説明

マトリックスボードの製造方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マトリックスボードの製造方法に関する。
【0002】複数の平行するX方向パターンを形成した基板樹脂層と複数の平行するY方向パターンを形成した基板樹脂層とを交互に積層し、X方向パターンとY方向パターンとが基板樹脂層を介して交差する各交差点に交差点孔を穿孔し、選択した交差点孔に接続ピンを挿入してX方向パターンとY方向パターンとを接続させるマトリックスボードが使用されている。
【0003】このようなマトリックスボードの一例として電話交換機システムの主配線盤に使用されるマトリックスボードを図5に示す。図5の図(A)は正面図であり、図(B)は図(A)のA−A矢視断面図である。
【0004】図5において符号の10は、多数の平行するY方向パターン2を形成した下層の基板樹脂層4と、その上の多数の平行するX方向パターン1を形成した中間の基板樹脂層4と、その上に多数の平行するY方向パターン2(点線に示す)を形成した中間の基板樹脂層4と、さらにその上に多数の平行するX方向パターン1(実線に示す)を形成した基板樹脂層4と、を順に重ね最上層にパターンを形成していない基板樹脂層4を積層し、4つの内導体層からなるマトリックスボードであり、それぞれのX方向パターン1とY方向パターン2とが正面視交差する各交差点に交差点孔3を穿孔し、交差点孔3の内周壁面にX方向パターン1とY方向パターン2とのランドを形成裸出させている。マトリックスボード10の周縁部には装置などに取り付け固定させるための固定ねじ用孔(図示省略)も形成されている。
【0005】これら内導体であるX方向パターン1とY方向パターン2とは、厚さが150μm程度の銅箔がエッチングによって形成されたもので、パターンの幅は1.3mm程度であり、交差点孔3の内径は約1.1mmである。
【0006】また、交差点孔3の形成領域の一方の外側(図の左側)にコネクタ用スルーホール7を配列し、それぞれのコネクタ用スルーホール7と対応するX方向パターン1とをパターンで接続させ、交差点孔3の形成領域の他方の外側(図の下側)にコネクタ用スルーホール8を配列し、それぞれのコネクタ用スルーホール8と対応するY方向パターン2とをパターンで接続させてある。
【0007】このマトリックスボード10のコネクタ用スルーホール7にコネクタ6−1のコネクタピン6Aを挿入してX方向パターン1をコネクタ6−1に接続させ、コネクタ用スルーホール8にコネクタ6−2のコネクタピン6Aを挿入してY方向パターン2をコネクタ6−2に接続させる。したがって、交差点孔3を選択して接続ピン15を挿入することにより、X方向パターン1のランドとY方向パターン2のランドとが接続ピン15を介して接続される。このようにして、接続を必要とするX方向パターン1とY方向パターン2とを自在にさせることができ、コネクタ6−1と6−2とのケーブルを介して所定の回路間接続が行なえる。
【0008】上記、交差点孔および接続ピンについて、図6、図7の断面図を参照して詳述すると、交差点孔3の内周壁面に裸出されたX方向パターン1のリング状のランドにめっきによってリング状接点5−1が形成され、Y方向パターン2のリング状のランドにもめっきによってリング状接点5−2が形成される。
【0009】これらリング状接点5−1,5−2は、銅めっき層5Aの表面にニッケルめっき層5Bを施し、さらにその表面に金めっきなどを施して形成させる。
【0010】接続ピン15は、頭付きの金属材のピン部の外周面に上下2段の絶縁リング15Kを嵌着させ、上側の絶縁リング15Kの外周面にスリット付きの弾性を有するリング状導体15Aを、下側の絶縁リング15Kの外周面に同様のリング状導体15Bを、それぞれ嵌着させたものである。リング状導体15A,15Bは、いずれもが、たとえば銅系金属に金めっきなどが施されている。
【0011】リング状導体15A,15Bの外径寸法は、リング状接点5−1,5−2の内径寸法よりも僅かに大径に設定されており、接続ピン15を交差点孔3に押し込み挿入させることによって、リング状導体15A,15Bはその弾性力によって対応するリング状接点5−1,5−2に圧接状態に接続される。
【0012】リング状導体15A,15Bそれぞれの長さは、基板樹脂層4の厚さよりも大きく設定されていることにより、接続ピン15を交差点孔3に挿入させると、上側のX方向パターン1とY方向パターン2とは、リング状接点5−1、リング状導体15A,リング状接点5−2を介して接続され、下側のX方向パターン1とY方向パターン2とは、リング状接点5−1,リング状導体15B,リング状接点5−2を介して接続される。
【0013】接続ピン15を任意な交差点孔3に挿入してX方向パターン1とY方向パターン2とを電気的に接続させることの信頼度は、リング状接点5−1,5−2の内径寸法の寸法誤差のばらつきの程度と、リング状接点5−1,5−2の層厚さ寸法のばらつきの程度と、によってほぼ決まる。
【0014】マトリックスボードは上述のものには限定されるものではなく、コネクタ用スルーホール7,8を設けることなく、X方向パターン1外側の行の交差点孔3と、Y方向パターン2外側の列の交差点孔3と、に直接外部接続の端子を挿入して接続させるものもある。
【0015】接続ピン15についても、リング状導体15A,15Bを2つ設けることなく、単に1つのリング状導体を設けて、上側のX方向パターンとY方向パターン2と、下側のX方向パターン1とY方向パターン2と、をそれぞれ異なる交差点孔3で接続させるようにするものもある。
【0016】
【従来の技術】従来のマトリックスボードにおけるリング状接点の形成方法について図8を参照して説明すると、マトリックスボード10は図5で説明と同様なことから、ここでの構成の詳細説明は省略することとし、図8R>8においてマトリックスボード10を構成するそれぞれの基板樹脂層を、マトリックスボード10の外形よりも大きな角形として外側に周縁外側領域20を設けたものとする。
【0017】この周縁外側領域20の一方の隅に一対のめっき用スルーホール25A,25Bを設け、他方の隅に一対のめっき用スルーホール26A,26Bを設け、X方向パターン1の図示上端部第1行目のコネクタ用スルーホール7とめっき用スルーホール25Aとを引き出しパターン21Aで接続し、図示下端部の最終行目のコネクタ用スルーホール7とめっき用スルーホール25Bとを引き出しパターン21Bで接続されている。
【0018】中間部の他のすべてのコネクタ用スルーホール7からも周縁外側領域20内に至る引き出しパターン21を形成し、図示右端の各行の終端部の交差点孔3のランドからも周縁外側領域20内に至る引き出しパターン21をそれぞれに形成されている。
【0019】同一層すべてのX方向パターン1を交差点孔3のランドを含んで直列に接続されるよう、周縁外側領域20において引き出しパターン21の端部を短絡パターン23で接続されている。
【0020】Y方向パターン2についても、図示右端部第1列目のコネクタ用スルーホール8とめっき用スルーホール26Aとを引き出しパターン22Aで接続し、図示左端部の最終列目のコネクタ用スルーホール8とめっき用スルーホール26Bとを引き出しパターン22Bで接続されている。
【0021】中間部の他のすべてのコネクタ用スルーホール8からも周縁外側領域20内に至る引き出しパターン22を形成し、図示上端の各列の終端部の交差点孔3のランドからも周縁外側領域20内に至る引き出しパターン22をそれぞれに形成されている。
【0022】同一層すべてのY方向パターン2も交差点孔3のランドを含んで直列に接続されるよう、周縁外側領域20において引き出しパターン22の端部を短絡パターン24で接続されている。
【0023】このように周縁外側領域20をそなえたマトリックスボード10の、めっき用スルーホール25A,25Bを一対のめっき用電極とし、他のめっき用スルーホール26A,26Bもまた一対のめっき用電極としてめっき槽に浸漬し、交差点孔3の内周壁面に形成裸出されているX方向パターン1のランドとY方向パターン2のランドとに銅をめっきして、図6および図7で説明したように銅めっき層5Aを形成し、その後ニッケルめっき槽に移してニッケルめっき層5Bを形成させ、ついで、ニッケルめっき層5Bの表面に金めっき層を形成して交差点孔3の内周壁面に形成裸出されたX方向パターン1のランドにリング状接点5−1と、Y方向パターン2のランドにリング状接点5−2を形成し、その後、周縁外側領域20を切断除去して図5で説明と同様のマトリックスボード10となる。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】従来のリング状接点5−1,5−2の形成方法によると、その厚さが全体として均一ではなくばらつきが大きい。その理由は、X方向パターン1とY方向パターン2は断面積が小さいので電気抵抗が大きい。そのために、めっき液中を流れるめっき電流に対して、めっき用スルーホール(カソード)25A,B、26A,Bから遠い位置の交差点孔3の内周壁面に形成裸出されたランドを流れる電流が、めっき用スルーホールに近い位置の交差点孔内のランドを流れる電流よりも相対的に少ない。そのために、めっき用スルーホールに近い位置の交差点孔内のリング状接点のめっき厚が厚く、遠い位置のリング状接点のめっき厚が相対的に薄く形成されることとなる。
【0025】このようなことから、図6で説明の接続ピン15を挿入するに際して、めっき用スルーホールに近い位置の交差点孔3には挿入させるのに大きな挿入力を要する以外にも、接続ピン15が折れ曲がるおそれがある。逆に遠い位置の交差点孔3に挿入させると接触不良による不具合が生じるといった問題点がある。
【0026】本発明は、上記のような問題点にかんがみて、交差点孔内に形成されるリング状接点の層厚さのばらつきを少なくすることにより、接続ピンの接合の信頼性の高いマトリックスボードの製造方法を提供することを目的とするものである。また、その製造過程においてX,Y方向パターンの導通試験を一括して容易になし得ることも含まれる。
【0027】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成させる本発明構成の第1の手段によると、複数の平行するX方向パターンを形成した基板樹脂層と複数の平行するY方向パターンを形成した基板樹脂層とを交互に所定数積層しX方向パターンとY方向パターンとが基板樹脂層を介して交差する箇所にそれぞれ交差点孔を穿孔してなるマトリックスボードの製造方法において、マトリックスボードを構成する各基板樹脂層を交差点孔形成領域の外側に枠形の周縁外側領域を有する基板樹脂層とし、X方向パターンそれぞれの端部にパターン接続されてなるめっき用スルーホール形成用パターンならびにY方向パターンそれぞれの端部にパターン形成されてなるめっき用スルーホール形成用パターンをそれぞれの周縁外側領域に延伸させて設けた基板樹脂層を交互に積層して交差点孔およびめっき用スルーホール形成用パターンにめっき用スルーホールを穿孔し、周縁外側領域においてそれぞれの複数のめっき用スルーホールを連結接続させためっき用電極によりめっき用スルーホールをカソードとしてそれぞれの交差点孔の内周壁面に形成されたX方向パターンのランドとY方向パターンのランドとにそれぞれ電気めっきによるリング状接点を形成させ、枠形の周縁外側領域を除去して所定形状のマトリックスボードを形成させる製造方法である。
【0028】本発明構成の第2の手段によると、複数の平行するX方向パターンの一方の端部から延びる延伸部にコネクタ用スルーホール形成用パターンを形成した基板樹脂層と複数の平行するY方向パターンの一方の端部から延びる延伸部にコネクタ用スルーホール形成用パターンを形成した基板樹脂層とを交互に所定数積層しX方向パターンとY方向パターンとが基板樹脂層を介して交差する箇所にそれぞれ交差点孔およびコネクタ用スルーホール形成用パターンにコネクタ用スルーホールを穿孔してなるマトリックスボードの製造方法において、マトリックスボードを構成する各基板樹脂層を交差点孔とコネクタ用スルーホールの形成領域の外側に枠形の周縁外側領域を有する基板樹脂層とし、X方向パターンとX方向パターンに接続されたコネクタ用スルーホール形成用パターンとに接続されてなるめっき用スルーホール形成用パターンならびにY方向パターンとY方向パターンに接続されたコネクタ用スルーホール形成用パターンとに接続されてなるめっき用スルーホール形成用パターンをそれぞれの周縁外側領域に延伸させて設けた基板樹脂層を交互に積層して交差点孔およびコネクタ用スルーホールならびにめっき用スルーホールを穿孔し、周縁外側領域においてそれぞれの複数のめっき用スルーホールを連結接続させためっき用電極によりめっき用スルーホールをカソードとしてそれぞれの交差点孔およびコネクタ用スルーホールの内周壁面に形成されたX方向パターンのランドとY方向パターンのランドならびにコネクタ用スルーホールのランドとにそれぞれ電気めっきによるリング状接点を形成させ、枠形の周縁外側領域を除去して所定形状のマトリックスボードを形成させる製造方法である。
【0029】本発明構成の第3の手段によると、複数の平行するX方向パターンの一方の端部から延びる延伸部にコネクタ用スルーホール形成用パターンを形成した基板樹脂層と複数の平行するY方向パターンの一方の端部から延びる延伸部にコネクタ用スルーホール形成用パターンを形成した基板樹脂層とを交互に所定数積層しX方向パターンとY方向パターンとが基板樹脂層を介して交差する箇所にそれぞれ交差点およびコネクタ用スルーホール形成用パターンにコネクタ用スルーホールを穿孔してなるマトリックスボードの製造方法において、マトリックスボードを構成する各基板樹脂層を交差点孔とコネクタ用スルーホールの形成領域の外側に枠形の内側の内周縁外側領域と外側の外周縁外側領域とからなる周縁外側領域を有する基板樹脂層とし、X方向パターンとX方向パターンに接続されたコネクタ用スルーホール形成用パターンに接続されてなるめっき用スルーホール形成用パターンならびにY方向パターンとY方向パターンに接続されたコネクタ用スルーホール形成用パターンとに接続されてなるめっき用スルーホール形成用パターンをそれぞれの外周縁外側領域に延伸させて設けるとともにそれぞれの層のX方向パターンとY方向パターンとをそれぞれに直列接続させるパターンと直列に接続されたパターンの始端部と終端部との両端部の試験用スルーホール形成用パターンとを内周縁外側領域に形成させた基板樹脂層を交互に積層して交差点孔およびコネクタ用スルーホールとめっき用スルーホールならびに試験用スルーホールを穿孔し、外周縁外側領域においてそれぞれの複数のめっき用スルーホールを連結接続させためっき用電極によりめっき用スルーホールをカソードとしてそれぞれの交差点孔およびコネクタ用スルーホールの内周壁面に形成されたX方向パターンのランドとY方向パターンのランドおよびコネクタ用スルーホールのランドとにそれぞれ電気めっきによるリング状接点を形成させ、周縁外側領域を除去して試験用スルーホールによって各層のX方向パターンとY方向パターンとの電気的導通試験を行ない、その後内周縁外側領域を除去して所定形状のマトリックスボードを形成させるマトリックスボードの製造方法である。
【0030】本発明構成の第4の手段によると、複数のX方向パターンの一方の端部から延びる延伸部にコネクタ用スルーホール形成用パターンを形成した基板樹脂層と複数の平行するY方向パターンの一方の端部から延びる延伸部にコネクタ用スルーホール形成用パターンを形成した基板樹脂層とを交互に所定数積層しX方向パターンとY方向パターンとが基板樹脂層を介して交差する箇所にそれぞれ交差点孔およびコネクタ用スルーホール形成用パターンにコネクタ用スルーホールを穿孔してなるマトリックスボードの製造方法において、同一の基板樹脂層上の複数のX方向パターンとY方向パターンとをそれぞれ少なくとも2群に分けるとともにマトリックスボードを構成する各基板樹脂層を交差点孔とコネクタ用スルーホールの形成領域の外側に枠形の周縁外側領域を有する基板樹脂層とし、X方向パターンとX方向パターンに接続されたコネクタ用スルーホール形成用パターンとに接続されてなる引き出しパターンならびにY方向パターンとY方向パターンに接続されたコネクタ用スルーホール形成用パターンとに接続されてなる引き出しパターンとを周縁外側領域に延在させるとともに各群の始端部と終端部との両端部にめっき用スルーホール形成用パターンと各群の中間部分の引き出しパターンを接続させる短絡パターンとをそれぞれの周縁外側領域に設けた基板樹脂層を交互に積層して交差点孔およびコネクタ用スルーホールならびにめっき用スルーホールを穿孔し、周縁外側領域においてそれぞれの複数のめっき用スルーホールを連結接続させためっき用電極によりめっき用スルーホールをカソードとしてそれぞれの交差点孔およびコネクタ用スルーホールの内周壁面に形成裸出されたX方向パターンのランドとY方向パターンのランドならびにコネクタ用スルーホールのランドとにそれぞれ電気めっきによるリング状接点を形成させ、枠形の周縁外側領域を除去して所定形状のマトリックスボードを形成させる製造方法である。
【0031】
【作用】上記、第1の手段によれば、複数の平行するX方向パターンとY方向パターンのパターン単位それぞれの端部に接続されためっき用スルーホールを介して、X方向パターンとY方向パターンとが交差する箇所の交差点孔の内周壁面に形成されたX方向パターンとY方向パターンとのリング状のランドに対して、周縁外側領域においてそれぞれの複数のめっき用スルーホールを連結接続させためっき用電極によりめっき用スルーホールをカソードとして電気めっきをすることによりカソードとランド間の距離が従来に比して最短距離となることから、それぞれのランドに対するめっき電流密度が均等化される結果、ランドに形成されるリング状接点のめっき厚の層厚さが均一化されてばらつきが少なくなり、接続ピンに対する接続の信頼性が向上する。
【0032】上記、第2の手段によれば、複数の平行するX方向パターンとY方向パターンそれぞれの端部に設けられたコネクタ用スルーホール形成用パターンを有するパターン単位それぞれの端部に接続されためっき用スルーホールを介して、X方向パターンとY方向パターンとが交差する箇所の交差点孔の内周壁面に形成されたX方向パターンとY方向パターンのリング状のランドならびにコネクタ用スルーホール内周壁面のリング状のランドに対して、周縁外側領域においてそれぞれの複数のめっき用スルーホールを連結接続させためっき用電極によりめっき用スルーホールをカソードとして電気めっきをすることによりカソードと各ランド間の距離が従来に比して最短距離となることから、それぞれのランドに対するめっき電流密度が均等化される結果、ランドに形成されるリング状接点のめっき厚の層厚さが均一化されてばらつきが少なくなり、接続ピンに対する接続の信頼性が向上する。
【0033】上記、第3の手段によれば、複数の平行するX方向パターンとY方向パターンそれぞれの端部に設けられたコネクタ用スルーホール形成用パターンを有するパターン単位それぞれの端部に接続されためっき用スルーホールを介して、X方向パターンとY方向パターンとが交差する箇所の交差点孔の内周壁面に形成されたX方向パターンとY方向パターンのリング状のランドならびにコネクタ用スルーホール内周壁面のリング状のランドに対して、外周縁外側領域においてそれぞれの複数のめっき用スルーホールを連結接続させためっき用電極によりめっき用スルーホールをカソードとして電気めっきをすることによりカソードと各ランド間の距離が従来に比して最短距離となることから、それぞれのランドに対するめっき電流密度が均等化される結果、ランドに形成されるリング状接点のめっき厚の層厚さが均一化されてばらつきが少なくなり、接続ピンに対する接続の信頼性が向上する。めっき完了後に各層ごとのX方向パターンとY方向パターンとが周囲で直列接続された両端部の導通試験用スルーホールを接続端子としてそれぞれの導通試験が行なえるといった効率的な製造方法でもある。
【0034】上記、第4の手段によれば、複数の平行するX方向パターンとY方向パターンそれぞれの端部に設けられたコネクタ用スルーホール形成用パターンを有するパターンをそれぞれに複数の群として群単位に周囲で直列接続された両端部のめっき用スルーホールを介して、X方向パターンとY方向パターンとが交差する交差点内の内周壁面に形成されたX方向パターンとY方向パターンのリング状のランドならびにコネクタ用スルーホール内周壁面のリング状ランドに対して、周縁外側領域においてそれぞれの複数のめっき用スルーホールを連結接続させためっき用電極によりめっき用スルーホールをカソードとして電気めっきをすることにより、比較的に小形なマトリックスボードに適用してカソードと各ランド間の距離が従来に比して短距離となることから、それぞれのランドに対するめっき電流密度が均等化される結果、ランドに形成されるリング状接点のめっき厚の層厚さが均一化されてばらつきが少なくなり、接続ピンに対する接続の信頼性が向上する。
【0035】
【実施例】以下、図を参照しながら本発明を具体的詳細に説明する。なお、全図を通じて同一符号は同一対象部分を示す。
【0036】図1は、本発明製造方法第1の一実施例を説明する図であり、図(A)は正面図、図(B)は図(A)の二点鎖線に示すA−A矢視断面図、である。
【0037】図1において符号の10は、多数の平行するY方向パターン2を形成した下層の基板樹脂層4と、その上の多数の平行するX方向パターン1を形成した中間の基板樹脂層4と、その上に多数のY方向パターン2(図(A)に点線で示す)を形成した中間の基板樹脂層4と、さらにその上に多数の平行するX方向パターン1(図(A)に実線で示す)を形成した基板樹脂層4と、を順に重ね最上層にパターンを形成していない基板樹脂層4を積層し、4つの内導体層からなるマトリックスボードであり、それぞれのX方向パターン1とY方向パターン2とが正面視交差する各交差点に交差点孔3を穿孔し、交差点孔3の内周壁面にX方向パターン1とY方向パターン2とのランドを形成裸出させている。マトリックスボード10の周縁部には装置などに取り付け固定させるための固定ねじ用孔(図示省略)も形成されている。
【0038】これらX方向パターン1とY方向パターン2とは、厚さが150μm程度の銅箔がエッチングによって形成されたもので、パターンの幅は1.3mm程度である。基板樹脂層4の板厚さは約1mmである。
【0039】このマトリックスボード10を製造するには、それぞれの基板樹脂層を交差点孔3を配列形成させる領域の外側に枠形の周縁外側領域20を設けた大きな角形の基板樹脂層4とする。
【0040】X方向パターン1が形成される基板樹脂層4には、それぞれのX方向パターン1の両端部を周縁外側領域20まで延伸させ、周縁外側領域20内においてそれぞれの延伸部の一方の端部にはめっき用スルーホール33A形成用パターンを、他方の端部にはめっき用スルーホール33B形成用パターンを、それぞれに設ける。
【0041】Y方向パターン2が形成される基板樹脂層4には、それぞれのY方向パターン2の両端部を周縁外側領域20まで延伸させ、周縁外側領域20内においてそれぞれの延伸部の一方の端部にはめっき用スルーホール34A形成用パターンを、他方の端部にはめっき用スルーホール34B形成用パターンを、それぞれに設ける。
【0042】上記、Y方向パターン2を形成した基板樹脂層4を下層として、その上にX方向パターン1を形成した基板樹脂層4を中間層として重ね、その上にY方向パターン2を形成した基板樹脂層4を中間層として重ね、さらにその上にX方向パターン1を形成した基板樹脂層4を順に重ね、最上層としてパターンを形成していない基板樹脂層4を重ねて積層一体化させるとともに、積層される基板樹脂層4の表裏両面に設けられた銅箔により、めっき用スルーホール33Aを連結させる短冊形のめっき用電極35A、めっき用スルーホール33Bを連結させる同様のめっき用電極35B、めっき用スルーホール34Aを連結させる同様のめっき用電極36A、めっき用スルーホール34Bを連結させる同様のめっき用電極36B、を銅箔をエッチング形成して設ける。
【0043】それぞれのめっき用スルーホールのパターンを貫通させるスルーホール下孔を穿孔し、既知な一般的手法によってスルーホール下孔の内周壁面に導体層を形成しそれぞれのパターンのランドとめっき用電極とを接続させためっき用スルーホールとする。
【0044】ついで、それぞれのX方向パターン1とY方向パターン2とが基板樹脂層4を介して交差しているそれぞれの交差点に、直径が1.1mmの交差点孔3を穿孔しそれぞれの交差点孔3の内周壁面にX方向パターン1およびY方向パターン2のランドを形成裸出させる。
【0045】このように周縁外側領域20をそなえたマトリックスボード10の、めっき用電極35A,B、36A,Bをカソード、すなわち、めっき用スルーホール33A,33B,34A,34Bをカソードとして銅めっき槽に浸漬し、銅を電気めっきによって交差点孔3内のX方向パターン1のランドとY方向パターン2のランドとに、図7で説明のように銅の銅めっき層5Aを形成させる。
【0046】つぎに、ニッケルめっき槽に浸漬させて同様にニッケルによるニッケルめっき層を形成し、さらに金めっきを施してリング状接点5−1,5−2を形成完成させ、周縁外側領域20を切断除去して所定の外形形状をそなえたマトリックスボード10とする。
【0047】本発明によれば、それぞれのX方向パターン1、Y方向パターン2の両側にめっき用電極によってそれぞれが連結接続されためっき用スルーホール33A,B、34A,Bをそなえて、それぞれをカソードとしたことによりめっき液ならびにめっき電極に対する電気抵抗が大幅に減少されるとともに均等化される結果、従来のリング状接点5−1,5−2におけるめっき層の厚さが0.1mm〜0.19mmと、大幅なばらつきの範囲であったが、本発明方法によると、めっき層の厚さは0.14mm〜0.16mmのばらつきの範囲に収まり大幅な改善がみられた。
【0048】図2は、本発明製造方法第2の一実施例を説明する正面図である。断面図は省略したが、その構成は図1における図(B)と同様である。図2において、符号の10は、多数の平行するY方向パターン2を形成した下層の基板樹脂層4と、その上の多数の平行するX方向パターン1を形成した中間の基板樹脂層4と、その上に多数の平行するY方向パターン2(図に点線で示す)を形成した中間の基板樹脂層4と、さらにその上に多数の平行するX方向パターン1(図に実線で示す)を形成した基板樹脂層4と、を順に重ね最上層にパターンを形成していない基板樹脂層4を積層し、4つの内導体層からなるマトリックスボードであり、それぞれのX方向パターン1とY方向パターン2とが正面視交差する各交差点に交差点孔3を穿孔し、交差点孔3の内周壁面にX方向パターン1とY方向パターン2とのランドを形成裸出させている。マトリックスボード10の周縁部には装置などに取り付け固定させるための固定ねじ用孔(図示省略)も形成されている。
【0049】本実施例によれば、さらに、それぞれのX方向パターン1の一方の端部が延伸され、延伸部の端部にコネクタ用スルーホール7が、それぞれのY方向パターン2の一方の端部が延伸され、延伸部の端部にコネクタ用スルーホール8が、それぞれマトリックスボード10内に形成されたものである。
【0050】このマトリックスボード10は、4つの導体層からなることから、それぞれのX方向の行の一方の端部(図示左側)に、上層のX方向パターン1に接続されたコネクタ用スルーホール7と、下層のX方向パターン1に接続されたコネクタ用スルーホール7と、をならべて2列に形成させている。
【0051】また、それぞれのY方向の列の一方の端部(図示下側)に、上層のY方向パターン2に接続されたコネクタ用スルーホール8と、下層のY方向パターン2に接続されたコネクタ用スルーホール8と、をならべて2行に形成させている。
【0052】上記、X方向パターン1とY方向パターン2とは、厚さが150μm程度の銅箔がエッチングによって形成されたもので、パターンの幅は1.3mm程度である。基板樹脂層4の板厚さは約1mmである。
【0053】このマトリックスボード10を製造するには、それぞれの基板樹脂層を交差点孔3およびコネクタ用スルーホール7,8を配列形成させる領域の外側に枠形の周縁外側領域20を設けた大きな角形の基板樹脂層4とするとともに、さらに、この周縁外側領域20を内周縁外側領域20Aと外周縁外側領域20Bとに区画させる。
【0054】X方向パターン1が形成される基板樹脂層4には、それぞれのコネクタ用スルーホール7から外周縁外側領域20B内に延長される引き出しパターン31を形成して端部にめっき用スルーホール33A形成用パターンを、対応するそれぞれのX方向パターン1の他方の端部からも外周縁外側領域20B内に延長される引き出しパターン31を形成して端部にめっき用スルーホール33B形成用パターンを、それぞれに設ける。
【0055】上記、X方向パターン1が形成される基板樹脂層4には、内周縁外側領域20Aの一方の隅に上層のX方向パターン1に接続されるスルーホールと下層のX方向パターン1に接続されるスルーホールとの2つの試験用スルーホール41A形成用パターンを、他方の隅に上層のX方向パターン1に接続されるスルーホールと下層のX方向パターン1に接続されるスルーホールとの2つの試験用スルーホール41B形成用パターンを、それぞれに設ける。
【0056】また、各層それぞれのX方向パターン1を内周縁外側領域20A内において、引き出しパターン31間を直列に接続する短絡パターン43を形成し、X方向パターン1の始端を一方の試験用スルーホール41A形成用パターンに、終端を他方の試験用スルーホール41B形成用パターンに、それぞれ接続させる。
【0057】Y方向パターン2が形成される基板樹脂層4には、それぞれのコネクタ用スルーホール8から外周縁外側領域20B内に延長される引き出しパターン32を形成して端部にめっき用スルーホール34A形成用パターンを、対応するそれぞれのY方向パターン2の他方の端部からも外周縁外側領域20B内に延長される引き出しパターン32を形成して端部にめっき用スルーホール34B形成用パターンを、それぞれに設ける。
【0058】上記、Y方向パターン2が形成される基板樹脂層4には、内周縁外側領域20Aの一方の隅に上層のY方向パターン2に接続されるスルーホールと下層のY方向パターン2に接続されるスルーホールとの2つの試験用スルーホール42A形成用パターンを、他方の隅に上層のY方向パターン2に接続されるスルーホールと下層のY方向パターン2に接続されるスルーホールとの2つの試験用スルーホール42B形成用パターンを、それぞれに設ける。
【0059】また、各層それぞれのY方向パターン2を内周縁外側領域20A内において、引き出しパターン32間を直列に接続する短絡パターン44を形成し、Y方向パターン2の始端を一方の試験用スルーホール42A形成用パターンに、終端を他方の試験用スルーホール42B形成用パターンに、それぞれ接続させる。
【0060】上記、Y方向パターン2を形成した基板樹脂層4を下層として、その上にX方向パターン1を形成した基板樹脂層4を中間層として重ね、その上にY方向パターン2を形成した基板樹脂層4を中間層として重ね、さらにその上にX方向パターン1を形成した基板樹脂層4を順に重ね、最上層としてパターンを形成していない基板樹脂層4を重ねて積層一体化させるとともに、積層される基板樹脂層4の表裏両面に設けられた銅箔により、めっき用スルーホール33Aを連結させる短冊形のめっき用電極35A、めっき用スルーホール33Bを連結させる同様のめっき用電極35B、めっき用スルーホール34Aを連結させる同様のめっき用電極36A、めっき用スルーホール34Bを連結させる同様のめっき用電極36B、を銅箔をエッチング形成して設ける。
【0061】それぞれのめっき用スルーホールのパターンを貫通させるスルーホール下孔を穿孔し、既知な一般的手法によってスルーホール下孔の内周壁面に導体層を形成しそれぞれのパターンのランドとめっき用電極とを接続させためっき用スルーホールとする。
【0062】それぞれの試験用スルーホールのパターンについても下孔を穿孔し、下孔の内周壁面に導体層を形成して試験用スルーホールとする。
【0063】それぞれのX方向パターン1とY方向パターン2とが基板樹脂層4を介して交差しているそれぞれの交差点に、交差点孔3を穿孔しそれぞれの交差点孔3の内周壁面にX方向パターン1およびY方向パターン2のランドを形成裸出させる。
【0064】このように周縁外側領域20をそなえたマトリックスボード10の、めっき用電極35A,B、36A,Bをカソード、すなわち、めっき用スルーホール33A,33B,34A,34Bをカソードとして銅めっき槽に浸漬し、銅を電気めっきによって交差点孔3内のX方向パターン1のランドとY方向パターン2のランドとに、図7で説明のように銅めっき層5Aを形成させる。つぎに、ニッケルめっき槽に浸漬させて同様にニッケルによるニッケルめっき層を形成し、さらに金めっきを施してリング状接点5−1,5−2を形成させる。
【0065】上記、図2に示される状態に完成されたマトリックスボードを、図3に示されるように外周縁外側領域20Bを切断除去し、内周縁外側領域20A内の試験用スルーホール41A,41B,42A,42Bに、導通試験装置に接続された接続ピンをそれぞれに挿入し、同一基板樹脂層4上に配列形成されているX方向パターン1ならびにY方向パターン2の電気的な導通試験を一括して行うことができる。導通試験後に、内周縁外側領域20Aを切断除去して所定の外形形状をそなえたマトリックスボード10とする。
【0066】本発明によれば、それぞれのX方向パターン1、Y方向パターン2の両側にめっき用電極によってそれぞれが連結接続されためっき用スルーホール33A,33B,34A,34Bをそなえて、それぞれをカソードしたことによりめっき液に対する電気抵抗が大幅に減少される結果、前実施例と同様にリング状接点5−1,5−2に対する厚さのばらつきが少なくなり大幅な改善が得られる以外にも、完成前の各パターンの導通試験も一括して行なえるといった格別な作用、効果を奏することができる。
【0067】図4は、本発明製造方法第3の一実施例を説明する正面図である。断面図は省略したが、その構成は図1における図(B)と同様であるが、本実施例は交差点孔数の少ない比較的小形なマトリックスボード10に適用するに好適な方法である。
【0068】図4において、符号の10は、複数の平行するY方向パターン2を形成した下層の基板樹脂層4と、その上の複数の平行するX方向パターン1を形成した中間の基板樹脂層4と、その上に複数の平行するY方向パターン2(図に点線で示す)を形成した中間の基板樹脂層4と、さらにその上に複数の平行するX方向パターン1(図に実線で示す)を形成した基板樹脂層4と、を順に重ね最上層にパターンを形成していない基板樹脂層4を積層し、4つの内導体層からなるマトリックスボードであり、それぞれのX方向パターン1とY方向パターン2とが正面視交差する各交差点に交差点孔3を穿孔し、交差点孔3の内周壁面にX方向パターン1とY方向パターン2とのランドを形成裸出させている。マトリックスボード10の周縁部には装置などに取り付け固定させるための固定ねじ用孔(図示省略)も形成されている。
【0069】本実施例によれば、さらに、それぞれのX方向パターン1の一方の端部が延伸され、延伸部の端部にコネクタ用スルーホール7が、それぞれのY方向パターン2の一方の端部が延伸され、延伸部の端部にコネクタ用スルーホール8が、それぞれマトリックスボード10内に形成されたものである。
【0070】このマトリックスボード10は、4つの導体層からなることから、それぞれのX方向の行の一方の端部(図示左側)に、上層のX方向パターン1に接続されたコネクタ用スルーホール7と、下層のX方向パターン1に接続されたコネクタ用スルーホール7と、をならべて2列に形成させている。
【0071】また、それぞれのY方向の列の一方の端部(図示下側)に、上層のY方向パターン2に接続されたコネクタ用スルーホール8と、下層のY方向パターン2に接続されたコネクタ用スルーホール8と、をならべて2列に形成させている。
【0072】このマトリックスボード10を製造するには、それぞれの基板樹脂層を交差点孔3およびコネクタ用スルーホール7,8を配列形成させる領域の外側に枠形の周縁外側領域20を設けた大きな角形の基板樹脂層4とするとともに、さらに、この周縁外側領域20を内周縁外側領域20Aと外周縁外側領域20Bとに区画させる。
【0073】基板樹脂層4上に配列させた複数のX方向パターン1を2群に分け、他の基板樹脂層4上に配列させた複数のY方向パターン2も2群に分け、それぞれのX方向パターン1の両端部を周縁外側領域20内に延伸させる引き出しパターンによって、X方向パターン1が配列された基板樹脂層4の内周縁外側領域20Aに形成してなる短絡パターン43Aを介して各群内それぞれのX方向パターン1を直列に接続させる。
【0074】このように直列に接続された群の、始端のコネクタ用スルーホール7形成用パターンから引き出しパターンを形成し、外周縁外側領域20B内にめっき用スルーホール33A形成用パターンを、終端のX方向パターン1の端部から引き出しパターンを形成し、同様に外周縁外側領域20B内にめっき用スルーホール33B形成用パターンを、それぞれ設ける。
【0075】Y方向パターン2についても、それぞれのY方向パターン2の両端部を周縁外側領域20内に延伸させる引き出しパターンによって、Y方向パターン2が配列された基板樹脂層4の内周縁外側領域20Aに形成してなる短絡パターン44Aを介して各群内それぞれのY方向パターン2を直列に接続させる。
【0076】このように直列に接続された群の、始端のコネクタ用スルーホール8形成用パターンから引き出しパターンを形成し、外周縁外側領域20B内にめっき用スルーホール34A形成用パターンを、終端のY方向パターン2の端部から引き出しパターンを形成し、同様に外周縁外側領域20B内にめっき用スルーホール34B形成用パターン、それぞれ設ける。
【0077】上記、Y方向パターン2を形成した基板樹脂層4を下層として、その上にX方向パターン1を形成した基板樹脂層4を中間層として重ね、その上にY方向パターン2を形成した基板樹脂層4を中間層として重ね、さらにその上にX方向パターン1を形成した基板樹脂層4を順に重ね、最上層としてパターンを形成していない基板樹脂層4を重ねて積層一体化させるとともに、積層される基板樹脂層4の表裏両面に設けられた銅箔により、めっき用スルーホール33Aを連結させる短冊形のめっき用電極35A、めっき用スルーホール33Bを連結させる同様のめっき用電極35B、めっき用スルーホール34Aを連結させる同様のめっき用電極36A、めっき用スルーホール34Bを連結させる同様のめっき用電極36B、を銅箔をエッチング形成して設ける。
【0078】それぞれのめっき用スルーホールのパターンを貫通させるスルーホール下孔を穿孔し、既知な一般的手法によってスルーホール下孔の内周壁面に導体層を形成しそれぞれのパターンのランドとめっき用電極とを接続させるめっき用スルーホールとする。
【0079】それぞれのX方向パターン1とY方向パターン2とが基板樹脂層4を介して交差しているそれぞれの交差点に、交差点孔3を穿孔しそれぞれの交差点孔3の内周壁面にX方向パターン1およびY方向パターン2のランドを形成裸出させる。
【0080】このように周縁外側領域20をそなえたマトリックスボード10の、めっき用電極35A,B、36A,Bをカソード、すなわち、めっき用スルーホール33A,33B,34A,34Bをカソードとして銅めっき槽に浸漬し、銅を電気めっきによって交差点孔3内のX方向パターン1のランドとY方向パターン2のランドとに、図7で説明のように銅めっき層5Aを形成させる。つぎに、ニッケルめっき槽に浸漬させて同様にニッケルによるニッケルめっき層を形成し、さらに金めっきを施してリング接点5−1,5−2を形成完成させ、周縁外側領域20を切断除去して所定の外形形状をそなえたマトリックスボード10とする。
【0081】本実施例によれば、各X方向パターン、Y方向パターンを複数の群とすることから比較的に小形なマトリックスボードに適用してリング接点のめっき厚さのばらつきを少なくすることが可能であり好適な結果が得られるものである。
【0082】上述のように、本発明の各実施例はいずれもが4つの内導体層からなるマトリックスボードについて述べたが、本発明方法による内導体層は4つに限定されるものではなく、たとえば2つの内導体層、6つの内導体層、など複数の内導体層のマトリックスボードに適用可能なことはいうまでもなく勿論のことである。
【0083】
【発明の効果】本発明製造方法によると、以上のような構成と作用を有することから以下のような効果を奏する。
【0084】すなわち、それぞれのX方向パターンおよびY方向パターンそれぞれの両端部、または、少数のX方向パターンおよびY方向パターンを群として直列に接続させたそれぞれの両端部に、めっき用スルーホールとしてのカソードを介して電気めっきをすることにより、カソードからの交差点孔の内周壁面に形成されたX方向パターンとY方向パターンの複数のリング状のランドに対しての電流密度差を少なくすることができる。したがって、マトリックスボードの交差点内内に形成されるリング状接点のめっき層の厚さのばらつきが少ないものとなるので、交差点孔内の挿入される接続ピンとリング状接点との接続の信頼性が高いものとなり、接続ピンが折れ曲がったり、接続不良となるようなこともなくなる。
【0085】コネクタを実装して接続させるマトリックスボードに適用して、電気めっきにより交差点孔のリング状接点を形成するに際して同時にコネクタ用スルーホールの内周壁面にもリング状接点が形成されるから、マトリックスボードの製造費用を低下させ得る。
【0086】完成後に切断除去されるべき内周縁外側領域に各X方向パターンとY方向パターンとを直列接続させる接続パターンと試験用スルーホールとを設けて、めっき後にそれぞれのX方向パターン,Y方向パターンの導通試験を行なえるようにしたことから製造の効率化ともなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明製造方法の第1の一実施例を説明する図である。
【図2】本発明製造方法の第2の一実施例を説明する図(その1)である。
【図3】本発明製造方法の第2の一実施例を説明する図(その2)である。
【図4】本発明製造方法の第3の一実施例を説明する図である。
【図5】マトリックスボードの図である。
【図6】マトリックスボードの要所を示す断面図である。
【図7】交差点孔の詳細図である。
【図8】従来方法を示す図である。
【符号の説明】
1 X方向パターン
2 Y方向パターン
4 基板樹脂層
3 交差点孔
5−1,5−2 リング状接点
5A 銅めっき層
5B ニッケルめっき層
6−1,6−2 コネクタ
6A コネクタピン
7,8 コネクタ用スルーホール
10 マトリックスボード
15 接続ピン
15A,15B リング状導体
15K 絶縁リング
20 周縁外側領域
20A 内周縁外側領域
20B 外周縁外側領域
21,22 引き出しパターン
21A,21B 引き出しパターン
22A,22B 引き出しパターン
23,24 短絡パターン
25A,25B めっき用スルーホール
26A,26B めっき用スルーホール
31,32 引き出しパターン
33A,33B めっき用スルーホール
34A,34B めっき用スルーホール
35A,35B めっき用電極
36A,36B めっき用電極
41A,41B 試験用スルーホール
42A,42B 試験用スルーホール
43,43A 短絡パターン
44,44A 短絡パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の平行するX方向パターンを形成した基板樹脂層と複数の平行するY方向パターンを形成した基板樹脂層とを交互に所定数積層しX方向パターンとY方向パターンとが基板樹脂層を介して交差する箇所にそれぞれ交差点孔を穿孔してなるマトリックスボードの製造方法において、上記マトリックスボードを構成する各基板樹脂層を交差点孔形成領域の外側に枠形の周縁外側領域を有する基板樹脂層とし、X方向パターンそれぞれの端部にパターン接続されてなるめっき用スルーホール形成用パターンならびにY方向パターンそれぞれの端部にパターン接続されてなるめっき用スルーホール形成用パターンをそれぞれの周縁外側領域に延伸させて設けた基板樹脂層を交互に積層して交差点孔およびめっき用スルーホール形成用パターンにめっき用スルーホールを穿孔し、周縁外側領域においてそれぞれの複数のめっき用スルーホールを連結接続させためっき用電極によりめっき用スルーホールをカソードとしてそれぞれの交差点孔の内周壁面に形成されたX方向パターンのランドとY方向パターンのランドとにそれぞれ電気めっきによるリング状接点を形成させ、上記枠形の周縁外側領域を除去して所定形状のマトリックスボードを形成させることを特徴とするマトリックスボードの製造方法。
【請求項2】 複数の平行するX方向パターンの一方の端部から延びる延伸部にコネクタ用スルーホール形成用パターンを形成した基板樹脂層と複数の平行するY方向パターンの一方の端部から延びる延伸部にコネクタ用スルーホール形成用パターンを形成した基板樹脂層とを交互に所定数積層しX方向パターンとY方向パターンとが基板樹脂層を介して交差する箇所にそれぞれ交差点孔およびコネクタ用スルーホール形成用パターンにコネクタ用スルーホールを穿孔してなるマトリックスボードの製造方法において、上記マトリックスボードを構成する各基板樹脂層を交差点孔とコネクタ用スルーホールの形成領域の外側に枠形の周縁外側領域を有する基板樹脂層とし、X方向パターンとX方向パターンに接続されたコネクタ用スルーホール形成用パターンとに接続されてなるめっき用スルーホール形成用パターンならびにY方向パターンとY方向パターンに接続されたコネクタ用スルーホール形成用パターンとに接続されてなるめっき用スルーホール形成用パターンをそれぞれの周縁外側領域に延伸させて設けた基板樹脂層を交互に積層して交差点孔およびコネクタ用スルーホールならびにめっき用スルーホールを穿孔し、周縁外側領域においてそれぞれの複数のめっき用スルーホールを連結接続させためっき用電極によりめっき用スルーホールをカソードとしてそれぞれの交差点孔およびコネクタ用スルーホールの内周壁面に形成されたX方向パターンのランドとY方向のランドならびにコネクタ用スルーホールのランドとにそれぞれ電気めっきによるリング状接点を形成させ、上記枠形の周縁外側領域を除去して所定形状のマトリックスボードを形成させることを特徴とするマトリックスボードの製造方法。
【請求項3】 複数の平行するX方向パターンの一方の端部から延びる延伸部にコネクタ用スルーホール形成用パターンを形成した基板樹脂層と複数の平行するY方向パターンの一方の端部から延びる延伸部にコネクタ用スルーホール形成用パターンを形成した基板樹脂層とを交互に所定数積層しX方向パターンとY方向パターンとが基板樹脂層を介して交差する箇所にそれぞれ交差点孔およびコネクタ用スルーホール形成用パターンにコネクタ用スルーホールを穿孔してなるマトリックスボードの製造方法において、上記マトリックスボードを構成する各基板樹脂層を交差点孔とコネクタ用スルーホールの形成領域の外側に枠形の内側の内周縁外側領域と外側の外周縁外側領域とからなる周縁外側領域を有する基板樹脂層とし、X方向パターンとX方向パターンに接続されたコネクタ用スルーホール形成用パターンとに接続されてなるめっき用スルーホール形成用パターンならびにY方向パターンとY方向パターンに接続されたコネクタ用スルーホール形成用パターンとに接続されてなるめっき用スルーホール形成用パターンをそれぞれの外周縁外側領域に延伸させて設けるとともにそれぞれの層のX方向パターンとY方向パターンとをそれぞれに直列接続させるパターンと直列に接続されたパターンの始端部と終端部との両端部の試験用スルーホール形成用パターンとを内周縁外側領域に形成させた基板樹脂層を交互に積層して交差点孔およびコネクタ用スルーホールとめっき用スルーホールならびに試験用スルーホールを穿孔し、外周縁外側領域においてそれぞれの複数のめっき用スルーホールを連結接続させためっき用電極によりめっき用スルーホールをカソードとしてそれぞれの交差点孔およびコネクタ用スルーホールの内周壁面に形成されたX方向パターンのランドとY方向パターンのランドおよびコネクタ用スルーホールのランドとにそれぞれ電気めっきによるリング状接点を形成させ、上記外周縁外側領域を除去し試験用スルーホールによって各層のX方向パターンとY方向パターンとの電気的導通試験を行ない、その後内周縁外側領域を除去して所定形状のマトリックスボードを形成させることを特徴とするマトリックスボードの製造方法。
【請求項4】 複数の平行するX方向パターンの一方の端部から延びる延伸部にコネクタ用スルーホール形成用パターンを形成した基板樹脂層と複数の平行するY方向パターンの一方の端部から延びる延伸部にコネクタ用スルーホール形成用パターンを形成した基板樹脂層とを交互に所定数積層しX方向パターンとY方向パターンとが基板樹脂層を介して交差する箇所にそれぞれ交差点孔およびコネクタ用スルーホール形成用パターンにコネクタ用スルーホールを穿孔してなるマトリックスボードの製造方法において、上記同一の基板樹脂層上の複数のX方向パターンとY方向パターンとをそれぞれ少なくとも2群に分けるとともにマトリックスボードを構成する各基板樹脂層を交差点孔とコネクタ用スルーホールの形成領域の外側に枠形の周縁外側領域を有する基板樹脂層とし、X方向パターンとX方向パターンに接続されたコネクタ用スルーホール形成用パターンとに接続されてなる引き出しパターンならびにY方向パターンとY方向パターンに接続されたコネクタ用スルーホール形成用パターンとに接続されてなる引き出しパターンとを周縁外側領域に延在させるとともに各群の始端部と終端部との両端部にめっき用スルーホール形成用パターンと各群の中間部分の引き出しパターンを接続させる短絡パターンとをそれぞれの周縁外側領域に設けた基板樹脂層を交互に積層して交差点孔およびコネクタ用スルーホールならびにめっき用スルーホールを穿孔し、周縁外側領域においてそれぞれの複数のめっき用スルーホールを連結接続させためっき用電極によりめっき用スルーホールをカソードとしてそれぞれの交差点孔およびコネクタ用スルーホールの内周壁面に形成されたX方向パターンのランドとY方向パターンのランドならびにコネクタ用スルーホールのランドとにそれぞれ電気めっきによるリング状接点を形成させ、上記枠形の周縁外側領域を除去して所定形状のマトリックスボードを形成させことを特徴とするマトリックスボードの製造方法。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図6】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【特許番号】特許第3298296号(P3298296)
【登録日】平成14年4月19日(2002.4.19)
【発行日】平成14年7月2日(2002.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−73666
【出願日】平成6年4月13日(1994.4.13)
【公開番号】特開平7−283537
【公開日】平成7年10月27日(1995.10.27)
【審査請求日】平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【参考文献】
【文献】特開 平5−60822(JP,A)
【文献】特開 平6−38250(JP,A)
【文献】特開 平2−246458(JP,A)
【文献】特開 平3−283599(JP,A)
【文献】特開 昭63−311789(JP,A)