説明

マッサージ装置

【課題】顔など各種の部位を手軽にマッサージすることができるマッサージ装置を提供する。
【解決手段】パッド1を体表面Fに密着させ、始動スイッチをONにすると、ポンプ22及び加圧空気供給機33が始動する。これにより、温水タンク21内の温水がフィルタ23、配管13、流量調節バルブ11を介してノズル3に供給され、ノズル3から体表面Fに向って噴出され、体表面のマッサージが行われる。体表面Fに当った水は、空気孔5から吸引される空気と共に、パッド1の流出口4から配管14を介してエゼクタ34に吸引され、温水タンク21へ返送される。手以外の体表面であってもマッサージを手軽に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔などの体表面に液を当ててマッサージするマッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
手に水を当てて手をマッサージするマッサージ器として、特開平10−263032号公報に記載されたものがある。
【0003】
同号公報のマッサージ器は、内部にシャワー室を有しており、側面に該シャワー室内への手の挿入口が設けられた容器(同号公報では呼称なし。)と、該容器内に設置された貯水タンク及び湯沸装置と、シャワー室の天井面に設置された、該湯沸装置からの温水を下方に向って噴出するシャワー等を備えている。
【0004】
同号公報のマッサージ器により手をマッサージする場合には、手を容器の側面の挿入口からシャワー室内に差し込み、シャワーから噴出した温水を手に当てて手をマッサージする。
【特許文献1】特開平10−263032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特開平10−263032号公報のマッサージ器にあっては、シャワー室内に差し込んだ手にシャワーからの噴出水を当ててマッサージを行うようにしており、手についてはマッサージを行うことが可能であるが、顔などの部位についてはマッサージを行うことができない。
【0006】
本発明は、顔など各種の部位を手軽にマッサージすることができるマッサージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(請求項1)のマッサージ装置は、使用者の体表面に当接されるパッドであって、該体表面とパッドとで囲まれる空室を形成するパッドと、該空室内から該体表面に向って液を噴出するノズルと、該ノズルに液を供給する給液手段と、該空室内を吸引する吸引手段とを有するものである。
【0008】
請求項2のマッサージ装置は、請求項1において、前記パッドは軟質材料よりなり、体表面に密着可能となっていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3のマッサージ装置は、請求項1又は2において、前記パッドに流出口と空気流入孔とが設けられており、該流出口に吸引用配管を介して前記吸引手段が接続されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4のマッサージ装置は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記給液手段は、温液と冷液とを供給可能であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5のマッサージ装置は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記吸引手段で吸引した液を浄化処理手段で浄化処理し、前記ノズルに供給するように構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のマッサージ装置にあっては、パッドを体表面に当て、ノズルから液を体表面に噴出し、マッサージを行う。本発明では、このようにパッドを体表面に当て、該パッド内の空室にて液を噴出させるので、液が周囲に飛び散ることがない。そのため、顔や腕、肩、腰など手以外の部位についても手軽にマッサージを行うことができる。
【0013】
このパッドを軟質材料にて構成し、体表面に密着させることにより、マッサージ中にパッドから液が漏れ出すことが防止される。
【0014】
このパッドに設けた流出口から液を吸引排出する場合、パッドに空気流入孔を設けておくと、吸引時に空気が空室内に流入するので、空室内の液を空気と共に効率よく吸引排出することができる。また、パッドが体表面に過度に強力に吸い付くことも防止される。
【0015】
本発明では、ノズルから温液と冷液とのいずれをも噴出可能とし、例えば温液と冷液とを交互に噴出することにより、マッサージ効果を高めることができる。
【0016】
本発明では、パッドから吸引した液を浄化処理して再度ノズルに供給することにより、液の使用量を節約することができる。また、マッサージ装置を給水設備のない箇所に設置することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0018】
第1図は実施の形態に係るマッサージ装置のフロー図、第2図はマッサージ装置のパッド付近の断面図、第3図はパッドの斜視図、第4図はマッサージ装置の全体図である。
【0019】
第2図の通り、パッド1は体表面(この実施の形態では顔面側部)Fに押し当てて使用されるものである。パッド1は軟質ゴム又は合成樹脂(例えばシリコーン樹脂)製のものであり、複数の蛇腹部1a,1bを有し、体表面Fに柔軟に密着可能となっている。
【0020】
パッド1は、内部が空洞状となっており、体表面Fに押し当てると、パッド1と体表面Fとによって囲まれた空室2が形成される。
【0021】
この空室2内に、体表面Fに向って水を噴出するようにノズル3が設けられている。パッド1には、この水を流出させるための流出口4が設けられると共に、水の吸引排出時に空室2内に空気を流入させるように空気流入孔(以下、空気孔と略)5が設けられている。
【0022】
パッド1の後端側は筒状部6となっており、この筒状部6に円筒状のグリップ10が嵌着されている。この実施の形態では、グリップ10の先端が筒状部6内に差し込まれることにより固定されている。
【0023】
グリップ10内には流量調節バルブ11が設置されており、この流量調節バルブ11の流量調節ダイヤル11aがグリップ10の外面に配置されている。前記ノズル3は、その後端がこの流量調節バルブ11に接続され、先端が空室2内に突出している。
【0024】
グリップ10の後端には柔軟に屈曲可能なゴム又は合成樹脂製のホース12が接続されている。このホース12内に給水配管13と排水配管14が引き通されている。給水配管13は、グリップ10内の流量調節バルブ11に接続されている。排水配管14は、グリップ10の筒壁を通ってパッド1の流出口4に接続されている。
【0025】
第1図及び第4図の通り、マッサージ装置のマシンケーシング20内に温水タンク21が設置されており、温水タンク21内の温水がポンプ22、水浄化処理用のフィルタ23を介して給水配管13に供給される。なお、フィルタ23の出口側は、リリーフバルブ24を有したリリーフ配管25を介して温水タンク21に接続されており、所定圧の温水がフィルタ23、配管13、流量調節バルブ11を介してノズル3に供給されるように構成されている。
【0026】
温水タンク21には水位センサ26が設けられ、所定水位となるように給水弁27を介して水道水などの給水が導入可能とされている。なお、水は水道水に限定されるものではなく、薬剤や芳香剤などを添加した液であってもよい。
【0027】
温水タンク21の下部にはヒータ28及び温度センサ29が設けられており、温水タンク21内に所定温度の温水が貯留されるよう構成されている。温水タンク21の下部には、排水バルブ31を有した排出配管30が接続されている。
【0028】
前記排水配管14の末端は、マシンケーシング20内に設置された吸引手段としてのエゼクタ34の吸引部に接続されている。このエゼクタ34の作動流体流入口にはコンプレッサ等の加圧空気供給機33から加圧空気が導入され、配管14を介してパッド1内の水を吸引し、配管35を経て温水タンク21へ返送するよう構成されている。温水タンク21の頂部の空気逃がし口には水滴捕集部36が設けられている。
【0029】
第4図の通り、ケーシング20のスイッチパネル37には、始動・停止操作スイッチのほか、作動時間設定スイッチ、作動形態選択スイッチ、ノズル噴出水量、温水温度等を調節するための各種スイッチや、動作状態を表示するランプ、インジケータ等が設けられている。ケーシング20内にはホース12の巻取機構が設けられており、必要な長さだけホース12を引き出して使用することが可能となっている。ホース12をすべて巻き取ったときにパッド1及びグリップ10がケーシング20内に収容されるようにしてもよい。この場合、収容したパッド1及びグリップ10を隠すカバーを設けてもよい。
【0030】
このように構成されたマッサージ装置において、パッド1を体表面Fに密着させ、始動スイッチをONにすると、ポンプ22及び加圧空気供給機33が始動する。これにより、温水タンク21内の温水がフィルタ23、配管13、流量調節バルブ11を介してノズル3に供給され、ノズル3から体表面Fに向って噴出され、体表面Fに噴出水が当ってマッサージが行われる。体表面Fに当った水は、空気孔5から吸引される空気と共に、パッド1の流出口4から配管14を介してエゼクタ34に吸引され、温水タンク21へ返送される。
【0031】
このようにして、体表面Fのツボ等がノズル噴出水でマッサージされる。なお、マッサージの強さをダイヤル11aによって調節することができる。この実施の形態では、水の噴出は空室2内でのみ行われ、パッド1外には飛散しないので、手以外の体表面であってもマッサージを手軽に行うことができる。この実施の形態のマッサージ装置は、特に顔面や首などのマッサージを行うのに好適である。
【0032】
また、この実施の形態では、ケーシング20内に温水タンク21を設置し、噴出水を該温水タンク21に戻して再度噴出水として利用するので、節水になると共に、水道の蛇口や排水設備が無い箇所にマッサージ装置を設置することができる。この実施の形態では、パッド1に空気孔5を設けているので、パッド1内の水が空気と共にスムーズに配管14へ流出する。また、パッド1内が過度に減圧状態となることがなく、パッド1が過度に強く体表面に吸い付くことも防止される。
【0033】
この実施の形態では、ノズル3から温水を噴出するので、使用者に突然に冷水(例えば常温水)が噴出されることがなく、快適に使用することができる。ただし、夏季などにあっては、温水の代わりに室温程度の温度の常温水を噴出するようにしてもよく、場合によっては冷却器を組み込んで低温水を噴出するようにしてもよい。
【0034】
また、本発明では、温水と冷水(常温水や冷たい低温水)とを交互に噴出し、マッサージ効果を高めるようにしてもよい。噴出水量を周期的に増減させてもよい。
【0035】
上記実施の形態では、1台のマシンケーシング20に1組のパッド1及びホース12が接続されているが、複数組のパッド及びホースを接続してもよい。
【0036】
この実施の形態では、使用する液は水道水でよく、使用後の水は下水に流すことができる。また、家庭や事務所の電源で使用でき、ランニングコストが安い。
【0037】
この実施の形態のマッサージ装置は、コンパクトで軽量となるため、手軽に移動させることができる。なお、マシンケーシング20にキャスタを設け、移動させ易くしてもよい。
【0038】
この実施の形態によれば、水に香りや天然素材の既知の薬効成分を加えることにより、温水加圧水のツボ刺激効果以上の付加的な効果を期待することもできる。
【0039】
上記実施の形態では、流量調節バルブ11を閉めてノズル3への温水の流れを止めた場合には、温水タンク21内の温水がポンプ22、水浄化用のフィルタ23、リリーフバルブ24を有したリリーフ配管25を介して温水タンク21に戻るラインを循環するため、温水タンク21内の温水がフィルタ23により清浄に保たれる。
【0040】
なお、上記のフィルタ23のフィルタエレメントは定期的に交換するのが好ましい。フィルタの代わりに又はフィルタと共に、その他の浄化手段(例えば紫外線殺菌器など)を設けてもよい。フィルタとしては、不織布、スポンジ等の濾材のほか、活性炭など各種のものを用いることができる。
【0041】
本発明では、メンテナンスの為に、洗浄液タンクを設置し、スイッチパネル37のメンテナンススイッチを押すと自動洗浄が始まり、装置内の洗浄が行われるよう構成してもよい。この場合、使用後の洗浄液を配管30から排出する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施の形態に係るマッサージ装置のフロー図である。
【図2】マッサージ装置のパッド付近の断面図である。
【図3】パッドの斜視図である。
【図4】マッサージ装置の全体図である。
【符号の説明】
【0043】
1 パッド
2 空室
3 ノズル
5 空気流入孔(空気孔)
10 グリップ
11 流量調節バルブ
12 ホース
21 温水タンク
22 ポンプ
23 フィルタ
28 ヒータ
34 エゼクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の体表面に当接されるパッドであって、該体表面とパッドとで囲まれる空室を形成するパッドと、
該空室内から該体表面に向って液を噴出するノズルと、
該ノズルに液を供給する給液手段と、
該空室内を吸引する吸引手段と
を有するマッサージ装置。
【請求項2】
請求項1において、前記パッドは軟質材料よりなり、体表面に密着可能となっていることを特徴とするマッサージ装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記パッドに流出口と空気流入孔とが設けられており、該流出口に吸引用配管を介して前記吸引手段が接続されていることを特徴とするマッサージ装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記給液手段は、温液と冷液とを供給可能であることを特徴とするマッサージ装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記吸引手段で吸引した液を浄化処理手段で浄化処理し、前記ノズルに供給するように構成されていることを特徴とするマッサージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−51529(P2010−51529A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219487(P2008−219487)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】