説明

マッサージ機

【課題】施療子と一体動作する熱源にて実施される温熱施療をより好適に行うことができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】PTCヒータが駆動状態において施療子の動作状態が所定時間T変化しない場合にカバー部の表面温度が設定温度である上限温度Aよりも高いと制御部により類推される。設定温度である上限温度Aよりもカバー部の表面温度が高いと類推されるとPTCヒータの動作状態が駆動状態から停止状態に制御部により変化されるよう制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背もたれ部にマッサージ機構及び熱源が組み込まれたマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば背もたれ部に揉み玉を有するマッサージ機構を組み込んだ椅子型のマッサージ機は、背中のつぼや経絡に揉み玉を当てて所定の動作をさせ、血行を促進させることで肩や背中の凝りを解消させるものであって、従来より提案されており、このようなマッサージ機は一般家庭・公的施設等にも多く普及している。
【0003】
また、近年では、使用者の身体に熱を付与する熱源をオットマンに設けた構成のマッサージ機(例えば特許文献1参照)や、前記熱源を背もたれ部に設けられるマッサージ機構の施療子(揉み玉)と一体動作するように設けた構成のマッサージ機が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−51062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のように施療子と一体動作する熱源を備えたマッサージ機では、マッサージ機構の施療子が使用者の身体に直接当接しないように、背もたれ部全体若しくは背もたれ部の一部をカバー部にて覆っている。つまり、熱源からの熱はカバー部を介して使用者に伝達されることとなる。このため、熱源の温度を例えばサーミスタ等の温度センサにて計測して熱源の温度制御を行うため、カバー部の表面温度を所望の温度に設定することはできなかった。
【0006】
また、熱源は施療子と一体動作する構成であるため、施療子の位置等が変化しない若しくは変化量が小さいと熱源からの熱は使用者の身体の或る範囲(一部)に集中して付与されるため、温めすぎて好適な温熱施療の効果を付与することが難しく、この改善が望まれている。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、施療子と一体動作する熱源にて実施される温熱施療をより好適に行うことができるマッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、使用者が着座可能な座部と、該座部の後部に設けられる背もたれ部とを有し、前記背もたれ部は、その内部に施療子を有するマッサージ機構と前記使用者の背部に熱を付与する熱源とを収容するとともに、前記使用者に対して前記施療子が直接当接しないように前記背もたれ部前面の少なくとも前記施療子の可動範囲を覆うようにカバー部が設けられ、前記マッサージ機構及び前記熱源を制御部により制御して前記使用者にマッサージを行うマッサージ機であって、前記熱源は、前記施療子と一体動作可能に設けられるものであり、前記制御部は、前記熱源の動作状態及び前記施療子の動作状態により前記カバー部の表面温度を類推するとともに、類推される前記カバー部の表面温度が設定温度よりも高い場合には前記熱源及び前記施療子の少なくとも一方の動作状態を変化させるよう制御することをその要旨とする。
【0009】
この発明では、熱源は施療子と一体動作可能に設けられる。熱源の動作状態及び施療子の動作状態により制御部にてカバー部の表面温度が類推されるとともに、そのカバー部の表面温度が設定温度よりも高い場合には熱源及び施療子の少なくとも一方の動作状態が制御部により変化されるよう制御される。ここで、「熱源の動作状態」とは熱源が駆動状態か停止状態のいずれかの状態の事であり、また「施療子の動作状態」とは施療子の位置や施療パターン(施療子の動作軌跡)、又は施療回数などのことであり、以下同様の意味として使用する。制御部は熱源の動作状態及び施療子の動作状態からカバー部の表面温度を類推して、その表面温度が使用者に対して好適な温度である設定温度よりも高い場合には熱源及び施療子の少なくとも一方の動作状態が変化され、カバー部のその部位の表面温度を好適な温度まで下げることができる。これにより、使用者に対してより好適な温熱施療を施すことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のマッサージ機において、前記制御部は、前記熱源が駆動中において前記施療子の動作状態が所定時間変化しない場合に前記カバー部の表面温度が前記設定温度よりも高いと類推して、前記熱源及び前記施療子の少なくとも一方の動作状態を変化させるよう制御することをその要旨とする。
【0011】
この発明では、熱源が駆動中において施療子の動作状態が所定時間変化しない場合にカバー部の表面温度が設定温度よりも高いと制御部により類推される。設定温度よりもカバー部の表面温度が高いと類推されると熱源及び施療子の少なくとも一方の動作状態が制御部により変化されるよう制御される。このように、熱源が駆動中における施療子の動作状態及びその動作状態維持の時間によって前記カバー部の表面温度を類推する容易な構成にてカバー部のその部位の表面温度を好適な温度まで下げることができる。これにより、使用者に対してより好適な温熱施療を施すことができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のマッサージ機において、前記制御部は、類推される前記カバー部の表面温度が前記設定温度より高い場合には前記熱源の駆動を停止させることをその要旨とする。
【0013】
この発明では、類推されるカバー部の表面温度が設定温度より高い場合には制御部により熱源の駆動が停止される。このように、類推されるカバー部の表面温度が好適な温度である設定温度よりも高い場合には熱源の駆動が停止されるため、カバー部のその部位の表面温度を好適な温度まで下げることができ、これにより使用者に対してより好適な温熱施療を施すことができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載のマッサージ機において、前記制御部は、類推される前記カバー部の表面温度が前記設定温度より高い場合には前記施療子を駆動させて位置を変化させることをその要旨とする。
【0015】
この発明では、類推されるカバー部の表面温度が設定温度より高い場合には、制御部により施療子が駆動されてその施療子の位置が変化される。このように、類推されるカバー部の表面温度が好適な温度である設定温度よりも高い場合には施療子の位置が変化されるため、使用者の身体の或る部位(一部)を温めすぎることを抑えた好適な温熱施療を施すことができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載のマッサージ機において、前記背もたれ部には、その前後方向に膨縮動作されて前記使用者にエアマッサージを行うエアバッグが設けられ、前記制御部は、類推される前記カバー部の表面温度が前記設定温度よりも高い場合に前記エアバッグを膨張動作させて前記熱源と前記使用者の身体との間隔を広げることをその要旨とする。
【0017】
この発明では、背もたれ部にはその前後方向に膨縮動作されて使用者にエアマッサージを行うエアバッグが設けられる。類推されるカバー部の表面温度が設定温度よりも高い場合に制御部によりエアバッグが膨張動作されて熱源と使用者の身体との間隔が広げられる。このように、類推されるカバー部の表面温度が好適な温度である設定温度よりも高い場合にはエアバッグにより使用者の身体が熱源から離間されるため、使用者の身体の或る部位(一部)を温めすぎることを抑えた好適な温熱施療を施すことができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、使用者が着座可能な座部と、該座部の後部に設けられる背もたれ部とを有し、前記背もたれ部は、その内部に施療子を有するマッサージ機構と前記使用者の背部に熱を付与する熱源とを収容するとともに、前記使用者に対して前記施療子が直接当接しないように前記背もたれ部前面の少なくとも前記施療子の可動範囲を覆うようにカバー部が設けられ、前記マッサージ機構及び前記熱源を制御部により制御して前記使用者にマッサージを行うマッサージ機であって、前記熱源は前記施療子と一体動作可能に設けられるとともに、前記背もたれ部にはその前後方向に膨縮動作されて前記使用者にエアマッサージを行うエアバッグが設けられものであり、前記制御部は、前記熱源の動作状態及び施療子の動作状態により前記カバー部の表面温度を類推するとともに、類推される前記カバー部の表面温度が設定温度よりも高い場合には前記エアバッグを膨張動作させて前記熱源と前記使用者の身体との間隔を広げることをその要旨とする。
【0019】
この発明では、熱源は前記施療子と一体動作可能に設けられるとともに、背もたれ部にはその前後方向に膨縮動作されて使用者にエアマッサージを行うエアバッグが設けられる。制御部は熱源の動作状態及び施療子の動作状態によりカバー部の表面温度を類推するとともに、類推されるカバー部の表面温度が設定温度よりも高い場合には制御部によりエアバッグが膨張動作されて熱源と使用者の身体との間隔が広げられる。このように、類推されるカバー部の表面温度が好適な温度である設定温度よりも高い場合にはエアバッグにより使用者の身体が熱源から離間されるため、使用者の身体の或る部位(一部)を温めすぎることを抑えた好適な温熱施療を施すことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、施療子と一体動作する熱源にて実施される温熱施療をより好適に行うことができるマッサージ機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態におけるマッサージ機の概略構成図。
【図2】施療子の正面図。
【図3】施療子の分解斜視図。
【図4】施療子の断面図。
【図5】(a)(b)は、背もたれ部について説明するための模式図。
【図6】マッサージ機の電気的構成を説明するためのブロック図。
【図7】温熱施療制御について説明するためのタイミングチャート。
【図8】別例における温熱施療制御について説明するためのタイミングチャート。
【図9】別例における温熱施療制御について説明するためのタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のマッサージ機の概略構成を示す。図1に示すように、マッサージ機10の脚部11は図示しない床面に載置されるとともに、その脚部11の上部には使用者が着座可能な座部12が固定されている。その座部12の後部には、使用者が背中をもたれ掛けさせるための背もたれ部13が傾動可能に設けられるとともに、座部12の前部には使用者の脚を載せることができるオットマン14が傾動可能に設けられている。また、使用者の腕を置くための肘掛け部15が背もたれ部13から座部12の両側前方にかけて設けられている。
【0023】
背もたれ部13は、図1及び図5(a)(b)に示すように背もたれ部本体13aと、この背もたれ部本体13aの少なくとも前面を覆うカバー部13bとで構成される。背もたれ部本体13aは、前面が開口された硬質樹脂材料からなる本体ケース13c内に、背もたれ部13の上下方向に沿って図示しないガイドレールが設けられるとともにこのガイドレールに沿って上下方向に移動可能にマッサージ機構20が組み付けられている。
【0024】
マッサージ機構20は、マッサージ機構20に組み付けられる図6参照の上下駆動部51(上下駆動モータ51a)により上下動される。また、このマッサージ機構20には、強弱(前後)駆動部52(強弱駆動モータ52a)及び幅駆動部53(幅駆動モータ53a)が備えられる。そして各駆動部51〜53の協調動作によって施療子21を2次元または3次元に動作されるとともに、これら施療子21が前方に突設してカバー部13b内面と摺接し、施療子21がカバー部13bを介して使用者の肩や背部、腰等の施療部位に、もみ動作やたたき動作等のマッサージを施すようになっている。
【0025】
図6に示すように、上下駆動部51、強弱(前後)駆動部52及び幅駆動部53は、それぞれ駆動源として駆動モータ51a〜53aを有し、各駆動モータ51a〜53aは制御部61にて駆動制御される。詳しくは、制御部61には、マッサージ機構20の各所に備えられる上下センサ55、強弱センサ56及び幅センサ57からの各検出信号が入力される。そして、この制御部61は、各センサ55〜57の検出信号に基づいて、施療子21の状態(位置や姿勢)を含むマッサージ機構20(各駆動部51〜53)の状態を検出している。
【0026】
マッサージ機構20の一対の施療子21は、図2に示すように、一対のアーム22(1つのみ図示)と、アーム22のそれぞれに設けられるヒータユニット23と、ヒータユニット23に接続される揉み玉24と、この揉み玉24をヒータユニット23とで挟持する固定部材25とを有している。なお、この固定部材25は熱伝導性の高いアルミニウムにて構成されている。
【0027】
図3及び図4に示すように、各ヒータユニット23は、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータ30が第1ケース部材31及び第2ケース部材32に挟持されて構成されるとともに、一対のアーム22の幅方向内側にそれぞれに設けられている。なお、各PTCヒータ30を収容する各ケース部材31,32は、熱伝導性及び剛性の高い材質としてアルミニウムを採用している。
【0028】
幅方向外側の第1ケース部材31は、アーム22にねじ33a,33bにて固定されている。また第1ケース部材31の幅方向内側の内表面は、図3及び図4に示すように、PTCヒータ30との対応位置の当接部31aが幅方向内側に突出するように形成されている。また、各PTCヒータ30は、図6に示すように制御部61と電気的に接続されて各PTCヒータ30への電力供給の有無が決定されるようになっている。
【0029】
第2ケース部材32は、幅方向外側の内表面の前記PTCヒータ30との対応位置に、例えば高熱伝導率且つ弾性を有するシリコン系の材質からなるゴムパッド41が設けられている。そして、図4に示すように、第1ケース部材31の当接部31a及び第2ケース部材32のゴムパッド41にて、PTCヒータ30が挟持されるようになっている。この時、ゴムパッド41は当接部31aとでPTCヒータ30を挟持した際にその圧力に応じて弾性変形するように構成されている。つまり、PTCヒータ30は第2ケース部材32に圧接されており、効率よく第2ケース部材32側に熱を伝達可能に構成されている。
【0030】
第2ケース部材32は、使用者の身体をカバー部13bを介して当接する当接部32aが使用者側に凸となるように湾曲形状に形成されている。また、この当接部32aは、第1ケース部材31の略厚み(幅方向長さ)程度、幅方向外側に延出するように形成されており、第2ケース部材32側にPTCヒータ30の熱を集約させ、当接部32a以外への熱の拡散を極力抑えた設計がなされている。なお、第1ケース部材31及び第2ケース部材32は当接部32a以外の部分が極力PTCヒータ30の形状に倣った形状とすることが望ましい。
【0031】
また、第2ケース部材32の幅方向内側には、サーミスタ42がねじ32bにて固定されるとともに、これらサーミスタ42は図7に示すように前記制御部61に電気的に接続されている。このため、PTCヒータ30の熱がヒータユニット23の外殻である第2ケース部材32に伝達され、その熱の温度をサーミスタ42にて監視することができるようになっている。
【0032】
第2ケース部材32には、幅方向内側に突出する延出部32cが形成されるとともに、その延出方向先端には略四角形状の係合凸部32dが形成されている。第2ケース部材32の延出部32cには、略円筒状の固定部材25の円筒部25aが外嵌されるとともに、延出部32cに形成されているねじ孔32eにねじ46が螺合されて固定部材25の抜け止めがなされている。
【0033】
円筒部25aの内側面における軸方向端部側は、第2ケース部材32の外表面から幅方向内側に突出する延出部32cの係合凸部32dが係合する略四角形状の係合孔25cが形成されている。そして、この係合凸部32dと係合孔25cとが回転方向で係合するため、固定部材25の回り止めがなされている。
【0034】
また、固定部材25を構成する円筒部25aの外周面には2つの軸受24a,24bにて回転可能に支持される揉み玉24が設けられている。この時、この円筒部25aの軸方向端部側において外径が拡径される拡径部25bが揉み玉24よりも幅方向内側に突出するように構成されており、この拡径部25bにて揉み玉24の幅方向(軸方向)への抜け止めがなされている。また、揉み玉24は、第2ケース部材32の延出部32cの軸中心から同ケース部材32の当接部32aまでの距離より僅かに(例えば3mm程度)大きい半径となるように構成されている。このため、揉み玉24が使用者の身体とカバー部13bを介して当接する際に、揉み玉24が接触圧によって変形するため、剛体で構成される第2ケース部材32の当接部32aが使用者に対して軽接触して極力熱のみを好適に伝達させる構成となっている。
【0035】
上記のように構成されたマッサージ機10では、図示しない外部電源から制御部61を介してPTCヒータ30に電力が供給されるようになっている。そして、制御部61はPTCヒータ30(第2ケース部材32)の温度を監視してその温度が例えば約55℃程度となるように制御する。
【0036】
また、制御部61では、PTCヒータ30(第2ケース部材32)によって温められるカバー部13bの表面温度をPTCヒータ30の動作状態及び施療子21の動作状態と、その動作状態の変化しない時間から類推できるようになっている。詳述すると、制御部61は、図5(a)(b)及び図7に示すようにPTCヒータ30が駆動(オン)状態において施療子21の上下方向施療位置が上側、幅方向施療位置が外側、且つ強弱方向施療位置が強側(前側)において、一定の動作パターン(例えばもみ動作)を所定時間T1行っていた場合に、PTCヒータ30の駆動をオン状態から停止(オフ)状態に切替える。これは、PTCヒータ30の動作状態が駆動(オン)状態である場合に施療子21の動作(位置)が所定時間T1変化されない場合、制御部61ではカバー部13bの表面温度が好適な設定温度である上限温度Aを超えたと判定してPTCヒータ30の動作状態を駆動状態から停止状態に切替えている。つまり、施療子21の位置が変わらずに一定の動作を所定時間T1行うことでカバー部13bの表面温度が高くなり過ぎて使用者の身体の一部に集中しているため、PTCヒータ30の動作状態を停止状態としてPTCヒータ30の温度を下げ、より好適な温熱施療が実現できるようになっている。
【0037】
そして、制御部61は、所定時間T1後から所定時間T2分だけPTCヒータ30を停止状態とした後に、PTCヒータ30の動作状態を駆動状態に切替え、その後は前述の動作を繰り返すようになっている。
【0038】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)PTCヒータ30が駆動状態において施療子21の動作状態が所定時間変化しない場合にカバー部13bの表面温度が設定温度である上限温度Aよりも高いと制御部61により類推される。設定温度である上限温度Aよりもカバー部13bの表面温度が高いと類推されるとPTCヒータ30の動作状態が駆動状態から停止状態に制御部61により変化されるよう制御される。このように、PTCヒータ30が駆動中における施療子21の動作状態及びその動作状態維持の時間(所定時間T1)によってカバー部13bの表面温度を類推する容易な構成にてカバー部13bのその部位の表面温度を好適な温度まで下げることができる。これにより、使用者に対してより好適な温熱施療を施すことができる。
【0039】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、PTCヒータ30が駆動(オン)状態において揉み玉24(施療子21)の動作状態が所定時間T1変化していない場合に、PTCヒータ30の駆動を停止(オフ)状態となるように構成したが、これに限らない。
【0040】
例えば図8に示すように、PTCヒータ30が駆動状態において揉み玉24(施療子21)の動作状態が所定時間T1変化していない場合に施療子21の位置を変化させる構成を採用してもよい。このような構成とすることでPTCヒータ30の駆動を停止させないため、施療子21の位置変化後でも使用者の他の身体部位を即座に温熱施療することができる。
【0041】
また、例えばPTCヒータ30が駆動状態において揉み玉24(施療子21)の動作状態が所定時間T1変化していない場合に施療子21の位置を施療子21の動作パターンを変更させる構成を採用してもよい。より具体的には、例えば使用者の身体(カバー部13b)と施療子21(揉み玉24)との接触時間が比較的長いもみ動作から接触時間が比較的短いたたき動作に変更する構成によりカバー部13bの表面温度を下げることができる。
【0042】
上記構成のほか、例えばマッサージ機10の背もたれ部13に前後方向に膨縮可能なエアバッグ70(図1にて破線で図示)を内設して、図9に示すようにPTCヒータ30が駆動状態において揉み玉24(施療子21)の動作状態が所定時間T1変化していない場合にエアバッグ70を制御部61及びエアポンプ71にて膨張させて使用者の身体(カバー部13b)をPTCヒータ30から離間させる構成としてもよい。このような構成とすることでPTCヒータ30の駆動を停止させないため、施療子21の位置変化後でも使用者の他の身体部位を即座に温熱施療することができる。また、エアバッグ70を設けることで、エアバッグ70によるエアマッサージを実施することができる。尚、エアバッグ70は背もたれ部13の任意の位置に適宜変更してもよい。
【0043】
・上記実施形態では、PTCヒータ30(第2ケース部材32)の温度を計測するサーミスタ42を設ける構成としたが、これに限らず、省略してもよい。この場合、カバー部の表面温度は例えばPTCヒータ30の温度変化をも予め実験等から得ることでPTCヒータ30の温度も類推可能とすることができる。
【0044】
・上記実施形態では、オットマン14を設ける構成としたが、省略した構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0045】
10…マッサージ機、12…座部、13…背もたれ部、13b…カバー部、20…マッサージ機構、21…施療子、24…施療子を構成する揉み玉、61…制御部、70…エアバッグ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座可能な座部と、該座部の後部に設けられる背もたれ部とを有し、
前記背もたれ部は、その内部に施療子を有するマッサージ機構と前記使用者の背部に熱を付与する熱源とを収容するとともに、前記使用者に対して前記施療子が直接当接しないように前記背もたれ部前面の少なくとも前記施療子の可動範囲を覆うようにカバー部が設けられ、
前記マッサージ機構及び前記熱源を制御部により制御して前記使用者にマッサージを行うマッサージ機であって、
前記熱源は、前記施療子と一体動作可能に設けられるものであり、
前記制御部は、前記熱源の動作状態及び前記施療子の動作状態により前記カバー部の表面温度を類推するとともに、類推される前記カバー部の表面温度が設定温度よりも高い場合には前記熱源及び前記施療子の少なくとも一方の動作状態を変化させるよう制御することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
請求項1に記載のマッサージ機において、
前記制御部は、前記熱源が駆動状態において前記施療子の動作状態が所定時間変化しない場合に前記カバー部の表面温度が前記設定温度よりも高いと類推して、前記熱源及び前記施療子の少なくとも一方の動作状態を変化させるよう制御することを特徴とするマッサージ機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のマッサージ機において、
前記制御部は、類推される前記カバー部の表面温度が前記設定温度より高い場合には前記熱源の駆動を停止させることを特徴とするマッサージ機。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のマッサージ機において、
前記制御部は、類推される前記カバー部の表面温度が前記設定温度より高い場合には前記施療子を駆動させて位置を変化させることを特徴とするマッサージ機。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のマッサージ機において、
前記背もたれ部には、その前後方向に膨縮動作されて前記使用者にエアマッサージを行うエアバッグが設けられ、
前記制御部は、類推される前記カバー部の表面温度が前記設定温度よりも高い場合に前記エアバッグを膨張動作させて前記熱源と前記使用者の身体との間隔を広げることを特徴とするマッサージ機。
【請求項6】
使用者が着座可能な座部と、該座部の後部に設けられる背もたれ部とを有し、
前記背もたれ部は、その内部に施療子を有するマッサージ機構と前記使用者の背部に熱を付与する熱源とを収容するとともに、前記使用者に対して前記施療子が直接当接しないように前記背もたれ部前面の少なくとも前記施療子の可動範囲を覆うようにカバー部が設けられ、
前記マッサージ機構及び前記熱源を制御部により制御して前記使用者にマッサージを行うマッサージ機であって、
前記熱源は前記施療子と一体動作可能に設けられるとともに、前記背もたれ部にはその前後方向に膨縮動作されて前記使用者にエアマッサージを行うエアバッグが設けられものであり、
前記制御部は、前記熱源の動作状態及び施療子の動作状態により前記カバー部の表面温度を類推するとともに、類推される前記カバー部の表面温度が設定温度よりも高い場合には前記エアバッグを膨張動作させて前記熱源と前記使用者の身体との間隔を広げることを特徴とするマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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