説明

マメ類の増収栽培方法

【課題】マメ類の増収効果により優れた栽培方法を提供する。
【解決手段】炭素数14〜24の飽和1価アルコ−ル(A)と、界面活性剤(B)とを含有する組成物を、マメ科植物の第3葉展開時期から開花期前までの間に2回以上施用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイズ等のマメ類の増収栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
農作物の生長を促進し、単位面積当たりの収穫量を増やして増収をはかることは農業生産上重要な課題である。通常、植物の生長に不可欠な窒素、リン、カリウムの三大要素や微量金属元素等の栄養要素は、元肥や追肥に配合されて植物に供給されるが、一般に、肥料中の栄養要素の濃度を高めても農作物の生長量や収量の向上には限界があり、また多量の肥料の使用により土壌中の栄養要素量が過剰となりその吸収のバランスが悪くなり、植物の生長停滞等が発生し、目的の増収を達成できなかったり糖度(Brix.値)や鮮度(緑色度)等の品質が上がらない等の問題が生じる。このような状況から、種々の植物生長調節剤を併用することが行われている。
【0003】
植物生長調節剤として、例えばジベレリンやオーキシン、サイトカイニンに代表される植物生長調節剤は、発芽、発根、伸長、花成り、着果、着莢等生育、形態形成反応の調節のために用いられている。また、オリゴ糖を用いた葉面散布剤や糖、ミネラル、アミノ酸、海藻抽出物や微生物の発酵エキスを含んだ液状肥料を葉面散布したり、溶液施肥するような技術が知られている。また、特許文献1には、炭素数30のアルコールを植物成長促進剤として用いることが開示されている。また、特許文献2には炭素数12〜24の1価アルコールからなる植物活力剤が開示されている。更に、特許文献3には、炭素数12〜24の1価アルコール等の特定の化合物からなる農作物用増収剤が開示されている。
【0004】
特許文献1および3は農作物の増収に効果があるとされているが、農作物の種類に応じた最適条件については言及されていない。なかでも、マメ類についての最適条件には言及されていない。
【0005】
特許文献2では、植物成長促進剤および植物活力剤が開示されているが、農作物の最終的な増収については言及されていない。
【0006】
非特許文献1にも示されているように、代表的なマメ類であるダイズに関して、非遺伝子くみかえ品である国産ダイズの供給量の増大・供給量の安定が強く求められている。しかしながら、10aあたりの単収などの生産性は近年伸び悩んでいる。また、マメ類の世界レベルでの需要も年々増大してきており、マメ類の収量を更に高める技術を開発することは現在非常に重要といえる。
【特許文献1】特開昭55−40674号
【特許文献2】特開2000−198703号
【特許文献3】特開2002−265305号
【非特許文献1】平成17年度 関東大豆フォーラム 発表資料「国産ダイズ振興の施策について」(大西正晃)(平成18年2月22日配布パンフレット)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、農作物の中でも、特にマメ類の増収効果に関し、現状技術よりも優れた栽培方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、炭素数14〜24の飽和1価アルコ−ル(A)〔以下、(A)成分という〕と、界面活性剤(B)〔以下、(B)成分という〕とを含有する組成物を、マメ科植物の第3葉が出現し始める時期から開花期前までの間に2回以上施用するマメ類の増収栽培方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、安定的に顕著な増収効果が達成されるマメ類の増収栽培方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<(A)成分>
本発明では、マメ類の増収効果に優れることから、炭素数14〜24、好ましくは炭素数16〜20の飽和1価アルコ−ルを用いる。該1価アルコ−ルの炭化水素基は、直鎖、分岐鎖、環状の何れでも良い。好ましくは直鎖又は分岐鎖、特に好ましくは直鎖のアルキル基である。該1価アルコ−ルの具体例としては、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサノール、ベヘニルアルコール等や天然油脂由来のアルコール等が挙げられる。
【0011】
<(B)成分>
また、本発明に用いられる組成物は、上記(A)成分と共に、更に、界面活性剤(B)〔(B)成分〕を含有する。
【0012】
(B)成分としては、以下のような界面活性剤を(A)成分の乳化、分散、可溶化又は浸透促進の目的で用いるのが好ましい。
【0013】
非イオン界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、樹脂酸エステル、ポリオキシアルキレン樹脂酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、アルキル(ポリ)グリコシド、ポリオキシアルキレンアルキル(ポリ)グリコシド、アルキルアルカノールアミド、糖系脂肪酸アミド等が挙げられる。ここで、糖系脂肪酸アミドとしては、糖又は糖アルコールに疎水基がアミド結合した構造を有するもの、例えばグルコースやフルクトースの脂肪酸アミド等の糖系脂肪酸アミドが挙げられる。また、アミノ基を有する糖又は糖アルコールに疎水基がアミド結合した構造を有するもの、例えばN−メチルグルカミンの脂肪酸アミド等の糖系脂肪酸アミドを用いることもできる。以上のような非イオン界面活性剤の中でも特に、窒素原子を含まないエーテル基含有非イオン界面活性剤及びエステル基含有非イオン界面活性剤から選ばれる一種以上が好ましい。具体的には、ポリオキシアルキレン(特にエチレン)ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン(特にエチレン)グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルが好ましい。
【0014】
また、(B)成分は非イオン界面活性剤である場合は、前記したグリフィンのHLBが10以上のものが好ましく、さらに12以上のものが好ましい。
【0015】
陰イオン界面活性剤としては、カルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系及びリン酸エステル系界面活性剤が挙げられるが、カルボン酸系及びリン酸エステル系界面活性剤から選ばれる一種以上が好ましい。
【0016】
カルボン酸系界面活性剤としては、例えば炭素数6〜30の脂肪酸又はその塩、多価カルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルアミドエーテルカルボン酸塩、ロジン酸塩、ダイマー酸塩、ポリマー酸塩、トール油脂肪酸塩、エステル化化工澱粉等が挙げられる。中でもエステル化化工澱粉が好ましい。エステル化化工澱粉の中で、アルケニルコハク酸化デンプン(アルケニルコハク酸エステル化デンプン又はアルケニルコハク酸デンプンともいう)が好ましく、特に、オクテニルコハク酸化デンプンが好ましく、その市販品として例えばエマルスター#30〔松谷化学工業(株)製〕等が挙げられる。
【0017】
スルホン酸系界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ジフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸の縮合物塩、ナフタレンスルホン酸の縮合物塩等が挙げられる。
【0018】
硫酸エステル系界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、トリスチレン化フェノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンジスチレン化フェノール硫酸エステル塩、アルキルポリグリコシド硫酸塩等が挙げられる。
【0019】
リン酸エステル系界面活性剤として、例えばアルキルリン酸エステル塩、アルキルフェニルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩等が挙げられる。
塩としては、例えば金属塩(Na、K、Ca、Mg、Zn等)、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩、脂肪族アミン塩等が挙げられる。
【0020】
両性界面活性剤としては、アミノ酸系、ベタイン系、イミダゾリン系、アミンオキサイド系が挙げられる。
【0021】
アミノ酸系としては、例えばアシルアミノ酸塩、アシルサルコシン酸塩、アシロイルメチルアミノプロピオン酸塩、アルキルアミノプロピオン酸塩、アシルアミドエチルヒドロキシエチルメチルカルボン酸塩等が挙げられる。
【0022】
ベタイン系としては、アルキルジメチルベタイン、アルキルヒドロキシエチルベタイン、アシルアミドプロピルヒドロキシプロピルアンモニアスルホベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルジメチルカルボキシメチルアンモニアベタイン等が挙げられる。
【0023】
イミダゾリン系としては、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルエトキシカルボキシメチルイミダゾリウムベタイン等が挙げられる。
【0024】
アミンオキサイド系としては、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルジエタノールアミンオキサイド、アルキルアミドプロピルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0025】
(B)成分は1種でも、2種以上混合して使用しても良い。また、これらの(B)成分がポリオキシアルキレン基を含む場合は、好ましくはポリオキシエチレン基を有し、その平均付加モル数が1〜300、好ましくは5超100以下であることが挙げられる。
【0026】
(B)成分としては、エステル基含有非イオン界面活性剤、窒素原子を含まないエーテル基含有非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、カルボン酸系陰イオン界面活性剤及びリン酸系陰イオン界面活性剤から選ばれる一種以上が好ましい。特に、エステル基含有非イオン界面活性剤及び窒素原子を含まないエーテル基含有非イオン界面活性剤から選ばれる一種以上が好ましい。すなわち、本発明に用いられる組成物、特に処理液としては、炭素数14〜24の1価アルコールと、エステル基含有非イオン界面活性剤、窒素原子を含まないエーテル基含有非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、カルボン酸系陰イオン界面活性剤及びリン酸系陰イオン界面活性剤から選ばれる一種以上の界面活性剤とを含有するものが挙げられる。
【0027】
<組成物>
本発明に用いられる組成物は、(A)成分及び(B)成分を含有する組成物であり、(A)成分を1〜10,000ppm(重量比、以下同様)を含有することが好ましい。好ましくは10〜3,000ppm、より好ましくは10〜1,000ppm、さらに好ましくは60〜600ppm、特に好ましくは100〜500ppmの濃度で含有する。また、本発明に用いられる組成物は、(B)成分を、(A)成分100重量部に対して、10〜20,000重量部、特に100〜2,000重量部の比率で含有することが好ましい。
【0028】
また、本発明に用いられる組成物は、上記(A)成分、(B)成分と共に、更に、キレート剤(C)〔以下、(C)成分という〕を含有することが好ましい。特に、(B)成分と(C)成分の両者を併用することが好ましい。
【0029】
<(C)成分>
(C)成分として、以下のようなキレート能を有する有機酸又はその塩を併用すると、マメ類の増収効果がさらに改善される。具体的にはクエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、ヘプトン酸、シュウ酸、マロン酸、乳酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸等のオキシカルボン酸、多価カルボン酸や、これらのカリウム塩、ナトリウム塩、アルカノールアミン塩、脂肪族アミン塩等が挙げられる。また、有機酸以外のキレート剤の混合でもマメ類の収量が改善される。混合するキレート剤としてEDTA、NTA、CDTA等のアミノカルボン酸系キレート剤が挙げられる。
【0030】
本発明に用いられる組成物において、(C)成分を併用する場合、各成分の比率は、(A)成分100重量部に対して、(C)成分0〜50,000重量部、特に10〜5,000重量部が好ましい。
【0031】
また、本発明に用いられる組成物は、化合物(A)100重量部に対して、その他の栄養源(糖類、アミノ酸類、ビタミン類等)0〜5000重量部、特に10〜500重量部を含有することもできる。
【0032】
本発明では、(A)成分、(B)成分及び水を含有し、更に必要に応じて(C)成分等を含有する組成物を、マメ科植物の第3葉が出現し始める時期から開花期前までの間に2回以上施用する。ここで「第3葉が出現し始める時期」とは、第3葉となる芽が出始め、先端が目視で確認できた時期をいう。
【0033】
本発明に係る組成物の、マメ科植物への供給方法としては色々な手段を使うことができる。例えば、処理液(液状組成物)を葉面、茎等に直接与える方法(茎葉散布など)、土壌中に注入する方法(土壌灌注、土壌灌水など)、水耕栽培やロックウールのように根に接触している水耕液や供給水に希釈混合して供給する方法(養液栽培)、株元に直接粉剤や粒剤をまく方法が挙げられる。本発明に係る組成物の供給方法は、マメ科植物の種類や施用時期により適切な方法を選定すればよい。ダイズ、アズキ、インゲンマメ、エンドウ、ソラマメに対しては、茎葉散布が特に好ましい。
【0034】
葉面散布における組成物、特に処理液の施用量は、1作あたりの化合物(A)の施用量として0.04g/10a〜30kg/10a、さらに0.4g/10a〜3000g/10aが好ましい。この範囲の施用量となるように組成物、特に処理液中の(A)成分の濃度や施用回数を調整することが好ましい。(B)成分を、(A)成分100重量部に対して、10〜20,000重量部、特に100〜2,000重量部の比率で含有するよう調整して与えることが好ましい。
【0035】
1株の植物体に対する適量は、たとえば液体組成物を葉面散布する場合では、第3葉が出現し始める時期から開花期前までの間で、1〜100mL、より好ましくは3〜30mLである。単位面積あたりの散布すべき水量は栽植密度により異なるが、10aあたり20L〜1000L、さらに好ましくは50L〜300Lが好ましい。
【0036】
(A)成分を施用する時期としては、マメ科植物の第3葉が出現し始める時期から開花期前までの間に2回以上施用できれば何れでも良い。たとえば、培土処理・カルチ処理の時期にあわせ、5〜30日程度の間隔で2回以上使用することで、使用しない場合や1回のみの使用に比べ、より高い増収効果が得られる。
【0037】
本発明の対象とするマメ科植物は具体的には、ダイズ(エダマメを含む)、アズキ、インゲンマメ、ラッカセイ、ソラマメ、エンドウ、ベニバナインゲン、ライマビーン、リョクトウ、ササゲ、フジマメ、ナタマメなどが挙げられる。なかでも、ダイズ、アズキ、インゲンマメ、エンドウ、ソラマメに対し本発明は好ましく、特にダイズに対し好適である。
【実施例】
【0038】
<組成物>
表1に以下の実施例で用いた組成物の組成を示した。表1中、組成物1、2、3、4、5、8、9および10は、(A)成分を(B)成分により水中に乳化した液状のものに(C)成分を添加して調製した。組成物6は(A)成分を(B)成分により水中に乳化して調製した。組成物7は(B)成分を水に混合して調製した。なお、(B)成分のPOEはポリオキシエチレン基を示し、( )内の数字はエチレンオキシドの平均付加モル数を示す。
【0039】
【表1】

【0040】
実施例1
ダイズ種子(品種:えんれい)100粒と根粒菌(商品名:「根粒菌 まめぞう」、十勝農業協同組合連合 農産化学研究所製)0.5gを混合し、ダイズ種子表面に根粒菌を付着させた。上記種子を畝間60cmの畝に株間20cmで播種した。表1の組成物1を、表2に示す時期に、茎および葉面に散布した。散布水量は100L/10aとした(無処理区は何も散布せず、同じ圃場で栽培を行った。)。さやが茶色くなり十分成熟した後、収穫し、各苗について子実重量を求め、これを収量とした。各処理区の子実収量を、無処理区を100とした時の相対値として表2に示した。なお、以下、苗の第n葉が展開中の時期のことを「n葉期」と表記する(nは整数)。例えば、第3葉が展開中の時期は「3葉期」である。
【0041】
【表2】

【0042】
実施例2
直径12cm深さ9cmのポットに、市販培土(クレハ培土)をいれ、ダイズ種子を各ポットに1つずつ播種した。第3葉が展開した時点および第5葉が展開した時点で、表1に示すそれぞれの組成物を茎および葉面に散布した。散布水量は,各ポットのダイズ苗に10mLとした(無処理区は何も散布せず、同じ温室内で栽培を行った。)。試験区の反復は各試験区10株とした。着莢後さや内の子実が成熟した後、収穫し、各苗について子実重量を求め、これを収量とした。各処理区の子実収量を、無処理区を100とした時の相対値として表3に示した。
【0043】
【表3】

【0044】
実施例3
ダイズ種子(品種:えんれい)100粒と根粒菌(商品名:「根粒菌 まめぞう」、十勝農業協同組合連合 農産化学研究所製)0.5gを混合し、ダイズ種子表面に根粒菌を付着させた。直径12cm深さ9cmのポットに、市販培土(クレハ培土)をいれ、上記の根粒菌を付着させた種子を各ポットに1つずつ播種した。第3葉が展開した時点および第5葉が展開した時点で、(A)成分濃度が表4に示す濃度になるよう調整した表1の組成物1を、茎および葉面に散布した。散布水量は各ポットのダイズ苗に10mLずつとした(無処理区は何も散布せず、同じ温室内で栽培を行った。)。試験区の反復は各試験区10株とした。以下、実施例2と同様にして子実収量(相対値)を求めた。結果を表4に示した。
【0045】
【表4】

【0046】
実施例4
直径12cm深さ9cmのポットに、市販培土(クレハ培土)をいれ、ダイズ種子を各ポットに1つずつ播種した。第3葉が展開した時点および第5葉が展開した時点、または第3葉が展開した時点のみに、表5に示す濃度で(A)成分を含有する組成物1を、茎および葉面に散布した。散布水量は、各ポットのダイズ苗に10mLとした(無処理区は何も散布せず、同じ温室内で栽培を行った。)。試験区の反復は各試験区10株とした。以下、実施例2と同様にして子実収量(相対値)を求めた。結果を表5に示した。
【0047】
【表5】

【0048】
実施例5
実施例1と同様の方法で、畝間45cmの畝にダイズ(トヨホマレ)を株間9cmで播種した。第3葉が展開した時点、第5葉が展開した時点および第7葉が展開した時点で、(A)成分濃度が120ppmになるよう調整した表1に示す組成物1を茎および葉面に散布した。散布水量は150L/10aとした(無処理区は何も散布せず、同じ圃場で栽培を行った。)。さやが茶色くなり十分成熟した後、収穫し、各苗について子実重量を求め、これを収量とした。処理区の子実収量を、無処理区を100とした時の相対値として表6に示した。
【0049】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数14〜24の飽和1価アルコ−ル(A)と、界面活性剤(B)とを含有する組成物を、マメ科植物の第3葉が出現し始める時期から開花期前までの間に2回以上施用するマメ類の増収栽培方法。
【請求項2】
界面活性剤(B)がエステル基含有非イオン界面活性剤、窒素原子を含まないエーテル基含有非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、カルボン酸系陰イオン界面活性剤及びリン酸系陰イオン界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上である請求項1記載のマメ類の増収栽培方法。
【請求項3】
前記組成物が、更に(C)キレート剤を含有する請求項1又は2記載のマメ類の増収栽培方法。
【請求項4】
前記組成物が、前記アルコール(A)を1〜10,000ppm含有する請求項1〜3の何れか1項記載のマメ類の増収栽培方法。
【請求項5】
前記組成物を、前記アルコール(A)の1作あたりの施用量として0.04g/10a〜30kg/10aで施用する請求項1〜4の何れか1項記載のマメ類の増収栽培方法。

【公開番号】特開2008−161082(P2008−161082A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−351835(P2006−351835)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】