説明

マッサージ機

【課題】 人体支持部材に支持された人体の大腿部、臀部、腰部を連続的に移動し得るマッサージ機構を備え、人体支持部材における人体のずれが生じても人体支持部材からの人体の離脱を可及的に防止して大臀筋とその周辺の筋肉を十分にマッサージすることが可能で、しかも、搬送時や不使用時などに適したコンパクトな構成のマッサージ機を提供する。
【解決手段】 人体支持部材2a及び該人体支持部材2aにより支持された人体の大腿部、臀部、腰部を連続的に移動しつつマッサージするマッサージ機構3aを設けたマッサージ機1aであって、人体支持部材2aの前端部21aは人体の脚部を支持すると共に中間部22aは人体の臀部を支持し、且つ後端部23aは人体の腰部または背部を支持すると共に、人体支持部材2aの前端部21a乃至後端部23aを側面視半円形状となるよう構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の大腿部及び臀部、また腰部を連続的に移動しつつマッサージするマッサージ機構を備えたマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的にマッサージ機は、電動モータで作動する揉み球や、またエアポンプなどの空気給排装置から給気及び排気(給排気)される空気により膨張・収縮(膨縮)するエアバッグ(膨縮袋)、さらにはバイブレータ(振動体)などのマッサージ機構をマッサージ形態に応じて適宜内装すると共に、該マッサージ機構をガイドレール(移動機構)などにより移動させつつ、着座した使用者の各人体部位に備わる筋肉を順次にマッサージして、各筋肉の緊張やこりを和らげたり、またはその働きを活性化させたりするよう構成している。
【0003】
例えば、図19及び図20に示すような椅子式エアマッサージ機は、座部1の後方に起倒自在として背もたれ部2を装備し、その座部1および背もたれ部2に複数のエアバッグ3(膨縮袋)を配設し、これらエアバッグ3を膨縮させてマッサージ施療を行うようにしている。また背もたれ部2には、上下動してマッサージ施療を行うための施療子4(マッサージ当接部材)をエアバッグ3に併設したものとしている。さらに、背もたれ部2は、図20に示すように座部1に対面するように折畳み式に構成している。
【0004】
さらに、図21及び図22に示すような休息用椅子型施療機1も開示されている。すなわち、該休息用椅子型施療機1は、背凭れ部21と座部22と脚載置部23とを夫々湾曲部を介して一体的に形成した椅子本体2に、左右一対の肘掛け31を備えた支持部材3を設け、該支持部材3に枢着された回動軸5・5により椅子本体2が傾斜角度可変に傾動するよう支持して構成したものとしている。尚、椅子本体2と支持部材3間には、リクライニング機構4が設けられ、椅子本体2を起倒自在にしている。
【0005】
また、前記椅子本体2は、角パイプや丸パイプ等で身体の線に沿うような形状に部分的に湾曲形成されたロングガイドレール24が、背凭れ部21の上端付近から脚載置部23の前端付近の位置にかけて内設されており、該ロングガイドレール24は施療子281(マッサージ当接部材)を配設した施療機28(マッサージ機構)を往復移動自在に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−141622号公報(第10頁図3及び図5)
【特許文献2】特開2004−283266号公報(第5頁図2、第6頁図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、図19及び図20に示すこの種のマッサージ機は、マッサージ機構として背凭れ部の内部にマッサージ動作を行う施療子などのマッサージ当接部材を移動可能に具備しているが、該マッサージ当接部材が上方から下降して座部付近に到達する際、マッサージ当接部材と座部の後端部との間に人体や異物などが挟み込まれないように防止することが望ましい。
【0008】
その防止対策として、例えば最下位置のマッサージ当接部材と座部の後端部との間に適度な隙間を設けるという方法がある。
【0009】
しかしながらこの場合、背凭れ部に凭れた使用者の肩部から腰部までをマッサージ当接部材によって順次マッサージすることができるものの、背凭れ部における最下位置のマッサージ当接部材と座部の後端部との間に位置する使用者の臀部に対してはマッサージ当接部材が届かず、延いては臀部に備わる大臀筋に対する十分なマッサージを実施することができない。
【0010】
仮に、マッサージ当接部材と座部の後端部との間に挟み込み防止用のセンサを装備して、この問題の解決を図ると共に、大臀筋にまで到達するようマッサージ当接部材をさらに降下移動可能に構成したとしても、座部後端部の表面に当接している使用者の臀部に備わる大臀筋まではマッサージ当接部材が及ばず、背凭れ部下端部側に当接する一部の大臀筋にしかマッサージすることができないものと考えられる。
【0011】
これを解決すべく、図21及び図22に示したマッサージ機は、マッサージ機構を移動させるためのガイドレールを少なくとも背凭れ部から座部にかけて連続的に形成し、マッサージ機構のマッサージ当接部材により背凭れ部から座部にかけて当接する使用者の臀部を連続的にマッサージするよう構成したものである。
【0012】
しかしながら、この種のマッサージ機は、図20に示したようなマッサージ機のように座部に対面するよう折り畳むなどして、搬送時や不使用時などにコンパクトにすることができないという欠点がある。
【0013】
さらに、この図21及び図22に示すマッサージ機について、背凭れ部と座部は人体を支持する部分(人体支持部材)がそれぞれ略平坦状となっており、背凭れ部と座部とを連結形成する部分のみが小さく湾曲している。このような構成では、例えば着座した使用者が座部において不意に、または姿勢を変えるなどして前方へずれてしまう場合、図22に実際に示されているように臀部の下側は座部に支持されているものの、臀部の後側は背凭れ部の表面から離脱してしまい、マッサージ当接部材が臀部後側の位置に到達してもこの位置の大臀筋を十分にマッサージすることができないという問題が生じる。
【0014】
逆に、リクライニングさせた椅子本体に仰臥した使用者が、背凭れ部において後方へずれる場合は、前記臀部の後側は背凭れ部に支持されているものの、前記臀部の下部は座部の表面から離脱してしまい、前述と同様の問題を招いてしまう。
【0015】
そこで本発明は、上記問題点を解消する為に成されたものであり、搬送時や不使用時などに適したコンパクトな構成であると共に、人体支持部材における人体のずれが生じても該人体支持部材からの人体の離脱を可及的に防止して、大臀筋とその周辺の筋肉を隈無く十分にマッサージすることが可能なマッサージ機を提供する事を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
すなわち、本発明のマッサージ機は、人体を支持する人体支持部材及び該人体支持部材により支持された人体の少なくとも大腿部、臀部、腰部を連続的に移動しつつマッサージするマッサージ機構を設けたマッサージ機であって、人体の長さ方向における人体支持部材の前端部、中間部、後端部において、該前端部は人体の脚部を支持すると共に該中間部は人体の臀部を支持し、且つ該後端部は人体の腰部または背部を支持するようにし、人体支持部材の前端部乃至後端部を側面視半円形状となるよう構成したものとしている。
【0017】
また、本発明のマッサージ機は、前記人体支持部材を人体の長さ方向において角度調節可能としたものとしている。
【0018】
さらに、本発明のマッサージ機は、前記マッサージ機構に大腿部、臀部、腰部における人体の各形状に応じて相互に接近離間可能な左右一対のマッサージ当接部材を備えるものとしている。
【0019】
さらにまた、本発明のマッサージ機は、前記人体支持部材の大腿部または臀部或いは腰部の対応位置の左右に、空気を給気及び排気する空気給排装置からの空気により膨張及び収縮する膨縮袋を設けたものとしている。
【発明の効果】
【0020】
よって、本発明のマッサージ機は、人体を支持する人体支持部材及び該人体支持部材により支持された人体の少なくとも大腿部、臀部、腰部を連続的に移動しつつマッサージするマッサージ機構を設けたマッサージ機であって、人体の長さ方向における人体支持部材の前端部、中間部、後端部において、該前端部は人体の脚部を支持すると共に該中間部は人体の臀部を支持し、且つ該後端部は人体の腰部または背部を支持するようにし、人体支持部材の前端部乃至後端部を側面視半円形状となるよう構成したものとしているため、従来のマッサージ機とは異なり、腰部より上方へマッサージ機構を昇上させない分、コンパクトに構成することができ、搬送時や不使用時などに便利である。
【0021】
しかも、前記人体支持部材の独特な形状により、不意にまたは姿勢を変えるなどして該人体支持部材における人体のずれが生じても、人体支持部材に当接する臀部の一部が離脱することなく常時密着当接する状態を保つことができ、前記マッサージ機構により大臀筋やその周辺の筋肉を隈無く十分にマッサージできる。
【0022】
また、本発明のマッサージ機は、前記人体支持部材を人体の長さ方向において角度調節可能としたものとしているため、使用者は好みの姿勢で前記マッサージ機構によるマッサージが受けられる。また、例えば人体支持部材を起立させた角度の場合は、使用者の自重により、大腿部と該大腿部に近い側の大臀筋がマッサージ機構に押しつけられて、その部分を比較的強くマッサージできるし、人体支持部材を倒伏させた角度の場合は、腰部と該腰部に近い側の大臀筋がマッサージ機構に押しつけられて、その部分を比較的強くマッサージできる。加えて、人体支持部材がそれら起立角度と倒伏角度との中間である角度の場合は、大腿部乃至腰部のマッサージ機構に対する当接圧力は均等になり、全体的に均一なマッサージが可能となる。
【0023】
さらに、本発明のマッサージ機は、前記マッサージ機構に大腿部、臀部、腰部における人体の各形状に応じて相互に接近離間可能な左右一対のマッサージ当接部材を備えるものとしているため、大腿部、臀部、腰部の各形状または各左右幅に適したマッサージが実現できる。特に、腰部におけるマッサージは脊椎の左右付近を主に行うのに対し、左右一対の大腿部は腰部から臀部を介して左右二股に分かれているため、腰部に対するマッサージの場合は左右一対のマッサージ当接部材の相互間隔を比較的小さくし、大腿部に対するマッサージの場合は該相互間隔を比較的大きくして適応できる。
【0024】
さらにまた、本発明のマッサージ機は、前記人体支持部材の大腿部または臀部或いは腰部の対応位置の左右に、空気を給気及び排気する空気給排装置からの空気により膨張及び収縮する膨縮袋を設けたものとしているため、前記マッサージ機構とは異なったマッサージ感が得られてメリハリのあるマッサージを実施することができる。また、膨縮袋の膨張度合いを調節しつつ一定時間その膨張を保持することで、前記マッサージ機構のマッサージ力を適宜調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のマッサージ機の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明のマッサージ機における使用状態の一実施形態を示す右側面図である。
【図3】本発明のマッサージ機における使用状態の一実施形態を示す右側面図である。
【図4】本発明のマッサージ機における人体支持部材の下方底部を円弧状または舟底状に形成したものの一実施形態を示す右側面図である。
【図5】本発明のマッサージ機における人体支持部材を角度調節可能とした構成の一実施形態を示す右側面図である。
【図6】本発明のマッサージ機における人体支持部材を角度調節可能とした構成の一実施形態を示す右側面図である。
【図7】本発明のマッサージ機における人体支持部材の長孔を人体の形状に適応させた構成の一実施形態を示す斜視参考図である。
【図8】本発明のマッサージ機における人体支持部材の長孔を人体の形状に適応させた構成の一実施形態を示す斜視参考図である。
【図9】本発明のマッサージ機における人体支持部材に膨縮袋を設けた構成の一実施形態を示す斜視参考図である。
【図10】本発明のマッサージ機におけるマッサージ機構の一実施形態を示す斜視参考図である。
【図11】本発明のマッサージ機におけるマッサージ機構の一実施形態を示す斜視参考図である。
【図12】本発明のマッサージ機における左右一対のマッサージ当接部材の相互間隔を伸縮させた状態の一実施形態を示す斜視参考図である。
【図13】本発明のマッサージ機におけるマッサージ機構の一実施形態を示す右側面参考図である。
【図14】本発明のマッサージ機における人体支持部材の一実施形態を示す断面参考図である。
【図15】本発明のマッサージ機における左右一対のマッサージ当接部材の相互伸縮を制御する状態の一実施形態を示す参考図である。
【図16】本発明のマッサージ機における左右一対のマッサージ当接部材の相互伸縮を制御する状態の一実施形態を示す参考図である。
【図17】本発明のマッサージ機における左右一対のマッサージ当接部材の相互伸縮を制御する状態の一実施形態を示す参考図である。
【図18】本発明のマッサージ機における左右一対のマッサージ当接部材の相互伸縮を制御する状態の一実施形態を示す参考図である。
【図19】従来技術を示す参考図である。
【図20】従来技術を示す参考図である。
【図21】従来技術を示す参考図である。
【図22】従来技術を示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明のマッサージ機を、図面に示す一実施形態に基づきこれを詳細に説明する。
図1は本発明のマッサージ機の一実施形態を示す斜視図であり、図2及び図3は本発明のマッサージ機における使用状態の一実施形態を示す右側面図である。図4は本発明のマッサージ機における人体支持部材の下方底部を円弧状または舟底状に形成したものの一実施形態を示す右側面図であり、図5及び図6は本発明のマッサージ機における人体支持部材を角度調節可能とした構成の一実施形態を示す右側面図であり、図7及び図8は本発明のマッサージ機における人体支持部材の長孔を人体の形状に適応させた構成の一実施形態を示す斜視参考図であり、図9は本発明のマッサージ機における人体支持部材に膨縮袋を設けた構成の一実施形態を示す斜視参考図である。図10及び図11は本発明のマッサージ機におけるマッサージ機構の一実施形態を示す斜視参考図であり、図12は本発明のマ
ッサージ機における左右一対のマッサージ当接部材の相互間隔を伸縮させた状態の一実施形態を示す斜視参考図であり、図13は本発明のマッサージ機におけるマッサージ機構の一実施形態を示す右側面参考図であり、図14は本発明のマッサージ機における人体支持部材の一実施形態を示す断面参考図であり、図15乃至図18は本発明のマッサージ機における左右一対のマッサージ当接部材の相互伸縮を制御する状態の一実施形態を示す参考図である。尚、図19乃至図22は従来技術を示す参考図である。
【0027】
すなわち、本発明のマッサージ機は、図1及び図2の実施形態で示したように、人体を支持する人体支持部材2a及び該人体支持部材2aにより支持された人体の少なくとも大腿部、臀部、腰部を連続的に移動しつつマッサージするマッサージ機構3aを設けたマッサージ機1aである。
【0028】
また、人体の長さ方向における前記人体支持部材2aの前端部21a、中間部22a、後端部23aにおいて、該前端部21aは人体の脚部を支持すると共に該中間部22aは人体の臀部を支持し、且つ該後端部23aは人体の腰部または背部を支持するようにしている。
【0029】
さらに、図2に示すように前記人体支持部材2aの前端部21a乃至後端部23aを側面視半円形状となるよう構成している。よって、例えば使用者が図2に示すような上半身を略直立させた姿勢から、図3に示すような上半身を後方へ傾倒させた姿勢に変わったとしても、人体支持部材2aに当接する臀部の一部が離脱することなく常時密着当接する状態を保つことができ、前記マッサージ機構3aにより大臀筋やその周辺の筋肉を隈無く十分にマッサージすることができるのである。尚、使用者が不意に人体支持部材2aからずれを起こしてしまう場合も同様である。
【0030】
前記人体支持部材2aは、図面では樹脂や金属などから形成した板状のものを示しており、使用者の当接部位を面的に支持するようにしている。尚、図示しないが他にもパイプ状のものやベルト状などの部材を使用して人体を支持するようにしてもよい。
【0031】
前記マッサージ機構3aは、図1及び図2に示すように前記人体支持部材2aの内部左右両側に設けられた左右一対のガイドレール38aに沿って前記前端部21aから前記後端部23aにかけて移動可能となるようにしている。
【0032】
また、前記マッサージ機構3aは図10に示すように、モータ等を駆動源とした機械式のマッサージ機構として、揉み球などからなる左右一対のマッサージ当接部材311aを設けている。該左右一対のマッサージ当接部材311aは、マッサージ子駆動部31aにより、揉み、叩き、振動、指圧、ローリング等の多彩なマッサージを使用者に実施することが可能となっている。
【0033】
前記人体支持部材2aには、図1に示すように前記前端部21aから前記後端部23aにかけて長く設けられた長孔24aを設けており、該長孔24aを後方から貫通して前記マッサージ機構3aの前記左右一対のマッサージ当接部材311aが使用者の身体に当接してマッサージ作用を与えるようにしている。
【0034】
尚、前記長孔24aは、図14に示すように伸縮性のある布地25aで覆うようにして、そこから内部に異物が入らないように保護している。また、前記人体支持部材2aと該布地25aとの間には、クッション部材26aを備えている。加えて、前記左右一対のマッサージ当接部材311aの間には、人体の一部や異物などが深く填り過ぎて生じる怪我や故障を防止するための填り防止部材5aを設けている。
【0035】
前記マッサージ機構3aの前記人体支持部材2aにおける移動に関して、図10に示すように、略矩形箱型状の外部ケーシング32aに、該マッサージ機構3aを移動させるための移動用モータ33aを設け、該移動用モータ33aはギヤ(図示せず)とウォーム(図示せず)とからなる移動用ギアボックス部331aと噛合するとともに、該移動用ギアボックス部331aは、該外部ケーシング32aの下部に回動自在に配設する左右幅方向に伸延させた移動軸35aと噛合している。
【0036】
また、前記移動軸35aの左右端部には前記ガイドレール38aに固設するラック(図示せず)と夫々噛合する左右一対の各移動用ピニオンギヤ351aを設けている。さらに、前記外部ケーシング32aの上部に回動自在に配設する左右幅方向に伸延させたガイド軸34aを設けるとともに、該ガイド軸34aの左右端部にはガイドレール38a内部にて回転自在である回転輪341aを設けている。
【0037】
これらの構成により、前記移動用モータ33aの回転が、前記移動用ギアボックス部331a、移動軸35a、左右一対の各移動用ピニオンギヤ351aに伝達し、該各移動用ピニオンギヤ351aは噛合している前記ラック(図示せず)上を回転走行することにより、前記マッサージ機構3aは、前記ガイドレール38aに沿って移動可能となるのである。
【0038】
尚、前記移動軸35aには、前記移動用モータ33aによって該移動軸35aが駆動(回動)された量を検出するためのロータリーエンコーダからなる移動用駆動量検出手段352aを配設しており、該移動用駆動量検出手段352aは、電子制御である制御手段(図示せず)に接続している。
【0039】
また、図10及び図13に示すように、前記マッサージ機構3aに設けた前記マッサージ子駆動部31aは、使用者のマッサージ部位に向けて進退移動可能に構成されている。すなわち、マッサージ機構3aは、前記外部ケーシング32aの下部に左右幅方向に向けて伸延させた状態で配設した前記移動軸35aの中央部に、該マッサージ子駆動部31aのケーシングを構成する内部ケーシング312aを前後方向に向けて揺動自在に取付けており、該移動軸35aを揺動支点として該マッサージ子駆動部31aが前後方向に向けて揺動できるようにしている。
【0040】
さらに、前記外部ケーシング32aに、前記マッサージ子駆動部31aを進退させるための進退用モータ36aを設け、該進退用モータ36aはギヤ(図示せず)とウォーム(図示せず)とからなる進退用ギアボックス部361aと噛合するとともに、該進退用ギアボックス部361aは、該外部ケーシング32aの上部に回動自在に配設する左右幅方向に伸延させた進退軸37aと噛合している。さらに、該進退軸37aの中途部に左右一対の各進退用ピニオンギヤ371aを取付ける一方、左右一対の各該進退用ピニオンギヤ371aと夫々噛合する左右一対の前記内部ケーシング312a上部に円弧状ラック313aを取付けている。
【0041】
これらの構成により、前記進退用モータ36aの回転が、前記進退用ギアボックス部361a、進退軸37a、左右一対の各進退用ピニオンギヤ371aに伝達するとともに、左右一対の各該進退用ピニオンギヤ371aは噛合している前記円弧状ラック313aを移動させるので、前記マッサージ子駆動部31aは、前記移動軸35aを揺動支点として前後方向に向けて揺動し、マッサージ当接部材311aが前後方向へ進退することになる。
【0042】
尚、前記進退軸37aには、前記進退用モータ36aによって該進退軸37aが駆動(回動)された量を検出するためのロータリーエンコーダからなる進退用駆動量検出手段372aを配設しており、該進退用駆動量検出手段372aは、前記制御手段に接続している。
【0043】
よって、前記制御手段によって前記移動用駆動量検出手段352aと前記進退用駆動量検出手段372aの夫々の駆動量を検出しながら、前記移動用モータ33aと進退用モータ36aを駆動させることができるので、前記マッサージ当接部材311aの位置をきめ細かく制御することができ、また該移動用モータ33aと進退用モータ36aの駆動を適宜組み合わせることによって、多彩なモードでマッサージすることができる。
【0044】
本発明のマッサージ機1aは、図5及び図6に示すように、前記人体支持部材2aを人体の長さ方向において角度調節可能としたものとしている。
【0045】
すなわち、前記人体支持部材2aの前側下部と、地面に接して土台となるベース部12aの前部とを、人体の長さ方向における回動を可能とする回動部11aにより回動可能に連結すると共に、人体支持部材2aの後側下部とベース部12aの後部とを、アクチュエータなどの伸縮調節機構13aにより伸縮調節可能に連結している。
【0046】
したがって、例えば図5に示すように、前記伸縮調節機構13aにより前記人体支持部材2aを起立させた角度にした状態の場合は、使用者の自重により大腿部や該大腿部に近い側の大臀筋が前記マッサージ当接部材311aに押しつけられることになり、その部分を比較的強くマッサージすることができる。一方、人体支持部材を最倒伏させた角度にした状態の場合は、腰部や該腰部に近い側の大臀筋がマッサージ当接部材311aに押しつけられて、その部分を比較的強くマッサージできる。また、図6に示すように人体支持部材2aがそれら起立させた角度と最倒伏させた角度との中間である角度にした状態の場合は、大腿部から腰部または背部にかけて、マッサージ当接部材311aに対する使用者の自重が略均等になるので、全体的に均一なマッサージ感が得られる。
【0047】
また、図4に示すように、前記伸縮調節機構13aを設けなくても前記人体支持部材2aの下方底部を円弧状または舟底状に形成して地面に直接させる構成にしてもよい。この場合、使用者の重心の移動によって人体支持部材2aを揺動させることができ、容易に該人体支持部材2aの角度を好みに応じて変えることができる。また、人体支持部材2aを揺動させながら前記マッサージ当接部材311aによるマッサージを実施することで、メリハリのあるマッサージ感を得ることができる。
【0048】
本発明のマッサージ機1aは、他にも図11及び図12に示すように、前記マッサージ機構3aに大腿部、臀部、腰部における人体の各形状に応じて相互に接近離間可能な左右一対のマッサージ当接部材311bを備えるものとしている。
【0049】
すなわち、前述の図10に示した前記内部ケーシング312a、前記円弧状ラック313a、前記進退用モータ36a、前記進退用ギアボックス部361a、前記進退軸37a、前記進退用ピニオンギヤ371a、前記進退用駆動量検出手段372aを前記外部ケーシング32aから除外すると共に、前記ガイド軸34aと前記移動軸35aとの間に前記相互に接近離間可能な左右一対のマッサージ当接部材311bを設けている。
【0050】
前記各マッサージ当接部材311bは、駆動用モータ314bにより回転して摺擦マッサージするための回転ローラ312bと、該回転ローラ312bの左右に同駆動用モータ314bにより回転して揉みマッサージするための左右一対からなる傾斜揉み輪313bとを設けている。尚、回転ローラ312b及び傾斜揉み輪313bは、切替器(図示せず)によって同時回転と個別回転とを選択的に切り替られるようにしてもよい。
【0051】
また、図12に示すように前記左右一対のマッサージ当接部材311bが相互に接近離間するための伸縮機構315bを設けている。該伸縮機構315bは、複数の部材を相互にスライド可能に嵌合させた構成のものとしてもよい。
【0052】
さらに、図7及び図15に示すように前記人体支持部材2aの前記長孔24aを、該人体支持部材2aにおける前記前端部21a、前記中間部22a、前記後端部23aにそれぞれ当接する人体の脚部、臀部、腰部に応じた形状としている。図面では、該長孔24aの形状が、臀部の位置する中間部22aから大腿部の位置する前端部21aにかけて二股に分かれたものを示している。
【0053】
また、前記各マッサージ当接部材311bの左右において、図15に示すように先端を傾斜させて形成したガイドバー316bをそれぞれ対角状に設けており、該ガイドバー316bはその傾斜した先端が前記長孔24aの周縁に形成したガイド縁25aを滑らかに摺擦するよう構成している。尚、幅方向外側のガイドバー316bを前記人体支持部材2aの前記後端部23a側に配設すると共に、幅方向内側のガイドバー316bを前記人体支持部材2aの前記中間部22a側に配設している。
【0054】
よって、前記ガイドバー316bは前記マッサージ機構3aが移動する時、前記ガイド縁25aにガイド制御されることで、前記伸縮機構315bを伸縮させるのである。
【0055】
すなわち、前記マッサージ機構3aが前記人体支持部材2aの前記後端部23aに位置した図15に示す状態から、図16に示すように前記中間部22aに向かって移動した時、前記左右の各マッサージ当接部材311bの幅方向内側にある前記各ガイドバー316bが、前記長孔24aに設けた前記ガイド縁25aの中央の凸状に尖った部分に当接する。この間、マッサージ当接部材311bは、使用者の背部または腰部から臀部にかけてマッサージを行う。
【0056】
次いで、さらに前記マッサージ機構3aが前記前端部21aに向かって移動すると、図17に示すように幅方向内側の各ガイドバー316bの先端は、ガイド縁25aの中央から左右に傾斜した部分を摺動すると共に、徐々に前記左右一対のマッサージ当接部材311bを相互に離間させていく。この間、該マッサージ当接部材311bは主に使用者の臀部をマッサージする。
【0057】
その後、図8及び図18に示すように、前記左右一対のマッサージ当接部材311bは、前記幅方向外側及び内側の各ガイドバー316bを左右の各ガイド縁25aに摺動させながら、前記中間部22aから前記前端部21aにかけて形成した前記長孔24aの二股に分かれた左右の各部分をそれぞれ前記後端部23aに向かって移動することになる。この間、マッサージ当接部材311bは、使用者の臀部から大腿部にかけてマッサージを行う。
【0058】
尚、前記前端部21aから前記後端部23aへの移動の場合も同様に、前記各ガイドバー316bは前記ガイド縁25aに制御されて、左右一対のマッサージ当接部材311bの相互の接近または離間を行う。
【0059】
本発明のマッサージ機1aは、図9に示すように前記人体支持部材2aの大腿部または臀部或いは腰部の対応位置の左右に、空気を給気及び排気(給排気)する空気給排装置41aからの空気によりエアホース(図示せず)を介して膨張及び収縮(膨縮)する膨縮袋4aを設けたものとしている。尚、図面では人体支持部材2aの大腿部及び臀部、また腰部の対応位置の左右全てに該膨縮袋4aを設けた構成のものを示している。
【0060】
前記空気給排装置41aは、図示しないが圧縮空気を発生させるエアポンプと、該圧縮空気を前記各エアホースに分配する分配器と、該分配器を制御する電子制御回路とから主に構成される。尚、図9に示すように該空気給排装置41aの配置場所を前記人体支持部材2aの下部空間とすることができる。
【0061】
前記膨縮袋4aは、軟質樹脂やナイロンのシートによる溶着成形、または同材質のブロー成形などで製造され、前記空気給排装置41aの空気の給排気による継続的な膨縮に耐え得るものである。
【0062】
このような前記膨縮袋4aを前記マッサージ当接部材311aと併用することにより、異なった複数のマッサージ感が得られてメリハリのあるマッサージを実施することができるまた、膨縮袋4aを前記人体支持部材2aの大腿部及び臀部、また腰部の対応位置の左右に設ける場合、マッサージ当接部材311aの移動と同期して各膨縮袋4aを順次膨張保持または収縮保持させることにより、該マッサージ当接部材311aのマッサージ力を加減することができる。
【符号の説明】
【0063】
1a マッサージ機
11a 回動部
12a ベース部
13a 伸縮調節機構
2a 人体支持部材
21a 前端部
22a 中間部
23a 後端部
24a 長孔
25a ガイド縁
25a 布地
26a クッション部材
3a マッサージ機構
31a マッサージ子駆動部
311a マッサージ当接部材
311b マッサージ当接部材
312b 回転ローラ
313b 傾斜揉み輪
314b 駆動用モータ
315b 伸縮機構
316b ガイドバー
312a 内部ケーシング
313a 円弧状ラック
32a 外部ケーシング
33a 移動用モータ
331a 移動用ギアボックス部
34a ガイド軸
341a 回転輪
35a 移動軸
351a 移動用ピニオンギヤ
352a 移動用駆動量検出手段
36a 進退用モータ
361a 進退用ギアボックス部
37a 進退軸
371a 進退用ピニオンギヤ
372a 進退用駆動量検出手段
38a ガイドレール
4a 膨縮袋
41a 空気給排装置
5a 填り防止部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体を支持する人体支持部材及び該人体支持部材により支持された人体の少なくとも大腿部、臀部、腰部を連続的に移動しつつマッサージするマッサージ機構を設けたマッサージ機であって、人体の長さ方向における人体支持部材の前端部、中間部、後端部において、該前端部は人体の脚部を支持すると共に該中間部は人体の臀部を支持し、且つ該後端部は人体の腰部または背部を支持するようにし、人体支持部材の前端部乃至後端部を側面視半円形状となるよう構成したことを特徴とするマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−55722(P2012−55722A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−275370(P2011−275370)
【出願日】平成23年12月16日(2011.12.16)
【分割の表示】特願2007−97865(P2007−97865)の分割
【原出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【出願人】(000136491)株式会社フジ医療器 (137)
【Fターム(参考)】