マットレス及び固有の輪郭特徴を有するマットレス置換システム
【課題】下半身部分の方向調節機能を有するマットレスの提供。
【解決手段】ベッドフレーム22上で使用するマットレスは、下半身部分42及び上半身部分40を有する。マットレス上半身部分40は、マットレスが置かれているフレーム22上の上半身部分の方向に応じて方向調節可能である。マットレス下半身部分42の少なくとも一部60は、マットレス上半身部分40の方向に応じて、フレームの下半身部分の形状調節に依存することなく、形状調節が可能である。
【解決手段】ベッドフレーム22上で使用するマットレスは、下半身部分42及び上半身部分40を有する。マットレス上半身部分40は、マットレスが置かれているフレーム22上の上半身部分の方向に応じて方向調節可能である。マットレス下半身部分42の少なくとも一部60は、マットレス上半身部分40の方向に応じて、フレームの下半身部分の形状調節に依存することなく、形状調節が可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載された主題は、マットレスの上半身部分の方向に対応して形状が調節可能であるが、マットレスの形状調節可能部分が置かれているベッドフレームの部分の調節機能とは独立している部分を有するマットレスに関連する。マットレス及び関連するマットレス置換システムの適用の一例は、病院及び他の医療施設で使用されるタイプのベッドの構成要素としての例である。
【背景技術】
【0002】
医療施設及び時に在宅介護の場で使用されるタイプのベッドには、縦方向にセグメント化または分割されたベッドフレーム及びフレーム上に支持されたマットレスが含まれる。典型的なベッドフレーム部分には、使用者の胴体にほぼ対応する上半身または胴体部分と、使用者の臀部にほぼ対応するシート部分と、使用者の大腿にほぼ対応する大腿部分と、使用者のふくらはぎ及び足にほぼ対応するふくらはぎ部分とが含まれる。シート部分と、大腿部分と、ふくらはぎ部分とを総称して下半身部分と言い、大腿部分とふくらはぎ部分とを総称して脚部分と言う場合がある。上半身部分は、実質的に水平方向からより垂直方向、一般的には水平に対して約65°または70°まで方向調節が可能である。大腿部分及び足部分は、これらの部分の共に隣接する末端が隆起頂点を規定するように、逆の回転方向に方向を調節することもできる。上半身部分と、大腿部分と、ふくらはぎ部分との調節機能により、ユーザーはフレームの輪郭または形状を制御することができる。フレームの上半身部分と、シート部分と、大腿部分と、ふくらはぎ部分とに重なるマットレスの部分は、マットレスの上半身部分と、シート部分と、大腿部分と、ふくらはぎ部分と呼ばれている。マットレスは、その輪郭がフレームの輪郭に一致するようにフレームに取り付けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さまざまなフレーム部分の調節機能、及びマットレスの順応性は、使用者の快適さに寄与し得る。例えば、上半身部分が水平に対して約65°または70°までの方向であり、使用者が脚の膝を曲げて仰臥位である時、大腿とふくらはぎ部分が、マットレスが使用者の脚を完全に支持するような方向になっていることは珍しくない。調節機能は、上半身部分がより水平な方向からより水平でない(すなわち、より垂直な)方向に変化する時に、上半身部分が使用者をベッドの足の方に押す固有傾向を緩和するのにも役立ち得る。例えば、上半身部分が上方に回転する(水平から遠ざかる)につれて、大腿部分及びふくらはぎ部分は水平から非水平に同時に回転し得る。大腿部分の回転により、対応するマットレス部分は、上半身部分が使用者を足元の方へと押す傾向に抵抗する傾斜に配置される。
【0004】
一部のベッドフレームは、上述の調節機能の全範囲を備えていない場合がある。例えば、一部のフレームは記載されたような調節可能な上半身部分を有するが、調節可能な大腿部分及びふくらはぎ部分は持たない場合がある。結果として、ベッドは上半身部分が使用者を足元の方へと押す傾向を打ち消すことができない。このため、介護者が、使用者を再配置する必要があり得る。この再配置は、介護者が他の仕事をする時間を奪い、介護者への傷害リスクを伴う。さらに、マットレスに沿った使用者の不随意の移動は、使用者の皮膚及び軟組織にストレスと伸びを与え、皮膚障害のリスクをもたらす。
【0005】
従って、フレームの調整機能の欠如、特に下半身部分の方向調節機能の欠如を補うことができるマットレスを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
下半身部分及び方向調節可能な上半身部分を有するベッドフレーム上で使用するマットレスは、マットレス下半身部分及びマットレス上半身部分を含む。マットレス上半身部分は、フレーム上半身部分の方向調節に応じて方向を調節可能である。マットレス下半身部分の少なくとも一部は、マットレス上半身部分の方向に応じて、フレーム下半身部分の形状調節に依存することなく、形状調節が可能である。
【0007】
マットレス置換システムは、方向調節可能な上半身部分及び下半身部分を有するマットレスと、上半身部分の方向を測定するための方向センサーと、を含む。マットレス下半身部分の少なくとも一部は、マットレス上半身部分の測定方向に対応して形状を調節することができる。
【0008】
本明細書に記載したマットレス及びマットレス置換システムの多様な実施態様の前述及びその他の機能は、下記の詳細な説明及び付属の図面でより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】基準状態(実線)及び形状のある状態(破線)、さらにマットレスの上半身部分の角度方向αを測定するための角度方向センサーを有する加圧可能な空気袋を含む形状調節可能領域を有する本明細書に記載のマットレスを示している、病院ベッドの概略側面図である。図1Aは、角度方向センサーと図1のコントローラーとの間、及びコントローラーとコントローラーによって制御されるハードウェアとの間の通信を示している概略図である。
【図2】図1と類似の図で、空気袋のジャケットは空間的に変化する弾性を有する。図2Aは、縦方向の位置の関数としての図2の空気袋の弾性のグラフである。
【図3】図1と類似の図で、空気袋はより楕円形の断面形状を有する。
【図4】図1と類似の図で、空気袋は基礎の上に置かれている。
【図5】図1と類似の図で、オーバーレイは空気袋の上に位置する。
【図6】図5及び図5Aと類似の図で、オーバーレイは2つ以上のオーバーレイセグメントを含む。
【図7】図1と類似の図で、調節可能領域は複数の加圧可能な空気袋を含む。
【図8】図7と類似の図で、空気袋は基礎の上に置かれている。
【図9】図5及び図5Aに類似の図で、オーバーレイは空気袋の上に位置する。
【図10】図8と類似の図で、変化する高さの基礎を示している。
【図11】図7と類似の図で、複数の空気袋は蛇腹式空気袋である。
【図12】空気袋膨張の変化例を、マットレスの上半身部分の角度方向αの関数として示しているグラフである。
【図13】空気袋膨張の変化例を、マットレスの上半身部分の角度方向α及び形状調節可能領域内の縦方向の位置の関数として示しているグラフである。
【図14】空気袋膨張の変化例を使用者の体重の関数として示しているグラフである。
【図15】空気袋膨張の変化例を使用者の身長の関数として示しているグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、病院ベッド20は、ベースフレーム22と、矢印Vで示されるようにベースフレームに対して縦に移動することのできる上昇可能なフレーム24とを含む。ベッドは、縦方向には頭側端部26から足側端部28まで、また横方向には左側(図の平面中にある)から右側まで伸びる。キャスター32は、ベースフレームから床34まで伸びる。上昇可能フレーム24は、使用者の胴体にほぼ対応する上半身または胴体部分40を含む。上半身部分40は、角度αを通して、実質的に水平方向(0°)からより垂直方向まで方向調節が可能である。フレームは、使用者の臀部と、大腿と、ふくらはぎと、にほぼ対応する下半身部分42も含む。下半身部分は、使用者の臀部及び脚にそれぞれほぼ対応するシート部分44及び脚部分46を含むことが考えられ、脚部分46は、使用者の大腿及びふくらはぎにそれぞれほぼ対応する大腿部分48及びふくらはぎ部分50を含むことが考えられ得る。しかし、この明細書の背景に記載されたフレームとは異なり、ふくらはぎ部分及び大腿部分は方向を調節することができない。
【0011】
ベッド20は、上半身または胴体部分と、シート部分と、大腿部分と、ふくらはぎ部分と、を有し、それぞれが使用者の胴体と、臀部と、大腿と、ふくらはぎと、にほぼ対応するマットレス56も含む。マットレスとフレーム部分の対応のため、マットレス部分は対応するフレーム部分を特定するのに使用されるものと同じ参照数字40、42、44、46、48、50で特定される。マットレスは、マットレス上半身部40がフレーム上半身部の角度方向のあらゆる変化に呼応して変化するような、任意の適切な方法で上昇可能フレームに取り付けられる。マットレス上半身部分の角度方向は、フレーム上半身部分の角度方向と実質的に同じであるため、両方の方向を示すために記号αを使用する。傾斜計などの角度方向センサー58が、角度方向αを測定するためにマットレスに取り付けられる。以下にさらに詳細に記載されるように、マットレス下半身部分42の少なくとも一部を含むマットレス領域60は、マットレス上半身部分の方向αに応じて、フレーム下半身部分の形状調節機能に依存することなく形状調節が可能である。
【0012】
マットレス下半身部分42の形状調節可能領域60は、空気袋の内部領域72と隣接するジャケット70を有する加圧可能な空気袋62を少なくとも1つ含む。供給バルブ76付きの流体供給ライン74は、圧縮機78などの流体源に空気袋を接続する。排出バルブ84付きの流体排出ライン82は、ポンプ86などの吸引装置に空気袋を接続する。コントローラー90は、圧縮機78と、吸引装置86と、バルブ76、84とに加圧流体(一般的には空気)を空気袋に入れ、流体を空気袋から放出するよう命令する。結果として、マットレスの形状調節可能部分の基準マットレス高さHBに応じて、空気袋を基準状態で配置することができる。基準高さHBは、マットレスの縦方向に隣接した部分の高さH1、H2とほぼ同じである。結果として、形状調節可能領域60の基準状態は、マットレス下半身部分の実質的に平らな形状に対応する。空気袋はまた、基準高さHBとは異なり、縦方向に異なる場合もある形状のあるマットレス高さHPに対応する形状の状態にも、配置することができる。例証の実施態様では、基準状態は、空気袋を基準膨張圧力まで膨張させて達成し、形状のある状態は空気袋をより高い圧力まで過剰膨張させて達成する。
【0013】
図2は、空気袋ジャケット70の最上部が空間的に変化する弾性を有する変形例を示している。より具体的には、図2Aに示されるように、ジャケットは空気袋の縦方向の端では比較的堅く、縦方向の中間点の近くでは比較的弱い。変化する弾性は、形状のある状態における空気袋の形状に影響を与える。例えば、図2の不均一な弾性の空気袋の形状のある状態の断面図はほぼ三角形であるのに対し、図1の均一な弾性の空気袋の形状のある状態の断面図はほぼ四角形である。図3に見られるように、空気袋の断面形状と構造はまた、その形状のある状態における空気袋の形に影響を与えるために使うこともできる。例えば、図1の空気袋は、基準状態と形状のある状態との両方で実質的に四角形の断面形状を有するのに対し、図3の空気袋は、両方の状態でより楕円形の断面を有する。
【0014】
図4及び図4Aを参照するが、マットレスの別の変形例は、空気袋62の下にフォーム状の基礎94を含む。基礎は、剛体材料を含む他の適切な材料で作られ得る。さらに、基礎は、マットレスの構成部分または特性というよりは、フレーム24の構成部分または特性であり得る。図4及び図4Aの実施態様では、マットレスの基準状態(図4)は、実質的に空気袋の空気を抜いて達成し、マットレスの形状のある状態(図4A)は、空気袋を適切な膨張圧力まで膨張させて達成される。
【0015】
図5及び図5Aは、マットレスが、空気袋の上に位置しマットレスの縦方向の隣接部分に固定されているフォーム状オーバーレイ96を含む別の構造を示している。図5の基準状態では、空気袋は基準圧力まで膨張させ、下半身部分に沿って実質的に平らなマットレス形状をもたらす。図5Aの形状のある状態では、空気袋は過剰膨張しており、オーバーレイをゆがめ、マットレスの形状のある状態を規定する。
【0016】
図6及び図6Aは、オーバーレイ96が、マットレスの隣接部分108に固定された足側端部セグメント100などの2つ以上のオーバーレイセグメント、マットレスの隣接部分110に固定された頭側端部セグメント104、及び頭側及び足側端部セグメントに固定された中間セグメント102を含む別の変形例を示している。図6の基準状態では、オーバーレイセグメントが水平に並び、結果として下半身部分に沿って実質的に平らなマットレス形状になるように、空気袋62は基準圧力まで膨張している。図6Aの形状のある状態では、空気袋は過剰膨張しており、オーバーレイセグメントが曲線のマットレス形状114を形作っている。
【0017】
図7〜図11は、形状調節可能領域60での2つ以上の空気袋の使用を示している。図7の実施態様は、頭側、中間、足側端部の空気袋62H、62M、62Fを用いているが、それ以外は、基礎94(図4、図4A)又はオーバーレイ96(図5、図5A)も使用されていない点で図1の実施態様と類似している。基準状態では、空気袋は、空気袋の基準高さh1B、h2B、h3Bにほぼ等しくなるまで膨張しており、結果として下半身部分に沿って実質的に平らなマットレス形状になる。形状のある状態では、空気袋は、異なる高さh1P、h2P、h3Pに膨張しており、これによって、縦方向に変化する高さHPを有する曲線のマットレス形状114を規定する。
【0018】
図8の実施態様は、基礎94が複数の空気袋62の下にあるという点で、図4、図4Aの実施態様と類似している。基準状態では、空気袋は、空気袋の基準高さh1B、h2B、h3Bにほぼ等しくなるまで膨張しており、結果として下半身部分に沿って高さHBの実質的に平らなマットレス形状になる。形状のある状態では、マットレスが縦方向に変化する高さHPを有する曲線の形状114を有するように、空気袋は、異なる高さh1P、h2P、h3Pに膨張させられている。
【0019】
図9の実施態様は、オーバーレイ96が空気袋62の上に位置し、マットレスの縦方向の隣接部分に固定されているという点で図5と図5Aの実施態様と類似している。基準状態では、空気袋は、空気袋の基準高さh1B、h2B、h3Bにほぼ等しくなるまで膨張しており、結果として下半身部分に沿って高さHBの実質的に平らなマットレス形状になる。形状のある状態では、空気袋は不均一な高さh1P、h2P、h3Pに膨張しており、これによって、オーバーレイを歪めて縦方向に変化する高さHPを有する曲線形状を達成する。
【0020】
図10の実施態様では、マットレスは、高さが縦方向に変化する基礎を含む。足側端部の基礎部分120の高さはhF1、中間基礎部分122の高さはhF2、頭側端部の基礎部分124の高さはhF3である。足側、中間、頭側端部の空気袋62F、62M、62Hは、それぞれの基礎部分の上に置かれている。基準状態では、空気袋は、基準高さh1B、h2B、h3Bに膨張しており、結果として下半身部分に沿って高さHBの実質的に平らなマットレス形状になる。形状のある状態では、空気袋が形状のある状態でのマットレス高さHPが縦方向に変化して、下半身部分に沿った縦方向に変化するマットレスの所定の高さを達成するように、空気袋は形状のある高さh1P、h2P、h3Pまで膨張している。
【0021】
図11及び図11Aの実施態様では、空気袋62は、固定端部126及び拡張可能端部128をそれぞれ有する蛇腹式空気袋である。図11の基準状態では、空気袋は実質的に空気が抜かれて、結果として下半身部分に沿った高さHBの実質的に平らなマットレス形状になる。図11Aの形状のある状態では、図に示されるように拡張して、縦方向に変化する高さHPを有するマットレス形状を規定するように、空気袋が膨張している。
【0022】
作動中、角度方向センサー58は、マットレスまたはフレームの上半身部分40の角度方向を感知する。コントローラー90は、角度方向の測定値を受信し、それに反応してバルブ76、84と、圧縮機78と、吸引装置86(図1A)との適切な作動を命令して、空気袋または形状調節可能領域の空気袋の内部圧力を調節し、それにより、調節可能領域が置かれているベッドフレーム部分の調節機能がないにもかかわらず、マットレス形状を調節する。方向角度αの値の増加に応じてマットレスを基準状態から形状のある状態に移行することにより、使用者の大腿と臀部に面した形状調節可能領域60部分は、上半身部分が使用者をベッドの足側端部28に向かって押す傾向に逆らうのに役立つことがある。図12は、例えば、αの関数としての空気袋の圧力及び/又は空気袋の高さhPを表す空気袋の膨張のグラフを示している。このような関係及び下記に記載の関係は、等式または参照表としてコントローラーに組み込むことができる。
【0023】
マットレスが、形状調節可能領域(図7〜図11)に複数の空気袋を使用している場合、空気袋は異なるように(例えば、異なる圧力及び/又は異なる高さに)膨張され得る。例として図7の空気袋構造を使用するが、図13は、αと形状調節可能領域内の空気袋の縦方向位置の両方の関数としての空気袋の膨張のグラフを示している。例では、中間空気袋62Mは、頭側端部または足側端部の空気袋62H、62Fのいずれかよりも大きな膨張にさらされる。
【0024】
使用者の身体計測特性及び形態も、空気袋の適切な膨張を決定するために考慮され得る。図14は、使用者の体重の関数としての、任意の空気袋の膨張のグラフ関係を示している例である。図15は同様に、使用者の身長の関数としての任意の空気袋の膨張を示している。これらの関係は、図12及び/又は図13の関係の改良点として使用するか、または独立して使用し得る。
【0025】
商慣行では、マットレスは、他の構成要素がフレームを含むベッドの一構成要素として提供され得る。マットレスはまたマットレス置換システムとして顧客に提供することもでき、この場合マットレスは顧客の既存のベッドフレーム上に設置される。マットレス置換システムは、マットレス20のみを含む、または圧縮機78、吸引装置86、配管構成要素(例えば、供給及び排出ライン74、82及びバルブ76、84)、制御理論ボード、ソフトウェア、角度方向センサー58などの他の構成要素を含み得る。角度方向センサーは、マットレスに事前取り付けされているか、またはマットレスまたはフレーム上半身部分40に取り付け可能な別の構成要素であり得る。
【0026】
前述を考慮すると、記載されたマットレス及びマットレス置換システムの特定の付加的態様がより良く理解される。
【0027】
いくつかの実施例は、マットレスの基準状態を空気袋(1つ又は複数)の基準膨張に対応するものとして表現し、また形状のある状態を空気袋(1つ又は複数)の過剰膨張に対応するものとして表現している。しかし、基準状態は、空気袋(1つ又は複数)の不十分な膨張または収縮に対応し、形状のあるマットレス状態は空気袋(1つ又は複数)のより高い膨張に対応し得る。
【0028】
異なる空気袋の高さは、多くの満足いく方法で達成可能であり、例えば、異なる空気袋のサイズ、異なる膨張圧力、弾性特性の異なる(または変化する)空気袋の使用、またはこれらの組み合わせにより達成し得る。変化するマットレスの高さもまた、いくつかの適切な方法で達成可能であり、例えば、異なる空気袋の高さの使用により、または異なる高さの基礎上に支持されている同じ高さの空気袋を使用することにより、またはこれらの組み合わせにより達成し得る。
【0029】
前述の開示は、上半身部分の方向変化に応えたベッド使用者の不随意移動に対抗することの利益を強調しているが、マットレスベースの輪郭形成能力(mattress-based contour capability)は、使用者の快適性を高めるためにも有益であり得る。
【0030】
マットレス及びマットレス置換システムは、大腿及びふくらはぎ部分に方向調節機能がないベッドフレームで記述されている。しかしながら、本明細書に記載のマットレス及びマットレス置換システムは、このような調節機能を有するフレーム上でも使用でき、この場合フレームの調節機能の使用は必要ない。
【0031】
ここの開示では具体的な実施形態を参照しているが、当業者であれば、付随の請求項で規定される主題から逸脱することなく、形態や詳細に対してさまざまな変更を行うことができることを理解されるであろう。
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載された主題は、マットレスの上半身部分の方向に対応して形状が調節可能であるが、マットレスの形状調節可能部分が置かれているベッドフレームの部分の調節機能とは独立している部分を有するマットレスに関連する。マットレス及び関連するマットレス置換システムの適用の一例は、病院及び他の医療施設で使用されるタイプのベッドの構成要素としての例である。
【背景技術】
【0002】
医療施設及び時に在宅介護の場で使用されるタイプのベッドには、縦方向にセグメント化または分割されたベッドフレーム及びフレーム上に支持されたマットレスが含まれる。典型的なベッドフレーム部分には、使用者の胴体にほぼ対応する上半身または胴体部分と、使用者の臀部にほぼ対応するシート部分と、使用者の大腿にほぼ対応する大腿部分と、使用者のふくらはぎ及び足にほぼ対応するふくらはぎ部分とが含まれる。シート部分と、大腿部分と、ふくらはぎ部分とを総称して下半身部分と言い、大腿部分とふくらはぎ部分とを総称して脚部分と言う場合がある。上半身部分は、実質的に水平方向からより垂直方向、一般的には水平に対して約65°または70°まで方向調節が可能である。大腿部分及び足部分は、これらの部分の共に隣接する末端が隆起頂点を規定するように、逆の回転方向に方向を調節することもできる。上半身部分と、大腿部分と、ふくらはぎ部分との調節機能により、ユーザーはフレームの輪郭または形状を制御することができる。フレームの上半身部分と、シート部分と、大腿部分と、ふくらはぎ部分とに重なるマットレスの部分は、マットレスの上半身部分と、シート部分と、大腿部分と、ふくらはぎ部分と呼ばれている。マットレスは、その輪郭がフレームの輪郭に一致するようにフレームに取り付けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さまざまなフレーム部分の調節機能、及びマットレスの順応性は、使用者の快適さに寄与し得る。例えば、上半身部分が水平に対して約65°または70°までの方向であり、使用者が脚の膝を曲げて仰臥位である時、大腿とふくらはぎ部分が、マットレスが使用者の脚を完全に支持するような方向になっていることは珍しくない。調節機能は、上半身部分がより水平な方向からより水平でない(すなわち、より垂直な)方向に変化する時に、上半身部分が使用者をベッドの足の方に押す固有傾向を緩和するのにも役立ち得る。例えば、上半身部分が上方に回転する(水平から遠ざかる)につれて、大腿部分及びふくらはぎ部分は水平から非水平に同時に回転し得る。大腿部分の回転により、対応するマットレス部分は、上半身部分が使用者を足元の方へと押す傾向に抵抗する傾斜に配置される。
【0004】
一部のベッドフレームは、上述の調節機能の全範囲を備えていない場合がある。例えば、一部のフレームは記載されたような調節可能な上半身部分を有するが、調節可能な大腿部分及びふくらはぎ部分は持たない場合がある。結果として、ベッドは上半身部分が使用者を足元の方へと押す傾向を打ち消すことができない。このため、介護者が、使用者を再配置する必要があり得る。この再配置は、介護者が他の仕事をする時間を奪い、介護者への傷害リスクを伴う。さらに、マットレスに沿った使用者の不随意の移動は、使用者の皮膚及び軟組織にストレスと伸びを与え、皮膚障害のリスクをもたらす。
【0005】
従って、フレームの調整機能の欠如、特に下半身部分の方向調節機能の欠如を補うことができるマットレスを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
下半身部分及び方向調節可能な上半身部分を有するベッドフレーム上で使用するマットレスは、マットレス下半身部分及びマットレス上半身部分を含む。マットレス上半身部分は、フレーム上半身部分の方向調節に応じて方向を調節可能である。マットレス下半身部分の少なくとも一部は、マットレス上半身部分の方向に応じて、フレーム下半身部分の形状調節に依存することなく、形状調節が可能である。
【0007】
マットレス置換システムは、方向調節可能な上半身部分及び下半身部分を有するマットレスと、上半身部分の方向を測定するための方向センサーと、を含む。マットレス下半身部分の少なくとも一部は、マットレス上半身部分の測定方向に対応して形状を調節することができる。
【0008】
本明細書に記載したマットレス及びマットレス置換システムの多様な実施態様の前述及びその他の機能は、下記の詳細な説明及び付属の図面でより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】基準状態(実線)及び形状のある状態(破線)、さらにマットレスの上半身部分の角度方向αを測定するための角度方向センサーを有する加圧可能な空気袋を含む形状調節可能領域を有する本明細書に記載のマットレスを示している、病院ベッドの概略側面図である。図1Aは、角度方向センサーと図1のコントローラーとの間、及びコントローラーとコントローラーによって制御されるハードウェアとの間の通信を示している概略図である。
【図2】図1と類似の図で、空気袋のジャケットは空間的に変化する弾性を有する。図2Aは、縦方向の位置の関数としての図2の空気袋の弾性のグラフである。
【図3】図1と類似の図で、空気袋はより楕円形の断面形状を有する。
【図4】図1と類似の図で、空気袋は基礎の上に置かれている。
【図5】図1と類似の図で、オーバーレイは空気袋の上に位置する。
【図6】図5及び図5Aと類似の図で、オーバーレイは2つ以上のオーバーレイセグメントを含む。
【図7】図1と類似の図で、調節可能領域は複数の加圧可能な空気袋を含む。
【図8】図7と類似の図で、空気袋は基礎の上に置かれている。
【図9】図5及び図5Aに類似の図で、オーバーレイは空気袋の上に位置する。
【図10】図8と類似の図で、変化する高さの基礎を示している。
【図11】図7と類似の図で、複数の空気袋は蛇腹式空気袋である。
【図12】空気袋膨張の変化例を、マットレスの上半身部分の角度方向αの関数として示しているグラフである。
【図13】空気袋膨張の変化例を、マットレスの上半身部分の角度方向α及び形状調節可能領域内の縦方向の位置の関数として示しているグラフである。
【図14】空気袋膨張の変化例を使用者の体重の関数として示しているグラフである。
【図15】空気袋膨張の変化例を使用者の身長の関数として示しているグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、病院ベッド20は、ベースフレーム22と、矢印Vで示されるようにベースフレームに対して縦に移動することのできる上昇可能なフレーム24とを含む。ベッドは、縦方向には頭側端部26から足側端部28まで、また横方向には左側(図の平面中にある)から右側まで伸びる。キャスター32は、ベースフレームから床34まで伸びる。上昇可能フレーム24は、使用者の胴体にほぼ対応する上半身または胴体部分40を含む。上半身部分40は、角度αを通して、実質的に水平方向(0°)からより垂直方向まで方向調節が可能である。フレームは、使用者の臀部と、大腿と、ふくらはぎと、にほぼ対応する下半身部分42も含む。下半身部分は、使用者の臀部及び脚にそれぞれほぼ対応するシート部分44及び脚部分46を含むことが考えられ、脚部分46は、使用者の大腿及びふくらはぎにそれぞれほぼ対応する大腿部分48及びふくらはぎ部分50を含むことが考えられ得る。しかし、この明細書の背景に記載されたフレームとは異なり、ふくらはぎ部分及び大腿部分は方向を調節することができない。
【0011】
ベッド20は、上半身または胴体部分と、シート部分と、大腿部分と、ふくらはぎ部分と、を有し、それぞれが使用者の胴体と、臀部と、大腿と、ふくらはぎと、にほぼ対応するマットレス56も含む。マットレスとフレーム部分の対応のため、マットレス部分は対応するフレーム部分を特定するのに使用されるものと同じ参照数字40、42、44、46、48、50で特定される。マットレスは、マットレス上半身部40がフレーム上半身部の角度方向のあらゆる変化に呼応して変化するような、任意の適切な方法で上昇可能フレームに取り付けられる。マットレス上半身部分の角度方向は、フレーム上半身部分の角度方向と実質的に同じであるため、両方の方向を示すために記号αを使用する。傾斜計などの角度方向センサー58が、角度方向αを測定するためにマットレスに取り付けられる。以下にさらに詳細に記載されるように、マットレス下半身部分42の少なくとも一部を含むマットレス領域60は、マットレス上半身部分の方向αに応じて、フレーム下半身部分の形状調節機能に依存することなく形状調節が可能である。
【0012】
マットレス下半身部分42の形状調節可能領域60は、空気袋の内部領域72と隣接するジャケット70を有する加圧可能な空気袋62を少なくとも1つ含む。供給バルブ76付きの流体供給ライン74は、圧縮機78などの流体源に空気袋を接続する。排出バルブ84付きの流体排出ライン82は、ポンプ86などの吸引装置に空気袋を接続する。コントローラー90は、圧縮機78と、吸引装置86と、バルブ76、84とに加圧流体(一般的には空気)を空気袋に入れ、流体を空気袋から放出するよう命令する。結果として、マットレスの形状調節可能部分の基準マットレス高さHBに応じて、空気袋を基準状態で配置することができる。基準高さHBは、マットレスの縦方向に隣接した部分の高さH1、H2とほぼ同じである。結果として、形状調節可能領域60の基準状態は、マットレス下半身部分の実質的に平らな形状に対応する。空気袋はまた、基準高さHBとは異なり、縦方向に異なる場合もある形状のあるマットレス高さHPに対応する形状の状態にも、配置することができる。例証の実施態様では、基準状態は、空気袋を基準膨張圧力まで膨張させて達成し、形状のある状態は空気袋をより高い圧力まで過剰膨張させて達成する。
【0013】
図2は、空気袋ジャケット70の最上部が空間的に変化する弾性を有する変形例を示している。より具体的には、図2Aに示されるように、ジャケットは空気袋の縦方向の端では比較的堅く、縦方向の中間点の近くでは比較的弱い。変化する弾性は、形状のある状態における空気袋の形状に影響を与える。例えば、図2の不均一な弾性の空気袋の形状のある状態の断面図はほぼ三角形であるのに対し、図1の均一な弾性の空気袋の形状のある状態の断面図はほぼ四角形である。図3に見られるように、空気袋の断面形状と構造はまた、その形状のある状態における空気袋の形に影響を与えるために使うこともできる。例えば、図1の空気袋は、基準状態と形状のある状態との両方で実質的に四角形の断面形状を有するのに対し、図3の空気袋は、両方の状態でより楕円形の断面を有する。
【0014】
図4及び図4Aを参照するが、マットレスの別の変形例は、空気袋62の下にフォーム状の基礎94を含む。基礎は、剛体材料を含む他の適切な材料で作られ得る。さらに、基礎は、マットレスの構成部分または特性というよりは、フレーム24の構成部分または特性であり得る。図4及び図4Aの実施態様では、マットレスの基準状態(図4)は、実質的に空気袋の空気を抜いて達成し、マットレスの形状のある状態(図4A)は、空気袋を適切な膨張圧力まで膨張させて達成される。
【0015】
図5及び図5Aは、マットレスが、空気袋の上に位置しマットレスの縦方向の隣接部分に固定されているフォーム状オーバーレイ96を含む別の構造を示している。図5の基準状態では、空気袋は基準圧力まで膨張させ、下半身部分に沿って実質的に平らなマットレス形状をもたらす。図5Aの形状のある状態では、空気袋は過剰膨張しており、オーバーレイをゆがめ、マットレスの形状のある状態を規定する。
【0016】
図6及び図6Aは、オーバーレイ96が、マットレスの隣接部分108に固定された足側端部セグメント100などの2つ以上のオーバーレイセグメント、マットレスの隣接部分110に固定された頭側端部セグメント104、及び頭側及び足側端部セグメントに固定された中間セグメント102を含む別の変形例を示している。図6の基準状態では、オーバーレイセグメントが水平に並び、結果として下半身部分に沿って実質的に平らなマットレス形状になるように、空気袋62は基準圧力まで膨張している。図6Aの形状のある状態では、空気袋は過剰膨張しており、オーバーレイセグメントが曲線のマットレス形状114を形作っている。
【0017】
図7〜図11は、形状調節可能領域60での2つ以上の空気袋の使用を示している。図7の実施態様は、頭側、中間、足側端部の空気袋62H、62M、62Fを用いているが、それ以外は、基礎94(図4、図4A)又はオーバーレイ96(図5、図5A)も使用されていない点で図1の実施態様と類似している。基準状態では、空気袋は、空気袋の基準高さh1B、h2B、h3Bにほぼ等しくなるまで膨張しており、結果として下半身部分に沿って実質的に平らなマットレス形状になる。形状のある状態では、空気袋は、異なる高さh1P、h2P、h3Pに膨張しており、これによって、縦方向に変化する高さHPを有する曲線のマットレス形状114を規定する。
【0018】
図8の実施態様は、基礎94が複数の空気袋62の下にあるという点で、図4、図4Aの実施態様と類似している。基準状態では、空気袋は、空気袋の基準高さh1B、h2B、h3Bにほぼ等しくなるまで膨張しており、結果として下半身部分に沿って高さHBの実質的に平らなマットレス形状になる。形状のある状態では、マットレスが縦方向に変化する高さHPを有する曲線の形状114を有するように、空気袋は、異なる高さh1P、h2P、h3Pに膨張させられている。
【0019】
図9の実施態様は、オーバーレイ96が空気袋62の上に位置し、マットレスの縦方向の隣接部分に固定されているという点で図5と図5Aの実施態様と類似している。基準状態では、空気袋は、空気袋の基準高さh1B、h2B、h3Bにほぼ等しくなるまで膨張しており、結果として下半身部分に沿って高さHBの実質的に平らなマットレス形状になる。形状のある状態では、空気袋は不均一な高さh1P、h2P、h3Pに膨張しており、これによって、オーバーレイを歪めて縦方向に変化する高さHPを有する曲線形状を達成する。
【0020】
図10の実施態様では、マットレスは、高さが縦方向に変化する基礎を含む。足側端部の基礎部分120の高さはhF1、中間基礎部分122の高さはhF2、頭側端部の基礎部分124の高さはhF3である。足側、中間、頭側端部の空気袋62F、62M、62Hは、それぞれの基礎部分の上に置かれている。基準状態では、空気袋は、基準高さh1B、h2B、h3Bに膨張しており、結果として下半身部分に沿って高さHBの実質的に平らなマットレス形状になる。形状のある状態では、空気袋が形状のある状態でのマットレス高さHPが縦方向に変化して、下半身部分に沿った縦方向に変化するマットレスの所定の高さを達成するように、空気袋は形状のある高さh1P、h2P、h3Pまで膨張している。
【0021】
図11及び図11Aの実施態様では、空気袋62は、固定端部126及び拡張可能端部128をそれぞれ有する蛇腹式空気袋である。図11の基準状態では、空気袋は実質的に空気が抜かれて、結果として下半身部分に沿った高さHBの実質的に平らなマットレス形状になる。図11Aの形状のある状態では、図に示されるように拡張して、縦方向に変化する高さHPを有するマットレス形状を規定するように、空気袋が膨張している。
【0022】
作動中、角度方向センサー58は、マットレスまたはフレームの上半身部分40の角度方向を感知する。コントローラー90は、角度方向の測定値を受信し、それに反応してバルブ76、84と、圧縮機78と、吸引装置86(図1A)との適切な作動を命令して、空気袋または形状調節可能領域の空気袋の内部圧力を調節し、それにより、調節可能領域が置かれているベッドフレーム部分の調節機能がないにもかかわらず、マットレス形状を調節する。方向角度αの値の増加に応じてマットレスを基準状態から形状のある状態に移行することにより、使用者の大腿と臀部に面した形状調節可能領域60部分は、上半身部分が使用者をベッドの足側端部28に向かって押す傾向に逆らうのに役立つことがある。図12は、例えば、αの関数としての空気袋の圧力及び/又は空気袋の高さhPを表す空気袋の膨張のグラフを示している。このような関係及び下記に記載の関係は、等式または参照表としてコントローラーに組み込むことができる。
【0023】
マットレスが、形状調節可能領域(図7〜図11)に複数の空気袋を使用している場合、空気袋は異なるように(例えば、異なる圧力及び/又は異なる高さに)膨張され得る。例として図7の空気袋構造を使用するが、図13は、αと形状調節可能領域内の空気袋の縦方向位置の両方の関数としての空気袋の膨張のグラフを示している。例では、中間空気袋62Mは、頭側端部または足側端部の空気袋62H、62Fのいずれかよりも大きな膨張にさらされる。
【0024】
使用者の身体計測特性及び形態も、空気袋の適切な膨張を決定するために考慮され得る。図14は、使用者の体重の関数としての、任意の空気袋の膨張のグラフ関係を示している例である。図15は同様に、使用者の身長の関数としての任意の空気袋の膨張を示している。これらの関係は、図12及び/又は図13の関係の改良点として使用するか、または独立して使用し得る。
【0025】
商慣行では、マットレスは、他の構成要素がフレームを含むベッドの一構成要素として提供され得る。マットレスはまたマットレス置換システムとして顧客に提供することもでき、この場合マットレスは顧客の既存のベッドフレーム上に設置される。マットレス置換システムは、マットレス20のみを含む、または圧縮機78、吸引装置86、配管構成要素(例えば、供給及び排出ライン74、82及びバルブ76、84)、制御理論ボード、ソフトウェア、角度方向センサー58などの他の構成要素を含み得る。角度方向センサーは、マットレスに事前取り付けされているか、またはマットレスまたはフレーム上半身部分40に取り付け可能な別の構成要素であり得る。
【0026】
前述を考慮すると、記載されたマットレス及びマットレス置換システムの特定の付加的態様がより良く理解される。
【0027】
いくつかの実施例は、マットレスの基準状態を空気袋(1つ又は複数)の基準膨張に対応するものとして表現し、また形状のある状態を空気袋(1つ又は複数)の過剰膨張に対応するものとして表現している。しかし、基準状態は、空気袋(1つ又は複数)の不十分な膨張または収縮に対応し、形状のあるマットレス状態は空気袋(1つ又は複数)のより高い膨張に対応し得る。
【0028】
異なる空気袋の高さは、多くの満足いく方法で達成可能であり、例えば、異なる空気袋のサイズ、異なる膨張圧力、弾性特性の異なる(または変化する)空気袋の使用、またはこれらの組み合わせにより達成し得る。変化するマットレスの高さもまた、いくつかの適切な方法で達成可能であり、例えば、異なる空気袋の高さの使用により、または異なる高さの基礎上に支持されている同じ高さの空気袋を使用することにより、またはこれらの組み合わせにより達成し得る。
【0029】
前述の開示は、上半身部分の方向変化に応えたベッド使用者の不随意移動に対抗することの利益を強調しているが、マットレスベースの輪郭形成能力(mattress-based contour capability)は、使用者の快適性を高めるためにも有益であり得る。
【0030】
マットレス及びマットレス置換システムは、大腿及びふくらはぎ部分に方向調節機能がないベッドフレームで記述されている。しかしながら、本明細書に記載のマットレス及びマットレス置換システムは、このような調節機能を有するフレーム上でも使用でき、この場合フレームの調節機能の使用は必要ない。
【0031】
ここの開示では具体的な実施形態を参照しているが、当業者であれば、付随の請求項で規定される主題から逸脱することなく、形態や詳細に対してさまざまな変更を行うことができることを理解されるであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下半身部分及び方向調節可能な上半身部分を有するベッドフレーム上で使用するマットレスであって、前記マットレスは、
下半身部分及び上半身部分を備え、
前記マットレス上半身部分は方向調節可能であり、
前記マットレス下半身部分の少なくとも一部は、前記フレーム下半身部分の形状調節に依存することなく、前記マットレス上半身部分の方向に応じて形状調節が可能である
マットレス。
【請求項2】
前記マットレス下半身部分の形状調節可能部分は、前記マットレスの形状調節可能部分の基準高さに応じた基準状態を有し、また前記基準高さとは異なる形状のある高さに対応した形状のある状態を有する少なくとも1つの空気袋を含む、請求項1のマットレス。
【請求項3】
形状のある前記マットレスの高さは空間的に変化する、請求項2のマットレス。
【請求項4】
前記マットレスの形状調節可能部分は、縦方向に分布された少なくとも2つの空気袋を含み、それぞれの前記空気袋が基準状態と形状のある状態とを有する、請求項2のマットレス。
【請求項5】
少なくとも2つの前記空気袋の前記形状のある状態は、縦方向に変化する高さを有するマットレス形状を規定する、請求項4のマットレス。
【請求項6】
少なくとも1つの前記空気袋の下に基礎を含む、請求項2のマットレス。
【請求項7】
少なくとも1つの前記空気袋の上にオーバーレイを含む、請求項2のマットレス。
【請求項8】
少なくとも1つの前記空気袋の少なくとも1つが蛇腹式空気袋である、請求項2のマットレス。
【請求項9】
形状のある状態が異なる前記空気袋の高さに対応する複数の前記空気袋を含む、請求項4のマットレス。
【請求項10】
形状のある状態で実質的に等しい空気袋の高さを有する複数の前記空気袋を含み、前記空気袋が形状のある状態の時のマットレス高さがマットレス高さの縦方向の所定の変化を反映するように、高さが縦方向に変化する基礎の上に前記空気袋が縦方向に分布されている、請求項4のマットレス。
【請求項11】
前記基礎は前記マットレスの構成要素である、請求項10のマットレス。
【請求項12】
前記基礎は前記マットレスの構成要素ではない、請求項10のマットレス。
【請求項13】
前記空気袋の高さは、前記マットレス上半身部分及び前記フレーム上半身部分の1つの方向角度の関数である、請求項4のマットレス。
【請求項14】
前記空気袋の高さは空気袋の膨張の関数である、請求項4のマットレス。
【請求項15】
空気袋の膨張は使用者の体重の関数である、請求項14のマットレス。
【請求項16】
空気袋の膨張は使用者の身長の関数である、請求項14のマットレス。
【請求項17】
前記マットレスの角度方向を示す角度方向センサーを含む、請求項1のマットレス。
【請求項18】
マットレス置換システムであって、
方向調節可能な上半身部分及び下半身部分を有するマットレスと、
前記マットレス上半身部分の方向を測定するための方向センサーと、
前記マットレス上半身部分の測定方向に対応して形状を調節することができる前記マットレス下半身部分の少なくとも一部と、
を備えるマットレス置換システム。
【請求項19】
前記形状調節可能部分は少なくとも1つの空気袋を含む、請求項18のマットレス置換システム。
【請求項20】
少なくとも1つの前記空気袋を膨張させるための加圧流体源を含む、請求項19のマットレス置換システム。
【請求項21】
前記方向センサーは前記マットレス上に設置されている、または前記マットレス上に設置可能である、請求項18のマットレス置換システム。
【請求項22】
前記方向センサーはホストベッドフレーム上に設置可能である、請求項18のマットレス置換システム。
【請求項1】
下半身部分及び方向調節可能な上半身部分を有するベッドフレーム上で使用するマットレスであって、前記マットレスは、
下半身部分及び上半身部分を備え、
前記マットレス上半身部分は方向調節可能であり、
前記マットレス下半身部分の少なくとも一部は、前記フレーム下半身部分の形状調節に依存することなく、前記マットレス上半身部分の方向に応じて形状調節が可能である
マットレス。
【請求項2】
前記マットレス下半身部分の形状調節可能部分は、前記マットレスの形状調節可能部分の基準高さに応じた基準状態を有し、また前記基準高さとは異なる形状のある高さに対応した形状のある状態を有する少なくとも1つの空気袋を含む、請求項1のマットレス。
【請求項3】
形状のある前記マットレスの高さは空間的に変化する、請求項2のマットレス。
【請求項4】
前記マットレスの形状調節可能部分は、縦方向に分布された少なくとも2つの空気袋を含み、それぞれの前記空気袋が基準状態と形状のある状態とを有する、請求項2のマットレス。
【請求項5】
少なくとも2つの前記空気袋の前記形状のある状態は、縦方向に変化する高さを有するマットレス形状を規定する、請求項4のマットレス。
【請求項6】
少なくとも1つの前記空気袋の下に基礎を含む、請求項2のマットレス。
【請求項7】
少なくとも1つの前記空気袋の上にオーバーレイを含む、請求項2のマットレス。
【請求項8】
少なくとも1つの前記空気袋の少なくとも1つが蛇腹式空気袋である、請求項2のマットレス。
【請求項9】
形状のある状態が異なる前記空気袋の高さに対応する複数の前記空気袋を含む、請求項4のマットレス。
【請求項10】
形状のある状態で実質的に等しい空気袋の高さを有する複数の前記空気袋を含み、前記空気袋が形状のある状態の時のマットレス高さがマットレス高さの縦方向の所定の変化を反映するように、高さが縦方向に変化する基礎の上に前記空気袋が縦方向に分布されている、請求項4のマットレス。
【請求項11】
前記基礎は前記マットレスの構成要素である、請求項10のマットレス。
【請求項12】
前記基礎は前記マットレスの構成要素ではない、請求項10のマットレス。
【請求項13】
前記空気袋の高さは、前記マットレス上半身部分及び前記フレーム上半身部分の1つの方向角度の関数である、請求項4のマットレス。
【請求項14】
前記空気袋の高さは空気袋の膨張の関数である、請求項4のマットレス。
【請求項15】
空気袋の膨張は使用者の体重の関数である、請求項14のマットレス。
【請求項16】
空気袋の膨張は使用者の身長の関数である、請求項14のマットレス。
【請求項17】
前記マットレスの角度方向を示す角度方向センサーを含む、請求項1のマットレス。
【請求項18】
マットレス置換システムであって、
方向調節可能な上半身部分及び下半身部分を有するマットレスと、
前記マットレス上半身部分の方向を測定するための方向センサーと、
前記マットレス上半身部分の測定方向に対応して形状を調節することができる前記マットレス下半身部分の少なくとも一部と、
を備えるマットレス置換システム。
【請求項19】
前記形状調節可能部分は少なくとも1つの空気袋を含む、請求項18のマットレス置換システム。
【請求項20】
少なくとも1つの前記空気袋を膨張させるための加圧流体源を含む、請求項19のマットレス置換システム。
【請求項21】
前記方向センサーは前記マットレス上に設置されている、または前記マットレス上に設置可能である、請求項18のマットレス置換システム。
【請求項22】
前記方向センサーはホストベッドフレーム上に設置可能である、請求項18のマットレス置換システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−255173(P2011−255173A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−118225(P2011−118225)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(503278256)ヒル−ロム サービシズ,インコーポレイテッド (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118225(P2011−118225)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(503278256)ヒル−ロム サービシズ,インコーポレイテッド (14)
【Fターム(参考)】
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