マッサージ機
【課題】簡単かつ安価な機構で施療体保持ユニットを前後動させることのできるマッサージ機を提供する。
【解決手段】マッサージ機は、被施療者を背後から支持する支持体と、支持体に沿って昇降可能に設けられたケース30と、施療体41を保持してケース30内を前後方向に移動し得るように配置された施療体保持ユニット40と、施療体保持ユニット40を前後方向に移動させる前後進駆動機構とを備える。前後進駆動機構は、施療体保持ユニット40の両側部に位置し、幅方向に延びるピニオン軸を介して施療体保持ユニットに回転可能に支持された一対のピニオン43と、施療体保持ユニットの両側部に位置し、施療体保持ユニットに回転自在に支持された一対の転動体44,45と、一対のピニオンに噛み合う歯を持って前後方向に延在し、ケース30に固定された一対のラック31と、一対の転動体を受け入れて案内するように前後方向に延び、ケース30に固定された一対のガイドレール32とを含む。
【解決手段】マッサージ機は、被施療者を背後から支持する支持体と、支持体に沿って昇降可能に設けられたケース30と、施療体41を保持してケース30内を前後方向に移動し得るように配置された施療体保持ユニット40と、施療体保持ユニット40を前後方向に移動させる前後進駆動機構とを備える。前後進駆動機構は、施療体保持ユニット40の両側部に位置し、幅方向に延びるピニオン軸を介して施療体保持ユニットに回転可能に支持された一対のピニオン43と、施療体保持ユニットの両側部に位置し、施療体保持ユニットに回転自在に支持された一対の転動体44,45と、一対のピニオンに噛み合う歯を持って前後方向に延在し、ケース30に固定された一対のラック31と、一対の転動体を受け入れて案内するように前後方向に延び、ケース30に固定された一対のガイドレール32とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、もみ玉や施療子等の施療体によって被施療者をマッサージするマッサージチェアやマッサージベッド等のマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
典型的な椅子型マッサージ機では、座席の背もたれ部の背後に昇降可能に設けられたマッサージユニットを配置している。マッサージユニットは、もみ玉や施療子等と呼ばれる施療体を前後方向に移動させることによって被施療者に対する叩き動作や揉み動作を行う。被施療者に対するマッサージは、通常、所定のプログラムコースに従って行われる。指定されたプログラムに従って、マッサージユニットの昇降動作および施療体の前後進動作が適宜組み合わされ、被施療者の腰、背中、肩等にマッサージを行う。
【0003】
上記のようなマッサージ機は、例えば、特開2006−129906号公報(特許文献1)に開示されている。この公報は、施療子を駆動させる機構を含むマッサージユニットを前後動させることができるマッサージユニットの押出機構を開示している。
【0004】
図20は特開2006−129906号公報に開示されたマッサージ機の押出機構を模式的に示した側面図であり、図21はその正面図である。マッサージ機は、被施療者を支持する支持体に沿って昇降可能に設けられた機械本体ユニット(ケース)1と、機械本体ユニット1に前後方向に移動可能に支持されたマッサージユニット(施療体保持ユニット)2とを備えている。
【0005】
マッサージユニット2は、揉み軸4を介して偏心運動をするロッド3cと、ロッド3cに揺動支点3dを介して支持された揺動アーム3bと、揺動アーム3bの両端に取り付けられた揉み玉3aとを含む施療体3を備えている。
【0006】
特開2006−129906号公報に開示されたマッサージ機では、マッサージユニット2をスムーズに前後動させるために、ラックとピニオンとの組み合わせを、揺動アーム3bの揺動支点3dの上方左側、上方右側、下方左側および下方右側に設けている。具体的に説明すると、マッサージユニット2の上面および下面の両側部に前後方向に延びるラック5を設け、機械本体ユニット1の上方領域および下方領域に配置された上下のピニオン軸6に上記の4個のラックに噛み合う4個のピニオン7を取り付けている。上方に位置するピニオン軸6と下方に位置するピニオン軸6との同期性を持たせるために、上下のピニオン軸6の一端にかさ歯車8を取り付けるとともに、上下のかさ歯車8に噛み合うかさ歯車9を両端に有するシャフト10を設けている。以上の構成により、いずれか一方のピニオン軸6を回転駆動すれば、マッサージユニット2が前後方向に移動する。
【0007】
被施療者に対して所定のプログラムコースに従ってマッサージ動作を施すのに先立ち、被施療者の体形を検出できるようにすることが望ましい。特開2002−159552号公報(特許文献2)は、マッサージ機の体形検出方法を開示している。この公報に開示されたマッサージ機は、揉み玉が被施療者の背中に当接したか否かを検出する手段を備えている。被施療者の体形を検出する際には、マッサージユニットを所定量上昇または下降させ、その位置(第1の位置)で施療体保持ユニットを被施療者の背中に当接するまで前進させ、当接した点での位置を記憶する。引き続いて、施療体保持ユニットを後退させ、再度マッサージユニットを所定量上昇または下降させ、上記と異なった第2の位置で施療体保持ユニットを被施療者の背中に当接するまで前進させ、当接した点での位置を記憶する。この動作を繰り返すことによって、被施療者の体形を検出する。
【0008】
マッサージ機においては、被施療者の肩の上下方向位置を予め認識しておくことも望ましい。特開昭63−257567号公報(特許文献3)は、被施療者の肩位置を検出する検出手段を備えたマッサージ機を開示している。この公報に開示されたマッサージ機では、施療子を上限の位置から下方に降ろして行き、施療子にかかる負荷を監視することによって被施療者の肩位置を検出している。
【0009】
特開2007−75310号公報(特許文献4)は、所定のプログラムに従ったマッサージコースを実行可能なマッサージ機を開示している。この種のマッサージ機では、長時間のマッサージは被施療者に対してストレス過多となるおそれがあるため、通常、施療の連続時間は制御部タイマーで15分程度に抑えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−129906号公報
【特許文献2】特開2002−159552号公報
【特許文献3】特開昭63−257567号公報
【特許文献4】特開2007−75310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特開2006−129906号公報(特許文献1)に開示されたマッサージ機では、マッサージユニットを前後動させるために、ラックとピニオンとの組み合わせを施療体の揺動支点の上方左側、上方右側、下方左側および下方右側の4か所に設け、さらに上下のピニオン軸を同期させるために4個のかさ歯車を必要とする。このように多くの動力伝達部を設けるために装置構成が複雑になり、製造コストの上昇を招く。また、ピニオンギアが多いこと、およびかさ歯車の連結も必要になることから、駆動伝達効率が小さくなってしまうので、高出力の駆動モータが必要になる。
【0012】
特開2002−159552号公報(特許文献2)に開示されたマッサージ機における体形検出方法では、マッサージユニットの上昇、前進、当接、位置記憶、後退の一連の動作で被施療者の体形ラインの中の一つの点の位置を検出している。被施療者の体形ラインをできるだけ正確に検出するためには、上記の一連の動作を多数回繰り返す必要があり、体形検出を完了するまでに多くの時間を必要とする。体形検出時間を少なくするために検出ポイントの数を少なくすれば、検出した体形検出ラインの精度が劣るようになり、細やかなマッサージ施療が困難になる。
【0013】
特開昭63−257567号公報(特許文献3)に開示されたマッサージ機の肩位置検出方法では、施療子が被施療者の後頭部の高さにまで上昇することが予想され、施療子が後頭部に当接して被施療者に不快感を与えるおそれがある。
【0014】
特開2007−75310号公報(特許文献4)に開示されたようなマッサージ機では、被施療者がプログラムコースに従ったマッサージを行っている途中で離席する必要が生じたとき、手元の操作部の停止ボタンを押してプログラムを終了するのが普通である。その後にマッサージ機に戻ってマッサージを再開する場合、プログラムコースの最初から行わなければならない。プログラムコースの半分程度を行っている途中で離席した被施療者にとってみると、プログラムの最初からマッサージ動作が開示されるのは不便もしくは不快に感じる。
【0015】
上記の不便さまたは不快感を解消するために、停止ボタンを押さずにマッサージ動作を継続させた状態のままで離席したり着席したりすることが考えられる。しかしながら、そのようにすれば、施療子に強く当たって打撲したりするおそれがある。また、離席中に無人で所定のマッサージプログラムコースのうちの一部の動作が進んでしまうと、被施療者にとって、マッサージプログラムの全体を受けたという満足感が得られず、不満感を引き起こすおそれがある。
【0016】
この発明の目的は、簡単かつ安価な機構で施療体保持ユニットを前後動させることのできるマッサージ機を提供することである。
【0017】
この発明の他の目的は、比較的短時間で精度よく被施療者の体形を検出することのできるマッサージ機を提供することである。
【0018】
この発明のさらに他の目的は、被施療者に不快感を与えずに肩の位置を検出することのできるマッサージ機を提供することである。
【0019】
この発明のさらに他の目的は、所定のマッサージプログラムコースの途中で動作を中断しても、中断した時点からのマッサージ動作を再開することのできるマッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この発明は、施療体によって被施療者をマッサージするマッサージ機であって、被施療者を背後から支持する支持体と、支持体に沿って昇降可能に設けられたケースと、施療体を保持してケース内を前後方向に移動し得るように配置された施療体保持ユニットと、施療体保持ユニットを前後方向に移動させる前後進駆動機構とを備える。前後進駆動機構は、施療体保持ユニットの両側部に位置し、幅方向に延びるピニオン軸を介して施療体保持ユニットに回転可能に支持された一対のピニオンと、施療体保持ユニットの両側部に位置し、施療体保持ユニットに回転自在に支持された一対の転動体と、一対のピニオンに噛み合う歯を持って前後方向に延在し、ケースに固定された一対のラックと、一対の転動体を受け入れて案内するように前後方向に延び、ケースに固定された一対のガイドレールとを含む。
【0021】
上記構成の本発明によれば、前後進駆動機構が施療体保持ユニットの両側部に位置するラックとピニオンとの組み合わせ、および転動体とガイドレールとの組み合わせにより構成されているので、その装置構成が簡単になり、製造コストも安価に抑えることができる。また、特開2006−129906号公報(特許文献1)に開示されたマッサージ機では、上下に位置するピニオンギアの位相を合わせるための煩雑な調整作業が必要であったが、本発明ではそのような作業が不要となる。
【0022】
施療体保持ユニットに回転自在に支持された転動体としては、ボールやローラ等の公知の転動部品を使用することができる。本発明に従った好ましい実施形態では、各転動体は、前後方向に離れて位置する前ローラおよび後ローラを含む。この実施形態の場合、施療体保持ユニットの動作を安定させるために、好ましくは、前後のローラの中心点間の距離をSとし、前後のローラの中心点を通る軸線の位置から前記施療体の力点までの高さをHとしたとき、S>Hの関係を満足するように構成する。また、前後のローラのうちの一方のローラをピニオン軸に支持するように構成すれば、装置構成がよりシンプルなものとなる。
【0023】
通常、被施療者を背後から支持する支持体は、施療体を前後方向に通過させる開口を有している。被施療者に対する安全性を考慮して、一対のガイドレールを、開口の両側縁よりも幅方向外側に位置させるのが望ましい。
【0024】
この発明の一つの実施形態に係るマッサージ機は、被施療者の体形を検出するための体形検出手段をさらに備える。この体形検出手段は、施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にある間は、施療体を被施療者に当接させた状態のままでケースを上方または下方に動かして被施療者の位置を線で認識するものである。
【0025】
上記の実施形態によれば、被施療者の位置を上下方向に延びる線で認識するので、施療体保持ユニットの前進後退動作の繰り返し回数が少なくなり、体形検出時間を短縮することができる。
【0026】
好ましくは、体形検出手段は、施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にあるか否かを検知する当接範囲検知手段と、施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にある間は、施療体を被施療者に当接させた状態のままでケースを上昇または下降させるように制御する上下方向移動制御手段と、施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲から外れたことを検知したのに応じて、施療体保持ユニットを前進または後退させるとともにケースを所定量上昇または下降させるように制御する次動作準備手段とを備える。当接範囲検知手段は、例えば、施療体動作用モータを駆動して施療体の叩き動作または揉み動作を行いながら、施療体動作用モータの負荷の変化を捉えて施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にあるか否かを検知する。好ましい体形検出手段は、ケースの上昇または下降動作、施療体保持ユニットの前進または後退動作、ケースの上昇または下降動作および施療体保持ユニットの後退または前進動作を順次繰り返して行うことにより、被施療者の体形を上下方向に位置する複数の線で検出する。
【0027】
さらに一つの実施形態では、被施療者に不快感を与えずに肩の位置を検出するために、体形検出手段は、施療体保持ユニットの前進限界位置を検知する前進限界位置検知手段と、前進限界位置を検知したことに応じて、施療体が被施療者に当接するまでケースを下降させる下降制御手段と、施療体が被施療者に当接した位置を被施療者の肩の位置として記憶する肩位置記憶手段とを備える。前進限界位置の一例は、前回の当接検知位置よりも所定量前進させた位置であり、この場合には、下降制御手段は、施療体保持ユニットが前回当接位置よりも所定量前進しても当接しないことを検出したのに応じて、施療体が被施療者に当接するまでケースを下降させる。好ましくは、体形検出手段は、施療体を被施療者の座面近傍位置を起点として上昇させながら被施療者の背中のラインを検出し、引き続いて被施療者の肩の位置を検出する。
【0028】
さらに一つの実施形態では、マッサージ機は、所定のプログラムコースでマッサージ動作を行っているマッサージ機をマッサージ動作の途中位置で中断し、さらに中断したマッサージ動作の途中段階から再開させるためのプログラム動作制御手段をさらに備える。好ましくは、プログラム動作制御手段は、一時停止指令を検知したことに応じて、ケースおよび施療体保持ユニットをプログラム途中の所定の待機位置にまで移動させる待機動作制御手段と、動作再開指令を検知したことに応じて、待機位置にあるケースおよび施療体保持ユニットをプログラム途中の段階から再開動作させる再開動作制御手段とを備える。この実施形態によれば、途中で中断した時点からのマッサージプログラム動作を再開することができるので、被施療者は不便感または不快感を持たずに全体のプログラム動作を効率的に終えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の実施形態に係るマッサージ機を模式的に示す図である。
【図2】この発明の一実施形態に係るマッサージユニットを模式的に示す図である。
【図3】この発明の他の実施形態に係るマッサージユニットを模式的に示す図である。
【図4】この発明の一実施形態に係るマッサージユニットを前方から見た斜視図である。
【図5】この発明の一実施形態に係るマッサージユニットを後方から見た斜視図である。
【図6】この発明の一実施形態に係るマッサージユニットの正面図である。
【図7】この発明の一実施形態に係るマッサージユニットの側面図であり、施療体保持ユニットが前進位置にある状態を示している。
【図8】この発明の一実施形態に係るマッサージユニットの側面図であり、施療体保持ユニットが後退位置にある状態を示している。
【図9】施療体保持ユニットを単独で示す前方から見た斜視図である。
【図10】施療体保持ユニットを後方から見た斜視図である。
【図11】施療体保持ユニットの正面図である。
【図12】施療体保持ユニットの側面図である。
【図13】座席の背もたれ部に固定された支持枠の背面図である。
【図14】マッサージユニットを内部に配置した背もたれ部を上方から見た断面図である。
【図15】マッサージ機の駆動制御系を示すブロック図である。
【図16】操作部を示す正面図である。
【図17】体形検出および肩位置検出動作のフローチャートである。
【図18】被施療者の体形に、測定後の位置認識線を付加した図である。
【図19】プログラムコースの中断および再開動作のフローチャートである。
【図20】従来のマッサージ機のマッサージユニットを図解的に示す側面図である。
【図21】図20のマッサージユニットの図解的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明の一実施形態に係るマッサージ機20を模式的に示している。本発明は、椅子型およびベッド型のいずれのマッサージ機にも適用可能であるが、図1に示すものは椅子型マッサージ機である。マッサージ機20は、被施療者が着座する座部21と、座部21の後端部分に後傾可能に接続され、被施療者を背後から支える背もたれ部22と、背もたれ部22に固定され、背もたれ部に沿って上下方向に延びている昇降レール23と、昇降レール23に沿って昇降可能に設けられたマッサージユニット24とを備える。マッサージユニット24は、昇降レール23に昇降可能に支持されたケース30と、施療体41を有し、ケース30内を前後方向に移動し得るように配置された施療体保持ユニット40と、施療体保持ユニット40を前後方向に移動させる前後進駆動機構とを備える。被施療者は、手で保持している操作部25の各種操作ボタンを操作して、所望のマッサージ動作を受けることができる。
【0031】
マッサージユニット24の具体的な構造および形状については、図4〜図12に示した。マッサージユニット24の具体的な構造を説明するのに先立ち、図解図である図2および図3を用いて、マッサージユニット24の本質的特徴を説明する。図2は、マッサージユニットの一実施形態であり、図3は他の実施形態である。これらの両図および後に参照する図4〜図12においては、同一または相当の要素について同一の参照番号を付している。
【0032】
まず、図2を参照して、マッサージユニット24の一実施形態を説明する。マッサージユニット24は、昇降レール23に昇降可能に支持されたケース30と、前後進駆動機構によってケース30内を前後方向に移動可能に設けられた施療体保持ユニット40とを備えている。マッサージユニット24は、図示していないが、複数のモータを有している。
【0033】
図2の実施形態における前後進駆動機構は、施療体保持ユニット40の両側部に位置し、幅方向に延びるピニオン軸を介して施療体保持ユニット40に回転可能に支持された一対のピニオン43と、施療体保持ユニット40の両側部に位置し、施療体保持ユニット40に回転自在に支持された一対の転動体44,45と、一対のピニオン43に噛み合う歯を持って前後方向に延在し、ケース30に固定された一対のラック31と、一対の転動体44,45を受け入れて案内するように前後方向に延び、ケース30に固定された一対のガイドレール32とを備える。図示した実施形態では、施療体保持ユニット40の各側部に位置する転動体は、前後方向に離れて位置する前ローラ44および後ローラ45を含む。図示したマッサージ機においては、施療体41の前方端42が施療時の力点となる。
【0034】
図2に示した実施形態では、ピニオン43のピニオン軸と、ローラ44,45の軸とが別個に設けられ、ラック31とガイドレール32とが離れて設けられている。
【0035】
前後のローラ44,45の中心点間の距離をSとし、前後のローラ44,45の中心点を通る軸線の位置から施療体41の力点42までの高さをHとすると、S>Hの関係を満足するようにすることが望ましい。この関係を満足すれば、施療時に施療体保持ユニット40に作用するねじれモーメントまたはたわみモーメントが小さくなるので、施療体保持ユニット40の動作を安定させることができる。高さHが小さいほど、施療体保持ユニット40の動作は安定する。理想的には、高さHの値はゼロである。
【0036】
施療時には、マッサージユニット24を上下方向に移動させるとともに、ピニオン43を回転駆動することにより施療体保持ユニット40を前後方向に移動させる。施療体41は、被施療者に対して叩き動作や揉み動作等のマッサージを施す。
【0037】
図3に示した実施形態では、後ローラ45の軸と、ピニオン43のピニオン軸とが共通になっている。また、ラック31とガイドレール32とが、一体的に形成されている。ラック31とガイドレール32とを一体化するために、同一の部材で両者を形成してもよいし、別部材のものを一体的に固定するようにしてもよい。図2に示した実施形態のものと比較して、図3の実施形態では、前後進駆動機構の構成がよりシンプルになる。
【0038】
図3に示した実施形態においても、前後のローラ44,45の中心点間の距離Sが、前後のローラ44,45の中心点を通る軸線の位置から施療体41の力点42までの高さHよりも大きい。例示的に数値を示すと、前後のローラ44,45間の距離Sが85mmであり、高さHが20mmである。
【0039】
図3の実施形態に対応するマッサージユニット24の具体的構造を図4〜図12に示した。図4〜図8は、施療体保持ユニット40がケース30内に配置されている状態を示し、図9〜図12は施療体保持ユニット40を単独で示している。図7は、施療体保持ユニット40が前進位置にある状態を示し、図8は、施療体保持ユニット40が後退位置にある状態を示している。
【0040】
各図から明らかなように、ケース30の上方領域に上部回転軸33が回転自在に支持され、下方領域に下部回転軸34が回転自在に支持されている。下部回転軸34は、モータによって回転駆動される。ケース30の上方領域の両側壁を貫通して露出した上部回転軸33の両端には、ローラ35が取り付けられている。また、ケース30の下方領域の両側壁を貫通して露出した下部回転軸34の両端には、ピニオン37とローラ36とが取り付けられている。上下のローラ35、36は、図1に示した昇降レール23に受け入れられて案内される。
【0041】
一対の昇降レール23のそれぞれにはラック(図示省略)が一体的に取り付けられており、一対のピニオン37がこれらのラックに噛み合っている。従って、下部回転軸34を回転駆動すれば、マッサージユニット24が昇降レール23に沿って上下方向に移動する。
【0042】
図4を参照すると、一対のガイドレール32がケース30の両側壁に固定されていること、ガイドレール32内に施療体保持ユニット40の前ローラ44が受け入れられて案内されていること、およびガイドレール32とラック31とが一体的に形成されていることを観察できる。また、両側部に位置する一対の前ローラ44を支持しているローラ軸38も観察できる。
【0043】
図5を参照すると、施療体保持ユニット40の後部領域を貫通しているピニオン軸39の両端にピニオン43および後ローラ45が取り付けられていること、施療体保持ユニット40の各側部においてピニオン43とラック31とが噛み合っていること、および後ローラ45がガイドレール32内に受け入れられて案内されていることを観察できる。
【0044】
図6を参照すると、幅方向に延びるローラ軸38の両端に前ローラ44が取り付けられていること、前ローラ44がガイドレール32に受け入れられて案内されていること、ケース30に回転自在に支持されている下部回転軸34の両端にピニオン37および下部ローラ36が取り付けられていることを観察できる。
【0045】
図7を参照すると、施療体保持ユニット40の前進位置を観察でき、図8を参照すると、施療体保持ユニット40の後退位置を観察できる。
【0046】
図9〜図12を参照すると、施療体保持ユニット40の全体構造および細部の構造を正確に認識することができる。
【0047】
図13は、マッサージ機の背もたれ部22に固定された支持枠26を背面から見た図であり、図14は背もたれ部22内に配置されたマッサージユニット24を上方から見た図である。これらの図から明らかなように、支持枠26は、施療体41を前後方向に通過させる開口27を有している。施療体保持ユニット40の一対のガイドレール32は、支持枠26の開口27の両側縁よりも幅方向外側に位置している。従って、一対のガイドレール32の先端が被施療者に当たることはなく、被施療者に不快感を与えることがない。
【0048】
なお、図14を参照すると、マッサージユニット24の両側部に位置する上部ローラ35が昇降レール23に受け入れられて案内されていること、ラック28が昇降レール23に一体的に固定されていること、およびピニオン37がラック28に噛み合っていることを観察できる。
【0049】
次に、上記構成のマッサージ機の動作を制御するための制御部について説明する。図15は、マッサージ機の駆動制御系を示すブロック図である。
【0050】
図示するように、制御部は、中央処理演算装置(CPU)と、各種プログラムやマッサージコース情報等を記憶したメモリー部と、各種モータ等の制御を行う駆動制御部とを備えており、インターフェースを介して操作部(図1および図16参照)、電源スイッチ等に接続されるととともに、インターフェースを介してマッサージユニット、背もたれ部のリクライニング動作用のモータ、エアバッグ、各種センサ等に接続されている。マッサージユニットは、マッサージユニット昇降動作用のモータ、ロータリエンコーダ、センサ、スイッチおよび施療体保持ユニットを備える。施療体保持ユニットは、揉み玉等の施療子の揉み動作用のモータ、叩き動作用のモータ、前後進動作用の進退モータを含む。
【0051】
図16は、操作部25を示す。操作部25は、液晶表示部を備えるとともに、各種のボタンを有している。本実施形態に係る操作部25の特徴的な点は、一時停止/再開ボタンを有していることである。
【0052】
本発明の実施形態に係るマッサージ機は、被施療者の体形を検出するための体形検出手段を備える。体形検出手段は、好ましくは、被施療者の背中のラインを検出するとともに、被施療者の肩の上下方向位置を検出する。本発明の実施形態に係る制御部は、以下に記載する動作を実現し得るように設計されている。
【0053】
本発明の実施形態に係る体形検出手段の特徴は、施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にある間は、施療体を被施療者に当接させた状態のままでケースを上方または下方に動かして被施療者の位置を線で認識することにある。この動作を実現するために、好ましくは、体形検出手段は、施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にあるか否かを検知する当接範囲検知手段と、施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にある間は、施療体を被施療者に当接させた状態のままでケースを上昇または下降させるように制御する上下方向移動制御手段と、施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲から外れたことを検知したのに応じて、施療体保持ユニットを前進または後退させるとともにケースを所定量上昇または下降させるように制御する次動作準備手段とを備える。当接範囲検知手段は、例えば、施療体動作用モータを駆動して施療体の叩き動作または揉み動作を行いながら、施療体動作用モータの負荷の変化を捉えて施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にあるか否かを検知する。上記の構成を備える体形検出手段は、好ましくは、ケースの上昇または下降動作、施療体保持ユニットの前進または後退動作、ケースの上昇または下降動作および施療体保持ユニットの後退または前進動作を順次繰り返すことにより、被施療者の体形を上下方向に位置する複数の線で検出する。
【0054】
また、好ましい実施形態に係る体形検出手段は、被施療者の肩の位置を検出するために、施療体保持ユニットの前進限界位置を検知する前進限界位置検知手段と、前進限界位置を検知したことに応じて、施療体が被施療者に当接するまでケースを下降させる下降制御手段と、施療体が被施療者に当接した位置を被施療者の肩の位置として記憶する肩位置記憶手段とを備える。前進限界位置の一つの例は、前回の当接検知位置よりも所定量前進させた位置であり、この場合には、下降制御手段は、施療体保持ユニットが前回当接位置よりも所定量前進しても当接しないことを検出したのに応じて、施療体が被施療者に当接するまでケースを下降させる。好ましい実施形態では、体形検出手段は、施療体を被施療者の座面近傍位置を起点として上昇させながら被施療者の背中のラインを検出し、引き続いて被施療者の肩の位置を検出する。
【0055】
図17は、本発明の実施形態に係るマッサージ機における体形検出および肩位置検出動作を示すフローチャートである。また、図18は、被施療者の体形に、測定後の位置認識線を付加した図である。これらの図を参照して、被施療者の体形検出および肩位置検出を如何に行っているかを詳細に説明する。
【0056】
まず、検出動作を開始するのに先立ち、施療体保持ユニットを被施療者から最も離れた位置(後退基準位置)にまで後退させる(ステップ1)。既に、施療体保持ユニットが後退基準位置にあるのであれば、後退動作を行わない。図18において、後退基準位置は、z0のライン上にある。
【0057】
上記のステップ1の後に、またはステップ1の前に、あるいはステップ1と同時に、マッサージユニットを座面近傍の高さである下部の基準位置(下部基準位置)にまで下降させる(ステップ2)。既に、マッサージユニットが下部基準位置にあるのであれば、その位置を確認するだけであり、下降動作を行わない。図18において、下部基準位置は、y0のライン上にある。
【0058】
ステップ3において、施療体保持ユニットが後退基準位置にあるか否かをチェックし、後退基準位置になければ施療体保持ユニットを後退基準位置にまで後退させる。体形検出動作は、マッサージユニットが図18におけるy0のライン上の下部基準位置、施療体保持ユニットがz0のライン上の後退基準位置にあることを確認してから開始される。
【0059】
まず、マッサージユニットを所定量上昇させる(ステップ4)。上昇後のマッサージユニットは、図18のy1のライン上にある。この段階では、施療体保持ユニットの施療体はまだ被施療者に当接していない。
【0060】
次に、ステップ5において、施療体保持ユニットを被施療者に近づけるように前進させる。
【0061】
ステップ6において、施療体保持ユニットの施療体が被施療者に当接したか否かを検知する。当接検知手段として種々のセンサまたは回路構成を用いることが可能である。一つの実施形態では、施療体の叩き動作用のモータまたは揉み動作用のモータの電流値の増減を監視する方法を用いる。
【0062】
ステップ6で施療体が被施療者に当接したことを検知したら、その当接位置におけるマッサージユニットの高さynおよび施療体保持ユニットの前進量znを記憶する(ステップ7)。
【0063】
次に、施療体を被施療者に当接させた状態のままで、マッサージユニットを上昇させる(ステップ8)。このとき、施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にある間はマッサージユニットの上昇を継続させる。所定の当接関係の範囲内にあるか否かは、例えば、叩き動作用のモータまたは揉み動作用のモータの電流値が所定の範囲内にあるか否かによって判別する。被施療者の背中のラインの凹凸が小さければ、施療体と被施療者とは所定の当接関係の範囲内にある。逆に、背中のラインの凹凸が大きくなると、施療体と被施療者とは所定の当接関係の範囲から外れることになる。
【0064】
ステップ9において施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲から外れたことが検出されると、その位置のマッサージユニットの高さy2(図18参照)を記憶する(ステップ10)。こうして、1回目の検出動作を終了すると、被施療者の体形の下端の計測個所の位置を、図18に示すy1−y2の線で認識する。
【0065】
引き続き、ステップ3に戻り、施療体保持ユニットを後退基準位置まで後退させる。そして、マッサージユニットを所定量上昇させた後に、上記と同じ検出動作を行う。こうして2回目の検出動作を終了すると、被施療者の体形の2つ目の計測個所の位置を、図18に示すy3−y4の線で認識する。この動作を繰り返すことにより、被施療者の背中全体の体形ラインを複数の線で認識する。
【0066】
ステップ6において、施療体が被施療者に当接したことが検知されなかったときには、ステップ11の動作に移る。すなわち、施療体保持ユニットが被施療者に当接することなく前進限界位置に到達したことが検知されると、マッサージユニットを下降させる(ステップ12)。マッサージユニットが下降して被施療者の肩に当接したとき、その位置におけるマッサージユニットの高さを記憶する(ステップ13およびステップ14)。この肩の記憶位置が、図18におけるysの位置である。
【0067】
上記の体形検出動作および肩位置検出動作が終了すると、マッサージ機は、指定されたプログラムコースに従ってマッサージ動作を行う。
【0068】
本発明の一実施形態に係るマッサージ機は、所定のプログラムコースでマッサージ動作を行っている途中で、その動作を中断し、さらに途中から中断後の動作を再開させるためのプログラム動作制御手段をさらに備えている。中断および再開の指令は、図16に示す操作部25の一時停止/再開ボタンを押すことによって発せられる。
【0069】
図19は、マッサージ動作の中断および再開の制御のフローチャートである。プログラム動作制御手段は、一時停止指令を検知したことに応じて、ケースおよび施療体保持ユニットをプログラム途中の所定の待機位置にまで移動させる待機動作制御手段と、動作再開指令を検知したことに応じて、待機位置にあるケースおよび施療体保持ユニットをプログラム途中の段階から再開動作させる再開動作制御手段とを備える。
【0070】
図19のステップ20において、所定のプログラムコースに従ったマッサージ動作を受けている被施療者が一時停止/再開ボタンを押すと、一時停止指令信号として検知される。この一時停止指令信号の検知に応じて、その時点でのマッサージプログラムの進行状態を記憶し(ステップ21)、マッサージ動作を中断する(ステップ22)。その後、マッサージユニットおよび施療体保持ユニットをプログラム途中の所定の待機位置まで移動させ(ステップ23)、マッサージ機の動きを停止する(ステップ24)。マッサージユニットおよび施療体保持ユニットを所定の待機位置にまで戻すのは、被施療者の離席時および着席時に被施療者に無理な姿勢を強いることがないようにするためであり、または不快な圧迫感等を与えないようにするためである。ほとんどの場合、再開時、体形検出動作からスタートするため、待機位置は体形検出の基準位置となる。
【0071】
その後、離席していた被施療者が戻ってきて、マッサージ機に着座し、一時停止/再開ボタンを押すと、動作再開指令信号として検知される(ステップ30)。動作再開指令信号を検知したのに応じて、一時停止した時点の進行マッサージプログラムからのマッサージ動作を再開してもよいが(ステップ32)、好ましい実施形態としてとしては、ステップ30とステップ32との間に、被施療者の体形および肩位置の検出動作を行う(ステップ31)。プログラムコースを途中の段階から再開させる場合、被施療者の着座位置が変化していることもあるので、体形検出動作および肩位置検出動作を行った後に中断後のプログラムコースを再開するようにするのが望ましい。
【0072】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して例示的に説明したが、この発明は、ここに記載した実施形態に限定されるものではなく、この発明の均等の範囲内で種々の修正や変更がなされ得るものであることを理解すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0073】
この発明は、構造がシンプルなマッサージ機として有利に利用され得る。
【符号の説明】
【0074】
1 機械本体ユニット(ケース)、2 マッサージユニット、3 施療体、3a 揉み玉、3b 揺動アーム、3c ロッド、3d 揺動支点、4 揉み軸、5 ラック、6 ピニオン軸、7 ピニオン、8 かさ歯車、9 かさ歯車、10 シャフト、20 マッサージ機、21 座部、22 背もたれ部、23 昇降レール、24 マッサージユニット、25 操作部、26 支持枠、27 開口、28 ラック、30 ケース、31 ラック、32 ガイドレール、33 上部回転軸、34 下部回転軸、35 上部ローラ、36 下部ローラ、37 ピニオン、38 ローラ軸、39 ピニオン軸、40 施療体保持ユニット、41 施療体、42 力点、43 ピニオン、44 前ローラ、45 後ローラ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、もみ玉や施療子等の施療体によって被施療者をマッサージするマッサージチェアやマッサージベッド等のマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
典型的な椅子型マッサージ機では、座席の背もたれ部の背後に昇降可能に設けられたマッサージユニットを配置している。マッサージユニットは、もみ玉や施療子等と呼ばれる施療体を前後方向に移動させることによって被施療者に対する叩き動作や揉み動作を行う。被施療者に対するマッサージは、通常、所定のプログラムコースに従って行われる。指定されたプログラムに従って、マッサージユニットの昇降動作および施療体の前後進動作が適宜組み合わされ、被施療者の腰、背中、肩等にマッサージを行う。
【0003】
上記のようなマッサージ機は、例えば、特開2006−129906号公報(特許文献1)に開示されている。この公報は、施療子を駆動させる機構を含むマッサージユニットを前後動させることができるマッサージユニットの押出機構を開示している。
【0004】
図20は特開2006−129906号公報に開示されたマッサージ機の押出機構を模式的に示した側面図であり、図21はその正面図である。マッサージ機は、被施療者を支持する支持体に沿って昇降可能に設けられた機械本体ユニット(ケース)1と、機械本体ユニット1に前後方向に移動可能に支持されたマッサージユニット(施療体保持ユニット)2とを備えている。
【0005】
マッサージユニット2は、揉み軸4を介して偏心運動をするロッド3cと、ロッド3cに揺動支点3dを介して支持された揺動アーム3bと、揺動アーム3bの両端に取り付けられた揉み玉3aとを含む施療体3を備えている。
【0006】
特開2006−129906号公報に開示されたマッサージ機では、マッサージユニット2をスムーズに前後動させるために、ラックとピニオンとの組み合わせを、揺動アーム3bの揺動支点3dの上方左側、上方右側、下方左側および下方右側に設けている。具体的に説明すると、マッサージユニット2の上面および下面の両側部に前後方向に延びるラック5を設け、機械本体ユニット1の上方領域および下方領域に配置された上下のピニオン軸6に上記の4個のラックに噛み合う4個のピニオン7を取り付けている。上方に位置するピニオン軸6と下方に位置するピニオン軸6との同期性を持たせるために、上下のピニオン軸6の一端にかさ歯車8を取り付けるとともに、上下のかさ歯車8に噛み合うかさ歯車9を両端に有するシャフト10を設けている。以上の構成により、いずれか一方のピニオン軸6を回転駆動すれば、マッサージユニット2が前後方向に移動する。
【0007】
被施療者に対して所定のプログラムコースに従ってマッサージ動作を施すのに先立ち、被施療者の体形を検出できるようにすることが望ましい。特開2002−159552号公報(特許文献2)は、マッサージ機の体形検出方法を開示している。この公報に開示されたマッサージ機は、揉み玉が被施療者の背中に当接したか否かを検出する手段を備えている。被施療者の体形を検出する際には、マッサージユニットを所定量上昇または下降させ、その位置(第1の位置)で施療体保持ユニットを被施療者の背中に当接するまで前進させ、当接した点での位置を記憶する。引き続いて、施療体保持ユニットを後退させ、再度マッサージユニットを所定量上昇または下降させ、上記と異なった第2の位置で施療体保持ユニットを被施療者の背中に当接するまで前進させ、当接した点での位置を記憶する。この動作を繰り返すことによって、被施療者の体形を検出する。
【0008】
マッサージ機においては、被施療者の肩の上下方向位置を予め認識しておくことも望ましい。特開昭63−257567号公報(特許文献3)は、被施療者の肩位置を検出する検出手段を備えたマッサージ機を開示している。この公報に開示されたマッサージ機では、施療子を上限の位置から下方に降ろして行き、施療子にかかる負荷を監視することによって被施療者の肩位置を検出している。
【0009】
特開2007−75310号公報(特許文献4)は、所定のプログラムに従ったマッサージコースを実行可能なマッサージ機を開示している。この種のマッサージ機では、長時間のマッサージは被施療者に対してストレス過多となるおそれがあるため、通常、施療の連続時間は制御部タイマーで15分程度に抑えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−129906号公報
【特許文献2】特開2002−159552号公報
【特許文献3】特開昭63−257567号公報
【特許文献4】特開2007−75310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特開2006−129906号公報(特許文献1)に開示されたマッサージ機では、マッサージユニットを前後動させるために、ラックとピニオンとの組み合わせを施療体の揺動支点の上方左側、上方右側、下方左側および下方右側の4か所に設け、さらに上下のピニオン軸を同期させるために4個のかさ歯車を必要とする。このように多くの動力伝達部を設けるために装置構成が複雑になり、製造コストの上昇を招く。また、ピニオンギアが多いこと、およびかさ歯車の連結も必要になることから、駆動伝達効率が小さくなってしまうので、高出力の駆動モータが必要になる。
【0012】
特開2002−159552号公報(特許文献2)に開示されたマッサージ機における体形検出方法では、マッサージユニットの上昇、前進、当接、位置記憶、後退の一連の動作で被施療者の体形ラインの中の一つの点の位置を検出している。被施療者の体形ラインをできるだけ正確に検出するためには、上記の一連の動作を多数回繰り返す必要があり、体形検出を完了するまでに多くの時間を必要とする。体形検出時間を少なくするために検出ポイントの数を少なくすれば、検出した体形検出ラインの精度が劣るようになり、細やかなマッサージ施療が困難になる。
【0013】
特開昭63−257567号公報(特許文献3)に開示されたマッサージ機の肩位置検出方法では、施療子が被施療者の後頭部の高さにまで上昇することが予想され、施療子が後頭部に当接して被施療者に不快感を与えるおそれがある。
【0014】
特開2007−75310号公報(特許文献4)に開示されたようなマッサージ機では、被施療者がプログラムコースに従ったマッサージを行っている途中で離席する必要が生じたとき、手元の操作部の停止ボタンを押してプログラムを終了するのが普通である。その後にマッサージ機に戻ってマッサージを再開する場合、プログラムコースの最初から行わなければならない。プログラムコースの半分程度を行っている途中で離席した被施療者にとってみると、プログラムの最初からマッサージ動作が開示されるのは不便もしくは不快に感じる。
【0015】
上記の不便さまたは不快感を解消するために、停止ボタンを押さずにマッサージ動作を継続させた状態のままで離席したり着席したりすることが考えられる。しかしながら、そのようにすれば、施療子に強く当たって打撲したりするおそれがある。また、離席中に無人で所定のマッサージプログラムコースのうちの一部の動作が進んでしまうと、被施療者にとって、マッサージプログラムの全体を受けたという満足感が得られず、不満感を引き起こすおそれがある。
【0016】
この発明の目的は、簡単かつ安価な機構で施療体保持ユニットを前後動させることのできるマッサージ機を提供することである。
【0017】
この発明の他の目的は、比較的短時間で精度よく被施療者の体形を検出することのできるマッサージ機を提供することである。
【0018】
この発明のさらに他の目的は、被施療者に不快感を与えずに肩の位置を検出することのできるマッサージ機を提供することである。
【0019】
この発明のさらに他の目的は、所定のマッサージプログラムコースの途中で動作を中断しても、中断した時点からのマッサージ動作を再開することのできるマッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この発明は、施療体によって被施療者をマッサージするマッサージ機であって、被施療者を背後から支持する支持体と、支持体に沿って昇降可能に設けられたケースと、施療体を保持してケース内を前後方向に移動し得るように配置された施療体保持ユニットと、施療体保持ユニットを前後方向に移動させる前後進駆動機構とを備える。前後進駆動機構は、施療体保持ユニットの両側部に位置し、幅方向に延びるピニオン軸を介して施療体保持ユニットに回転可能に支持された一対のピニオンと、施療体保持ユニットの両側部に位置し、施療体保持ユニットに回転自在に支持された一対の転動体と、一対のピニオンに噛み合う歯を持って前後方向に延在し、ケースに固定された一対のラックと、一対の転動体を受け入れて案内するように前後方向に延び、ケースに固定された一対のガイドレールとを含む。
【0021】
上記構成の本発明によれば、前後進駆動機構が施療体保持ユニットの両側部に位置するラックとピニオンとの組み合わせ、および転動体とガイドレールとの組み合わせにより構成されているので、その装置構成が簡単になり、製造コストも安価に抑えることができる。また、特開2006−129906号公報(特許文献1)に開示されたマッサージ機では、上下に位置するピニオンギアの位相を合わせるための煩雑な調整作業が必要であったが、本発明ではそのような作業が不要となる。
【0022】
施療体保持ユニットに回転自在に支持された転動体としては、ボールやローラ等の公知の転動部品を使用することができる。本発明に従った好ましい実施形態では、各転動体は、前後方向に離れて位置する前ローラおよび後ローラを含む。この実施形態の場合、施療体保持ユニットの動作を安定させるために、好ましくは、前後のローラの中心点間の距離をSとし、前後のローラの中心点を通る軸線の位置から前記施療体の力点までの高さをHとしたとき、S>Hの関係を満足するように構成する。また、前後のローラのうちの一方のローラをピニオン軸に支持するように構成すれば、装置構成がよりシンプルなものとなる。
【0023】
通常、被施療者を背後から支持する支持体は、施療体を前後方向に通過させる開口を有している。被施療者に対する安全性を考慮して、一対のガイドレールを、開口の両側縁よりも幅方向外側に位置させるのが望ましい。
【0024】
この発明の一つの実施形態に係るマッサージ機は、被施療者の体形を検出するための体形検出手段をさらに備える。この体形検出手段は、施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にある間は、施療体を被施療者に当接させた状態のままでケースを上方または下方に動かして被施療者の位置を線で認識するものである。
【0025】
上記の実施形態によれば、被施療者の位置を上下方向に延びる線で認識するので、施療体保持ユニットの前進後退動作の繰り返し回数が少なくなり、体形検出時間を短縮することができる。
【0026】
好ましくは、体形検出手段は、施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にあるか否かを検知する当接範囲検知手段と、施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にある間は、施療体を被施療者に当接させた状態のままでケースを上昇または下降させるように制御する上下方向移動制御手段と、施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲から外れたことを検知したのに応じて、施療体保持ユニットを前進または後退させるとともにケースを所定量上昇または下降させるように制御する次動作準備手段とを備える。当接範囲検知手段は、例えば、施療体動作用モータを駆動して施療体の叩き動作または揉み動作を行いながら、施療体動作用モータの負荷の変化を捉えて施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にあるか否かを検知する。好ましい体形検出手段は、ケースの上昇または下降動作、施療体保持ユニットの前進または後退動作、ケースの上昇または下降動作および施療体保持ユニットの後退または前進動作を順次繰り返して行うことにより、被施療者の体形を上下方向に位置する複数の線で検出する。
【0027】
さらに一つの実施形態では、被施療者に不快感を与えずに肩の位置を検出するために、体形検出手段は、施療体保持ユニットの前進限界位置を検知する前進限界位置検知手段と、前進限界位置を検知したことに応じて、施療体が被施療者に当接するまでケースを下降させる下降制御手段と、施療体が被施療者に当接した位置を被施療者の肩の位置として記憶する肩位置記憶手段とを備える。前進限界位置の一例は、前回の当接検知位置よりも所定量前進させた位置であり、この場合には、下降制御手段は、施療体保持ユニットが前回当接位置よりも所定量前進しても当接しないことを検出したのに応じて、施療体が被施療者に当接するまでケースを下降させる。好ましくは、体形検出手段は、施療体を被施療者の座面近傍位置を起点として上昇させながら被施療者の背中のラインを検出し、引き続いて被施療者の肩の位置を検出する。
【0028】
さらに一つの実施形態では、マッサージ機は、所定のプログラムコースでマッサージ動作を行っているマッサージ機をマッサージ動作の途中位置で中断し、さらに中断したマッサージ動作の途中段階から再開させるためのプログラム動作制御手段をさらに備える。好ましくは、プログラム動作制御手段は、一時停止指令を検知したことに応じて、ケースおよび施療体保持ユニットをプログラム途中の所定の待機位置にまで移動させる待機動作制御手段と、動作再開指令を検知したことに応じて、待機位置にあるケースおよび施療体保持ユニットをプログラム途中の段階から再開動作させる再開動作制御手段とを備える。この実施形態によれば、途中で中断した時点からのマッサージプログラム動作を再開することができるので、被施療者は不便感または不快感を持たずに全体のプログラム動作を効率的に終えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の実施形態に係るマッサージ機を模式的に示す図である。
【図2】この発明の一実施形態に係るマッサージユニットを模式的に示す図である。
【図3】この発明の他の実施形態に係るマッサージユニットを模式的に示す図である。
【図4】この発明の一実施形態に係るマッサージユニットを前方から見た斜視図である。
【図5】この発明の一実施形態に係るマッサージユニットを後方から見た斜視図である。
【図6】この発明の一実施形態に係るマッサージユニットの正面図である。
【図7】この発明の一実施形態に係るマッサージユニットの側面図であり、施療体保持ユニットが前進位置にある状態を示している。
【図8】この発明の一実施形態に係るマッサージユニットの側面図であり、施療体保持ユニットが後退位置にある状態を示している。
【図9】施療体保持ユニットを単独で示す前方から見た斜視図である。
【図10】施療体保持ユニットを後方から見た斜視図である。
【図11】施療体保持ユニットの正面図である。
【図12】施療体保持ユニットの側面図である。
【図13】座席の背もたれ部に固定された支持枠の背面図である。
【図14】マッサージユニットを内部に配置した背もたれ部を上方から見た断面図である。
【図15】マッサージ機の駆動制御系を示すブロック図である。
【図16】操作部を示す正面図である。
【図17】体形検出および肩位置検出動作のフローチャートである。
【図18】被施療者の体形に、測定後の位置認識線を付加した図である。
【図19】プログラムコースの中断および再開動作のフローチャートである。
【図20】従来のマッサージ機のマッサージユニットを図解的に示す側面図である。
【図21】図20のマッサージユニットの図解的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明の一実施形態に係るマッサージ機20を模式的に示している。本発明は、椅子型およびベッド型のいずれのマッサージ機にも適用可能であるが、図1に示すものは椅子型マッサージ機である。マッサージ機20は、被施療者が着座する座部21と、座部21の後端部分に後傾可能に接続され、被施療者を背後から支える背もたれ部22と、背もたれ部22に固定され、背もたれ部に沿って上下方向に延びている昇降レール23と、昇降レール23に沿って昇降可能に設けられたマッサージユニット24とを備える。マッサージユニット24は、昇降レール23に昇降可能に支持されたケース30と、施療体41を有し、ケース30内を前後方向に移動し得るように配置された施療体保持ユニット40と、施療体保持ユニット40を前後方向に移動させる前後進駆動機構とを備える。被施療者は、手で保持している操作部25の各種操作ボタンを操作して、所望のマッサージ動作を受けることができる。
【0031】
マッサージユニット24の具体的な構造および形状については、図4〜図12に示した。マッサージユニット24の具体的な構造を説明するのに先立ち、図解図である図2および図3を用いて、マッサージユニット24の本質的特徴を説明する。図2は、マッサージユニットの一実施形態であり、図3は他の実施形態である。これらの両図および後に参照する図4〜図12においては、同一または相当の要素について同一の参照番号を付している。
【0032】
まず、図2を参照して、マッサージユニット24の一実施形態を説明する。マッサージユニット24は、昇降レール23に昇降可能に支持されたケース30と、前後進駆動機構によってケース30内を前後方向に移動可能に設けられた施療体保持ユニット40とを備えている。マッサージユニット24は、図示していないが、複数のモータを有している。
【0033】
図2の実施形態における前後進駆動機構は、施療体保持ユニット40の両側部に位置し、幅方向に延びるピニオン軸を介して施療体保持ユニット40に回転可能に支持された一対のピニオン43と、施療体保持ユニット40の両側部に位置し、施療体保持ユニット40に回転自在に支持された一対の転動体44,45と、一対のピニオン43に噛み合う歯を持って前後方向に延在し、ケース30に固定された一対のラック31と、一対の転動体44,45を受け入れて案内するように前後方向に延び、ケース30に固定された一対のガイドレール32とを備える。図示した実施形態では、施療体保持ユニット40の各側部に位置する転動体は、前後方向に離れて位置する前ローラ44および後ローラ45を含む。図示したマッサージ機においては、施療体41の前方端42が施療時の力点となる。
【0034】
図2に示した実施形態では、ピニオン43のピニオン軸と、ローラ44,45の軸とが別個に設けられ、ラック31とガイドレール32とが離れて設けられている。
【0035】
前後のローラ44,45の中心点間の距離をSとし、前後のローラ44,45の中心点を通る軸線の位置から施療体41の力点42までの高さをHとすると、S>Hの関係を満足するようにすることが望ましい。この関係を満足すれば、施療時に施療体保持ユニット40に作用するねじれモーメントまたはたわみモーメントが小さくなるので、施療体保持ユニット40の動作を安定させることができる。高さHが小さいほど、施療体保持ユニット40の動作は安定する。理想的には、高さHの値はゼロである。
【0036】
施療時には、マッサージユニット24を上下方向に移動させるとともに、ピニオン43を回転駆動することにより施療体保持ユニット40を前後方向に移動させる。施療体41は、被施療者に対して叩き動作や揉み動作等のマッサージを施す。
【0037】
図3に示した実施形態では、後ローラ45の軸と、ピニオン43のピニオン軸とが共通になっている。また、ラック31とガイドレール32とが、一体的に形成されている。ラック31とガイドレール32とを一体化するために、同一の部材で両者を形成してもよいし、別部材のものを一体的に固定するようにしてもよい。図2に示した実施形態のものと比較して、図3の実施形態では、前後進駆動機構の構成がよりシンプルになる。
【0038】
図3に示した実施形態においても、前後のローラ44,45の中心点間の距離Sが、前後のローラ44,45の中心点を通る軸線の位置から施療体41の力点42までの高さHよりも大きい。例示的に数値を示すと、前後のローラ44,45間の距離Sが85mmであり、高さHが20mmである。
【0039】
図3の実施形態に対応するマッサージユニット24の具体的構造を図4〜図12に示した。図4〜図8は、施療体保持ユニット40がケース30内に配置されている状態を示し、図9〜図12は施療体保持ユニット40を単独で示している。図7は、施療体保持ユニット40が前進位置にある状態を示し、図8は、施療体保持ユニット40が後退位置にある状態を示している。
【0040】
各図から明らかなように、ケース30の上方領域に上部回転軸33が回転自在に支持され、下方領域に下部回転軸34が回転自在に支持されている。下部回転軸34は、モータによって回転駆動される。ケース30の上方領域の両側壁を貫通して露出した上部回転軸33の両端には、ローラ35が取り付けられている。また、ケース30の下方領域の両側壁を貫通して露出した下部回転軸34の両端には、ピニオン37とローラ36とが取り付けられている。上下のローラ35、36は、図1に示した昇降レール23に受け入れられて案内される。
【0041】
一対の昇降レール23のそれぞれにはラック(図示省略)が一体的に取り付けられており、一対のピニオン37がこれらのラックに噛み合っている。従って、下部回転軸34を回転駆動すれば、マッサージユニット24が昇降レール23に沿って上下方向に移動する。
【0042】
図4を参照すると、一対のガイドレール32がケース30の両側壁に固定されていること、ガイドレール32内に施療体保持ユニット40の前ローラ44が受け入れられて案内されていること、およびガイドレール32とラック31とが一体的に形成されていることを観察できる。また、両側部に位置する一対の前ローラ44を支持しているローラ軸38も観察できる。
【0043】
図5を参照すると、施療体保持ユニット40の後部領域を貫通しているピニオン軸39の両端にピニオン43および後ローラ45が取り付けられていること、施療体保持ユニット40の各側部においてピニオン43とラック31とが噛み合っていること、および後ローラ45がガイドレール32内に受け入れられて案内されていることを観察できる。
【0044】
図6を参照すると、幅方向に延びるローラ軸38の両端に前ローラ44が取り付けられていること、前ローラ44がガイドレール32に受け入れられて案内されていること、ケース30に回転自在に支持されている下部回転軸34の両端にピニオン37および下部ローラ36が取り付けられていることを観察できる。
【0045】
図7を参照すると、施療体保持ユニット40の前進位置を観察でき、図8を参照すると、施療体保持ユニット40の後退位置を観察できる。
【0046】
図9〜図12を参照すると、施療体保持ユニット40の全体構造および細部の構造を正確に認識することができる。
【0047】
図13は、マッサージ機の背もたれ部22に固定された支持枠26を背面から見た図であり、図14は背もたれ部22内に配置されたマッサージユニット24を上方から見た図である。これらの図から明らかなように、支持枠26は、施療体41を前後方向に通過させる開口27を有している。施療体保持ユニット40の一対のガイドレール32は、支持枠26の開口27の両側縁よりも幅方向外側に位置している。従って、一対のガイドレール32の先端が被施療者に当たることはなく、被施療者に不快感を与えることがない。
【0048】
なお、図14を参照すると、マッサージユニット24の両側部に位置する上部ローラ35が昇降レール23に受け入れられて案内されていること、ラック28が昇降レール23に一体的に固定されていること、およびピニオン37がラック28に噛み合っていることを観察できる。
【0049】
次に、上記構成のマッサージ機の動作を制御するための制御部について説明する。図15は、マッサージ機の駆動制御系を示すブロック図である。
【0050】
図示するように、制御部は、中央処理演算装置(CPU)と、各種プログラムやマッサージコース情報等を記憶したメモリー部と、各種モータ等の制御を行う駆動制御部とを備えており、インターフェースを介して操作部(図1および図16参照)、電源スイッチ等に接続されるととともに、インターフェースを介してマッサージユニット、背もたれ部のリクライニング動作用のモータ、エアバッグ、各種センサ等に接続されている。マッサージユニットは、マッサージユニット昇降動作用のモータ、ロータリエンコーダ、センサ、スイッチおよび施療体保持ユニットを備える。施療体保持ユニットは、揉み玉等の施療子の揉み動作用のモータ、叩き動作用のモータ、前後進動作用の進退モータを含む。
【0051】
図16は、操作部25を示す。操作部25は、液晶表示部を備えるとともに、各種のボタンを有している。本実施形態に係る操作部25の特徴的な点は、一時停止/再開ボタンを有していることである。
【0052】
本発明の実施形態に係るマッサージ機は、被施療者の体形を検出するための体形検出手段を備える。体形検出手段は、好ましくは、被施療者の背中のラインを検出するとともに、被施療者の肩の上下方向位置を検出する。本発明の実施形態に係る制御部は、以下に記載する動作を実現し得るように設計されている。
【0053】
本発明の実施形態に係る体形検出手段の特徴は、施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にある間は、施療体を被施療者に当接させた状態のままでケースを上方または下方に動かして被施療者の位置を線で認識することにある。この動作を実現するために、好ましくは、体形検出手段は、施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にあるか否かを検知する当接範囲検知手段と、施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にある間は、施療体を被施療者に当接させた状態のままでケースを上昇または下降させるように制御する上下方向移動制御手段と、施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲から外れたことを検知したのに応じて、施療体保持ユニットを前進または後退させるとともにケースを所定量上昇または下降させるように制御する次動作準備手段とを備える。当接範囲検知手段は、例えば、施療体動作用モータを駆動して施療体の叩き動作または揉み動作を行いながら、施療体動作用モータの負荷の変化を捉えて施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にあるか否かを検知する。上記の構成を備える体形検出手段は、好ましくは、ケースの上昇または下降動作、施療体保持ユニットの前進または後退動作、ケースの上昇または下降動作および施療体保持ユニットの後退または前進動作を順次繰り返すことにより、被施療者の体形を上下方向に位置する複数の線で検出する。
【0054】
また、好ましい実施形態に係る体形検出手段は、被施療者の肩の位置を検出するために、施療体保持ユニットの前進限界位置を検知する前進限界位置検知手段と、前進限界位置を検知したことに応じて、施療体が被施療者に当接するまでケースを下降させる下降制御手段と、施療体が被施療者に当接した位置を被施療者の肩の位置として記憶する肩位置記憶手段とを備える。前進限界位置の一つの例は、前回の当接検知位置よりも所定量前進させた位置であり、この場合には、下降制御手段は、施療体保持ユニットが前回当接位置よりも所定量前進しても当接しないことを検出したのに応じて、施療体が被施療者に当接するまでケースを下降させる。好ましい実施形態では、体形検出手段は、施療体を被施療者の座面近傍位置を起点として上昇させながら被施療者の背中のラインを検出し、引き続いて被施療者の肩の位置を検出する。
【0055】
図17は、本発明の実施形態に係るマッサージ機における体形検出および肩位置検出動作を示すフローチャートである。また、図18は、被施療者の体形に、測定後の位置認識線を付加した図である。これらの図を参照して、被施療者の体形検出および肩位置検出を如何に行っているかを詳細に説明する。
【0056】
まず、検出動作を開始するのに先立ち、施療体保持ユニットを被施療者から最も離れた位置(後退基準位置)にまで後退させる(ステップ1)。既に、施療体保持ユニットが後退基準位置にあるのであれば、後退動作を行わない。図18において、後退基準位置は、z0のライン上にある。
【0057】
上記のステップ1の後に、またはステップ1の前に、あるいはステップ1と同時に、マッサージユニットを座面近傍の高さである下部の基準位置(下部基準位置)にまで下降させる(ステップ2)。既に、マッサージユニットが下部基準位置にあるのであれば、その位置を確認するだけであり、下降動作を行わない。図18において、下部基準位置は、y0のライン上にある。
【0058】
ステップ3において、施療体保持ユニットが後退基準位置にあるか否かをチェックし、後退基準位置になければ施療体保持ユニットを後退基準位置にまで後退させる。体形検出動作は、マッサージユニットが図18におけるy0のライン上の下部基準位置、施療体保持ユニットがz0のライン上の後退基準位置にあることを確認してから開始される。
【0059】
まず、マッサージユニットを所定量上昇させる(ステップ4)。上昇後のマッサージユニットは、図18のy1のライン上にある。この段階では、施療体保持ユニットの施療体はまだ被施療者に当接していない。
【0060】
次に、ステップ5において、施療体保持ユニットを被施療者に近づけるように前進させる。
【0061】
ステップ6において、施療体保持ユニットの施療体が被施療者に当接したか否かを検知する。当接検知手段として種々のセンサまたは回路構成を用いることが可能である。一つの実施形態では、施療体の叩き動作用のモータまたは揉み動作用のモータの電流値の増減を監視する方法を用いる。
【0062】
ステップ6で施療体が被施療者に当接したことを検知したら、その当接位置におけるマッサージユニットの高さynおよび施療体保持ユニットの前進量znを記憶する(ステップ7)。
【0063】
次に、施療体を被施療者に当接させた状態のままで、マッサージユニットを上昇させる(ステップ8)。このとき、施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にある間はマッサージユニットの上昇を継続させる。所定の当接関係の範囲内にあるか否かは、例えば、叩き動作用のモータまたは揉み動作用のモータの電流値が所定の範囲内にあるか否かによって判別する。被施療者の背中のラインの凹凸が小さければ、施療体と被施療者とは所定の当接関係の範囲内にある。逆に、背中のラインの凹凸が大きくなると、施療体と被施療者とは所定の当接関係の範囲から外れることになる。
【0064】
ステップ9において施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲から外れたことが検出されると、その位置のマッサージユニットの高さy2(図18参照)を記憶する(ステップ10)。こうして、1回目の検出動作を終了すると、被施療者の体形の下端の計測個所の位置を、図18に示すy1−y2の線で認識する。
【0065】
引き続き、ステップ3に戻り、施療体保持ユニットを後退基準位置まで後退させる。そして、マッサージユニットを所定量上昇させた後に、上記と同じ検出動作を行う。こうして2回目の検出動作を終了すると、被施療者の体形の2つ目の計測個所の位置を、図18に示すy3−y4の線で認識する。この動作を繰り返すことにより、被施療者の背中全体の体形ラインを複数の線で認識する。
【0066】
ステップ6において、施療体が被施療者に当接したことが検知されなかったときには、ステップ11の動作に移る。すなわち、施療体保持ユニットが被施療者に当接することなく前進限界位置に到達したことが検知されると、マッサージユニットを下降させる(ステップ12)。マッサージユニットが下降して被施療者の肩に当接したとき、その位置におけるマッサージユニットの高さを記憶する(ステップ13およびステップ14)。この肩の記憶位置が、図18におけるysの位置である。
【0067】
上記の体形検出動作および肩位置検出動作が終了すると、マッサージ機は、指定されたプログラムコースに従ってマッサージ動作を行う。
【0068】
本発明の一実施形態に係るマッサージ機は、所定のプログラムコースでマッサージ動作を行っている途中で、その動作を中断し、さらに途中から中断後の動作を再開させるためのプログラム動作制御手段をさらに備えている。中断および再開の指令は、図16に示す操作部25の一時停止/再開ボタンを押すことによって発せられる。
【0069】
図19は、マッサージ動作の中断および再開の制御のフローチャートである。プログラム動作制御手段は、一時停止指令を検知したことに応じて、ケースおよび施療体保持ユニットをプログラム途中の所定の待機位置にまで移動させる待機動作制御手段と、動作再開指令を検知したことに応じて、待機位置にあるケースおよび施療体保持ユニットをプログラム途中の段階から再開動作させる再開動作制御手段とを備える。
【0070】
図19のステップ20において、所定のプログラムコースに従ったマッサージ動作を受けている被施療者が一時停止/再開ボタンを押すと、一時停止指令信号として検知される。この一時停止指令信号の検知に応じて、その時点でのマッサージプログラムの進行状態を記憶し(ステップ21)、マッサージ動作を中断する(ステップ22)。その後、マッサージユニットおよび施療体保持ユニットをプログラム途中の所定の待機位置まで移動させ(ステップ23)、マッサージ機の動きを停止する(ステップ24)。マッサージユニットおよび施療体保持ユニットを所定の待機位置にまで戻すのは、被施療者の離席時および着席時に被施療者に無理な姿勢を強いることがないようにするためであり、または不快な圧迫感等を与えないようにするためである。ほとんどの場合、再開時、体形検出動作からスタートするため、待機位置は体形検出の基準位置となる。
【0071】
その後、離席していた被施療者が戻ってきて、マッサージ機に着座し、一時停止/再開ボタンを押すと、動作再開指令信号として検知される(ステップ30)。動作再開指令信号を検知したのに応じて、一時停止した時点の進行マッサージプログラムからのマッサージ動作を再開してもよいが(ステップ32)、好ましい実施形態としてとしては、ステップ30とステップ32との間に、被施療者の体形および肩位置の検出動作を行う(ステップ31)。プログラムコースを途中の段階から再開させる場合、被施療者の着座位置が変化していることもあるので、体形検出動作および肩位置検出動作を行った後に中断後のプログラムコースを再開するようにするのが望ましい。
【0072】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して例示的に説明したが、この発明は、ここに記載した実施形態に限定されるものではなく、この発明の均等の範囲内で種々の修正や変更がなされ得るものであることを理解すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0073】
この発明は、構造がシンプルなマッサージ機として有利に利用され得る。
【符号の説明】
【0074】
1 機械本体ユニット(ケース)、2 マッサージユニット、3 施療体、3a 揉み玉、3b 揺動アーム、3c ロッド、3d 揺動支点、4 揉み軸、5 ラック、6 ピニオン軸、7 ピニオン、8 かさ歯車、9 かさ歯車、10 シャフト、20 マッサージ機、21 座部、22 背もたれ部、23 昇降レール、24 マッサージユニット、25 操作部、26 支持枠、27 開口、28 ラック、30 ケース、31 ラック、32 ガイドレール、33 上部回転軸、34 下部回転軸、35 上部ローラ、36 下部ローラ、37 ピニオン、38 ローラ軸、39 ピニオン軸、40 施療体保持ユニット、41 施療体、42 力点、43 ピニオン、44 前ローラ、45 後ローラ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施療体によって被施療者をマッサージするマッサージ機であって、
被施療者を背後から支持する支持体と、
前記支持体に沿って昇降可能に設けられたケースと、
前記施療体を保持して前記ケース内を前後方向に移動し得るように配置された施療体保持ユニットと、
前記施療体保持ユニットを前後方向に移動させる前後進駆動機構とを備え、
前記前後進駆動機構は、
前記施療体保持ユニットの両側部に位置し、幅方向に延びるピニオン軸を介して施療体保持ユニットに回転可能に支持された一対のピニオンと、
前記施療体保持ユニットの両側部に位置し、施療体保持ユニットに回転自在に支持された一対の転動体と、
前記一対のピニオンに噛み合う歯を持って前後方向に延在し、前記ケースに固定された一対のラックと、
前記一対の転動体を受け入れて案内するように前後方向に延び、前記ケースに固定された一対のガイドレールとを含む、マッサージ機。
【請求項2】
前記各転動体は、前後方向に離れて位置する前ローラおよび後ローラを含む、請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記前後のローラの中心点間の距離をSとし、前記前後のローラの中心点を通る軸線の位置から前記施療体の力点までの高さをHとすると、S>Hの関係を満足する、請求項1または2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記前後のローラのうちの一方のローラは、前記ピニオン軸に支持されている、請求項2または3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記支持体は、前記施療体を前後方向に通過させる開口を有しており、
前記一対のガイドレールは、前記開口の両側縁よりも幅方向外側に位置している、請求項1〜4のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項6】
被施療者の体形を検出するための体形検出手段をさらに備え、
前記体形検出手段は、前記施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にある間は、前記施療体を被施療者に当接させた状態のままで前記ケースを上方または下方に動かして被施療者の位置を線で認識するものである、請求項1〜5のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記体形検出手段は、
前記施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にあるか否かを検知する当接範囲検知手段と、
前記施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にある間は、前記施療体を被施療者に当接させた状態のままで前記ケースを上昇または下降させるように制御する上下方向移動制御手段と、
前記施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲から外れたことを検知したのに応じて、前記施療体保持ユニットを前進または後退させるとともに前記ケースを所定量上昇または下降させるように制御する次動作準備手段とを備える、請求項6に記載のマッサージ機。
【請求項8】
前記当接範囲検知手段は、施療体動作用モータを駆動して前記施療体の叩き動作または揉み動作を行いながら、前記施療体動作用モータの負荷の変化を捉えて施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にあるか否かを検知する、請求項7に記載のマッサージ機。
【請求項9】
前記体形検出手段は、前記ケースの上昇または下降動作、前記施療体保持ユニットの前進または後退動作、前記ケースの上昇または下降動作および前記施療体保持ユニットの後退または前進動作を順次繰り返して行うことにより、被施療者の体形を上下方向に位置する複数の線で検出する、請求項6〜8のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項10】
前記体形検出手段は、
前記施療体保持ユニットの前進限界位置を検知する前進限界位置検知手段と、
前記前進限界位置を検知したことに応じて、前記施療体が被施療者に当接するまで前記ケースを下降させる下降制御手段と、
前記施療体が被施療者に当接した位置を被施療者の肩の位置として記憶する肩位置記憶手段とを備える、請求項6〜9のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項11】
前記前進限界位置は、前回の当接検知位置よりも所定量前進させた位置であり、
前記下降制御手段は、前記施療体保持ユニットが前回当接位置よりも所定量前進しても当接しないことを検出したのに応じて、前記施療体が被施療者に当接するまで前記ケースを下降させる、請求項10に記載のマッサージ機。
【請求項12】
前記体形検出手段は、前記施療体を被施療者の座面近傍位置を起点として上昇させながら被施療者の背中のラインを検出し、引き続いて被施療者の肩の位置を検出する、請求項10または11に記載のマッサージ機。
【請求項13】
所定のプログラムコースでマッサージ動作を行っているマッサージ機をマッサージ動作の途中で中断し、さらに中断したマッサージ動作の途中段階から再開させるためのプログラム動作制御手段をさらに備える、請求項1〜12のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項14】
前記プログラム動作制御手段は、
一時停止指令を検知したことに応じて、前記ケースおよび前記施療体保持ユニットをプログラム途中の所定の待機位置にまで移動させる待機動作制御手段と、
動作再開指令を検知したことに応じて、前記待機位置にある前記ケースおよび前記施療体保持ユニットをプログラム途中の段階から再開動作させる再開動作制御手段とを備える、請求項13に記載のマッサージ機。
【請求項1】
施療体によって被施療者をマッサージするマッサージ機であって、
被施療者を背後から支持する支持体と、
前記支持体に沿って昇降可能に設けられたケースと、
前記施療体を保持して前記ケース内を前後方向に移動し得るように配置された施療体保持ユニットと、
前記施療体保持ユニットを前後方向に移動させる前後進駆動機構とを備え、
前記前後進駆動機構は、
前記施療体保持ユニットの両側部に位置し、幅方向に延びるピニオン軸を介して施療体保持ユニットに回転可能に支持された一対のピニオンと、
前記施療体保持ユニットの両側部に位置し、施療体保持ユニットに回転自在に支持された一対の転動体と、
前記一対のピニオンに噛み合う歯を持って前後方向に延在し、前記ケースに固定された一対のラックと、
前記一対の転動体を受け入れて案内するように前後方向に延び、前記ケースに固定された一対のガイドレールとを含む、マッサージ機。
【請求項2】
前記各転動体は、前後方向に離れて位置する前ローラおよび後ローラを含む、請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記前後のローラの中心点間の距離をSとし、前記前後のローラの中心点を通る軸線の位置から前記施療体の力点までの高さをHとすると、S>Hの関係を満足する、請求項1または2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記前後のローラのうちの一方のローラは、前記ピニオン軸に支持されている、請求項2または3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記支持体は、前記施療体を前後方向に通過させる開口を有しており、
前記一対のガイドレールは、前記開口の両側縁よりも幅方向外側に位置している、請求項1〜4のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項6】
被施療者の体形を検出するための体形検出手段をさらに備え、
前記体形検出手段は、前記施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にある間は、前記施療体を被施療者に当接させた状態のままで前記ケースを上方または下方に動かして被施療者の位置を線で認識するものである、請求項1〜5のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記体形検出手段は、
前記施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にあるか否かを検知する当接範囲検知手段と、
前記施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にある間は、前記施療体を被施療者に当接させた状態のままで前記ケースを上昇または下降させるように制御する上下方向移動制御手段と、
前記施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲から外れたことを検知したのに応じて、前記施療体保持ユニットを前進または後退させるとともに前記ケースを所定量上昇または下降させるように制御する次動作準備手段とを備える、請求項6に記載のマッサージ機。
【請求項8】
前記当接範囲検知手段は、施療体動作用モータを駆動して前記施療体の叩き動作または揉み動作を行いながら、前記施療体動作用モータの負荷の変化を捉えて施療体と被施療者とが所定の当接関係の範囲内にあるか否かを検知する、請求項7に記載のマッサージ機。
【請求項9】
前記体形検出手段は、前記ケースの上昇または下降動作、前記施療体保持ユニットの前進または後退動作、前記ケースの上昇または下降動作および前記施療体保持ユニットの後退または前進動作を順次繰り返して行うことにより、被施療者の体形を上下方向に位置する複数の線で検出する、請求項6〜8のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項10】
前記体形検出手段は、
前記施療体保持ユニットの前進限界位置を検知する前進限界位置検知手段と、
前記前進限界位置を検知したことに応じて、前記施療体が被施療者に当接するまで前記ケースを下降させる下降制御手段と、
前記施療体が被施療者に当接した位置を被施療者の肩の位置として記憶する肩位置記憶手段とを備える、請求項6〜9のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項11】
前記前進限界位置は、前回の当接検知位置よりも所定量前進させた位置であり、
前記下降制御手段は、前記施療体保持ユニットが前回当接位置よりも所定量前進しても当接しないことを検出したのに応じて、前記施療体が被施療者に当接するまで前記ケースを下降させる、請求項10に記載のマッサージ機。
【請求項12】
前記体形検出手段は、前記施療体を被施療者の座面近傍位置を起点として上昇させながら被施療者の背中のラインを検出し、引き続いて被施療者の肩の位置を検出する、請求項10または11に記載のマッサージ機。
【請求項13】
所定のプログラムコースでマッサージ動作を行っているマッサージ機をマッサージ動作の途中で中断し、さらに中断したマッサージ動作の途中段階から再開させるためのプログラム動作制御手段をさらに備える、請求項1〜12のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項14】
前記プログラム動作制御手段は、
一時停止指令を検知したことに応じて、前記ケースおよび前記施療体保持ユニットをプログラム途中の所定の待機位置にまで移動させる待機動作制御手段と、
動作再開指令を検知したことに応じて、前記待機位置にある前記ケースおよび前記施療体保持ユニットをプログラム途中の段階から再開動作させる再開動作制御手段とを備える、請求項13に記載のマッサージ機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−279589(P2010−279589A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135863(P2009−135863)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(509159447)ジョンソンヘルスケア株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(509159447)ジョンソンヘルスケア株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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