説明

マッサージ機

【課題】 一連の揉み動作の中で強弱を持たせて変化に富んだ刺激を与えることができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】 弾性を有する施療子21と、施療子21を先端部に装着するアーム23とを具備し、被施療者の身体に押し当てた施療子21が揉み動作を行うようにアーム23を駆動させるマッサージ機において、上記施療子21の弾性を、揉み動作の揉み始めで当たる部分21aと、揉み込み時に当たる部分21bとで、相違させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施療子を当てて揉み動作を行うマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、弾性を有する施療子と、施療子を先端部に装着するアームとを具備し、被施療者の身体に押し当てた施療子が揉み動作を行うようにアームを駆動させるマッサージ機が知れている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
上記した従来のマッサージ機にあっては、施療子の弾性は、揉み始めで当たる部分であっても、揉み込み時に当たる部分であっても同一である。したがって、被施療者にとっては揉み動作の初めから終わりまで同じ硬さで押圧される感覚となる。
【0004】
これに対して、マッサージ師等の人間が自らの手で揉み動作を行う場合、揉み初めと揉み込み時とで力の入れ具合を変えることが通常である。この力の入れ具合の変化により、一連の揉み動作の中で強弱を持たせ、変化に富んだ刺激を与えることができる。
【特許文献1】特開2007−29558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、一連の揉み動作の中で強弱を持たせて変化に富んだ刺激を与えることができるマッサージ機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、弾性を有する施療子21と、施療子21を先端部に装着するアーム23とを具備し、被施療者の身体に押し当てた施療子21が揉み動作を行うようにアーム23を駆動させるマッサージ機において、上記施療子21の弾性を、揉み動作の揉み始めで当たる部分21aと、揉み動作の揉み込み時に当たる部分21bとで、相違させている。
【0007】
このようにすることで、施療子21を押し当てながら行う一連の揉み動作の中で、各部分21a,21bの弾性の違いにより施療感に強弱を持たせることができる。
【0008】
上記構成のマッサージ機においては、上記施療子21の弾性を、揉み動作の揉み始めで当たる部分21aに較べて、揉み動作の揉み込み時に当たる部分21bの方が硬くなるように相違させていることが好適である。このようにすることで、被施療者にとっては、当初は施療子21が柔らかく当たり、ある程度押し込まれた段階では施療子21が硬く当たるように感じることになる。つまり、揉み動作の初めでは柔らかく押し込んでゆき、ある程度押し込んだ段階では力を込めてマッサージを施すという形態を再現することができる。
【0009】
また、上記施療子21の弾性を、揉み動作の揉み始めで当たる部分21aに較べて、揉み動作の揉み込み時に当たる部分21bの方が柔らかくなるように相違させていることも好適である。このようにすることで、被施療者にとっては、当初は施療子21が硬く当たり、ある程度押し込まれた段階では施療子21が柔らかく当たるように感じることになる。つまり、揉み動作の初めでは力を込めて押し込んでゆき、ある程度押し込んだ段階では柔らかくマッサージを施すという形態を再現することができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明は、一連の揉み動作の中で強弱を持たせて変化に富んだ刺激を与えることができるという効果を奏する。
【0011】
また請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加えて、揉み動作の初めでは柔らかく押し込んでゆき、ある程度押し込んだ段階では力を込めてマッサージを施すといった形態を再現できるという効果を奏する。
【0012】
また請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加えて、揉み動作の初めでは力を込めて押し込んでゆき、ある程度押し込んだ段階では柔らかくマッサージを施すといった形態を再現できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。図9には、本発明の実施形態における一例のマッサージ機の全体を示している。本例のマッサージ機は椅子型のマッサージ機であって、被施療者が着座する座部1と、被施療者がもたれかかる背もたれ部2とを具備し、背もたれ部2内に、施療子21を用いて揉み、叩き、摩り等の各種マッサージを施すマッサージ機構3を内蔵している。なお、本文中に用いる前後、左右、上下等の各方向は、座部1に着座した状態にある被施療者を基準とした方向である。
【0014】
図4、図5等に示すマッサージ機構3は、背もたれ部2内に上下に自走自在に配されるもので、左右に位置する縦枠4と、縦枠4の上端間を連結するガイド軸5と、左右中程に配された一対の取付板6等で構成されたフレーム7に、揉み駆動モータユニット8と上下駆動モータユニット9と叩き駆動モータユニット10、左右一対の施療子ブロック11等を装着することで構成されている。
【0015】
縦枠4の下端間に架設されている走行軸12は、その両端にピニオン13が固定されているとともにガイドころ14が遊転自在に装着されている。また、上記ガイド軸5も両端にガイドころ15を備えている。これらガイドころ14,15は上記背もたれ部2内の左右に配されたガイドレール(図示せず)内を転動し、更に上記ピニオン13がガイドレールに付設されたラックと噛合する。したがって、上下駆動モータユニット9によりピニオン13を備えた走行軸12を回転駆動すると、マッサージ機構3はガイドレールに沿って背もたれ部2内を上下に自走するようになっている。
【0016】
揉み駆動モータユニット8の回転は、取付板6の下部に配された揉み駆動軸16に伝達される。この揉み駆動軸16は、図8に示すように、その両端に偏心軸部17を備えたものである。各偏心軸部17の外周には更に傾斜軸18を配しており、揉み駆動軸16と一体に回転するように取り付けている。
【0017】
そして、揉み駆動軸16に対して傾いた軸を有する傾斜軸18には夫々施療子ブロック11を連結させている。この施療子ブロック11は、傾斜軸18の外周に一端側が回動自在に連結される揺動アーム19と、揺動アーム19の他端側に対してその中央部を軸支させた支持アーム20と、側面視く字形を成す支持アーム20の上下の両端部に夫々軸支されるローラ状の施療子21とから成る。支持アーム20は、上方側の施療子21を背もたれ部2の前面側に突出させる方向にばね付勢された状態で、揺動アーム19に対して上下に回動自在に取り付けられている。上記の揺動アーム19と支持アーム20とで、上下に施療子21を取り付けるアーム23を形成する。
【0018】
また、取付板6の上部には、叩き駆動モータユニット10によってベルト24を介して駆動される叩き駆動軸25を架設している。該叩き駆動軸25は、その両端に偏心軸部を有するクランク軸として形成されており、各偏心軸部と両施療子ブロック11の揺動アーム19との間を連結ロッド26により連結させている。
【0019】
したがって、揉み駆動モータユニット8を回転させると、各傾斜軸18の外周に揺動アーム19を装着させてある左右のアーム23は、連結ロッド26により動きを規制されながら、施療子21を有する先端側を互いに近接させたり、互いに離間させたりする揺動運動を行う。この時、傾斜軸18が装着される偏心軸部17の偏心成分のために、施療子21は前後にも動く。したがって、被施療者は背もたれ部2にもたれかかることで、これら左右の施療子21により自身の背面50に対して揉みマッサージを施すことができる(図1参照)。
【0020】
図2に示すように、左右の各アーム23における支持アーム20の先端部の内側には、該支持アーム20と直交する軸部材30を固定させており、この軸部材30を覆うように弾性体から成る施療子21をローラ状に設けている。この施療子21は、左右方向の内側に位置することになる内側部分21aと、外側に位置することになる外側部分21bとで材質を違わせ、両部分21a,22bで弾性が相違するように設けている。上記内側部分21aは、図1(a)に示すように揉み動作の揉み初めの段階で被施療者の背面50に当たる部分であり、上記外側部分21bは、図1(b)に示すように揉み動作のうち揉み込み時の段階(即ち、施療子21を最も内側前方に押し込んだ段階)で被施療者の背面50に当たる部分である。
【0021】
更に具体的に言えば、施療子21の内側部分21aを成す弾性体の弾性率よりも、外側部分21bを成す弾性体の弾性率を高く設定している。これにより、揉み始めで当たる内側部分21aに較べて、揉み込み時に当たる外側部分21bの方が硬くなる(即ち、所定の応力に対して歪が生じ難くなる)ようにしており、被施療者にとっては、両外側から押し込まれる当初は施療子21が柔らかく当たり、ある程度押し込まれた段階では施療子21が硬く当たるように感じる。つまり、マッサージ師等が自らの手で揉み動作を行う場合に、揉み動作の初めでは柔らかく押し込んでゆき、ある程度押し込んだ揉み込み時の段階ではぐっと力を込めてマッサージを施すという形態を再現することができる。
【0022】
なお、施療子21の内側部分21aと外側部分21bとの弾性率の関係を逆にすることも好適である。これにより、揉み始めで当たる内側部分21aに較べて、揉み込み時に当たる外側部分21bの方が柔らかくなる(即ち、所定の応力に対して歪が生じ易くなる)ようにしており、被施療者にとっては、両外側から押し込まれる当初は施療子21が硬く当たり、ある程度押し込まれた段階では施療子21が柔らかく当たるように感じる。つまり、マッサージ師等が自らの手で揉み動作を行う場合に、揉み動作の当初の段階で力を込めて硬く押し込んでゆき、ある程度押し込んだ段階では力を抜いて柔らかくマッサージを施すという形態を再現することができる。この形態は、特に被施療者が凝りの酷い状態にあるときに有効であると考えられる。
【0023】
図3(a)には、施療子21の変形例を示している。この例では、ローラ状の施療子21を成す弾性体自体は内側部分21aと外側部分21bとで同一の材質のものを用い、内側部分21aと外側部分21bとで弾性体の接触面からの厚みta,tbを相違させている。具体的には、内側部分31aの径よりも外側部分31bの径を大きく形成した芯部材31を施療子21内に設け、施療子21の内側部分21aにおいては芯部材31の内側部分31aとの間の厚みtaが大きくなり、施療子21の外側部分21bにおいては芯部材31の外側部分31bとの間の厚みtbが小さくなるように設定している。これによっても、揉み始めで当たる内側部分21aに較べて、揉み込み時に当たる外側部分21bの方を硬くすることができる。
【0024】
また、図3(b)には、施療子21の他の変形例を示している。この例では、ローラ状の施療子21を成す弾性体の内側部分21aの径方向の厚みtaを、外側部分21bの径方向の厚みtbよりも小さく設けている。具体的には、外側部分32bの径よりも内側部分32aの径を大きく形成した芯部材32を施療子21内に設けており、施療子21の内側部分21aにおいては芯部材32の内側部分32aとの間の厚みtaが小さくなり、施療子21の外側部分21bにおいては芯部材32の外側部分32bとの間の厚みtbが大きくなるように設定している。これにより、揉み始めで当たる内側部分21aに較べて、揉み込み時に当たる外側部分21bの方を柔らかくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態における一例のマッサージ機の揉み動作を示す説明図である。
【図2】同上のマッサージ機の施療子を示す断面図である。
【図3】(a)、(b)は同上の施療子の変形例を示す断面図である。
【図4】(a)、(b)は同上のマッサージ機のマッサージ機構において左右の施療子を離間させた状態を示す斜視図である。
【図5】(a)、(b)は同上のマッサージ機構において左右の施療子を近接させた状態を示す斜視図である。
【図6】(a)、(b)は同上のマッサージ機構の自走手段を除いた状態を示す斜視図である。
【図7】同上のマッサージ機構の自走手段を除いた状態を示す側面図である。
【図8】同上のマッサージ機構に備える揉み駆動軸を示す正面図である。
【図9】同上のマッサージ機全体を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
21 施療子
21a 内側部分
21b 外側部分
23 アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有する施療子と、施療子を先端部に装着するアームとを具備し、被施療者の身体に押し当てた施療子が揉み動作を行うようにアームを駆動させるマッサージ機において、上記施療子の弾性を、揉み動作の揉み始めで当たる部分と、揉み動作の揉み込み時に当たる部分とで、相違させていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
上記施療子の弾性を、揉み動作の揉み始めで当たる部分に較べて、揉み動作の揉み込み時に当たる部分の方が硬くなるように相違させていることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
上記施療子の弾性を、揉み動作の揉み始めで当たる部分に較べて、揉み動作の揉み込み時に当たる部分の方が柔らかくなるように相違させていることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−82420(P2009−82420A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255850(P2007−255850)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】