説明

マッサージ機

【課題】使用者の体格を問わずに使用することができる上に全高を低く抑えることができるものとする。
【解決手段】マッサージ機構14を背もたれ1内に配した椅子型のマッサージ機である。背もたれ1は腰サポート部分が湾曲して背もたれ1前面と座部2の上面とが曲線で連続する形状となっている。座部と背もたれの境界がなく、使用者の着座位置がずれても背もたれに背を預けた時、背もたれ前面に背から腰にかけてを密着させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機、殊に椅子型のマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
椅子の背もたれ部分にマッサージ機構を内蔵した椅子型のマッサージ機は従来から各種のものが提供されているが、この種のマッサージ機では、従来、座部と背もたれ部とが明確に分けられており、使用者は座部の座面上に座って背もたれに背を預けると、背もたれに内蔵されたマッサージ機構が使用者の背面の肩から腰までをマッサージするものとなっている。
【0003】
そして従来の椅子型のマッサージ機では、背もたれのフレームがほぼ直線状に形成されており、使用者は背筋を伸ばした状態で座部に深く座ることで、肩部から腰部までが背もたれ前面に接するとともに、背もたれに内蔵されたマッサージ機構によるマッサージが使用者の肩部から腰部までのマッサージを行うことができるものとなっている。
【0004】
この場合、背もたれは想定される長身長の使用者の体格に合わせた長さを持つものとしなくてはならず、どうしても椅子の全高が大きくなってしまい、これに伴って部屋の中での存在感が大きくなりすぎて圧迫感のある存在となるとともに美観も損ねやすいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−092973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、使用者の体格を問わずに使用することができる上に全高を低く抑えることができるマッサージ機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係るマッサージ機は、マッサージ機構を背もたれ内に配した椅子型のマッサージ機であり、上記背もたれは腰サポート部分が湾曲して背もたれ前面と座部の上面とが曲線で連続する形状となっていることに特徴を有している。
【0008】
座部と背もたれの境界がなく、使用者の着座位置がずれても背もたれに背を預けた時、背もたれ前面に背から腰にかけてを密着させることができる。
【0009】
上記マッサージ機構が背もたれ内を上下に移動自在となっているものであるならば、その移動軌跡は背もたれの座部寄り側で背もたれ前面から離れるものとなっていることが好ましい。施療子が腰骨やお尻に当たることを無くすことができる。
【0010】
また、背もたれの座部寄りの部分の前面にはクッション材が配設されていることが座り心地の点で好ましい。
【0011】
また、背もたれ前面と座部上面とを両者に跨って覆うカバー材を備えていると、背もたれと座部との境目を示すものがなくなるために、更に好ましいものとなる。
【0012】
上記背もたれはマッサージ機構の施療子が通る開口部を有するパネルを内蔵しているとともに、使用者の荷重を受ける上記パネルは、使用者の頭部を逃がすための切り欠きを上記開口部上端に連続するものとして備えているものとするのが、使用者の首に負担をかけることがなくなって好ましい。特に上記切り欠きに緩衝材を配置しておくと、頭部の当たりを和らげることができるために、より好ましいものとなる。
【0013】
更には、座部よりも前方側に位置するとともに使用者の膝位置を座部上面より浮かせる位置で使用者の足先を受ける足載せ台を備えていることが好ましい。着座位置によっては使用者はずり落ちる感が生じて腹筋に力が入ってしまい、くつろげない状態となることがあるが、このような事態を招いてしまうことがなくなる。
【0014】
また、背もたれの前面に配される着脱自在な置きクッションを備えていることが、マッサージ機として使用しない場合の座り心地の向上と、通常のソファとしての外観を与えることについて有利となる上に、テレビなどの視聴に適した背もたれ角度と、マッサージに適した背もたれ角度とを共に得られるものとなる。
【0015】
殊に上記置きクッションが背もたれの前面を覆う大きさと形状とを有するものであると、置きクッション自体がソファの一部材となる外観を持つために、通常のソファとしての外観を持たせることについて更に有利となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、使用者はその着座位置がずれても背から腰にかけての部分を背もたれに密着させることができるために、使用者は身体をずらすことで施療範囲を調整することができるものであり、長身長者に合わせた高さを持たなくても長身長者もマッサージを受けることができる。これに伴って、全高を高くする必要がなくなって、部屋の中においても圧迫感のない存在とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態の一例の概略側面図である。
【図2】同上の背もたれの内部構造を示す側面図である。
【図3】同上の背もたれの内部構造の斜視図である。
【図4】同上の置きクッションを配した例を示しており、(a)は斜視図、(b)は概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明すると、図1に示すように、このマッサージ機は、背もたれ部1と座部2,そしてこの両者を支持している支持部3、そして座部2の下方に収納自在となっている足置き台4からなるもので、座部2の上面に対して前面が鈍角をなしている背もたれ1内にはゆるやかに湾曲したフレーム10が設けられているとともに、施療子15を備えたマッサージ機構14が配設されている。該マッサージ機構14は、フレーム10に沿った移動を行う自走手段を内蔵するとともに、上記施療子15に揉みマッサージ動作及びまたはたたきマッサージ動作を行わせる駆動手段を内蔵したもので、背もたれ15の前面側に位置させた施療子15により背もたれ1に持たれた使用者の背面に対してマッサージを行う。
【0019】
ここにおいて、上記背もたれ1は、図2及び図3に示すように、施療子15を通過させるための空間となる開口部12を備えた合成樹脂製のパネル11を上記フレーム10上に配し、該パネル11全体を布地で形成されているとともに部分的にクッション材が配されているカバー(図示せず)で覆うことで形成されたものであるが、上記フレーム10及びパネル11は、使用者の腰をサポートすることになる部分が大きい曲率半径で湾曲しており、この湾曲により、背もたれ1の前面下部は緩やかな曲線を描いて座部2の上面にそのまま連続し、座部2と背もたれ部1との境界が実際上、存在しない形状となっている。
【0020】
このマッサージ機に座って施療を受ける場合、使用者は背もたれ1前面と座部2の上面との連続した面上の任意の位置に腰がくるように座ればよい。長身長者であれば座部寄りに腰がくるように座ることで、肩を施療子15の動作範囲内に位置させることができ、逆に背が低い使用者であれば、臀部位置が座部2の深いところにくるように座ることで、頭部を背もたれ1の上端部に位置させることができる。
【0021】
しかも、上記のように座る位置を前後にずらしても、背もたれ1前面から座部2上面にかけて緩やかな湾曲凹面を描いているために、使用者は背を軽く丸めた状態で肩部から腰部までの全範囲を背もたれ1前面に接触させることができるものであり、このために従来例の椅子型マッサージ機のように、着座位置によっては腰が背もたれ1前面から浮いてしまうというようなことがなく、マッサージ機構14の施療子15による肩から腰までのマッサージを常に問題なく行うことができる。
【0022】
このように、着座位置がずれてもマッサージを行うことができるために、このマッサージ機では、長身長者に合わせて背もたれ1を長いものにしなくても済むものであり、これに伴って全高を抑えることができる上に、前後長も長くしなくてもよいために、家庭の部屋の中においても圧迫感を感じるような大きな存在とはならず、通常のソファと同等の存在感のものとすることができる。
【0023】
ここにおいて、背もたれ1の座部2側の端部の上面側の左右には、図2及び図3に示すように、上記パネル11上に位置するクッション材16を配置している。このためにパネル11の座部2寄りのところに使用者の臀部が位置しても、パネル11に臀部が当たることがなく、座り心地の良いものとなっている。なお、該クッション材16は、前述のカバーで背もたれ1と同時に覆われている。
【0024】
また、背もたれ1の座部2寄りの部分は、上記クッション材16の配置によって座部2の上面と同様のほぼ水平な面となっているのであるが、マッサージ機構14の移動ガイドとなっているフレーム10は水平面に対して角度θだけ傾いたままであり、このためにフレーム10の下端までマッサージ機構14が移動した時、施療子15は背もたれ1の座部2寄りの上面、つまりは上記クッション材16の上面から図中Sで示す距離だけ離れることになる。このために施療子15が臀部にあたったりすることがない。
【0025】
このほか、クッション材16の前端面を斜面として形成し、座部2の後端面はクッション材16の傾斜した前端面に載る逆傾斜の斜面としているために、座部2とクッション材16との境目に段差が生じたりクッション性の違いが生じたりすることがないものとなっている。
【0026】
ところで、背もたれ1と座部2とが連続する面を描くようにしたとはいえ、この面には座部2と背もたれ1とが別部品として形成されて組み合わされているために、境界線が表に現れてしまい、この境界線は使用者に対して着座位置に制限があるかのような印象を与えてしまう。
【0027】
このために、ここでは背もたれ1前面と座部2上面とを両者に跨って覆うカバー材5を配置し、上記境界線を使用者の目から隠している。このカバー材5は、装着した状態でも施療子15が使用者の背面をマッサージすることを妨げることがないように薄目に形成されたものであるとともに、その全面が同一のテキスチャーを有するものとなっている。
【0028】
背もたれ1を覆う前記カバーは、パネル11部分を覆うクッション性を有する部分と、前記開口部12のところに位置して使用者の背面と施療子15との間に位置することになる部分とが違う材質で形成されていることによるマッサージ機特有の外観を生じさせるものであるが、このカバーの背もたれ1前面部をカバー材5で全面的に覆っているために、外観的にもマッサージ機を感じさせないものとすることができる。なお、該カバー材5は、ここでは背もたれ1及び座部2に対して着脱自在として、洗濯や別意匠のものへの交換に応ずることができるようにしているが、例えば座部2と一体に形成したものであってもよい。
【0029】
また、該マッサージ機は、図4に示すようにカバー材5の上に更に置きクッション17を置くことで、クッション性の向上と、パネル11の開口部12への落込みを防ぐことによる座り心地の向上とを得ることができる。上記置きクッション17としては、背もたれ1の前面をほぼ覆う大きさと形状とすることで、背もたれ1に安定して設置することができるものが好ましい。また背もたれ1と置きクッション17との間に隙間が生じないようにして、置きクッション17自体がソファの一部となるようにしておくことで、マッサージを行わない時の外観は更に通常のソファとかわらないものとなる。
【0030】
更には背もたれ1に背を直接あずけた場合よりも頭を起こした状態に保ってテレビの視聴や読書を楽に行うことができるようにするために、背を腰に近いポイントで起こすことができる断面形状を有するもの、つまりはパネル11(とクッション材16)とによって決定されている背もたれ1から座部2にかけての湾曲半径を小さくすることになるものが好ましい。マッサージに適した安楽状態と、テレビ視聴などに適した状態とを置きクッション17を配置するか否かによって調整することができる。
【0031】
背もたれ1における前記パネル11の開口部12の上端は、図3から明らかなようにパネル11の上端部に設けた切り欠き13に連続するものとなっている。この切り欠き13は、使用者の頭部が背もたれ1の上端部に位置する時、頭部を後方側に逃がして使用者の首折れ角度を緩和するためのものである。なお、切り欠き13部分の縁にはクッション性のある緩衝材18を配置することで当たり感も良くなるようにしている。
【0032】
図1において座部2の前方側に位置している足載せ台4は、不使用時には座部2の下方に収納させることができるものであるが、この足載せ台4は、座部2(または背もたれ1の座部2寄りの部分)に着座した使用者が足先を載せた時、使用者の膝位置を座部上面より浮かせることになる高さ及び位置に配置することができるようにしている。
【0033】
着座位置が任意である本マッサージ機に着座した時、場合によってはずり落ちる感がして腹筋に力が入ってしまう場合があるが、上記足載せ台4に足先を載せれば、膝が座部2の前端よりも浮く状態となるために、上記ずり落ち感を無くすことができ、これに伴って腹筋に力が入ってしまったりすることがなく、従ってくつろいだ状態を得ることができる。この時、膝の角度が略直角以上となるようにしておくことで、より効果が高くなる。
【符号の説明】
【0034】
1 背もたれ
2 座部
10 フレーム
11 パネル
14 マッサージ機構
15 施療子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マッサージ機構を背もたれ内に配した椅子型のマッサージ機であり、上記背もたれは腰サポート部分が湾曲して背もたれ前面と座部の上面とが曲線で連続する形状となっていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
上記マッサージ機構は背もたれ内を上下に移動自在となっているものであるとともに、その移動軌跡は背もたれの座部寄り側で背もたれ前面から離れるものとなっていることを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項3】
背もたれの座部寄りの部分の前面にはクッション材が配設されていることを特徴とする請求項1または2記載のマッサージ機。
【請求項4】
背もたれ前面と座部上面とを両者に跨って覆うカバー材を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項5】
上記背もたれはマッサージ機構の施療子が通る開口部を有するパネルを内蔵しているとともに、使用者の荷重を受ける上記パネルは、使用者の頭部を逃がすための切り欠きを上記開口部上端に連続するものとして備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項6】
上記切り欠きには緩衝材を配置していることを特徴とする請求項5記載のマッサージ機。
【請求項7】
座部よりも前方側に位置するとともに使用者の膝位置を座部上面より浮かせる位置で使用者の足先を受ける足載せ台を備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項8】
背もたれの前面に配される着脱自在な置きクッションを備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のマッサージ機。
【請求項9】
上記置きクッションは、背もたれの前面を覆う大きさと形状とを有するものであることを特徴とする請求項8記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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