説明

マッサージ装置および、該マッサージ装置を備えた椅子型マッサージ機

【課題】 圧迫力を効果的に作用させて、揉みマッサージや挟持マッサージのマッサージ性を向上したマッサージ装置および、該マッサージ装置を備えた椅子型マッサージ機を提供する。
【解決手段】 偏心板4に偏心回転されてマッサージを行う突出した施療子5を備えたマッサージ装置1であって、前記偏心板4が四つ略一直線に並んで列を構成しており、列をなす偏心板4の中央で左右に二つずつに分かれて互いの施療子5を接離して被施療体20を挟持する配置で対をなしており、列の中央側に位置する偏心板4の施療子5の突出量が対をなす相手の偏心板4の施療子5より大きいものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ装置および、該マッサージ装置を備えた椅子型マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種のマッサージ装置として特許文献1などがあり、被施療体、特に下肢に対してのマッサージに利用されている。
【0003】
このマッサージ装置は、駆動機構に連動して回転する左右一対の主歯車と、両主歯車に各々噛合して回転する従歯車を備え、各主歯車と各従歯車に所定角度に立設する主施療子と従施療子を夫々設け、各主施療子と各従施療子が各々旋回運動する構成である。
【特許文献1】特開2001−353198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、挟持する施療子に対して被施療体が左右対象で無い場合、痛みを生じる虞から、圧迫力を十分に掛けられず、挟持マッサージや揉みマッサージを快適に行えないという問題を有していた。
【0005】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みて発明したものであり、施療子により被施療体を挟持する際に加わる圧迫力を効果的に作用させることで、揉みマッサージや挟持マッサージのマッサージ性を向上したマッサージ装置および、該マッサージ装置を備えた椅子型マッサージ機を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るマッサージ装置1は、偏心板4に偏心回転されて施療する突出した施療子5を備えたマッサージ装置1であって、前記偏心板4が四つ略一直線に並んで列を構成しており、列をなす偏心板4の中央で左右に二つずつに分かれて互いの施療子5を接離して被施療体20を挟持する配置で対をなしており、列の中央側に位置する偏心板4の施療子5の突出量が対をなす相手の偏心板4の施療子5より大きいものであることを特徴とする。
【0007】
このような構成をしたことで、前記施療子5が偏心回転されることで、前記被施療体20に効果的に圧迫力を掛けることができる。そして、対をなす偏心板4の列の中央側に位置する前記偏心板4の施療子5の突出量を他方より大きくしたことで、前記被施療体20を挟持する圧迫力を列の中央側と外側とで異なる強さにできる。
【0008】
また、前記対となる偏心板4の施療子5が被施療体20を挟持する間に前記偏心板4の回転面に平行に、且つ対をなす偏心板4の並ぶ方向に直交した方向に沿って前記被施療体20の位置決め用の溝11を設けることで、前記被施療体20が保持されて、施療によって前記被施療体20が動くことを防止して、前記施療子5による圧迫力を安定して加えることができる。
【0009】
また、前記偏心板4を偏心板4の回転面に平行に、且つ対をなす偏心板4の並んだ方向に直交して移動させる移動手段12を設けることで、施療子5がマッサージを行う領域が広がり、マッサージ性を向上することができる。
【0010】
そして、本発明に係る椅子型マッサージ機30は、請求項1〜3のいずれか一つに記載のマッサージ装置1を、座面31、背もたれ32を備えた椅子の座面前方にマッサージ手段を備えた椅子型マッサージ機30の下肢用マッサージ手段としたことを特徴とする。
【0011】
このような構成をしたことで、椅子型マッサージ機30の下肢用マッサージ手段が圧迫力を効果的に掛けて下肢に対してマッサージを行うものとなる。
【0012】
また、前記下肢用マッサージ手段が前記座部31の前方に支点を有して上方に回動するものであれば、前記下肢用マッサージ手段が回動によって傾く角度を変化させることで、前記下肢用マッサージ手段に係る下肢の自重を変化して、下肢に係る圧迫力を変化させるため、圧迫力の調節手段を設けることなくマッサージの強度を変更できる椅子型マッサージ機30となる。
【発明の効果】
【0013】
上記のように、マッサージ装置は、被施療体に効果的に圧迫力を掛け、且つ挟持する圧迫力を列の中央側と外側とで異なる強さとしたことで、列の中央側には筋肉が位置し外側に骨が位置する被施療体、例えばふくらはぎの筋肉に強い圧迫力を掛け、骨に弱い圧迫力を掛ける構成となる。そのため、痛みを伴わず効果的に圧迫力を掛けて揉捏動作のようなマッサージを快適に行うことができ、マッサージ性の向上したマッサージ装置となる。
【0014】
そして、上記のように椅子型マッサージ機は、圧迫力を効果的に掛けてマッサージを行うことで、下肢に痛みを伴わずに揉捏動作のようなマッサージを行うマッサージ性の向上した快適な椅子型マッサージ機となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
【0016】
マッサージ装置1は、図1のように、施療用駆動部2を内部に備えた施療台3と、施療台3に配置され施療用駆動部2により回転駆動される四つの偏心板4と、各偏心板4に該偏心板4の回転中心に対して偏心した位置に突出して設けた施療子5と、からなるものである。そして、上記偏心板4は、該偏心板4の回転面に平行にX方向に沿って略一直線に四つ並んでおり、列を構成している。そして、列に並んだ偏心板4は列の中央で左右に二つずつに分かれて対をなすと共に、対をなす偏心板4は互いに反対方向に回転駆動されている。
【0017】
更に、対をなす施療子5は線対称で、且つ同じ周期で動くよう偏心板4に配置されている。そのため、対をなす偏心板4が回転駆動されると、夫々の施療子5はX方向に沿って常に略一直線に並んだ状態で動いて接離し、X方向に直交したY方向に沿って配置される被施療体20、例えば下肢を側面側から挟持して施療するものである。
【0018】
したがって、施療子5を偏心板4に偏心して設置したことで、圧迫力が被施療体20に対して効果的に係り、揉捏動作のようなマッサージ、例えば揉みマッサージと挟持マッサージとを組み合わせたマッサージを十分な圧迫力で行えるマッサージ性の向上したマッサージ装置1となる。
【0019】
また、上記施療子5の形状は偏心板4の回転面に直交して突出した円柱形状であり、円柱の偏心板4に取り付けた端面の反対側の端面は略半球状に凸となっている。そして、対をなす偏心板4の列の中央側に位置する偏心板4の施療子5は、対をなす相手の偏心板4の施療子5より偏心板4からの突出量が大きいものである。具体的には、中央側に位置する偏心板4の施療子5の円柱部分の軸方向の寸法が対をなす相手の偏心板4の施療子5の軸方向の寸法より長いものとなっている。
【0020】
そのため、列の中央側には筋肉が位置し外側に骨が位置する被施療体20、例えばふくらはぎに対して、骨に対する圧迫力を抑えつつ、筋肉に対して効果的に圧迫力を掛けたマッサージを行える。そして、外方に位置する端部を略半球状としたことで、端部による指圧マッサージを行えるだけでなく、施療子5の被施療体20に接触する部位に角が無くなり、接触時に痛みを生じにくくなり好ましい。
【0021】
なお、施療子5の形状は、本発明を実施可能とするものであれば、適宜変更可能である。
【0022】
また、図2は、マッサージ装置1に被施療体20の位置決めをして被施療体20を保持する溝11を設けた他例である。上記溝11は、偏心板4の回転面に平行に、且つ対をなす偏心板4の並ぶX方向に直交したY方向に沿って、対をなす偏心板4の間に設けたものである。
【0023】
溝11に被施療体20が位置すると、溝11がY方向に沿って周囲より凹んでいるためX方向への移動が抑えられて位置決めされると共に、マッサージの際に施療子5により被施療体20が移動することを防止している。
【0024】
そのため、被施療体20が移動して圧迫力が低減したり、被施療体20が捩れて痛みを生じたりすることを防止できる。したがって、痛みを伴うことなく、十分な圧迫力でマッサージを行う快適なマッサージ装置1となる。
【0025】
また、溝11は対をなす偏心板4の間の略中央でなく列の中央側に位置する偏心板4側にずらして設けてある。これは、対をなす偏心板4の一方の偏心板4の施療子5のみでマッサージを行う被施療体20、例えば足裏に対して、対をなす相手の偏心板4の施療子5に被施療体20が接触して怪我や痛みを生じることを防止でき好ましいからである。
【0026】
また、図3は、施療台3を、偏心板4の回転面に平行に、且つ対をなす偏心板4の並んだX方向に直交したY方向に移動可能とする移動手段12を設けた他例である。
【0027】
上記移動手段12は、図4のように、移動用駆動源13と、移動用駆動源13の駆動を伝達する移動用駆動伝達部14と、移動用駆動伝達部14から駆動が伝達され回転するY方向に沿って軸を有し外周にねじ山を備えた送りねじ15と、送りねじ15のねじ山に螺合する雌ねじを備え偏心板4の列の中央に位置して施療台3に取り付けた送りナット16と、施療台3の偏心板4を載置した面の反対側に取り付けた送りナット16の回転を抑制して施療台3の移動をガイドする送り軸17と、からなるものである。送り軸17は送りねじ15に平行であり、Y方向の寸法は送りねじ15と略同じ寸法である。
【0028】
そして、例えば図5(a)の状態から、送りねじ15が駆動源により回転駆動すると、送りナット16は送り軸17により回転が抑制され、送りねじ15の軸に沿って動き、送りナット16が取り付けられた施療台3も送り軸17にガイドされながら送りナット16と同じ向きにY方向に沿って移動して、図5(b)の状態になる。
【0029】
更に、図5(b)の状態から、送りねじ15を上記と逆向きに回転させれば、送りナット16が送りねじ15の軸に沿って逆向きに動き、施療台3もY方向に沿って逆向きに移動するため、図5(a)の状態へ移動するものである。
【0030】
したがって、施療台3がY方向に沿って移動可能としたことで、被施療体20にマッサージを行う位置を変更でき、施療者の望む位置にマッサージを行えるマッサージ装置1となる。尚且つ、移動により施療台3のマッサージ可能な範囲が広がるため、被施療体20の一部のみにマッサージする単調なものでなく、広範囲にマッサージを行う飽きのこないマッサージ装置1となる。
【0031】
また、符号18は、被施療体20、例えば足裏に対をなす偏心板4の一方の偏心板4のみでマッサージを行う際に被施療体20の一部(足先)を載置して被施療体20を保持するガイドであり、ガイド18は被施療体20がマッサージによって動いて対をなす他方の偏心板4の施療子5に接触することを防止している。そして、上記足裏に対をなす偏心板4の一方の偏心板4のみでマッサージを行うとは、一方の施療子5の略半球状である端部を足裏、特に土踏まずに当てて、該偏心板4を回転駆動させて施療子5の端部で施療するものであり、主に指圧マッサージを行うものである。
【0032】
なお、送りねじ15を固定して、移動用駆動部が送りナット16を駆動して施療台3を移動させるものや、対をなす偏心板4ごと施療台3を分けて夫々に移動手段12を設けてもよく、本発明を実施可能とするものであれば、移動手段12は適宜変更可能である。
【0033】
また、施療用駆動部2の例として、図6のように、モータからなる施療用駆動源6と、列をなす偏心板4の略中央に位置して施療台3の内部に設け施療用駆動源6からの駆動を受ける施療用駆動伝達部7と、施療用駆動伝達部7から上記列に平行にX方向に沿って左右に伸びた駆動軸8と、駆動軸8の外周に左右二つずつ設けたウォーム9と、各ウォーム9に夫々螺合して偏心板4に駆動を伝えるウォームホイール10と、からなるものがある。そして、対をなす偏心板4を互いに反対向きに回転させるため、駆動軸8に左右二つずつ設けたウォーム9は施療用駆動伝達部7側と外端側とでねじ山が互いに反対向きとなっている。
【0034】
また、図7は、本発明のマッサージ装置1を下肢用マッサージ手段に用いた椅子型マッサージ機30である。椅子型マッサージ機30は、座面を備えた座部31と、施療者の背中に対するマッサージ手段を備えた背もたれ部32と、施療者の下肢に対するマッサージ手段を備えたフットレスト33と、を有するものであり、フットレスト33は、座部31の前方に支点を有し座部31と略水平になるまで上方に向けて回動するものである。なお、フットレスト33に設けたマッサージ手段以外は、従来技術であり説明は省略する。
【0035】
図8のように、上記フットレスト33に本発明のマッサージ装置1を用いたことで、従来の下肢用マッサージ手段に比べ、痛みを伴わず効果的に圧迫力を掛けて揉捏動作のようなマッサージを行え、下肢に対するマッサージ性を向上することができる。そして、座部31および背もたれ部32により被施療者が保持されており、被施療者がリラックスした状態となり、下肢に対するマッサージをより快適に行うマッサージ装置1となる。
【0036】
また、フットレスト33は、下肢用マッサージ手段による施療に対する反力である離間しようとする力に対して下肢の自重で抗している。そして、離間しようとする力に対して係る下肢の自重は、フットレスト33が回動して水平に近づくほど強くなり、離間しようとする力を低減する。更に、離間しようとする力が低減されると、下肢が下肢用マッサージ手段から離間し難くなり、下肢用マッサージ手段からの圧迫力がより下肢に係り易くなり、マッサージの強さを強くできる。
【0037】
したがって、フットレスト33の傾く角度を変更させることで、離間しようとする力に対して係る下肢の自重が変化して、下肢用マッサージ手段による下肢に対する圧迫力が変更される。そのため、下肢用マッサージ手段に圧迫力を調節する手段を別途設けなくても、フットレスト33の角度を変更するだけで下肢に係る圧迫力を調節できるマッサージ機30となる。
【0038】
なお、フットレスト33に下肢用マッサージ手段を複数設け、ふくらはぎと足裏等の下肢の複数の位置にマッサージを行ってもよく、本発明を実施可能とするものであれば、適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のマッサージ装置の斜視図である。
【図2】同上の溝を設けた他例の構成図である。
【図3】同上の移動手段を設けた他例の斜視図である。
【図4】同上の移動手段の構成図であって、(a)が平面図であり、(b)が正面図である。
【図5】同上の移動手段による施療台の動作図であって、(a)は初期状態であり、(b)は移動した状態である。
【図6】同上の施療用駆動部の構成図であって、(a)が平面図であり、(b)が正面図である。
【図7】本発明のマッサージ装置を設けた椅子型マッサージ機の斜視図である。
【図8】同上のマッサージ装置を設けたフットレストの斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1 マッサージ装置
2 施療用駆動部
3 施療台
4 偏心板
5 施療子
6 施療用駆動源
7 施療用駆動伝達部
8 駆動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏心板に偏心回転されて施療する突出した施療子を備えたマッサージ装置であって、前記偏心板が四つ略一直線に並んで列を構成しており、列をなす偏心板の中央で左右に二つずつに分かれて互いの施療子を接離して被施療体を挟持する配置で対をなしており、列の中央側に位置する偏心板の施療子の突出量が対をなす相手の偏心板の施療子より大きいものであることを特徴とするマッサージ装置。
【請求項2】
前記対となる偏心板の施療子が被施療体を挟持する間に前記偏心板の回転面に平行に、且つ対をなす偏心板の並ぶ方向に直交した方向に沿って前記被施療体の位置決め用の溝を設けたことを特徴とする請求項1記載のマッサージ装置。
【請求項3】
前記偏心板を偏心板の回転面に平行に、且つ対をなす偏心板の並んだ方向に直交して移動させる移動手段を設けたことを特徴とする請求項1または2記載のマッサージ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載のマッサージ装置を、座面、背もたれを備えた椅子の座面前方にマッサージ手段を備えた椅子型マッサージ機の下肢用マッサージ手段としたことを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項5】
前記下肢用マッサージ手段が椅子型マッサージ機の座部の前方に支点を有して上方に回動するものであることを特徴とする請求項4記載の椅子型マッサージ機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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