説明

マルチメディア・コンテンツを配信する方法および装置

少なくとも2つのレンダリング機器にマルチメディア・コンテンツを配信する方法が提供され、マルチメディア・コンテンツは少なくとも2つの基本コンテンツを有している。本方法は、少なくとも2つのレンダリング機器と少なくとも2つの基本コンテンツとの間の関係に基づいてマルチメディア・コンテンツの同期情報を配信するステップであって、同期情報は、少なくとも2つの基本コンテンツの間の同期関係を示す、該配信するステップと、マルチメディア・コンテンツを搬送するマルチメディア・ストリームを受信するステップと、少なくとも2つのレンダリング機器と少なくとも2つの基本コンテンツとの間の関係に基づいてマルチメディア・ストリームを配信するステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ通信に関し、より詳しくは、マルチメディア・コンテンツを少なくとも2つのレンダリング機器へ配信する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マルチメディアは、テキスト、オーディオ、静止画像、アニメーション、ビデオ等を含む種々のコンテンツ形態を利用する一群のコンテンツを含むメディアである。リッチ・メディア(RM)は、インタラクティブ・マルチメディアと同義であり、つまり、リッチ・メディアは、動的でインタラクティブなマルチメディア・データの集まりである。
【0003】
リッチ・メディアに関する現在の規格には、MPEG−4第20部:簡易版シーン記述/簡易多重化フォーマット(LASeR/SAF)、3GPP SA4 DIMS(Dynamic and Intracive Multimedia Scene)、OMA(Open Mobile Alliance) BCAST リッチ・メディア環境アーキテクチャ等が含まれる。他の規格、例えば、スケーラブル・ベクター・グラフィックス(SVG)および同期マルチメディア統合言語(SMIL)は、いずれもW3C(ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム)により策定され、画像、テキスト及び他のタイプの素材を有するストリーミング・オーディオおよびビデオを統合するリッチ・メディア・プレゼンテーションの編集をサポートすることができる。
【0004】
さらに、リッチ・メディア・サービスをサポートする産業上の解決策(industrial solutions)には、アドビ・フラッシュ、マイクロソフト・シルバーライト、Sun Java(登録商標)FXおよびノキア・モバイル・オープン・リッチ・メディア環境がある。
【0005】
現在のRMアプリケーションでは、いくつかの基本コンテンツからなるRMコンテンツが、1つのクライアントのレンダリング・スペース上の全ての基本コンテンツをレンダリングするために当該1つのクライアントに配信される。ここで、レンダリングの動作はレンダリングされるコンテンツによって異なる意味を有しており、例えば、オーディオ・コンテンツを再生することを意味することもあり、ビデオ・コンテンツを表示することを意味することもあり、テキストや静止画像等を表示することを意味することもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、いくつかのレンダリング・スペース上、即ち、いくつかの機器上のRMコンテンツを同時にレンダリングすることが求められる。例えば、家庭環境では、ユーザは、第2のスクリーン上にコンテンツの関連情報を表示しながらTVスクリーン上でビデオを視聴することを望み、TVサービスプロバイダは、投票のようなインタラクティブ・サービスを可能とするために、従来型のTVプログラムに加えてユーザの携帯電話へインタラクティブ・コンテンツをプッシュ配信することを望む。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、マルチメディア・コンテンツを少なくとも2つのレンダリング機器へ配信する方法であって、マルチメディア・コンテンツは、少なくとも2つの基本コンテンツを有している、該方法が提供される。本方法は、少なくとも2つのレンダリング機器と少なくとも2つの基本コンテンツとの間の関係に基づいて、マルチメディア・コンテンツの同期情報を配信するステップであって、同期情報は、少なくとも2つの基本コンテンツ間の同期関係を示す、該配信するステップと、マルチメディア・コンテンツを搬送するマルチメディア・ストリームを受信するステップと、少なくとも2つのレンダリング機器と少なくとも2つの基本コンテンツとの間の関係に基づいて、マルチメディア・ストリームを配信するステップと、を含む。
【0008】
本発明の該態様によれば、2つ以上のレンダリング機器上のマルチメディア・コンテンツをレンダリングする方法が提供される。
【0009】
本発明の更なる態様および利点は、以下の本発明の詳細な説明において明らかとなることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の更なる理解を提供するための、本願の一部に組み込まれ、本願の一部を構成する添付の図面は、本発明の原理を説明する記載とともに本発明の実施形態を図示するものである。従って、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【図1】図1は、本発明の一実施形態による異なる機器上のRMコンテンツをレンダリングするシステムを概略的に示す図である。
【図2】図2は、本実施形態による配信機器を示すブロック図である。
【図3】図3は、本実施形態によるXMLフォーマットの環境設定ファイルの一例を示す図である。
【図4】図4は、本実施形態による異なるレンダリング機器上のマルチメディア・コンテンツをレンダリングする方法を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本実施形態による機器1の環境設定ファイルを示す図である。
【図6】図6は、本実施形態による機器2の環境設定ファイルを示す図である。
【図7】図7は、本実施形態によるマルチメディア・コンテンツを搬送するマルチメディア・ストリームの配信を示すフローチャートである。
【図8】図8は、本実施形態によるマルチメディア・コンテンツの配信を変更する方法を示すフローチャートである。
【図9】図9は、本実施形態に従って移動動作が実行された場合の、マルチメディア・コンテンツの更新された環境設定ファイルを示す図である。
【図10】図10は、本実施形態に従って移動動作が実行された場合の、機器1の更新された環境設定ファイルを示す図である。
【図11】図11は、本実施形態に従って移動動作が実行された場合の、機器2の更新された環境設定ファイルを示す図である。
【図12】図12は、本実施形態に従って一時停止動作が実行された場合の、マルチメディア・コンテンツの更新された環境設定ファイルを示す図である。
【図13】図13は、本実施形態に従って一時停止動作が実行された場合の、機器1の更新された環境設定ファイルを示す図である。
【図14】図14は、本発明の実施形態による一時停止動作が実行された場合の、機器2の更新された設定ファイルを示す図である。
【図15】図15は、本実施形態による発明方法の適用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態を図面とともに詳細に説明する。以下の説明において、既知の機能および構成のいくつかの詳細な説明は、明確性および簡潔さのために省略され得る。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態による異なる機器上のRMコンテンツをレンダリングするシステムを概略的に示す図である。例示的なシステムは、インタラクティブ・サーバ101、RMサーバ102、配信機器103、2つのRMクライアント104および105を有している。
【0013】
RMサーバ102は、2つ以上の基本コンテンツを有するディジタル・マルチメディア・コンテンツを提供するように構成されている。基本コンテンツは、オーディオ、ビデオ、アニメーション、静止画像、テキスト等を含むグループの1つのコンテンツ形態であってもよい。相関関係にあるデータのセットを有するディジタル・マルチメディア・コンテンツの例は、ビデオ、オーディオ、種々の言語の映画字幕、およびそれらの関連広告からなる。さらに、RMサーバ102は、ディジタル・マルチメディア・コンテンツの送信開始時または送信開始前に、環境設定ファイルをディジタル・マルチメディア・コンテンツとともに送信することが可能である。環境設定ファイルは、(1)基本コンテンツの同期情報、および(2)マルチメディア・コンテンツの基本コンテンツとRMクライアントとの間の対応関係、即ち、どの基本コンテンツをどの宛先機器(つまり、RMクライアント)へ送信するか、を示すために利用される。
【0014】
インタラクティブ・サーバ101は、インストラクションを受信し、そのインストラクションに従ってRMサーバを制御するように構成されている。インストラクションは、特定の基本コンテンツの宛先機器を変更するインストラクションと、マルチメディア・コンテンツのレンダリングを再生、再開または一時停止するインストラクションと、を含み得る。
【0015】
配信機器103は、(1)RMサーバ102から環境設定ファイルを受信し、受信した環境設定ファイルに従って各宛先機器の環境設定ファイルを作成し、作成した各環境設定ファイルを対応する各宛先機器へ送信するように構成されており、ここで、宛先機器用に作成された環境設定ファイルには、その宛先機器に宛てられた基本コンテンツの同期情報および制御情報が含まれており、(2)いくつかの同期された基本コンテンツを有するディジタル・マルチメディア・コンテンツを搬送するマルチメディア・ストリームをRMサーバ102から受信し、受信したディジタル・マルチメディア・コンテンツからいくつかの同期された基本コンテンツを抽出し、RMサーバ102から受信した環境設定ファイルに基づいて、抽出した基本コンテンツを対応する各宛先機器へ別々のストリーム(エレメンタリ・ストリームと呼ばれる)で送信するように構成されている。
【0016】
RMクライアント104,105は、1つ以上の基本コンテンツおよび当該1つ以上の基本コンテンツの環境設定ファイルを配信機器103から受信し、受信した1つ以上の基本コンテンツを環境設定ファイルに基づいてレンダリングするように構成されている。また、RMクライアントは、配信機器103を介してインタラクティブ・サーバ101へインストラクションを送信して、ディジタル・マルチメディア・コンテンツを制御するように構成されており、例えば、1つ以上の基本コンテンツの宛先機器を変更したり、再生、一時停止、再開などのディジタル・マルチメディア・コンテンツの状態を変更する。さらに、RMクライアントは、インストラクションをインタラクティブ・サーバ101へ直接送信することができる。
【0017】
図2は、本実施形態による図1の配信機器103を示すブロック図である。その配信機器は、受信モジュール201、送信モジュール203、処理モジュール202、および適応モジュール204を有する。
【0018】
受信モジュール201および送信モジュール203は、それぞれ、データを受信および送信することに用いられる。
【0019】
処理モジュール202は、2つ以上の基本コンテンツを生成するために、受信したマルチメディア・コンテンツを逆多重化すること、および、RMサーバから受信した環境設定ファイルに基づいて各宛先RMクライアントの環境設定ファイルを生成することに用いられる。
【0020】
適応モジュール204は、基本コンテンツをあるデータ形式から他のデータ形式へ変換することによりコンテンツ適応を実行することに用いられ、それは、送信するのにより都合が良いか、あるいは、宛先機器によってサポートされるものである。そのようなコンテンツ適応には、異なるフォーマット間(例えばAVIからRMVB)のフォーマット変換、データ速度適応、現在のバンド幅に適合させるために基本コンテンツの品質を低下させることによる品質適応等が含まれる。
【0021】
また、配信機器103は、RMサーバから受信した、リクエストされたマルチメディア・コンテンツの環境設定ファイルを記憶する記憶機器を有する。
【0022】
図3は、RMサーバにより送信されたXMLフォーマットの環境設定ファイルの一例を示している。この例では、マルチメディア・コンテンツのストリームは、基本コンテンツ、即ち、ビデオ1、アニメーション1およびオーディオ1をそれぞれ搬送する3つのエレメンタリ・ストリームを有している。マルチメディア・コンテンツが、2つのクライアント機器でレンダリングされるように配置されており、具体的には、ビデオ1とアニメーション1とが機器1の識別子を備えるRMクライアントでレンダリングされる一方で、オーディオ1は機器2の識別子を備えるRMクライアントでレンダリングされる。図3から分かるように、どの基本コンテンツがどのレンダリング機器でレンダリングされるか、基本コンテンツのレンダリングをいつ開始するか、レンダリングの持続時間等、を示す情報を含む制御情報は、基本コンテンツに含まれる。ビデオ1およびオーディオ1は時間0から開始して500秒間持続するのに対して、アニメーション1は時間100秒から開始して100秒間持続する。ビデオ1およびオーディオ1の選択可能な選択肢は、「再生」、「一時停止」、「再開」および「停止」を含み、アニメーション1の選択肢は、機器1から機器2への「移動」だけを含んでいる。
【0023】
図4は、本実施形態による異なるレンダリング機器上のマルチメディア・コンテンツをレンダリングする方法を説明するフローチャートである。
【0024】
ステップ401で、2つ以上のレンダリング機器を所有するユーザは、マルチメディア・コンテンツのリクエストを送信する。例えば、レンダリング機器は、別々の接続を用いることにより配信機器と接続しており、互いに直接には通信しない。リクエストを送信するためにユーザに用いられる機器は、複数のレンダリング機器のうちの1つであってもよく、あるいは、コマンドを送信するためにユーザに用いられるだけの専用制御機器であってもよい。ここで、マルチメディア・コンテンツは、互いに同期された2つ以上の基本コンテンツを有する。同期は、ここでは、ビデオとオーディオとの間の同期を意味するばかりでなく、時間軸における対応関係、例えば、基本コンテンツ間の開始時間の関係も含まれ、上記例では、テキスト広告の開始時間は、同じ時間軸におけるビデオの開始時間の100秒遅れである。
【0025】
ステップ402で、配信機器は、リクエストされたマルチメディア・コンテンツの環境設定ファイルを配信機器から受信する。環境設定ファイルは、事前に設定され、あるいは、ユーザのリクエストに基づいて同時に作成され得る。ここで、図3に示した環境設定ファイルを本実施形態の説明のための一例として用いる。リクエストされたマルチメディア・コンテンツの環境設定ファイルは、基本コンテンツの制御情報および同期情報を示す。3つの基本コンテンツ、即ち、アニメーション1、オーディオ1およびビデオ1は、「開始」パラメータおよび同期メカニズム(図3には図示せず)を用いて同期される。「開始」パラメータは、マルチメディア・コンテンツと関連付けられた時間軸において基本コンテンツのレンダリングを開始する時間を示す。同期メカニズムは、基本コンテンツをレンダリングしている間、基本コンテンツの後続データを同期することに用いられるメカニズムである。例えば、ビデオおよびオーディオ・パケットに関連付けられたタイムスタンプを、ビデオおよびオーディオの後続データを同期することに用いることができる。ここで、アニメーション1は、その再生データをビデオ1およびオーディオ1と同期する必要がないので、アニメーション1は、「同期」のタグから除外される。さらに、タイムスタンプ同期メカニズムがデフォルトの同期機構として設定される。環境設定ファイルに示されていない限りは、タイムスタンプ同期メカニズムが、「同期」のタグに含まれる基本コンテンツに用いられるであろうということを黙示的に示す。加えて、ファイルにおいて同期手段として利用される他のタイム・コード、ビデオおよびオーディオのアプリケーションを用いることができる。これらのタイム・コードは、タイミング・システムによって等間隔で生成された数値コードのシーケンスとして特徴付けられる。本例における制御情報は、宛先レンダリング機器および各基本コンテンツの動作を示す。また、リクエストされたマルチメディア・コンテンツの環境設定ファイルは、配信機器に記憶される。
【0026】
ステップ403で、配信機器は、ステップ402で受信した環境設定ファイルに基づいて各レンダリング機器の環境設定ファイルを作成し、作成した各環境設定ファイルをそれらの対応する各レンダリング機器へそれぞれ送信する。図5および図6は、機器1および機器2の環境設定ファイルをそれぞれ示している。
【0027】
ステップ404で、配信機器は、リクエストされたマルチメディア・コンテンツを搬送するマルチメディア・ストリームを受信する。
【0028】
ステップ405で、配信機器は、基本コンテンツとレンダリング機器との間の対応関係に従ってマルチメディア・ストリームを配信し、当該対応関係は、マルチメディア・コンテンツの環境設定ファイルから抽出される。
【0029】
図7は、本実施形態によるマルチメディア・コンテンツを搬送するマルチメディア・ストリームの配信を示すフローチャートである。
【0030】
ステップ701で、配信機器は、マルチメディア・コンテンツを搬送するマルチメディア・ストリームを、各々が基本コンテンツを搬送する2つ以上のエレメンタリ・ストリームに逆多重化する。
【0031】
ステップ702で、配信機器は、エレメンタリ・ストリームとレンダリング機器との間の対応関係に従って、2つ以上のエレメンタリ・ストリームを送信する。また、配信機器は、一部または全ての基本コンテンツの送信前に、それらのコンテンツ適応を実行し得る。
【0032】
本実施形態の変形例によれば、全てのエレメンタリ・ストリームは、基本コンテンツとレンダリング機器との間の対応関係に従って2つ以上のグループに分類でき、当該2つ以上のグループは適宜送信される。例えば、マルチメディア・ストリームを逆多重化して、2つ以上のレンダリング機器に対応する、エレメンタリ・ストリームの2つ以上のグループを作成する。図3に示した例では、マルチメディア・ストリームは、エレメンタリ・ストリームの2つのグループ、例えば、機器1に対応するビデオ1およびアニメーション1を含むグループ1と、機器2に対応するオーディオ1を含むグループ2とに分割される。
【0033】
本実施形態の変形例によれば、レンダリング機器の環境設定ファイルは、基本コンテンツの送信とともに送信することができる。
【0034】
本実施形態の変形例によれば、環境設定ファイルは、基本コンテンツの宛先レンダリング機器を示す情報だけを持つように設定される。
【0035】
本実施形態の変形例によれば、RMサーバから受信する以外に、環境設定ファイルは、配信機器において静的に設定されるか、あるいは、マルチメディア・コンテンツの設定ファイルを維持するために用いられる専用制御機器から受信される。また、配信機器は、全ての基本コンテンツの再生同期をより正確にするために、定期的に、設定ファイルを作成して対応するレンダリグ機器へ送信する。
【0036】
本実施形態の変形例によれば、マルチメディア・コンテンツは、レンダリング機器のうちの1つに記憶される。レンダリング機器がストリーミング機能を有していなければ、ストリーミング・モジュールを追加した配信機器が、マルチメディア・コンテンツをフェッチして、それをストリームする。
【0037】
本実施形態の変形例によれば、制御情報および同期情報は、別々の環境設定ファイルで送信されるか、あるいは、異なる方法で定められ得る。例えば、制御情報は配信機器に事前に記憶され、同期情報は環境設定ファイルで受信する。さらに、配信機器を、制御情報および/または同期情報を作成することに用いることも可能である。
【0038】
異なるレンダリング機器上の基本コンテンツの再生中、インタラクティブ・メッセージまたは制御メッセージが、レンダリング機器のうちの1つまたは他の専用制御機器から送信され得る。それがインタラクティブ・メッセージ、例えば、投票や他のマルチメディア・コンテンツに変更するメッセージである場合、そのメッセージは、処理のためにインタラクティブ・サーバへ送信され、インタラクティブ・サーバは現在のRMシステムと同様に機能する。しかしながら、それがマルチメディア配信の変更をリクエストする制御メッセージである場合、そのメッセージは、直接または制御メッセージを中継するインタラクティブ・サーバを介して、処理のために配信機器へ送信される。ここで、マルチメディア配信の概念には、制御情報、例えば、基本コンテンツの宛先機器の変更だけでなく、同期情報、例えば、基本コンテンツの開始時間の変更や同期メカニズムの変更等も含まれる。メッセージが配信機器へ直接送信される場合には、配信機器は、サーバが何らかの目的でそのような情報を必要とする場合に、そのような変更をサーバに通知する。
【0039】
図8は、本実施形態によるマルチメディア・コンテンツの配信を変更する方法を示すフローチャートである。
【0040】
ステップ801で、配信機器は、マルチメディア・コンテンツの配信を変更するリクエストを受信する。
【0041】
ステップ802で、配信機器は、そのリクエストに基づいて、マルチメディア・コンテンツの環境設定ファイルを更新する。
【0042】
ステップ803で、配信機器は、各レンダリング機器の環境設定ファイルを作成し、各環境設定ファイルをそれらに対応する各レンダリング機器へ送信する。
【0043】
ステップ804で、配信機器は、基本コンテンツとレンダリング機器との間の関係に基づいて、マルチメディア・コンテンツを搬送するマルチメディア・ストリームを配信し、その関係は、マルチメディア・コンテンツの更新された環境設定ファイルから抽出される。
【0044】
本実施形態の変形例によれば、マルチメディア・コンテンツの配信を変更するリクエストは、RMサーバへ送信され、その後、RMサーバが、マルチメディア・コンテンツの更新された環境設定ファイルを作成し、配信機器へ送信する。
【0045】
図3に示した例をさらに用いて、宛先機器の変更について以下に説明する。機器1上のアニメーション1について「移動」動作が開始されると、機器1は、対応するインストラクションを配信機器へ送信する。次に、配信機器は環境設定ファイルをそれに応じて更新する(図9に図示)。更新後、配信機器は、機器1および機器2の環境設定ファイル(図10および図11に図示)を作成し、それらを機器1および機器2へそれぞれ送信する。
【0046】
同期情報の変更について以下に説明する。ビデオ1について「一時停止」動作が開始されると、ビデオ1は、ビデオ1と同じ状態、即ち一時停止状態にオーディオ1を同期させるために、対応するインストラクションを配信機器へ送信する。図12、図13および図14は、それぞれ、本実施形態による、配信機器における更新された設定ファイル、機器1の設定ファイル、および機器2の設定ファイルを示している。
【0047】
図15は、本実施形態による、上述した方法の適用を示すシステム図である。このシステムにおいて、曲を再生可能なミュージック・ボックスが、UPnPインタフェースを介してホーム・ゲートウェイに接続され、携帯電話が、無線インタフェースを介して無線アクセス・ポイント(AP)に接続されている。曲、歌詞、同期情報および制御情報が、リッチ・メディア・サーバから送信される。ホーム・ゲートウェイは配信機器として動作し、即ち、ホーム・ゲートウェイは、再生のために、曲並びにそれに関連する同期情報および制御情報をミュージック・ボックスへ配信し、表示のために、曲の歌詞並びにそれに関連する同期情報および制御情報を携帯電話へ配信する。歌詞と曲とは、同期情報および制御情報を用いて同期される。また、携帯電話は、インストラクションをホーム・ゲートウェイに送信することにより、曲と歌詞の再生を制御する機能、例えば、再生、一時停止、再開の機能を備えている。
【0048】
本実施形態の変形例によれば、マルチメディア・コンテンツは、サーバ以外にクライアント機器から供給され、それは、マルチメディア・コンテンツが第1のクライアント機器に記憶されていることを意味し、配信機器は、マルチメディア・コンテンツに関連付けられた環境設定ファイルに従って、第1のクライアント機器からマルチメディア・コンテンツを取得し、そのマルチメディア・コンテンツをいくつかのクライアント機器へ配信する。そのいくつかのクライアント機器には、第1のクライアントが含まれてもよいし、含まれなくてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態について説明してきたが、種々の変更がなされ得ることが理解されるであろう。例えば、他の実施形態を実現するために、異なる実施形態の要素が組み合わせられ、補完され、修正され、または削除され得る。さらに、当業者は、他の構造および処理を開示されたものと置き換えることが可能であること、および、結果として得られる実施形態は、開示した実施形態と少なくとも実質的に同一の結果を達成するために、少なくとも実質的に同一の方法で、少なくとも実質的に同一の機能を果たすことを理解するであろう。従って、これらおよび他の実施形態は本発明の範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチメディア・コンテンツを少なくとも2つのレンダリング機器へ配信する方法であって、前記マルチメディア・コンテンツは、少なくとも2つの基本コンテンツを有しており、
前記少なくとも2つのレンダリング機器と前記少なくとも2つの基本コンテンツとの間の関係に基づいて、前記マルチメディア・コンテンツの同期情報を配信するステップであって、該同期情報は、前記少なくとも2つの基本コンテンツ間の同期関係を示す、前記配信するステップと、
前記マルチメディア・コンテンツを搬送するマルチメディア・ストリームを受信するステップと、
前記少なくとも2つのレンダリング機器と前記少なくとも2つの基本コンテンツとの間の前記関係に基づいて、前記マルチメディア・ストリームを配信するステップと、
を含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つのレンダリング機器の前記少なくとも2つの基本コンテンツの再生は、各レンダリング機器に配信された同期情報に基づいて同期されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記同期情報を配信するステップは、
前記少なくとも2つの基本コンテンツに関する少なくとも2組の同期情報を生成するステップであって、各々の組は、前記少なくとも2つのレンダリング機器の1つと対応し、かつ、対応する前記レンダリング機器に関連付けられた少なくとも1つの基本コンテンツの同期情報を含んでいる、前記生成するステップと、
前記少なくとも2組の同期情報をそれらの対応する各レンダリング機器へ送信するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記マルチメディア・ストリームを配信するステップは、
前記マルチメディア・ストリームを少なくとも2つのグループのエレメンタリ・ストリームに逆多重化するステップであって、各エレメンタリ・ストリームは前記マルチメディア・コンテンツの基本コンテンツを搬送し、各グループは少なくとも2つのレンダリング機器の1つに対応している、前記逆多重化するステップと、
前記少なくとも2つのグループのエレメンタリ・ストリームをそれらの対応する各レンダリング機器へ送信するステップと、
をさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくともレンダリング機器と前記少なくとも2つの基本コンテンツとの間の前記関係および/または前記マルチメディア・コンテンツの同期情報は、事前に設定され、制御機器から受信されるか、あるいは、前記マルチメディア・コンテンツをリクエストするインストラクションに応答して生成されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記マルチメディア・コンテンツが前記複数のレンダリング機器のうちの特定のレンダリング機器に記憶されており、
前記マルチメディア・コンテンツを記憶する前記特定のレンダリング機器がストリーミング機能を有している場合、前記マルチメディア・コンテンツのマルチメディア・ストリームを前記特定のレンダリング機器から受信するステップと、
前記特定のレンダリング機器がストリーミング機能を有していない場合、前記マルチメディア・コンテンツを受信してストリーミングするステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記マルチメディア・コンテンツの配信を変更するインストラクションに応答し、
前記少なくとも2つのレンダリング機器と前記少なくとも2つの基本コンテンツとの間の更新された関係および/または前記マルチメディア・コンテンツの更新された同期情報を定めるステップと、
前記少なくとも2つのレンダリング機器と前記少なくとも2つの基本コンテンツとの間の前記更新された関係に基づいて、前記マルチメディア・コンテンツの前記更新された同期情報を配信するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
更新された関係および/または更新された同期情報を定める前記ステップは、
前記マルチメディア・コンテンツの配信を変更するインストラクションを受信するステップと、
前記受信したインストラクションに基づいて、前記少なくとも2つのレンダリング機器と前記少なくとも2つの基本コンテンツとの間の前記関係および/または前記マルチメディア・コンテンツの同期情報を更新するステップと、
をさらに含むか、あるいは、
前記少なくとも2つのレンダリング機器と前記少なくとも2つの基本コンテンツとの間の前記更新された関係および/または前記マルチメディア・コンテンツの前記更新された同期情報を制御機器から受信するステップ、
を含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つのレンダリング機器と前記少なくとも2つの基本コンテンツとの間の現在の関係に基づいて、前記マルチメディア・コンテンツの現在の同期情報を定期的に配信するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも2つのレンダリング機器と前記少なくとも2つの基本コンテンツとの間の前記関係は、基本コンテンツの宛先レンダリング機器を示すことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
マルチメディア・コンテンツを少なくとも2つのレンダリング機器に配信する装置であって、前記マルチメディア・コンテンツは少なくとも2つの基本コンテンツを有し、
前記少なくとも2つのレンダリング機器と前記少なくとも2つの基本コンテンツとの間の関係を記憶するように構成された記憶モジュールと、
前記少なくとも2つの基本コンテンツ間の同期関係を示す前記マルチメディア・コンテンツの同期情報を受信し、かつ、前記マルチメディア・コンテンツを搬送するマルチメディア・ストリームを受信するように構成された受信モジュールと、
前記少なくとも2つのレンダリング機器と前記少なくとも2つの基本コンテンツとの間の前記関係に基づいて、前記同期情報を前記少なくとも2つのレンダリング機器に配信し、かつ、前記少なくとも2つのレンダリング機器と前記少なくとも2つの基本コンテンツとの間の前記関係に基づいて、前記受信モジュールを介して受信した前記マルチメディア・ストリームを配信するように構成された処理モジュールと、
を有する前記装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2012−528501(P2012−528501A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512296(P2012−512296)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056477
【国際公開番号】WO2010/136332
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】1−5, rue Jeanne d’Arc, 92130 ISSY LES MOULINEAUX, France
【Fターム(参考)】