説明

マンコンベア用スカートガード照明装置

【課題】照明カバーを保守点検作業の妨げにならない形状としたマンコンベア用スカートガード照明装置を提供する。
【解決手段】スカートガード照明装置10は、スカートガードパネル2上端部に連続して固定した光透過板3と、光透過板3の上端部に挿入し、内レッジと連結する連結部材4と、光透過板3の内部に配置した光源7と、光源7を収納する照明ケース6と、照明ケース6の上部に固定し光源7の光漏れを防ぐ照明カバー18で構成され、前記光源7を、光透過板3より下方へずらした位置に配置し、照明カバー18を、光源7から発せられる光を反射させて光透過板3の方向へ導くように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータや動く歩道等のマンコンベアに装備されるスカートガードに装備される照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マンコンベアのスカートガード照明装置の構造については、下記特許文献1に示される技術が知られている。図6〜図10はこの従来のスカートガード照明装置100の構造を示す。図6はエスカレータの全体の概要を示す側面図であり、そのA−A線断面である図7におけるB部を拡大した図8に示されるように、101は踏段であり、102は踏段101の側面に立設されたスカートガードパネルであり、103は光透過性のアクリル製カバーである。104はアクリル製カバー103に対する連結部材であるアルミニウム製目地であり、該アルミニウム製目地104は、欄干を構成するガラスパネル113より踏段側に下方に傾斜しつつ延設された内レッジ105に連結している。106は断面角型をなす照明ケースであって、スカートガードパネル102側に接続しアクリル製カバー103から光が透過するように低く形成した前垂直壁106aと底板106bと後壁をなす高い後垂直壁106cとから構成され、照明ケース106の内部には光源である蛍光灯107が収納され、前記照明ケース106の上方開口部には蓋板となるL字型の照明カバー108が嵌め込まれている。そして、これらスカートガードパネル102、アクリル製カバー103、アルミニウム製目地104、内レッジ105、照明ケース106、蛍光灯107、照明カバー108は、いずれも踏段101の進行方向に連続して構成されている。なお、欄干を支持する一体支え109、トラス梁110、ガラスパネル受け111は踏段101の進行方向に断続的に配置してある。図9は、図8において、断続的に配置している一体支え109、トラス梁110、ガラスパネル受け111を避けた部分の断面図であり、図9に示す状態から内レッジ105を取り外すと図10に示す状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−24498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に代表される従来の構造では、スカートガード照明装置100を設けたことによって、スカートガード内部の装置を保守点検する際に保諸点検作業の妨げとなる問題点がある。すなわち、スカートガード照明装置100の蛍光灯107が踏段方向へ光を照射させるためにアクリル製カバー103に対して水平の位置に配置されており、そのため、照明ケース106の蓋となる照明カバー108がスカートガード内側において上方に突出することになるので、内レッジ105を取り外して保守点検作業を行う際に、図10に示す状態において、手摺ベルト112等の保守点検は、照明カバー108とガラスパネル113の間の狭い隙間Sに手を入れて行うことになり、作業性が悪いというのが現状である。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、スカートガード照明装置における照明カバーを保守点検作業の妨げにならない形状とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るマンコンベア用スカートガード照明装置は、利用客を乗せ無端状に連結して走行する踏段と、該踏段の側面に立設されるスカートガードパネルと、踏段の両側に立設される欄干と、該欄干を構成する側面パネル、例としてガラスパネルとスカートガードパネルとの間に配置される内レッジと、スカートガード照明装置とを備えるマンコンベアにおいて、スカートガード照明装置は、スカートガードパネル上端部に連続して固定した光透過板、例としてアクリル製カバーと、光透過板の上端部に挿入し、内レッジと連結する連結部材、例としてアルミニウム製目地と、光透過板の内部に配置した光源、例として蛍光灯やLEDと、光源を収納する照明ケースと、照明ケースの上部に固定し光源の光漏れを防ぐ照明カバーで構成され、前記光源を、光透過板より下方へずらした位置に配置し、照明カバーを、光源から発せられる光を反射させて光透過板の方向へ導くように構成したことを特徴とするものである。すなわち、上記課題を解決するために、本発明は、従来のスカートガード照明装置において、蛍光灯をアクリル製カバーに対して垂直方向に下げた位置に配置し、これにより照明カバーを小型化したことにある。
【0007】
前記の構成において、照明カバーが、光源から発せられる光を反射させて光透過板の方向へ導く傾斜面を有する構成としてもよい。すなわち、照明カバーに傾斜面を設けることにより、該傾斜面は、光源から発せられる光を反射して光透過板へ導くことで、光透過板から光が踏板方向へ照射される構成とした。このように、照明カバーは光源の光をより多く光透過板から外部へ照射するために傾斜面を設けたため、これにより光源を光透過板から下方にずらした位置に配置しても十分な光量を確保できる。
【0008】
さらに、照明カバーが、光源から発せられる光を反射させて光透過板の方向へ導く曲面、または、光源から発せられる光を反射させて光透過板の方向へ導く凹凸部を有する構成としてもよく、これらの場合のいずれも照明カバーが傾斜面を有する場合と同様の作用をする。
【0009】
さらにまた、上記の構成に加え、照明カバーが、内レッジと一体化した構成としてもよい。この場合には、内レッジを取り外すと共に照明カバーも同時に取り外せるので、光源の交換保守を行う際に作業性がよい。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明によると、踏段への光の照射量を十分に確保でき、かつ、保守点検の作業性を向上させたスカートガード照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1であって、一体支え、トラス梁及びガラスパネル受けがない部分において内レッジを取り外した状態を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例2であって、一体支え、トラス梁及びガラスパネル受けがない部分において内レッジを取り外した状態を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例3であって、一体支え、トラス梁及びガラスパネル受けがない部分において内レッジを取り外した状態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施例4であって、一体支え、トラス梁及びガラスパネル受けがない部分における断面図である。
【図5】本発明の実施例5であって、一体支え、トラス梁及びガラスパネル受けがない部分において内レッジを取り外した状態を示す断面図である。
【図6】従来のエスカレータの全体を示す概略側面図である。
【図7】図6のA−A線断面図である。
【図8】図7のB部拡大図である。
【図9】図8において、一体支え、トラス梁及びガラスパネル受けがない部分の断面図である。
【図10】図9において、内レッジを取り外した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明の実施例1に係るスカートガード照明装置10の構成を示し、図において、1は踏段であり、2は利用客を乗せ無端状に連結して走行する踏段1の側面に立設されているスカートガードパネルであり、3はスカートガードパネル上端部に連続して固定した光透過板であって、該光透過板はアクリル等の光透過性樹脂からなるカバーである。該光透過板3は、その上端部に挿入するアルミニウム製目地等よりなる連結部材4と連結され、該連結部材4は、連結部材4と欄干を構成するガラスパネル等の側面パネル13との間に配置する踏段側に下方に傾斜しつつ延設された内レッジ(図9における符号105)に連結されるようになっている。
【0014】
6は断面角型なす照明ケースであって、スカートガードパネル2側に接続し光透過板3から光が踏段方向に透過するように低く形成した前垂直壁6aと底板6bと後壁をなす低い後垂直壁6cとから構成される。後垂直壁6cを低く構成したのは照明ケース6を小型化することに寄与するためである。該照明ケース6の内部には光源として蛍光灯7が、前記光透過板3より垂直方向下方へずらした位置に固定的に収納されている。なお、光源としてLED等の他の光源を使用してもよい。前記照明ケース6の上部には、照明ケース6の上方開口部を閉塞して光源の光漏れを防ぐ照明カバー18が取り付けられている。該照明カバー18は、蛍光灯7から発せられる光を反射させて光透過板3の方向へ導くように傾斜面18aを有している。すなわち、蛍光灯7から発せられた光は照明カバー18の傾斜面18aに反射して光透過板3の方向へ進み、光透過板3を通じて光が踏板1方向へ照射される。このように、照明カバー18の傾斜面18aは蛍光灯7の光を光透過板3から外部へより多く照射するため、これにより蛍光灯7を光透過板3より下方にずらした位置に配置しても十分な光量を確保できる。
【0015】
本実施例のように、蛍光灯7を光透過板3の側面から下方にずらして配置し、照明ケース6の後垂直壁6cを低く形成したことにより、照明ケース6を小型化して照明カバー18の位置を下げることができる。また、照明ケース6の上方を覆う照明カバー18が傾斜面18aを有する構成としたことにより、蛍光灯7の光を反射させて、光透過板3から踏段方向へ光をより効率的に照射できるスカートガード照明装置10を設けたことによって、従来、スカートガード内部の装置を保守点検する際に保守点検作業の妨げとなっていたところ、本実施例においては図示するように、照明カバー18と側面パネル13の間の隙間S1が広くなるので、内レッジを取り外して行う手摺ベルト12等の内部機構の保守点検等の作業が行いやすくなり、作業性が向上する。
【実施例2】
【0016】
図2は本発明の実施例2に係るスカートガード照明装置20の構成を示し、実施例1における照明カバー18の変更例である。したがって、照明カバー18以外の構成は実施例1と同一の構成であるので、その構成については実施例1の説明及び符号を援用し、本実施例においてはその説明は省略する。
【0017】
本実施例においては、図2に示すように、照明カバー28は、蛍光灯7から発せられる光を反射させて光透過板3の方向へ導く曲面28aを有している。このように本実施例のスカートガード照明装置20は、照明カバー28に曲面28aを設けることによって、より一層効率よく光を反射させることができる。
【実施例3】
【0018】
図3は本発明の実施例3に係るスカートガード照明装置30の構成を示し、実施例1における照明カバー18の変更例である。したがって、照明カバー18以外の構成は実施例1と同一の構成であるので、その構成については実施例1の説明及び符号を援用し、本実施例においてはその説明は省略する。
【0019】
本実施例においては、図3に示すように、照明カバー38は、蛍光灯7から発せられる光を反射させて光透過板3の方向へ導く連続した凹凸部38aを有している。このように本実施例のスカートガード照明装置30は、照明カバー38に凹凸部38aを設けることによって、より一層効率よく光を反射させることができる。
【実施例4】
【0020】
図4は本発明の実施例4に係るスカートガード照明装置40の構成を示し、実施例1における照明カバー18及び内レッジの変更例である。したがって、照明カバー18及び内レッジ以外の構成は実施例1と同一の構成であるので、その構成については実施例1の説明及び符号を援用し、本実施例においてはその説明は省略する。
【0021】
本実施例においては、図4に示すように、照明カバー48が、内レッジ45と一体化したものである。すなわち、内レッジの下端部45aと照明カバー48の上端部48aが連結されて、アルミニウム製目地よりなる連結部材4に挿入固定されている。このように本実施例のスカートガード照明装置40は、内レッジ45と照明カバー48とを一体化することにより、蛍光灯7等の光源を交換する際に、その保守作業性を向上させたものである。
【実施例5】
【0022】
図5は本発明の実施例5に係るスカートガード照明装置50の構成を示し、実施例1における照明ケース6及び蛍光灯7の変更例である。したがって、照明ケース6及び蛍光灯7以外の構成は実施例1と同一の構成であるので、その構成については実施例1の説明及び符号を援用し、本実施例においてはその説明は省略する。
【0023】
本実施例においては、図5に示すように、照明ケース56の後垂直壁56cの下端部が傾斜面56c’になっている。また、光源としてLED57が使用されており、LED57はその光の発する方向が後方、すなわち、後垂直壁56cの下端部の傾斜面56c’に向かって発光するように設置されている。したがって、LED57から発せられた光は、傾斜面56c’により反射され、この反射された光は、照明カバー18の傾斜面18aに反射されて光透過板3の方向へ進み、光透過板3を通じて光が踏板1方向へ照射される。なお、LED57を、その光が発する方向を上方に向けて照明カバー18の傾斜面18aに当たるように設置してもよく、LED57を光透過板3直近に配置してもよい。但し、LED57を光透過板3直近に配置した場合には、光透過板3を通じて踏板1方向へ照射される光が不連続になるが、上記のように傾斜面を利用した反射により光を屈曲させれば、LED57から光透過板3までの距離が長くなり、LEDといえども若干の光拡散性があるので、その光拡散性により隣接するLEDから発せられる光と交錯して、蛍光灯と同じように連続性のある光を放つことができる。
【符号の説明】
【0024】
10……スカートガード照明装置
1……踏段
2……スカートガードパネル
3……光透過板
4……連結部材
6……照明ケース
6a…前垂直壁
6b…底板
6c…後垂直壁
7……蛍光灯
18……照明カバー
18a……傾斜面
12……手摺ベルト
13……側面パネル
S1……隙間
20……スカートガード照明装置
28……照明カバー
28a……曲面
30……スカートガード照明装置
38……照明カバー
38a……凹凸部
40……スカートガード照明装置
45……内レッジ
45a……内レッジの下端部
48……照明カバー
48a……照明カバーの上端部
50……スカートガード照明装置
56……照明ケース
56c…後垂直壁
56c’…後垂直壁の傾斜面
57……LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用客を乗せ無端状に連結して走行する踏段と、該踏段の側面に立設されるスカートガードパネルと、踏段の両側に立設される欄干と、該欄干を構成する側面パネルとスカートガードパネルとの間に配置される内レッジと、スカートガード照明装置とを備えるマンコンベアにおいて、
スカートガード照明装置は、スカートガードパネル上端部に連続して固定した光透過板と、光透過板の上端部に挿入し、内レッジと連結する連結部材と、光透過板の内部に配置した光源と、光源を収納する照明ケースと、照明ケースの上部に固定し光源の光漏れを防ぐ照明カバーで構成され、
前記光源を、光透過板より下方へずらした位置に配置し、
照明カバーを、光源から発せられる光を反射させて光透過板の方向へ導くように構成したことを特徴とするマンコンベアのスカートガード照明装置。
【請求項2】
照明カバーが、光源から発せられる光を反射させて光透過板の方向へ導く傾斜面を有することを特徴とする請求項1に記載のマンコンベアのスカートガード照明装置。
【請求項3】
照明カバーが、光源から発せられる光を反射させて光透過板の方向へ導く曲面を有することを特徴とする請求項1に記載のマンコンベアのスカートガード照明装置。
【請求項4】
照明カバーが、光源から発せられる光を反射させて光透過板の方向へ導く連続した凹凸部を有するを有することを特徴とする請求項1に記載のマンコンベアのスカートガード照明装置。
【請求項5】
照明カバーが、内レッジと一体化したことを特徴とする請求項1に記載のマンコンベアのスカートガード照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−63386(P2011−63386A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215863(P2009−215863)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】