説明

マルチモードファイバの有効帯域幅の計算方法

【課題】あるビットエラーレートでのパワーペナルティをよく表す有効帯域幅を計算する。
【解決手段】あるビットエラーレートにおけるマルチモードファイバのパワーペナルティを評価する方法は、マルチモードファイバ中へのコア半径を超える光の異なるオフセットローンチにそれぞれ対応する基本ファイバ応答のセットを測定することと、基本ファイバ応答の異なるオフセットローンチに応じて、重み係数および遅延のセットを基本ファイバ応答のセットに適用することにより、全体的なファイバ応答を生成することと、全体的なファイバ応答からファイバパワーペナルティを表すパラメータを計算することを含む。重み係数のセットは、互いに相対的に時間遅延された重み係数のいくつかのサブセットを含み、少なくとも一つの相対的な時間遅延はゼロに設定されず、そして各サブセットの重み係数は基本ファイバ応答の異なるオフセットローンチによって決まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチモードファイバの有効帯域幅の計算方法に関し、特に、ファイバが光通信システムに実装されたときに、あるビットエラーレートでのファイバのパワーペナルティを評価することを含むマルチモードファイバの有効帯域幅の計算方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マルチモードファイバは、横方向マルチモード面発光レーザ「VCSEL」を一般的に用いる高速光源と一緒に、高速データネットワークに用いられる。歴史的に、ビットレートは、イーサネット(登録商標)リンクにおいては10ギガビット毎秒(Gbps)、ファイバチャンネルリンクにおいては14Gbpsに制限されており、距離は、400m未満、大抵100m未満に制限されていた。
【0003】
大きなデータセンターの制約を満たすため、および帯域幅に対する絶えず増大する需要に応じるために、このようなデータネットワークは、波長分散劣化に対処しなければならない。波長分散劣化は、通常は横方向マルチモードである光源のスペクトル幅に依存し、スペクトル幅が大きくなると、波長分散劣化が大きくなる。
【0004】
400m(例えば550m)を超える長さを有し、スペクトル的に広いVCSEL、および25Gbpsで動作するVCSEL(これらはまだ商品化されていない)に対し少なくとも10Gbpsで動作する光リンクは、長さが約300mと短く、10Gbpsのビットレートで動作する光リンクよりも波長分散によって影響を受ける。光リンクの長さが長くなり、且つデータビットレートが高くなると、光リンクは、波長分散によってより大きな影響を受ける。長さの長いおよび/またはビットレートの高い光リンクにおいて、波長分散を軽減することが必要になる。波長分散を軽減するいくつかの選択肢は、スペクトル的に狭い光源を用いることと、波長分散を補償することを含む。
【0005】
スペクトル的に狭い光源(例えば、シングルまたは準シングルモード光源)は高価であるので、マルチモードファイバ自体の内部で波長分散を補償することはより費用効果が高い方法である。マルチモードファイバ中での波長分散の補償は、一部は波長分散とモード分散との間の相互作用に基づく。完全なアルファ(α)プロファイルに対し、ある動作波長に対する最適条件をわずかに下回るアルファを示すマルチモードファイバは、典型的な横方向マルチモード光源のスペクトル幅に固有の波長分散を部分的に補償することが示されている。
【0006】
しかしながら、実際には、屈折率プロファイルはこのような望ましい特性を備えるファイバだけを製造するのに十分なほど正確に制御可能ではない。結果として、ファイバ選択が基づくモード分散を評価するためにディファレンシャル・モード遅延(DMD)測定が全てのマルチモードファイバに行われる。しかしながら、この目的のために十分な精度でそのDMDプロットからファイバのアルファを正確に評価することは実現可能ではない。マルチモードファイバの製造では、マルチモードファイバは完全なアルファプロファイルを示さず、通常複雑なDMDパターンを示すからである。
【0007】
この問題に対する1つのアプローチは、有効モード帯域幅を計算すること(EMBc)を含む。この計算は、モード分散のみを評価し、従って、波長およびモード分散の相互作用に起因する帯域幅を評価しない。有効モード帯域幅は、VCSELローンチ(VCSEL launch)の時間的変化を計算するために、全コア半径にわたって異なるオフセットローンチ(offset launch)に対して記録されたトレース(すなわち、DMDプロット)の加重和を用いて計算される。重み係数は、重み関数と呼ばれ、各オフセットローンチはある重みに対応する。このアプローチに対する1つの欠点は、光リンクの長さおよび/または光リンクのデータビットレートが大きくなると、あるビットエラーレートでのパワーペナルティを表す計算された有効モード帯域幅が次第に少なくなることである。
【0008】
欧州特許出願EP2144096号に記載された別のアプローチでは、モード分散とおよび波長分散の相互作用を部分的に説明するためにDMDパターンが修正され、その後EMBc計算に用いるのと類似の重み関数を使用してこの修正されたDMDパターンを使って有効帯域幅が計算される。この第2のアプローチは、マルチモードファイバが完全なアルファに近く、単純なDMDパターンであるときにうまくいくが、マルチモードファイバが完全なアルファプロファイルから離れ始める、および/または複雑なDMDパターンを示すときには、計算された有効帯域幅は、あるビットエラーレートでのパワーペナルティを表さなくなる。
【0009】
米国特許出願US2010/0315620号に記載された第3のアプローチでは、第1半径とより大きな半径との間に負のピーク遅延差を示すときにマルチモードファイバが選択される。このアプローチの1つの欠点は、非常に感度の高い測定であり、その結果、特にDMDパターンが複雑な場合には、マルチモードファイバ性能を十分に表さないということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、上述の欠点を軽減することである。もう一つの側面では、本発明は、あるビットエラーレートでのパワーペナルティを従来のアプローチよりもよく表す有効帯域幅を計算することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、マルチモードファイバに関してより代表的な有効帯域幅を計算するために、全体としてマルチモードファイバ中に出射された光のために設けられる単一の重み関数(この単一の重み関数は、DMDプロットの時間のオフセットに適用される)を用いるのではなく、マルチモードファイバ中に出射された光の異なる横方向モードそれぞれのために設けられたいくつかの異なる重み関数(異なる重み関数のそれぞれは、DMDプロットの時間のオフセットに適用される)を用いることが提案される。
【0012】
本発明の一実施形態に従って計算された有効帯域幅は、システム性能とより相関しており、光リンクの特徴、特にその長さおよびデータビットレートに応じて、より正確且つ確実なマルチモードファイバの選択を可能とする。計算された有効帯域幅は、出射されたレーザ光の異なる横方向モードにそれぞれ応じた重み関数の異なるサブセットを使用して、重み係数のサブセットが重み関数のサンプルである、重み係数の単一のセットを使用した場合よりも、あるビットエラーレートでのパワーペナルティをより良く表している。
【0013】
本発明の実施形態によれば、あるビットエラーレートでのファイバパワーペナルティを表す別のパラメータ、例えばファイバ伝達関数、が計算され得る。マルチモードファイバは、光システムの光リンクに用いることができる。このマルチモードファイバを光システムに導入することは、システム性能および信号伝送にペナルティをもたらす。計算されたパラメータは、このファイバペナルティを表す。
【0014】
言い換えれば、本発明は、あるビットエラーレートでのマルチモードファイバ(4)のパワーペナルティを評価する方法に関し、マルチモードファイバ中へのコア半径を超える光の異なるオフセットローンチ(r)にそれぞれ対応する基本ファイバ応答のセットを測定する、ディファレンシャル・モード遅延測定のステップ(S1)と、基本ファイバ応答の異なるオフセットローンチ(r)にそれぞれ応じて、重み係数および時間遅延のセットを基本ファイバ応答のセットに適用することにより、全体的なファイバ応答を生成するステップ(S2)と、全体的なファイバ応答からファイバパワーペナルティを表すパラメータを計算するステップ(S5)とを備える。全体的なファイバ応答を計算するステップ(S5)において、重み係数のセットは、互いに相対的に時間遅延された重み係数のいくつかのサブセット(W(r,1)〜W(r,6))を含んでおり、少なくとも一つの相対的な時間遅延は、ゼロに設定されず、各サブセットの重み係数は、それぞれ基本ファイバ応答の異なるオフセットローンチ(r)によって決まる。
一実施形態では、ファイバパワーペナルティを表す計算されたパラメータは、マルチモードファイバ(4)の有効帯域幅である。
別の実施形態では、重み係数の各サブセット(W(r,1)〜W(r,6))は、レーザ光源の一つの横方向モードのみに対応する部分的ファイバ応答を生成するために、基本ファイバ応答の同じセットに適用され(S3)、および/または時間遅延は、レーザ光源の一つの横方向モードのみに対応する各部分的ファイバ応答に適用され(S4)、および/または全体的なファイバ応答は、異なる遅延された部分的ファイバ応答の和として構築される(S5)。
さらに別の実施形態では、それぞれの時間遅延は、レーザ光源の波長と、ファイバの波長分散と掛け合わされたレーザ光源の中心波長との間のそれぞれの差の積として計算される。
さらに別の実施形態では、重み係数および時間遅延は、レーザ光源のスペクトル幅の二乗平均平方根(RMS)が0.2nmを超えるように、好ましくは0.3nmを超えるように、より好ましくは0.4nmを超えるように、さらにより好ましくは0.6nmを超えるように選択される。
さらに別の実施形態では、レーザ光源の中心波長は、840nm〜860nmのスペクトル範囲内に含まれる。
さらに別の実施形態では、レーザ光源の最大波長と最小波長間の差は、0.6nmを超える、好ましくは1nmを超える、より好ましくは1.5nmを超える。
さらに別の実施形態では、ディスクリートな重み係数間への重み係数のサブセット(W(r,1)〜W(r,6))の補間に重み関数が対応しており、それぞれの重み関数(Wi)に従う領域(Ai)は、レーザ光源の対応する波長のパワーにそれぞれ比例する。
さらに別の実施形態では、重み係数のセットは、少なくとも4個の重み係数のサブセット(W(r,1)〜W(r,6))を含む。
さらに別の実施形態では、重み係数のセットは、多くても10個の重み係数のサブセット(W(r,1)〜W(r,6))を含む。
さらに別の実施形態では、重み係数(W(r,i))は、重み係数のサブセット(W(r,1)〜W(r,6))に対応する出射光の各横方向モード(LPxy)に対して、ファイバモード間におけるシミュレーションされた出射光のパワー分布と測定された出射光のパワー分布との差を計算するステップ(S10)を、計算された差の加重和が最小化されるまで繰り返すことを含む数値最適化を通じて取得され、計算された差の相対的な重み付けは、出射光の対応する横方向モード(LPxy)の相対的な放射パワーに対応する。
さらに別の実施形態では、ファイバペナルティの代表的パラメータは、異なるレーザ光源に対応する重み係数および関連する時間遅延の異なるセットで数回計算され、最悪の計算されたパラメータまたは最悪のパラメータの5パーセンタイルのどちらか一方が保持される。
さらに別の実施形態では、ファイバ選択は、計算されたパラメータの値に応じてなされる。
さらに別の実施形態では、計算されたパラメータは、有効帯域幅であり、ファイバ選択は、850nmで3000MHz−kmを超える、好ましくは850nmで3500MHz−kmを超える、より好ましくは850nmで4000MHz−kmを超える有効帯域幅を示すファイバを保持する。
さらに別の実施形態では、ディファレンシャル・モード遅延測定は、1μmステップで、好ましくは0.5μmステップで行われる。
さらに別の実施形態では、ファイバコア半径は、10μmを超える、好ましくは20μmを超える、より好ましくは30μmを超える、さらにより好ましくは37μmを超える。
さらに別の実施形態では、ファイバ開口数は、0.17を超える、好ましくは0.185を超える、より好ましくは0.25を超える。
さらに別の実施形態では、追加的なファイバ選択が行われる。追加的なファイバ選択は、所定の閾値を超える有効モード帯域幅を示すファイバのみを保持する。
さらに別の実施形態では、追加的なファイバ選択が行われる。追加的なファイバ選択は、850nmで4700MHz−kmを超える有効モード帯域幅を示すファイバのみを保持する。
本発明を限定するつもりはないが、本発明は重みのセットを用いており、これらの重みのそれぞれに対して遅延が存在するということがあり得る。ファイバ応答を構築し且つシステムの動作を予測するために、重みおよび遅延の両方が本発明者により用いられる。ファイバがマルチモードレーザ光源とともに使用されたときの波長分散とモード分散の相互作用を説明するために、本発明は、(EMBcと区別するために)用いられる重みの少なくとも2セット、(EBcと区別するために)(厳密に)正数である少なくとも2つの係数を有する重みの各セット、および(EMBcと区別するために)互いに異なる関連する遅延を有するこれらの重みのそれぞれ、などの重みおよび関連する遅延を取り扱う。
【0015】
前述の目的および他の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る方法は、あるビットエラーレートにおけるマルチモードファイバのパワーペナルティを評価する。この方法は、マルチモードファイバ中へのコア半径を超える光の異なるオフセットローンチにそれぞれ対応する基本ファイバ応答のセットを測定することを含むディファレンシャル・モード遅延測定ステップと、基本ファイバ応答の異なるオフセットローンチにそれぞれ応じて、重み係数および時間遅延のセットを基本ファイバ応答のセットに適用することにより、全体的なファイバ応答を生成するステップと、全体的なファイバ応答からファイバパワーペナルティを表すパラメータを計算するステップとを含む。この方法はさらに、全体的なファイバ応答を生成するステップにおいて、互いに相対的に時間遅延された重み係数のいくつかのサブセットを含む重み係数のセットを含んでおり、少なくとも一つの相対的な時間遅延はゼロに設定されず、各サブセットの重み係数はそれぞれ基本ファイバ応答の異なるオフセットローンチによって決まる。
【0016】
さらなる実施形態では、ファイバパワーペナルティを表す計算されたパラメータは、マルチモードファイバの有効帯域幅である。
【0017】
さらなる実施形態では、重み係数の各サブセットは、レーザ光源の一つの横方向モードのみに対応する部分的ファイバ応答を生成するために、基本ファイバ応答の同じセットに適用される。
【0018】
さらなる実施形態では、時間遅延は、レーザ光源の一つの横方向モードのみに対応する各部分的ファイバ応答に適用される。
【0019】
さらなる実施形態では、全体的なファイバ応答は、異なる遅延された部分的ファイバ応答の和として構築される。
【0020】
さらなる実施形態では、それぞれの時間遅延は、レーザ光源の波長と、ファイバの波長分散と掛け合わされたレーザ光源の中心波長との間のそれぞれの差の積として計算される。
【0021】
さらなる実施形態では、重み係数および時間遅延は、レーザ光源のスペクトル幅の二乗平均平方根(RMS)が0.2nmを超えるように、好ましくは0.3nmを超えるように、より好ましくは0.4nmを超えるように、さらにより好ましくは0.6nmを超えるように選択される。
【0022】
さらなる実施形態では、レーザ光源の中心波長は、840nm〜860nmのスペクトル範囲内である。
【0023】
さらなる実施形態では、レーザ光源の最大波長と最小波長間の差は、0.6nmを超える、好ましくは1nmを超える、より好ましくは1.5nmを超える。
【0024】
さらなる実施形態では、ディスクリートな重み係数間への重み係数のサブセットの補間に重み関数が対応しており、それぞれの重み関数に従う領域は、レーザ光源の対応する波長のパワーにそれぞれ比例する。
【0025】
さらなる実施形態では、重み係数のセットは、少なくとも4個の重み係数のサブセットを含む。
【0026】
さらなる実施形態では、重み係数のセットは、多くても10個の重み係数のサブセットを含む。
【0027】
さらなる実施形態では、重み係数は、重み係数のサブセットに対応する出射光の各横方向モードに対して、ファイバモード間におけるシミュレーションされた出射光のパワー分布と測定された出射光のパワー分布との差を計算するステップを、計算された差の加重和が最小化されるまで繰り返すことを含む数値最適化を通じて取得され、計算された差の相対的な重み付けは、出射光の対応する横方向モードの相対的な放射パワーに対応する。
【0028】
さらなる実施形態では、ファイバペナルティの代表的パラメータは、異なるレーザ光源に対応する重み係数および関連する時間遅延の異なるセットで数回計算され、最悪の計算されたパラメータまたは最悪のパラメータの5パーセンタイルのどちらか一方が保持される。
【0029】
さらなる実施形態では、ファイバ選択は、計算されたパラメータの値に応じてなされる。
【0030】
さらなる実施形態では、計算されたパラメータは、有効帯域幅であり、ファイバ選択は、850nmで3000MHz−kmを超える、好ましくは850nmで3500MHz−kmを超える、より好ましくは850nmで4000MHz−kmを超える有効帯域幅を示すファイバが保持される。
【0031】
さらなる実施形態では、ディファレンシャル・モード遅延測定は、1μmステップで、好ましくは0.5μmステップで行われる。
【0032】
さらなる実施形態では、ファイバコア半径は、10μmを超える、好ましくは20μmを超える、より好ましくは30μmを超える、さらにより好ましくは37μmを超える。
【0033】
さらに別の実施形態では、ファイバ開口数は、0.17を超える、好ましくは0.185を超える、より好ましくは0.25を超える。
【0034】
さらなる実施形態では、所定の閾値を超える有効モード帯域幅を示すファイバのみが保持される追加的なファイバ選択が行われる。
【0035】
さらなる実施形態では、850nmで4700MHz−kmを超える有効モード帯域幅を示すファイバのみが保持される追加的なファイバ選択が行われる。
【0036】
本発明の一部の実施形態によれば、重み係数は全てゼロまたは正数であり、各サブセットの和は正数である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して、限定されない実施例として与えられる以下の本発明の実施形態の説明から明らかになる。
【0038】
【図1】マルチモードファイバを含む光通信システムの一例を示す図である。
【0039】
【図2】面発光レーザ光源の異なるモードの強度プロファイルの一例を示す。
【0040】
【図3】面発光レーザ光源の光スペクトルの一例を示す。
【0041】
【図4】図4aおよび4bは、異なるマルチモードファイバに関して測定されたDMDプロットの例を示す。
【0042】
【図5】面発光レーザ光源の異なるモードにより誘発されるファイバモードのパワー分布の一例を示す。
【0043】
【図6】図5の面発光レーザ光源の異なるモードにより誘発されるファイバモードパワー分布を表す重み関数のファミリーの一例を示す。
【0044】
【図7】図7a〜7fは、面発光レーザ光源の6つのモードに関し、実際のファイバモードパワー分布と図6の重み関数で取得されたファイバモードパワーとの比較例を示す。
【0045】
【図8】図8a〜8dは、550mのリンク長に対し10Gbpsのデータビットレートにおいて、あるビットエラーレートでのパワーペナルティと、最小有効モード帯域幅(図8a)、本発明の実施形態に係る有効帯域幅(図8b)、従来技術に従って計算された有効帯域幅(図8c)、および従来技術のピーク遅延(図8d)、との間の測定された対応の比較例を示す。
【0046】
【図9】本発明の実施形態に係る有効帯域幅計算方法により実行される種々のステップおよびサブステップの一例を示す。
【0047】
【図10】本発明の実施形態に係る有効帯域幅計算方法により用いられる重み係数を決定するために行われる種々のステップの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、マルチモードファイバを含む光通信システムの一例を示す。マルチギガビットイーサネット(登録商標)光通信システムは、続けて、送信器1のドライバ8、送信器1のVCSEL光源9、ローンチコード(launch cord)2、コネクタ3、本有効帯域幅計算方法の対象であるマルチモードファイバ4、コネクタ3、ローンチコード2、受信器5のPINダイオード6、および受信器5のアンプ7を備える。10Gbpsや25Gbpsのデジタル信号は、VCSEL光源9を直接変調するドライバ8により生成される。
【0049】
図2は、面発光レーザ光源の異なるモードの強度分布の一例を示す。図1のような高速VCSEL光源は、通常は、横方向にマルチモードおよび縦方向にシングルモードである。ここでは、それらが含む全レーザ光源パワーの割合が高いという理由で最重要なモードのうちから、6個の異なる横方向モードが示されている。LP01横方向モード、LP11横方向モード、LP21横方向モード、LP02横方向モード、LP31横方向モード、LP12横方向モードが示されている。
【0050】
結果として、各VCSELモードは、マルチモードファイバに結合されたときに異なるファイバモードを励起する。この励起は、以下のような展開により数学的に記載される。
【数1】

これが数式1であり、ΨiVCSELおよびΨkfiberは、それぞれVCSEL光源9のi次モードおよびマルチモードファイバのk次モードである。|ai,k2は、k次ファイバモードへのi次VCSELモードの結合パワーである。
【0051】
図3は、面発光レーザの光スペクトルの一例を示す。mWで表された分布パワーPが、nmで表された波長ラムダの関数としてプロットされている。各VCSEL横方向モードは、それぞれの波長を示す。結果として、VCSELの光スペクトルは、図3に示されるように離散的である。この例では、最も大きなパワーがLP21横方向モードにより放射されている。中間レベルパワーがLP11横方向モード、LP01横方向モード、およびLP02横方向モードに分布している。低レベルのパワーがLP31横方向モードおよびLP12横方向モードに分布している。
【0052】
VCSELモードは同じゲインを共有しているので、ドライバ8の同じ電気信号により励起されるにもかかわらず、各VCSELモードはそれぞれの光信号s(t)を運ぶ。リンクにおける全てのファイバ、ローンチコード2およびマルチモードファイバ4は、同じ屈折率プロファイルを示し、且つコネクタ3は理想的であると見なすことができるので、便宜上、コネクタの影響は無視することができる。
【0053】
この条件の下で、i次VCSELモードにより励起された光波は、その後ファイバを通って進み、モード(β)および波長(β)分散および減衰αの影響を受ける。出力電磁場Ψoutは、以下のように表すことができる。
【数2】

これが数式2であり、ω=2πc/λおよびω=2πc/λはi次VCSELモードの波長であり、Lはファイバ長であり、

はsのフーリエ変換であり、

はk次ファイバモードの伝達関数である。
【数3】

ここで、α(dB/km)はk次モードの線形減衰であり、L(km)はファイバ長であり、αk,BL(dB/km)はk次モードに加えられた付随的損失(曲げ損失であり得る)、βk,0は伝搬定数であり、1/βk,1は群速度であり、βk,2はλでのk次モードの群速度分散である。
それ故、ファイバの出力に到達する光波は、以下のように表すことができる。
【数4】

これが数式3である。二次検出器が用いられること、および、検出器領域が十分に大きく、モードが異なる場合に検出器表面におけるファイバモード間の重なり積分が0となることを分かっており、各VCSELモードがスペクトル的に狭いので数式2の波長分散効果が無視される場合、および単純化するために減衰係数が無視される場合、
【数5】

従って、全信号は全ての信号の和に等しい。従って、以下のように導き出される。
【数6】

これが数式3である。
それ故、
【数7】

となる。ここで、
【数8】

である。
ここで、ωはスペクトルの中心波長の振動(pulsation)であり、波長分散は全てのファイバモードに対して同じである。
【数9】

従って、以下のようになる。
【数10】

内側のsに加えられる遅延は、従って2つの部分に分割される。
−モード分散のみに関する第1の部分:β1k(ω
−波長分散のみに関する第2の部分:
【数11】

本発明のアイデアは、重み関数のファミリーを通じて|ai,kを与えることと、関連する遅延
【数12】

を与えることにある。
β1k(ω)は、以下に説明するようなDMDプロットにより評価(算定)されるモード分散を定義する。
最終的に、VCSEL励起の下でのマルチモードファイバの伝達関数H(ω)は、以下のように定義することができる。
【数13】

これが数式4である。
数式4から、−3dBの帯域幅を計算することができ、それが有効帯域幅と呼ばれる。
【数14】

【0054】
図4aおよび4bは、それぞれ、2つの異なるマルチモードファイバに関して測定されたDMDプロットの例を示す。オフセットローンチr、すなわち、光がマルチモードファイバコアの中に出射されるマルチモードファイバのコア中心からの距離(μmで表される)で取得されたファイバ応答が、時間t(通常はns(およびファイバ長で正規化されるときにはps/m)で表される)の関数としてプロットされている。ディファレンシャル・モード遅延測定は、モード分散の製図を提供することで、マルチモードファイバのモード特性を特徴付ける1つの方法である。それは、10Gbpsで動作し、VCSEL光源を用いる高速ネットワークのために設けられるファイバの性能を評価するために、現在ファイバ製造業者により広く用いられている。DMD測定は、標準化手順IEC60793−1−49&TIA−FOTP−220に従って行われる。50μmのマルチモードファイバの特性解析のために開発されているので、この測定方法は、任意のマルチモードファイバ、特に大きい又は狭いコアサイズおよび/または異なる開口数のマルチモードファイバに容易に拡大適用することができる。
【0055】
コア半径50μmの2つの異なるマルチモードファイバに関し、850nmでのDMD測定の例が図4aおよび4bに図示されている。DMDは、マルチモードファイバの半径を横切るモード分散の製図(cartography)を提供する。実際に、このプロットの各ラインは、マルチモードファイバ半径を横切る一つの特定位置(グラフ上においてオフセットローンチと呼ばれる)において、850nmで5μmのモードフィールド径のシングルモードファイバを介して短レーザパルス(20psから1ns)が出射されたときの時間の関数としての出力放出(power evolution)に相当する。各オフセットローンチに対するファイバ応答HrDMDは、以下のように表すことができる。
【数15】

これが数式5であり、|br,kは、DMD測定の間にオフセットローンチrでマルチモードファイバのk次モード内での結合パワーである。
DMD測定から全体的なファイバ応答を構築するために、重み係数がパラメータW(r,i)およびτによって導入される。
【数16】

これが数式6である。
重み係数のパラメータW(r,i)は、以下のように選択される。
【数17】

これが数式7であり、τは以下のようになる。
【数18】

これが数式8である。
従って、数式6は数式4に相当する。
各k次ファイバモードは、それぞれのモード分散(β1k)および波長分散(β2k)を示す。それらは、m.s−1で表される時間遅延τ(λ)およびps/nm.kmで表されるC(λ)に関連し、通常VCSELの光スペクトルの中心波長であるλで計算される。それは以下のようになる。
【数19】

これが数式9である。
【数20】

これが数式10であり、波長がnmで表されるとき、cはm.s−1で表される光の速度である。
最終的に、
【数21】

ここで、τはps/mで表され、Cはps/nm-kmで表され、λおよびλはnmで表される。
【0056】
図5は、面発光レーザの異なるモードにより誘発されるファイバモードのパワー分布の一例を示す。それは、マルチギガビット伝送システムおよびDMD測定をモデル化するのに便利である。ここでは、ある送受信器を用いた複数のマルチモードファイバの300mのリンク長にわたる10Gbpsのデータビットレートでの伝送がモデル化されている。図5には、マルチモードファイバの18グループ内で6つの異なるレーザ光源のモードのパワー分布が示されている。相対パワーRPは、6つの異なるレーザ光源のモードのそれぞれに関し、マルチモードファイバモードグループ数(基本モード数(principal mode number)PMNとも呼ばれる)の関数として表されている。
【0057】
図6は、図5の面発光レーザの異なるモードにより誘発されるファイバモードパワー分布を表す重み関数のファミリーの一例を示す。W(r,i)≧0と仮定すると、これらの重み関数は、
【数22】

を実質的に最小化する。この最小化は、最小二乗法のようなよく知られたアルゴリズムを用いて行うことができる。
【0058】
各重み関数の相対的重みRWは、μmで表されるオフセットローンチrの関数としてプロットされている。VCSEL励起は、図6に示されるいくつかの異なる重み関数W(r,i)、出射光の横方向モードごとに一つの重み関数、および表1に示す遅延τのリストにより概算することができる。
【表1】

【0059】
これらの重み関数は、各VCSELモードにより実際に誘発されるモードパワー分布およびDMD測定の間のオフセットローンチ励起の加重和により取得されるモードパワー分布を公表する図6に示されるように、好適にVCSEL励起を再生する。
【0060】
各重み関数W(r,1)〜W(r,6)(W1〜W6とも呼ばれる)は、重み係数のサブセットのうち、ディスクリート(discreet)な重み係数であり、W(r,1)〜W(r,6)のそれぞれの和は、それぞれ、それらの対応する、レーザ光源によりマルチモードファイバ中に出射される光の横方向モード1〜6に比例している。図7a〜7fは、面発光レーザの6つのモードに関し、測定されたファイバモードパワー分布と図6の重み関数でシミュレーションされたファイバモードパワーとの比較例を示す。相対パワーRPは、6つの異なるレーザ光源のモードのそれぞれに関し、マルチモードファイバモードグループ数(基本モード数(principal mode number)PMNとも呼ばれる)の関数として表されている。測定およびシミュレーションされたパワー分布は、互いに非常に近く、それは6つの異なるレーザ光源のモードの全てに関して当てはまる。
【0061】
有効帯域幅を計算することは、以下のことを必要とする。
−第1に、各VCSELモードに対応する時間応答が計算される。
【数23】

ここで、sはDMD測定の間に各オフセットローンチに対して記録された時間応答であり、s0μmは中心ローンチに対する時間応答であり、s1μmは1μmのオフセットの時間応答、・・・である。
−第2に、全てのVCSELモード間の時間遅延が適用される。
(t−τ)(τ>0の場合)、(t,S(t))曲線は右にシフトされる。
−iVCSELモード応答が合計され、VCSELモード応答を取得する。
【数24】

最終的に計算される伝達関数の−3dB帯域幅は、以下のように定義される。
【数25】

ここで、Spulseは、DMD測定のために用いられる参照パルスである。
【0062】
実験条件に関する限り、ビットエラーレート測定は実在のファイバで行われる。重み関数および関連する重み係数は、類似のエンサークルドフラックスおよびスペクトル幅を示す光源に基づく所与のVCSELに対して理論的に導き出される。重み関数は、図6に公表されており、遅延τは表1に公表されている。
【0063】
指数法則(y=ax)と仮定すれば、Rは測定値と推定値(fitted value)との間の相関係数である。
【0064】
図8a〜8dは、550mのリンク長に対し10Gbpsのデータビットレートにおいて、あるビットエラーレートでのパワーペナルティと、最小有効モード帯域幅(図8a)、本発明の実施形態に係る有効帯域幅(図8b)、従来技術に従って計算された有効帯域幅(図8c)、および従来技術のピーク遅延(図8d)、との間の測定された対応の比較例を示す。
【0065】
10Gbpsにおいて、最も良い従来技術では83%の相関であるのと比較して、本発明に係る実施形態では91%の相関であること分かる。従って、本発明は、明らかに、従来技術よりも優れた測定値とシミュレーションした値と間の相関を示している。
【0066】
図8aは、従来技術の方法に関して39%の相関を示す。これは、図8bに示す本発明に係る方法の91%の相関よりもかなり低い。
【0067】
図8cは、第2の従来技術の方法に関して83%の相関を示す。これは、本発明に係る方法の91%の相関と比べて見劣りする。
【0068】
図8dは、第3の従来技術の方法に関して25%の相関を示す。これは、本発明に係る方法の91%の相関よりもかなり低い。
【0069】
図9は、本発明の実施形態に係る有効帯域幅計算方法により実行される種々のステップおよびサブステップの一例を示す。この計算方法は、DMD測定のステップS1と、ファイバ応答構築のステップS2、それ自身は、部分的ファイバ応答(パーシャル・ファイバ・レスポンス)構築のS3、部分的応答(パーシャル・レスポンス)を互いに遅延させるS4、および遅延された部分的応答を合計するS5の3つのサブステップに分割される、と、有効帯域幅計算のステップS6と、リンク長およびデータビットレート決定のステップS7とを備える。ステップS1では、ディファレンシャル・モード遅延測定がマルチファイバに対して行われる。マルチモードファイバ中への光の異なるオフセットローンチにそれぞれ対応する基本ファイバ応答のセットが測定される。レーザ光がシングルモードファイバの出力からマルチモードファイバの入力に出射され、マルチモードファイバコアの中心からの異なる距離において特性が明らかにされる。
【0070】
ステップS2では、3つのサブステップS3,S4およびS5を連続的に行うことにより、全体的なファイバ応答が構築される。従って、好ましい選択では、サブステップS3において、各重み係数のサブセットが同じセットの基本ファイバ応答に適用され、出射された光の一つの横方向モードだけに対応する部分的なファイバ応答を構築する。サブステップS4では、異なる時間遅延が部分的応答間に与えられる。サブステップS5では、遅延した部分的応答の合計として全体的なファイバ応答が構築される。遅延させ、遅延した部分的応答を合計して、全体的なファイバ応答を構築するという、部分的なファイバ応答を構築する3つの機能操作の全ては、一度の計算で行うことができる。ステップS6では、全体的なファイバ応答から有効帯域幅が計算される。ステップS7では、その長さおよびビットレートが計算された有効帯域幅によって決まる、例えばイーサネット(登録商標)光通信リンクなどのマルチギガビット光通信リンクが決定される。計算された有効帯域幅が高くなるほど、リンク長は長くなり、ビットレートは高くなる。その後、マルチモードファイバを、その長さおよびビットレートが計算された有効帯域幅によって決まるマルチギガビットイーサネット(登録商標)光通信リンクに組み込むことができる。
【0071】
ステップS2は、ステップS6での同数の有効帯域幅につながる複数のVCSELタイプを説明するために、複数のマルチサブセット重み関数に関して計算することができる。その後、最小有効帯域幅や5%フラクタイル(fractile)のような妥当な最悪のケースの有効帯域幅を、マルチギガビット光リンクの所与の長さおよびビットレートに対して安全な伝送を保証するために用いることができる。
【0072】
図10は、本発明の実施形態に係る有効帯域幅計算方法により用いられる重み係数を決定するために行われる種々のステップの例を示す。重み係数は、重み係数のサブセットに対応する出射光の各横方向モードに対して、ファイバモード間におけるシミュレーションされた出射光のパワー分布と測定された出射光のパワー分布との差を計算するステップS10を、計算された差の加重和が最小化されるまで繰り返すことを含む数値最適化を通じて取得され、計算された差の相対的な重み付けは、出射光の対応する横方向モードの相対的な放射パワーに対応する。DMD測定の間に各VCSELモード励起またはオフセットローンチによりファイバ内に誘発されたモードパワー分布は、もっぱらモデリング推測により、または近接場測定から導き出すことができる。
【0073】
S20において、加重和が最小と認められると、本方法はステップS30に進む。重み係数のサブセットの完全なセットが有効化され、本発明に係る有効帯域幅の計算方法において用いられる。ステップS20において、加重和が最小と認められない場合、本方法はステップS10に戻る。
【0074】
計算ステップS10では、1つまたは複数の以下のルールが望ましくは尊重される。1つのルールは、ディスクリートな重み係数間への重み係数のサブセットの外挿(extrapolation)に重み関数が対応しており、それぞれの重み関数に従う面は、それらが対応する出射光の横方向モードのパワーにそれぞれ比例する、ということである。別のルールは、重み係数の異なるサブセットは、互いに時間シフトされ、異なるサブセットの時間シフトは、出射光の異なる横方向モードの異なる波長においてそれぞれ異なるファイバモード分散に依存しているということである。さらに別のルールは、出射光の異なる横方向モードの相対的な放射パワーは、いくつかの異なる面発光レーザ光源の平均により、好ましくは少なくとも5個の異なる光源により、より好ましくは少なくとも10個の異なる光源の平均により決定される、ということである。
【0075】
重み係数を決定するために考慮されるマルチモードファイバ中への出射光の異なるモードの数は、運用中に実際に支配的なVCSELモードの数、パワーの主要部分を放射するVCSELモードの数を意味する、によって決まる。本発明の方法は、VCSELモードが存在するのと同じ数だけの重み関数を用いることができる。この数は、一般的に2から8まで変化することができるが、8を超えて、重み関数に同じ数だけのサブセットをもたらしてもよい。より好ましくは、重み関数および関連する遅延のいくつかのファミリーを、最小または中央の有効帯域幅に特別の注意を払って、複数のVCSELを説明するために用いることができる。
【0076】
本発明を好適な実施形態を参照して説明した。しかしながら、本発明の範囲内で多くの変形が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
あるビットエラーレートにおけるマルチモードファイバのパワーペナルティを評価する方法であって、
マルチモードファイバ中へのコア半径を超える光の異なるオフセットローンチにそれぞれ対応する基本ファイバ応答のセットを測定することを含むディファレンシャル・モード遅延測定の第1ステップと、
基本ファイバ応答の異なるオフセットローンチにそれぞれ応じて、重み係数および時間遅延のセットを基本ファイバ応答のセットに適用することにより、全体的なファイバ応答を生成する第2のステップと、
全体的なファイバ応答からファイバパワーペナルティを表すパラメータを計算する第3ステップと、
を備え、
全体的なファイバ応答を生成する第2ステップにおいて、重み係数のセットは、互いに相対的に時間遅延された重み係数のいくつかのサブセットを含んでおり、少なくとも一つの相対的な時間遅延は、ゼロに設定されず、そして各サブセットの重み係数はそれぞれ基本ファイバ応答の異なるオフセットローンチによって決まる、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
ファイバパワーペナルティを表す計算されたパラメータは、マルチモードファイバの有効帯域幅であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
重み係数の各サブセットは、レーザ光源の一つの横方向モードのみに対応する部分的ファイバ応答を生成するために、基本ファイバ応答の同じセットに適用され、
時間遅延は、レーザ光源の一つの横方向モードのみに対応する各部分的ファイバ応答に適用され、
全体的なファイバ応答は、異なる遅延された部分的ファイバ応答の和として構築される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
それぞれの時間遅延は、レーザ光源の波長と、ファイバの波長分散と掛け合わされたレーザ光源の中心波長との間のそれぞれの差の積として計算されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
重み係数および時間遅延は、レーザ光源のスペクトル幅の二乗平均平方根(RMS)が0.2nmを超えるようにされることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
レーザ光源の中心波長は、840nm〜860nmのスペクトル範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
レーザ光源の最大波長と最小波長間の差は、0.6nmを超えることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
ディスクリートな重み係数間への重み係数のサブセットの補間に重み関数が対応しており、それぞれの重み関数に従う領域は、レーザ光源の対応する波長のパワーにそれぞれ比例することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項9】
重み係数のセットは、少なくとも4個の重み係数のサブセットを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
重み係数のセットは、多くても10個の重み係数のサブセットを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
重み係数は、重み係数のサブセットに対応する出射光の各横方向モードに対して、ファイバモード間におけるシミュレーションされた出射光のパワー分布と測定された出射光のパワー分布との差を計算するステップを、計算された差の加重和が最小化されるまで繰り返すことを含む数値最適化を通じて取得され、計算された差の相対的な重み付けは、出射光の対応する横方向モードの相対的な放射パワーに対応する、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ファイバペナルティの代表的パラメータは、異なるレーザ光源に対応する重み係数および関連する時間遅延の異なるセットで数回計算され、最悪の計算されたパラメータまたは最悪のパラメータの5パーセンタイルのどちらか一方が保持されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ファイバ選択が計算されたパラメータの値に基づいてなされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
計算されたパラメータは、有効帯域幅であり、ファイバ選択は、850nmで3000MHz−kmを超える有効帯域幅を有するファイバを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ディファレンシャル・モード遅延測定は、1μmステップで行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
ファイバコア半径は、10μmを超えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
ファイバ開口数は、0.17を超えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
所定の閾値を超える有効モード帯域幅を示すファイバのみが保持される追加的なファイバ選択が行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
850nmで4700MHz−kmを超える有効モード帯域幅を示すファイバのみが保持される追加的なファイバ選択が行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図2】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−88821(P2013−88821A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−230638(P2012−230638)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【出願人】(507112468)ドラカ・コムテツク・ベー・ベー (39)
【Fターム(参考)】