説明

マルチセグメントコアリングを備えたトルクコンバータ

【課題】複数のセグメントから成る、トルクコンバータのためのコアリングを提供することである。
【解決手段】複数の羽根と、該複数の羽根を支持するコアリング50とが設けられており、該コアリングが少なくとも2つのセグメント10,20,30を含み、各セグメントが2つの円周方向端部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してトルクコンバータ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
引用したことにより本明細書に記載されたものとする米国特許出願第2004/0172936号明細書は、トルクコンバータを記載しており、羽根が取り付けられたコアリングを示している。
【0003】
米国特許第4905471号明細書は、コアリングを使用しないトルクコンバータのための羽根固定機構を記載している。複数の羽根がシェルに取り付けられており、シェルの円周方向に間隔を置いて配置されている。各羽根のフランジは、隣接する羽根を結合し、液密形式で互いに取り付けられている。
【0004】
引用したことにより本明細書に記載されたものとする米国特許第5065509号明細書は、トルクコンバータのための羽根を取り付ける方法を記載している。複数の羽根が、シェルの円周方向に沿って、凹面状のシェルとコアリングとの表面に間隔を置いて取り付けられている。シェルのスロット及びコアリングを貫通して取り付けられるタブは、羽根の凸面状及び凹面状の縁部に一体的に形成されている。羽根の凸面状及び凹面状の縁部の端部に、リブも形成されている。凸面状及び凹面状の縁部の両方は、シェル及びコアリングそれぞれにろう付けされている。
【0005】
独国特許出願公開第3931427号明細書は、ポンプ及びタービンホイールを記載している。羽根を備えた個々のセグメントは、環状のコア空間を形成するために使用されている。
【特許文献1】米国特許出願第2004/0172936号明細書
【特許文献2】米国特許第4905471号明細書
【特許文献3】米国特許第5065509号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第3931427号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、複数のセグメントから成る、トルクコンバータのためのコアリングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の羽根と、複数の羽根を支持するコアリングとが設けられており、このコアリングが少なくとも2つのセグメントを有しており、各セグメントが2つの円周方向の端部を有している、トルクコンバータを提供する。
【0008】
複数の部分から成るコアリングを有することによって、スクラップが減じられ、組立てが単純化されることができる。複数の羽根を支持するコアリングセグメントを有することによって、コアリングセグメントは、1つの羽根を備えて形成されるのに対し、例えばスタンピングによって単純に形成されることができる。
【0009】
本発明は、複数の羽根を支持するコアリングを備え、コアリングが少なくとも2つのセグメントを有し、各セグメントが2つの円周方向端部を有するトルクコンバータコアリングをも提供する。
【0010】
本発明は、2つのセグメントの円周方向端部を結合し、各セグメントが2つの円周方向端部を有し、羽根をセグメントに配置することを含む、トルクコンバータを形成する方法をも提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の別の特徴及び利点は、添付の図面に関連した以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0012】
図1は、コアリング50及び複数の羽根52を有するトルクコンバータ60を断面図で示している。羽根52は、コアリング50に設けられたスロットを通って延びたタブ22,122を有する。コアリング50は、軸線56を中心として円周方向に延びている。現在のコアリングは、一般的に、円周方向で連続している。択一的に、羽根区分自体は、内側境界を形成していた。本発明によれば、羽根52を支持するコアリング50は少なくとも2つのセグメントを有しており、各セグメントは円周方向端部を有する。図2及び図3は、コアリング50は円周方向で3つのセグメント10,20,30を有しており、不連続部が、セグメントの端部によって規定されている。スロット24は、周方向にコアリングの形状を備えた各セグメントに亘って分配されている。各セグメント10,20,30は複数の羽根を支持する。
【0013】
図3は、本発明の実施形態によるコアリングを形成するための別のセグメントに組み付けられるように形成された第1の円周方向端部12を備えたコアリングセグメント10を示している。図3に示されているように、コアリングセグメント10の外側は凸面状であり、コアリングセグメント10の内側は凹面状である。第1の円周方向端部12は圧縮された部分であり、コアリングセグメント10の一方の端部に設けられている。コアリングセグメント10の第1の円周方向端部12とは反対側に、第1の反対側端部14が設けられている。スロット16及び18は、第1の円周方向端部12及び反対側端部14に位置決めされている。
【0014】
図4は、組み立てられた隣接するコアリングセグメント10及び20の上面図を示している。隣接するコアリングセグメント10及び20が組み合わされる場合、第1の円周方向端部12が、隣接するセグメント20の第2の反対側端部21に挿入される。個々のセグメントのスロット16及び18は、この場合に互いに整合するように位置決めされている。羽根タブ22は、セグメント10のスロット16と、スロット18と同様の、隣接するセグメント20の反対側スロットとを貫通する。羽根タブ22は、コアリングセグメントの内部へ折り曲げられる。コアリングセグメント10,20には付加的なスロット24が配置されている。隣接する羽根の収容タブ122は、スロット24を貫通する。
【0015】
上記実施形態の場合、コアリング50のための羽根52の全数は整数で割りきれることが好適である。例えば、27個の羽根を備えたポンプ又はタービンが、それぞれ9個の羽根を位置決めするために使用されることができる。しかしながら、羽根の数が素数である場合、セグメントのうちの1つは、異なる数のスロットを有さなければならない。例えば、31個の羽根を備えたコンポーネントは、10個の羽根を位置決めする2つのセグメントと、11個の羽根を位置決めする1つのセグメントを有する。しかしながら、このことは、組立てをより困難にし、コストを増大する。
【0016】
第1の円周方向端部12が圧縮される代わりに、第1の円周方向端部12は、円周方向端部14に被さることができるように拡張されることができるか、又は円周方向端部12,14はその他の形式で結合されることができる。タック溶接、スポット溶接又はプロジェクション溶接が使用されることができるか、又は一方の円周方向端部におけるタブが他方の円周方向端部におけるスロットに挿入されることができるか、又は円周方向端部の間にプレスばめ若しくは締りばめが行われることができる。端部を貫通するあらゆるものを含む、羽根のためのスロットは、セグメントが接合された後に打抜き加工されることもできる。
【0017】
図5は、択一的な実施形態を示していて、この場合、コアリング150が、2つのセグメントを有する1つのコンポーネントから形成されており、端部を有する区分62を有する領域60を有しているが、端部の少なくとも1つの部分は一体的でかつ連続したままである。しかしながら、コアリング150は、不連続領域32において結合される2つのアーチ状のセグメント34,36を有しており、セグメント36は円周方向端部66を有しており、セグメント34は円周方向端部64を有している。端部66は端部14と同様であり、端部34は端部12と同様である。しかしながら、領域60においては、セグメント34,36は、連続した領域60が残っている端部を有する。
【0018】
図6に示されているように、タブ70及び区分62は、スタンピング及び成形の後、残ることができ、タブ70はスロット116を、セグメント34はスロット114を有しており、スロット114,116は、方向40,48への曲げの後、合致する。つまり、区分62は、例えば曲げの後、伸長させられることができる。タブ70は、スタンピング及び曲げによって形成されずに、セグメント36にろう付けされた又はその他の形式で取り付けられた別個の部品であることもできる。連続した区分62がセグメント34,36を結合しているのでスロット114,116が排除されることもでき、これにより、奇数のスロットを含むあらゆる数のスロットが使用されることができる。しかしながら、端部64及び66におけるスロットは、端部64,66を結合するために望まれる。
【0019】
図6に示されているように、アーチ状のセグメント34及び36はそれぞれコアリング150の半分を成している。アーチ状のセグメント34,36は、本発明によるコアリング150を形成するためにそれぞれ方向38及び40に曲げられる。
【0020】
図7は、図6の区分5−5を示している。図6のノッチ領域が除去されると、アーチ状セグメント34,36は部分62において結合されたままである。区分62はコアリング159の曲げ及び形成時に伸長させられることができる。
【0021】
コアリング50は、例えば低炭素鋼、例えば鋼1018から形成されるか、又は羽根52が挿入される前及び/又は後にろう付けされることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は本発明のトルクコンバータを示している。
【図2】本発明によるコアリングを示している。
【図3】本発明の実施形態による本発明によるコアリングの斜視図を示している。
【図4】本発明の実施形態による隣接するセグメントを備えて組み立てられた本発明によるコアリングの上面図である。
【図5】本発明の択一的な実施形態による本発明のコアリングの上面図を示している。
【図6】リングに曲げられる前にスタンピングされた図5に円で囲まれた領域の部分図を示している。
【図7】図6における5−5の方向で見た図を示している。
【符号の説明】
【0023】
10,20,30 セグメント、 12 第1の円周方向端部、 14 反対側端部、 16,18 スロット、 20 セグメント、 22 羽根タブ、 24 スロット、 22,122 タブ、 34,36 セグメント、 50,150 コアリング、 52 羽根、 60 連続した領域、 62 連続した区分、 64 円周方向端部、 66 端部、 70 タブ、 114,116 スロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルクコンバータにおいて、
複数の羽根と、
該複数の羽根を支持するコアリングとが設けられており、該コアリングが少なくとも2つのセグメントを含み、各セグメントが2つの円周方向端部を有することを特徴とする、トルクコンバータ。
【請求項2】
セグメントのうちの2つが、連続的に結合されている、請求項1記載のトルクコンバータ。
【請求項3】
第1及び第2のセグメントが、円周方向端部のうちの2つにおいて連続的に結合されている、請求項2記載のトルクコンバータ。
【請求項4】
1つのセグメントの円周方向端部のうちの1つが、別のセグメントの別の円周方向端部に嵌合するように形成された圧縮された部分を有する、請求項1記載のトルクコンバータ。
【請求項5】
セグメントが、複数の羽根タブスロットを有する、請求項1記載のトルクコンバータ。
【請求項6】
羽根の数が、整数を形成するためにセグメントの数によって割り切れる、請求項1記載のトルクコンバータ。
【請求項7】
羽根タブがコアリング上に曲げられている、請求項5記載のトルクコンバータ。
【請求項8】
セグメントが、スタンピングされた低炭素鋼である、請求項1記載のトルクコンバータ。
【請求項9】
セグメントがろう付けされている、請求項1記載のトルクコンバータ。
【請求項10】
羽根のうちの1つが円周方向端部を貫通している、請求項1記載のトルクコンバータ。
【請求項11】
トルクコンバータリングにおいて、
複数の羽根を支持するためのコアリングが設けられており、該コアリングが少なくとも2つのセグメントを有しており、各セグメントが2つの円周方向端部を有することを特徴とする、トルクコンバータリング。
【請求項12】
トルクコンバータを形成する方法において、
2つのセグメントの円周方向端部を結合し、各セグメントが2つの円周方向端部を有しており、
羽根をセグメントに配置することを特徴とする、トルクコンバータを形成する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−19775(P2009−19775A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182941(P2008−182941)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(390009070)ルーク ラメレン ウント クツプルングスバウ ベタイリグングス コマンディートゲゼルシャフト (236)
【氏名又は名称原語表記】LuK Lamellen und Kupplungsbau  Beteiligungs KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 3, D−77815 Buehl, Germany