説明

マット張り表面を有するセメント質物品およびその製造方法

(a)セメント質コア、(b)セメント質コアに接触している、セメント質コアを超える密度を有するスキムコートセメント質層、ならびに、(c)(i)微小繊維および(ii)約0.6cm以上の長さを有する連続繊維を含む繊維マットを備え、繊維マットが、スキムコートセメント質層と接触している内表面を備えているセメント質複合物品;ならびに、その製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により援用されている2008年10月30日に出願された米国仮特許出願第61/109,886号の利益を主張する。
【0002】
本分野は、セメント質物品、特にマット張り表面を有する石膏ボード、ならびに、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
石膏ボードおよびセメントボードなどのセメント質物品は多様な用途において有用であり、例えば屋外用シージングおよびルーフィング製品を含むその用途の中には、ある程度の耐水性が求められるものもある。これまでの紙張りされたセメント質物品は、高水分条件下または屋外への露出では、良好な性能を常に発揮するわけではない。それ故、このような用途については、紙の代わりにガラスまたはポリマーベースの繊維マットで上張りされたセメント質物品を用いることが多くの場合に望ましい。セメント質コア中に添加剤を用いてコア材料自体の耐水性を向上させることもまた有利である可能性がある。
【0004】
石膏ボードおよびセメントボードなどのセメント質物品の製造プロセスは、典型的には、セメント質水性スラリーを第1の上張り材の上に堆積させるステップ、このウェットスラリーを、セメント質スラリーが2枚の上張り材の間に挟まれるよう、同一タイプの第2の上張り材で覆うステップを含む。従って、過剰量の水が乾燥ステップによりスラリーから除去される。セメント質スラリーは硬質化されて、最終的な乾燥ステップの前に固体物品がもたらされる。
【0005】
繊維マットを用いたセメント質物品の製造は、セメント質水性スラリーの、未だ液体の状態での繊維マットの細孔への浸み込みまたは表面にじみの傾向により困難である可能性がある。この表面にじみの問題は、スラリーが繊維マット上に最初に堆積された点で特に顕著である。
【0006】
スラリーの表面にじみは、繊維マットの外表面上での望ましくないセメント質材料および機械器具へのセメント質材料の蓄積をもたらす可能性がある。製造プロセスにおいて用いられる機械器具に蓄積したセメント質材料は、加工器具上の石膏は繊維マットの外表面に移動する可能性があること、および/または、成形ヘッドへの繊維ウェブのウェブトラッキングの問題をもたらす可能性があることから、洗浄のために周期的に機械を停止させる必要性を生じさせる。マット外表面上のセメント質材料は、仕上げコートの接着を損なわせる可能性があると共に、消費者にとって不快な外観を呈する可能性がある。
【0007】
スラリーの表面にじみを防止するか最低限とする種々の試みが提案されてきた。しかしながら、これらの試みの多くは、余剰な処理ステップ、追加の材料の組込み、望ましくない範囲へのスラリー特徴の変更、慣例的なまたは標準的ではない繊維マットの用途の特定、および/または、セメント質物品のコストの増加を必要とする。
【0008】
従って、石膏ボードの製造の最中の石膏スラリーの表面にじみが低減された、好ましくは最低限であるかまたは皆無である石膏ボードおよびその製造方法の提供が望まれている。本発明のこれらのおよび他の利点、ならびに、追加の本発明の特性は、本明細書における本発明の説明から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書においては、(a)セメント質コア、(b)セメント質コアに接触している、セメント質コアを超える密度を有するスキムコートセメント質層、ならびに、(c)(i)微小繊維および(ii)約0.6cm以上の平均長さを有する連続繊維を含む第1の繊維マットを備え、第1の繊維マットが、スキムコートセメント質層と接触している内表面を備えている、マット張り表面を有するセメント質複合物品が提供されている。
【0010】
本明細書においてはまた、(a)内表面を有する繊維マットを提供するステップであって、マットが(i)微小繊維および(ii)約0.6cm以上の長さを有する連続繊維を含むステップ;(b)セメント質スラリーの水性スキムコート層を第1の繊維マットの内表面上に堆積させるステップ;ならびに、(c)水性セメント質コアスラリーをスキムコートスラリーの上に堆積させてマット張り表面を有するセメント質複合物品を形成するステップを含む、マット張り表面を有するセメント質物品の製造方法が提供されている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、セメント質コア、顕著な長さの連続繊維を微小繊維と組み合わせて含むマット、ならびに、薄い高密度セメント質層(「スキムコート」)を含むマット張り表面を有するセメント質複合物品およびその製造方法の意外であると共に予期せぬ発見に少なくとも部分的に基づいており、この複合体は、スキムコートまたはセメント質コアの望ましくない「表面にじみ」を低減するか回避しながら十分な強度および剛性を有利に提供する。一態様において、本発明は、セメント質ボードの典型的な製造方法に対して追加的な処理ステップを追加することなく、セメント質コアまたはスキムコートのいずれかからの望ましくないセメント質スラリーの繊維マットを通したブリードの量を低減させるか、ブリードを解消する。
【0012】
セメント質コアは、水硬性セメントを含有するか、または、水硬性セメントに由来する任意の材料、物質または組成物を、任意の好適な添加剤と一緒に含んでいることが可能である。セメント質コアに用いられることが可能である材料の非限定的な例としては、ポルトランドセメント、ソーレルセメント、スラグセメント、フライアッシュセメント、アルミン酸カルシウムセメント、水溶性硫酸カルシウム無水物、硫酸カルシウムα−半水化物、硫酸カルシウムβ−半水化物、天然、合成または化学変性硫酸カルシウム半水化物、硫酸カルシウム二水和物(「石膏」、「硬化石膏」または「水化石膏」)、ならびに、これらの混合物が挙げられる。本明細書において用いられるところ、「硫酸カルシウム材料」という用語は、上記で参照された硫酸カルシウムの任意の形態のものを指す。
【0013】
スキムコート層はセメント質コアよりも高い密度を有するが、セメント質コアに関して本明細書に記載されているとおり、他に、水硬性セメントを含有するか、または、水硬性セメントに由来する任意の材料、物質または組成物を任意の添加剤と一緒に含んでいることが可能である。スキムコートに用いられる材料は、スキムコートがセメント質コアよりも高い密度を有する限りにおいて、セメント質コアに用いられるものと同一であるかまたは異なっていることが可能である。
【0014】
一態様において、本発明の複合セメント質物品では、非連続的な粒子または疎水性コーティングの如何なる堆積の必要性も解消されている。例えば、本発明の譲受人に譲渡された、同時係属中の米国特許出願第11/738,316号明細書および米国特許出願第12/176,200号明細書を参照のこと。追加の費用および/または複雑さのために、このような粒子またはコーティングはいくつかの実施形態には包含されないが、所望の場合にはこれらが包含されてもよい。微小繊維を含む繊維マットが本発明における使用に対して十分に強い(例えば、釘引抜き抵抗、引張強度、剛性等に関して)ことは予期せぬことであり、さらに、スキムコートが繊維マットに対する表面にじみを伴わずに包含可能であったことも意外であった。
【0015】
本発明の繊維マット張り表面を有するセメント質物品の実施形態は、(a)セメント質コア;(b)スキムコート層;ならびに、(c)顕著な長さの連続繊維とポリマーまたは無機(例えばガラス)微小繊維とを含む第1の繊維マットを備える。第1の繊維マットは外表面および内表面を備え、この内表面が、セメント質コアまたは、存在する場合には、スキムコート層に対向(例えば接触して)している。望ましくは、複合物品のセメント質コアおよび/またはスキムコートは、製造の最中に如何なる実質的な程度でも第1の繊維マットに浸透しない。
【0016】
顕著な長さの連続繊維と微小繊維とは、任意の好適な材料で形成されていることが可能である。連続繊維および/または微小繊維は、一定の用途における安全性を高めるために生体適合性または生体溶解性であることが可能である。生体溶解性微小繊維の例が、米国特許第6,656,861号明細書、米国特許第6,794,321号明細書、および、米国特許第6,828,264号明細書により提供されている。一態様においては、繊維マットは、顕著な長さのガラスファイバー(例えば、生体適合性ガラスファイバー)を、ガラス微小繊維(例えば生体適合性ガラス微小繊維)との組み合わせで含む。しかしながら、第1の繊維マットは、他の好適なタイプのポリマーあるいは無機繊維および微小繊維、または、これらの組み合わせを含んでいることが可能である。
【0017】
顕著な長さの連続繊維は、チョップドストランド繊維または他の原料によりもたらされることが可能である。顕著な長さの連続繊維はガラスファイバー(例えば、チョップドガラスファイバー)であることが好ましい。E型、C型およびT型のガラスファイバー、ならびに、ホウケイ酸ナトリウムガラス、または、前述のものの混合物を用いることが可能である。連続繊維は、様々な長さまたは実質的に同様の長さを有していることが可能である。
【0018】
好適な微小繊維の非限定的な例としては、ガラスファイバー、ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、セルロース系繊維(例えば、綿、レーヨン等)等、ならびに、これらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、微小繊維は、例えば、無機ウール、スラッグウール、セラミック繊維、炭素繊維、金属繊維、耐火繊維、または、これらの混合物といった、ガラスまたは無機繊維である。微小繊維を形成する1つの方法が米国特許第4,167,404号明細書に開示されている。
【0019】
さらに、繊維マット(例えば、マットの繊維)は、疎水性または親水性であることが可能であり、コートされていてもコートされていなくてもよい。高レベルの湿度に露出される用途については、マットは、高いレベルの疎水性を有していることが望ましい。疎水性は、マットまたはマットの個別の繊維をコーティングすることにより、および/または、スチレンアクリル系バインダなどの疎水性バインダを用いることによりマットに付与することが可能である。セメント質製品に疎水性を付与する他の方法もまた採用することが可能である(例えば、シロキサンまたはワックスといった疎水化剤をセメント質コアおよび/またはスキムコート添加することにより)。しかしながら、一定の事例においては、マットはコートされておらず(例えばバインダ材料に追加したコーティングは不使用)、それでもなお耐水特性を保持していることが望まれる。好ましくは、マットは、マットの坪量の3倍以下での吸水を示す(例えば、INDA規格テスト10.1に準拠してテストした場合)。
【0020】
当然、繊維の選択は、セメント質物品が用いられることとなる用途の種類に部分的に依存することとなる。例えば、セメント質物品が耐熱性または耐火性が必要とされる用途に用いられる場合、適切な耐熱性または耐火性繊維が繊維マットに用いられるべきである。一実施形態においては、繊維マットは、870°Fを超える融点(例えば、871°F以上、880°F以上、900°F以上、または、さらには1000°F以上)を有する。好ましくは、マット上張り材は、National Fire Protection AssociationのNFPA法701またはASTM規格E84、クラス1に規定されている耐火性に対する基準を満たすか上回るために適している。より好ましくは、物品がこのような用途に用いられる場合、本明細書に記載のセメント質コア、スキムコートおよび繊維マットを備える物品は、ASTM C1177またはC1177M(例えば、E−119試験法を使用)に対する耐火性に対する基準を満たすか上回っている。
【0021】
繊維マットは、織物または不織物であることが可能であるが;しかしながら、不織マットが好ましい。不織マットは、バインダによって結合された繊維を含む。バインダは、マット産業において典型的に用いられる任意のバインダであることが可能である。好適なバインダとしては、特に限定されないが、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ステアレート化メラミンホルムアルデヒド、ポリエステル、アクリル、ポリ酢酸ビニル;ポリ酢酸ビニルもしくはアクリルで変性若しくはこれらとブレンドされた尿素ホルムアルデヒドまたはメラミンホルムアルデヒド、スチレンアクリルポリマー等、ならびに、これらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、バインダは、スチレンアクリルバインダなどの樹脂バインダである。樹脂バインダは、任意の好適なガラス転移温度(GTT)(例えば、約15〜45℃)を有していることが可能である。好適なスチレンアクリレートコポリマーバインダの一例はHYCAR(商標)26869(Cleveland,OhioのLubrizol Advanced Materials)である。このアクリレートコポリマーラテックスは、販売時に約50重量パーセント固形分の固形分含有量を有しているが、使用前に濃度を水で約30重量パーセント固形分に希釈することが好ましい。好ましくは約10重量パーセント以下のメラミンホルムアルデヒドなどの架橋剤がアクリレートに添加され;および、より好ましくは、約2〜5重量パーセントの架橋剤が添加される。任意の好適な量のバインダが用いられることが可能である。典型的には、繊維マットは、約20〜40パーセント(乾燥重量基準)、または25〜30パーセント(乾燥重量基準)のバインダ(例えば、乾燥重量基準約25.5〜30.5パーセント)を含むであろう。
【0022】
繊維マットは、製造の最中のスラリーの表面にじみを防止するために有効な任意の好適な重量を有していることが可能である。典型的には、坪量は、約18lbs/1000ft以上(例えば約18〜30lbs/1000ft)であり、これは、約88g/m以上(例えば約88〜147g/m)に等しい。一実施形態においては、特にガラスファイバーマットといった繊維マットは、約20lbs/1000ft以上(例えば、約20〜26lbs/1000ft、または約23〜26lbs/1000ft)の坪量を有し、これは、約98g/m以上(例えば約98〜127g/m以上)に等しい。
【0023】
繊維マットの微小繊維は任意の好適な直径を有していることが可能である。繊維マットは、例えば約0.05〜6.5ミクロン、約0.1〜6ミクロン、約0.25〜5ミクロン、または約1〜4ミクロン、またはさらには約2〜3ミクロンまたは2.5〜3.5ミクロン、約2.7ミクロンなどの直径を有する微小繊維を含んでいることが可能である(例えば、Johns Manvilleから市販されているMicro−Strand(登録商標)タイプ481)。
【0024】
繊維マットはまた、例えば、約8ミクロン〜約25ミクロンの範囲の直径といった異なる直径を有する繊維を含んでいることが可能である。例えば、顕著な長さの連続繊維は、約10ミクロン以上(例えば約10〜20ミクロン)、約13ミクロン以上(例えば約13〜17ミクロン)、約14ミクロン以上(例えば約14〜17ミクロン、約14〜16ミクロン、約14.5〜16.5ミクロン、または約14.5〜15.5ミクロン)、または約15ミクロン以上(例えば、約15〜18ミクロン、16〜18ミクロン、15〜17ミクロン、または約15〜16ミクロン)などの任意の好適な直径を有していることが可能である。任意により、繊維マットはまた、上述の直径を有する連続繊維に追加してまたはその代わりに、約13ミクロン以下のより小さい直径を有する連続繊維を含んでいることが可能である。
【0025】
繊維マットは、製造の最中のスラリーの表面にじみを防止するために有効な連続繊維対微小繊維の任意の好適な比を含んでいることが可能である。好ましくは、繊維マットは、微小繊維または小径繊維(例えば13ミクロン以下)の副次部分と、本明細書に記載の顕著な長さの連続繊維などの微小繊維以外の連続繊維の主要部分とを含む。このような副次部分は、乾燥繊維ウェブの例えば約5〜30パーセント(例えば約10〜25パーセント)または約15〜30(例えば約15〜20パーセント)であることが可能であり、ならびに、主要部分は、乾燥繊維ウェブの約70〜95パーセント(例えば約75〜90パーセント)または70〜85パーセント(例えば約80〜85パーセント)であることが可能である。一定の実施形態によれば、繊維マットは、約80〜約95パーセントまたはさらには約85〜約90パーセントなどの約70〜約95パーセントの連続繊維を含むと共に、約5〜約20パーセントまたは約10〜約15パーセント(例えば残余)などの約5〜約30パーセントの微小繊維を含む。それ故、例えば、繊維マットは、約10〜約20ミクロンの直径を有する連続繊維(例えば連続ガラスファイバー)約70〜約95パーセントと、本明細書に記載のとおり小さな径を有する微小繊維(例えばガラス微小繊維)約5〜約30パーセントとを含んでいることが可能である。他の実施形態において、繊維マットは、約14ミクロン以上、または、15ミクロン以上(例えば約14〜約17ミクロン、約14〜約16ミクロン、または、約14.5〜約15.5ミクロン)の直径を有する連続繊維(例えば、連続ガラスファイバー)約70〜約90パーセントと、本明細書に記載のとおり小さな径を有する微小繊維(例えば、ガラス微小繊維)約10〜約30パーセントとを含んでいることが可能である。他に規定されていない限りにおいて、パーセント繊維組成は、マットの繊維内容物の重量(すなわち、繊維ウェブの乾燥重量基準)基準で参照されている。
【0026】
繊維は、連続繊維が約0.6cm以上または約1cm以上の長さを有する限りにおいては、任意の好適な長さを有していることが可能である。連続繊維は、典型的には、約1インチ以下(例えば約3cm以下または約2.5cm以下)の長さを有しているであろう。それ故、連続繊維は、例えば、約0.6〜1.9cmまたは約0.6〜約1.2cmの範囲内といった平均長さを有していることが可能である。あるいは、連続繊維は、約3/8インチ〜1インチ(約1cm〜約3cm)または約1/2インチ〜約3/4インチ(約1cm〜約2cm)の範囲内の平均長さを有していることが可能である。微小繊維は、様々な長さのものであることが可能である。例えば、微小繊維は、直径の数倍から7mm以上またはさらには12mm以上の長さ以下の範囲の長さを有していることが可能である。一実施形態によれば、微小繊維は約7mm未満の長さを有する。
【0027】
さらなる例示として、好適なガラスファイバーマットの非限定的な例は、約80〜90パーセント(例えば約83パーセント)16ミクロン径、1/2インチ〜1インチ長(約1.2〜2.5cm長)の連続フィラメント繊維、および、約2.7公称ミクロン直径(Micro−Strand(登録商標)タイプ481、Johns Manville製)を有する約10〜20パーセント(例えば約17パーセント)生体溶解性微小繊維を、約24lbs/1000ftの坪量で含む。好適なガラスファイバーマットの1種は、Johns Manville製のDuraGlass(登録商標)8924Gマットである。ガラスマット用のバインダは、例えばスチレンアクリルバインダといった任意の好適なバインダであることが可能であり、これは、マットの重量を基準として約28%(+/−3%)であることが可能である。ガラスマットは、例えば緑色といった有色顔料、顔料または着色剤を包含していることが可能である。
【0028】
本明細書において言及されている繊維長さおよび直径は、他に規定されていない限りにおいて平均長さおよび直径である。
【0029】
繊維マットは、任意により、典型的に用いられる充填材、顔料、または他の不活性もしくは活性処方成分を含んでいることが可能である。例えば、マットは、石灰岩、ガラス、クレイ、着色顔料、殺生剤、殺菌・殺カビ剤、膨張性材料、または、これらの混合物の微小粒子を有効量で含んでいることが可能である。このような添加剤は、呈色の変更、表面の構造またはテクスチャの改変、糸状菌または真菌の形成に対する耐性の向上、および、耐火性の強化に有用であることが可能である。一定の用途については、例えば、National Fire Protection AssociationのNFPA法701に準拠した耐燃性、または、ASTM規格E84、クラス1に準拠した耐燃性をもたらすために十分な難燃剤が添加される。また、一定の用途については、殺生剤が、ASTM規格D3273に準拠して計測可能である真菌の増殖に対する耐性のために、マットおよび/または石膏スラリーに添加されることが好ましい。
【0030】
望ましくは、繊維マットは、製造の最中のセメント質スラリーまたはスキムコートの表面にじみを低減または解消しつつも、セメント質物品の乾燥を促進させるために十分な通気度を有している。マットの通気度は、例えば、ASTM標準法D737に記載のFrazierテストを利用して測定可能であり、ここで、結果は、通常、立法フィート/分/平方フィート(cfm/ft)の単位でもたらされる。このテストは、水約0.5インチの差圧で実施され得る。一定の実施形態において、Frazier方法によって計測可能であるセメント質物品の繊維マットの浸透性は、約250〜400cfm/ft、約250〜350cfm/ftまたは、さらには約250〜300cfm/ft(例えば、約1270〜2020L/s/m、約1270〜1770L/s/m、または約1270〜1530L/s/m)である。他の実施形態において、繊維マットの浸透性は、望ましくは、約300cfm/ft未満(例えば、約250cfm/ft〜約300cfm/ft未満)、または、約1530L/s/m(例えば、約1270L/s/m〜約1530L/s/m未満)である。他の実施形態において、繊維マットは、約80〜150ミクロンの平均孔径を有する細孔を備える。
【0031】
繊維マットは、例えば、米国特許第4,129,674号明細書に記載されている慣例的な技術を用いて製造することが可能である。
【0032】
本発明の好ましい態様によれば、第1の繊維マットはセメント質コア中に実質的に埋め込まれていない。好ましくは、マットの厚さの約50%未満がセメント質コア中に埋め込まれており、より好ましくは、マットの厚さの約30%未満、約15%未満、約10%未満、または、さらには約2%未満(例えば、約1%未満)がセメント質コアに埋め込まれている。
【0033】
セメント質物品は、任意により、ポリマーまたは無機繊維を含む第2の繊維マットを備えていることが可能であり、ここで、セメント質コアおよびスキムコートは、存在する場合、第1の繊維マットと第2の繊維マットとの間に位置される。セメント質物品は、第2の繊維マットおよび第2のスキムコートをさらに備えていることが可能であり、ここで、第2の繊維マットは第2のスキムコートに接触していると共に、第2のスキムコートはセメント質コアと接触している(例えば、セメント質コアは第1のスキムコートと第2のスキムコートとの間に位置していると共に、セメント質コアがその間に位置されている第1のスキムコートおよび第2のスキムコートが第1の繊維マットと第2の繊維マットとの間に位置されている)。第2の繊維マットは、第1の繊維マットと同一であることも異なっていることも可能である。セメント質物品がボードまたはパネル(例えば、石膏ボード、セメントボード等)の形態である場合、第2の繊維マットは、第1の繊維マットと、材料およびセメント質コアに対する向きの両方において同一であるか、または、セメント質物品の反りが低減されるか解消されるよう第1の繊維マットと十分に近い膨張および収縮特性を有していることが好ましい。第2の繊維マットが第1の繊維マットと同一である場合、第1および第2の繊維マットは、単一の連続的な材料片によって、例えば、セメント質コアの周りを包むように単一の繊維マット片を折ることにより提供することが可能であることが理解されるべきである。
【0034】
コアおよびスキムコート層は任意の好適な添加剤を含んでいることが可能である。添加剤は、石膏ボードまたはセメントボードなどのセメント質物品の製造に通例用いられる任意の添加剤であることが可能である。このような添加剤としては、特に限定されないが、無機ウール連続またはチョップドガラスファイバー(ガラス繊維とも称される)、パーライト、クレイ、バーミキュライト、炭酸カルシウム、ポリエステル、および、紙繊維などの構造添加剤;発泡剤、充填材、加速剤、糖質、リン酸塩、ホスホン酸塩、ホウ酸塩等などの促進剤、硬化遅延剤、バインダ(例えば、デンプンおよびラテックス)、着色剤、殺菌・殺カビ剤、殺生剤等などの化学添加剤が挙げられる。これらのおよび他の添加剤の使用例が、例えば、米国特許第6,342,284号明細書、米国特許第6,632,550号明細書、米国特許第6,800,131号明細書、米国特許第5,643,510号明細書、米国特許第5,714,001号明細書、および、米国特許第6,774,146号明細書、ならびに、米国特許出願公開第2004/0231916 A1号明細書、米国特許出願公開第2002/0045074 A1号明細書、および、米国特許出願公開第2005/0019618 A1号明細書に記載されている。
【0035】
好ましくは、セメント質コアは、硫酸カルシウム材料、ポルトランドセメント、またはこれらの混合物を含む。セメント質コアはまた、シリコーンベースの材料(例えば、シラン、シロキサン、またはシリコーン−樹脂マトリックス)などの疎水化剤を、コア材料の耐水性を向上させるために好適な量で含んでいることが可能である。セメント質コアはまた、酸化マグネシウム(例えば、死焼酸化マグネシウム)、フライアッシュ(例えば、クラスCフライアッシュ)、または、これらの混合物などのシロキサン触媒を含んでいることが可能である。シロキサンおよびシロキサン触媒は、例えば、米国特許出願公開第2006/0035112 A1号明細書、米国特許出願公開第2007/0022913 A1号明細書、または、米国特許出願公開第2008/0190062号明細書に記載されているとおり、任意の好適な量で、および、任意の好適な方法により添加されることが可能である。望ましくは、セメント質コアはまた、リン酸塩(例えば、米国特許第6,342,284号明細書、米国特許第6,632,550号明細書および米国特許第6,800,131号明細書、ならびに、米国特許出願公開第2002/0045074 A1号明細書、米国特許出願公開第2005/0019618 A1号明細書および米国特許出願公開第2007/0022913 A1号明細書に記載のとおりのポリリン酸塩)などの強度向上添加剤、および/または予めブレンドされた不安定および安定な石鹸(例えば、米国特許第5,683,635号明細書および米国特許第5,643,510号明細書に記載のとおり)を含む。セメント質コアは紙またはガラスファイバーを含んでいることが可能であるが、好ましくは、紙および/またはガラスファイバーを実質的には含んでいない(例えば、約1重量%未満、約0.5重量%未満、約0.1重量%未満、または、さらには約0.05重量%未満の紙および/またはガラスファイバーを含むか、または、このような繊維は含有していない)。
【0036】
高い湿度に露出される用途に用いられる場合、セメント質物品は、ASTM規格試験法C473を用いる、例えば、ボード欠陥のないシージングについては10%および耐水性石膏バッキングボードについては10%の2時間液浸目標といったASTM C1177に規定の耐水性基準を満たしていることが望ましい場合がある。それ故、セメント質物品は、本明細書に記載の高レベルの耐湿性を示す繊維マットと、同様に本明細書に記載の疎水化剤を含むセメント質コア材料との一方または両方を含んでいることが望ましい場合がある。
【0037】
セメント質物品は、内装または外装のいずれの所望の用途についても、好適な任意のタイプまたは形状であることが可能である。セメント質物品の非限定的な例としては、石膏パネルおよびセメントパネル、または、任意のサイズおよび形状のボードが挙げられる。例えば、セメント質物品は、任意の好適な構成を有する屋外用シージングまたはルーフィング製品用であること、または、壁および天井あるいは床の下葺における用途用であることが可能である。
【0038】
本発明のセメント質物品の非限定的な実施形態としては、例えば、(a)セメント質コアおよびセメント質コアに接触している少なくとも1層のスキムコート層を備える石膏層であって、第1の面および第2の面を有すると共に硬化石膏を含む石膏層と;(b)前記第1および第2の面に固定された第1および第2の上張り材であって、前記第1の上張り材は樹脂バインダで一緒に接着された不織ウェブを備えるコートされていない繊維マットであり、前記ウェブは、少なくとも約16ミクロンの平均繊維径を有するチョップドガラスファイバーの主要部分と約13ミクロン以下の繊維径を有する少なくとも1種の小径ガラスファイバーおよび約0.05〜約6.5ミクロンの範囲の平均繊維径を有する微小繊維から実質的に構成される副次部分とのブレンドから実質的に構成されるガラスファイバーを含み、前記副次部分はウェブの乾燥重量の約5〜30パーセントを構成している上張り材と;を含む石膏ボードが挙げられる。この石膏ボードは、さらに、前記第2の上張り材が、樹脂バインダで一緒に結合された不織ウェブを備える繊維マットであって、前記ウェブは、少なくとも約16ミクロンの平均繊維径を有するチョップドガラスファイバーの主要部分と約13ミクロン以下の繊維径を有する少なくとも1種の小径ガラスファイバーおよび約0.05〜約6.5ミクロンの範囲の平均繊維径を有する微小繊維から実質的に構成される副次部分とのブレンドから実質的に構成されるガラスファイバーを含み、前記副次部分は、ウェブの乾燥重量の約5〜30パーセントを構成しているよう構成され得る。
【0039】
実施形態の他の態様によれば、繊維の主要部分は、約16ミクロンの平均径および約13〜19mmの平均繊維長を有する約85重量%のガラスファイバーから実質的に構成されると共に、前記副次部分は、その実質的にすべてが約2.7〜3.4ミクロンの範囲の直径を有する約15重量%の微小繊維から実質的に構成される。または、繊維の前記主要部分は、約16ミクロンの平均径および約1/2インチの平均繊維長および約16ミクロンの平均径および約1インチの平均繊維長を有する約15〜20重量%のガラスファイバーを有する約65〜75重量%のガラスファイバーから実質的に構成されると共に、前記副次部分は、その実質的にすべてが約2.7〜3.4ミクロンの範囲の直径を有する約15〜25重量%の微小繊維から実質的に構成される。あるいは、前記主要部分は、約16ミクロンの平均径および約0.5インチの平均繊維長を有する約80重量%のチョップドガラスファイバーから実質的に構成されると共に、前記副次部分は、約11ミクロンの平均径および約0.25インチの平均繊維長を有する約20重量%の小さいガラスファイバーから実質的に構成される。さらに他の態様において、前記主要部分は、約16ミクロンの平均径および約0.5インチの平均繊維長を有する約68重量%のチョップドガラスファイバーおよび約16ミクロンの平均径および約1インチの平均繊維長を有する約17重量%のチョップドガラスファイバーから実質的に構成されると共に、前記副次部分は、その実質的にすべてが約2.7〜3.4ミクロンの範囲の直径を有する約20重量%の微小繊維から実質的に構成される。
【0040】
他の非限定的な例において、セメント質物品は、(a)第1の面および第2の面を有すると共に硬化石膏を備える石膏層であって、セメント質コア層に接触していると共にセメント質コアを超える密度層を有する少なくとも1層のスキムコート層を備える前記石膏層と;(b)前記第1および第2の面に固定された第1および第2の上張り材であって、前記第1の上張り材は、スチレンアクリルコポリマーバインダから実質的に構成されている樹脂バインダで一緒に結合された不織ウェブを備えるコートされていない繊維マットであって、前記ウェブは、約8〜25ミクロンの範囲の平均繊維径を有するチョップドガラスファイバーの主要部分と、任意により、約13ミクロン以下の繊維径を有する少なくとも1種の小径ガラスファイバーおよび約0.05〜約6.5ミクロンの範囲の平均繊維径を有する微小繊維から実質的に構成されている副次部分とから実質的に構成されているガラスファイバーを備える上張り材とを備える石膏ボードである。この実施形態によれば、ウェブは、チョップドガラスファイバーの前記主要部分と前記副次部分とのブレンドから実質的に構成されているガラスファイバーを含んでいることが可能であり、前記主要部分は、ウェブの乾燥重量の少なくとも50パーセントを構成する。他の態様において、チョップドガラスファイバーの主要部分は、少なくとも約16ミクロンの平均繊維径を有する繊維から実質的に構成される。
【0041】
前述の例示的な実施形態のいずれかにおいて、マットは、INDAテスト10.1に準拠して吸水量が自重の3倍以下であることが好ましく、バインダは、特に、本明細書に記載のとおり架橋剤を任意により含むスチレンアクリルバインダといった本明細書に記載の任意の好適な樹脂バインダであることが可能である。
【0042】
セメント質物品は、特にこれらに限定されないが、本明細書に記載の本発明の方法を含む任意の好適な方法によって製造されることが可能である。本発明による繊維マット張り表面を有するセメント質物品の製造方法の実施形態は、(a)内表面を有する繊維マットを提供するステップであって、繊維マットが(i)微小繊維および(ii)約0.9〜3cmの長さを有する連続繊維を備えているステップ;(b)セメント質スラリーの水性スキムコート層を第1の繊維マットの内表面上に堆積させるステップ;および(c)水性セメント質コアスラリーをスキムコートスラリーの上に堆積させてマット張り表面を有する複合物品を形成するステップを備える。この方法は、マット張り表面を有する複合物品を、特定の最終用途(例えば、シージングまたはルーフィング材)に好適な所望の形態または形状(例えばボード)に形成するさらなるステップを含んでいることが可能である。
【0043】
本発明のセメント質物品を製造する方法は、技術分野において公知である、繊維マット張り表面を有するセメント質物品の製造に用いられる既存の石膏ボード製造ラインで実施されることが可能である。簡潔には、この方法は、典型的には、繊維マット材料をコンベヤ上に、または、ミキサの吐出流路の下に位置されたコンベヤ上に載置された成形台上に吐出するステップを含む(例えば、技術分野において公知であるゲート−キャニスタ−ブート構成、または、米国特許第6,494,609号明細書および米国特許第6,874,930号明細書に記載の構成)。セメント質スラリーの構成成分が吐出流路を備えるミキサに供給され、ここで、攪拌されてセメント質スラリーが形成される。フォームを、吐出流路に追加することが可能である(例えば、例えば、米国特許第5,683,635号明細書および米国特許第6,494,609号明細書に記載にゲートで)。セメント質スラリーは繊維マット上張り材上に吐出される。このスラリーは、必要に応じて繊維マット上張り材全体に広げられ、任意により、繊維マットまたは他のタイプの上張り材(例えば、紙、フォイル、プラスチック等)であり得る第2の上張り材で覆われる。これによりもたらされた湿状のセメント質アセンブリは、物品が所望の厚さとされる成形ステーション、および、所望の長さに切断される1つ以上のナイフ部に搬送されて、セメント質物品が提供される。セメント質物品は硬化されると共に、任意により、過剰な水が乾燥プロセスを用いて除去される(例えば、空気乾燥またはキルンを通したセメント質物品の搬送により)。上記ステップの各々、ならびに、このようなステップを実施するための方法および器具は技術分野において公知である。
【0044】
スキムコートは上張り材とコアスラリーとの間に設けられる。例えば、薄い高密度層のセメント質スラリーは、コアスラリーを薄い高密度のスキムコート層に堆積させる前に、繊維マット上張り材上に堆積されることが可能である。第1の上張り材と同一であっても異なっていてもよい第2の上張り材が用いられる場合、第2のスキムコート層は、例えば、上張り材の上に堆積されると共に、第2のスキムコートを備える第2の上張り材が、第2のスキムコートがセメント質コアスラリーと接触するようセメント質コアスラリーに接触させられることが可能である。このスキムコートは、コアのマットへの接着の増強および耐火性の向上、ならびに、強度などの物理特性を複合ボードに付与する。スキムコートを本発明に包含させることで、マットに対する表面にじみが低減されるか、または、解消されることは特に意外であると共に予期されていない。本発明以前には、表面にじみを悪化させると考えられていたためにスキムコートに対する懸念があった。
【0045】
スキムコートを形成するための器具および方法は、乾式壁体の製造分野において一般に公知である。スキムコート中のセメント質材料は、コアセメント質スラリーに比して高密度である。それ故、スキムコートスラリー中のフォームは、1つ以上の第2のミキサーで機械的に消泡されることが可能であり、および/または、技術分野において公知であるいくつかの実施形態においては、脱泡剤で化学的に処理されることが可能である。他の実施形態において、セメント質スラリーは、スキムコートスラリーとコアスラリーとに分離され、ここで、フォームは、コアスラリーに導入されるか、または、そうでなければ、例えば、ミキサ外の吐出流路で、または、マルチミキサ構成を通してコアスラリーにフォームを導入することにより、スキムコートスラリーがフォームの不存在下に形成される。いくつかの実施形態においては、技術分野において公知であるとおり、特にスキムコートスラリーで縁部が形成される場合にコアスラリーに添加されるフォームよりも少ないがいくらかのフォームがスキムコートスラリーに追加されて、縁部が過度に硬質となることが回避される。例えば、米国特許第5,198,052号明細書;米国特許第5,714,032号明細書;米国特許第5,718,797号明細書;米国特許第5,879,486号明細書;米国特許第5,908,521号明細書;米国特許第6,494,609号明細書;米国特許第6,742,922号明細書;米国特許出願公開第2004/013458A1号明細書;および米国特許出願第12/415,931号明細書を参照のこと。
【0046】
製造の最中の表面にじみをさらに低減させるために、スキムコートの粘度は、所与の製造ラインまたは同一タイプの製造ラインでの同一の厚さの内装、住宅用乾燥ウォールボードの製造と比して高くてもよい。例えば、スキムコートの粘度は、所与の製造ラインまたは同一タイプの製造ラインでの同一の厚さの内装、住宅用乾燥ウォールボードの製造において用いられるものと比して、約2%以上、約3%以上、約4%以上、または、さらには約5%以上(例えば、約7%以上、約8%以上、約10%以上、約15%以上、または、さらには約20%以上)で高くてもよい。一定の実施形態によれば、スキムコートは、スランプテストで計測された場合に、スキムコートスラリーが、約9インチ以下(例えば、約8.75インチ以下、約8.5インチ以下、または、約8.25インチ以下)、好ましくは約8インチ以下(例えば、約7.75インチ以下、約7.5インチ以下、または、約7.25インチ以下)、または、さらには約7インチ以下(例えば、約6.75インチ以下、約6.5インチ以下、または、約6.25インチ以下)の直径を有するパテをもたらすこととなるような粘度を有していてもよい。あるいは、パテの直径は、約23cm以下(例えば、約22.5cm以下、約22cm以下、または、約21.5cm以下)、約21cm以下(例えば、約20.5cm以下、約20cm以下、または、約19.5cm以下)、約19cm以下(例えば、約18.5cm以下、約18cm以下、または、約17.5cm以下)、または、さらには約17cm以下(例えば、約16.5cm以下または約16cm以下)であることが可能である。典型的には、粘度は、約5.5インチ以上(例えば約14cm以上)または約6インチ以上(例えば約15cm以上)などの約5インチ以上(例えば、約12または12.5cm以上)のパテをもたらすようなものであろう。スランプテストを用いるスラリーの粘度を計測する手法は技術分野において公知である。簡潔に説明すると、2インチ(または5cm)径のチューブ(例えば、両端が開いていると共に、その一端が封止されるよう平坦で実質的に非多孔性の表面上に載置されているチューブ)に4インチ(10cm)の高さまでスラリーが充填される。製造ラインからスラリーをサンプリングしてから5秒以内に、このスラリーを、平坦で水平な表面上に急にシリンダーを持ち上げることにより吐出させて、吐出させたスラリーをパテに延展させる。スラリーの延展が停止したら、スラリーパテの最大径が計測される(非円形(例えば、楕円形)のスラリーパテの場合、スラリーパテの最大径は最大径に垂直な方向のスラリーパテの直径と平均される)。
【0047】
このような粘度の変化は、例えば、含水量を低くし、これによりスキムコートスラリーを濃縮することにより達成されることが可能である。加えて、または代替的に、フォームをスキムコートに導入して、粘度を高めることおよび/または密度を下げることが可能である。この比較的粘度の高いスラリーは、有利なことに、表面にじみの低減または解消を促進させる。例えば、スキムコート中の比較的粘土の高いスラリーは、スキムコートスラリー流の流れおよび勢いに作用して、表面にじみ、すなわち、マットのスラリー浸透を低減させるかまたは解消させると考えられている。密度を調節して、スラリー浸透を低減または解消することが可能であるが、ただし、スキムコートがセメント質スラリーよりも高密度であると共に、望ましくは、本明細書に記載のスキムコートの所望の特性が1つ以上付与されるよう、スキムコートにおいては十分な密度が維持されている。この密度はまた、技術分野における当業者により容易に認識されるであろうとおり、特に縁部がスキムコートスラリーから形成される場合に、縁部硬度が最適となるよう調節して、例えば、縁部が枠組構成要素にねじ留めされる場合といった設置の最中のブローアウトを回避することが可能である。正確な密度は、セメント質材料(例えば、スタッコ)の純度または他の原料特性に依存して様々であり得る。
【0048】
また、スキムコートは、任意により、所与の製造ラインまたは同一タイプの製造ラインでの同一の厚さの内装、住宅用乾燥ウォールボードの製造において用いられるものと比してより低速のミキサからスキムコートスラリーを抽出することにより適用することが可能である。これは、例えば、抽出ホース中のスラリーの体積を低減させること、または、抽出ホースの径を大きくすること、または、抽出ホースの径を大きくすることにより達成することが可能である。
【0049】
スキムコート層は任意の好適な厚さであることが可能である。例えば、いくつかの実施形態において、この厚さは、約1/16インチ〜約1/8インチで様々であることが可能である。また、技術分野において公知である硬質の縁部は、時々、技術分野における当業者に周知の様式で用いられる。硬質の縁部は、ボード型セメント質物品の縁部分の周囲におけるセメント質スラリーのさらなる高密度層の使用を指す。硬質の縁部は、スキムコートスラリー自体により形成されることが可能である。
【0050】
スキムコート層の適用は、スキムコートを所望の厚さに配分するおよび/または平坦化する1つ以上のスキムコートローラの使用を含んでいることが可能である。本発明者らはまた、いくつかの実施形態において、製造の最中においてスキムコートの適用に用いられるローラの回転速度が、スキムコートおよび/またはセメント質コアスラリーを通したブリードを低減させることを意外にも見出した。いくつかの実施形態において、ローラの回転速度は、所与の製造ラインまたは同一タイプの製造ラインでの同一の厚さの内装、住宅用乾燥ウォールボードの製造において用いられるものと比して低くされて、表面にじみのさらなる低減または解消が促進される。それ故、本発明の方法は、セメント質コアスラリーの堆積の前にスキムコートをスキムコートローラで圧延するステップをさらに含むことが可能であり、ここで、ローラは、所与の製造ラインまたは同一タイプの製造ラインでの同一の厚さの内装、住宅用乾燥ウォールボードの製造において用いられるものと比して低い回転速度を有する。ローラ速度は、ローラ速度を低下させない場合に生じる表面にじみの量と比してコアスラリーまたはスキムコートの表面にじみの量を低減させるために有効な任意の量で低下されることが可能である。表面にじみの程度は、セメント質物品の単位面積当たりのマット上張り材を浸透したコアスラリーもしくはスキムコートの重量もしくは体積を計測すること、または、セメント質物品の断面を検査して、コアスラリーもしくはスキムコートが浸透したマット上張り材の厚さを計測することなどの、任意の好適な方法によって計測されることが可能である。例として、ローラ速度は、所与の製造ラインまたは同一タイプの製造ラインでの同一の厚さの内装、住宅用乾燥ウォールボードの製造において用いられるものと比して、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、または、さらには約75%以上で低下されることが可能である。正確な速度は、製造ラインおよび用いられるローラのサイズに応じて様々であり得る。一例として、スキムコートローラは、約95fpm以下、約80fpm以下、約65fpm以下、約50fpm以下、または、さらには約35fpm以下(例えば、約40メートル/分(mpm)以下、約30(mpm)以下、約25(mpm)以下、約20(mpm)以下、約15(mpm)以下、または、約10(mpm)以下)などの130フィート/分(fpm)以下のローラ速度を有し得る。スキムコートローラは、典型的には、約4インチ、5インチ、6インチ、または7インチ(例えば、0.1m、0.13m、0.15m、0.18m、0.2m)などの約4〜8インチの直径を有する。それ故、いくつかの実施形態において(ローラ径を約6インチと仮定すると)、スキムコートローラは、約60rpm以下(例えば、約50〜60rpm、または、さらには約52〜57rpmの範囲内)などの約80rpm以下の回転速度で回転する。他の実施形態において、ローラ速度は、約15〜20rpmなどより遅くてもよい。このような速度は、例えば、所与の製造ラインまたは同一タイプの製造ラインでの同一の厚さの内装、住宅用乾燥ウォールボードの製造において用いられ得る185〜200rpmのローラ速度と比して、顕著に遅い。
【0051】
いくつかの実施形態において、セメント質物品の製造は、任意により、所望の場合には、公知の加振棒または他の加振器具の使用などにより、セメント質物品を硬化の前に振動させてセメント質スラリー中の空隙部の低減または排除を促進するステップを含むことが可能である。振動は、任意により、所望の場合には、表面にじみの低減または防止をさらに促進するために停止され得る。それ故、本発明の方法は、任意により、振動器具を使用せずに実施される。この意味において、振動器具は、振動を生じさせる目的で設計されたまたは採用される任意の機械である。他の主目的を有する製造器具が通常の運転の副次的作用として同レベルの振動をもたらし得ることが認識されている。しかしながら、このような振動を発生させる以外の主機能を有する器具は振動器具とはみなされない。
【0052】
セメント質物品の製造方法により用いられる第1の繊維マットのすべての態様は、本発明のセメント質物品に関して本明細書に記載されているとおりである。
【0053】
セメント質スラリーは、第1の繊維マットに実質的に浸透せず、これにより、第1の繊維マットが任意の相当程度でセメント質スラリーに埋まってしまうことが防止されることが好ましい。好ましくは、セメント質スラリーは、マットの厚さの約50%未満、より好ましくは、マットの厚さの約30%未満、約15%未満、約10%未満、または、さらには約2%未満(例えば、約1%未満)で浸透する。
【0054】
任意により、繊維マット張り表面を有するセメント質物品の製造方法は、セメント質スラリーが硬化する前に、セメント質スラリーを第2の繊維マットに接触させるステップをさらに含んでいることが可能であり、ここで、セメント質スラリーは、第1の繊維マットと第2の繊維マットとの間に配置される。上述のとおり、スキムコートスラリーは、任意により、第2の繊維マット、ならびに、第1の繊維マット、第1のスキムコートおよびセメント質コアと組み合わされた第2の繊維マットに、第2のスキムコートがセメント質コアと接触するよう適用されることが可能である。第1および第2の繊維マットのすべての他の態様は、本発明のセメント質物品に関して記載されているとおりである。
【0055】
セメント質スラリーは、セメント質物品のセメント質コアに関して好適であるかまたは好ましいと上述されているセメント質材料および添加剤のいずれかを、好適な粘度をもたらすために十分な水と一緒に含む。スランプテストにより計測された場合に、セメント質スラリーは、典型的には、約5インチ〜7インチまたは約6インチ〜約7インチ(または約15cm〜約18cm)などの約5インチ〜約8インチの直径(または約10cm〜約20cm)を有するパテを形成するであろう。スランプテストを用いてスラリーの粘度を計測する手法は技術分野において公知である。簡単に説明すると、2インチ(または5cm)径のチューブ(例えば、両端が開いていると共に、その一端が封止されるよう平坦で実質的に非多孔性の表面上に載置されているチューブ)に4インチ(10cm)の高さまでスラリーが充填される。製造ラインからスラリーをサンプリングしてから5秒以内に、このスラリーを、平坦で水平な表面上に急にシリンダーを持ち上げることにより吐出させて、吐出させたスラリーをパテに延展させる。スラリーの延展が停止したら、スラリーパテの最大径が計測される(非円形(例えば、楕円形)のスラリーパテの場合、スラリーパテの最大径は最大径に垂直な方向のスラリーパテの直径と平均される)。
【0056】
繊維マット張り表面を有するセメント質物品を製造する方法の他の態様は、本発明のセメント質物品に関して本明細書に記載されているとおりである。本明細書に特定的に記載されていない繊維マット張り表面を有するセメント質物品の製造方法のこれらの態様は、公知であると共に、特に繊維マット張り表面を有するセメント質物品といった従来のセメント質物品の製造に用いられている技術によって提供されることが可能である。
【0057】
セメント質コアスラリーは、技術分野において公知である耐水性添加剤を含んでいることが可能である。例えば、いくつかの実施形態において、コアセメント質スラリーは、使用され得るセメント質混合物への耐水性の付与に好適なシロキサンを含んでいることが可能である。いくつかの実施形態において、シロキサンは、約4重量%〜約8重量%シロキサンを水中に含む水性シロキサン分散体でもたらされる。例えば、米国特許出願第11/738,316号明細書を参照のこと。シロキサンは、環状水素−変性シロキサン、または、好ましくは、直鎖水素−変性シロキサンであることが可能である。シロキサンは、望ましくは、液体(例えば、シロキサンオイル)である。
【0058】
いくつかの実施形態において、分散体は、分散体がセメント質コアの他の構成要素と組み合わされるために十分な一定の時間の間、シロキサンの小滴が水中に分散されたままである(すなわち、シロキサン相が水相とは実質的に分離しない)よう安定化される。
【0059】
耐水性セメント質物品の製造方法の他の態様のすべては、繊維マット張り表面を有するセメント質物品またはマット張り表面を有するセメント質物品の製造方法に関して本明細書に記載されているとおりである。本明細書に特定的に記載されていない耐水性セメント質物品の製造方法の態様は、公知であると共に、特に繊維マット張り表面を有するセメント質物品といった従来のセメント質物品の製造に用いられている技術によって提供されることが可能である。
【実施例】
【0060】
実施例1
以下の実施例は、本発明による繊維マット張り表面を有するセメント質物品の製造を例示している。
【0061】
用いられる繊維マットは、Johns Manville製のDuraGlass(登録商標)8924Gマットである。
【0062】
セメント質スラリーはボードミキサ中で製造される。実施例配合物が、表1Aおよび1Bおよび2Aおよび2Bに示されている。スラリーのシロキサン構成要素は、高せん断ミキサ(例えば、Ross Sanitary Design High Shear Incline Mixer,Model ME−440XS−9タイプホモジナイザ)を用いて水中に分散されると共に、スラリーの製造に用いた計量した水に入れられる。
【0063】
表面繊維マットが、セメント質パネルの表面(下側に形成)および裏面(上側に形成)への適用のために配置される。マットは、張力調整およびアライメントシステムに通されると共に、表面マットが、所望の厚さ(例えば、5/8インチ)および所望の縁部(例えば、角)が所望のボード幅(例えば、48インチ)で形成されるよう作製される。
【0064】
セメント質スラリーまたはスキムコートの高密度層が表面マット上に堆積される。スキムコートまたはスキムコートスラリーのために用いられるセメント質スラリーはボードミキサから抽出される。スキムコートスラリー抽出速度は、抽出ホース中のスラリーの体積を低減させることにより低減されると共に、スキムコートスラリーの抽出点近くの水もまた低減される。スキムコートローラの回転速度は(例えば約52〜57rpmに)低減される。例えば、スキムコート系の操作パラメータの例を示す表3を参照のこと。
【0065】
加振装置は、マットを通したスラリー浸透の低減を補助するために停止される。
【0066】
表面マットはボードミキサ下に通され、および、セメント質スラリーが高密度層またはスキムコート上に堆積される。
【0067】
スラリーで所定の位置に作製された表面マットは封筒上に成形されると共に、成形プレート下に通される。成形された表面マットが成形プレートに進入する時点で、裏面マットが表面マットの縁部に接触させられる。接着剤のビードが用いられて、マットが交差する点で表面ガラスマットが裏面ガラスマットに接着される。スラリーは、この交差点では表面および裏面ガラスマットに接触していない。
【0068】
スラリーが充填された完成したガラスマット封筒は成形プレートを出ると共に、ボードベルトに送られる。ガイドは、ボードベルトで約30秒の時点でスラリーが水和されるまで縁部を適切な位置に維持し続け、この時点では、縁部は自己支持性である。ボードは、自己支持性となるまでラインをさらに下流に移動する。その後、ボードは、その所望の仕上がり長さよりもわずかに長めにボードナイフで切断される。ボードは裏返されて、キルン中に移動されて過剰な水が除去される(例えば、40分間)。
【0069】
次いで、ボードは、表面−対−表面または表面−対−裏面で配置されると共に、所望の長さに切断される。得られる製品は、繊維マット張り表面を有するセメント質製品である。
【0070】
代替的な非限定的な実施形態として、セメント質物品は、第1および第2の面、ならびに、これらに固定された第1および第2の上張り材を有する水硬性材料層を備える物品であり、これは、(a)無水硫酸カルシウム、硫酸カルシウム半水化物、および、水硬性セメントから選択される少なくとも1種の構成要素を含む水性スラリーを形成するステップ;(b)スラリーを配分して前記第1の上張り材上に層を形成するステップ;(c)前記第2の上張り材を前記層の上に適用するステップ;(d)得られた積層体を個別の物品に分けるステップ;および(e)物品を乾燥させるステップを含む方法により提供され、ここで、上張り材の少なくとも一方はスチレンアクリルバインダから実質的に構成されている樹脂バインダで一緒に結合された不織ウェブを備えるコートされていない繊維マットであり、前記ウェブは、約8〜25ミクロンの範囲の平均繊維径を有するチョップドガラスファイバーの主要部分と、任意により、約13ミクロン以下の繊維径を有する少なくとも1種の小径ガラスファイバーおよび約0.05〜約6.5ミクロンの範囲の平均繊維径を有する微小繊維から実質的に構成されている副次部分とから実質的に構成されているガラスファイバーを含む。
【0071】
セメント質物品の製造方法の他の態様のすべては、セメント質物品自体に関して本明細書に記載されているとおりである。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
【表3】

【0075】
【表4】

【0076】
【表5】

【0077】
本明細書において援用されている公報、特許出願および特許を含むすべての文献は、各文献が、参照により援用されていると個別におよび特定的に示されている、および、本明細書においてその全体が記載されているのと同じ程度で、本明細書によって参照により援用されている。
【0078】
本発明の記載の文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)、「a」および「an」および「the」といった用語、ならびに、同様の参照対象は、本明細書中に他に示されていない限りにおいて、または、明らかに文脈と矛盾しない限りにおいて、単数および複数形の両方がカバーされると理解される。「を含んでいる(comprising)」、「を有している(having)」、「を含んでいる(including)」および「を含有している(containing)」という用語は、特に記載のない限り、オープンエンド形式の用語(すなわち、「〜としては、特にこれらに限定されないが、〜が挙げられる」を意味する)と理解されるべきである。本明細書における値の範囲の言及は、本明細書において他に示されていない限りにおいて、単なる範囲内に属する個別の値の各々を個々に参照する略記法としての役割が意図されており、個別の値の各々は、本明細書中に個々に言及されているかのように本明細書に組み込まれている。本明細書に記載の方法のすべては、本明細書において他に示されていない限りにおいて、あるいは、文脈と明らかに矛盾していない限りにおいて、任意の好適な順番で実施されることが可能である。本明細書における、任意のおよびすべての例または例示的な原語(例えば、「などの」)の使用は、単に、本発明のより良好な例示を意図しており、特許請求されていない限り本発明の範囲に限定をもたらすことはない。本明細書中の原語はいずれも、如何なる特許請求の範囲に記載されていない要素をも本発明の実施に必須であると示していると解釈されるべきではない。
【0079】
本発明の好ましい実施形態が、本発明の実施のために本発明者らに公知である最良の形態を含めて、本明細書に記載されている。これらの好ましい実施形態の変形は、前述の記載の読了により当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者がこのような変形を適切なものとして採用することを見込んでいると共に、本発明者らは、本明細書の特定的な記載以外の方法で本発明が実施されることを意図している。従って、本発明は、準拠法によって許容される、本明細書に添付の特許請求の範囲において言及されている主題のすべての変更および均等物を包含する。しかも、可能な変形のすべてにおける上述の要素の任意の組み合わせは、本明細書において他に示されていない限りにおいて、または、明らかに文脈と矛盾しない限りにおいて、本発明に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)セメント質コア;
(b)前記セメント質コアに接触している、前記セメント質コアを超える密度を有するスキムコートセメント質層;ならびに
(c)(i)微小繊維および(ii)約0.6cm以上の長さを有する連続繊維を含む繊維マットを備え;前記繊維マットが前記スキムコートセメント質層に接触している内表面を備えている、マット張り表面を有するセメント質複合物品。
【請求項2】
前記連続繊維および前記微小繊維の両方がガラスファイバーである、請求項1に記載のマット張り表面を有する物品。
【請求項3】
前記連続繊維が約15ミクロン以上の直径を有する、請求項1または2に記載のマット張り表面を有する物品。
【請求項4】
前記微小繊維が、約0.25ミクロン〜約5ミクロンの直径を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマット張り表面を有する物品。
【請求項5】
(a)内表面を有する繊維マットを提供するステップであって、前記繊維マットが(i)微小繊維および(ii)約0.6cm以上の長さを有する連続繊維を含むステップ;
(b)セメント質スラリーの水性スキムコート層を前記第1の繊維マットの前記内表面上に堆積させるステップ;および
(c)水性セメント質コアスラリーを前記スキムコートスラリーの上に堆積させてマット張り表面を有する複合物品を形成するステップ
を含む、マット張り表面を有するセメント質物品の形成方法。
【請求項6】
(d)前記複合物品をボードに形成するステップ
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記セメント質スラリーの水性スキムコート層が、前記セメント質コアスラリーの密度よりも高い密度を有する、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記セメント質コアスラリーを堆積させるステップの前に前記スキムコートをスキムコートローラで圧延するステップをさらに含み、前記スキムコートローラは、約130fpm以下の回転速度を有する、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、振動器具の使用を伴わずに実施される、請求項5〜8のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2012−507421(P2012−507421A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534758(P2011−534758)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/062540
【国際公開番号】WO2010/051364
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(596172325)ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー (100)
【Fターム(参考)】