マットレス用中材及びそれを用いたマットレス
【課題】本発明の目的は、ギャッジ性及び洗浄性に優れているマットレス用中材及びそれを用いたマットレスを提供することである。
【解決手段】本発明のマットレス用中材は、三次元網状構造体からなる層が複数積層された積層体であって、各網状構造体層が、前記積層体の長手方向の両端部において連続的にあるいは断続的に固定されていることを特徴とするマットレス用中材。
【解決手段】本発明のマットレス用中材は、三次元網状構造体からなる層が複数積層された積層体であって、各網状構造体層が、前記積層体の長手方向の両端部において連続的にあるいは断続的に固定されていることを特徴とするマットレス用中材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護用、病院用などのベッドとして好適に使用されるマットレス用中材、および、それを用いたマットレスに関する。
【背景技術】
【0002】
介護用、病院用などのベッドとして、利用者の背上げや足上げなどの姿勢制御機能を備えたギャッジベッドが使用されている。ギャッジベッドを使用することによって、例えば、高齢の利用者の寝たきり防止や介護の負担を軽減することができる。また、病院では食事をする際に、利用者が容易に座位をとることができる。
【0003】
ギャッジベッドのマットレス用中材には、「ギャッジ性」が要求されている。「ギャッジ性」とは、利用者の姿勢を変える際に、マットレスが、ベッドの変形に追随する性質であり、ギャッジ性が低い場合には、姿勢を変える際にマットレスにしわやたるみが生じる。また、ギャッジベッドのマットレス用中材には、衛生面から、容易に洗浄できる「洗浄性」が要求されている。
【0004】
従来のマットレスが適切な体圧分散性能を得るためには、適度なタワミ量を必要としたため、体重がかかる厚さ方向は、40mm〜200mmの寸法を必要とした。しかし、この厚さを平面ベッドに使用する場合は問題ないが、ギャッジベッドに採用すると、ボトムへの追従性及び円周率差による凸凹で腰への突き上げ感などにより使用感が非常に悪くなった(図1)。また、洗浄設備の面で、従来のマットレスは定期的に消毒することが難しく、購入すればそのまま使用するしかない。
【0005】
ギャッジベッド用のマットレスとしては、ウレタンフォームに切れ込みを設けたものが知られている。しかし、ウレタンフォームに切れ込みを設けるために、強度的に弱くなりへたりなどが生じる。
【0006】
特許文献1には、ギャッジベッドの微妙なラインに沿わせることができる敷物として、柔軟性を有する基布と、この基布の両面に夫々複数個並べられた弾性体と、これらを覆う表皮カバーとからなり、基布の各面に配された各弾性体間には隙間が設けられ、基布の片面側の複数個の弾性体と基布の他面側の複数個の弾性体とが弾性体の並び方向においてずらされて、基布の片面側の弾性体間の隙間の位置に基布の他面側の弾性体が位置していることを特徴とする敷物が開示されている。
【特許文献1】特開2000−316676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ギャッジ性及び洗浄性に優れているマットレス用中材及びそれを用いたマットレスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することのできた本発明のマットレス用中材とは、三次元網状構造体からなる層を複数積層させた積層体であって、前記三次元網状構造体からなる各層が、前記積層体の長手方向の両端部において、連続的にあるいは断続的に固定されていることを特徴とする。すなわち、本発明のマットレス用中材は、三次元網状構造体からなる層を複数積層させるとともに、各層が、積層体の長手方向の両端部において固定されている。かかる構成を採用することにより、姿勢を制御する際に横方向のずれの発生を防ぐことができ、網状構造体が容易に伸びたり圧縮したりする。その結果、マットレスにしわやたるみが発生するのが抑制され、背上げの際に変形が追従しやすくなる。また、積層体の各層が、三次元網状構造体から構成されているので、耐久性にも優れ長期にわたって利用してもへたりがない。さらに、洗浄性にも優れ、「在宅手洗い」が可能になる。
【0009】
本発明には、本発明のマットレス用中材を使用したマットレスが含まれる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のマットレス用中材及びそれを用いたマットレスはギャッジ性及び洗浄性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のマットレス用中材は、三次元網状構造体からなる層(以下、単に「網状構造体層」と称する場合がある)が複数積層された積層体であって、各網状構造体層が、前記積層体の長手方向の両端部において、連続的にあるいは断続的に固定されていることを特徴とする。
【0012】
まず、本発明のマットレス用中材について、図面を参照しながら説明するが、本発明のマットレス用中材は、図面に示した態様に限定されるものではない。
【0013】
図2は、本発明のマットレス用中材の一例を示す説明図(斜視図)である。マットレス用中材は、三次元網状構造体からなる略直方体形状の上層1と下層3とが積層された積層体5からなり、各網状構造体層は、積層体の長手方向Aの両端部7、7’において固定され、長手方向Aの中央部9、9’は固定されていない。ここで、積層体の端部とは、積層体の端から30cm以内の範囲を言う。図2の態様は、上層と下層からなる2層構造の積層体からなる態様であるが、本発明のマットレス用中材は、網状構造体層を複数積層させた積層体であれば良く、例えば、上層、中層、下層からなる3層構造の積層体であることも好ましい態様である。
【0014】
前記網状構造体層としては、熱可塑性樹脂からなる連続線条体が三次元ランダム状に交絡されてなり、前記交絡部の少なくとも一部が融着してなる三次元網状構造体層を使用することが好ましい。斯かる網状構造体層は、疎な構造を有するため通気性が高い。その結果、得られるマットレス用中材は、容易に洗濯および乾燥することができ衛生的である。三次元ランダム状とは、複数の連続線条体(熱可塑性樹脂からなる連続線条体)を曲がりくねらせて大きさや向きが不規則なループ状などの任意の形状を多数形成すると共に、これら線条体同士の交絡部の少なくとも一部が融着している立体構造をいう。
【0015】
また「連続線条体」とは、熱可塑性樹脂を原料とする連続線条体(ストランド)である。熱可塑性樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、生分解性樹脂など各種熱可塑性樹脂が例示される。これらの中でも、ポリエステル樹脂またはポリオレフィン樹脂を原料とする連続線条体が好ましく、40℃〜70℃程度の温熱下の耐久性という観点から、ポリエステル樹脂を原料とする連続線条体がより好ましい。また、特にポリエステル樹脂の中でも、耐久性に優れた特性を示すものとして、共重合ポリエステル、ブロック共重合ポリエーテルエステルやブロック共重合ポリエステルエステルなどの重合体が好ましい。
【0016】
前記熱可塑性樹脂からなる連続線条体の繊度は、275デシテックス以上が好ましく、550デシテックス以上がより好ましく、220000デシテックス以下が好ましく、110000デシテックス以下がより好ましい。前記連続線条体の繊度が、275デシテックス以上の場合は、抗圧縮強力が高くなり、繊度が、220000デシテックス以下の場合は、変形しやすくなり弾性が良くなるからである。
【0017】
また、前記網状構造体層は、マットレスに使用されることから、略直方体であることが好ましく、例えば、長手方向Aが50cm〜300cm、短手方向Bが50cm〜200cm、厚さが10mm〜200mmの略直方体であることがより好ましい。また、網状構造体層の厚さは、10mm以上が好ましく、15mm以上がより好ましく、200mm以下が好ましく、100mm以下がより好ましい。厚さが10mm以上では、網状構造体層の物性が良くなり、200mm以下では、折り曲げやすくなり、取り扱いやすくなり、特に背上げ機能の付いたベッドでは背上げの際にマットレスがベッドの折り曲げに追従することができるからである。
【0018】
前記網状構造体層の密度は、80kg/m3以下が好ましく、60kg/m3以下がより好ましい。前記網状構造体層の密度を80kg/m3以下とすることによって、積層体を疎な構造とすることができ、得られるマットレス用中材の通気性が高くなる。その結果、本発明のマットレス用中材は、洗濯して容易に乾かすことができるので衛生的である。
【0019】
一方、前記網状構造体層の密度の下限は、20kg/m3が好ましく、25kg/m3がより好ましい。密度が低くなりすぎると、網状構造体層を形成する繊維同士の接着点が減り、形状が保てなくなったりもろくなったりするからである。
【0020】
前記網状構造体層の圧縮硬度は、3kg/200mmφ以上が好ましく、4kg/200mmφ以上がより好ましく、40kg/200mmφ以下が好ましく、35kg/200mmφ以下がより好ましい。網状構造体層の圧縮硬度を上記範囲とすれば、マットレス用中材として好適な硬度の積層体が得られる。
【0021】
本発明で使用する網状構造体層の具体例としては、例えば、東洋紡績株式会社製ブレスエアーA4555、A3025、L4550、L2525などを挙げることができる。
【0022】
本発明のマットレス用中材は、網状構造体層を複数積層させた積層体であり、網状構造体層を積層させる態様としては、例えば、最上層に低圧縮硬度の網状構造体層を積層し、最下層に高圧縮硬度の網状構造体層を積層する態様;最上層に高圧縮硬度の網状構造体層を積層し、最下層に低圧縮硬度の網状構造体層を積層する態様;または、最上層と最下層に略同一圧縮硬度の網状構造体層を積層する態様のいずれであってもよい。利用者の好みや床ずれなどの程度に応じて、硬い面と柔らかい面のいずれも選択することができるからである。また、上下層の硬さ(圧縮硬度)を適切にバランスすることによって、体圧をほぼ均等に分散させるマットレスが得られる。
【0023】
最上層の網状構造体層としては、例えば、厚さが10mm〜40mm、密度が25kg/m3〜60kg/m3、圧縮硬度が4kg/200mmφ〜18kg/200mmφのものを使用することが好ましい態様である。圧縮硬度が4kg/200mmφ以上であると、マットレスとして必要な抗圧縮強力があり、18kg/200φ以下であると、マットレスが硬すぎないからである。また、最下層の網状構造体層としては、例えば、厚さが20mm〜100mm、密度が35kg/m3〜60kg/m3、圧縮硬度が11kg/200mmφ〜25kg/200mmφのものを使用することが好ましい態様である。圧縮硬度が、11kg/200mmφ以上であると、充分な保持力が得られ底付き感を感じなく、25kg/200mmφ以下であると、底付き感が大きくならないからである。
【0024】
特に、最上層に使用する網状構造体層と最下層に使用する網状構造体層について、圧縮硬度に差を設けることが好ましい。圧縮硬度は、網状構造体層の硬さを指標するものであり、最上層または最下層のいずれが高くても良い。上述したように、利用者の好みや床ずれなどの程度に応じて、硬い面と柔らかい面のいずれも選択することができるからである。また、上下の硬さを相互にバランスし、体圧をほぼ均等に分散させるマットレスが得られる。
【0025】
前記圧縮硬度の差は、1kg/200mmφ以上が好ましく、3kg/200mmφ以上がより好ましく、5kg/200mmφ以上がさらに好ましく、20kg/200mmφ以下が好ましく、18kg/200mmφ以下がより好ましく、15kg/200mmφ以下がさらに好ましい。
【0026】
ここで「圧縮硬度」とは、試料を30cm角に切断し、直径200mmの加圧板を用い、JIS K6400−2(2004)6.7 D法に準拠して、試料を25%圧縮したときの応力値である。
【0027】
本発明において、各網状構造体層は、積層体の長手方向の両端部において、連続的にあるいは断続的に固定されている。
【0028】
各網状構造体層を固定する方法は、特に限定されるものではないが、縫製、バンド、釘、ボルト、紐、クランプ、かぎ、リングなどの物理的固定手段を用いて各網状構造体層を固定する方法、高周波のウエルダー加工または熱プレスにより各網状構造体層を融着する方法、あるいは、接着剤を用いて各網状構造体層を接着する方法などを挙げることができる。これらの中でも、各網状構造体層を固定する方法として、物理的固定手段を用いることが好ましく、縫製またはバンドを用いて各網状構造体層を固定することがより好ましい。物理的固定手段を用いると、各網状構造体層の固定状態の解除が容易になる。すなわち、各網状構造体層を容易に取り外しすることができ、例えば、各網状構造体層を別々に洗濯することができるなどの利点がある。
【0029】
各網状構造体層を縫製して固定する方法としては、例えば、各網状構造体層を圧縮しながら電動ミシンを用いて縫製する方法を挙げることができる。縫製糸としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエステル系の高強力ミシン糸などを用いることができる。また、各網状構造体層を固定するバンドとしては、特に限定されるものではなく、ゴムバンド、ポリプロピレン製バンド(PPバンド)などを用いることができる。
【0030】
ウェルダー加工方法として、特公平7−41105号公報に開示されている方法を用いることができる。また、熱プレス加工方法として、上下に並行配置された熱プレス板の間に網状構造体を取り付け、網状構造体の原料となる熱可塑性樹脂の融点より10℃以上低い温度で加圧融着することにより、各層の網状構造体を一体に固定することができる。
【0031】
各網状構造体層を接着する接着剤としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、エステル系、ポリブタジエン、ブタジエン・アクリロニトリル系、イソプレン、クロロプレンなどの接着剤を使用することが好適である。また、前記接着剤の形態としては、溶剤系、水系、ホットメルト系などを挙げることができる。
【0032】
各網状構造体層を接着剤により固定する場合、各網状構造体層は、上述したように、連続線条体を三次元ランダム状に交絡させてなるために、端部における各網状構造体層間の接触面積は小さくなる。そのため、上述の如く各網状構造体層間を、布帛を介して接着させることにより、端部における各網状構造体層間の接触面積が大きくなって、各層間の剥離強度が高くなる。布帛を介して各網状構造体層を接着させる態様としては、例えば、布帛の両面に接着剤を塗布して各網状構造体層を接着する態様;あるいは、布帛に接着剤を含浸させて、接着シートとし、各網状構造体層を接着する態様などを挙げることができる。
【0033】
前記布帛の材質としては、網状構造体層を接着することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂などの有機系樹脂、または、天然系、あるいは、有機系と天然系との混紡布帛などを使うことができる。また、布帛を構成する材料と、網状構造体層を構成する材料として、同一種類のものを使用することも可能であり、例えば、網状構造体層と布帛を構成する材料をポリエステル樹脂またはポリオレフィン樹脂とすることができる。
【0034】
また、前記布帛を構成する材料と、網状構造体層を構成する材料と、接着剤の材料として、同一種類のものを使用することも可能であり、例えば、ポリエステル樹脂またはポリオレフィン樹脂とすることができる。
【0035】
図3〜図9は本発明の各網状構造体層を固定する態様を示す平面説明図(固定部より上側の網状構造体層は図示せず)であるが、各網状構造体層を固定する態様は、図面に示した態様に限定されるものではない。
【0036】
各網状構造体層を連続的に固定する態様としては、各網状構造体層を積層体の長手方向の両端部において固定する固定部が、両端部の全長に亘って設けられている態様であり、例えば、図3に示すように、積層体の長手方向Aの両端部7、7’において、線状の固定部11、11’を設けて、各網状構造体層を固定する態様;あるいは、図4に示すように、積層体の長手方向Aの両端部7、7’において、帯状の固定部13、13’を設けて、各網状構造体層を固定する態様を挙げることができる。なお、連続的に固定する態様には、図5に示すように、積層体の長手方向Aの両端部7、7’において、高密度に点線状の固定部15、15’を設ける態様(点線状の固定部)も含まれる。
【0037】
一方、各網状構造体層を断続的に固定する態様としては、例えば、各網状構造体層を積層体の長手方向の両端部において固定する固定部が、両端部の全長の一部にのみ設けられている態様であれば特に限定されず、例えば、図6に示すように、積層体の長手方向Aの両端部7、7’であってかつ短手方向Bの中央部に固定部17、17’を設けて、各網状構造体層を固定する態様;図7に示すように、積層体の長手方向Aの両端部7、7’であってかつ短手方向Bの両端部に固定部19、19’を設けて、各網状構造体層を固定する態様;或いは、図8に示すように、積層体の長手方向Aの両端部7、7’であってかつ短手方向Bの両端部から中央部までの各箇所に固定部21、21’を設けて、各網状構造体層を固定する態様を挙げることができる。
【0038】
各網状構造体層を断続的に固定する場合は、前記固定部の個数及び大きさ(長さ)、固定部間の間隔距離、固定部の長さが均一であるかどうかなどは、固定方法などに応じて適宜変更することができる。積層体の長手方向Aの両端部であってかつ短手方向Bの中央部に固定部を設ける場合は(例えば、図6)、固定部の長さ(Z1)は長手方向Aの端部長さの10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、100%以下が好ましく、90%以下がより好ましい;積層体の長手方向Aの両端部であってかつ短手方向Bの両端部に固定部を設ける場合は(例えば、図7)、固定部の長さ(Z2)は長手方向Aの端部長さの5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、50%以下が好ましく、45%以下がより好ましい;積層体の長手方向Aの両端部であってかつ短手方向Bの両端部から中央部までの各箇所に固定部を設ける場合は(例えば、図8)、固定部の長さ(Z3)は長手方向Aの端部長さの4%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、15%以上がさらに好ましく、33%以下が好ましく、25%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましく、片側端部に固定部の個数は3個以上が好ましく、5個以上がより好ましく、20個以下が好ましく、15個以下がより好ましい。
【0039】
また、各網状構造体層を固定する固定部の固定方向などは、固定手段に応じて適宜変更することができる。例えば、図9に示すように、積層体の長手方向Aの両端部7、7’における固定部23、23’の固定方向を長辺と平行にして、各網状構造体層を固定する態様も好ましい態様である。
【0040】
固定部を設ける場合、前記固定部と積層体の長手方向の近い端部との距離(X)は、特に限定されないが、5cm以上が好ましく、10cm以上がより好ましく、30cm以下が好ましく、20cm以下がより好ましい。前記距離が、5cm以上であるとマットレス端部の厚みが保持でき、外見が良くなり、30cm以下であると、人体の頭部、背面などが加工部の凹みに乗ることにならなく、寝心地の違和感が生じないからである。線状固定部の幅(Y1)は、特に限定されないが、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、30mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましい。帯状固定部の幅(Y2)は、特に限定されないが、3cm超が好ましく、5cm以上がより好ましく、50cm以下が好ましく、25cm以下がより好ましい。固定部の幅が小さすぎると剥離強度が弱くなり、大きすぎるとギャッジ性が悪くなるからである。
【0041】
本発明において、各網状構造体層を連続的にまたは断続的に固定する好ましい態様としては、例えば、積層体の長手方向の両端部において、各網状構造体層を、縫製またはバンドにより、固定部において固定する態様;積層体の長手方向の両端部において、各網状構造体層を高周波のウエルダー加工または熱プレスにより、固定部において融着して固定する態様;積層体の長手方向の両端部において、固定部の領域にわたって、各網状構造体層間に接着剤を塗布して、各網状構造体層を接着剤で接着することにより固定する態様;或いは、各網状構造体層間に布帛を設けて、布帛を介して各網状構造体層を接着剤で接着することにより固定する態様などを挙げることができる。
【0042】
縫製を用いて各網状構造体層を固定する場合、固定部の個数は特に限定されないが、片側端部に少なくとも1箇所以上が好ましく、2箇所以上がより好ましく、3箇所以上がさらに好ましい。バンドを用いて各網状構造体層を固定する場合、固定する長さは特に限定されないが、20mm以上が好ましく、30mm以上がより好ましく、300mm以下が好ましく、60mm以下がより好ましい。固定する長さは、短すぎると十分に固定できず、長すぎると作業に手間がかかり固定が困難になるからである。
【0043】
本発明において、最上層の網状構造体層とこれに固定された次層の網状構造体層との剥離強度は、5kg以上が好ましく、10kg以上がより好ましく、15kg以上であることが望ましい。剥離強度が、5kg以上であると、剥離強度は高くなり、剥離が生じたり各層がずれたりしなく、使用時に違和感が生じないからである。なお、本発明のマットレス用中材が3層以上の網状構造体層からなる場合、最上層とこれに固定された次層との界面に加えて、さらに界面ができることになるが、すべての界面における剥離強度を、5kg以上、より好ましくは10kg以上、さらに好ましくは15kg以上とすることも望ましい態様である。ここで、「剥離強度」とは、試料を250mm×300mmの大きさに切断し、300mmの端部において接着し、接着した試料をアムスラー試験機で10mm/分の速度で引っ張り、測定した引っ張り力の最高値である。
【0044】
本発明のマットレス用中材の25℃での8万回繰返し圧縮残留歪は、7%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、3%以下がさらに好ましい。また、70℃の温熱下における50%圧縮残留歪は、25%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、17%以下がさらに好ましい。
【0045】
本発明において、積層体の厚さは、5cm以上が好ましく、6cm以上がより好ましく、20cm以下が好ましく、15cm以下がより好ましい。積層体の厚さが5cm以上では、底付きにくくなり、寝心地不良、体圧分散不良となりにくくなり、20cm以下では、背上げの際のギャッジ性が良くなるからである。
【0046】
本発明には、本発明のマットレス用中材を使用したマットレスが含まれる。
【0047】
本発明のマットレスは、本発明のマットレス用中材を側地でカバーしたものであれば、特に限定されず、例えば、本発明のマットレス用中材をインナーで包んでおくことも好ましい態様である。マットレス用中材をインナーで包んでおくことによって、インナーと側地とが滑り易くなって、ギャッジ性が向上するからである。
【0048】
本発明のマットレス用中材をインナーで包む場合、前記インナーとマットレス用中材とを、マットレス用中材の長手方向両端部において固定することも好ましい態様である。前記インナーとマットレス用中材とを固定する方法としては、例えば、各網状構造体を予め固定して積層体を得、斯かる積層体をインナーで包んでから、インナーとマットレス用中材とを固定する方法、あるいは、固定されていない各網状構造体層をインナーで包み、次いで、インナーと各網状構造体とを一体的に固定する用法を挙げることができる。
【0049】
図10は、本発明のマットレス用中材を側地で包んだマットレスであって、各網状構造体層を、例えば、縫製により固定して得られるマットレスの両端部(固定部)の一方の断面構造を模式的に例示する拡大説明図であり、マットレス用中材の表面には、縫製により凹部が生じている。図11は、マットレス用中材をインナーで包んで、インナーと各網状構造体層を一体的に縫製により固定した態様を示しており、マットレス用中材およびインナーの表面には、縫製により凹部が生じている。
【0050】
前記側地としては、例えば、革(合成皮革、天然皮革)、織編物、不織布、ダブルラッセルによる三次元編物などが挙げられる。本発明のマットレス用中材を包むインナーとしては、スライド性を向上させるための摩擦係数の少ない繊維で作成されたものであれば、特に限定されなく、例えば、ポリエステルタフタ、ポリエステルネットなどを挙げることができる。
【実施例】
【0051】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0052】
[評価方法]
(1)ギャッジ性
91cm×193cmのマットレスサンプル(側地を含む)をギャッジ性測定機能のあるナショナル製電動ケアベッドSoi-neに敷き、電動ベッドのヘッド部を70°まで上昇させた時のマットレスサンプルの追従性を目視で判断し、マットレスのギャッジ性とする。
評価基準1
○:ベッドの折れ曲り部の変形にマットレスが追従し、違和感がない。
△:ベッドの折れ曲り部にて、マットレスとベッドとの間にすき間が生じる。
×:ベッドの折れ曲り部にて、マットレスとベッドとの間に大きなすき間が生じる。或いは、マットレスに折れ皺が発生する。
評価基準2
また、前記ギャッジ性テスト後のサンプルを元の状態に戻した時に、各層のずれがなければ○とし、ずれが生じ寝心地に違和感が生じれば×とする。
【0053】
(2)25℃での8万回繰り返し圧縮残留歪
試料を30cm×30cmの大きさに切断し、JIS K6400−4(2004) 6.2 B法に準拠して、島津製作所製サーボパルサーにて、25℃、65%RH室内にて初期厚みの50%の厚みまで1Hzのサイクルで圧縮回復を繰り返し、8万回後の試料を1日放置後、厚み(b)を求め、処理前の厚み(a)から、25℃での8万回繰り返し、圧縮残留歪を次式により算出する。
25℃での8万回繰り返し圧縮残留歪={(a-b)/a}×100:単位%
【0054】
(3)70℃での圧縮残留歪
試料を15cm×15cmの大きさに切断し、JIS K6400−4(2004)4.5.2 A法に準拠して、試料を初期厚みの50%の厚みに圧縮した状態で70℃乾熱中にて22時間放置後、冷却して圧縮歪を除き1日放置後の厚み(d)を求め、処理前の厚み(c)から、70℃での圧縮残留歪を次式により算出する。
70℃での圧縮残留歪={(c-d)/c}×100:単位%
【0055】
(4)圧縮硬度
試料を30cm角に切断し、直径200mmの加圧板を用い、JIS K6400−2(2004)6.7 D法に準拠して、試料を25%圧縮したときの応力値を測定し、圧縮硬度とする。
【0056】
(5)剥離強度
試料を250mm×300mmの大きさに切断し、300mmの端部において固定し、固定した試料(図12および図13に示す)をアムスラー試験機で10mm/分の速度で引っ張り、引張力を測定し、最高値を剥離強度とする。
【0057】
[三次元網状構造体層]
網状構造体層として、以下の三次元網状構造体を用いた。
【0058】
ポリエステル系網状構造体層1
東洋紡績株式会社製ブレスエアーA3025
熱可塑性樹脂:ポリエステル樹脂、線条体形状:丸断面、繊度=11000dtex、大きさ=91cm×193cm、厚さ=25mm、密度=30kg/m3、圧縮硬度=4.2kg/200mmφ、25℃での8万回繰り返し圧縮残留歪=2.8%、70℃での圧縮残留歪=15.2%
【0059】
ポリエステル系網状構造体層2
東洋紡績株式会社製ブレスエアーA4555
熱可塑性樹脂:ポリエステル樹脂、線条体形状:中空、繊度=6500dtex、大きさ=91cm×193cm、厚さ=55mm、密度=45kg/m3、圧縮硬度=23.5kg/200mmφ、25℃での8万回繰り返し圧縮残留歪=3.7%、70℃での圧縮残留歪=14.8%
【0060】
ポリオレフィン系網状構造体層1
東洋紡績株式会社製ブレスエアーL 2525
熱可塑性樹脂:ポリオレフィン樹脂、線条体形状:丸断面、繊度=1500dtex、大きさ=91cm×193cm、厚さ=25mm、密度=25kg/m3、圧縮硬度=3.2kg/200mmφ、25℃での8万回繰り返し圧縮残留歪=3.5%、70℃での圧縮残留歪=38.0%
【0061】
ポリオレフィン系網状構造体層2
東洋紡績株式会社製ブレスエアーL 4550
熱可塑性樹脂:ポリオレフィン樹脂、線条体形状:中空、繊度=6000dtex、大きさ=91cm×193cm、厚さ=50mm、密度=45kg/m3、圧縮硬度=22.0kg/200mmφ、25℃での8万回繰り返し圧縮残留歪=6.5%、70℃での圧縮残留歪=35.5%
【0062】
[マットレス用中材およびマットレスの製造]
マットレス用中材1およびマットレス1
網状構造体層として、ポリエステル系網状構造体層1を上層、ポリエステル系網状構造体層2を下層として積層した。その際、積層体の長手方向Aの両端部からそれぞれ10cmの箇所の全長(図3に示す)にわたって、精電舎電子工業(株)製超音波ウェルダー加工機を用いて、5kgのエアー圧力を6秒施し(電圧200V、電流4kVA、周波数15kHz)、室温で5秒冷却し、5mmの融着幅で上層と下層を融着することにより連続的に固定して、短手方向Bの両端部は固定せずに、マットレス用中材1を作製した。また、マットレス用中材1と、側地として旭化成社製フュージョン(AKE69440)とを使用し、マットレス1を作製した。マットレス用中材1の剥離強度、マットレス1のギャッジ性などを測定した結果を表1に示した。
【0063】
マットレス用中材2およびマットレス2
網状構造体層として、ポリエステル系網状構造体層1を上層、ポリエステル系網状構造体層2を下層として積層した。その際、積層体の長手方向Aの両端部からそれぞれ10cmの箇所であってかつ短手方向Bの中央部(融着する長さ:30cm、図6に示す)において、精電舎電子工業(株)製超音波ウェルダー加工機を用いて、5kgのエアー圧力を6秒施し(電圧200V、電流4kVA、周波数15kHz)、室温で5秒冷却し、5mmの融着幅で上層と下層を融着することにより固定して、短手方向Bの両端部は固定せずに、マットレス用中材2を作製した。また、マットレス用中材2と、側地としてKBセーレン社製ハニカムニット(MD−NR−9155)とを使用し、マットレス2を作製した。マットレス用中材2の剥離強度、マットレス2のギャッジ性などを測定した結果を表1に示した。
【0064】
マットレス用中材3およびマットレス3
網状構造体層として、ポリエステル系網状構造体層1を上層、ポリエステル系網状構造体層2を下層として積層した。その際、積層体の長手方向Aの両端部からそれぞれ10cmの箇所であってかつ短手方向Bの両端部(縫製する長さ:5cm、図7に示す)において、上層と下層を手縫いにて縫製することにより固定して、短手方向Bの両端部は固定せずに、マットレス用中材3を作製した。また、マットレス用中材3と、側地として旭化成社製フュージョン(AKE69440)とを使用し、マットレス3を作製した。マットレス用中材3の剥離強度、マットレス3のギャッジ性などを測定した結果を表1に示した。
【0065】
マットレス用中材4およびマットレス4
網状構造体層として、ポリエステル系網状構造体層1を上層、ポリエステル系網状構造体層2を下層として積層した。その際、積層体の長手方向Aの両端部からそれぞれ10cmの箇所であってかつ短手方向Bの両端部から中央部まで合わせて6箇所(固定する長さ:5cm)において、上層と下層を、PPバンドを用いることにより固定して、短手方向Bの両端部は固定せずに、マットレス用中材4を作製した。また、マットレス用中材4と、側地として旭化成社製フュージョン(AKE69440)とを使用し、マットレス4を作製した。マットレス用中材4の剥離強度、マットレス4のギャッジ性などを測定した結果を表1に示した。
【0066】
マットレス用中材5およびマットレス5
網状構造体層として、ポリエステル系網状構造体層1を上層、ポリエステル系網状構造体層2を下層として積層した。その際、積層体の長手方向Aの両端部からそれぞれ10cmの箇所の全長(図4に示す)にわたって、5cmの接着幅で市販のクロロプレン系接着剤を塗布して、上層と下層を接着することにより固定して、短手方向Bの両端部は固定せずに、マットレス用中材5を作製した。また、マットレス用中材5と、側地として旭化成社製フュージョン(AKE69440)とを使用し、マットレス5を作製した。マットレス用中材5の剥離強度、マットレス5のギャッジ性などを測定した結果を表1に示した。
【0067】
マットレス用中材6およびマットレス6
網状構造体層として、ポリエステル系網状構造体層2の上下にポリエステル系網状構造体層1を積層し、その際、積層体の長手方向Aの両端部からそれぞれ10cmの箇所であってかつ短手方向Bの両端部から中央部まで合わせて12箇所(固定する長さ:5cm)において、3層を、PPバンドを用いることにより固定して、短手方向Bの両端部は固定せずに、マットレス用中材6を作製した。また、マットレス用中材6と側地として旭化成社製フュージョン(AKE69440)を使用し、マットレス6を作製した。マットレス用中材6の剥離強度、マットレス6のギャッジ性などを測定した結果を表1に示した。
【0068】
マットレス用中材7およびマットレス7
マットレス用中材3を薄地のニット織物(ポリエステルフィラメント100%製)製のインナーに入れ、マットレス用中材7を作製した。また、マットレス中材7と、側地として旭化成社製フュージョン(AKE69440)とを使用し、マットレス7を作製した。マットレス用中材7の剥離強度、マットレス7のギャッジ性などを測定した結果を表1に示した。
【0069】
マットレス用中材8およびマットレス8
網状構造体層として、ポリエステル系網状構造体層1を上層、ポリエステル系網状構造体層2を下層として積層し、固定処理をせずに、積層した網状構造体層を薄地のメッシュ織物(ポリエステルフィラメント100%製)製のインナーに入れる。この際、積層体の長手方向Aの両端部からそれぞれ10cmの箇所であってかつ短手方向Bの中央部(融着する長さ:30cm)において、精電舎電子工業(株)製超音波ウェルダー加工機を用いて、5kgのエアー圧力を6秒施し(電圧200V、電流4kVA、周波数15kHz)、室温で5秒冷却し、5mmの融着幅でインナー、網状構造体の上層及び下層を融着することにより固定して、短手方向B両端部は固定せずに、マットレス用中材8を作製した。また、マットレス用中材8と、側地として旭化成社製フュージョン(AKE69440)とを使用し、マットレス8を作製した。マットレス用中材8の剥離強度、マットレス8のギャッジ性などを測定した結果を表1に示した。
【0070】
マットレス用中材9およびマットレス9
幅5cm×長さ91cmのポリプロピレン製ヘッシャンクロスにエポキシ系接着剤を含浸させ接着シートとした。網状構造体層として、ポリオレフィン系網状構造体層1を上層、ポリオレフィン系網状構造体層2を下層として積層した。その際、積層体の長手方向Aの両端部からそれぞれ15cmの箇所の全長(図4に示す)にわたって、前記接着シートを載置し、上層と下層とを布帛(接着シート)を介して接着することにより固定して、短手方向Bの両端部は固定せずに、マットレス用中材9を作製した。また、マットレス用中材9と、側地として旭化成社製フュージョン(AKE69440)とを使用し、マットレス9を作製した。マットレス用中材9の剥離強度、マットレス9のギャッジ性などを測定した結果を表1に示した。
【0071】
マットレス用中材10およびマットレス10
網状構造体層として、ポリエステル系網状構造体層1を上層、ポリエステル系網状構造体層2を下層として積層した。積層した積層体を固定せずに、マットレス用中材10とした。また、マットレス用中材10と、側地として旭化成社製フュージョン(AKE69440)とを使用し、マットレス10を作製した。マットレス用中材10の剥離強度、マットレス10のギャッジ性などを測定した結果を表1に示した。
【0072】
マットレス用中材11およびマットレス11
積層した各層の全面を接着した他は、マットレス用中材5と同様の方法により、マットレス用中材11およびマットレス11を得た。マットレス用中材11の剥離強度、マットレス11のギャッジ性などを測定した結果を表1に示した。
【0073】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、ギャッジ性及び洗浄性に優れているギャッジベッド用マットレスに好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】従来マットレスのギャッジベッドに使用する態様説明図である。
【図2】本発明のマットレス用中材の一例の説明図である。
【図3】網状構造体層を連続的に固定する態様を例示する平面説明図である。
【図4】網状構造体層を連続的に固定する態様を例示する平面説明図である。
【図5】網状構造体層を連続的に固定する態様を例示する平面説明図である。
【図6】網状構造体層を断続的に固定する態様を例示する平面説明図である。
【図7】網状構造体層を断続的に固定する態様を例示する平面説明図である。
【図8】網状構造体層を断続的に固定する態様を例示する平面説明図である。
【図9】網状構造体層を固定する態様の変形例の平面説明図である。
【図10】本発明のマットレスの断面構造を模式的に例示する拡大説明図である。
【図11】本発明のマットレスの断面構造を模式的に例示する拡大説明図である。
【図12】各網状構造体層間の剥離強度を測定するための評価サンプルの説明図である。
【図13】各網状構造体層間の剥離強度を測定するための評価サンプルの説明図である。
【符号の説明】
【0076】
1:上層(網状構造体層)、3:下層(網状構造体層)、5:積層体、7、7’:積層体の長手方向Aの端部、9、9’:積層体の長手方向Aの中央部、11、11’:固定部(線状固定部)、13、13’:固定部(帯状固定部)、15、15’:固定部(点線状固定部)、17、17’:固定部(短手方向B中央部における固定部)、19、19’:固定部(短手方向B両端部における固定部)、21、21’:固定部(短手方向B各箇所における固定部)、23、23’:固定部、25:マットレス用中材、27:側地、29:インナー、31:固定部(線状固定部、剥離強度評価用)、33:固定部(帯状固定部、剥離強度評価用)
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護用、病院用などのベッドとして好適に使用されるマットレス用中材、および、それを用いたマットレスに関する。
【背景技術】
【0002】
介護用、病院用などのベッドとして、利用者の背上げや足上げなどの姿勢制御機能を備えたギャッジベッドが使用されている。ギャッジベッドを使用することによって、例えば、高齢の利用者の寝たきり防止や介護の負担を軽減することができる。また、病院では食事をする際に、利用者が容易に座位をとることができる。
【0003】
ギャッジベッドのマットレス用中材には、「ギャッジ性」が要求されている。「ギャッジ性」とは、利用者の姿勢を変える際に、マットレスが、ベッドの変形に追随する性質であり、ギャッジ性が低い場合には、姿勢を変える際にマットレスにしわやたるみが生じる。また、ギャッジベッドのマットレス用中材には、衛生面から、容易に洗浄できる「洗浄性」が要求されている。
【0004】
従来のマットレスが適切な体圧分散性能を得るためには、適度なタワミ量を必要としたため、体重がかかる厚さ方向は、40mm〜200mmの寸法を必要とした。しかし、この厚さを平面ベッドに使用する場合は問題ないが、ギャッジベッドに採用すると、ボトムへの追従性及び円周率差による凸凹で腰への突き上げ感などにより使用感が非常に悪くなった(図1)。また、洗浄設備の面で、従来のマットレスは定期的に消毒することが難しく、購入すればそのまま使用するしかない。
【0005】
ギャッジベッド用のマットレスとしては、ウレタンフォームに切れ込みを設けたものが知られている。しかし、ウレタンフォームに切れ込みを設けるために、強度的に弱くなりへたりなどが生じる。
【0006】
特許文献1には、ギャッジベッドの微妙なラインに沿わせることができる敷物として、柔軟性を有する基布と、この基布の両面に夫々複数個並べられた弾性体と、これらを覆う表皮カバーとからなり、基布の各面に配された各弾性体間には隙間が設けられ、基布の片面側の複数個の弾性体と基布の他面側の複数個の弾性体とが弾性体の並び方向においてずらされて、基布の片面側の弾性体間の隙間の位置に基布の他面側の弾性体が位置していることを特徴とする敷物が開示されている。
【特許文献1】特開2000−316676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ギャッジ性及び洗浄性に優れているマットレス用中材及びそれを用いたマットレスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することのできた本発明のマットレス用中材とは、三次元網状構造体からなる層を複数積層させた積層体であって、前記三次元網状構造体からなる各層が、前記積層体の長手方向の両端部において、連続的にあるいは断続的に固定されていることを特徴とする。すなわち、本発明のマットレス用中材は、三次元網状構造体からなる層を複数積層させるとともに、各層が、積層体の長手方向の両端部において固定されている。かかる構成を採用することにより、姿勢を制御する際に横方向のずれの発生を防ぐことができ、網状構造体が容易に伸びたり圧縮したりする。その結果、マットレスにしわやたるみが発生するのが抑制され、背上げの際に変形が追従しやすくなる。また、積層体の各層が、三次元網状構造体から構成されているので、耐久性にも優れ長期にわたって利用してもへたりがない。さらに、洗浄性にも優れ、「在宅手洗い」が可能になる。
【0009】
本発明には、本発明のマットレス用中材を使用したマットレスが含まれる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のマットレス用中材及びそれを用いたマットレスはギャッジ性及び洗浄性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のマットレス用中材は、三次元網状構造体からなる層(以下、単に「網状構造体層」と称する場合がある)が複数積層された積層体であって、各網状構造体層が、前記積層体の長手方向の両端部において、連続的にあるいは断続的に固定されていることを特徴とする。
【0012】
まず、本発明のマットレス用中材について、図面を参照しながら説明するが、本発明のマットレス用中材は、図面に示した態様に限定されるものではない。
【0013】
図2は、本発明のマットレス用中材の一例を示す説明図(斜視図)である。マットレス用中材は、三次元網状構造体からなる略直方体形状の上層1と下層3とが積層された積層体5からなり、各網状構造体層は、積層体の長手方向Aの両端部7、7’において固定され、長手方向Aの中央部9、9’は固定されていない。ここで、積層体の端部とは、積層体の端から30cm以内の範囲を言う。図2の態様は、上層と下層からなる2層構造の積層体からなる態様であるが、本発明のマットレス用中材は、網状構造体層を複数積層させた積層体であれば良く、例えば、上層、中層、下層からなる3層構造の積層体であることも好ましい態様である。
【0014】
前記網状構造体層としては、熱可塑性樹脂からなる連続線条体が三次元ランダム状に交絡されてなり、前記交絡部の少なくとも一部が融着してなる三次元網状構造体層を使用することが好ましい。斯かる網状構造体層は、疎な構造を有するため通気性が高い。その結果、得られるマットレス用中材は、容易に洗濯および乾燥することができ衛生的である。三次元ランダム状とは、複数の連続線条体(熱可塑性樹脂からなる連続線条体)を曲がりくねらせて大きさや向きが不規則なループ状などの任意の形状を多数形成すると共に、これら線条体同士の交絡部の少なくとも一部が融着している立体構造をいう。
【0015】
また「連続線条体」とは、熱可塑性樹脂を原料とする連続線条体(ストランド)である。熱可塑性樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、生分解性樹脂など各種熱可塑性樹脂が例示される。これらの中でも、ポリエステル樹脂またはポリオレフィン樹脂を原料とする連続線条体が好ましく、40℃〜70℃程度の温熱下の耐久性という観点から、ポリエステル樹脂を原料とする連続線条体がより好ましい。また、特にポリエステル樹脂の中でも、耐久性に優れた特性を示すものとして、共重合ポリエステル、ブロック共重合ポリエーテルエステルやブロック共重合ポリエステルエステルなどの重合体が好ましい。
【0016】
前記熱可塑性樹脂からなる連続線条体の繊度は、275デシテックス以上が好ましく、550デシテックス以上がより好ましく、220000デシテックス以下が好ましく、110000デシテックス以下がより好ましい。前記連続線条体の繊度が、275デシテックス以上の場合は、抗圧縮強力が高くなり、繊度が、220000デシテックス以下の場合は、変形しやすくなり弾性が良くなるからである。
【0017】
また、前記網状構造体層は、マットレスに使用されることから、略直方体であることが好ましく、例えば、長手方向Aが50cm〜300cm、短手方向Bが50cm〜200cm、厚さが10mm〜200mmの略直方体であることがより好ましい。また、網状構造体層の厚さは、10mm以上が好ましく、15mm以上がより好ましく、200mm以下が好ましく、100mm以下がより好ましい。厚さが10mm以上では、網状構造体層の物性が良くなり、200mm以下では、折り曲げやすくなり、取り扱いやすくなり、特に背上げ機能の付いたベッドでは背上げの際にマットレスがベッドの折り曲げに追従することができるからである。
【0018】
前記網状構造体層の密度は、80kg/m3以下が好ましく、60kg/m3以下がより好ましい。前記網状構造体層の密度を80kg/m3以下とすることによって、積層体を疎な構造とすることができ、得られるマットレス用中材の通気性が高くなる。その結果、本発明のマットレス用中材は、洗濯して容易に乾かすことができるので衛生的である。
【0019】
一方、前記網状構造体層の密度の下限は、20kg/m3が好ましく、25kg/m3がより好ましい。密度が低くなりすぎると、網状構造体層を形成する繊維同士の接着点が減り、形状が保てなくなったりもろくなったりするからである。
【0020】
前記網状構造体層の圧縮硬度は、3kg/200mmφ以上が好ましく、4kg/200mmφ以上がより好ましく、40kg/200mmφ以下が好ましく、35kg/200mmφ以下がより好ましい。網状構造体層の圧縮硬度を上記範囲とすれば、マットレス用中材として好適な硬度の積層体が得られる。
【0021】
本発明で使用する網状構造体層の具体例としては、例えば、東洋紡績株式会社製ブレスエアーA4555、A3025、L4550、L2525などを挙げることができる。
【0022】
本発明のマットレス用中材は、網状構造体層を複数積層させた積層体であり、網状構造体層を積層させる態様としては、例えば、最上層に低圧縮硬度の網状構造体層を積層し、最下層に高圧縮硬度の網状構造体層を積層する態様;最上層に高圧縮硬度の網状構造体層を積層し、最下層に低圧縮硬度の網状構造体層を積層する態様;または、最上層と最下層に略同一圧縮硬度の網状構造体層を積層する態様のいずれであってもよい。利用者の好みや床ずれなどの程度に応じて、硬い面と柔らかい面のいずれも選択することができるからである。また、上下層の硬さ(圧縮硬度)を適切にバランスすることによって、体圧をほぼ均等に分散させるマットレスが得られる。
【0023】
最上層の網状構造体層としては、例えば、厚さが10mm〜40mm、密度が25kg/m3〜60kg/m3、圧縮硬度が4kg/200mmφ〜18kg/200mmφのものを使用することが好ましい態様である。圧縮硬度が4kg/200mmφ以上であると、マットレスとして必要な抗圧縮強力があり、18kg/200φ以下であると、マットレスが硬すぎないからである。また、最下層の網状構造体層としては、例えば、厚さが20mm〜100mm、密度が35kg/m3〜60kg/m3、圧縮硬度が11kg/200mmφ〜25kg/200mmφのものを使用することが好ましい態様である。圧縮硬度が、11kg/200mmφ以上であると、充分な保持力が得られ底付き感を感じなく、25kg/200mmφ以下であると、底付き感が大きくならないからである。
【0024】
特に、最上層に使用する網状構造体層と最下層に使用する網状構造体層について、圧縮硬度に差を設けることが好ましい。圧縮硬度は、網状構造体層の硬さを指標するものであり、最上層または最下層のいずれが高くても良い。上述したように、利用者の好みや床ずれなどの程度に応じて、硬い面と柔らかい面のいずれも選択することができるからである。また、上下の硬さを相互にバランスし、体圧をほぼ均等に分散させるマットレスが得られる。
【0025】
前記圧縮硬度の差は、1kg/200mmφ以上が好ましく、3kg/200mmφ以上がより好ましく、5kg/200mmφ以上がさらに好ましく、20kg/200mmφ以下が好ましく、18kg/200mmφ以下がより好ましく、15kg/200mmφ以下がさらに好ましい。
【0026】
ここで「圧縮硬度」とは、試料を30cm角に切断し、直径200mmの加圧板を用い、JIS K6400−2(2004)6.7 D法に準拠して、試料を25%圧縮したときの応力値である。
【0027】
本発明において、各網状構造体層は、積層体の長手方向の両端部において、連続的にあるいは断続的に固定されている。
【0028】
各網状構造体層を固定する方法は、特に限定されるものではないが、縫製、バンド、釘、ボルト、紐、クランプ、かぎ、リングなどの物理的固定手段を用いて各網状構造体層を固定する方法、高周波のウエルダー加工または熱プレスにより各網状構造体層を融着する方法、あるいは、接着剤を用いて各網状構造体層を接着する方法などを挙げることができる。これらの中でも、各網状構造体層を固定する方法として、物理的固定手段を用いることが好ましく、縫製またはバンドを用いて各網状構造体層を固定することがより好ましい。物理的固定手段を用いると、各網状構造体層の固定状態の解除が容易になる。すなわち、各網状構造体層を容易に取り外しすることができ、例えば、各網状構造体層を別々に洗濯することができるなどの利点がある。
【0029】
各網状構造体層を縫製して固定する方法としては、例えば、各網状構造体層を圧縮しながら電動ミシンを用いて縫製する方法を挙げることができる。縫製糸としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエステル系の高強力ミシン糸などを用いることができる。また、各網状構造体層を固定するバンドとしては、特に限定されるものではなく、ゴムバンド、ポリプロピレン製バンド(PPバンド)などを用いることができる。
【0030】
ウェルダー加工方法として、特公平7−41105号公報に開示されている方法を用いることができる。また、熱プレス加工方法として、上下に並行配置された熱プレス板の間に網状構造体を取り付け、網状構造体の原料となる熱可塑性樹脂の融点より10℃以上低い温度で加圧融着することにより、各層の網状構造体を一体に固定することができる。
【0031】
各網状構造体層を接着する接着剤としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、エステル系、ポリブタジエン、ブタジエン・アクリロニトリル系、イソプレン、クロロプレンなどの接着剤を使用することが好適である。また、前記接着剤の形態としては、溶剤系、水系、ホットメルト系などを挙げることができる。
【0032】
各網状構造体層を接着剤により固定する場合、各網状構造体層は、上述したように、連続線条体を三次元ランダム状に交絡させてなるために、端部における各網状構造体層間の接触面積は小さくなる。そのため、上述の如く各網状構造体層間を、布帛を介して接着させることにより、端部における各網状構造体層間の接触面積が大きくなって、各層間の剥離強度が高くなる。布帛を介して各網状構造体層を接着させる態様としては、例えば、布帛の両面に接着剤を塗布して各網状構造体層を接着する態様;あるいは、布帛に接着剤を含浸させて、接着シートとし、各網状構造体層を接着する態様などを挙げることができる。
【0033】
前記布帛の材質としては、網状構造体層を接着することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂などの有機系樹脂、または、天然系、あるいは、有機系と天然系との混紡布帛などを使うことができる。また、布帛を構成する材料と、網状構造体層を構成する材料として、同一種類のものを使用することも可能であり、例えば、網状構造体層と布帛を構成する材料をポリエステル樹脂またはポリオレフィン樹脂とすることができる。
【0034】
また、前記布帛を構成する材料と、網状構造体層を構成する材料と、接着剤の材料として、同一種類のものを使用することも可能であり、例えば、ポリエステル樹脂またはポリオレフィン樹脂とすることができる。
【0035】
図3〜図9は本発明の各網状構造体層を固定する態様を示す平面説明図(固定部より上側の網状構造体層は図示せず)であるが、各網状構造体層を固定する態様は、図面に示した態様に限定されるものではない。
【0036】
各網状構造体層を連続的に固定する態様としては、各網状構造体層を積層体の長手方向の両端部において固定する固定部が、両端部の全長に亘って設けられている態様であり、例えば、図3に示すように、積層体の長手方向Aの両端部7、7’において、線状の固定部11、11’を設けて、各網状構造体層を固定する態様;あるいは、図4に示すように、積層体の長手方向Aの両端部7、7’において、帯状の固定部13、13’を設けて、各網状構造体層を固定する態様を挙げることができる。なお、連続的に固定する態様には、図5に示すように、積層体の長手方向Aの両端部7、7’において、高密度に点線状の固定部15、15’を設ける態様(点線状の固定部)も含まれる。
【0037】
一方、各網状構造体層を断続的に固定する態様としては、例えば、各網状構造体層を積層体の長手方向の両端部において固定する固定部が、両端部の全長の一部にのみ設けられている態様であれば特に限定されず、例えば、図6に示すように、積層体の長手方向Aの両端部7、7’であってかつ短手方向Bの中央部に固定部17、17’を設けて、各網状構造体層を固定する態様;図7に示すように、積層体の長手方向Aの両端部7、7’であってかつ短手方向Bの両端部に固定部19、19’を設けて、各網状構造体層を固定する態様;或いは、図8に示すように、積層体の長手方向Aの両端部7、7’であってかつ短手方向Bの両端部から中央部までの各箇所に固定部21、21’を設けて、各網状構造体層を固定する態様を挙げることができる。
【0038】
各網状構造体層を断続的に固定する場合は、前記固定部の個数及び大きさ(長さ)、固定部間の間隔距離、固定部の長さが均一であるかどうかなどは、固定方法などに応じて適宜変更することができる。積層体の長手方向Aの両端部であってかつ短手方向Bの中央部に固定部を設ける場合は(例えば、図6)、固定部の長さ(Z1)は長手方向Aの端部長さの10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、100%以下が好ましく、90%以下がより好ましい;積層体の長手方向Aの両端部であってかつ短手方向Bの両端部に固定部を設ける場合は(例えば、図7)、固定部の長さ(Z2)は長手方向Aの端部長さの5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、50%以下が好ましく、45%以下がより好ましい;積層体の長手方向Aの両端部であってかつ短手方向Bの両端部から中央部までの各箇所に固定部を設ける場合は(例えば、図8)、固定部の長さ(Z3)は長手方向Aの端部長さの4%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、15%以上がさらに好ましく、33%以下が好ましく、25%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましく、片側端部に固定部の個数は3個以上が好ましく、5個以上がより好ましく、20個以下が好ましく、15個以下がより好ましい。
【0039】
また、各網状構造体層を固定する固定部の固定方向などは、固定手段に応じて適宜変更することができる。例えば、図9に示すように、積層体の長手方向Aの両端部7、7’における固定部23、23’の固定方向を長辺と平行にして、各網状構造体層を固定する態様も好ましい態様である。
【0040】
固定部を設ける場合、前記固定部と積層体の長手方向の近い端部との距離(X)は、特に限定されないが、5cm以上が好ましく、10cm以上がより好ましく、30cm以下が好ましく、20cm以下がより好ましい。前記距離が、5cm以上であるとマットレス端部の厚みが保持でき、外見が良くなり、30cm以下であると、人体の頭部、背面などが加工部の凹みに乗ることにならなく、寝心地の違和感が生じないからである。線状固定部の幅(Y1)は、特に限定されないが、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、30mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましい。帯状固定部の幅(Y2)は、特に限定されないが、3cm超が好ましく、5cm以上がより好ましく、50cm以下が好ましく、25cm以下がより好ましい。固定部の幅が小さすぎると剥離強度が弱くなり、大きすぎるとギャッジ性が悪くなるからである。
【0041】
本発明において、各網状構造体層を連続的にまたは断続的に固定する好ましい態様としては、例えば、積層体の長手方向の両端部において、各網状構造体層を、縫製またはバンドにより、固定部において固定する態様;積層体の長手方向の両端部において、各網状構造体層を高周波のウエルダー加工または熱プレスにより、固定部において融着して固定する態様;積層体の長手方向の両端部において、固定部の領域にわたって、各網状構造体層間に接着剤を塗布して、各網状構造体層を接着剤で接着することにより固定する態様;或いは、各網状構造体層間に布帛を設けて、布帛を介して各網状構造体層を接着剤で接着することにより固定する態様などを挙げることができる。
【0042】
縫製を用いて各網状構造体層を固定する場合、固定部の個数は特に限定されないが、片側端部に少なくとも1箇所以上が好ましく、2箇所以上がより好ましく、3箇所以上がさらに好ましい。バンドを用いて各網状構造体層を固定する場合、固定する長さは特に限定されないが、20mm以上が好ましく、30mm以上がより好ましく、300mm以下が好ましく、60mm以下がより好ましい。固定する長さは、短すぎると十分に固定できず、長すぎると作業に手間がかかり固定が困難になるからである。
【0043】
本発明において、最上層の網状構造体層とこれに固定された次層の網状構造体層との剥離強度は、5kg以上が好ましく、10kg以上がより好ましく、15kg以上であることが望ましい。剥離強度が、5kg以上であると、剥離強度は高くなり、剥離が生じたり各層がずれたりしなく、使用時に違和感が生じないからである。なお、本発明のマットレス用中材が3層以上の網状構造体層からなる場合、最上層とこれに固定された次層との界面に加えて、さらに界面ができることになるが、すべての界面における剥離強度を、5kg以上、より好ましくは10kg以上、さらに好ましくは15kg以上とすることも望ましい態様である。ここで、「剥離強度」とは、試料を250mm×300mmの大きさに切断し、300mmの端部において接着し、接着した試料をアムスラー試験機で10mm/分の速度で引っ張り、測定した引っ張り力の最高値である。
【0044】
本発明のマットレス用中材の25℃での8万回繰返し圧縮残留歪は、7%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、3%以下がさらに好ましい。また、70℃の温熱下における50%圧縮残留歪は、25%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、17%以下がさらに好ましい。
【0045】
本発明において、積層体の厚さは、5cm以上が好ましく、6cm以上がより好ましく、20cm以下が好ましく、15cm以下がより好ましい。積層体の厚さが5cm以上では、底付きにくくなり、寝心地不良、体圧分散不良となりにくくなり、20cm以下では、背上げの際のギャッジ性が良くなるからである。
【0046】
本発明には、本発明のマットレス用中材を使用したマットレスが含まれる。
【0047】
本発明のマットレスは、本発明のマットレス用中材を側地でカバーしたものであれば、特に限定されず、例えば、本発明のマットレス用中材をインナーで包んでおくことも好ましい態様である。マットレス用中材をインナーで包んでおくことによって、インナーと側地とが滑り易くなって、ギャッジ性が向上するからである。
【0048】
本発明のマットレス用中材をインナーで包む場合、前記インナーとマットレス用中材とを、マットレス用中材の長手方向両端部において固定することも好ましい態様である。前記インナーとマットレス用中材とを固定する方法としては、例えば、各網状構造体を予め固定して積層体を得、斯かる積層体をインナーで包んでから、インナーとマットレス用中材とを固定する方法、あるいは、固定されていない各網状構造体層をインナーで包み、次いで、インナーと各網状構造体とを一体的に固定する用法を挙げることができる。
【0049】
図10は、本発明のマットレス用中材を側地で包んだマットレスであって、各網状構造体層を、例えば、縫製により固定して得られるマットレスの両端部(固定部)の一方の断面構造を模式的に例示する拡大説明図であり、マットレス用中材の表面には、縫製により凹部が生じている。図11は、マットレス用中材をインナーで包んで、インナーと各網状構造体層を一体的に縫製により固定した態様を示しており、マットレス用中材およびインナーの表面には、縫製により凹部が生じている。
【0050】
前記側地としては、例えば、革(合成皮革、天然皮革)、織編物、不織布、ダブルラッセルによる三次元編物などが挙げられる。本発明のマットレス用中材を包むインナーとしては、スライド性を向上させるための摩擦係数の少ない繊維で作成されたものであれば、特に限定されなく、例えば、ポリエステルタフタ、ポリエステルネットなどを挙げることができる。
【実施例】
【0051】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0052】
[評価方法]
(1)ギャッジ性
91cm×193cmのマットレスサンプル(側地を含む)をギャッジ性測定機能のあるナショナル製電動ケアベッドSoi-neに敷き、電動ベッドのヘッド部を70°まで上昇させた時のマットレスサンプルの追従性を目視で判断し、マットレスのギャッジ性とする。
評価基準1
○:ベッドの折れ曲り部の変形にマットレスが追従し、違和感がない。
△:ベッドの折れ曲り部にて、マットレスとベッドとの間にすき間が生じる。
×:ベッドの折れ曲り部にて、マットレスとベッドとの間に大きなすき間が生じる。或いは、マットレスに折れ皺が発生する。
評価基準2
また、前記ギャッジ性テスト後のサンプルを元の状態に戻した時に、各層のずれがなければ○とし、ずれが生じ寝心地に違和感が生じれば×とする。
【0053】
(2)25℃での8万回繰り返し圧縮残留歪
試料を30cm×30cmの大きさに切断し、JIS K6400−4(2004) 6.2 B法に準拠して、島津製作所製サーボパルサーにて、25℃、65%RH室内にて初期厚みの50%の厚みまで1Hzのサイクルで圧縮回復を繰り返し、8万回後の試料を1日放置後、厚み(b)を求め、処理前の厚み(a)から、25℃での8万回繰り返し、圧縮残留歪を次式により算出する。
25℃での8万回繰り返し圧縮残留歪={(a-b)/a}×100:単位%
【0054】
(3)70℃での圧縮残留歪
試料を15cm×15cmの大きさに切断し、JIS K6400−4(2004)4.5.2 A法に準拠して、試料を初期厚みの50%の厚みに圧縮した状態で70℃乾熱中にて22時間放置後、冷却して圧縮歪を除き1日放置後の厚み(d)を求め、処理前の厚み(c)から、70℃での圧縮残留歪を次式により算出する。
70℃での圧縮残留歪={(c-d)/c}×100:単位%
【0055】
(4)圧縮硬度
試料を30cm角に切断し、直径200mmの加圧板を用い、JIS K6400−2(2004)6.7 D法に準拠して、試料を25%圧縮したときの応力値を測定し、圧縮硬度とする。
【0056】
(5)剥離強度
試料を250mm×300mmの大きさに切断し、300mmの端部において固定し、固定した試料(図12および図13に示す)をアムスラー試験機で10mm/分の速度で引っ張り、引張力を測定し、最高値を剥離強度とする。
【0057】
[三次元網状構造体層]
網状構造体層として、以下の三次元網状構造体を用いた。
【0058】
ポリエステル系網状構造体層1
東洋紡績株式会社製ブレスエアーA3025
熱可塑性樹脂:ポリエステル樹脂、線条体形状:丸断面、繊度=11000dtex、大きさ=91cm×193cm、厚さ=25mm、密度=30kg/m3、圧縮硬度=4.2kg/200mmφ、25℃での8万回繰り返し圧縮残留歪=2.8%、70℃での圧縮残留歪=15.2%
【0059】
ポリエステル系網状構造体層2
東洋紡績株式会社製ブレスエアーA4555
熱可塑性樹脂:ポリエステル樹脂、線条体形状:中空、繊度=6500dtex、大きさ=91cm×193cm、厚さ=55mm、密度=45kg/m3、圧縮硬度=23.5kg/200mmφ、25℃での8万回繰り返し圧縮残留歪=3.7%、70℃での圧縮残留歪=14.8%
【0060】
ポリオレフィン系網状構造体層1
東洋紡績株式会社製ブレスエアーL 2525
熱可塑性樹脂:ポリオレフィン樹脂、線条体形状:丸断面、繊度=1500dtex、大きさ=91cm×193cm、厚さ=25mm、密度=25kg/m3、圧縮硬度=3.2kg/200mmφ、25℃での8万回繰り返し圧縮残留歪=3.5%、70℃での圧縮残留歪=38.0%
【0061】
ポリオレフィン系網状構造体層2
東洋紡績株式会社製ブレスエアーL 4550
熱可塑性樹脂:ポリオレフィン樹脂、線条体形状:中空、繊度=6000dtex、大きさ=91cm×193cm、厚さ=50mm、密度=45kg/m3、圧縮硬度=22.0kg/200mmφ、25℃での8万回繰り返し圧縮残留歪=6.5%、70℃での圧縮残留歪=35.5%
【0062】
[マットレス用中材およびマットレスの製造]
マットレス用中材1およびマットレス1
網状構造体層として、ポリエステル系網状構造体層1を上層、ポリエステル系網状構造体層2を下層として積層した。その際、積層体の長手方向Aの両端部からそれぞれ10cmの箇所の全長(図3に示す)にわたって、精電舎電子工業(株)製超音波ウェルダー加工機を用いて、5kgのエアー圧力を6秒施し(電圧200V、電流4kVA、周波数15kHz)、室温で5秒冷却し、5mmの融着幅で上層と下層を融着することにより連続的に固定して、短手方向Bの両端部は固定せずに、マットレス用中材1を作製した。また、マットレス用中材1と、側地として旭化成社製フュージョン(AKE69440)とを使用し、マットレス1を作製した。マットレス用中材1の剥離強度、マットレス1のギャッジ性などを測定した結果を表1に示した。
【0063】
マットレス用中材2およびマットレス2
網状構造体層として、ポリエステル系網状構造体層1を上層、ポリエステル系網状構造体層2を下層として積層した。その際、積層体の長手方向Aの両端部からそれぞれ10cmの箇所であってかつ短手方向Bの中央部(融着する長さ:30cm、図6に示す)において、精電舎電子工業(株)製超音波ウェルダー加工機を用いて、5kgのエアー圧力を6秒施し(電圧200V、電流4kVA、周波数15kHz)、室温で5秒冷却し、5mmの融着幅で上層と下層を融着することにより固定して、短手方向Bの両端部は固定せずに、マットレス用中材2を作製した。また、マットレス用中材2と、側地としてKBセーレン社製ハニカムニット(MD−NR−9155)とを使用し、マットレス2を作製した。マットレス用中材2の剥離強度、マットレス2のギャッジ性などを測定した結果を表1に示した。
【0064】
マットレス用中材3およびマットレス3
網状構造体層として、ポリエステル系網状構造体層1を上層、ポリエステル系網状構造体層2を下層として積層した。その際、積層体の長手方向Aの両端部からそれぞれ10cmの箇所であってかつ短手方向Bの両端部(縫製する長さ:5cm、図7に示す)において、上層と下層を手縫いにて縫製することにより固定して、短手方向Bの両端部は固定せずに、マットレス用中材3を作製した。また、マットレス用中材3と、側地として旭化成社製フュージョン(AKE69440)とを使用し、マットレス3を作製した。マットレス用中材3の剥離強度、マットレス3のギャッジ性などを測定した結果を表1に示した。
【0065】
マットレス用中材4およびマットレス4
網状構造体層として、ポリエステル系網状構造体層1を上層、ポリエステル系網状構造体層2を下層として積層した。その際、積層体の長手方向Aの両端部からそれぞれ10cmの箇所であってかつ短手方向Bの両端部から中央部まで合わせて6箇所(固定する長さ:5cm)において、上層と下層を、PPバンドを用いることにより固定して、短手方向Bの両端部は固定せずに、マットレス用中材4を作製した。また、マットレス用中材4と、側地として旭化成社製フュージョン(AKE69440)とを使用し、マットレス4を作製した。マットレス用中材4の剥離強度、マットレス4のギャッジ性などを測定した結果を表1に示した。
【0066】
マットレス用中材5およびマットレス5
網状構造体層として、ポリエステル系網状構造体層1を上層、ポリエステル系網状構造体層2を下層として積層した。その際、積層体の長手方向Aの両端部からそれぞれ10cmの箇所の全長(図4に示す)にわたって、5cmの接着幅で市販のクロロプレン系接着剤を塗布して、上層と下層を接着することにより固定して、短手方向Bの両端部は固定せずに、マットレス用中材5を作製した。また、マットレス用中材5と、側地として旭化成社製フュージョン(AKE69440)とを使用し、マットレス5を作製した。マットレス用中材5の剥離強度、マットレス5のギャッジ性などを測定した結果を表1に示した。
【0067】
マットレス用中材6およびマットレス6
網状構造体層として、ポリエステル系網状構造体層2の上下にポリエステル系網状構造体層1を積層し、その際、積層体の長手方向Aの両端部からそれぞれ10cmの箇所であってかつ短手方向Bの両端部から中央部まで合わせて12箇所(固定する長さ:5cm)において、3層を、PPバンドを用いることにより固定して、短手方向Bの両端部は固定せずに、マットレス用中材6を作製した。また、マットレス用中材6と側地として旭化成社製フュージョン(AKE69440)を使用し、マットレス6を作製した。マットレス用中材6の剥離強度、マットレス6のギャッジ性などを測定した結果を表1に示した。
【0068】
マットレス用中材7およびマットレス7
マットレス用中材3を薄地のニット織物(ポリエステルフィラメント100%製)製のインナーに入れ、マットレス用中材7を作製した。また、マットレス中材7と、側地として旭化成社製フュージョン(AKE69440)とを使用し、マットレス7を作製した。マットレス用中材7の剥離強度、マットレス7のギャッジ性などを測定した結果を表1に示した。
【0069】
マットレス用中材8およびマットレス8
網状構造体層として、ポリエステル系網状構造体層1を上層、ポリエステル系網状構造体層2を下層として積層し、固定処理をせずに、積層した網状構造体層を薄地のメッシュ織物(ポリエステルフィラメント100%製)製のインナーに入れる。この際、積層体の長手方向Aの両端部からそれぞれ10cmの箇所であってかつ短手方向Bの中央部(融着する長さ:30cm)において、精電舎電子工業(株)製超音波ウェルダー加工機を用いて、5kgのエアー圧力を6秒施し(電圧200V、電流4kVA、周波数15kHz)、室温で5秒冷却し、5mmの融着幅でインナー、網状構造体の上層及び下層を融着することにより固定して、短手方向B両端部は固定せずに、マットレス用中材8を作製した。また、マットレス用中材8と、側地として旭化成社製フュージョン(AKE69440)とを使用し、マットレス8を作製した。マットレス用中材8の剥離強度、マットレス8のギャッジ性などを測定した結果を表1に示した。
【0070】
マットレス用中材9およびマットレス9
幅5cm×長さ91cmのポリプロピレン製ヘッシャンクロスにエポキシ系接着剤を含浸させ接着シートとした。網状構造体層として、ポリオレフィン系網状構造体層1を上層、ポリオレフィン系網状構造体層2を下層として積層した。その際、積層体の長手方向Aの両端部からそれぞれ15cmの箇所の全長(図4に示す)にわたって、前記接着シートを載置し、上層と下層とを布帛(接着シート)を介して接着することにより固定して、短手方向Bの両端部は固定せずに、マットレス用中材9を作製した。また、マットレス用中材9と、側地として旭化成社製フュージョン(AKE69440)とを使用し、マットレス9を作製した。マットレス用中材9の剥離強度、マットレス9のギャッジ性などを測定した結果を表1に示した。
【0071】
マットレス用中材10およびマットレス10
網状構造体層として、ポリエステル系網状構造体層1を上層、ポリエステル系網状構造体層2を下層として積層した。積層した積層体を固定せずに、マットレス用中材10とした。また、マットレス用中材10と、側地として旭化成社製フュージョン(AKE69440)とを使用し、マットレス10を作製した。マットレス用中材10の剥離強度、マットレス10のギャッジ性などを測定した結果を表1に示した。
【0072】
マットレス用中材11およびマットレス11
積層した各層の全面を接着した他は、マットレス用中材5と同様の方法により、マットレス用中材11およびマットレス11を得た。マットレス用中材11の剥離強度、マットレス11のギャッジ性などを測定した結果を表1に示した。
【0073】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、ギャッジ性及び洗浄性に優れているギャッジベッド用マットレスに好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】従来マットレスのギャッジベッドに使用する態様説明図である。
【図2】本発明のマットレス用中材の一例の説明図である。
【図3】網状構造体層を連続的に固定する態様を例示する平面説明図である。
【図4】網状構造体層を連続的に固定する態様を例示する平面説明図である。
【図5】網状構造体層を連続的に固定する態様を例示する平面説明図である。
【図6】網状構造体層を断続的に固定する態様を例示する平面説明図である。
【図7】網状構造体層を断続的に固定する態様を例示する平面説明図である。
【図8】網状構造体層を断続的に固定する態様を例示する平面説明図である。
【図9】網状構造体層を固定する態様の変形例の平面説明図である。
【図10】本発明のマットレスの断面構造を模式的に例示する拡大説明図である。
【図11】本発明のマットレスの断面構造を模式的に例示する拡大説明図である。
【図12】各網状構造体層間の剥離強度を測定するための評価サンプルの説明図である。
【図13】各網状構造体層間の剥離強度を測定するための評価サンプルの説明図である。
【符号の説明】
【0076】
1:上層(網状構造体層)、3:下層(網状構造体層)、5:積層体、7、7’:積層体の長手方向Aの端部、9、9’:積層体の長手方向Aの中央部、11、11’:固定部(線状固定部)、13、13’:固定部(帯状固定部)、15、15’:固定部(点線状固定部)、17、17’:固定部(短手方向B中央部における固定部)、19、19’:固定部(短手方向B両端部における固定部)、21、21’:固定部(短手方向B各箇所における固定部)、23、23’:固定部、25:マットレス用中材、27:側地、29:インナー、31:固定部(線状固定部、剥離強度評価用)、33:固定部(帯状固定部、剥離強度評価用)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元網状構造体からなる層を複数積層させた積層体であって、前記三次元網状構造体からなる各層が、前記積層体の長手方向の両端部において、連続的にあるいは断続的に固定されていることを特徴とするマットレス用中材。
【請求項2】
前記三次元網状構造体からなる各層が、縫製又はバンドにより固定されている請求項1に記載のマットレス用中材。
【請求項3】
最上層の三次元網状構造体からなる層と、これに固定された三次元網状構造体からなる次層との剥離強度が、5kg以上である請求項1又は請求項2に記載のマットレス用中材。
【請求項4】
最上層の三次元網状構造体からなる層と、最下層の三次元網状構造体からなる層の圧縮硬度の差が1kg/200mmφ〜20kg/200mmφである請求項1〜3のいずれか一項に記載のマットレス用中材。
【請求項5】
前記三次元網状構造体からなる層は、繊度が275デシテックス〜220000デシテックスである熱可塑性樹脂からなる連続線条体を三次元ランダム状に交絡させてなり、前記交絡部の少なくとも一部が融着してなるものである請求項1〜4のいずれか一項に記載のマットレス用中材。
【請求項6】
前記積層体の厚さは、5cm〜20cmである請求項1〜5のいずれか一項に記載のマットレス用中材。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のマットレス用中材を用いたマットレス。
【請求項8】
前記マットレス用中材が、インナーで包まれている請求項7に記載のマットレス。
【請求項9】
前記マットレス用中材とインナーとが、マットレス用中材の長手方向の両端部において、連続的にあるいは断続的に固定されている請求項8に記載のマットレス。
【請求項10】
前記インナーが、ポリエステルネットである請求項8又は請求項9に記載のマットレス。
【請求項1】
三次元網状構造体からなる層を複数積層させた積層体であって、前記三次元網状構造体からなる各層が、前記積層体の長手方向の両端部において、連続的にあるいは断続的に固定されていることを特徴とするマットレス用中材。
【請求項2】
前記三次元網状構造体からなる各層が、縫製又はバンドにより固定されている請求項1に記載のマットレス用中材。
【請求項3】
最上層の三次元網状構造体からなる層と、これに固定された三次元網状構造体からなる次層との剥離強度が、5kg以上である請求項1又は請求項2に記載のマットレス用中材。
【請求項4】
最上層の三次元網状構造体からなる層と、最下層の三次元網状構造体からなる層の圧縮硬度の差が1kg/200mmφ〜20kg/200mmφである請求項1〜3のいずれか一項に記載のマットレス用中材。
【請求項5】
前記三次元網状構造体からなる層は、繊度が275デシテックス〜220000デシテックスである熱可塑性樹脂からなる連続線条体を三次元ランダム状に交絡させてなり、前記交絡部の少なくとも一部が融着してなるものである請求項1〜4のいずれか一項に記載のマットレス用中材。
【請求項6】
前記積層体の厚さは、5cm〜20cmである請求項1〜5のいずれか一項に記載のマットレス用中材。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のマットレス用中材を用いたマットレス。
【請求項8】
前記マットレス用中材が、インナーで包まれている請求項7に記載のマットレス。
【請求項9】
前記マットレス用中材とインナーとが、マットレス用中材の長手方向の両端部において、連続的にあるいは断続的に固定されている請求項8に記載のマットレス。
【請求項10】
前記インナーが、ポリエステルネットである請求項8又は請求項9に記載のマットレス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−82446(P2009−82446A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−256100(P2007−256100)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]