説明

マッサージ装置

【課題】減速機構において騒音の発生を軽減することができるマッサージ装置を提供すること。
【解決手段】駆動部としてのマッサージ装置本体と施療部とを有するマッサージ装置において、前記施療部が、可撓性を有する基板と、この基板の面に対して交差する方向に突出して設けられた複数の突起とを備え、前記マッサージ装置本体に、前記基板の周縁を前記マッサージ装置本体に対する位置関係がほぼ固定された状態で保持する枠体と、前記基板を上下方向に撓ませる往復駆動手段12を設ける。前記往復駆動手段12は、駆動用のモータ13と、モータ軸13Aの駆動側歯車20と第一の従動側歯車21との間に掛け渡されたベルト22と、歯車式減速機構14と、クランク機構15とを備える。そして、マッサージの際、前記ベルト22が撓むなどして弾性変形することで、騒音の発生を軽減させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗髪時等における頭皮のマッサージや揉み出し洗い等に使用するマッサージ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種ものとして、駆動部と、前記駆動部によって動作する施療部とを有するマッサージ装置において、前記施療部が、可撓性を有する材質から成る板状の基板と、この基板の面に対して交差する方向に突出して設けられた複数の突起とで構成され、前記駆動部に、前記施療部の基板の周縁を前記駆動部に対する位置関係がほぼ固定された状態で保持される枠体を設けると共に、前記駆動部に、前記基板の面と交差する方向にこの基板を撓ませる往復駆動手段を設け、前記基板の中央部を、往復駆動手段によって前記基板の面と交差する方向に撓ませることで、前記複数の突起を繰り返し相互に開閉させるというものが知られている。そして、このマッサージ装置においては、前記駆動部として駆動用のモータを設けると共に、このモータのモータ軸に減速機構を介してクランク機構を設けて往復駆動手段を形成していた。
【特許文献1】特開2006−34941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術では、洗髪時等における頭皮のマッサージ又は揉み出し洗いの際に、頭皮に施療部の突起を比較的強く押し当てると、その押し当て力が前記往復駆動手段を介して前記モータ側からの伝達力に対する変動的な抵抗力となって伝達される虞がある。すなわち、頭皮に施療部の突起を比較的強く押し当てた状態で前記クランク機構に取り付けられたコンロッドが押し下げられる場合、前記押し当て力は前記クランク機構の回転数を低下させる抵抗力となり、一方、前記コンロッドが引き上げられる場合、前記押し当て力は抵抗力にはならないので、前記抵抗力は変動的なものとなる。そして、この結果、この抵抗力に起因して前記減速機構内部でほぼ周期的な騒音が生ずる虞がある。なお、このようなほぼ周期的な騒音は、前記モータの回転軸に取り付けられた歯車と減速機構の歯車とが噛合する一次減速部で最も多く発生する。これは、動力の伝達経路において、前記モータの回転数が一番速く、一次減速部で減速され、最終減速部では更に減速されるため、前記施療部から前記減速機構の最終減速部に変動的な抵抗力が加わって前記最終減速部の回転数がほぼ周期的に変動したとしても、その変動量は小さいが、前記一次減速部では大きな回転数の変動となってしまい、この一次減速部において噛合する歯車に最も大きなストレスが変動的且つほぼ周期的に加わってしまうことになるからである。そして、このようなマッサージ装置は耳に近い頭部で使用されるものであるため、騒音が発生するとうるさく感じやすいという問題があった。
【0004】
本発明は、モータの回転力を減速機構を介して往復駆動手段に伝達し、この往復駆動手段によって複数の突起を繰り返し相互に開閉させるマッサージ装置において、前記突起を比較的強く頭皮に押し当てることでその力がモータ側からの伝達力に対する変動的な抵抗力となるような場合等であっても、前記減速機構において発生する騒音を軽減することができるマッサージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、駆動部と、この駆動部によって動作する施療部とを有するマッサージ装置において、前記施療部が、可撓性を有する材質からなる板状の基板と、この基板の面に対して交差する方向に突出して設けられた複数の突起とで構成され、前記駆動部側に、前記施療部の基板の周縁を前記駆動部に対する位置関係がほぼ固定された状態で保持される枠体を設けると共に、前記駆動部に前記基板の面と交差する方向にこの基板を撓ませる往復駆動手段を連結したマッサージ装置であって、前記往復駆動手段が、駆動用のモータと、このモータのモータ軸を入力側とした減速機構と、この減速機構の出力側に一側を連結すると共に他側を前記基板に連結したクランク機構とを備えると共に、前記減速機構にはベルト伝達手段が介在していること特徴とするマッサージ装置である。
【0006】
また、請求項2の発明は、前記減速機構の減速歯車列中に、歯付きベルトが設けられた前記ベルト伝達手段が介在していること特徴とする請求項1記載のマッサージ装置である。
【0007】
更に、請求項3の発明は、前記モータと減速機構との間に前記ベルト伝達手段を設けると共に、このベルト伝達手段を介在させて一次減速が行われることを特徴とする請求項1記載のマッサージ装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、前記基板の昇降が阻止されるように抵抗力などが生じたような場合には、この抵抗力が歯車式の前記減速機構を介して前記モータ側に直接伝達しないように前記ベルトが撓むなどして弾性変形することで、前記抵抗力によるストレスが吸収されて騒音の発生を軽減することができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、減速歯車列に対してスリップ等がなく、伝動効率を向上することができる。
【0010】
請求項3の発明によれば、一次減速が行われるモータと減速機構との間に軟質のベルト伝達手段を介在させることで、ほぼ周期的な回転数変動によるストレスが最も大きくなって最も騒音が発生しやすい個所での騒音を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0012】
図1〜図8は実施例1を示している。1はマッサージ装置であり、このマッサージ装置1は、駆動部としてのマッサージ装置本体2と、その下部側に着脱自在に設けられた施療部3とを有している。そして、この施療部3は、基板4と、この基板4の下面に該下面と交差する方向である下方側に突出して一体に設けられた3種類の突起5,6,7とで構成されている。前記基板4は、平面視で楕円状であって、可撓性を有する軟質合成樹脂によって形成されている。そして、この基板4の縁4Aは、前記マッサージ装置本体2の下縁側にほぼ固定されている。なお、ここで言う「ほぼ固定」とは、固着或いは多少の動きを許容して固定するものであり、本実施例では、前記基板4の縁4Aを前記マッサージ装置本体2の下面に沿って形成した溝よりなる固定用の枠体8に嵌合させることで、両者を全周にわたって着脱自在に接続している。
【0013】
マッサージ装置本体2の下部には、平面視で楕円状の底板9が固定されていると共に、この底板9の中央部には上下方向を貫通する円形の窓孔10が形成されており、この窓孔10を覆って伸縮可能な覆い体11が設けられている。この覆い体11は、例えばゴム或いは合成ゴムや軟質合成樹脂等の可撓性を有する蛇腹状板材によって、前記窓孔10を封ずるように設けられている。そして、前記マッサージ装置本体2の内部には、前記基板4の中央部を上下方向に往復動させる往復駆動手段12が設けられている。この往復駆動手段12は、前記底板9上に設けられる駆動源としての駆動用のモータ13と、このモータ13に減速機構である歯車式減速機構14を介して接続されるクランク機構15と、このクランク機構15の偏心軸15Aに対して一側16Aが回動自在に連結されると共に、他側16Bが前記基板4の上面のほぼ中央に対して昇降自在に連結されたリンク棒のように昇降して往復運動を行うコンロッド部材16を備えている。なお、前記覆い体11のほぼ中央には接続中継部材17が一体的に設けられている。この接続中継部材17は、その上面側に前記コンロッド部材16の他側を接続すると共に、下面側に鉤形状のフック17Aが設けられており、このフック17Aに前記基板4中央の上面に設けられたフック受け部4Bが着脱自在に接続されている。従って、前記接続中継部材17は、前記クランク機構15を介して前記モータ13の回転作動に伴って上下往復運動を行うようになっている。これにより、前記フック受け部4Bが設けられた位置が、振幅が2Fとなる前記基板4における最大振幅部となり、前記フック受け部4B及び接続中継部材17を通って上下方向に中心軸線Xが形成される。また、前記マッサージ装置本体2の内部には、前記モータ13用の電池18が設けられており、さらに、前記マッサージ装置本体2の上面側表面には前記モータ13用のスイッチ19が設けられている。
【0014】
そして、図4乃至図6に示すように、前記モータ13のモータ軸13Aに固定された駆動側歯車20と前記歯車式減速機構14の第一の従動側歯車21との間には、ゴム或いは合成ゴム製のベルト22が掛け渡されると共に、このベルト22の内周面に、前記駆動側歯車20と前記第一の従動側歯車21に噛合可能な歯部23が連続的に形成されていることで、前記ベルト22は歯付きベルトとなっている。なお、前記第一の従動側歯車21は、回転軸24回りに回転自在に取り付けられている。また、前記駆動側歯車20の歯数は前記第一の従動側歯車21の歯数よりも少なく、従って、前記モータ13のモータ軸13Aの回転は、前記ベルト22を介して前記駆動側歯車20と第一の従動側歯車21との間で一次減速される。そして、前記第一の従動側歯車21と同軸且つ一体に、この第一の従動側歯車21より径小な第一の小歯車21Aが形成されており、この第一の小歯車21Aと第二の従動側歯車25とが噛合する。なお、この第二の従動側歯車25は、回転軸24A回りに回転自在に取り付けられている。そして、前記第二の従動側歯車25と同軸且つ一体に、この第二の従動側歯車25より径小な第二の小歯車25Aが形成されており、この第二の小歯車25Aと第三の従動側歯車26とが噛合する。なお、この第三の従動側歯車26は、回転軸24B回りに回転自在に取り付けられている。そして、前記クランク機構15は、前記第三の従動側歯車26と同軸且つ一体に形成された取付部27を介して、前記第三の従動側歯車26と同軸に固定されている。そして、前記駆動側歯車20の歯数が前記第一の従動側歯車21の歯数よりも少なく、前記第一の小歯車21Aの歯数が前記第二の従動側歯車25の歯数よりも少なく、前記第二の小歯車25Aの歯数が前記第三の従動側歯車26の歯数よりも少ないことで、前記モータ13の回転数は減速されて前記第三の従動側歯車26、ひいてはこの第三の従動側歯車26に固定されたクランク機構15に伝わることになる。
【0015】
さらに、前記回転軸24の軸受け24Cや前記モータ軸13Aの貫通孔28Aが、前記モータ13の前面に固定された固定板28に設けられている。また、この固定板28に間隔をおいて対向する仕切り板29には、前記回転軸24A,24Bの軸受け24D,24Eが設けられている。また、前記コンロッド部材16の一側16Aには、前記クランク機構15の偏心軸15Aが遊嵌可能な摺動案内路30が、前記クランク機構15に対向して溝状に形成されている。この摺動案内路30は、前記回転軸24Bの軸心方向及び前記中心軸線Xに対して直交するように水平に横長に形成されており、その横長方向の長さは前記クランク機構15の中心(回転軸26)から偏心軸15Aまでの偏心距離Fの2倍(2F)と同一或いはやや大きく形成されている。さらに、前記コンロッド部材16の前後、すなわち前記回転軸24Bの軸心方向の一方側及び他方側には、前記コンロッド部材16が昇降する際にこのコンロッド部材16を上下方向に案内する案内部材31が設けられている。この案内部材31の中央には、前記コンロッド部材16の昇降路31Aが下方を開口した孔によって形成されており、この昇降路31Aの一方の内壁に溝状の案内路32が上下方向に形成されており、この案内路32に対して上下方向に摺動する摺動部33が前記コンロッド部材16の両側に、前記摺動部33と対向して突設している。したがって、前記クランク機構15により前記偏心軸15Aが回動すると、この偏心軸15Aは前記摺動案内路30で摺動し、前記摺動部33が案内路32を摺動しながら前記コンロッド部材16は昇降を繰り返すことができるようになっている。
【0016】
前記施療部3について詳述する。前記突起5,6,7は、前記基板4のほぼ中央を上下に通る前記中心軸線Xを中心として、前記基板4の縁4Aに沿って配置される楕円状の仮想外側輪Oと、その内側に配置されるほぼ円状の仮想内側輪Iと、これらの間に配置されるほぼ円状の仮想中間輪Mにそれぞれ設けられている。
【0017】
前記仮想中間輪Mに沿って相互に間隔をおいて設けられる第一の突起5は、中心軸線Xを中心として相互に対向するように複数間隔をおいて設けられている。なお、本例において、前記第一の突起5は、円弧状に三つ並んだ群を軸対称となるように二個所に設けることで、合計六つ設けられている。そして、一方に三つ並んだ群の第一の突起5Aは、中心軸線Xを挟んで他方に三つ並んだ群の対向する第一の突起5Bに対向している。そして、前記第一の突起5における前記中心軸線Xに面する対向面34は、その先端35が先細に形成されると共に、その基端36に向かって次第に幅Wが大きくなるように形成されて前記基板4に一体に接続されていることで、前記対向面34は、先端35から基端36にかけてほぼ三角形状に形成されている。そして、前記対向面34は、その基端36側よりも先端35側が前記中心軸線Xからの距離Lが長くなるように、湾曲凸状に後退している。なお、前記第一の突起5における前記対向面34の最大幅は、ほぼ手指の幅程度に形成され、さらに、前記対向面34の最大高さは手指の先から第一関節までの長さにほぼ相当している。
【0018】
さらに、前記第一の突起5は、その対向面34の左右両側にそれぞれ側面37を一体に設けたほぼ三角錐状となって突設しており、そして前記第一の突起5は、板状の前記基板4の厚みとほぼ同じ厚みによって凸状に一体成形されたものであり、このために、前記第一の突起5の内部には中空部38が形成されると共に、この中空部38の上部には開口部38Aが設けられ、この上部開口部38Aを介して前記中空部38が前記基板4の上方、すなわちこの基板4と前記底板9の間の空間に連通するようになっている。一方、前記第一の突起5の対向面34の先端35寄りには、横長の連通部39が貫通して形成されており、この連通部39によって、前記中空部38と前記第一の突起5の外部とが連通している。
【0019】
また、前記仮想外側輪Oに沿って相互に間隔をおいて設けられる第二の突起6は、先端を丸くした円柱状であって、前記底板9側からの高さ距離H2が、前記第一の突起5における前記底板9側からの高さ距離H1よりも常時大きくなるように形成されている。すなわち、前記施療部3が図7の状態と図8の状態との間で変形することで、前記第一の突起5が上下に移動したとしても、前記第二の突起6は、その先端が前記第一の突起5の最も下位置となる位置よりも常時下方に位置するように形成されている。また、前記第二の突起6におけるその一本当たりの平面積は、前記第一の突起5の平面積よりも小さく形成されている。なお、複数本の前記第二の突起6からなる群が、平面が楕円形状の前記基板4における長軸方向の両側それぞれに配置されている。
【0020】
更に、前記仮想内側輪Iに沿って相互に間隔をおいて設けられる第三の突起7は、先端を丸くした四角柱状であって、その前記基板4からの高さH3は、前記第一の突起5における前記基板4からの高さH1´よりも小さく形成されている。また、前記第二の突起6におけるその1本当たりの平面積は、前記第一の突起5の平面積よりも小さく形成されている。
【0021】
次に、上記構成について、その作用を説明する。洗髪時等において頭皮Sのマッサージを行ったり揉み出し洗いを行ったりする場合、まず使用者は、前記マッサージ装置本体2を把持し、前記施療部3の第一及び第二の突起5,6の先端部を前記頭皮Sに押し当てて手で保持する。次に、前記スイッチ19を閉成すると、前記電池18から電力が給電されることで、前記モータ13が作動して前記モータ軸13Aが回転する。この回転に伴い、前記モータ軸13Aに前記歯車式減速機構14を介して接続された前記クランク機構15が回転し、このクランク機構15及びこのクランク機構15の偏心軸15Aに連結された前記コンロッド部材16によって、前記モータ軸13Aの回転運動が往復運動に変換され、前記コンロッド部材16に連結された前記接続中継部材17が上下に往復動する。
【0022】
なお、前記歯車式減速機構14において、前記モータ13のモータ軸13Aの回転は、前記駆動側歯車20、この駆動側歯車20と前記第一の従動側歯車21との間に掛け渡されたベルト22、前記第一の従動側歯車21及びこれと一体に設けられた前記第一の小歯車21A、前記第二の従動側歯車25及びこれと一体に設けられた前記第二の小歯車25A、前記第三の従動側歯車26及びこれと一体に設けられた前記取付部27を経て前記クランク機構15へと伝達できるようになっている。この際、前記モータ13のモータ軸13Aの回転は、前記駆動側歯車20と第一の従動側歯車21との間で前記ベルト22を介して一次減速され、前記第一の小歯車21Aと第二の従動側歯車25との間で二次減速され、前記第二の小歯車25Aと第三の従動側歯車26との間で最終減速される。そして、マッサージ時において、前記施療部3の突起5,6,7が頭皮Sに比較的強く当たるように前記マッサージ装置本体2を保持することで、前記基板4の昇降が阻害されるように変動的且つほぼ周期的な抵抗力が生じた場合、前述したように、一次減速部となる個所、すなわち前記駆動歯車20と第一の従動歯車21とベルト22との間に最も大きなストレスが変動的且つほぼ周期的に加わることになるが、このような一次減速部を構成する前記ベルト22の撓み等の弾性変形によってストレスが吸収されることで、最も騒音が発生しやすい一次減速部における騒音の発生を軽減することができる。
【0023】
そして、前記基板4は、前記接続中継部材17に接続された前記フック受け部4B、すなわち前記基板4中央が最大振幅箇所となるように、図7に示す下に撓んだ湾曲凸状態と図8に示す上に撓んだ湾曲凹状態との間で変形を繰り返し、その前記最大振幅個所における振幅は、前記クランク機構15の中心(回転軸24B)から偏心軸15Aまでの偏心距離Fの2倍(2F)となる。これにより、主として前記第一の突起5は、前記中心軸線Xを中心としてその内側方向に傾斜したり、或いはその後起立したりすることを繰り返すことで、前記頭皮Sを揉むようにしてマッサージを行うことができる。また、前記第三の突起7は、前記基板4の撓みによって、前記頭皮Sに対して当接と離間を繰り返すことで、前記頭皮Sを軽く叩くようにしてマッサージを行うことができる。
【0024】
なお、前記第二の突起6は、前記基板4の外周付近で且つ楕円形状の前記基板4における長軸方向の両側に形成されているので、前記基板4が撓んだとしても、多少揺動する程度で殆ど動かない。しかしながら、この殆ど動かない第二の突起6自体はマッサージを殆ど行わないものの、この第二の突起6によって前記マッサージ装置本体2と頭皮Sとの間隔が保たれることになり、前記施療部3を頭皮Sに必要以上に強く押し当ててしまうことが防止される。そして、前記施療部3を頭皮Sに必要以上に強く押し当ててしまうと、前記基板4の撓みによる前記第一の突起5の起倒に伴う反作用によって、前記マッサージ装置本体2、ひいてはそれを持つ使用者の手が前記中心軸線X方向に大きく振動したり、逆に前記施療部3が押し当てられた頭が大きく揺さぶられたりすることになり、前記第一の突起5によるマッサージが良好に行われないが、前記第二の突起6によって前記マッサージ装置本体2と頭皮Sとの間隔が保たれることで、前記施療部3が頭皮Sに対して必要以上に強く押し当てられず、前記マッサージ装置本体2を持つ使用者の手及び前記施療部3が押し当てられた頭が大きく揺さぶられることがないので、前記第一の突起5によるマッサージが良好に行われることになる。
【0025】
そして、前記基板4が図7の状態から図8の状態に変形する、すなわち前記基板4が湾曲凸状態から湾曲凹状態に撓むことで、前記第一の突起5が頭皮Sに当接した状態で内側に倒れることになり、前記第一の突起5によって前記頭皮Sが掴まれるようにマッサージされると同時に、洗髪剤等によって前記頭皮Sのみならず髪(図示せず)も洗浄されることになる。この際、前記第一の突起5の前記中心軸線Xに対向する対向面34が、その先端35側を先細に形成すると共に基端36側を次第に幅大に形成したほぼ三角形状に形成されていることにより、図7の状態では、前記対向面34の先端35よりもやや基端36寄りの部分が前記頭皮Sに柔らかく当たり、それから図8の状態に向かって変形するに従って、順次幅狭になる先端35側が頭皮Sに当たるようになるので、指先で揉むような指圧法のマッサージを行うことができる。さらに、前記第一の突起5は、その基端36側よりも先端35側が前記中心軸線Xから離間するように湾曲凸状に後退していることにより、前記第一の突起5が内側方向に傾斜したり起立したりして前記頭皮Sと接触する際に、前記対向面34が、その基端36側から先端35側にかけて頭皮Sを滑るように揉むことができる。また、前記第一の突起5は、前記中心軸線Xを中心として相互に対向するように複数間隔をおいて設けられていることにより、対向する前記第一の突起5A,5B相互間での揉み作用もなすことができる。更に、逆に前記基板4が図8の状態から図7の状態に変形する、すなわち前記基板4が湾曲凹状態から湾曲凸状態に撓む場合でも、前記第一の突起5によって指先のような柔らかいマッサージを行うことができる。
【0026】
また、前記基板4は、図7に示す下に撓んだ湾曲凸状態と図8に示す上に撓んだ湾曲凹状態との間で変形を繰り返す際、前記基板4と底板9の間の空間が圧縮、復元を繰り返すことになり、この結果、圧縮時においては前記基板4と底板9の間の空間の空気が前記連通部39から頭皮Sに向けて噴出するので、この空気圧によってもマッサージを行うことができる。
【0027】
以上のように、前記実施例おいては、駆動部としてのマッサージ装置本体2と、このマッサージ装置本体2によって動作する施療部3とを有するマッサージ装置1において、前記施療部3が、可撓性を有する材質からなる板状の基板4と、この基板4の面に対して交差する方向である下方に突出して設けられた複数の突起5,6,7とを備え、前記マッサージ装置本体2と一体的に、前記施療部3の基板4の周縁4Aを前記マッサージ装置本体2に対する位置関係がほぼ固定された状態で保持する枠体8を設け、前記マッサージ装置本体内2に、前記基板4の面と交差する上下方向にこの基板4を撓ませる往復駆動手段12を設けたマッサージ装置1であって、前記往復駆動手段12が、駆動用のモータ13と、このモータ13のモータ軸13Aを入力側とした歯車式減速機構14と、この歯車式減速機構14の出力側に一側を連結すると共に他側を前記基板4に連結したクランク機構15とを備え、前記歯車式減速機構14の駆動側歯車20と第一の従動側歯車21との間にベルト22を介在したことによって、前記基板4の昇降が阻害されるように変動的且つほぼ周期的に抵抗力が生じた場合、前記ベルト22の撓み等の弾性変形によってストレスを吸収し、ほぼ周期的な騒音の発生を軽減させることができる。また、前記歯車式減速機構14の各歯車の寸法誤差等に伴い、各歯車間の噛合状態の精度が多少低下して、騒音が生ずるような虞があっても、前記駆動側歯車20と第一の従動側歯車21との間に前記ベルト22を介在させたことによって、このベルト22の弾性変形等によって誤差が吸収されることで、騒音を軽減させることができる。更に、最も騒音が発生しやすい一次減速部を構成する前記駆動側歯車20と第一の従動側歯車21との間に前記ベルト22を介在させたことで、ほぼ周期的な騒音の発生をより軽減させることができる。
【0028】
また、前記歯車式減速機構14は、駆動側歯車21、第一の小歯車21A、第二の従動側歯車25、第二の小歯車25A、第3の従動側歯車26を備えた減速歯車列中に、複数の歯部23が形成された歯付きのベルト22を介在することで、プーリを備えた減速輪列中にベルトを介在したものと比較してスリップなどがなく伝動効率を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のように本発明に係るマッサージ装置は、各種の用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例1を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例1を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施例1を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の実施例1を示す歯車式減速機構周りの斜視図である。
【図5】本発明の実施例1を示す歯車式減速機構周りを3分割した斜視図である。
【図6】本発明の実施例1を示す歯車式減速機構周りの分解斜視図である。
【図7】本発明の実施例1を示す湾曲凸状態の基板周りの断面図である。
【図8】本発明の実施例1を示す湾曲凹状態の基板周りの断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 マッサージ装置
2 マッサージ装置本体(駆動部)
3 施療部
4 基板
4A 周縁
5 第一の突起
6 第二の突起
7 第三の突起
8 枠体
12 往復駆動手段
13 モータ
13A モータ軸
14 歯車式減速機構
15 クランク機構
20 駆動側歯車
21 第一の従動側歯車
21A 第一の小歯車
22 ベルト
23 歯部
25 第二の従動側歯車
25A 第二の小歯車
26 第3の従動側歯車


【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部と、この駆動部によって動作する施療部とを有するマッサージ装置において、前記施療部が、可撓性を有する材質からなる板状の基板と、この基板の面に対して交差する方向に突出して設けられた複数の突起とで構成され、前記駆動部側に、前記施療部の基板の周縁を前記駆動部に対する位置関係がほぼ固定された状態で保持される枠体を設けると共に、前記駆動部に前記基板の面と交差する方向にこの基板を撓ませる往復駆動手段を連結したマッサージ装置であって、
前記往復駆動手段が、駆動用のモータと、このモータのモータ軸を入力側とした減速機構と、この減速機構の出力側に一側を連結すると共に他側を前記基板に連結したクランク機構とを備えると共に、前記減速機構にはベルト伝達手段が介在していること特徴とするマッサージ装置。
【請求項2】
前記減速機構の減速歯車列中に、歯付きベルトが設けられた前記ベルト伝達手段が介在していることを特徴とする請求項1記載のマッサージ装置。
【請求項3】
前記モータと減速機構との間に前記ベルト伝達手段を設けると共に、このベルト伝達手段を介在させて一次減速が行われることを特徴とする請求項1記載のマッサージ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−252669(P2007−252669A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−81761(P2006−81761)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【Fターム(参考)】