説明

マルチメディアデータを検索するためのデバイスおよび方法

本発明は、マルチメディアデータを検索するためのデバイスに関する。当該マルチメディアデータはアクティブコンポーネントと関連付けされている。外部イベントに依存して、前記アクティブコンポーネントのうちの幾つかがアクションをトリガすることをこのデバイスは特徴とし、このアクションによってユーザは前記アクティブコンポーネントと関連付けされたマルチメディアデータに気付く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチメディアデータを検索するための方法およびデバイスに関する。
【0002】
消費者ビデオ市場、写真市場およびオーディオ市場におけるデジタル化によって、並びにハードディスクおよびDVD等の書換え可能ストレージデバイスの容量が増えたことによって、大量のマルチメディアアイテムおよびマルチメディア資産管理の問題がより重要になってきている。
【0003】
マルチメディア資産管理の試みの1つは、容易なデータアクセスを可能にするために、メディアから意味情報を集めることである。プロフェッショナル市場では、第1の製品は意味アクセスを提案する。例えば、ビデオ内の一時的なシーンが識別され、シーン毎のビデオアクセスが可能になる。他の例としては、例えば「人物」、「屋内シーン」または「山」等のイメージ内の意味要素が識別される。従ってビデオおよびイメージを意味キーワードによってサーチおよび検索することが可能になる。オーディオファイル用のウェブベースのサーチエンジンは、オーディオアイテムを検索するためにアーティスト名およびタイトル等の意味情報を用いる。
【0004】
マルチメディアアイテムの1つの特徴は、その作成日および時間である。これを以下で作成日時と称する。作成日時は、マルチメディアアイテムを検索するための重要な特徴である。歌の場合には、作成日時は作成期間を示し、音楽様式に対する示唆を与える。さらに作成日時は、ユーザがその歌を初めて聴いた時に近い。ビデオの場合には、作成日時はしばしば、初めて劇場公開された日付またはテレビ放映された日付に近い。従って、用語「作成日時」を拡大解釈することが可能である。これは、特定の媒体によって国に最初に現れた日付または観衆の興味に復活した日付であってもよい。作成日時が、マルチメディアアイテムの受領日を意味してもよい。例えば幾つかのビデオクリップをサーバからクリスマス休暇中に受け取る。作成日時は受領日時となり得る。なぜなら、このときに初めてユーザがこのマルチメディアアイテムを消費したからである。作成日時は、アクセス履歴等のトラッキング情報を利用するために延ばされてよい。
【0005】
作成日時は、パーソナルコンテンツにとって非常に重要である。このタイプのコンテンツは写真、ビデオクリップ、オーディオクリップ、ビデオフィルムまたは他のマルチメディアアイテムである。これらは、エンドユーザによって家庭で作成されたものまたは少なくとも変えられたものである。ユーザは、自身のマルチメディア資産を分類および検索する人々にとって作成日時が最も重要な特徴のうちの1つであることを学ぶ。ユーザはしばしば自身のマルチメディアアイテムを、作成日時によってディレクトリに組織化する。サーチおよび検索は、しばしば作成日時を思い出し、日時によってアイテムを検索することによって行われる。
【0006】
作成日時は、ユーザにとって感情的な意味を有する。マルチメディアアイテムの作成はしばしば、ユーザの私生活におけるイベントにリンクしている。写真はしばしば休暇旅行、家族の集まりまたは週末の間に撮られる。ビデオクリップもしばしば休暇中または特別なとき(例えば結婚式またはクリスマス)に作成される。このようにして、マルチメディアアイテムおよびその作成はユーザにとって高い感情にうったえる価値を有している。これらは私生活の思い出を映す。
【0007】
マルチメディア資産管理における1つの問題は、マルチメディアアイテムの数が非常に多く、組織化が粗いので、マルチメディア資産のユーザが、少なくとも一時的に特定のアイテムの存在を忘れてしまうことである。特定のイベントの周年記念日の場合に、ユーザはしばしば、このイベントに関連しているマルチメディアアイテムに気がつかない。その理由は、彼らがその存在を忘れているか、または特定のマルチメディアアイテムの作成者が彼自身ではなく、同じマルチメディア資産を使用している他の人物であるからである。従って、このイベントに関連しているマルチメディアアイテムを作成、コピー、購買または変形したのは家族の他の人物である可能性がある。マルチメディア資産はしばし非常に大きいので、資産管理システムが過度に繁忙になり、イベントの周年記念日にユーザに興味深いであろうアイテムの存在を常にチェックするのに充分な情報がないことがある。
【0008】
本発明は、マルチメディアデータ検索のためのデバイスを提示する。前記マルチメディアデータはアクティブコンポーネントに関連している。本発明では、外部イベントに依存して、幾つかのアクティブコンポーネントがアクションをトリガさせる。このアクションによって、ユーザは前記アクティブコンポーネントに関連するマルチメディアデータに気付く。
【0009】
従ってユーザは、検索のために存在するデータに気付く必要はない。システム自体が、ユーザが容易に捜し出すことができないであろう情報を準備する。システムはユーザに、ユーザが存在に気付いていない情報を提供する。情報が古すぎる、または彼がこのマルチメディアデータの作成者でなかったので、ユーザはその存在を思い出さない。
【0010】
データベース内に記憶されているマルチメディアアイテムはアクティブである、または、アクティブコンポーネントを含む。このアクティブコンポーネントは、ユーザによって無視される可能性のある情報を自動的に検索することできるという意味で検索システムをインテリジェントにする。しかもユーザ側は何も要求されない。従ってこのデバイスによって、ユーザからのいかなるアクティブリクエストもなく、ユーザは容易にデータにアクセスすることができる。これはマルチメディアアイテムがアクティブコンポーネント、例えばエージェントとリンクしているという事実によって可能になる。このアクティブコンポーネントは例えばユーザから独立しているイベントによってアクティブにされる。
【0011】
本発明の他の特徴および利点を、本発明の実施例によって示す。この実施例は本発明を制限するものではない。この実施例は図1によって示されている。図1は、本発明に相応するシステムの実施例をあらわしている。
【0012】
本発明の以下の実施例はデバイスに関し、ここでは外部イベントは今日の日付と関連している。
【0013】
さらに本発明の実施形態は、例えば意味アイテムに基づいて、他の外部イベントに関連する。
【0014】
従って本発明のこの実施例は方法およびデバイスに関し、この方法およびデバイスによって、作成日時の周年記念日の場合に、マルチメディアデータは自身の存在をユーザに思い出させることができる。作成日時とは、マルチメディア要素の最初の提示、マルチメディア要素が使用された最後の日、マルチメディア要素の受領日、またはマルチメディア要素が記憶された日であるとも理解され得る。
【0015】
この実施例は、ディスプレイ上にマルチメディア要素を表示することにあるアクションにも関する。他のアクションは予測可能であり、これは例えばユーザへの情報の送信、マルチメディア要素が音楽コンポーネントを含んでいる場合には音楽再生・・・である。
【0016】
マルチメディア要素は巨大容量の記憶媒体上に記憶される。他の実施形態ではマルチメディアデータは遠隔記憶媒体上に格納され、インターネット等のネットワークを通じてアクセスされる。
【0017】
マルチメディア要素は、アクティブコンポーネントと同様にその作成日時に関した情報と関連付けされている。
【0018】
アクティブコンポーネントは、関連付けされたマルチメディア要素の作成日時に関する情報並びに目下の日付および時間に関する情報を処理することができる。この処理に基づいて、アクティブコンポーネントは、ユーザにこのマルチメディア要素の存在を気付かせるアクションをトリガする。
【0019】
アクティブコンポーネントは、このマルチメディア要素と集団を成している他の情報を利用して、特定のアクションを実行してよい。このアクションは例えば、想起メッセージの作成またはマルチメディア要素の表示または再生である。
【0020】
図1は、本発明の実施形態を実現させる幾つかのコンポーネントを含むシステムを示している。
【0021】
このシステムは、マルチメディア資産管理システム1を含む。これは記憶媒体2上に格納されているマルチメディアデータを管理する。
【0022】
記憶媒体2はハードディスクドライブであるが、DVDまたはあらゆる他の記憶手段でもあり得る。
【0023】
マルチメディア管理システム1は、記憶媒体2上に格納されているマルチメディアデータ、作成日時情報およびアクティブコンポーネントと関連付けされる。このアクティブコンポーネントはエージェントとして知られている。
【0024】
記憶媒体2上に格納されているマルチメディアデータは、想起情報をユーザインタフェースに送信することによって、またはマルチメディアレンダリング情報をディスプレイ4に送信することによって、ユーザインタフェース3に反応することができる。
【0025】
ユーザインタフェース3は想起メッセージを受信し、レンダリング情報をディスプレイ4に転送することができる。
【0026】
ユーザインタフェース3は遠隔操作を組み込むことが可能であり、ディスプレイ3は、ディスプレイと関連したデジタルセットトップボックスであり得る。これはデコーダとして知られている。
【0027】
マルチメディア資産管理システム1は、時間情報7を記憶媒体2へ送信し、これはインテリジェント処理手段と関連付けされている。時間情報8はこのインテリジェント処理手段の要求に応じて送信される。マルチメディアアイテムと関連付けされたエージェントは、マルチメディア資産管理システムによって送信された時間情報8に反応する。時間情報7が作成日時の周年記念日に一致する場合、相当するエージェントがマルチメディアアイテムの内容をユーザインタフェース3に送信する、またはユーザインタフェース3に想起情報を送信する。この想起情報はユーザに、データベースが次のようなマルチメディアアイテムを含んでいることを知らせる。これは例えば、何年か前のその日に撮影された、彼の若い娘が歩き始めた最初の1歩をあらわしている写真である。これは、ユーザが数年後には思い出さない種類のイベントであり、システムは彼に自動的に、ユーザ側でのいかなるアクションもなく思い出させることができる。周年記念日の他の例は以降に挙げられる。
【0028】
ユーザインタフェース3は、想起情報を表示に適切な情報に変換する。ディスプレイは、インタフェースレンダリング情報5並びにマルチメディアレンダリング情報6をレンダリングし、ユーザに再生または表示する。マルチメディアレンダリング情報6は、ユーザに想起されるべきマルチメディア要素を含み、インタフェースレンダリング情報5はこの情報をレンダリングするための方法を含む。
【0029】
各マルチメディア要素は、幾つかのファイルから成る。幾つかのファイルはマルチメディアコンテンツ自体を含む。これは例えばビデオ、静止画像または音声である。他の補助ファイルは、作成日時等の補助情報を含む。作成日時は、マルチメディア要素の作成の時間および日付または修正日時またはマルチメディア要素へ最後にアクセスした日時を含む。
【0030】
この補助ファイルは、同じマルチメディア要素に属する全てのファイルへの少なくともリンクを含む。しかし、キーワードまたは他のマルチメディアアイテムまたは知識データベース等である他の関連データへのリンク等の他の情報も含む。
【0031】
各マルチメディア要素と関連付けされているアクティブコンポーネントは次のようなファイルでもある。すなわち、Java言語のようなプラットフォーム独立言語内のスクリプトを含むファイルである。
【0032】
マルチメディア要素に属している全てのファイルは、通常のコンテナに組織化されている。他の実施形態では、これらは別個にファイルとして格納される。
【0033】
付加的にこのシステムは、例えばJAVA実行環境等のマルチメディアデータと関連したスクリプトに対する実行プラットフォームを含む。このJAVA実行環境は、記憶媒体2と関連したインテリジェンスの一部である。
【0034】
各マルチメディア要素と関連したスクリプトは以下のステップを実行する。
・マルチメディア資産管理システムに対して目下のデータおよび時間を要求する
・マルチメディアアイテムの補助ファイル内で使用可能な全ての時間情報を見る
・目下の日付および時間を、記憶媒体2に格納されているマルチメディアデータと関連した作成日時情報と比較する
・以下のような一時的なイベントを検出する
*今日の日付がアイテム作成日付と等しい、または近い
*今日の日付がマルチメディア要素作成日時の周年記念日と等しい、または近い
*マルチメディア要素の作成日時の周年記念日が一週間以内である、または近い将来である
*マルチメディア要素の作成日時の周年記念日が、特別な周年記念日である(5回目、10回目、50回目)
・検出された一時的なイベントをマルチメディア要素の他の補助情報(例えばイベントのタイプ、注釈)と関連付ける
*結婚式の周年記念日を検出する
*休暇旅行の周年記念日を検出する
・検出された一時的なイベントを、他の、使用に関する、マルチメディアデータ関連補助情報(例えばユーザプロファイル)と関連付ける
*目下のユーザによって作成されたのではない、マルチメディアデータの周年記念日を検出する
*非常にまれにしかアクセスされないマルチメディアデータ、または非常に頻繁にアクセスされるマルチメディアデータの周年記念日を検出する
*目下のユーザ以外によって非常に頻繁にアクセスされるアイテムの周年記念日を検出する
・検出された一時的なイベントおよびその関連から想起情報を作成する
*結婚式の周年記念日に対して結婚写真を提示する
*合成音声によってオーディオクリップをアナウンスする
*そこにだれがいるかを表示するとともに、クリスマスからビデオクリップを提示する
他の実施形態では、より多くの特定のアクションがユーザアプリケーションに依存して実行される。
【0035】
ユーザインタフェース3は想起情報を変換し、それをディスプレイ4に対するレンダリング情報内に組み込む。ディスプレイ4はスクリーンおよびスピーカーから成り、ユーザインタフェース3からのグラフィック情報を表示する、またはユーザインタフェース3によって作成された音声を再生する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態を実現させる幾つかのコンポーネントを含むシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチメディアデータを検索するためのデバイスであって、
当該マルチメディアデータは少なくとも1つのアクティブコンポーネントと関連付けされている形式のものにおいて、
外部イベントに依存して、前記アクティブコンポーネントのうちの幾つかがアクションをトリガし、該アクションは、前記アクティブコンポーネントと関連付けされたマルチメディアデータをユーザに気付かせる、
ことを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記マルチメディア要素は自身の作成日時と関連付けされており、前記外部イベントは今日の日付であり、
前記アクティブコンポーネントはアクションをトリガし、該アクションはユーザに、作成日時の周年記念日が今日であるマルチメディアアイテムを気付かせる、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記アクションは、マルチメディアアイテムを再生すること、または表示することである、請求項1または2記載のデバイス。
【請求項4】
マルチメディアデータを格納するための手段(2)を含む、請求項1から3までのいずれか1項記載のデバイス。
【請求項5】
前記マルチメディアデータを含む遠隔デバイスを接続させる手段を含む、請求項1から3までのいずれか1項記載のデバイス。
【請求項6】
マルチメディアデータを検索するための方法であって、
当該マルチメディアデータはアクティブコンポーネントと関連付けされている形式のものにおいて、
外部イベントに依存して、前記アクティブコンポーネントによってアクションをトリガするステップを含み、該アクションは、前記アクティブコンポーネントと関連付けされたマルチメディアデータをユーザに気付かせる、
ことを特徴とする方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−531947(P2007−531947A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506770(P2007−506770)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051466
【国際公開番号】WO2005/098690
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】