マッサージ機
【課題】オットマンをコンパクトに収納することのできるマッサージ機を提供する。
【解決手段】使用者が着座する座部1と、座部1に着座した使用者の脚部を保持するオットマン2とを具備するマッサージ機である。上記オットマン2は、使用者の脚部のうち下腿部分を保持するための下腿保持面を形成した下腿保持部Aと、使用者の脚部のうち足先部分を保持するための足先保持面を形成した足先保持部Bとを別体に有する。上記オットマン2の収納時には、下腿保持部Aの一部が、足先保持部Bの足先保持面の左右両端側から立設した外壁9間に収まるように設ける。
【解決手段】使用者が着座する座部1と、座部1に着座した使用者の脚部を保持するオットマン2とを具備するマッサージ機である。上記オットマン2は、使用者の脚部のうち下腿部分を保持するための下腿保持面を形成した下腿保持部Aと、使用者の脚部のうち足先部分を保持するための足先保持面を形成した足先保持部Bとを別体に有する。上記オットマン2の収納時には、下腿保持部Aの一部が、足先保持部Bの足先保持面の左右両端側から立設した外壁9間に収まるように設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部とオットマンを備えたマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者に対して着座姿勢のままマッサージを施すことのできるマッサージ機として、使用者が着座する座部と、座部に着座した姿勢にある使用者の下腿部分を保持するオットマンとを備えたものが、従来から利用されている。上記オットマンは使用時以外には邪魔となることも多い。そのため、例えば特許文献1にはオットマンを収納する技術が開示されている。
【0003】
このオットマン収納の技術は図11に示すような技術である。図中の右向き矢印の順に示すように、オットマン2を収納する際には該オットマン2をまず後方に倒し、下腿保持面を上方に向けた姿勢に保持したうえで、座部1下方にまでオットマン2をスライドさせて収納する。
【0004】
しかし、特許文献1に開示される技術は、オットマン2をそのまま倒して収納するだけのものであるから、オットマン2をコンパクトに収納するという点では不十分である。
【特許文献1】特開2007−75590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、オットマンをコンパクトに収納することのできるマッサージ機を提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明は、使用者が着座する座部1と、座部1に着座した使用者の脚部を保持するオットマン2とを具備するマッサージ機である。上記オットマン2は、使用者の脚部のうち下腿部分を保持するための下腿保持面5を形成した下腿保持部Aと、使用者の脚部のうち足先部分を保持するための足先保持面6を形成した足先保持部Bとを別体に有する。上記オットマン2の収納時には、下腿保持部Aの一部が、足先保持部Bの足先保持面6の左右両端側から立設した外壁9間に収まるように設ける。
【0007】
このようにすることで、別体に設けてある下腿保持部Aと足先保持部Bを、下腿保持部Aの一部が足先保持部Bの凹部内に納まる形でコンパクトに収納することができる。
【0008】
本発明のマッサージ機において、オットマン2の収納時には、足先保持部Bがその足先保持面6を後方に向けた姿勢で位置するように設けることが好ましい。このようにすることで、足先保持部Bの外壁9間のスペースに対して下腿保持部Aの前端部を収めることができ、下腿保持部Aの前方を足先保持部Bで蓋をするような形でオットマン2全体をコンパクトにまとめることができる。
【0009】
また、上記オットマン2の収納時には、下腿保持部Aがその下腿保持面5を下方に向けた姿勢で位置するように設けることが好ましい。このようにすることで、使用時に下腿保持面5を前方に向けた姿勢にある下腿保持部Aを、そのまま回転させながら下方後方へと円滑に収納することができる。
【0010】
また、オットマンの収納時には、足先保持部Aと下腿保持部Bがともに座部1下方に収納されることが好ましい。このようにすることで、足先保持部Aと下腿保持部Bとをコンパクトにまとめたオットマン2を、座部1下方に収納して邪魔にならないようにし、またデザイン性も確保することができる。
【0011】
また、足先保持部Bをその収納時の位置から前方にスライド自在に設けるとともに、足先保持部Bの該スライドと連動して下腿保持部Aを回転させる回転駆動手段22を備えることも好ましい。このようにすることで、足先保持部Bのスライドと下腿保持部Aの回転とを連動して行わせ、使用者の体型に応じてオットマン2をフィットさせることができる。
【0012】
更にこのとき、上記オットマン2の収納時において足先保持部B内に収まる下腿保持部Aの先端部分に、凹状の切り欠き部分10を形成してあることも好ましい。このようにすることで、この切り欠き部分10から使用者が足先等を挿入して足先保持部Bを押し込めば、足先保持部Bのスライドと下腿保持部Aの回転とを、同時に且つ容易に実行させることができる。
【0013】
また、足先保持部Bを回転自在に設け、該足先保持部Bに対してその爪先側が座部に近づく方向に回転付勢力を与える回転付勢手段24を備えることも好ましい。このようにすることで、使用者が足先保持部Bに足裏を当てて押し込むだけで、足先保持部Bの角度を使用者の足首に好適にフィットさせることができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明は、下腿保持部の一部が足先保持部の凹部内に納まる形でオットマン全体をコンパクトに収納することができ、マッサージ機全体のコンパクト化やデザイン性向上に寄与するという効果を奏する。
【0015】
また請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加えて、下腿保持部の前方を足先保持部で蓋をするような形でオットマン全体をコンパクトにまとめることができ、収納時の外観も更に良好になるという効果を奏する。
【0016】
また請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明の効果に加えて、下腿保持部をそのまま回転させながら下方後方へと円滑に収納することができるという効果を奏する。
【0017】
また請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、不使用時にはオットマンを座部下方に収納して隠すことができ、このときのオットマンはコンパクト化されているため、座部下方に形成する収納スペースもコンパクト化できるという効果を奏する。
【0018】
また請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、使用者が大柄や小柄の体型であっても、その体型に応じてオットマン全体を脚部にフィットさせることができるという効果を奏する。
【0019】
また請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明の効果に加えて、切り欠き部分を通じて足先保持部を押し込むことで、足先保持部のスライドと下腿保持部の回転とを、同時に且つ容易に実行させることができるという効果を奏する。
【0020】
また請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、足裏で押し込むだけで、足先保持部の角度を使用者の足首に好適にフィットさせることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。図1〜図4には本発明の実施形態における一例のマッサージ機の外観を示しており、図5〜図10には、一例のマッサージ機のフレーム構造を示している。以下、まず図1〜図4に示す一例のマッサージ機の基本的な構成やその挙動について説明し、次いで、図5〜図10に示す特徴部分の具体的な構造について詳述する。
【0022】
図1〜図4に示すように、一例のマッサージ機は椅子型(ソファー型)のものであって、使用者(図示せず)が着座する座部1と、座部1に着座した姿勢にある使用者の左右両脚部を保持するオットマン2と、着座姿勢にある使用者が背中をもたれ掛ける背もたれ部3と、着座姿勢にある使用者が肘先部分を置くことのできる左右の肘かけ部4とを備えている。本文中で用いる前後、左右等の各方向は、着座姿勢にある使用者からみた方向を基準とする。
【0023】
一例のマッサージ機には、着座姿勢にある使用者にマッサージを施すための施療手段が備えてある。上記施療手段は図示していないが、例えば背もたれ部3に配置した施療子等を駆動させて使用者の肩、背、腰等にマッサージを施す構造のものや、座部1に配置したエアバッグ等を駆動させて使用者の臀部にマッサージを施す構造のものや、オットマン2に配置したエアバッグ等を駆動させて使用者の脚部にマッサージを施す構造のものが、好適に用いられる。勿論、他の構造の施療手段を備えてもよい。
【0024】
本発明において上記オットマン2は、使用者の脚部のうち、下腿部分を保持するための下腿保持面5を有する下腿保持部Aと、足先部分を保持するための足先保持面6を有する足先保持部Bとを、別体に設けたものである。ここでの「下腿部分」は膝から足首までの部分を意味し、「足先部分」は足首から先の部分を意味する。
【0025】
図4に示すように、下腿保持部Aは、下腿部分の裏側(ふくらはぎ)が当たる下腿保持面5を左右に一対設けたものである。下腿保持部Aにおいて左右の下腿保持面5に挟まれる部分からは隔壁7を立設し、左右の下腿保持面5の外方の端部からはそれぞれ外壁8を立設している。隔壁7と外壁8はともに下腿保持面5の向く方向に立設している。したがって、隔壁7と外壁8とに挟まれる下腿保持面5は、下腿保持部Aに設けた左右一対の凹溝の底面のような形状となっている。言い換えると、下腿保持部Aは全体として、下腿保持面5を有する基板部分から隔壁7と外壁8をE字状に立設した外形となっている。
【0026】
また、下腿保持部Aにおいて、図4に示すように使用時に上端側となる部分には、左右一対の切り欠き部分10を凹状に形成してある。切り欠き部分10は、左右の下腿保持面5の上端側を切り欠くように設けており、切り欠き部分10を設けたことで、隔壁7や外壁8に比べて下腿保持面5の上端の位置を低くしている。
【0027】
足先保持部Bは、左右両側の足先部分の足裏が当たるように足先保持面6を設け、該足先保持面6の左右両端側から外壁9を立設したものである。外壁9は足先保持面6が向く方向に立設しており、足先保持部B全体としては、下腿保持面5を有する基板部分から外壁9をコ字状に立設した外形となっている。
【0028】
上記構成の下腿保持部Aと足先保持部Bから成るオットマン2は、下腿保持部Aの一部(使用時に上端側となる部分)が、足先保持部Bの左右の外壁9間に収まり、コンパクト化された状態(以下「収納状態」という。)で、座部1の下方空間内に収納される。
【0029】
図1(a)や図2には、オットマン2を収納状態で座部1下方に隠した様子を示しており、図1(b)や図3には、上記収納状態のままオットマン2を前方に所定距離dだけ押し出した様子を示している。図3等に示すように、上記収納状態において、下腿保持部Aはその下腿保持面5を下方に向けた姿勢(以下「下向き姿勢」という)で位置し、足先保持部Bはその足先保持面6を後方に向けた姿勢(以下「後ろ向き姿勢」という)で位置する。そして、この下向き姿勢にある下腿保持部Aの前端部分(使用時に上端側となる部分)を、足先保持部Bの左右の外壁9間に収めることで、全体をコンパクト化している。
【0030】
上記収納状態において、下腿保持部Aの切り欠き部分10は該下腿保持部Aの前端部分に位置し、足先保持部Bの両外壁9間に下腿保持部Aの切り欠き部分10が位置する配置となる。したがって、上記収納状態のままオットマン2を前方に所定距離dだけ押し出すと、図3に示すように切り欠き部分10が外部に露出することとなる。
【0031】
そして、図3に示す状態からオットマン2全体を更に前方へと押し出すと、足先保持部Bはそのまま前方にスライド移動するのに対して、下腿保持部Aは、前方へのスライドを途中で規制されるとともに先端部分を上方に持ち上げるように回転し始める(図1(c)中の矢印a参照)。下腿保持部Aは、その下腿保持面5が前斜め上方に向く姿勢(以下「最大回転姿勢」という)となるまで、足先保持部Bとは独立して回転可能である。下腿保持部Aは、最大回転姿勢となった時点で、図1(c)や図4に示すように、その上端部を座部1上面に対して最も近接させる。この最大回転姿勢もしくは該最大回転姿勢の近傍に下腿保持部Aがあるときに、使用者の左右の下腿部分を下腿保持部Aの溝部内に嵌め込み、更に左右の足先部分を足先保持部B上に乗せることで、オットマン2を使用する。
【0032】
なお、本例のオットマン2においては下腿保持部Aに限らず、足先保持部Bについても独立に回転可能である。足先保持部Bは、その爪先側を前方に倒すように回転させることができ(図1(c)の矢印b参照)、足先保持面6を後方に向けた後ろ向き姿勢と、足先保持面6を上方に向けた姿勢(以下「上向き姿勢」という)との間で回転自在になっている。なお、足先保持部Bに対しては、該足先保持部Bの爪先側が座部1に近づく方向に回転付勢力を与えてあるので、外力を付与しない場合には足先保持部Bは後ろ向き姿勢に維持される。
【0033】
オットマン2を収納させる場合には、オットマン2を座部1下方から引き出す際とは逆の手順による。すなわち、図1(c)や図4に示す使用状態から下腿保持部Aおよび足先保持部Bを後方にスライドさせていくと、最大回転姿勢あるいは該最大回転姿勢の近傍にあった下腿保持部Aが先端部分を前方に倒すように回転し始める。下腿保持部Aが下向き姿勢にまで回転すると、この時点で、下腿保持部Aは図1(b)や図3に示すように足先保持部Bと一部嵌合した収納状態に至り、この収納状態のまま後方にスライドすることで、座部1の下方に収納される。
【0034】
以上、オットマン2を形成する下腿保持部Aおよび足先保持部Bの基本的な形状および挙動について述べた。以下においては、上記挙動を行うように下腿保持部Aおよび足先保持部Bを支持する収納支持機構27について、図5〜図10に基づいて更に詳述する。
【0035】
図5、図7にはマッサージ機全体のフレーム構造を示している。図5に示す状態は、オットマン2を収納状態で座部1下方に収納させた状態であり、図7に示す状態は、オットマン2を最も前方にスライドさせて下腿保持部Aを最大回転姿勢にまで回転させた状態である。図示のように、座部1を成す座フレーム11は、その前後左右から下方に向けて延設された支持脚12を有している。また、上記座フレーム11に対して、背もたれ部3を成す背もたれフレーム13を連結させて設けている。
【0036】
そして、下腿保持部Aおよび足先保持部Bを支持する収納支持機構27として、オットマン2全体を支持するスライドフレーム14を支持脚12に対して前後スライド自在に連結させ、該スライドフレーム14に対して下腿保持部Aおよび足先保持部Bを左右軸中心に回転自在に連結させている。したがって、下腿保持部Aおよび足先保持部Bは共に座部1に対して前後スライド自在であり、且つ、互いに独立して回転自在である。更に、上記収納支持機構27は、下腿保持部Aおよび足先保持部Bの前方へのスライドと連動して該下腿保持部Aを回転させる後述の回転駆動手段22を備えている。
【0037】
スライドフレーム14を座部1に対してスライド自在に連結させる機構は、図9に示すようなレール部材15とコロ部材16とから成る。レール部材15は左右で一対を成すように支持脚12に固定したものであり、コロ部材16はスライドフレーム14の左右両側に二つずつ設けたものである。各コロ部材16は、対応するレール部材15内に転動自在に配置される。
【0038】
下腿保持部Aを成す下腿保持フレーム17は、スライドフレーム14の前側部分から上方に延設した左右一対の支持柱18に対して、回転軸19を中心として回動自在に連結される。この下腿保持部A用の回転軸19は、左右方向を軸方向とするように支持柱18の上端部に設けたものである。また、足先保持部Bを成す足先保持フレーム26は、スライドフレーム14の前端部分から前方に延設した左右一対の支持柱20に対して、回転軸21を中心として回動自在に連結される。この足先保持部B用の回転軸21は、左右方向を軸方向とするように支持柱20の前端部に設けたものである。なお、下腿保持部A用の支持柱18と足先保持部B用の支持柱20とでは、足先保持部B用の支持柱20の方が前方に位置するように設けている。そのため、下腿保持部A用の回転軸19に対して、足先保持部B用の回転軸21が前斜め下方に位置するようになっている。
【0039】
下腿保持部Aは、特に外力が作用しない場合には下向き姿勢を維持するようにその全体の重心の位置を設置している。この下腿保持部Aを下向き姿勢から回転させるための回転駆動手段22は、座フレーム11と下腿保持フレーム17とをつなぐように配置した連結部材23である。連結部材23は、可撓性を有する紐状の部材から成る。
【0040】
下腿保持フレーム17に対して連結部材23の一端側が固定される箇所は、下腿保持部Aが下向き姿勢にあるときの下腿保持フレーム17において、回転軸19よりも前側となる箇所である(図6参照)。また、連結部材23の一端側が下腿保持フレーム17に固定される箇所は、連結部材23の他端側が座フレーム11に固定される箇所と比較して前斜め下方に位置するように設けている。
【0041】
オットマン2が座部1下方に収納されるときには、連結部材23は撓んだ状態にあり、オットマン2全体が所定距離dだけ突出するようにスライドフレーム14を前方に押し出した時点で、連結部材23は前後方向に張った状態になる。ここで更にスライドフレーム14を押し出すと、連結部材23に働く張力が下腿保持フレーム17(即ち下腿保持部A全体)を回転させるように働く。そして、スライドフレーム14を最も前方にまで押し出した時点で、下腿保持部Aは最大回転姿勢に至る(図7、図8参照)。
【0042】
足先保持部Bには、該足先保持部Bに対して回転付勢力を与える回転付勢手段24として、回転軸21にねじりバネ25を配置している。このねじりバネ25は、足先保持フレーム26(即ち足先保持部B全体)に対して、その爪先側を座部1に近ける方向に回転付勢力を与えるものである。したがって、足先保持部Bが有する足先保持面6を足裏で押し込むと、該足先保持部Bは爪先側を前方に倒すように回転し、足裏の押し込みを戻せば、これに伴って足先保持部Bは爪先側を起こすように復帰する。
【0043】
更に、一例のマッサージ機は、座部1下方の収納位置に上記オットマン2を仮固定するためのロック機構30と、該ロック機構30による仮固定を解除する解除機構31と、上記オットマン2を収納位置から所定距離dだけ前方に押し出すための付勢手段32とを備えている。
【0044】
ロック機構30は、座フレーム11と連結するレール部材15側に設けてあるストッパ33と、オットマン2と連結するスライドフレーム14側に固定してあるストッパ受け34とから成る。ストッパ33は、揺動アーム35を介してレール部材15に取り付けられており、揺動アーム35の揺動によって、ストッパ受け34に当たる下方位置と、ストッパ受け34には当たらない上方位置との間で、切替自在になっている。なお、揺動アーム35は、ストッパ33を下方位置に保持するようにバネ付勢されている。
【0045】
解除機構31は、上記揺動アーム35と、座フレーム11に設置されるレバー36と、レバー36および揺動アーム35をつなぐワイヤ37とから成る。レバー36の操作部38を上方に引っ張り上げると、ワイヤ37を介して揺動アーム35が所定方向に揺動し、ストッパ33をストッパ受け34とは当たらない上方位置に移動させる。
【0046】
付勢手段32は、レール部材15とスライドフレーム14との間に介在するコイルバネ39から成る。コイルバネ39は、スライドフレーム14が座部1下方の収納位置にあるときには圧縮状態となって該スライドフレーム14に前方への付勢力を与える。スライドフレーム14が上記所定距離dだけ前方に移動したときに、コイルバネ39の与える付勢力は、スライドフレーム14の前進に対して大きな影響を与えない程度となる。
【0047】
オットマン2が収納位置にあるときには、ストッパ33をストッパ受け34に係合させることでスライドフレーム14の移動を禁止させておく。オットマン2を使用するときには、レバー36を操作してストッパ33を持ち上げ、ストッパ受け34との係合を解除させる。この解除と連動して、コイルバネ39の付勢力によってオットマン2全体を所定距離dだけ前方に突出させることができる。
【0048】
上記構成から成る本例のマッサージ機によれば、以下に述べるようにしてオットマン2をセットして使用し、使用後は手軽に且つコンパクトに収納させておくことができる。
【0049】
まず、使用者は使用に際し、オットマン2を収納させた状態のマッサージ機の座部1上に着座する。座部1の側方からは、レバー36の操作部38と連結した引張り部材40(図2等参照)を露出させており、この引張り部材40を上方に引っ張ることでストッパ33による仮固定を解除し、コイルバネ39の付勢力によってオットマン2全体を所定距離dだけ前方に押し出させる。このとき、下腿保持部Aの先端部分に設けてある切り欠き部分10が図3に示すように露出する。使用者は左右両側の切り欠き部分10を通じて足先部分を上方から挿入し、挿入した足先部分の足裏を、足先保持部Bの足先保持面6に押し当てる。このとき、足先保持部Bは前方に回転し(図1(c)の矢印b参照)、使用者の足首の角度にフィットするように変位する。
【0050】
ここで、使用者がそのまま足裏を前方に押し出すと、スライドフレーム14を介して下腿保持部Aと足先保持部Bは共に前進する。下腿保持部Aについては、途中から連結部材23によって前進を規制されるとととも回転駆動力を付与され、先端部分を上方に持ち上げるように回転してセットされる(図中の矢印a参照)。下腿保持部Aは、座部1の前端部分を迂回するように下方から回転してセットされるので、使用者の脚部に当たることなく、また大きなスペースを要することもなく、使用状態まで円滑にセットされる。
【0051】
下腿保持部Aに設けてある凹状の切り欠き部分10は、使用時には下腿保持部Aの上端側に位置することとなる。この切り欠き部分10によって、使用者のふらはぎ部分が下腿保持部Aに当たって不快感を与えることも防止される。
【0052】
そして、使用者は図4のようにオットマン2をセットした状態で、例えば下腿保持部Aや足先保持部Bに配置したエアバッグ等の適宜の施療手段によって、脚部にマッサージを施すことができる。このとき、使用者の体型に合わせて下腿保持部Aや足先保持部Bの姿勢や位置は容易に変更できるので、使用者がどのような体型であっても良好なマッサージが提供される。
【0053】
例えば、使用者が小柄である場合には、足先保持部Bは最も前方にまでは押し込まれることがなく、更に、足先保持部Bの押し込みに連動して回転する下腿保持部Aについても、最大回転姿勢までは回転されることがない。つまり、足先保持部Bの足先保持面6は座部1に比較的近く、下腿保持部Aの下腿保持面5は大きく後方に傾倒することのない角度に保持される。したがって、小柄な使用者に対しても良好にフィットする。
【0054】
一方、使用者が大柄である場合には、足先保持部Bを最も前方にまで押し込むことで、下腿保持部Aについても最大回転姿勢まで回転させることができる。つまり、足先保持部Bの足先保持面6は座部1から離れて位置させることができ、下腿保持部Aの下腿保持面5は最も大きく後方に傾倒した角度に保持できる。したがって、大柄な使用者に対しても良好にフィットする。
【0055】
オットマン2の使用を終えて収納しようとする場合にも、使用者は脚部のみの操作で、容易に座部1下方に収納させることができる。具体的には、まず使用者が足先保持部Bの足先保持面6から足裏を離し、足先保持部Bを後ろ向き姿勢に復帰させる。ここで、後ろ向き姿勢にある足先保持部Bの前面(即ち、足先保持面6と反対側に形成される平坦面)に対して使用者が自らの脚部の踵側を押し当て、そのまま後方へと足先保持部Bを押し込む。すると、スライドフレーム14と下腿保持部Aは共に後方に押し込まれてゆく。このとき、連結部材23による強制的な回転が解除されることで、下腿保持部Aは自重により回転して下向き姿勢に復帰し、オットマン2全体が図2に示すような収納状態に戻る。
【0056】
ここから更に、コイルバネ39の付勢力に抗しながら踵部分で足先保持部Bを後方に押し込むと、ストッパ33はスライドフレーム14側に設けたストッパ受け44に一旦乗り上げた後に該ストッパ受け44と係合し、座部1下方の収納位置にてオットマン2全体を仮固定させる。座部1下方で仮固定されたオットマン2は、下腿保持部Aの前方に蓋をするように足先保持部Bが位置し、この足先保持部Bの平坦な前面部分のみが前方から視認可能となる。したがって、マッサージ機全体のデザイン性が良好に保持される。
【0057】
なお、上記したマッサージ機において、スライドフレーム14の前後スライドや、下腿保持部Aや足先保持部Bの回転を電動で行う構造としてもよい。また、オットマン2全体が座部1下方に収納されない構造であってもよい。更に、下腿保持部A側を足先保持部B側よりも左右方向に幅広に設け、足先保持部Bの一部(即ち、左右の外壁9)が、下腿保持部Aの左右両端側から立設した外壁8間に収まる構造にしても構わない。その他の構成についても、本発明の主旨を逸脱しない範囲内であれば適宜に設計変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態における一例のマッサージ機の側面図であり、(a)はオットマン収納時、(b)オットマン突出時、(c)はオットマン使用時を示している。
【図2】同上のマッサージ機のオットマン収納時の全体斜視図である。
【図3】同上のマッサージ機のオットマン突出時の要部斜視図である。
【図4】同上のマッサージ機のオットマン使用時の要部斜視図である。
【図5】同上のマッサージ機のオットマン収納時のフレーム構造を示す全体斜視図である。
【図6】同上の要部側面図である。
【図7】同上のマッサージ機のオットマン使用時のフレーム構造を示す全体側面図である。
【図8】同上の要部斜視図である。
【図9】同上のマッサージ機の正面断面図である。
【図10】同上のマッサージ機に備えるロック機構を示す要部斜視図である。
【図11】従来のマッサージ機の説明図である。
【符号の説明】
【0059】
1 座部
2 オットマン
5 下腿保持面
6 足先保持面
9 外壁
10 切り欠き部分
22 回転駆動手段
24 回転付勢手段
A 下腿保持部
B 足先保持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部とオットマンを備えたマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者に対して着座姿勢のままマッサージを施すことのできるマッサージ機として、使用者が着座する座部と、座部に着座した姿勢にある使用者の下腿部分を保持するオットマンとを備えたものが、従来から利用されている。上記オットマンは使用時以外には邪魔となることも多い。そのため、例えば特許文献1にはオットマンを収納する技術が開示されている。
【0003】
このオットマン収納の技術は図11に示すような技術である。図中の右向き矢印の順に示すように、オットマン2を収納する際には該オットマン2をまず後方に倒し、下腿保持面を上方に向けた姿勢に保持したうえで、座部1下方にまでオットマン2をスライドさせて収納する。
【0004】
しかし、特許文献1に開示される技術は、オットマン2をそのまま倒して収納するだけのものであるから、オットマン2をコンパクトに収納するという点では不十分である。
【特許文献1】特開2007−75590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、オットマンをコンパクトに収納することのできるマッサージ機を提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明は、使用者が着座する座部1と、座部1に着座した使用者の脚部を保持するオットマン2とを具備するマッサージ機である。上記オットマン2は、使用者の脚部のうち下腿部分を保持するための下腿保持面5を形成した下腿保持部Aと、使用者の脚部のうち足先部分を保持するための足先保持面6を形成した足先保持部Bとを別体に有する。上記オットマン2の収納時には、下腿保持部Aの一部が、足先保持部Bの足先保持面6の左右両端側から立設した外壁9間に収まるように設ける。
【0007】
このようにすることで、別体に設けてある下腿保持部Aと足先保持部Bを、下腿保持部Aの一部が足先保持部Bの凹部内に納まる形でコンパクトに収納することができる。
【0008】
本発明のマッサージ機において、オットマン2の収納時には、足先保持部Bがその足先保持面6を後方に向けた姿勢で位置するように設けることが好ましい。このようにすることで、足先保持部Bの外壁9間のスペースに対して下腿保持部Aの前端部を収めることができ、下腿保持部Aの前方を足先保持部Bで蓋をするような形でオットマン2全体をコンパクトにまとめることができる。
【0009】
また、上記オットマン2の収納時には、下腿保持部Aがその下腿保持面5を下方に向けた姿勢で位置するように設けることが好ましい。このようにすることで、使用時に下腿保持面5を前方に向けた姿勢にある下腿保持部Aを、そのまま回転させながら下方後方へと円滑に収納することができる。
【0010】
また、オットマンの収納時には、足先保持部Aと下腿保持部Bがともに座部1下方に収納されることが好ましい。このようにすることで、足先保持部Aと下腿保持部Bとをコンパクトにまとめたオットマン2を、座部1下方に収納して邪魔にならないようにし、またデザイン性も確保することができる。
【0011】
また、足先保持部Bをその収納時の位置から前方にスライド自在に設けるとともに、足先保持部Bの該スライドと連動して下腿保持部Aを回転させる回転駆動手段22を備えることも好ましい。このようにすることで、足先保持部Bのスライドと下腿保持部Aの回転とを連動して行わせ、使用者の体型に応じてオットマン2をフィットさせることができる。
【0012】
更にこのとき、上記オットマン2の収納時において足先保持部B内に収まる下腿保持部Aの先端部分に、凹状の切り欠き部分10を形成してあることも好ましい。このようにすることで、この切り欠き部分10から使用者が足先等を挿入して足先保持部Bを押し込めば、足先保持部Bのスライドと下腿保持部Aの回転とを、同時に且つ容易に実行させることができる。
【0013】
また、足先保持部Bを回転自在に設け、該足先保持部Bに対してその爪先側が座部に近づく方向に回転付勢力を与える回転付勢手段24を備えることも好ましい。このようにすることで、使用者が足先保持部Bに足裏を当てて押し込むだけで、足先保持部Bの角度を使用者の足首に好適にフィットさせることができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明は、下腿保持部の一部が足先保持部の凹部内に納まる形でオットマン全体をコンパクトに収納することができ、マッサージ機全体のコンパクト化やデザイン性向上に寄与するという効果を奏する。
【0015】
また請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加えて、下腿保持部の前方を足先保持部で蓋をするような形でオットマン全体をコンパクトにまとめることができ、収納時の外観も更に良好になるという効果を奏する。
【0016】
また請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明の効果に加えて、下腿保持部をそのまま回転させながら下方後方へと円滑に収納することができるという効果を奏する。
【0017】
また請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、不使用時にはオットマンを座部下方に収納して隠すことができ、このときのオットマンはコンパクト化されているため、座部下方に形成する収納スペースもコンパクト化できるという効果を奏する。
【0018】
また請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、使用者が大柄や小柄の体型であっても、その体型に応じてオットマン全体を脚部にフィットさせることができるという効果を奏する。
【0019】
また請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明の効果に加えて、切り欠き部分を通じて足先保持部を押し込むことで、足先保持部のスライドと下腿保持部の回転とを、同時に且つ容易に実行させることができるという効果を奏する。
【0020】
また請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、足裏で押し込むだけで、足先保持部の角度を使用者の足首に好適にフィットさせることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。図1〜図4には本発明の実施形態における一例のマッサージ機の外観を示しており、図5〜図10には、一例のマッサージ機のフレーム構造を示している。以下、まず図1〜図4に示す一例のマッサージ機の基本的な構成やその挙動について説明し、次いで、図5〜図10に示す特徴部分の具体的な構造について詳述する。
【0022】
図1〜図4に示すように、一例のマッサージ機は椅子型(ソファー型)のものであって、使用者(図示せず)が着座する座部1と、座部1に着座した姿勢にある使用者の左右両脚部を保持するオットマン2と、着座姿勢にある使用者が背中をもたれ掛ける背もたれ部3と、着座姿勢にある使用者が肘先部分を置くことのできる左右の肘かけ部4とを備えている。本文中で用いる前後、左右等の各方向は、着座姿勢にある使用者からみた方向を基準とする。
【0023】
一例のマッサージ機には、着座姿勢にある使用者にマッサージを施すための施療手段が備えてある。上記施療手段は図示していないが、例えば背もたれ部3に配置した施療子等を駆動させて使用者の肩、背、腰等にマッサージを施す構造のものや、座部1に配置したエアバッグ等を駆動させて使用者の臀部にマッサージを施す構造のものや、オットマン2に配置したエアバッグ等を駆動させて使用者の脚部にマッサージを施す構造のものが、好適に用いられる。勿論、他の構造の施療手段を備えてもよい。
【0024】
本発明において上記オットマン2は、使用者の脚部のうち、下腿部分を保持するための下腿保持面5を有する下腿保持部Aと、足先部分を保持するための足先保持面6を有する足先保持部Bとを、別体に設けたものである。ここでの「下腿部分」は膝から足首までの部分を意味し、「足先部分」は足首から先の部分を意味する。
【0025】
図4に示すように、下腿保持部Aは、下腿部分の裏側(ふくらはぎ)が当たる下腿保持面5を左右に一対設けたものである。下腿保持部Aにおいて左右の下腿保持面5に挟まれる部分からは隔壁7を立設し、左右の下腿保持面5の外方の端部からはそれぞれ外壁8を立設している。隔壁7と外壁8はともに下腿保持面5の向く方向に立設している。したがって、隔壁7と外壁8とに挟まれる下腿保持面5は、下腿保持部Aに設けた左右一対の凹溝の底面のような形状となっている。言い換えると、下腿保持部Aは全体として、下腿保持面5を有する基板部分から隔壁7と外壁8をE字状に立設した外形となっている。
【0026】
また、下腿保持部Aにおいて、図4に示すように使用時に上端側となる部分には、左右一対の切り欠き部分10を凹状に形成してある。切り欠き部分10は、左右の下腿保持面5の上端側を切り欠くように設けており、切り欠き部分10を設けたことで、隔壁7や外壁8に比べて下腿保持面5の上端の位置を低くしている。
【0027】
足先保持部Bは、左右両側の足先部分の足裏が当たるように足先保持面6を設け、該足先保持面6の左右両端側から外壁9を立設したものである。外壁9は足先保持面6が向く方向に立設しており、足先保持部B全体としては、下腿保持面5を有する基板部分から外壁9をコ字状に立設した外形となっている。
【0028】
上記構成の下腿保持部Aと足先保持部Bから成るオットマン2は、下腿保持部Aの一部(使用時に上端側となる部分)が、足先保持部Bの左右の外壁9間に収まり、コンパクト化された状態(以下「収納状態」という。)で、座部1の下方空間内に収納される。
【0029】
図1(a)や図2には、オットマン2を収納状態で座部1下方に隠した様子を示しており、図1(b)や図3には、上記収納状態のままオットマン2を前方に所定距離dだけ押し出した様子を示している。図3等に示すように、上記収納状態において、下腿保持部Aはその下腿保持面5を下方に向けた姿勢(以下「下向き姿勢」という)で位置し、足先保持部Bはその足先保持面6を後方に向けた姿勢(以下「後ろ向き姿勢」という)で位置する。そして、この下向き姿勢にある下腿保持部Aの前端部分(使用時に上端側となる部分)を、足先保持部Bの左右の外壁9間に収めることで、全体をコンパクト化している。
【0030】
上記収納状態において、下腿保持部Aの切り欠き部分10は該下腿保持部Aの前端部分に位置し、足先保持部Bの両外壁9間に下腿保持部Aの切り欠き部分10が位置する配置となる。したがって、上記収納状態のままオットマン2を前方に所定距離dだけ押し出すと、図3に示すように切り欠き部分10が外部に露出することとなる。
【0031】
そして、図3に示す状態からオットマン2全体を更に前方へと押し出すと、足先保持部Bはそのまま前方にスライド移動するのに対して、下腿保持部Aは、前方へのスライドを途中で規制されるとともに先端部分を上方に持ち上げるように回転し始める(図1(c)中の矢印a参照)。下腿保持部Aは、その下腿保持面5が前斜め上方に向く姿勢(以下「最大回転姿勢」という)となるまで、足先保持部Bとは独立して回転可能である。下腿保持部Aは、最大回転姿勢となった時点で、図1(c)や図4に示すように、その上端部を座部1上面に対して最も近接させる。この最大回転姿勢もしくは該最大回転姿勢の近傍に下腿保持部Aがあるときに、使用者の左右の下腿部分を下腿保持部Aの溝部内に嵌め込み、更に左右の足先部分を足先保持部B上に乗せることで、オットマン2を使用する。
【0032】
なお、本例のオットマン2においては下腿保持部Aに限らず、足先保持部Bについても独立に回転可能である。足先保持部Bは、その爪先側を前方に倒すように回転させることができ(図1(c)の矢印b参照)、足先保持面6を後方に向けた後ろ向き姿勢と、足先保持面6を上方に向けた姿勢(以下「上向き姿勢」という)との間で回転自在になっている。なお、足先保持部Bに対しては、該足先保持部Bの爪先側が座部1に近づく方向に回転付勢力を与えてあるので、外力を付与しない場合には足先保持部Bは後ろ向き姿勢に維持される。
【0033】
オットマン2を収納させる場合には、オットマン2を座部1下方から引き出す際とは逆の手順による。すなわち、図1(c)や図4に示す使用状態から下腿保持部Aおよび足先保持部Bを後方にスライドさせていくと、最大回転姿勢あるいは該最大回転姿勢の近傍にあった下腿保持部Aが先端部分を前方に倒すように回転し始める。下腿保持部Aが下向き姿勢にまで回転すると、この時点で、下腿保持部Aは図1(b)や図3に示すように足先保持部Bと一部嵌合した収納状態に至り、この収納状態のまま後方にスライドすることで、座部1の下方に収納される。
【0034】
以上、オットマン2を形成する下腿保持部Aおよび足先保持部Bの基本的な形状および挙動について述べた。以下においては、上記挙動を行うように下腿保持部Aおよび足先保持部Bを支持する収納支持機構27について、図5〜図10に基づいて更に詳述する。
【0035】
図5、図7にはマッサージ機全体のフレーム構造を示している。図5に示す状態は、オットマン2を収納状態で座部1下方に収納させた状態であり、図7に示す状態は、オットマン2を最も前方にスライドさせて下腿保持部Aを最大回転姿勢にまで回転させた状態である。図示のように、座部1を成す座フレーム11は、その前後左右から下方に向けて延設された支持脚12を有している。また、上記座フレーム11に対して、背もたれ部3を成す背もたれフレーム13を連結させて設けている。
【0036】
そして、下腿保持部Aおよび足先保持部Bを支持する収納支持機構27として、オットマン2全体を支持するスライドフレーム14を支持脚12に対して前後スライド自在に連結させ、該スライドフレーム14に対して下腿保持部Aおよび足先保持部Bを左右軸中心に回転自在に連結させている。したがって、下腿保持部Aおよび足先保持部Bは共に座部1に対して前後スライド自在であり、且つ、互いに独立して回転自在である。更に、上記収納支持機構27は、下腿保持部Aおよび足先保持部Bの前方へのスライドと連動して該下腿保持部Aを回転させる後述の回転駆動手段22を備えている。
【0037】
スライドフレーム14を座部1に対してスライド自在に連結させる機構は、図9に示すようなレール部材15とコロ部材16とから成る。レール部材15は左右で一対を成すように支持脚12に固定したものであり、コロ部材16はスライドフレーム14の左右両側に二つずつ設けたものである。各コロ部材16は、対応するレール部材15内に転動自在に配置される。
【0038】
下腿保持部Aを成す下腿保持フレーム17は、スライドフレーム14の前側部分から上方に延設した左右一対の支持柱18に対して、回転軸19を中心として回動自在に連結される。この下腿保持部A用の回転軸19は、左右方向を軸方向とするように支持柱18の上端部に設けたものである。また、足先保持部Bを成す足先保持フレーム26は、スライドフレーム14の前端部分から前方に延設した左右一対の支持柱20に対して、回転軸21を中心として回動自在に連結される。この足先保持部B用の回転軸21は、左右方向を軸方向とするように支持柱20の前端部に設けたものである。なお、下腿保持部A用の支持柱18と足先保持部B用の支持柱20とでは、足先保持部B用の支持柱20の方が前方に位置するように設けている。そのため、下腿保持部A用の回転軸19に対して、足先保持部B用の回転軸21が前斜め下方に位置するようになっている。
【0039】
下腿保持部Aは、特に外力が作用しない場合には下向き姿勢を維持するようにその全体の重心の位置を設置している。この下腿保持部Aを下向き姿勢から回転させるための回転駆動手段22は、座フレーム11と下腿保持フレーム17とをつなぐように配置した連結部材23である。連結部材23は、可撓性を有する紐状の部材から成る。
【0040】
下腿保持フレーム17に対して連結部材23の一端側が固定される箇所は、下腿保持部Aが下向き姿勢にあるときの下腿保持フレーム17において、回転軸19よりも前側となる箇所である(図6参照)。また、連結部材23の一端側が下腿保持フレーム17に固定される箇所は、連結部材23の他端側が座フレーム11に固定される箇所と比較して前斜め下方に位置するように設けている。
【0041】
オットマン2が座部1下方に収納されるときには、連結部材23は撓んだ状態にあり、オットマン2全体が所定距離dだけ突出するようにスライドフレーム14を前方に押し出した時点で、連結部材23は前後方向に張った状態になる。ここで更にスライドフレーム14を押し出すと、連結部材23に働く張力が下腿保持フレーム17(即ち下腿保持部A全体)を回転させるように働く。そして、スライドフレーム14を最も前方にまで押し出した時点で、下腿保持部Aは最大回転姿勢に至る(図7、図8参照)。
【0042】
足先保持部Bには、該足先保持部Bに対して回転付勢力を与える回転付勢手段24として、回転軸21にねじりバネ25を配置している。このねじりバネ25は、足先保持フレーム26(即ち足先保持部B全体)に対して、その爪先側を座部1に近ける方向に回転付勢力を与えるものである。したがって、足先保持部Bが有する足先保持面6を足裏で押し込むと、該足先保持部Bは爪先側を前方に倒すように回転し、足裏の押し込みを戻せば、これに伴って足先保持部Bは爪先側を起こすように復帰する。
【0043】
更に、一例のマッサージ機は、座部1下方の収納位置に上記オットマン2を仮固定するためのロック機構30と、該ロック機構30による仮固定を解除する解除機構31と、上記オットマン2を収納位置から所定距離dだけ前方に押し出すための付勢手段32とを備えている。
【0044】
ロック機構30は、座フレーム11と連結するレール部材15側に設けてあるストッパ33と、オットマン2と連結するスライドフレーム14側に固定してあるストッパ受け34とから成る。ストッパ33は、揺動アーム35を介してレール部材15に取り付けられており、揺動アーム35の揺動によって、ストッパ受け34に当たる下方位置と、ストッパ受け34には当たらない上方位置との間で、切替自在になっている。なお、揺動アーム35は、ストッパ33を下方位置に保持するようにバネ付勢されている。
【0045】
解除機構31は、上記揺動アーム35と、座フレーム11に設置されるレバー36と、レバー36および揺動アーム35をつなぐワイヤ37とから成る。レバー36の操作部38を上方に引っ張り上げると、ワイヤ37を介して揺動アーム35が所定方向に揺動し、ストッパ33をストッパ受け34とは当たらない上方位置に移動させる。
【0046】
付勢手段32は、レール部材15とスライドフレーム14との間に介在するコイルバネ39から成る。コイルバネ39は、スライドフレーム14が座部1下方の収納位置にあるときには圧縮状態となって該スライドフレーム14に前方への付勢力を与える。スライドフレーム14が上記所定距離dだけ前方に移動したときに、コイルバネ39の与える付勢力は、スライドフレーム14の前進に対して大きな影響を与えない程度となる。
【0047】
オットマン2が収納位置にあるときには、ストッパ33をストッパ受け34に係合させることでスライドフレーム14の移動を禁止させておく。オットマン2を使用するときには、レバー36を操作してストッパ33を持ち上げ、ストッパ受け34との係合を解除させる。この解除と連動して、コイルバネ39の付勢力によってオットマン2全体を所定距離dだけ前方に突出させることができる。
【0048】
上記構成から成る本例のマッサージ機によれば、以下に述べるようにしてオットマン2をセットして使用し、使用後は手軽に且つコンパクトに収納させておくことができる。
【0049】
まず、使用者は使用に際し、オットマン2を収納させた状態のマッサージ機の座部1上に着座する。座部1の側方からは、レバー36の操作部38と連結した引張り部材40(図2等参照)を露出させており、この引張り部材40を上方に引っ張ることでストッパ33による仮固定を解除し、コイルバネ39の付勢力によってオットマン2全体を所定距離dだけ前方に押し出させる。このとき、下腿保持部Aの先端部分に設けてある切り欠き部分10が図3に示すように露出する。使用者は左右両側の切り欠き部分10を通じて足先部分を上方から挿入し、挿入した足先部分の足裏を、足先保持部Bの足先保持面6に押し当てる。このとき、足先保持部Bは前方に回転し(図1(c)の矢印b参照)、使用者の足首の角度にフィットするように変位する。
【0050】
ここで、使用者がそのまま足裏を前方に押し出すと、スライドフレーム14を介して下腿保持部Aと足先保持部Bは共に前進する。下腿保持部Aについては、途中から連結部材23によって前進を規制されるとととも回転駆動力を付与され、先端部分を上方に持ち上げるように回転してセットされる(図中の矢印a参照)。下腿保持部Aは、座部1の前端部分を迂回するように下方から回転してセットされるので、使用者の脚部に当たることなく、また大きなスペースを要することもなく、使用状態まで円滑にセットされる。
【0051】
下腿保持部Aに設けてある凹状の切り欠き部分10は、使用時には下腿保持部Aの上端側に位置することとなる。この切り欠き部分10によって、使用者のふらはぎ部分が下腿保持部Aに当たって不快感を与えることも防止される。
【0052】
そして、使用者は図4のようにオットマン2をセットした状態で、例えば下腿保持部Aや足先保持部Bに配置したエアバッグ等の適宜の施療手段によって、脚部にマッサージを施すことができる。このとき、使用者の体型に合わせて下腿保持部Aや足先保持部Bの姿勢や位置は容易に変更できるので、使用者がどのような体型であっても良好なマッサージが提供される。
【0053】
例えば、使用者が小柄である場合には、足先保持部Bは最も前方にまでは押し込まれることがなく、更に、足先保持部Bの押し込みに連動して回転する下腿保持部Aについても、最大回転姿勢までは回転されることがない。つまり、足先保持部Bの足先保持面6は座部1に比較的近く、下腿保持部Aの下腿保持面5は大きく後方に傾倒することのない角度に保持される。したがって、小柄な使用者に対しても良好にフィットする。
【0054】
一方、使用者が大柄である場合には、足先保持部Bを最も前方にまで押し込むことで、下腿保持部Aについても最大回転姿勢まで回転させることができる。つまり、足先保持部Bの足先保持面6は座部1から離れて位置させることができ、下腿保持部Aの下腿保持面5は最も大きく後方に傾倒した角度に保持できる。したがって、大柄な使用者に対しても良好にフィットする。
【0055】
オットマン2の使用を終えて収納しようとする場合にも、使用者は脚部のみの操作で、容易に座部1下方に収納させることができる。具体的には、まず使用者が足先保持部Bの足先保持面6から足裏を離し、足先保持部Bを後ろ向き姿勢に復帰させる。ここで、後ろ向き姿勢にある足先保持部Bの前面(即ち、足先保持面6と反対側に形成される平坦面)に対して使用者が自らの脚部の踵側を押し当て、そのまま後方へと足先保持部Bを押し込む。すると、スライドフレーム14と下腿保持部Aは共に後方に押し込まれてゆく。このとき、連結部材23による強制的な回転が解除されることで、下腿保持部Aは自重により回転して下向き姿勢に復帰し、オットマン2全体が図2に示すような収納状態に戻る。
【0056】
ここから更に、コイルバネ39の付勢力に抗しながら踵部分で足先保持部Bを後方に押し込むと、ストッパ33はスライドフレーム14側に設けたストッパ受け44に一旦乗り上げた後に該ストッパ受け44と係合し、座部1下方の収納位置にてオットマン2全体を仮固定させる。座部1下方で仮固定されたオットマン2は、下腿保持部Aの前方に蓋をするように足先保持部Bが位置し、この足先保持部Bの平坦な前面部分のみが前方から視認可能となる。したがって、マッサージ機全体のデザイン性が良好に保持される。
【0057】
なお、上記したマッサージ機において、スライドフレーム14の前後スライドや、下腿保持部Aや足先保持部Bの回転を電動で行う構造としてもよい。また、オットマン2全体が座部1下方に収納されない構造であってもよい。更に、下腿保持部A側を足先保持部B側よりも左右方向に幅広に設け、足先保持部Bの一部(即ち、左右の外壁9)が、下腿保持部Aの左右両端側から立設した外壁8間に収まる構造にしても構わない。その他の構成についても、本発明の主旨を逸脱しない範囲内であれば適宜に設計変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態における一例のマッサージ機の側面図であり、(a)はオットマン収納時、(b)オットマン突出時、(c)はオットマン使用時を示している。
【図2】同上のマッサージ機のオットマン収納時の全体斜視図である。
【図3】同上のマッサージ機のオットマン突出時の要部斜視図である。
【図4】同上のマッサージ機のオットマン使用時の要部斜視図である。
【図5】同上のマッサージ機のオットマン収納時のフレーム構造を示す全体斜視図である。
【図6】同上の要部側面図である。
【図7】同上のマッサージ機のオットマン使用時のフレーム構造を示す全体側面図である。
【図8】同上の要部斜視図である。
【図9】同上のマッサージ機の正面断面図である。
【図10】同上のマッサージ機に備えるロック機構を示す要部斜視図である。
【図11】従来のマッサージ機の説明図である。
【符号の説明】
【0059】
1 座部
2 オットマン
5 下腿保持面
6 足先保持面
9 外壁
10 切り欠き部分
22 回転駆動手段
24 回転付勢手段
A 下腿保持部
B 足先保持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座する座部と、座部に着座した使用者の脚部を保持するオットマンとを具備するマッサージ機において、上記オットマンは、使用者の脚部のうち下腿部分を保持するための下腿保持面を形成した下腿保持部と、使用者の脚部のうち足先部分を保持するための足先保持面を形成した足先保持部とを別体に有するものとし、上記オットマンの収納時には、下腿保持部の一部が、足先保持部の足先保持面の左右両端側から立設した外壁間に収まるように設けたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
上記オットマンの収納時には、足先保持部がその足先保持面を後方に向けた姿勢で位置するように設けたことを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項3】
上記オットマンの収納時には、下腿保持部がその下腿保持面を下方に向けた姿勢で位置するように設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のマッサージ機。
【請求項4】
上記オットマンの収納時には、足先保持部と下腿保持部がともに座部下方に収納されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のマッサージ機。
【請求項5】
足先保持部をその収納時の位置から前方にスライド自在に設けるとともに、足先保持部の該スライドと連動して下腿保持部を回転させる回転駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項6】
上記オットマンの収納時において足先保持部内に収まる下腿保持部の先端部分に、凹状の切り欠き部分を形成してあることを特徴とする請求項5に記載のマッサージ機。
【請求項7】
足先保持部を回転自在に設け、該足先保持部に対してその爪先側が座部に近づく方向に回転付勢力を与える回転付勢手段を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項1】
使用者が着座する座部と、座部に着座した使用者の脚部を保持するオットマンとを具備するマッサージ機において、上記オットマンは、使用者の脚部のうち下腿部分を保持するための下腿保持面を形成した下腿保持部と、使用者の脚部のうち足先部分を保持するための足先保持面を形成した足先保持部とを別体に有するものとし、上記オットマンの収納時には、下腿保持部の一部が、足先保持部の足先保持面の左右両端側から立設した外壁間に収まるように設けたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
上記オットマンの収納時には、足先保持部がその足先保持面を後方に向けた姿勢で位置するように設けたことを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項3】
上記オットマンの収納時には、下腿保持部がその下腿保持面を下方に向けた姿勢で位置するように設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のマッサージ機。
【請求項4】
上記オットマンの収納時には、足先保持部と下腿保持部がともに座部下方に収納されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のマッサージ機。
【請求項5】
足先保持部をその収納時の位置から前方にスライド自在に設けるとともに、足先保持部の該スライドと連動して下腿保持部を回転させる回転駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【請求項6】
上記オットマンの収納時において足先保持部内に収まる下腿保持部の先端部分に、凹状の切り欠き部分を形成してあることを特徴とする請求項5に記載のマッサージ機。
【請求項7】
足先保持部を回転自在に設け、該足先保持部に対してその爪先側が座部に近づく方向に回転付勢力を与える回転付勢手段を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のマッサージ機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−75422(P2010−75422A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246908(P2008−246908)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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