜a8に対して給排気を行うための電磁弁の開閉動作を制御して、所要のエアバッグa1〜a8を膨張(膨出)・収縮させてエアマッサージを実行させるのである。
【0041】
[マッサージユニットの説明]
次に、マッサージ機Aにおける機械式のマッサージユニット11について図面を参照して以下具体的に説明する。図6は機械式のマッサージユニット11の斜視図、図7は前記マッサージユニット11の分解斜視図、図8はマッサージユニット11を構成するもみ玉駆動ユニット9の側面図である。
【0042】
図6〜図8に示すように、マッサージユニット11は、もみ玉駆動ユニット9を収納配設しており、同もみ玉駆動ユニット9は、施療体として配設した左右一対のもみ玉7a,7bをたたき方向に揺動させることによってたたき作動を行わせるたたき機構70と、前記もみ玉7a,7bを偏心回動させることによってもみ作動を行わせるもみ機構8とを具備するとともに、背もたれ部3の表側(被施療者Mと接する側)に向けて進退移動可能に構成され、進退した位置によってマッサージ強度が変わるように、すなわち、もみ玉7a,7bによる被施療者Mへの押圧力が変わるようにしている。
【0043】
図6〜図8中、m1はマッサージユニット11を昇降させるための昇降用モータ、28は前記昇降用モータm1と連動連結するとともに、前記もみ玉駆動ユニット9を前後揺動自在に支持した昇降軸、29,29は同昇降軸28の両端に取り付けたピニオンギヤであり、前記縦フレーム30,30に設けたラック(図5参照)と噛合している。
【0044】
また、m2は前記もみ玉駆動ユニット9を前後方向へ進退移動させるための進退用モータであり、同モータm2の駆動により進退軸43を回転させ、円弧状ラック46,46上を前記進退軸43に取り付けたピニオン44,44を前後方向に移動させてもみ玉駆動ユニット9を揺動させて進退可能としている。49は前記進退軸43を回動自在に支持するための軸受である。
【0045】
前述した一方の円弧状ラック46の側部には、扇形板材の周縁に複数の貫通孔を所定の間隔で開設してなる進退位置検出用基板81が取付けてあり、この進退位置検出用基板81の貫通孔の位置に光線を出射して通過光の検出回数によってもみ玉駆動ユニット9の進退位置を検出する進退位置検出センサG6が、進退位置検出用基板81の一部を挟持するように配設してある。
【0046】
このようにもみ玉駆動ユニット9の前後方向へ進退移動を行なうことによって、背もたれ部の前面3aから前方の位置にもみ玉7a,7bを突出及び収納することができる。また、もみ玉駆動ユニット9の前後ストローク長は0〜110mm程度に構成されており、後述の制御部G(図9参照)によってその進退移動が制御される。
【0047】
また、m3は前記もみ機構8の主構成要素であるもみ用モータであり、もみ用回動軸(図示せず)を介してもみ玉7a,7bと連動連結している。このもみ用モータm3にたたき用モータm4が並設してあり、たたき用回動軸を介してもみ玉7a,7bと連動連結している。
【0048】
このもみ用モータm3の動作を制御することによって、もみ玉7a,7bの間の距離を拡縮させることができ、もみ玉7a,7bの間の距離を例えば「幅広」、「普通」、「幅狭」の内のいずれかの状態に設定して、首幅位置を調節したり、たたきマッサージを実行したりすることができるようになっている。
【0049】
一方、前述した各モータm1、m3及びm4と連動連結した回動軸には、回動角(駆動量)を検出するためのロータリーエンコーダE(図3参照)をそれぞれ取付けており、ロータリーエンコーダEの検出結果は、制御部Gに与えられる。
【0050】
このように、本実施の形態のマッサージ機Aにおいては、かかるもみ玉駆動ユニット9の動きによって、多種のマッサージを実行するようにしており、さらにマッサージ位置や強度をさらに組み合わせることで多彩なマッサージモードで施療することができる。なお、本実施形態では、前記もみ玉駆動ユニット9内にバイブ用モータ(図示せず)を配設し、もみ玉駆動ユニット9を振動させてバイブマッサージも行えるようにするとともに、脚載部4内にもバイブレータ(図示せず)を設け、より多彩なマッサージモードを実行できるようにしている。
【0051】
[制御部の説明]
次に、上記構成のマッサージ機Aにおける本実施形態の要部となる制御手段としての制御部及び操作手段としてのリモコンの構成について説明する。本実施形態における制御部Gは、被施療者の体形情報を調節可能な期間において、リモコンRから施療体を移動させるための要求があると、この要求に対して施療体を移動させるものである。そして、制御部Gは、この施療体の移動方向によって、施療体の移動速度又は移動量を一方の方向への移動とその反対の方向への移動とで異なるものとすることにより、体形情報の調節を容易にするものである。
【0052】
ここで、体形情報としては、施療者の肩位置や首幅位置などがあり、これらの体形情報を基本マッサージや自動マッサージコースを実行する前に予めメモリ部G1に記憶しておくことにより、被施療者の体形に応じた適切な施療を実行することができるものである。
【0053】
図9は本実施の形態に係るマッサージ機Aの駆動制御系を示すブロック図である。
【0054】
図9に示すように、制御部GはCPUと後述する各種プログラムなどを格納したメモリ部G1と、各種モータなどの駆動制御を行う駆動制御部G2とを備えており、インターフェイスG3を介してリモコンR、背もたれ部3のリクライニング角度を検出するリクライニング角度検出センサG5、並びに前述した進退位置検出センサG6及び各ロータリーエンコーダE1,E3,E4と接続している。また、インターフェイスG4を介して前記マッサージユニット11内に配設した昇降用モータm1、進退用モータm2、もみ用モータm3、たたき用モータm4、さらには背もたれ部3のリクライニング動作を行うリクライニングモータm5、さらにはエアバッグ用エアポンプ25及び前記座部1に配設したヒータHとを接続している。このヒータHにより冬などでも心地好くマッサージすることが可能となっている。
【0055】
前記リモコンRは、前記制御部Gを介して本マッサージ機Aの動作全体をコントロールする操作手段として機能するものであるが、後述する十字キー及び決定キーを含む各種操作ボタンを配した操作部Sと、液晶表示装置からなる表示部Kとを備えており、前記操作部S及び表示部Kを用いることにより、所要のマッサージモードを選択すると共に、後述する如く、メカ的なマッサージを実行するに際し、もみ玉7a,7bの基準位置(肩位置や首幅位置など)を被施療者Mの操作に応じて調節し得るようになっている。
【0056】
前記メモリ部G1には、複数のマッサージプログラム及びメカ的なマッサージを実行する際のもみ玉7a,7bの基準位置等の種々の情報が格納されており、前記リモコンRに設けた操作部Sからの要求(例えば、指令信号)に基づき、疲労回復、リフレッシュ、リラックスなどを目的として様々なマッサージモードを組合わせた複数の自動コースを実行や体形情報の調節などを可能としている。
【0057】
たとえば、指圧、もみ、たたき、さすり、バイブ、ストレッチなどの基本マッサージ、さらにはローリング、エアマッサージなどの種類の異なったマッサージモードを前記マッサージユニット11を駆動して実行させることができ、これらを適宜組合わせた多様なマッサージを実行する複数の自動コースが予めプログラミングされている。更に、本実施形態では、被施療者Mの肩部をその上方からマッサージできるようにもしてある。
【0058】
さらに、本実施形態においては、表1に示すように、体形情報調節時の移動速度情報(以下、「調節時移動速度情報」とする。)として、メモリ部G1に、体形情報調節時のもみ玉7a,7bの移動速度をその移動方向によって異ならしめることができるような情報を記憶している。なお、本実施形態においては、n=2に設定されているものとして説明するが、これに限られるものではなく、nは1よりも大きい数値(n>1)であればよい。また、整数に限られるものでもなく、小数値を有する数値であってもよい。
【0059】
【表1】
【0060】
そして、制御部Gは、リモコンRからの要求に応じてメモリ部G1から必要な調節時移動速度情報を取り出して、もみ玉7a,7bの移動を行なう。
【0061】
すなわち、制御部Gは、被施療者Mの体形情報を調節可能な期間(体形情報調節時)において、リモコンRに配置された後述の移動方向指定キーを押下されると、その移動方向指定キーに応じた調節時移動速度情報をメモリ部G1から取り出し、この移動方向指定キーを押下している間、取り出した調節時移動速度情報に応じた速度でもみ玉7a,7bを移動させる。たとえば、施療者の肩位置を調節可能な期間(肩位置調節時)に、移動方向指定キーが押下され、この押下された移動方向指定キーがもみ玉7a,7bを下方に移動させるボタンである場合、その押下されている期間、速度b(mm/s)にてもみ玉7a,7bを下方に移動させる。
【0062】
なお、表1においては、このもみ玉7a,7bの移動速度をmm/sの単位としているが、各モータm1〜m3を駆動するために制御部Gから出力されるパルスの単位時間当たり数(pulse/s)を単位とするようにしてもよく、最終的に速度を設定するものであればどのような単位であっても良い。
【0063】
ところで、各モータm1〜m3を駆動させるために、制御部Gからもみ玉7a,7bの移動速度に応じたパルス信号を出力する。このように制御部Gから出力されるパルス信号の例を図10に示す。なお、本実施形態における各モータm1〜m3は、ステッピングモータにより構成されており、ステッピングモータの複数の入力端子(第1〜第4の入力端子)にそれぞれ位相を変えたパルス信号が制御部Gから入力されることによりステッピングモータが回転する。そして、制御部Gは、第1〜第4の入力端子へ入力する複数のパルス信号の位相を順次遅らせるか進ませるかによってこれらのモータm1〜m3の回転方向を正転方向にするか反転方向にするかを制御する。ここでは、位相についての説明は省略し、パルス周期とパルス幅についてのみ説明する。
【0064】
図10(a)は、b(mm/s)で昇降用モータm1を駆動し、もみ玉7a,7bを下降方向に移動させるために、制御部Gから昇降用モータm1へ出力されるパルス信号の例を示している。すなわち、制御部Gはt1(s)周期でt2(s)幅のパルス(OFF期間はt3(s))を出力することによって、昇降用モータm1を動作させ、もみ玉7a,7bを下降方向にb(mm/s)の速度で移動させる。
【0065】
また、図10(b)は、2×b(mm/s)で昇降用モータm1を駆動し、もみ玉7a,7bを上昇方向に移動させるために、制御部Gから昇降用モータm1へ出力されるパルス信号の例を示している。すなわち、制御部Gはt4(s)周期でt5(s)幅のパルス(OFF期間はt6(s))を出力することによって、昇降用モータm1を動作させ、もみ玉7a,7bを上昇方向に2×b(mm/s)の速度で移動させる。
【0066】
ここで、このようにもみ玉7a,7bを上昇させるためのパルス周期t4(s)と下降させるためのパルス周期t1(s)は、t4=2×t1(s)の関係となっている。すなわち、もみ玉7a,7bを上昇させるためのパルス周期t4(s)は、下降させるためのパルス周期t1(s)の2倍のパルス周期になっており、これによりもみ玉7a,7bの上昇速度を下降速度の2倍の速度としている。
【0067】
また、もみ玉7a,7bの上下昇降は、上述のように昇降用モータm1を駆動させ、マッサージユニット11を上下昇降させることにより行なうものであるが、制御部Gから昇降用モータm1を駆動させるためのパルス信号を同一周期でかつ同一幅にした場合、上下昇降の速度が異なるものとなる。これは、マッサージユニット11の自重の影響によるものである。したがって、本実施形態における制御部Gは、このマッサージユニット11の自重の影響を吸収するために、もみ玉7a,7bを下降させるときに比べ上昇させるときのパルス信号の幅を大きくして(t5>t2)、同一パルス周期でのもみ玉7a,7bの上昇速度と下降速度とを同一のものとしている。すなわち、もみ玉7a,7bを下降させるときに比べ上昇させるときのパルス信号のONディーティ比を大きくするのである。このようにディーティ比を変えるようにしているため、パルス周期を変えることによりマッサージユニット11の自重の影響を吸収するのに比べ、その調節が容易となる。
【0068】
ここで、メモリ部G1には、以下の表2に示すように、体形情報調節時の移動速度情報に代えて、体形情報調節時の移動量情報(以下、「調節時移動量情報」とする。)として、体形情報調節時にもみ玉7a,7bの移動量をその移動方向によって異なるように記憶するようにしてもよい。なお、nは1よりも大きい数値(n>1)であり、整数に限られない。また、表2においては、このもみ玉7a,7bの移動量をmmの単位としているが、各モータm1〜m3を駆動するために制御部Gから出力されるパルス数(pulse)を単位とするようにしてもよく、最終的に移動量を設定するものであればどのような単位であっても良い。
【0069】
【表2】
【0070】
すなわち、制御部Gは、被施療者の体形情報を調節可能な期間(体形情報調節時)において、リモコンRに配置された後述の移動方向指定キーを押下されたとき、その移動方向指定キーに応じた調節時移動量情報をメモリ部G1から取り出して、取り出した調節時移動量情報に応じた移動量分だけもみ玉7a,7bを移動させる。たとえば、被施療者Mの肩位置を調節可能な期間(肩位置調節時)に、移動方向指定キーが押下され、この押下された移動方向指定キーがもみ玉7a,7bを下方に移動させるボタンである場合、B(mm)分だけもみ玉7a,7bを下方に移動させる。
【0071】
このように、制御部Gは、体形情報調節時、リモコン操作に応じた移動速度又は移動量でもみ玉7a,7bを移動させることができ、しかも、もみ玉7a,7bの移動方向によってその移動速度又は移動量を異ならせることができる。したがって、マッサージ機Aの設計時に施療体の移動速度や移動量の微妙な合わせこみをせずとも、体形情報の調節が容易となる。
【0072】
[リモコンの説明]
次に、上記構成のマッサージ機AにおけるリモコンRについて具体的に説明する。図11は、図9に示したリモコンRを示す拡大正面図である。
【0073】
リモコンRは、前記制御部Gを介して本マッサージ機Aの動作全体をコントロールする操作手段として機能するものであるが、後述する十字キー及び決定キーを含む各種操作ボタンを配した操作部Sと、液晶表示装置からなる表示部Kとを備えており、前記操作部S及び表示部Kを用いることにより、所要のマッサージモードを選択すると共に、後述するように、メカ的なマッサージを実行するに際し、もみ玉7a,7bの基準位置(肩位置や首幅位置など)を被施療者Mの操作に応じて調節し得るようになっている。
【0074】
リモコンRは、正面視が略しゃもじ形状の本体の上側部に液晶表示機を構成する表示部Kが設けられ、その下側に複数のボタン群からなる操作部Sが設けられており、表示部Kの面積を広くして視認性を向上させると共に、操作部Sの幅寸法を表示部Kの幅寸法より狭くして、操作部Sの把持操作性を向上させてある。
【0075】
操作部Sの略中央位置には、環状体の表面に4つの矢印を互いに直交する4方向の位置に付すと共に各矢印に対応する上下ボタンS11u,S11d及び左右ボタンS12L,S12Rを設けてなる十字キーS1が配置してあり、十字キーS1の上下ボタンS11u,S11d又は左右ボタンS12L,S12Rを操作することによって、例えば表示部K上に表示されたカーソルを当該方向へ移動させることができるようになっている。即ち、十字キーS1は、移動方向を指定する移動方向指定キーとして機能する。この十字キーS1の中央には、決定キーS2が配置してあり、例えば、十字キーS1を操作することによって、表示部K上に表示された種々の指令から所要の指令を選択した後に前記決定キーS2を操作することによって、指令の選択を決定し、当該指令を前述した制御部G(図9参照)に実行させるようになっている。また、十字キーS1を操作することによって、体形情報の調節を行なった後決定キーS2を操作することによって、当該体形情報をメモリ部G1に設定できるようになっている。このように十字キーS1は、指令選択キー或いは体形情報設定キーとしても機能する。
【0076】
十字キーS1の下方には、前述した脚載部4(図1参照)を昇降揺動させる一対の脚部用上下ボタンS14,S15、及び背もたれ部3をリクライニングさせる一対のリクライニング用上下ボタンS16,S17が互いに本体の幅方向へ距離を隔てて配置してあり、これら脚部用上下ボタンS14,S15及びリクライニング用上下ボタンS16,S17の下方には、バイブレータ(図示せず)を入/切させるバイブ用ボタンS19及びヒータを入/切させるヒータ用ボタンS18が互いに本体の幅方向へ距離を隔てて配置してある。
【0077】
一方、表示部Kの少し下方の位置には、前述した基準位置等をボタンに割り付けて登録するための登録ボタンS5dと3つの標準体型の基準位置が登録されているボタンS5a,S5b,S5cが設けてある。そして、これら登録ボタンS5の下方には、スタート/収納ボタンS3が配設してあり、マッサージを開始させるとき、又はマッサージを終了してもみ玉7a,7bを収納するときに使用するようになっている。また、スタート/収納ボタンS3の近傍には停止ボタンS4が配設してあり、該停止ボタンS4を操作することによってマッサージを中途で停止させることができる。
【0078】
前記スタート/収納ボタンS3の下方には、自動コースを選択してマッサージを実行するための自動ボタンS6、複数種類のマッサージから好みのマッサージを選択して実行するための機能ボタンS7が配設してあり、更に、自動コースを実施している間に、自分の好みに合わないマッサージモードであればこれをスキップするスキップボタンS8及びリピートボタンS9、肩位置を微調節するための肩位置調節ボタンS20等が設けてある。
【0079】
[マッサージ機Aの体形調節動作の説明]
次に、本発明に係るマッサージ機Aによるメカ的なマッサージにおける特徴的な体形情報調節の動作及びその制御について、図12〜図16を参照しながら説明する。
【0080】
図12は自動マッサージコースの係る手順を示すフローチャート、図13は肩位置調節に係る手順を示す説明図、図14は肩位置調節用画面の一例の説明図、図15は肩位置調節用画面の他の例の説明図、図16は首幅位置調節に係る手順を示すフローチャートである。
【0081】
まず、マッサージ機Aに電源が投入されると、制御部Gは各モータm1〜m4の位置などを初期位置に移動させると共に、リモコンRへ電源を供給してリモコンRを操作可能な状態とする。その後、リモコンRのスタート/収納ボタンS3(図12参照)が操作された場合(ステップS1)、制御部Gは、昇降用モータm1を制御し、マッサージユニット11を昇降させて予め設定された基準の肩位置の高さに移動すると共に、もみ用モータm3を制御し、もみ玉7a,7bを所定の幅にする。さらに、制御部Gは、進退用モータm2を制御し、もみ玉7a,7bを前後位置の最後方まで移動することによって、マッサージ機Aを待機状態とする(ステップS2)。なお、待機状態においては、リモコンRの表示部Kに待機画面が表示される(図11の表示部K参照)。
【0082】
その後、被施療者MがリモコンRの十字キーS1の上下ボタンS11u,S11d、左右ボタンS12L,S12Rを操作して自動マッサージコースを選択する(ステップS3)と、制御部Gは、リモコンRの自動マッサージコースが選択されたことを検出し、複数の自動マッサージコース名を表示する自動マッサージコース選択画面(図示せず)をリモコンRの表示部Kに表示させる(ステップS4)。
【0083】
この自動マッサージコース選択画面を表示部Kに表示させている状態で、被施療者MのリモコンR操作により所定の自動マッサージコースが選択されると、制御部Gは、自動マッサージコースにおいて、被施療者Mの体形に即したマッサージを行なうために、マッサージユニット11のもみ玉7a,7bを利用して被施療者Mの体形情報の検出を開始する(ステップS5)。この体形情報の検出として、制御部Gは、まず被施療者Mの背面(背筋カーブ)の検出を行なう。この背筋カーブの検出は、もみ玉7a,7bを一定速度で前方へ押し出していくことにより、被施療者の臀部から首部までの複数のポイントで被施療者Mの身体への当接位置を検出し、これらの位置を結ぶことにより被施療者Mの背面ラインを取得する。制御部は、このように取得した背面ライン情報をメモリ部G1に記憶する。なお、すでに背面ライン情報が設定されている場合には、制御部Gはこの処理をスキップする。
【0084】
次に、制御部Gは、被施療者Mの背面ライン情報以外の体形情報(ここでは、肩位置情報と首幅情報)の調節が既に行なわれているか否かを判定する(ステップS6)。この判定は、メモリ部G1に肩位置情報と首幅情報とが設定されているか否かによって行なわれる。
【0085】
ステップS6で、制御部Gは、肩位置情報或いは首幅情報がメモリ部G1に未設定であると判定する(ステップS6:No)と、肩位置調節処理を行なう(ステップS7)。この肩位置調節処理による肩位置の設定は、肩周辺マッサージを行なうための基準位置を設定するものである。この肩位置調節処理について、図13を参照して、以下具体的に説明する。
【0086】
まず、制御部Gは、この肩位置の設定のため、前記進退用モータm2を駆動し、もみ玉7a,7bを最後方位置まで後方に向けて移動するとともに、前記昇降用モータm1を駆動して、これも前記マッサージユニット11内に設けたロータリーエンコーダE1の検出に基づいて所定距離だけマッサージユニット11を上昇させ、その位置で進退用モータm2を駆動してもみ玉7a,7bを前方に向けて第1進出限度位置L1(図示せず)内で移動する。制御部Gは、このような動作を被施療者Mの肩位置を越える高さ位置まで繰り返し行わせることによって、被施療者Mの肩の目安位置(高さ)を検出する。
【0087】
制御部Gは、このようにして検出した被施療者Mの肩の目安位置にもみ玉7a,7bを移動させる(ステップS10)。すなわち、制御部Gは昇降用モータm1を駆動してもみ玉7a,7bが被施療者Mの肩の目安位置となるようにマッサージユニット11を移動させる。そして、肩位置の調節を被施療者Mに促すべく肩位置調節用画面を表示部Kに表示させる(ステップS11)。
【0088】
図14(a)は、前後方向及び上下方向の肩位置微調節用画面の一例を説明する説明図である。この肩位置微調節用画面には、着座した状態の被施療者像が表示されており、この被施療者像上又はその近傍に、もみ玉の現在位置を示すもみ玉像Nが表示されている。また、被施療者像の近傍に、十字キー像が表示されており、該十字キー像に続いて、肩位置の調節を促す文字が表示されている。更に、被施療者像の下方に、十字キーによる肩位置の調節方法を説明する文字が表示されている。
【0089】
制御部Gは、移動方向指定キーである十字キーS1が操作されたか否かを判定(ステップS12)し、この十字キーS1が操作されたと判定すると(ステップS12:Yes)、もみ玉像Nをその操作に応じた方向でその方向に応じた速度で操作量に応じた時間だけ移動するようになっており、このもみ玉像Nの移動に倣って、制御部Gは、もみ玉7a,7b(図3参照)も同様に移動させるようになっている(ステップS13)。従って、被施療者Mは、肩位置微調節用画面を目視して、被施療者像ともみ玉像Nとの相対位置を確認しながら被施療者M本人の肩位置に正確に調節することができる。
【0090】
すなわち、リモコンRに設けられた十字キーS1の上下ボタンS11u,S11dが操作された場合、前述したもみ玉像N及びもみ玉7a,7bが上下方向へ移動し、十字キーS1の左右ボタンS12L,S12Rが操作された場合、もみ玉像N及びもみ玉7a,7bが前後方向へ移動するようになっている。
【0091】
ここで、制御部Gは、リモコンRの十字キーS1が操作されたことによるリモコンRからの要求に応じてメモリ部G1から必要な調節時移動速度情報を取り出して、もみ玉7a,7bの移動を行なう。
【0092】
すなわち、制御部Gは、このような肩位置調節時に、移動方向指定キーが押下され、この押下された移動方向指定キーがもみ玉7a,7bを下方に移動させる下ボタンS11dである場合、その下ボタンS11dが押下されている期間、速度b(mm/s)にてもみ玉7a,7bを下方に移動させる。また、押下された移動方向指定キーがもみ玉7a,7bを上方に移動させる上ボタンS11uである場合、その上ボタンS11uが押下されている期間、速度2×b(mm/s)にてもみ玉7a,7bを下方に移動させる。
【0093】
また、制御部Gは、押下された移動方向指定キーがもみ玉7a,7bを前進方向に移動させる左ボタンS12Lである場合、その左ボタンS12Lが押下されている期間、速度a(mm/s)にてもみ玉7a,7bを前方に移動させる。また、押下された移動方向指定キーがもみ玉7a,7bを後退方向に移動させる右ボタンS12Rである場合、その右ボタンS12Rが押下されている期間、速度2×a(mm/s)にてもみ玉7a,7bを後方に移動させる。
【0094】
このように、被施療者Mの肩や背中へ近づく下方向又は前進方向へのもみ玉7a,7bの移動速度を被施療者Mの肩や背中から遠ざかる上方向又は後退方向へのもみ玉7a,7bの移動速度よりも遅くすることにより、マッサージ機Aの設計時にもみ玉7a,7bの移動速度の微妙な合わせこみをせずとも、もみ玉7a,7bが本来設定すべき位置を通り過ぎて被施療者Mを押圧しすぎることも回避することができるのである。
【0095】
ところで、この肩位置調節時には、もみ玉7a,7bは第1進出限度位置L1よりも前方の第2進出限度位置L2(図示せず)まで進出することが許可されており、これによって、被施療者Mは、本人の肩の上方からその中心位置を特定して、肩位置微調節を行なうことができるようになっている。
【0096】
なお、もみ玉7a,7bが最後方位置から第1進出限度位置L1までの間にあるときと、第1進出限度位置L1を超えた位置にあるときとでもみ玉7a,7bの移動速度を変えるように制御部Gによって制御するようにしてもよい。すなわち、もみ玉7a,7bが最後方位置から第1進出限度位置L1までの間にあるときには、もみ玉7a,7bの前進方向への移動を1.5×a(mm/s)で行い、一方もみ玉7a,7bが第1進出限度位置L1を超えた位置にあるときには、もみ玉7a,7bの前進方向への移動をa(mm/s)で行なうようにする。また、もみ玉7a,7bが最後方位置から第1進出限度位置L1までの間にあるときには、もみ玉7a,7bの後進方向への移動を3×a(mm/s)で行い、一方もみ玉7a,7bが第1進出限度位置L1を超えた位置にあるときには、もみ玉7a,7bの後進方向への移動を2×a(mm/s)で行なうようにする。
【0097】
このように、被施療者Mに近接していない位置では、もみ玉7a,7bの速度を早くすることによって、肩位置の微調節がさらにしやすくなる。しかも、もみ玉7a,7bが本来設定すべき位置を通り過ぎて被施療者Mを押圧しすぎることも回避することができる。
【0098】
また、十字キーS1を操作しての肩位置の微調節を終え、被施療者Mは、決定キーS2を押下すると、制御部Gは、肩位置微調節が終了したと判定(ステップS14:Yes)し、このときのもみ玉7a,7bの位置を肩位置情報としてメモリ部G1に記憶して肩位置微調節処理を終了する。
【0099】
なお、このように同一方向への移動速度を2つの範囲で変えるのではなく、もみ玉7a,7bの位置に応じて徐々に速度を速めたり又は速度を遅くしたりすることにより、さらに肩位置の微調節がしやすくなる。
【0100】
また、肩位置の上下方向の調節及び前後方向の調節を実施した後、例えば、表示部Kに表示した肩位置調節用画面を、図14(b)に示すように、肩位置の左右方向の位置を調節し得る画面に切り替え、リモコンRに設けられた十字キーS1の左右ボタンS12L,S12Rを操作して、当該画面に表示された2つのもみ玉像間の寸法、及び両もみ玉間の寸法を共に調節することによって、肩位置の左右方向の位置を調節するようにしてもよい。これによって、肩位置を3次元的に調節することができ、肩位置をより正確に設定することができる。
【0101】
ここで、上述のように制御部Gは、このような肩位置調節時に、もみ玉7a,7b間の幅を狭くするようにもみ玉7a,7b移動させる左ボタンS12Lが押下された場合、その左ボタンS12Lが押下されている期間、速度c(mm/s)にてもみ玉7a,7bの間隔を狭めるようにもみ玉7a,7bを移動させる。また、押下された移動方向指定キーがもみ玉7a,7bを上方に移動させる上ボタンS11Rである場合、その上ボタンS11Rが押下されている期間、速度2×c(mm/s)にてもみ玉7a,7bの間隔を広げるようにもみ玉7a,7bを移動させる。
【0102】
このように、被施療者Mの首へ近づく方向へのもみ玉7a,7bの移動速度を被施療者Mの首から遠ざかる方向の移動速度よりも遅くすることにより、マッサージ機Aの設計時にもみ玉7a,7bの移動速度の微妙な合わせこみをせずとも、もみ玉7a,7bが本来設定すべき位置を大幅に通り過ぎることを回避することができるのである。
【0103】
なお、肩位置調節用画面を表示させてから所定時間経過後も調節操作が行なわれない場合、改めて、体形検出モードで検出した肩位置を調節後の肩位置に決定してよいか否かを確認する画面を表示させ、十字キーS1及び決定キーS2による入力操作を行なわせるようにしてもよい。
【0104】
ここで、肩位置調節用画面を図14(a)に代えて図15に示すような肩位置調節用画面とすることもできる。そして、被施療者Mは、この画面を参照しながらリモコンRに設けられた十字キーS1の上下ボタンS11u,S11dや左右ボタンS12L,S12R等を操作してもみ玉7a,7bの移動指示を制御部Gへ送り、制御部Gは、その移動要求に従ってもみ玉7a,7bを移動させる制御を行うと共に、もみ玉7a,7bの移動位置をも示した肩位置調節用画面の表示を行なう。
【0105】
次に、制御部Gは、被施療者Mの首幅(以下、「首幅位置」とする。)を設定するための設定動作を行なう(ステップS8)。この首幅位置の設定は、肩周辺マッサージを行なうための基準位置を設定するものである。
【0106】
制御部Gは、被施療者Mの首幅位置の設定のため、図16に示すように、昇降用モータm1を駆動させ、肩位置にあるもみ玉7a,7bを所定高さ下方に移動させると共に、もみ用モータm3を駆動させて、もみ玉7a,7b間の間隔を所定の基準首幅位置となるように、もみ玉7a,7bを移動させる(ステップS20)。そして、制御部Gは、首幅位置の調節を被施療者Mに促すべく首幅位置調節用画面(図示せず)を表示部Kに表示させる(ステップS21)。なお、この基準首幅位置は、標準の首幅よりも広めになるようなもみ玉7a,7bの間隔である。
【0107】
この首幅位置調節用画面は、図14(b)と同じような画面となっている。すなわち、正面を向いた被施療者像が表示されており、この被施療者像上又はその近傍に、もみ玉の現在位置を示すもみ玉像Nが表示されている。また、被施療者像の近傍に、十字キー像が表示されており、該十字キー像に続いて、首幅位置の調節を促す文字が表示されている。更に、被施療者像の下方に、十字キーによる首幅位置の調節方法を説明する文字が表示されている。
【0108】
制御部Gは、移動方向指定キーである十字キーS1が操作されたか否かを判定(ステップS22)し、この十字キーS1が操作された場合(ステップS22:Yes)、もみ玉像Nをその操作に応じた方向でその方向に応じた速度で操作量に応じた時間だけもみ玉7a,7bの幅を広げ又は狭めるようにもみ玉7a,7bを移動させるようになっている(ステップS23)。
【0109】
すなわち、リモコンRに設けられた十字キーS1の左右ボタンS12L,S12Rが操作された場合、もみ玉像N及びもみ玉7a,7bの間隔が広がる方向又は狭まる方向へ移動するようになっている。
【0110】
ここで、このような首幅位置調節時に、制御部Gは、リモコンRの十字キーS1が操作されたことによるリモコンRからの要求に応じてメモリ部G1から必要な調節時移動速度情報を取り出して、もみ玉7a,7bの移動を行なう。
【0111】
たとえば、押下された移動方向指定キーが左ボタンS12Lである場合、制御部Gは、その左ボタンS12Lが押下されている期間、速度c(mm/s)にてもみ玉7a,7bの間隔を狭める方向へもみ玉7a,7bを移動させる。また、押下された移動方向指定キーが右ボタンS12Rである場合、その右ボタンS12Rが押下されている期間、速度2×c(mm/s)にてもみ玉7a,7bの間隔を広げる方向にもみ玉7a,7bを移動させる。
【0112】
なお、十字キーS1を操作しての首幅位置の微調節を終え、被施療者Mが決定キーS2を押下すると、制御部Gは、首幅微調節が終了したと判定(ステップS24:Yes)し、のときのもみ玉7a,7bの位置を首幅位置情報としてメモリ部G1に記憶して首幅位置微調節処理を終了する。
【0113】
このように、被施療者Mの首位置へ近づく方向へのもみ玉7a,7bの移動速度を被施療者Mの首位置から遠ざかる方向へのもみ玉7a,7bの移動速度よりも遅くすることにより、マッサージ機Aの設計時にもみ玉7a,7bの移動速度の微妙な合わせこみをせずとも、もみ玉7a,7bが本来設定すべき位置を通り過ぎて被施療者Mを押圧しすぎることも回避することができるのである。
【0114】
制御部Gは、ステップS7,8での体形情報調節が終了すると、ステップS4で被施療者Mによって選択された自動マッサージコースの実行を開始(ステップS9)し、この自動マッサージコースの実行が終了されると、待機状態に戻る(ステップS2)。
【0115】
以上のように本実施形態のマッサージ機Aの体形調節動作として、被施療者Mの体形情報を調節可能な期間において、もみ玉7a,7bの移動方向に応じてその移動速度を異ならしめるようにしているが、上述の表2に示すようにもみ玉7a,7bの移動方向に応じて操作手段の操作回数当たりの移動量(たとえば、リモコンRの下ボタンS11dの一回の押圧当たりの移動距離がB(mm))を異ならしめるようにすることもできる。このようにすることで、被施療者Mが誤って操作手段を操作し続け(たとえば、リモコンRの下ボタンS11dを押下し続け)てしまったような場合であっても、施療体が移動し続けることがない。
【0116】
また、被施療者Mの体形情報を調節可能な期間において、もみ玉7a,7bの移動方向に応じて、一方の方向(例えば、上昇方向)に対しては操作手段の操作の継続時間に応じてもみ玉7a,7bを移動させる(例えば、移動速度2×b(mm/s))にし、その一方の方向とは逆の方向(例えば、下降方向又は後退方向)に対しては操作手段の操作回数に応じてもみ玉7a,7bを移動させる(たとえば、リモコンRの下ボタンS11dの一回の押圧当たりの移動距離がB(mm))ように制御部Gにより動作させるようにしてもよい。このようにすれば、もみ玉7a,7bの微調節がさらに容易となる。
【0117】
また、被施療者Mの体形情報を調節可能な期間において、もみ玉7a,7bの移動方向が同一であっても、もみ玉7a,7bが最後方位置から第1進出限度位置L1までの間にあるときと、第1進出限度位置L1を超えた位置にあるときとで、その移動態様を変えるようにしてもよい。たとえば、もみ玉7a,7bが最後方位置から第1進出限度位置L1までの間にあるときときには、操作手段の操作の継続時間に応じてもみ玉7a,7bを移動させる(例えば、移動速度2×b(mm/s))にし、第1進出限度位置L1を超えた位置にあるときとには、操作手段の操作回数に応じてもみ玉7a,7bを移動させる(たとえば、リモコンRの下ボタンS11dの一回の押圧当たりの移動距離がB(mm))ように制御部Gを動作させてもよい。このようにすれば、もみ玉7a,7bの微調節がさらに容易となる。
【0118】
また、被施療者Mの身長などに適した移動速度又は移動量にすることもでき、このようにすれば、より体形情報の調節が容易となる。すなわち、被施療者Mの身長が低いときには、もみ玉7a,7bの移動速度を遅くしたり或いは操作回数当たりの移動量を少なくしたりし、被施療者Mの身長が高いときには、もみ玉7a,7bの移動速度を速くしたり或いは操作回数当たりの移動量を多くしたりするように制御部Gにより動作させるようにしてもよい。このようにすれば、例えば、子供のときと大人のときとでもみ玉の移動速度や移動量を変えることができるためより適切な調整が可能となる。なお、被施療者Mの身長は、制御部Gによる背面ラインの検出時におおよそ検出が可能であり、この検出に応じたもみ玉7a,7bの移動速度又は移動量とする。
【0119】
なお、本実施形態におけるマッサージ機においては、もみ玉7a,7bの間隔をもみ用モータm3により移動させるようにしているが、もみ用モータm3とは別個のモータによりこのもみ玉7a,7bの間隔を移動させるようにするようにしてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本実施の形態に係るマッサージ機を示す斜視図である。
【図2】同マッサージ機よりクッション材などを取り除いた状態を示す斜視図である。
【図3】同マッサージ機の駆動制御系を示すブロック図である。
【図4】リクライニング可能とした背もたれ部の側面視による説明図である。
【図5】同背もたれ部の横断面図である。
【図6】機械式のマッサージユニットの斜視図である。
【図7】同マッサージユニットの分解斜視図である。
【図8】同マッサージユニットを構成するもみ玉ユニットの側面図である。
【図9】本実施の形態に係るマッサージ機の駆動制御系を示すブロック図である。
【図10】制御部Gから出力されるパルス信号を説明するための図である。
【図11】リモコンを示す拡大正面図である。
【図12】自動マッサージコースの係る手順を示すフローチャートである。
【図13】肩位置調節に係る手順を示す説明図である
【図14】肩位置調節用画面の一例の説明図である。
【図15】肩位置調節用画面の他の例の説明図である。
【図16】首幅位置調節に係る手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0121】
A マッサージ機
M 被施療者
K 表示部
R リモコン
1 座部
2 基台部
3 背もたれ部
4 脚載部
5 肘掛部
6 側壁部
7 もみ玉
9 もみ玉駆動ユニット
11 マッサージユニット
E1,E3,E4 ロータリーエンコーダ
G 制御部
G1 メモリ部
G6 進退用モータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背もたれ部に上下昇降及び前後進退可能に配設した施療体と、この施療体の動作を制御する制御手段とを備えるマッサージ機において、
前記施療体を移動させるための要求を前記制御手段へ出力可能な操作手段を設け、
前記制御手段は、被施療者の体形情報を調節可能な期間において、前記操作手段から前記要求があると、前記要求に対する前記施療体の移動速度又は移動量を、一方の方向への移動とその反対の方向への移動とで異ならしめたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記一方の方向を被施療者の身体へ近づく方向とし、前記他方の方向を被施療者の身体から遠ざかる方向とすると共に、被施療者の身体へ近づく方向への前記施療体の移動速度又は移動量を被施療者の身体から遠ざかる方向への前記施療体の移動速度又は移動量よりも遅く又は少なくすることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記体形情報は、肩位置情報であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記操作手段は、前記施療体を上下方向及び前後方向へ移動させるための移動方向指定キーを具備し、
前記制御手段は、前記移動方向指定キーの押下時間に応じて前記施療体を移動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記操作手段は、前記施療体を上下方向及び前後方向へ移動させるための移動方向指定キーを具備し、
前記制御手段は、前記移動方向指定キーが押下されたとき、所定の移動量分だけ前記施療体を移動させることを特徴とする請求項4に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記移動方向指定キーは、一軸方向へ距離を隔てて配置した一対のキーと、前記一軸と直交する軸方向へ距離を隔てて配置した他対のキーとを具備する十字キーで構成してあり、前記決定キーは十字キーの中央に配置したことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のマッサージ機。
【請求項1】
背もたれ部に上下昇降及び前後進退可能に配設した施療体と、この施療体の動作を制御する制御手段とを備えるマッサージ機において、
前記施療体を移動させるための要求を前記制御手段へ出力可能な操作手段を設け、
前記制御手段は、被施療者の体形情報を調節可能な期間において、前記操作手段から前記要求があると、前記要求に対する前記施療体の移動速度又は移動量を、一方の方向への移動とその反対の方向への移動とで異ならしめたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記一方の方向を被施療者の身体へ近づく方向とし、前記他方の方向を被施療者の身体から遠ざかる方向とすると共に、被施療者の身体へ近づく方向への前記施療体の移動速度又は移動量を被施療者の身体から遠ざかる方向への前記施療体の移動速度又は移動量よりも遅く又は少なくすることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記体形情報は、肩位置情報であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記操作手段は、前記施療体を上下方向及び前後方向へ移動させるための移動方向指定キーを具備し、
前記制御手段は、前記移動方向指定キーの押下時間に応じて前記施療体を移動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記操作手段は、前記施療体を上下方向及び前後方向へ移動させるための移動方向指定キーを具備し、
前記制御手段は、前記移動方向指定キーが押下されたとき、所定の移動量分だけ前記施療体を移動させることを特徴とする請求項4に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記移動方向指定キーは、一軸方向へ距離を隔てて配置した一対のキーと、前記一軸と直交する軸方向へ距離を隔てて配置した他対のキーとを具備する十字キーで構成してあり、前記決定キーは十字キーの中央に配置したことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のマッサージ機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−7207(P2007−7207A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−193042(P2005−193042)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000136491)株式会社フジ医療器 (137)
【出願人】(000164461)九州日立マクセル株式会社 (338)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000136491)株式会社フジ医療器 (137)
【出願人】(000164461)九州日立マクセル株式会社 (338)
【Fターム(参考)】
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