説明

マップビルディング装置及びマップビルディング方法

【課題】 距離測定センサーを利用して正確なマップを生成するマップビルディング装置及びマップビルディング方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 距離測定センサーの距離−電圧特性で相異なる領域の特性を用いて第1マップと第2マップとをそれぞれ作成し、第1マップと第2マップとを組み合わせてグリッドマップを完成することが可能である。したがって、距離−電圧特性のあらゆる領域を用いてマップを生成することが可能であるために、より精密に周辺環境に対するマップを生成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離測定センサーを用いて周辺環境に対するマップを生成するマップビルディング装置及びマップビルディング方法に関する。特に、移動ロボットが距離測定センサーを用いてグリッドマップを構築する技術に応用されうる。
【背景技術】
【0002】
例えば、ロボットとしては、人の姿をした人形の内部に機械装置を組み付けて、手足とその外の部分を本来の人と同様に動作するように構成された移動可能な人型ロボットがある。しかし、最近には、人の姿如何とは別にして、自律的に所定の作業(動作)を行う自動装置を通称するようになった。
【0003】
特に、移動ロボットの場合、極限の環境または危険地域で人の代わりに作業を行うことができるために、多くの脚光を浴びている。また、掃除ロボットのように自律的に家内を歩き回りながら家事業務を手伝う家庭用移動ロボットも多数普及された。
【0004】
移動ロボットが自律的に移動しながら所定の作業(動作)を行うためには、周辺環境(障害物や通路の壁部)に対する情報を得る必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ロボットにおける周辺環境認識は、周辺情報としてのマップ(map)を通じてなされる。このようなマップには、周辺空間を同じサイズの格子で表現し、各格子に物体の有無を表示したグリッドマップ(grid map)が代表的である。
【0006】
従来のロボットの制御装置では、距離測定センサーを用いて周辺環境に対するグリッドマップを生成して周辺環境(障害物や通路の壁部の位置)を認識している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−249632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
距離測定センサーは、周辺物体までの距離を測定して所定の電圧を検出データとして出力する。ロボットの制御装置は、距離測定センサーの出力電圧を用いてグリッドマップを生成する。ところが、距離測定センサーの距離−電圧特性において、ある電圧が出力された時に対応する距離値が重複される場合がある。通常、何れか一つの距離値のみ取ってマップを作成するが、このようにある電圧に対する距離値が重複されることになると、マップ作成の精度が低下する。
【0009】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、上記課題を解決したマップビルディング装置及びマップビルディング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような手段を有する。
【0011】
本発明の一態様によるマップビルディング装置は、距離測定センサーの距離−電圧特性で相異なる領域の特性を選択して、第1マップと第2マップとをそれぞれ生成する基礎マップ作成部と、第1マップの一部の線及び第2マップの一部の線を組み合わせて、第3マップを生成する最終マップ作成部と、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、基礎マップ作成部は、距離−電圧特性で比例領域の特性を選択して、第1マップを生成する第1基礎マップ作成部と、距離−電圧特性で反比例領域の特性を選択して、第2マップを生成する第2基礎マップ作成部と、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、最終マップ作成部は、第1マップと第2マップとを合成するマップ合成部と、第1マップと第2マップとの間の交差点を抽出する交差点抽出部と、隣接した交差点の間に定義される区間別に、第1マップの線及び第2マップの線のうちから直線を選択して、第3マップを生成する直線抽出部と、を含むことを特徴とする。
【0014】
選択的に、最終マップ作成部は、第1マップと第2マップとを合成するマップ合成部と、第1マップと第2マップとの間の交差点を抽出する交差点抽出部と、隣接した交差点の間に定義される区間別に、第1マップの線及び第2マップの線のうちから何れか一つを選択して、少なくとも二つ以上の候補マップを生成する候補マップ生成部と、候補マップのうちから何れか一つを選択するマップ選択部と、を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の一実施形態によるマップビルディング方法は、距離測定センサーの距離−電圧特性で相異なる領域の特性を選択して、第1マップと第2マップとをそれぞれ生成する段階と、第1マップの一部の線及び第2マップの一部の線を組み合わせて、第3マップを生成する段階と、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、第3マップを生成する段階は、第1マップと第2マップとを合成する段階と、第1マップと第2マップとの間の交差点を抽出する段階と、隣接した交差点の間に定義される区間別に、第1マップの線及び第2マップの線のうちから直線を選択して、第3マップを生成する段階と、を含むことを特徴とする。
【0017】
選択的に、第3マップを生成する段階は、第1マップと第2マップとを合成する段階と、第1マップと前記第2マップとの間の交差点を抽出する段階と、隣接した交差点の間に定義される区間別に、第1マップの線及び第2マップの線のうちから何れか一つを選択して、少なくとも二つ以上の候補マップを生成する段階と、候補マップのうちから何れか一つを選択する段階と、を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の一態様によって、距離測定センサーの距離−電圧特性で相異なる領域は、ピーク電圧を出力する距離を基準に区分されることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の一態様によって、候補マップを生成する場合、区間別に第1マップの線及び第2マップの線を交互に選択することを特徴とする。
【0020】
また、マップ選択は、候補マップのうちから交差点を基準に連続性を有する線がさらに多く形成される候補マップ、交差点を基準に直線がさらに多く形成される候補マップ、または交差点を含む直線がさらに多い候補マップを選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、距離測定センサーの距離−電圧特性で相異なる領域の特性を用いて第1マップと第2マップとをそれぞれ作成し、第1マップと第2マップとを組み合わせてグリッドマップを完成することが可能である。したがって、距離−電圧特性のあらゆる領域を用いてマップを生成することが可能であるために、より精密に周辺環境に対するマップを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態によるグリッドマップを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態によるマップビルディング装置を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による距離測定センサーの距離−電圧特性を示す図である。
【図4】本発明の他の実施形態によるマップビルディング装置を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による周辺環境を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による第1グリッドマップを示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による第2グリッドマップを示す図である。
【図8】本発明の一実施形態による合成グリッドマップを示す図である。
【図9】本発明の一実施形態による最終グリッドマップを示す図である。
【図10】本発明のまた他の実施形態によるマップビルディング装置を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態による候補グリッドマップを示す図である。
【図12】本発明の他の実施形態による候補グリッドマップを示す図である。
【図13】発明の一実施形態によるマップ作成方法の手順を示すフローチャートである。
【図14】本発明の一実施形態によるマップ完成過程の手順を示すフローチャートである。
【図15】本発明の他の実施形態によるマップ完成過程の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施のための具体的な例を詳しく説明する。後述する実施形態は、本発明を例示的に説明するためのものであって、本発明の権利範囲が特定実施形態に限定されるものではない。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態によるマップビルディング装置が生成するグリッドマップを図示する。図1を参照すれば、本実施形態によるマップは、グリッドマップ(grid map)10により形成される。グリッドマップ10は、空間を同じサイズの格子に分け、各格子に物体の存否を表示したものを意味する。
【0025】
例えば、図1に示されるように、白色格子20は物体のない領域であり、黒色格子30は物体のある領域である。したがって、複数の黒色格子30を連結した線40は、ある空間の境界線(壁、障害物など)を表すことになる。
【0026】
本実施形態で、マップの作成または生成とは、このようなグリッドマップ10の黒色格子30を連結した線40を作成するか生成することである。従って、周辺物体までの距離が分かれば、このようなグリッドマップ10を生成することが可能となる。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態によるマップビルディング装置を図示する。図2に示されるように、マップビルディング装置200は、距離測定センサー201及びマップ作成部202を含む。
【0028】
距離測定センサー201は、周辺物体に光を照射し、周辺物体から反射された反射光を検出するように構成されている。そして、距離測定センサー201は、検出された反射光の入射位置に基づいて周辺物体までの距離を測定する。このため、距離測定センサー201は、発光部203と受光部204とを有する。
発光部203は、周辺に向けて光を照射する発光ダイオード(LED:Light Emission Diode)よりなる。また、受光部204は、物体205からの反射光を検出して物体205までの距離を測定する距離測定部(PSD:Position Sensitive Detector)である。
【0029】
受光部204は、三角測量原理を用いて物体205までの距離を測定する。物体205からの反射光の入射位置は、物体205までの距離によって変わる。例えば、近い物体205−1からの反射光は、相対的に受光部204の左側位置に入射され、遠い物体205−2からの反射光は、近い物体205−1よりも相対的に受光部204の右側位置に入射される。したがって、受光部204は、反射光の入射位置によって物体205までの距離を測定することが可能である。
【0030】
受光部204で測定された物体205までの距離は、電圧値として検出される。例えば、受光部204は、物体205までの距離に比例または反比例する電圧を出力することが可能である。
【0031】
マップ作成部202は、受光部204からの出力電圧を受信する。出力電圧は、物体205までの距離に応じた値となる。マップ作成部202は、受光部204によって生成された出力電圧に基づいて図1のようなグリッドマップ10を生成する。
【0032】
図3は、本発明の一実施形態による距離測定センサーの距離−電圧特性を図示する。本実施形態で、距離−電圧特性とは、距離測定センサーで測定されたある物体までの距離とその時の出力電圧との関係のことである。例えば、距離測定センサー201は、測定された距離が遠いほど高い電圧値を出力するように設定することが可能である。また、距離測定センサー201は、測定された距離が遠いほど低い電圧値を出力するように設定することもできる。
【0033】
図3に示されるように、本実施形態による距離測定センサー201は、二つの異なる特性領域を有する。
【0034】
第1特性領域301では、距離と電圧とが比例する。すなわち、第1特性領域301では、物体までの距離が遠いほど高い電圧が出力される。
【0035】
第2特性領域302では、距離と電圧とが反比例する。すなわち、第2特性領域302では、物体までの距離の遠いほど低い電圧が出力される。
【0036】
第1特性領域301と第2特性領域302は、臨界距離303を基準(境界)として2つの領域に区分される。臨界距離303は、ピーク電圧v2を出力する地点の距離となる。また、臨界距離303は、電圧の微分値が0になる地点の距離である。
【0037】
臨界距離303を基準に、臨界距離303以下の第1特性領域301は、物体205までの離間距離が短距離領域となる。また、臨界距離303以上の第2特性領域302は、物体205までの離間距離が長距離領域となる。
【0038】
ところが、距離測定センサー201では、例えば、v1電圧が出力された時、物体までの距離をL1(短距離)とするか、L2(長距離)とするかが問題となる。この際、何れか一つの特性領域のみ選択することによって、L1またはL2のうち何れか一つの値のみ取ることもできるが、本実施形態によるマップビルディング装置では、両特性領域301、302をいずれも利用することが可能である。
【0039】
図4を参照して、これを具体的に説明する。図4は、本発明の他の実施形態によるマップビルディング装置を示したものであって、これは、図2によるマップ作成部の一例になり得る。図4に示されるように、マップビルディング装置400は、距離測定センサー201の距離−電圧特性で第1特性領域301及び第2特性領域302を選択して、第1グリッドマップと第2グリッドマップとをそれぞれ作成し、第1グリッドマップの一部の線及び第2グリッドマップの一部の線を組み合わせて、最終グリッドマップを完成することが可能である。
【0040】
このために、マップビルディング装置400は、第1基礎マップ作成部401、第2基礎マップ作成部402、マップ合成部403、交差点抽出部404、直線抽出部405を有する。マップ合成部403、交差点抽出部404、直線抽出部405は、最終マップ作成部406を構成する。
【0041】
第1基礎マップ作成部401は、距離測定センサー201の距離−電圧特性により第1特性領域301を選択して第1グリッドマップを生成する。例えば、第1グリッドマップは、臨界距離303以下の短距離領域に該当するグリッドマップになる。
【0042】
第2基礎マップ作成部402は、距離測定センサー201の距離−電圧特性で第2特性領域302を選択して第2グリッドマップを生成する。例えば、第2グリッドマップは、臨界距離303以上の長距離領域に該当するグリッドマップになる。
【0043】
マップ合成部403は、後述するように第1グリッドマップと第2グリッドマップとを合成する。例えば、マップ合成部403は、第1グリッドマップ上に第2グリッドマップをオーバーラップして合成グリッドマップを生成することが可能である。
【0044】
交差点抽出部404は、第1グリッドマップと第2グリッドマップとの間の交差点を抽出する。
【0045】
直線抽出部405は、後述するように隣接した交差点の間に定義される区間別に、第1グリッドマップの線及び第2グリッドマップの線のうちから直線からなる線のみ抽出して最終グリッドマップ(第3マップ)を完成する。
【0046】
図5乃至図9を参照して、図4に示すマップビルディング装置400の動作をさらに詳細に説明する。図5は、マップ作成の対象となる実際の周辺環境50を表わす平面図である。図5に示されるように、Aは、マップビルディング装置400の位置を表わす。例えば、Aは、本実施形態によるマップビルディング装置400が装着されたロボットでもある。そして、Lは、距離測定センサー201の距離−電圧特性で相異なる特性領域を区分する臨界距離(図3の303参照)を表わす。
【0047】
図6は、第1基礎マップ作成部401によって作成された第1グリッドマップ410を図示する。図6に示されるように、第1基礎マップ作成部401は、距離測定センサー201からある電圧を受信すると、第1特性領域301での距離、すなわち、短距離を選択する。したがって、臨界距離Lより近距離にある物体は正確な表現が可能であるが、臨界距離Lより遠く離れている物体は歪曲されて表現されたことが分かる。
【0048】
図7は、第2基礎マップ作成部402によって作成された第2グリッドマップ420を図示する。図7に示されるように、第2基礎マップ作成部402は、距離測定センサー201からある電圧を受信すれば、第2特性領域302での距離、すなわち、長距離を選択する。したがって、臨界距離Lより遠く離れている物体は正確な表現が可能であるが、臨界距離Lより近距離にある物体は歪曲されて表現されたことが分かる。
【0049】
図8は、マップ合成部403によって合成された合成グリッドマップ430と交差点抽出部404によって抽出された交差点P1〜P4とを図示する。図8に示されるように、合成グリッドマップ430において、説明の便宜上、第1グリッドマップ410は実線で、第2グリッドマップ420は点線で表わす。そして、P1ないしP4は、第1グリッドマップ410と第2グリッドマップ420との交差点を表わす。
【0050】
図8を参照して、直線抽出部405が直線を選択してグリッドマップを完成する過程を説明すれば、次の通りである。
【0051】
直線抽出部405は、交差点P1〜P4を基準に一定の区間を指定する。例えば、直線抽出部405は、次のような区間を指定することが可能である。
P1〜P2:区間1
P2〜P3:区間2
P3〜P4:区間3
P4〜P1:区間4
引き続き、直線抽出部405は、各区間別に第1グリッドマップ410の線及び第2グリッドマップ420の線のうちから直線を選択する。例えば、区間1(P1〜P2)では、点線で表現された第2グリッドマップ420の線を、区間2(P2〜P3)では、実線で表現された第1グリッドマップ410の線を選択することができる。同様に、区間3(P3〜P4)及び区間4(P4〜P1)に対しても直線を選択すれば、図9に示す最終グリッドマップ440のようになる。
【0052】
図9は、直線抽出部405によって抽出された線のみ別途に示したものであって、図5と比べると適切に周辺環境50に対する最終グリッドマップ440が完成されたことが分かる。
【0053】
図10は、本発明のまた他の実施形態によるマップビルディング装置を図示する。これは、図2によるマップ作成部に関する他の変形例である。
【0054】
図10に示されるように、マップビルディング装置1400は、距離測定センサー201の距離−電圧特性で第1特性領域301及び第2特性領域302を選択して、第1グリッドマップ410と第2グリッドマップ420とをそれぞれ作成し、第1グリッドマップ410の一部の線及び第2グリッドマップ420の一部の線を組み合わせて、最終グリッドマップを完成することが可能である。
【0055】
このために、マップビルディング装置1400は、第1基礎マップ作成部401、第2基礎マップ作成部402、マップ合成部403、交差点抽出部404、候補マップ生成部1405、マップ選択部1406を有する。また、マップ合成部403、交差点抽出部404、候補マップ生成部1405、マップ選択部1406は、最終マップ作成部1407を構成する。
【0056】
第1基礎マップ作成部401は、距離測定センサー201の距離−電圧特性で第1特性領域301を選択して第1グリッドマップ410を生成する。例えば、第1グリッドマップ410は、臨界距離303以下の短距離領域に該当するグリッドマップになる。
【0057】
第2基礎マップ作成部402は、距離測定センサー201の距離−電圧特性で第2特性領域302を選択して第2グリッドマップ420を生成する。例えば、第2グリッドマップ420は、臨界距離303以上の長距離領域に該当するグリッドマップになる。
【0058】
マップ合成部403は、第1グリッドマップ410と第2グリッドマップ420とを合成する。例えば、マップ合成部403は、第1グリッドマップ410上に第2グリッドマップ420をオーバーラップして合成グリッドマップ430を生成することが可能である。
【0059】
交差点抽出部404は、第1グリッドマップ410と第2グリッドマップ420との間の交差点P1〜P4を抽出する。
【0060】
候補マップ生成部1405は、交差点抽出部404で抽出された交差点P1〜P4のうちから隣接した各交差点P1〜P2、P2〜P3、P3〜P4、P4〜P1の間に定義される区間1〜区間4別に、第1グリッドマップ410の線及び第2グリッドマップ420の線のうちから何れか一つを選択して複数個の候補グリッドマップを生成する。この際、候補マップ生成部1405は、第1グリッドマップ410の線及び第2グリッドマップ420の線を交互に選択することができる。
【0061】
マップ選択部1406は、候補グリッドマップのうちから何れか一つを真のグリッドマップとして選択する。尚、候補グリッドマップのうちから何れか一つを真のグリッドマップと判別する基準については、後述する。
【0062】
第1基礎マップ生成部401、第2基礎マップ生成部402、マップ合成部403及び交差点抽出部404の具体的な処理動作は、図5ないし図8で説明したものと同一である。したがって、図8、図11及び図12を参照して、候補グリッドマップを生成し、候補グリッドマップのうちから何れか一つを真のグリッドマップとして選択する過程をさらに具体的に説明する。
【0063】
図11及び図12は、図8のような合成グリッドマップ430に基づいて生成された二つの候補グリッドマップ500を図示する。これは、候補マップ生成部1405が、トグル方式でマップの線を選択して候補マップを生成する方法に関する一例である。
【0064】
例えば、図8に示されるように、区間1(P1〜P2)において、最初点線を選択したならば、区間2(P2〜P3)、区間3(P3〜P4)、区間4(P4〜P1)を経て実線、点線、実線順に選択して、図11に示すような候補グリッドマップ500を生成することが可能である。
【0065】
また、図8に示されるように、区間1(P1〜P2)で最初実線を選択したならば、区間2(P2〜P3)、区間3(P3〜P4)、区間4(P4〜P1)を経て点線、実線、点線順に選択して、図12に示すような候補グリッドマップ510を生成する。
【0066】
マップ選択部1406は、図11及び図12に示すような候補グリッドマップ500、510の中の何れか一つを真のグリッドマップとして選択する。マップ選択部1406の真のグリッドマップとしての判別基準は、多様な基準が使われる。
【0067】
一例として、交差点P1〜P4を基準に連続性を有する線がさらに多く形成される候補マップを選択することが可能である。このような連続性を有する線のうち代表的なものが直線であり、数学的に交差点P1〜P4を基準に一側での微分値の符号と他側での微分値の符号とが同一であれば連続に、反対であれば非連続に見られる。
【0068】
また、他の例として、候補グリッドマップ500、510のうちから交差点P1〜P4を含む直線がさらに多い候補マップを選択することが可能である。
【0069】
このような判別基準によって、図11に示す候補グリッドマップ500と図12に示す候補グリッドマップ510とを比べると、図11に示す候補グリッドマップ500が、図12に示す候補グリッドマップ510に比べて相対的にこのような判別基準をさらに多く満足することが分かる。したがって、マップ選択部1406は、図11に示す候補グリッドマップ500を真のグリッドマップとして選択し、これを図5に示す抽出方法と比べると周辺環境50が適切にグリッドマップで表現されたことが分かる。
【0070】
図13は、本発明の一実施形態によるマップ作成方法の手順を示すフローチャートである。図13に示されるように、まず、距離測定センサー201の距離−電圧特性で相異なる領域の特性を選択して、第1マップと第2マップとをそれぞれ生成する(1301、1302)。例えば、第1基礎マップ生成部401及び第2基礎マップ生成部402が、それぞれ図6及び図7に示すような第1、第2グリッドマップ410,420を生成することが可能である。
【0071】
引き続き、第1マップ(第1グリッドマップ410)の一部の線及び第2マップ(第2グリッドマップ420)の一部の線を組み合わせてマップを完成する(1303)。ここで、マップの完成とは、第1マップの一部の線及び第2マップの一部の線を組み合わせて第3マップ(最終グリッドマップ440)を生成することを意味する。
【0072】
図14は、マップを完成する過程(1303)に関する手順を示すフローチャートである。図14に示されるように、まず、第1マップと第2マップとを合成する(1401)。例えば、マップ合成部403が、図8に示すような合成マップ(合成グリッドマップ430)を生成することが可能である。
【0073】
引き続き、第1マップと第2マップとの間の交差点を抽出する(1402)。例えば、交差点抽出部404は、図8に示されるP1ないしP4のような交差点を抽出することが可能である。
【0074】
引き続き、隣接した交差点P1〜P2、P2〜P3、P3〜P4、P4〜P1の間に定義される区間1〜区間4別に、第1マップの線及び第2マップの線のうちから直線を抽出する(1403)。例えば、直線抽出部405が直線を抽出して、図9に示されるような最終グリッドマップ440を完成することが可能である。
【0075】
図15は、マップを完成する過程(1303)に関する手順を示すフローチャートである。図15に示されるように、まず、第1マップ(グリッドマップ410)と第2マップ(グリッドマップ420)とを合成する(1501)。例えば、マップ合成部403が、図8に示されるような合成グリッドマップ430を生成することが可能である。
【0076】
引き続き、第1マップと第2マップとの間の交差点を抽出する(1502)。例えば、交差点抽出部404が、図8に示されるP1ないしP4のような交差点を抽出することが可能である。
【0077】
引き続き、隣接した交差点の間に定義される区間別に、第1マップ(第1グリッドマップ410)の線及び第2マップ(第2グリッドマップ420)の線のうちから何れか一つを選択して、少なくとも二つ以上の候補グリッドマップを生成する(1503)。例えば、候補マップ生成部1405が、図11及び図12に示されるような候補マップ(候補グリッドマップ500,510)を生成することが可能である。
【0078】
引き続き、候補マップ(候補グリッドマップ500,510)のうちから何れか一つを真のグリッドマップとして選択する(1504)。例えば、マップ選択部1406は、図11、図12のうち、図11を真と選択することが可能である。この際、選択基準は、交差点P1〜P4を基準に連続性を有する線がさらに多く形成される候補マップ(候補グリッドマップ500)、交差点P1〜P4を基準に直線がさらに多く形成された候補マップ(候補グリッドマップ500)または交差点P1〜P4を含む直線がさらに多い候補マップ(候補グリッドマップ500)を選択することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、マップビルディング装置及び方法関連の技術分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0080】
10 グリッドマップ
20 白色格子
30 黒色格子
40 線
50 周辺環境
200、400、1400 マップビルディング装置
201 距離測定センサー
202 マップ作成部
203 発光部
204 受光部
205 物体
301 第1特性領域
302 第2特性領域
303 臨界距離
401 第1基礎マップ作成部
402 第2基礎マップ作成部
403 マップ合成部
404 交差点抽出部
405 直線抽出部
406 最終マップ作成部
410 第1のグリッドマップ
420 第2のグリッドマップ
430 合成グリッドマップ
440 最終グリッドマップ
500,510 候補グリッドマップ
1405 候補マップ生成部
1406 マップ選択部
1407 最終マップ作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離測定センサーの距離−電圧特性で相異なる領域の特性を選択して、第1マップと第2マップとをそれぞれ生成する基礎マップ作成部と、
前記第1マップの一部の線及び前記第2マップの一部の線を組み合わせて、第3マップを生成する最終マップ作成部と、
を含むことを特徴とするマップビルディング装置。
【請求項2】
前記相異なる領域は、前記距離測定センサーがピーク電圧を出力する距離を基準に区分されることを特徴とする請求項1に記載のマップビルディング装置。
【請求項3】
前記基礎マップ作成部は、
前記距離−電圧特性で比例領域の特性を選択して、前記第1マップを生成する第1基礎マップ作成部と、
前記距離−電圧特性で反比例領域の特性を選択して、前記第2マップを生成する第2基礎マップ作成部と、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のマップビルディング装置。
【請求項4】
前記最終マップ作成部は、
前記第1マップと前記第2マップとを合成するマップ合成部と、
前記第1マップと前記第2マップとの間の交差点を抽出する交差点抽出部と、
隣接した前記交差点の間に定義される区間別に、前記第1マップの線及び前記第2マップの線のうちから直線を選択して、前記第3マップを生成する直線抽出部と、
を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のマップビルディング装置。
【請求項5】
前記最終マップ作成部は、
前記第1マップと前記第2マップとを合成するマップ合成部と、
前記第1マップと前記第2マップとの間の交差点を抽出する交差点抽出部と、
隣接した前記交差点の間に定義される区間別に、前記第1マップの線及び前記第2マップの線のうちから何れか一つを選択して、少なくとも二つ以上の候補マップを生成する候補マップ生成部と、
前記候補マップのうちから何れか一つを選択するマップ選択部と、
を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のマップビルディング装置。
【請求項6】
前記候補マップ生成部は、
前記区間別に、前記第1マップの線及び前記第2マップの線を交互に選択することを特徴とする請求項5に記載のマップビルディング装置。
【請求項7】
前記マップ選択部は、
前記候補マップのうちから前記交差点を基準に連続性を有する線がさらに多く形成される候補マップを選択することを特徴とする請求項5に記載のマップビルディング装置。
【請求項8】
前記マップ選択部は、
前記候補マップのうちから前記交差点を基準に直線がさらに多く形成される候補マップを選択することを特徴とする請求項5に記載のマップビルディング装置。
【請求項9】
前記マップ選択部は、
前記候補マップのうちから前記交差点を含む直線がさらに多い候補マップを選択することを特徴とする請求項5に記載のマップビルディング装置。
【請求項10】
前記マップは、グリッドマップであることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載のマップビルディング装置。
【請求項11】
距離測定センサーの距離−電圧特性で相異なる領域の特性を選択して、第1マップと第2マップとをそれぞれ生成する段階と、
前記第1マップの一部の線及び前記第2マップの一部の線を組み合わせて、第3マップを生成する段階と、
を含むことを特徴とするマップビルディング方法。
【請求項12】
前記相異なる領域は、前記距離測定センサーがピーク電圧を出力する距離を基準に区分されることを特徴とする請求項11に記載のマップビルディング方法。
【請求項13】
前記第1マップは、前記距離−電圧特性で比例領域の特性を用いて生成され、
前記第2マップは、前記距離−電圧特性で反比例領域の特性を用いて生成されることを特徴とする請求項11または12に記載のマップビルディング方法。
【請求項14】
前記第3マップを生成する段階は、
前記第1マップと前記第2マップとを合成する段階と、
前記第1マップと前記第2マップとの間の交差点を抽出する段階と、
隣接した前記交差点の間に定義される区間別に、前記第1マップの線及び前記第2マップの線のうちから直線を選択して、前記第3マップを生成する段階と、
を含むことを特徴とする請求項11乃至13の何れかに記載のマップビルディング方法。
【請求項15】
前記第3マップを生成する段階は、
前記第1マップと前記第2マップとを合成する段階と、
前記第1マップと前記第2マップとの間の交差点を抽出する段階と、
隣接した前記交差点の間に定義される区間別に、前記第1マップの線及び前記第2マップの線のうちから何れか一つを選択して、少なくとも二つ以上の候補マップを生成する段階と、
前記候補マップのうちから何れか一つを選択する段階と、
を含むことを特徴とする請求項11乃至13の何れかに記載のマップビルディング方法。
【請求項16】
前記候補マップは、
前記区間別に、前記第1マップの線及び前記第2マップの線が交互に選択されて生成されることを特徴とする請求項15に記載のマップビルディング方法。
【請求項17】
前記候補マップのうちから前記交差点を基準に連続性を有する線がさらに多く形成される候補マップが選択されることを特徴とする請求項15に記載のマップビルディング方法。
【請求項18】
前記候補マップのうちから前記交差点を基準に直線がさらに多く形成される候補マップが選択されることを特徴とする請求項15に記載のマップビルディング方法。
【請求項19】
前記候補マップのうちから前記交差点を含む直線がさらに多い候補マップが選択されることを特徴とする請求項15に記載のマップビルディング方法。
【請求項20】
前記マップは、グリッドマップであることを特徴とする請求項11乃至19の何れかに記載のマップビルディング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−197997(P2010−197997A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281923(P2009−281923)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】