説明

マッサージ機

【課題】左右一対のマッサージ部材によるマッサージ動作と押圧部材によるマッサージ動作とを行う下肢用マッサージ機において、押圧部材による効果的なマッサージ施術を可能とする。
【解決手段】マッサージ機は、左右一対のマッサージ部材14,15と、両マッサージ部材14,15の相互間に配備された押圧部材16と、両マッサージ部材14,15を互いに近接離反させる第1駆動機構17と、押圧部材16を施療部へ押圧させる第2駆動機構18と、両マッサージ部材14,15を近接状態に保持させつつ押圧部材16で施療部を押圧するように第1駆動機構17及び第2駆動機構18を制御する制御部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下肢向けに好適なマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下肢(脹ら脛や足)などの施療部を挟み込むように配備された左右一対のマッサージ部材と、これら左右一対のマッサージ部材の相互間に配備された押圧部材と、を具備して成るマッサージ機として、特許文献1に開示されているものがある。
左右一対のマッサージ部材は、互いに近接離反するように駆動され、施療部を左右両側から対向して押圧したりこの押圧を緩めたりすることを繰り返すことで、揉みによるマッサージ動作を行うようになっている。
【0003】
これに対し、押圧部材は、左右のマッサージ部材で挟まれている施療部を、これら左右のマッサージ部材とは異なる面(施療部が足である場合では足裏などに相当)を押圧したりこの押圧を緩めたりすることを繰り返すことで、指圧によるマッサージ動作を行うようになっている。
このマッサージ機が備える駆動機構は、左右一対のマッサージ部材間を貫通する方向に設けられる回転軸と、この回転軸を回転駆動する駆動部と、回転軸の回転力を左右一対のマッサージ部材の近接離反動作に変換する左右一対の変換部と、回転軸の回転力を押圧部材に伝えるために回転軸に対して一体回転可能に設けられた偏心ロータとを有したものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3377195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のマッサージ機が備える駆動機構は、回転軸の回転を駆動源として、左右一対の変換部を介して左右一対のマッサージ部材をマッサージ動作させたり、偏心ロータを介して押圧部材をマッサージ動作させたりするものであった。すなわち、左右一対のマッサージ部材によるマッサージ動作と押圧部材によるマッサージ動作とは、常に同じ動作パターンの組み合わせとして施療部に施される単調なものであった。そのため、得られるマッサージ感としても単一的になっていた。
【0006】
また、左右のマッサージ部材が施療部を左右両側から狭持・押圧した後に、この狭持状態を緩めようとするタイミングで、押圧部材が施療部を押圧したとしても、施療部が押圧部材から離れる方向へ逃げてしまい、押圧部材によるマッサージ動作が十分に施療部に伝わらないということもあり、押圧部材による効果的なマッサージ動作がなされないこともあった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、左右一対のマッサージ部材によるマッサージ動作と押圧部材によるマッサージ動作とを行う下肢用マッサージ機において、押圧部材による効果的なマッサージ施術を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係るマッサージ機は、施療部を挟み込むように配備された左右一対のマッサージ部材と、前記左右一対のマッサージ部材の相互間に配備された押圧部材と、前記左右一対のマッサージ部材を互いに近接離反させる第1駆動機構と、前記押圧部材を施療部へ押しつけるように動作させる第2駆動機構とを有するマッサージ機であって、前記左右一対のマッサージ部材が近接状態を保持するように第1駆動機構を制御しつつ、前記押圧部材で施療部を繰り返し押圧するように第2駆動機構を制御する制御部が設けられたことを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記押圧部材は、左右一対のマッサージ部材間を貫通する方向に設定される軸心まわりで回転する回転ロータを有しており、前記回転ロータには施療部を押圧する押圧部が設けられているとよい。
好ましくは、前記第1駆動機構は、左右一対のマッサージ部材間を貫通する方向に設けられる回転軸と、前記回転軸を回転駆動する駆動モータと、前記回転軸の回転力を左右一対のマッサージ部材の近接離反動作に変換する左右一対の変換部とを有しており、前記第2駆動機構は、前記回転ロータが前記第1駆動機構に備えられた回転軸に対して一体回転可能に設けられた構成となっているとよい。
【0010】
好ましくは、前記制御部は、駆動モータの回転数を計測する回転数計測部を有し、前記回転数計測部の計測結果を基に、前記第1駆動機構及び第2駆動機構を制御するとよい。 好ましくは、前記制御部は、前記押圧部が施療部に接した状態で前記回転ロータを1回転未満の回転角度内で前後方向へ往復回転するように、前記第2駆動機構を制御するとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るマッサージ機を用いることで、左右一対のマッサージ部材の間に配備された押圧部材による効果的なマッサージ施術(特に足裏への押圧)が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るマッサージ機を示した外観の正面斜視図である。
【図2】本発明に係るマッサージ機を示した内部構造の正面斜視図である。
【図3】本発明に係るマッサージ機を示した内部構造の背面拡大斜視図である
【図4】本発明に係るマッサージ機を示した内部構造の正面図であって(a)は解放位置としてあり(b)は挟持位置としてある。
【図5】(a)は図4(a)のA−A線断面図であり、(b)は図4(b)のB−B線断面図である。すなわち、(a)は解放位置における押圧部材の位置を示しており、(b)は狭持位置における押圧部材の位置を示している。
【図6】本発明に係るマッサージ機のマッサージ動作タイムチャートである。
【図7】本発明に係るマッサージ機の別実施形態を示した内部構造の断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
図1〜図6は、本発明に係るマッサージ機の第1実施形態を示している。
本実施形態のマッサージ機1は、使用者の左右両方の下肢をマッサージの対象として、下肢を構成するふくらはぎLと足部Fとの両方に、揉みのマッサージや直線的に移動するような指圧マッサージを同時に行えるように構成されている。
【0014】
このマッサージ機1は、揉みのマッサージを行わせるマッサージ部材14,15と、指圧のマッサージを行わせる押圧部材16とに対し、従来とは異なる新しい動作パターンを行わせるように制御する制御部3を具備したものである。
なお、本明細書において「ふくらはぎL」は、人間の下肢のうち、膝下であってくるぶしより上の部分を言うものとし、「足部F」はくるぶしより下の部分を言うものとする。また、図1中に示すX方向をマッサージ機1の前後方向、Y方向をマッサージ機1の左右方向(幅方向)、Z方向をマッサージ機1の上下方向と言う。
【0015】
本実施形態のマッサージ機1は、正面視すると四角形であり側面視すると長靴型であるケーシング2を有している。このケーシング2の前面には、前方及び上方へ向けて開放する左右一対の施療凹部4,4が、互いに左右に離れて並設されている。これら左右の施療凹部4,4内には、弾力性及び柔軟性があり且つ適度な通気性を備えた内張材5が設けられている。
【0016】
図2に示すように、ケーシング2内には、台フレーム部6と、この台フレーム部6の後端部で起立する背フレーム部7とを有する側面視L型の支持フレーム8が設けられている。台フレーム部6には水平マッサージ機構10が設けられており、背フレーム部7には垂直マッサージ機構11が設けられている。なお、水平マッサージ機構10や垂直マッサージ機構11の「水平」「垂直」の呼称は、本明細書中での便宜上のものに過ぎず、マッサージ機1としての使用状態を限定したものではない。
【0017】
まず、水平マッサージ機構10を説明する。
水平マッサージ機構10は、足部Fを嵌め入れる程度に左右方向に離れて並設された左右一対のマッサージ部材14,15と、これら左右一対のマッサージ部材14,15の相互間に配備された押圧部材16と、左右一対のマッサージ部材14,15を互いに近接離反させる第1駆動機構17と、押圧部材16を動作させる第2駆動機構18とを有している。
【0018】
マッサージ部材14,15は左右一対を一組として、この組み合わせがケーシング2の左右の施療凹部4,4に対応するように合計二組、設けられている。マッサージ部材14,15は、厚み方向に弾性を有する素材によって起立した板状に形成され、マッサージ部材14,15が互いに対向する内面には、足部Fへの接触感を和らげるクッション材やカバー材等が設けられている。
【0019】
水平マッサージ機構10の第1駆動機構17は、左右一対のマッサージ部材14,15を、それらの相互間に嵌め入れられる足部Fへの挟持位置(図4(b)参照)と、解放位置(図4(a)参照)との間で往復動作させることにより、足部Fに対して揉みによるマッサージ動作を付与するものである。この第1駆動機構17は、二組のマッサージ部材14,15を同時に駆動させるようになっている。
【0020】
この第1駆動機構17は、マッサージ部材14,15間を貫通する方向(左右方向)に設けられた1本の回転軸20と、この回転軸20を回転駆動する駆動モータ21(電動モータ)と、回転軸20の回転力をマッサージ部材14,15によるマッサージ動作に変換するための一対の変換部25,25とを有している。
駆動モータ21は、正転駆動と逆転駆動とに切換可能なもので、ウォームギアとこのウォームギヤに噛合するウォームホイルとが内蔵された減速部26を介して、回転軸20に回転駆動力を伝達するようになっている。
【0021】
変換部25は、回転軸20がマッサージ部材14,15を貫通する部分に配備されており、回転軸20に串刺し状に固定されて当該回転軸20と一体回転する傾斜ロータ(図示略)を有している。この傾斜ロータは、その外周部に外嵌装着されるベアリングを介して、マッサージ部材14,15に設けられたロータ収納凹部内に嵌め込まれている。このベアリングによる自在回転作用で、マッサージ部材14,15は回転軸20と相対回転自在な状態を保持するようになっている。
【0022】
また変換部25は、マッサージ部材14,15から下向きに突出する規制突起(図示略)を、支持フレーム8の台フレーム部6等に設けられた左右方向に長い横長孔に係合させる構造を有している。この規制突起と横長孔とが係合していることで、マッサージ部材14,15は、傾斜ロータと供回り(従動回転)することはない。すなわち、回転軸20が回転する際には、傾斜ロータが回転軸20のまわりに傾斜成分に応じた振動を起こすようになって、このときの振動成分だけがマッサージ部材14,15に伝達されるようになっている。
【0023】
回転軸20に対して傾斜ロータが傾く傾斜方向は、マッサージ部材14,15間において相対逆向きとなるように設定されている。そのため、マッサージ部材14,15の前側上縁及び後側上縁が互いに離反した状態にあるとき、回転軸20を回転させると、マッサージ部材14,15の前側上縁側が徐々に近接すると共に、マッサージ部材14,15の前側下縁側が離反し、続いて、マッサージ部材14,15の後側上縁側が徐々に近接するするようにして、挟持動作が行われる。
【0024】
また、この挟持動作の後、マッサージ部材14,15の後側下縁が徐々に近接すると共に、マッサージ部材14,15の後側上縁が離反し、続いて、マッサージ部材14,15の前側下縁側が徐々に近接すると共に、マッサージ部材14,15の前側上縁が離反するようにして、解放動作が行われる。回転軸20を連続回転させることで、マッサージ部材14,15は前記した挟持動作と解放動作とを交互に繰り返しながら、所定角度範囲に規制された状況下でうねり状の揺動をするものとなる。
【0025】
回転軸20を前記とは逆方向へ回転させると、マッサージ部材14,15も前記と逆の順番で挟持動作と解放動作とを行うようになっている。このように、回転軸20を正逆いずれの方向へ回転させても、マッサージ部材14,15は挟持動作と解放動作とを繰り返すが、回転軸20の回転方向に応じて、挟持動作が前側から後側へと移行するか、反対に後側から前側へと移行するかを選択できるものであり、この選択をマッサージモードの違いとして自動又は手動により切り替えられるようにするとよい。
【0026】
水平マッサージ機構10の押圧部材16は、図5に示すように、第1駆動機構17に備えられた回転軸20に対して一体回転可能に設けられた回転ロータ30と、この回転ロータ30の外周面で、互いに周方向及び軸方向に所定間隔をおいて分散配置された大突起31、小突起32、中突起33とを有している。
これら大突起31、小突起32、中突起33は、側面視半円形の円板又は半球形に形成されていて、施療部を押圧する押圧部42とされている。大突起31は回転軸20の軸心から径方向へ向けて最も大きく突出しており、小突起32は大突起31よりも小さく突出しており、中突起33はこれら大突起31と小突起32の中間の突出量とされている。
【0027】
水平マッサージ機構10の第2駆動機構18は、押圧部材16(言い換えれば、回転ロータ30)を回転軸20と一体回転させることにより、左右一対のマッサージ部材14,15の相互間に嵌め入れられる足部Fに対して、その足裏(つま先裏、土踏まず、踵裏)を上方へ押圧するようにマッサージ動作を付与するものである。
回転軸20の回転により回転ロータ30を回転させるとき、回転軸20の回転方向に応じて、大突起31、小突起32、中突起33が足部Fの足裏を押圧しながら後側から前側へ移動するか、反対に前側から後側へと移行するかを選択できるものであり、この選択をマッサージモードの違いとして自動又は手動により切り替えられるようにするとよい。
【0028】
次に、垂直マッサージ機構11について説明する。
垂直マッサージ機構11は、図2に示すように、ふくらはぎLの前面の斜め外方へずれた箇所(向こうずねとの直接的な当接を避けた位置)を押すマッサージ部材35と、ふくらはぎLを介してマッサージ部材35に対向する配置とされてふくらはぎLを裏側から支持する押圧部材36と、これらマッサージ部材35と押圧部材36とを一体に上下動させる昇降駆動部37とを有している。
【0029】
マッサージ部材35と押圧部材36とを一組として、この組み合わせがケーシング2の左右の施療凹部4,4に対応するように合計二組、設けられている。
昇降駆動部37は、長手方向を上下方向へ向けた送りネジ軸38と、この送りネジ軸38に螺合するナット部39を備えた垂直動スライダ40とを有している。図3に示すように、送りネジ軸38は、水平マッサージ機構10の第1駆動機構17が装備する駆動モータ21により、水平軸まわりの回転力を垂直軸まわりの回転力に変換する伝動部41を介して回転駆動されるようになっている。
【0030】
垂直動スライダ40は、支持フレーム8の背フレーム部7が備える左右一対の柱部分をガイドレールに利用して上下動するようになっている。垂直動スライダ40が上下動するときには、マッサージ部材35と押圧部材36とが一体となって上下動するので、ふくらはぎLは、その前後2カ所が効果的に指圧マッサージされることになる。
次に、本発明に係るマッサージ機1において具備された制御部3(図1参照)について説明する。
【0031】
この制御部3は、左右一対のマッサージ部材14,15を近接させ停止に近い状態とすることにより、左右のマッサージ部材14,15間に嵌め入れられた足部Fを挟持状態に保持させる(図4(b)参照)。この狭持状態において、押圧部42(大突起31、小突起32、中突起33の少なくともいずれか)が施療部に接した状態を維持させつつ、回転ロータ30を所定揺動角度(1回転未満の角度)内で前後方向へ往復揺動させる(図5(b)参照)。この揺動動作により、押圧部材16に設けられたいずれかの突起(例えば、大突起31)で足部Fの足裏を繰り返し押圧するといった動作パターンを生じさせる。
【0032】
この制御部3は、前記した動作パターンを生じさせるために、第1駆動機構17及び第2駆動機構18を制御する。
なお、左右一対のマッサージ部材14,15を近接状態にさせるためには、現状のマッサージ部材14,15の状態が挟持状態であるのか或いは解放位置であるのかを判断する必要がある。そこで本実施形態では、左右一対のマッサージ部材14,15の駆動源である駆動モータ21から、その回転数を計数することによってマッサージ部材14,15の現状を判断するようにしている。
【0033】
図3に示すように、垂直マッサージ機構11の昇降駆動部37が垂直動スライダ40を上下動させるために備えている送りネジ軸38に、回転数計測部52が設けてあり、この回転数計測部52により、駆動モータ21の回転数をカウントしている。
この回転数計測部52は、周方向1箇所に切欠が形成された被検円板50を、送りネジ軸38の下端部に一体回転可能に設け、この被検円板50を挟持するようにして透過型のフォトセンサ51を設けることで構成される。被検円板50の回転に伴い、切欠がフォトセンサ51の挟持位置を通過するたびに、フォトセンサ51が透過光を検出するので、送りネジ軸38の回数数、ひいては駆動モータ21の回転数を計数することができる。
【0034】
一方、押圧部材16を前後往復回転させるときの回転角度は、大突起31が、足部Fの足裏(前後方向のほぼ中央)を押圧している角度位置を中心にして、その前方及び後方へほぼ同じ角度となるように振り分けるのがよい(図5(b)参照)。具体的に、回転角度は、その前方端から後方端までの全範囲として30°〜90°程度の範囲とするのが好適である。ただ、この具体的な角度数値が限定されるものではなく、30°未満としたり、90°超えとしたりすることもできる。
【0035】
なお、本実施形態では、前記したように押圧部材16の回転は、第1駆動機構17が駆動モータ21で回転駆動する回転軸20により、当該回転軸20と一体的に回転駆動される構成としてある。そのため、制御部3は、この駆動モータ21を所定回転数だけ回転させるごとに、正転と逆転とを切り換え、それによって押圧部材16の往復回転を可能にする。
【0036】
押圧部材16の現状の回転角度位置(大突起31による押圧位置)を把握したり、回転角度範囲を設定(回転方向を正逆切り換えるタイミングを設定)したりするには、前述した回転数計測部52を用いて判断される駆動モータ21の回転数を利用する。
次に、本実施形態に係るマッサージ機1の使用状況に基づき、その作用を説明する。
マッサージ機1は、電源スイッチ又は運転操作スイッチがオフの状態にあるとき、水平マッサージ機構10における左右一対のマッサージ部材14,15は解放状態となっている。また、垂直マッサージ機構11のマッサージ部材35及び押圧部材36は、最も下方位置で停止している。
【0037】
そこでまず、使用者は、左右のふくらはぎLを垂直マッサージ機構11におけるマッサージ部材35と押圧部材36との間に嵌め入れると共に、左右の足部Fを、水平マッサージ機構10における左右一対のマッサージ部材14,15の間に嵌め入れる。
この状態で運転操作スイッチをオン操作すると、駆動モータ21が作動し、垂直マッサージ機構11では、昇降駆動部37によって垂直動スライダ40が上昇を開始する。これにより、マッサージ部材35がふくらはぎLの斜め前面を押圧し、且つ押圧部材36がふくらはぎLの後面を押圧して、これら前後の押圧位置が同時に上方へ移動するような指圧マッサージが施される。
【0038】
昇降駆動部37は、垂直動スライダ40が上限位置に到達した時点でこの垂直動スライダ40を下降させるべく駆動モータ21を逆転させる。このような動作を、複数サイクル行わせる。
また水平マッサージ機構10では、駆動モータ21の作動で回転軸20が回転を始める。これにより、第1駆動機構17では変換部25を介して左右一対のマッサージ部材14,15が解放状態と挟持状態とを繰り返すようになって、足部Fに対して左右両側から揉みマッサージが施される。また同時に、第2駆動機構18では回転ロータ30を介して押圧部材16が回転し、足部Fの足裏に対して大突起31(押圧部42)による指圧マッサージが施される。
【0039】
このような状況下で、自動運転モードのプログラム又は手動により、制御部3が「足裏繰り返し押圧施術」を行うように選択されたとする。
図6に示すように、左右一対のマッサージ部材14,15が足部Fに対する解放状態(図6では「開」と表示)と挟持状態(図6では「閉」と表示)とを繰り返してゆく過程で、制御部3は、まず左右一対のマッサージ部材14,15が挟持状態になったこと(図4(b)参照)を判断して、制御を開始する。
【0040】
なお、左右一対のマッサージ部材14,15が挟持状態となっているとき、押圧部材16は大突起31が足部Fにおける足裏の前後方向中央部(土踏まず)を押圧状態(図6では「上」と表示)となるように、互いの動作タイミングが一致されている。
制御部3はまず、左右一対のマッサージ部材14,15が挟持状態であり、且つ押圧部材16が押圧状態となっているときを起点として、押圧部42である大突起31が足裏の前方寄り(つま先裏)又は後方寄り(踵裏)へ所定回転角度だけ移動するように、駆動モータ21の回転を継続させる。
【0041】
制御部3は、回転数計測部52(図3参照)からの検出信号により、押圧部材16の押圧位置が所定回転角度だけ移動して、大突起31がつま先裏を押圧した状態になったことを判断すると、駆動モータ21の回転をそれまでとは反対方向(図6では回転軸の「逆転」と表示)へ切り換えさせる。これにより、押圧部材16は、つま先裏から土踏まず、更には踵裏へと押圧位置を移動させることになる。
【0042】
次に制御部3は、回転数計測部52からの検出信号により、押圧部材16が踵裏を押圧した状態になったことを判断すると、駆動モータ21の回転を元の方向(図6では回転軸の「正転」と表示)へ切り換えさせる。これにより、押圧部材16は、踵裏から土踏まず、更にはつま先裏へと押圧位置を移動させることになる。
このようにして、押圧部材16の回転を所定の回転角度範囲(30°〜90°程度)で前後方向に切り換えさせ、足裏に対して前後方向で往復させるような指圧マッサージを施す。この間、左右一対のマッサージ部材14,15は挟持状態を保持するようになっている。そのため、これら左右一対のマッサージ部材14,15の間に嵌め込まれた足部Fは、押圧部材16による押圧で上方に逃げるようなことがなく、当該押圧部材16による押圧を確実且つ十分に受けることができるようになる。
【0043】
なお、垂直マッサージ機構11と水平マッサージ機構10とは、常に同期して動作するようにしてもよいし、いずれか一方だけを独立して動作するようにしてもよい。これらは、使用者の所望するところに応じて、適宜選択できるようにしておくとよい。
[第2実施形態]
図7には、本発明に係るマッサージ機1の第2実施形態が示されている。
【0044】
第2実施形態のマッサージ機1は、足部専用のマッサージ機、又はふくらはぎ専用のマッサージ機として構成したもので、水平マッサージ機構10のみを有したものとなっている。このマッサージ機1は、揉みのマッサージを行わせるマッサージ部材14,15と、指圧のマッサージを行わせる押圧部材16とを有している。
なお、図7のマッサージ機1において、マッサージ部材14は揺動動作を行わない固定マッサージ部材とされている。とはいえ、マッサージ部材15は揺動動作を行う故、左右一対のマッサージ部材14,15により足部Fを挟持マッサージ可能となっている。
【0045】
押圧部材16は、回転軸20に対して偏心した状態で設けられて当該回転軸20と一体回転するようになる回転ロータ30を有している。すなわち、この回転ロータ30において、回転軸20の軸心から径方向へ最も突出する外周面が施療部を押圧する押圧部42となる。このような偏心した回転ロータ30を用いる場合には、外周面から突出する突起(新たな押圧部42)を設けてもよいし、設けないようにしてもよい。
【0046】
このマッサージ機1においても、押圧部材16を第1実施形態と同様に動作させ、左右一対のマッサージ部材14,15の間に嵌め込まれた足部Fに対して、押圧部材16による往復押圧を施術可能である。
ところで、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0047】
例えば、回転数計測部52を第1駆動機構17、すなわちマッサージ部材14,15間を貫通する方向に設けられた回転軸20に設けるようにしてもよい。
また、本発明に係るマッサージ機1は、椅子型マッサージ機の座部前方に対しフットレストとして設けることも可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 マッサージ機
2 ケーシング
3 制御部
4 施療凹部
5 内張材
6 台フレーム部
7 背フレーム部
8 支持フレーム
10 水平マッサージ機構
11 垂直マッサージ機構
14 マッサージ部材
16 押圧部材
17 第1駆動機構
18 第2駆動機構
20 回転軸
21 駆動モータ
25 変換部
26 減速部
30 回転ロータ
31 大突起
32 小突起
33 中突起
35 マッサージ部材
36 押圧部材
37 昇降駆動部
38 ネジ軸
39 ナット部
40 垂直動スライダ
41 伝動部
42 押圧部
50 被検円板
51 フォトセンサ
52 回転数計測部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施療部を挟み込むように配備された左右一対のマッサージ部材と、前記左右一対のマッサージ部材の相互間に配備された押圧部材と、前記左右一対のマッサージ部材を互いに近接離反させる第1駆動機構と、前記押圧部材を施療部へ押しつけるように動作させる第2駆動機構とを有するマッサージ機であって、
前記左右一対のマッサージ部材が近接状態を保持するように第1駆動機構を制御しつつ、前記押圧部材で施療部を繰り返し押圧するように第2駆動機構を制御する制御部が設けられたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記押圧部材は、左右一対のマッサージ部材間を貫通する方向に設定される軸心まわりで回転する回転ロータを有しており、前記回転ロータには施療部を押圧する押圧部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記第1駆動機構は、左右一対のマッサージ部材間を貫通する方向に設けられる回転軸と、前記回転軸を回転駆動する駆動モータと、前記回転軸の回転力を左右一対のマッサージ部材の近接離反動作に変換する左右一対の変換部とを有しており、
前記第2駆動機構は、前記回転ロータが前記第1駆動機構に備えられた回転軸に対して一体回転可能に設けられた構成となっている
ことを特徴とする請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記制御部は、駆動モータの回転数を計測する回転数計測部を有し、
前記回転数計測部の計測結果を基に、前記第1駆動機構及び第2駆動機構を制御することを特徴とする請求項3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記制御部は、前記押圧部が施療部に接した状態で前記回転ロータを1回転未満の回転角度内で前後方向へ往復回転するように、前記第2駆動機構を制御することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−254209(P2012−254209A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129174(P2011−129174)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(592009214)大東電機工業株式会社 (106)
【Fターム(参考)】